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富幕山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
富幕山
尉ヶ峰方面から望む富幕山と静岡県道68号浜北三ケ日線の風越峠(2018年1月27日撮影)
富幕山と静岡県道68号浜北三ケ日線の風越峠
標高 563.49[注釈 1][1] m
所在地 日本の旗 日本
静岡県浜松市浜名区愛知県新城市
位置 北緯34度50分58.54秒 東経137度35分14.05秒 / 北緯34.8495944度 東経137.5872361度 / 34.8495944; 137.5872361座標: 北緯34度50分58.54秒 東経137度35分14.05秒 / 北緯34.8495944度 東経137.5872361度 / 34.8495944; 137.5872361[2]
山系 弓張山地
富幕山の位置(日本内)
富幕山
富幕山の位置
プロジェクト 山
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富幕山(とんまくやま)は、静岡県浜松市浜名区[注釈 2]愛知県新城市[注釈 3] とにまたがる弓張山地標高563.5 m[2][3][4]。山域は浜名湖県立自然公園及び奥浜名自然休養林の指定を受けている[5]

概要

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三ヶ日地区(旧引佐郡三ケ日町)の最高峰[6]遠州灘に面した温暖な地にあり、でも積雪のほとんどない山である[7]。南西山腹の浜松市浜名区三ヶ日町只木には875年貞観17年)に開創したと伝えられる幡教寺跡があり、三ヶ日町福長にある大福寺の前身とされている[6]。北西山腹にある『黄柳野ツゲ自生地(つげのツゲじせいち)』が、1944年昭和19年)3月7日天然記念物の指定を受けた[注釈 4][8][9]。新城市黄柳野字新谷甚古山の標高200-300 mにかけての40 haの地域に、ウバメガシサカキなどの暖地性植物とともにツゲが自生している[9]。東側の中腹の浜松市浜名区引佐町奥山堂の上には、観光植物園の『花の奥山高原』がある[10]。山頂には一等三角点(標高563.49、点名「富巻山」)[1]、休憩所、日時計が設置されている[3]芝生の山頂公園となっていて、浜松市の街並みや浜名湖、遠州灘を見渡すことができる[7][11]。山頂には無線中継所があり、遠くから見てこの山の目印となっている[3]。山上ではササユリハルリンドウ[11]マツムシソウなどの野草が見られる[7]。南側の下部の山域は三ケ日みかんなどのミカンとして利用されている[12]。静岡百山研究会により、「静岡の百山」のひとつに選定されている[13]

登山

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日帰り登山ハイキングの対象となる山[14]。静岡県側には、奥浜名自然歩道として3コースが整備されている[3]。代表的な奥山バス停から富幕山、風越峠、尉ヶ峰を経て浜名湖佐久米駅に至る縦走コースは、静岡県版「山のグレーディング」検討会により、無雪期・天候良好時の技術的難易度が「ランクA/(A-E)」(低い-中程度)、体力度が「3/1-10」(低程度、日帰りが可能)とされている[14]。主な登頂コースを以下に示す[7]

  • 細江コース(奥浜名自然歩道): 国民宿舎奥浜名湖 - 二三月峠 - 尉ヶ峰 - 風越峠 - 富幕山
  • 奥山コース(奥浜名自然歩道): 奥山バス停 - 奥山高原 - 展望台 - 富幕山
  • 只木コース(奥浜名自然歩道): 只木バス停 - 鳳来山幡教寺跡 - 富幕山
  • 陣座峠からのコース: 陣座峠 - 富幕山
  • 瓶割峠からのコース: 瓶割峠 - 扇山 - 扇山林道分岐 - 富幕山[11]

地理

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山頂に設置されている一等三角点

静岡県と愛知県境の弓張山地上にあり[4]浜名湖の北岸の北7 kmに位置する[2]

周辺の山

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山頂の西2 kmにあるピークは扇山(標高478.30 m、四等三角点、点名「瓶割峠」[1])と呼ばれている[11]。周辺の主要な山を下表に示す[2]

山容 山名 標高(m)
[注釈 5][1][2]
三角点等級
基準点名[1]
富幕山からの
方角距離(km)
備考
尉ヶ峰から望む三岳山、左奥に富士山(2018年1月27日撮影) 三岳山 467.21 二等
「三岳村」
東 9.5 三岳城跡
南麓から望む富幕山(2018年1月27日) 富幕山 563.49  一等
「富巻山」
0
富士見岩から望む弓張山地の尉ヶ峰、左奥に富士山(2013年12月7日撮影) 尉ヶ峰 433 三等
「嬢ケ峠」(424.24
南南東 3.6
雨生山から望む金山(2018年2月3日撮影) 金山 423.59 三等
「福長村」
西 3.7
南西側の富士見岩から望む弓張山地の山並み、左から雨生山、金山、扇山、富幕山、尉ヶ峰(左奥に三岳山の山頂部)、富幕山と尉ヶ峰との間の最奥に富士山、富幕山の手前(南側)に新東名高速道路引佐連絡路の三ヶ日ジャンクションと富幕トンネル

源流の河川

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以下の河川源流となる山で、太平洋側へ流れる[2]

周辺の峠

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静岡県側から望む愛知県道392号・静岡県道303号新城引佐線が通る陣座峠、富幕山と浅間山(標高519 m)との鞍部、浜松市浜名区引佐町狩宿にて

周辺のを以下に示す[2]

交通・アクセス

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南山麓に静岡県道68号浜北三ケ日線、北山麓に愛知県道392号・静岡県道303号新城引佐線、西山麓に愛知県道445号・静岡県道308号鳳来三ヶ日線が通る[2]。山域の南部を新東名高速道路引佐連絡路の富幕山トンネルが通り、山域の東部を奥山トンネルが貫通している[2]。山域の多くは植林地として利用されていて、瓶割峠から扇山の南域に扇山林道[11]、陣座峠から東山腹に富幕林道などの林道が敷設されている[2]。林道が山頂部にある電波通信施設へ通じる[2]

富幕山の風景

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富幕山からの眺望

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奥山コースの展望台や細江コースの風越峠へ下る稜線上などからは富士山を望むことができる[12]2018年に山頂の休憩所の屋上に新たに展望台が設置された。 ウィキメディア・コモンズには、富幕山から眺望に関するカテゴリがあります。

脚注

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注釈

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  1. ^ 基準点の標高は、2014年3月13日の国土地理院による標高改算値。
  2. ^ 2005年平成17年)7月1日に浜松市に編入合併される前の旧引佐郡引佐町三ケ日町にまたがる。
  3. ^ 2005年(平成17年)10月1日に新城市に編入合併される前の旧南設楽郡鳳来町
  4. ^ 指定当時にはツゲの北限として貴重とされていたが、その後さらに北方でツゲの自生地が発見されている。
  5. ^ 基準点の標高は、2014年3月13日の国土地理院による標高改算値。

出典

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  1. ^ a b c d e 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2018年1月24日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 地理院地図(電子国土Web)・「富幕山」”. 国土地理院. 2018年1月24日閲覧。
  3. ^ a b c d 日本山岳会 (2005)、1095頁
  4. ^ a b c 徳久 (1992)、375頁
  5. ^ 浜名湖県立自然公園の区域”. 静岡県. 2018年2月13日閲覧。
  6. ^ a b ふじのくに文化資源データベース「幡教寺跡」”. 静岡県文化・観光部文化政策課. 2018年2月12日閲覧。
  7. ^ a b c d あつた勤労者山岳会 (1999)、206-207頁
  8. ^ 黄柳野ツゲ自生地”. 文化遺産オンライン. 2018年2月12日閲覧。
  9. ^ a b 黄柳野ツゲ自生地”. 新城市. 2018年2月12日閲覧。
  10. ^ 花の奥山高原”. 奥山高原. 2018年2月12日閲覧。
  11. ^ a b c d e 日本山岳会東海支部 (2010)、80-81頁
  12. ^ a b 与呉 (2010)、152-153頁
  13. ^ 静岡百山研究会 (1991)
  14. ^ a b 静岡県版「山のグレーディング」検討会 (2015年5月15日). “静岡県 山のグレーディング~無雪期・天候良好の「登山ルート別 難易度評価」~” (PDF). 静岡県. pp. 1. 2018年2月12日閲覧。
  15. ^ 遠鉄バスの全体路線図” (JPEG). 遠鉄バス. 2018年2月12日閲覧。

参考文献

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  • 徳久球雄(編集) 編『コンサイス日本山名辞典』(修訂版)三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1 
  • あつた勤労者山岳会(編) 編『こんなに楽しい愛知の130山』風媒社、1999年10月8日。ISBN 4833100770 
  • 静岡百山研究会 編『静岡の百山』明文出版社、1991年11月。ISBN 4943976174 
  • 日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1 
  • 日本山岳会東海支部『改訂版 愛知県の山』山と溪谷社〈新・分県登山ガイド 改訂版〉、2010年2月22日。ISBN 978-4635023726 
  • 与呉日出夫『改訂新版 名古屋周辺の山』山と溪谷社〈週末登山コースの百科事典〉、2010年7月。ISBN 9784635180177 

関連項目

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外部リンク

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