コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

小峰一浩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

小峰 一浩[1](こみね かずひろ[2]1977年[2](昭和52年) - )は、日本の栃木県芳賀郡益子町の「益子焼」の製陶業有限会社 小峰窯[3][4][5][6]の3代目となる[7]代表取締役社長である[8][9][10][5]

小峰窯では陶芸教室も営んでおり、「陶芸インストラクター」としても活動している[7][2][11]

来歴

[編集]

1977年(昭和52年)、栃木県芳賀郡益子町に生まれる[2]

祖父の代から続く「小峰窯」の子として生まれ[12]、幼い頃から遊びがてら粘土いじりをしながら育った[2][12]

両親は「小峰窯」を継ぐようには強制はしなかった。そっと見守ってくれていたのだろう、と小峰は語る[2]

それでも高校生の時には跡を継ぐ意思を決め[2]1996年(平成8年)に栃木県立真岡高等学校を卒業し[2]1998年(平成10年)に西武文理情報短期大学を卒業[2]1999年(平成11年)に「栃木県窯業指導所」(現在の「栃木県産業技術センター 窯業技術支援センター」)伝習生を修了した後[2]、 同年、小峰窯に入社[2][13]、20歳過ぎにはプレッシャーを感じながらも「小峰窯」3代目となった[7][2]。そして小峰窯で作陶の仕事の傍ら、小峰窯の陶芸教室の講師も務めていた[7][13]

伝統工芸士」という制度や名称は聞いてはいたが、製陶業や陶芸教室を営む自分には「陶芸家」同様、縁の無い肩書きだと思っていた。そんなある時、伝統工芸士の試験が行われる事を知り、知り合いに受験を勧められた[12]

自分は陶芸家ではない、という負い目はあった。けれども子どもたちに益子焼の歴史や作り方を教えるうちに「伝えること」の面白さを感じ始めた。そして「伝統工芸士は技法を後世に伝えていく仕事」であり「自分もそういう立場にある」と思い直し、伝統工芸士になることを決め、認定試験を受けることにした[12]

2014年(平成26年)3月26日、益子焼の伝統継承者の若返りを図るために、実に18年ぶりに試験が実施され、5名のうちの1人として、そして当時の「益子焼の陶芸家」のなかでは最年少で[7][13]、大塚信夫(象嵌てん)、大塚一弘(清窯)、大塚雅淑健一窯)、萩原芳典(萩原製陶所)と共に、国から益子焼伝統工芸士に認定された[14][15][16][17]。小峰は「年も若く経験も浅いが、先輩方の胸を借りながら頑張りたい」と決意を述べた[13]。またこの5名は栃木県の「益子焼伝統工芸士」にも認定されている[18]

こうして小峰は新たに認定された5人の、そして当時合わせて14人いた伝統工芸士の中でも異色の、製陶業者であるのと同時に、観光客や子どもたちに陶芸指導を行う「益子焼伝統工芸士の陶芸インストラクター」となった[7][12]

伝統工芸士となっても日常は変わらず、作陶の仕事をこなしながら、小峰窯の陶芸教室で陶芸の指導を行っている[7][13][10][19][11][5]。そして陶芸体験の客も、小峰が益子焼伝統工芸士であることを気付く事はないという[12]

また陶芸教室の客からの要望に応え独自の釉薬を開発し[10]、現在では小峰窯の陶芸教室の作品完成用に15種類の釉薬が選べるようになっている[5]

そして「陶芸を知らない人に陶芸に興味を持って欲しい」「陶芸の世界に入って欲しい」という使命感と願いを持ちながら、陶芸を教えた子どもたちが、将来、陶芸家になるために益子に戻ってきてくれたなら、と願っていながら[12]、「益子焼の魅力」を伝え広めている[7][11]

脚注

[編集]

注釈

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ とちぎの技・匠,栃木県立博物館 2018, p. 38-39,96.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 益子の作家人 小峰 一浩”. 新感覚チャンネル、益子情報局。. 2023年10月13日閲覧。
  3. ^ 『栃木県事業所名鑑 昭和53年版』(栃統資料 53-12)「芳賀郡」「益子町」「(有)小峰窯」P338 - 国立国会図書館デジタルコレクション 2024年2月20日、国会図書館デジタルコレクション デジタル化資料個人送信サービスにて閲覧。
  4. ^ 栃木県で陶芸体験が楽しめる益子焼の窯元【小峰窯】”. 【小峰窯】. 2023年10月14日閲覧。
  5. ^ a b c d 【益子焼編①】人気作家のうつわも♪陶芸体験も可能な窯元「小峰窯」に併設の器セレクトショップ”. ことりっぷ (2014年2月4日). 2023年10月14日閲覧。
  6. ^ 地図 - Google マップ - 小峰窯)
  7. ^ a b c d e f g h とちぎの技・匠,栃木県立博物館 2018, p. 39.
  8. ^ ABOUT”. 【小峰窯】. 2023年10月14日閲覧。
  9. ^ 小峰窯|益子焼の展示・販売店一覧”. Mashiko-DB.net. 2023年10月14日閲覧。
  10. ^ a b c 益子陶芸体験記~小峰窯”. 益子情報局blog (2012年5月22日). 2023年10月13日閲覧。
  11. ^ a b c 『フォトとちぎ 2012 (春)』「陶芸家にプチ弟子入り」「益子焼体験と観光の長期ツアー」(益子町)P7 - 9(2012 とちぎ 12 - 17) - 国立国会図書館デジタルコレクション PDFファイルダウンロード、2024年2月13日閲覧。
  12. ^ a b c d e f g 「読売新聞」2014年(平成26年)8月26日付 東京朝刊 栃木面 31面「益子焼 新時代 1」「陶芸の世界 工芸士手招き」「36歳小峰さん 児童らに手ほどき」「活性化狙い 18年ぶり資格認定」
  13. ^ a b c d e 「下野新聞」2014年4月3日 23面「けさの顔」「最年少で伝統工芸師に」
  14. ^ 「下野新聞」2014年(平成26年)3月27日付 25面「益子焼 18年ぶり認定」「伝統工芸士 新たに5人」「30~50代、若さに期待」
  15. ^ 「読売新聞」2014年3月27日付 34面 栃木版2面「益子焼工芸士に5人 18年ぶり認定 「新しい伝統作る」=栃木」
  16. ^ 益子焼 認定伝統工芸士”. 伝統工芸 青山スクエア日本の伝統工芸士. 2023年9月21日閲覧。
  17. ^ 小峰一浩|益子焼|伝統工芸士リスト/工芸品別”. 伝統工芸 青山スクエア|日本の伝統工芸士. 2023年10月14日閲覧。
  18. ^ 栃木県伝統工芸士認定者一覧”. とちぎの伝統工芸品. 2023年6月11日閲覧。PDFファイルダウンロードで閲覧。
  19. ^ 陶雛作り♪小峰一浩さん”. 益子style[ましこ・あ・ら・もーど]|RADIO BERRY (2014年2月4日). 2023年10月13日閲覧。

参考資料

[編集]
  • 栃木県立博物館 編『第120回企画展 とちぎの技・匠』栃木県立博物館〈とちぎ版文化プログラム リーディングプロジェクト事業〉、2018年4月28日、38-39,96頁。 NCID BB26220229国立国会図書館サーチR100000002-I029053173, R100000001-I36111110205040 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]