小松美彦
小松 美彦(こまつ よしひこ、1955年 - )は、日本の生命倫理学者、科学史家。東京大学客員教授。
専攻は科学史・科学論、生命倫理学、死生学。 人間の死生問題や、現代の科学技術の問題について、歴史縦断的・文理横断的に論じている。 また、死生と科学技術をめぐる倫理を批判的に考察しており、特に脳死臓器移植と安楽死・尊厳死に対する根本批判の最先鋒。 「生権力」の観点から論じることが多い。
漫画『あしたのジョー』のファンとしても知られ、2009年4月10日号『週刊読書人』に「福島泰樹・小松美彦対談 あしたのジョー復活」が掲載された。 また白土三平作品にも造詣が深く、2022年1月28日号『週刊読書人』に「〈生〉と〈死〉を描きつづけた作家・白土三平 追悼 『カムイ(外)伝』は何を追究したのか」が掲載された。
独自の講義を行うことでも知られ、『必殺シリーズ』や『高校教師』を扱った講義については、タレントの三浦奈保子がラジオ番組で京本政樹と語り合った。 教え子であるフットリンガル代表のタカサカモト著『東大八年生 自分時間の歩き方』(講談社)の「人生を変えた授業」では、イラストとともに登場し、その授業内容の詳細が活写されている。
略歴
[編集]1982年、東京大学教養学部基礎科学科卒業。1989年、同大学院理学研究科科学史・科学基礎論専攻博士課程満期退学。
1994年、玉川大学文学部助教授。2000年、東京水産大学助教授。2002年、同大教授。2003年、合併により東京海洋大学教授。2013年、武蔵野大学教授。
2015年、博士(学術)(東京大学)。
2018年、東京大学大学院人文社会系研究科教授[1]2021年、東京大学大学院総合文化研究科客員教授。
著書
[編集]- 『死は共鳴する - 脳死・臓器移植の深みへ』(勁草書房) 1996
- 『黄昏の哲学 - 脳死臓器移植・原発・ダイオキシン』(河出書房新社) 2000
- 『対論 - 人は死んではならない』(春秋社) 2002
- 『脳死・臓器移植の本当の話』(PHP新書) 2004
- 『自己決定権は幻想である』(洋泉社、新書y) 2004
- 『生権力の歴史 - 脳死・尊厳死・人間の尊厳をめぐって』(青土社) 2012
- 『生を肯定する - いのちの弁別にあらがうために』(香川知晶, 市野川容孝, 荒川迪生, 金森修, 小泉義之, 片山容一、青土社) 2013 - 対談集
- 『「自己決定権」という罠 - ナチスから相模原障害者殺傷事件まで』言視舎 2018
- 『「自己決定権」という罠 - ナチスから新型コロナ感染症まで』現代書館 2020
共編著
[編集]- 『宗教と生命倫理』(土井健司共編、ナカニシヤ出版、叢書倫理学のフロンティア) 2005
- 『メタバイオエシックスの構築へ - 生命倫理を問いなおす』(香川知晶共編、NTT出版) 2010 ISBN 4757160496
- 『いのちの選択 - 今、考えたい脳死・臓器移植』(市野川容孝, 田中智彦共編、岩波ブックレット) 2010 ISBN 4002707822
- 『生命倫理の源流 - 戦後日本社会とバイオエシックス』(香川知晶共編、岩波書店) 2014
- 『東洋 / 西洋を越境する - 金森修科学論翻訳集』(坂野徹, 隠岐さや香共編、読書人) 2019
- 『〈反延命〉主義の時代:安楽死・透析中止・トリアージ』(市野川容孝, 堀江宗正共編、現代書館) 2021
翻訳(共訳)
[編集]- 「動植物に共通する生命現象」(クロード・ベルナール、長野敬編、朝日出版社、『科学の名著 第Ⅱ期9 ベルナール』所収) 1989
- 『生と死の生理学研究』(マリー・フランソワ・グザヴィエ・ビシャ、中川久定, 村上陽一郎責任編集、国書刊行会、『一八世紀叢書Ⅶ 生と死 生命という宇宙』所収) 2020