岸政彦
岸 政彦(きし まさひこ、1967年8月6日 - )は、日本の社会学者、小説家。京都大学大学院文学研究科教授。社会学研究室所属[1]。専門は、社会調査方法論、生活史。沖縄における質的調査。
経歴・人物
[編集]関西大学社会学部卒業[2]、大阪市立大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学[2][3]。2003年、大阪市立大学より博士(文学)の学位を取得。 2006年より龍谷大学社会学部教員[3][2]。2017年より立命館大学大学院先端総合学術研究科教授[3]。2023年より現職。 研究テーマは沖縄、生活史、社会調査方法論[4]。パートナーは社会学者の齋藤直子[5][3](大阪教育大学地域連携・教育推進センター特任准教授)。
2015年刊行の『断片的なものの社会学』が「紀伊國屋じんぶん大賞2016」大賞を受賞する[6]など大きな反響を呼んだ。 その後、初の小説作品「ビニール傘」(『新潮』2016年9月号掲載)で第156回芥川龍之介賞候補作、及び第30回三島由紀夫賞候補作に挙がった[7][8]。 2019年、小説「図書室」で第32回三島由紀夫賞候補[9]。2021年に小説『リリアン』で第34回三島由紀夫賞候補作となり、同作にて第38回織田作之助賞受賞[10][11]。共著『地元を生きる:沖縄的共同性の社会学』が第7回(2021年度)沖縄書店大賞候補となる。編著『東京の生活史』で「紀伊國屋じんぶん大賞2022」大賞を受賞[12][13]。同じく『東京の生活史』で第76回毎日出版文化賞を受賞。 2024年、エッセイ集『大阪』(小説家柴崎友香との共著)にて、第12回大阪ほんま本大賞特別賞を受賞[14]。
2020年から、東京、沖縄、大阪の各地で、それぞれ100~150名の「聞き手」を公募するという大規模な生活史プロジェクト[15]を実施。その成果が2021年~2023年に三部作として刊行され、話題となった[16][17]。 また、2023年に刊行が始まった「岩波講座・社会学」全13巻の編集委員を務めている(他に北田暁大・筒井淳也・丸山里美・山根純佳)。
著書
[編集]単著
[編集]- 『同化と他者化:戦後沖縄の本土就職者たち』ナカニシヤ出版、2013年。ISBN 978-4-7795-0723-6
- 『街の人生』勁草書房、2014年。ISBN 978-4-326-65387-4
- 『断片的なものの社会学』朝日出版社、2015年。ISBN 978-4-255-00851-6
- 『ビニール傘』新潮社、2017年。※小説 ISBN 978-4-10-350721-5
- 『はじめての沖縄』新曜社〈よりみちパン!セ〉、2018年。ISBN 978-4-7885-1562-8
- 『マンゴーと手榴弾:生活史の理論』勁草書房、2018年。ISBN 978-4-326-65414-7
- 『図書室』新潮社、2019年。※小説 ISBN 978-4-10-350722-2
- 『ブルデュー「ディスタンクシオン」:「私」の根拠を開示する』NHK出版〈100分de名著〉、2020年12月号。ISBN 978-4-14-223120-1
- 『リリアン』新潮社、2021年。※小説 ISBN 978-4-10-350723-9
- 『にがにが日記』新潮社、2023年。※エッセイ ISBN 978-4-10-350724-6
編著
[編集]- 『atプラス:思想と活動』26号、特集:生活史(岸政彦:編集協力)、太田出版、2016年。ISBN 978-4-7783-1521-4
- 『現代思想』2017年11月号、特集:エスノグラフィ-質的調査の現在(岸政彦:責任編集)、青土社、2017年。ISBN 978-4-7917-1354-7
- 『東京の生活史』筑摩書房、2021年。ISBN 978-4-480-81683-2
- 『生活史論集』ナカニシヤ出版、2022年。ISBN 978-4-7795-1694-8
- 『沖縄の生活史』(石原昌家・岸政彦監修、沖縄タイムス社編)みすず書房、2023年。ISBN 978-4-622-09598-9
- 『所有とは何か:ヒト・社会・資本主義の根源』(梶谷懐共編著)中央公論新社〈中公選書〉、2023年。ISBN 978-4-12-110139-6
- 『岩波講座社会学 第3巻:宗教・エスニシティ』(岸政彦・稲場圭信・丹野清人責任編集)岩波書店、2023年。ISBN 978-4-00-011443-1
- 『大阪の生活史』筑摩書房、2023年。ISBN 978-4-480-81690-0
- 『岩波講座社会学 第2巻:都市・地域』(岸政彦・川野英二責任編集)岩波書店、2024年。ISBN 978-4-00-011442-4
共著
[編集]- 『愛と欲望の雑談』(雨宮まみ共著)ミシマ社〈コーヒーと一冊〉、2016年。ISBN 978-4-903908-80-9
- 『質的社会調査の方法:他者の合理性の理解社会学』(石岡丈昇・丸山里美共著)有斐閣、2016年。ISBN 978-4-641-15037-9
- 『社会学はどこから来てどこへ行くのか』(北田暁大・筒井淳也・稲葉振一郎共著)有斐閣、2018年。ISBN 978-4-641-17441-2
- 『「反緊縮!」宣言』(松尾匡編)亜紀書房、2019年。ISBN 978-4-7505-1589-2
- 『地元を生きる:沖縄的共同性の社会学』(打越正行・上原健太郎・上間陽子共著)ナカニシヤ出版、2020年。ISBN 978-4-7795-1497-5
- 『大阪』(柴崎友香共著)河出書房新社、2021年。※エッセイ ISBN 978-4-309-02937-5
- 『大阪』河出文庫、2024年4月。ISBN 978-4-309-42093-6
論文
[編集]その他
[編集]ドキュメンタリー
[編集]- ネコメンタリー 猫も、杓子(しゃくし)も「岸政彦とおはぎ」(初回放送2019年2月18日、NHK Eテレ)
- ETV特集「私の欠片と、東京の断片」(初回放送2021年9月18日、NHK Eテレ)[18]
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 「メンバー」京都大学大学院文学研究科・社会学研究室。2024年2月18日閲覧。
- ^ a b c 岸 2013, p. 奥付.
- ^ a b c d “about – sociologbook”. 岸政彦. 2017年6月14日閲覧。
- ^ 岸政彦『はじめての沖縄』新曜社、2018年6月、奥付頁。ISBN 978-4-7885-1562-8。
- ^ 岸 2015, pp. 95, 著者紹介.
- ^ “発表!!紀伊國屋じんぶん大賞2016――読者と選ぶ人文書ベスト30|本の「今」がわかる 紀伊國屋書店”. 紀伊國屋書店. 2017年1月20日閲覧。
- ^ “社会学部 岸 政彦 教授の著書「ビニール傘」が芥川賞候補にノミネート|龍谷大学(りゅうこくだいがく)”. 龍谷大学. 2017年1月20日閲覧。
- ^ “三島由紀夫賞|新潮社”. 新潮社. 2017年6月14日閲覧。
- ^ “三島由紀夫賞 | 新潮社”. 新潮社. 2020年6月5日閲覧。
- ^ “第38回織田作之助賞選考経過 醸す雰囲気に高い評価 会話や風景が響き合う岸作品”. 毎日新聞社. 2021年12月30日閲覧。
- ^ “織田作之助賞に「リリアン」”. 朝日新聞社. 2021年12月30日閲覧。
- ^ “「紀伊國屋じんぶん大賞2022 読者と選ぶ人文書ベスト30」を発表”. 株式会社 紀伊國屋書店. 2021年12月29日閲覧。
- ^ “1位に岸政彦編『東京の生活史』 紀伊國屋じんぶん大賞2022 読者と選ぶ人文書ベスト30が決定|じんぶん堂”. 朝日新聞社. 2021年12月29日閲覧。
- ^ "岸政彦×柴崎友香 共著エッセイ『大阪』(河出文庫)、第12回大阪ほんま本大賞特別賞に決定!."時事ドットコム(2024年10月4日).2024年10月10日閲覧。
- ^ 「『東京の生活史』プロジェクト概要:プロジェクト開始に寄せて(岸政彦)」筑摩書房公式サイト(2024年2月18日閲覧)
- ^ 山本ぽてと「150人が150人に「生活史」を聞く…途方もないプロジェクトが生まれた理由」web現代ビジネス。2021.10.31(2024年2月18日閲覧。)
- ^ 「岸政彦が監修を務め、「大阪に生きる」市井の人々、150人の声を聞き書きし、まとめた大著『大阪の生活史』が筑摩書房より刊行」「paperC」2024.01.08(2024年2月18日閲覧)
- ^ “私の欠片(かけら)と、東京の断片”. NHK (2021年9月18日). 2021年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月23日閲覧。
外部リンク
[編集]- sociologbook – 岸政彦のBlog
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- 岸政彦 (sociologbook) - Facebook
- 京都大学大学院文学研究科社会学専修教職員