広島電鉄750形電車
広島電鉄750形電車 | |
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1両のみ現役の762号 (元1651形) | |
主要諸元 | |
軌間 | 1,435 mm |
車両定員 |
90(着席30)人(元1601形) 90(着席40)人(元1651形) 90(着席40)人(元1801形) |
車両重量 |
15.76t(元1601形) 15.43t(元1651形) 17.07t(元1801形) |
車体長 |
13,710(元1601形)mm 13,700(元1651形)mm 13,700(元1801形) mm |
車体幅 |
2,488(元1601形)mm 2,480(元1651形)mm 2,480(元1801形) mm |
車体高 |
3,877(元1601形)mm 3,845(元1651形)mm 3,845(元1801形) mm |
主電動機出力 |
52kW×2(元1601形) 45kW×2(元1651形) 45kW×2(元1801形) |
駆動方式 | 吊り掛け式 |
備考 | 半鋼製 |
広島電鉄750形電車(ひろしまでんてつ750かたでんしゃ)は、1965年に登場した広島電鉄の路面電車である。
概要
[編集]1960年代当時の広島電鉄市内線は、150形や400形をはじめとする、戦前から活躍する4輪単車が大量に使用されていた。本形式は、輸送力の小さいこれら単車を置き換え、大幅な輸送力増強を図るために導入されたものである。広島電鉄では、これら旧駅大阪市電の13m級車両3形式を導入する際、1601形(1600形と呼ばれることもある)1651形(1650形と呼ばれることもある)1801形(1800形と呼ばれることもある)をすべて750形として統合し、形式順に連番とした。なお、車齢の古い元1601形は、一足先に廃車され、しばらく留置されていた車両も解体され、現存していない。 元1651形と元1802形の外観の違いは少ないが、前ドアが折り戸だった1651形と、引き戸だった1801形の違いから、前ドア回りの処理が微妙に異なる。また、使用されている台車が元1651形はブリル、元1801形は大阪市電型になっている。現役で営業運転しているものは元1651形の762号のみである。
導入当時は広電標準色のクリームとグリーンであったが、その後旧神戸市電や旧大阪市電2601形(900形)導入の際、経費節減から塗り替えずに使用されたことが、観光客等に電車博物館と呼ばれて好評を博す結果となり、本形式も大阪市電色のクリームと茶色(ただし実際の大阪市電色は、上半が淡いピンク、下半がインディアンレッドである)に戻されている。つまり実質的に広電が“動く電車博物館”の異名を持つに至ったルーツといえる車輌である。
なお、廃車された一部車両のモーターや機器は、700形へ流用された。
元1601形
[編集]- 1928年から1929年にかけて製造された。ウィンドウシル、ヘッダー、1段下降窓を持つ古めかしい形態が特徴である。広電には14両譲渡され、そのうちの10両が751-760となった。老朽化や、700形に機器を提供するために廃車となるなどした結果、本グループは現存しないが、花電車用に改造された1両が貨50形になって残っている。また、広電に譲渡された元1601形の残り4両は2500形2511-2514号に改装された。
元1651形
[編集]- 1940年に散水車を種車として、木南車輌で製造された。広電には4両が譲渡され761-764号になった。現在は762号のみが在籍している。大きな窓を持つ均整の取れた車体で、1701形や1711形などや、車体長がやや短い2001形などの原型となり、また戦時中の路面電車向け標準車体とされたことから、他地区でも同型車が製造された。650型も、車体長は異なるが形態的な共通点は多く、兄弟分に当るといえる。
- 形態のルーツは米国Pacific・Electricのハリウッドカーこと600クラス辺りにあると思われ(現車がロサンゼルス近郊の博物館に保存されている他、映画“ロジャー・ラビット”にレプリカが登場する)、アメリカンスタイルを日本風に消化したデザインといえる。
- 折り戸の引き戸化は、広島電鉄への譲渡後しばらく経ってから実施された。
元1801形
[編集]- 1950年に製造された。広電には8両が譲渡され765-772号になった。元1651形グループとは、扉上部に小Rがないこと、台車が大阪市電形であることが識別点である。
- 766号は、1982年に廃車された際、テレビドラマ『西部警察 PART-II』の日本全国縦断ロケにあたって、広電宮島駅(現・広電宮島口駅)構内で爆破シーンの撮影に使用された。路面電車の乗客と運転士を人質にとっての電車ジャックの後、テロリストが電車に仕掛けた爆弾が爆発するというストーリーであった。撮影に先駆けて755号と車番を交換している。撮影の時は766号は登録上は755号だった。
- 772号は、2015年7月にミャンマーの鉄道電化計画に伴い3000形電車2編成(3005・3006号)と共に同国鉄道省に譲渡された[1]。
- 768号は、後述のイベント車両に改造された。
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ドアの処理
762(旧1651形) -
ドアの処理
768(旧1801形) -
台車
上:762(旧1651形)
下:768(旧1801形)
イベント電車「TRAIN ROUGE」
[編集]2016年6月に、768号をイベント電車「TRAIN ROUGE(トランルージュ、フランス語で「赤い電車」)」に改造し、路面電車まつりにおいて披露された[2]。
外部デザイナーを一切通さず、メーカー(大阪車輌工業)と協議を重ねたうえで製作。
車内はテーブル席26席と、ビールサーバー(走行時の揺れに対応した、スワン形のドラフトタワー)、冷蔵庫、映像・音響機器を設置。
2016年7月1日からビアガーデン電車として運行開始[3]。同年の広島東洋カープのセントラル・リーグ優勝記念列車にも使用された。
各車状況
[編集]車両番号に(I)(II)と付記されているものは同じ番号を付けた初代および2代目の車両。
車番(大阪市電時代) | 所属 | 備考 |
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751(1613) | 1982年7月廃車 | |
752(I)(1616) | 1987年1月廃車 | 753(II)に改番 |
753(I)(1619) | 1981年11月廃車 | 752(II)に改番 |
754(1623) | 1982年7月廃車 | |
755(I)(1632) | 1987年1月廃車 | 766(II)に改番 |
756(1634) | 1979年4月廃車 | |
757(1635) | 1979年7月廃車 | |
758(1637) | 1979年ごろ改造 | →詳細は「広島電鉄貨50形電車」を参照
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759(1643) | 1980年ごろ改造 | |
760(I)(1645) | 1985年8月廃車 | 765(II)に改番 |
761(1651) | 2014年2月廃車 | |
762(1652) | 千田車庫所属 | 唯一の現役車 大阪大空襲 被災車両 2023年ごろパンタグラフがシングルアームに交換 |
763(1653) | 2014年2月廃車 | |
764(I)(1654) | 1987年1月廃車 | 770(II)に改番 |
765(I)(1832) | 1999年5月廃車 | 760(II)に改番 |
766(I)(1825) | 1982年7月廃車 | 755(II)に改番 ドラマ『西部警察 PART-II』第18話の劇中で爆破され、後に解体。 撮影時はにしき堂号帯広告車 |
767(1826) | 1998年3月廃車 | |
768(1827) | 2016年6月改造 | イベント電車「TRAIN ROUGE」[2] |
769(1828) | 2015年5月廃車 | くしままちづくり協議会(宮崎県串間市)に譲渡 |
770(I)(1829) | 1984年2月廃車 | 764(II)に改番 |
771(1830) | 1998年3月廃車 | |
772(1831) | 2015年7月廃車 | ミャンマーへ譲渡 |
出典
[編集]- ^ “広島電鉄の路面電車、ミャンマーへ…電化計画に対応”. レスポンス (2015年7月14日). 2022年9月25日閲覧。
- ^ a b “広島電鉄、車内で食事できる路面電車「TRAIN ROUGE」公開…元大阪市電768号を改造”. レスポンス (2016年6月12日). 2016年6月12日閲覧。
- ^ “「ビール電車」の運行について【運行期間延長】”. 広島電鉄 (2016年8月17日). 2016年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月25日閲覧。
参考文献
[編集]- 『ローカル私鉄車両20年 路面電車・中私鉄編』(JTBパブリッシング・寺田裕一)ISBN 4533047181
- 『大阪市電が走った街今昔』(JTBパブリッシング・辰巳博)ISBN 4533036511
- 『広電が走る街今昔』(JTBパブリッシング・長船友則)ISBN 4533059864
- 『私鉄の車両3 広島電鉄』(保育社・飯島巌)ISBN 4586532033