序破急
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序破急(じょはきゅう)とは、日本の雅楽の舞楽から出た概念であり、能楽、連歌、蹴鞠、香道、剣術、抜刀術、居合道、茶道[1]など芸道論で使用される言葉である。
脚本構成としては、能に限らず、浄瑠璃および歌舞伎等においては、 日本では中近世以降、伝統的に用いられてきた構成である[2][3][4]。映像分野の脚本構成においても、序破急の同義語である三幕構成が国際的に主流となっている[5]。また、文章構成などにおける三段構成(パラグラフ・ライティング、三幕構成等)を指す概念としても用いられる。
原義
[編集]本来は雅楽の演奏についての言葉である。雅楽の唐楽などで、曲を構成する三つの部分をいい、ほぼ西洋音楽の楽章に相当する。「序」が無拍子かつ低速度で展開され、太鼓の拍数のみを定めて自由に奏され、「破」から拍子が加わり、「急」で加速が入り一曲三部構成を成す。序破急一組で楽式とも考えることができる。ただし、現行曲で序破急を完備する楽曲は、五常楽・蘇合香など極めて少なく、序破急すべてを備えていない(失われたか、始めから存在しない)曲の方が多い。序破急を通しで演奏することを「一具」と呼ぶ。
「序破急」の語は、猿樂、世阿彌の書『花鏡』、『三道』、『風姿花伝』で触れられているので、有名である。そのため、能楽からの言葉と誤解されることが多いが、元来は雅楽から発した語であった。しかし、世阿弥は、それを芸道一般に通じることと論じている。
現代日本では、物語などにおける四段構成(起承転結)に対する三段構成を指す概念として用いられ、演劇等の“三幕構成”の同義語として使われることがある。また、起承転結とともに小中学校の作文技法として使われる。
関連書籍
[編集]- 丹波明『「序破急」という美学-現代によみがえる日本音楽の思考型』音楽之友社、2004.7、ISBN 4276133084
出典
[編集]- ^ 千玄室『日本人の心、伝えます』2016年、幻冬舎、88ページ。
- ^ 『大辞林』 第三版 三省堂 「じょはきゅう【序破急】」の項
- ^ 『世界大百科事典』 第2版 平凡社 「じょはきゅう【序破急】」の項
- ^ 「歌舞伎舞踊の作品と表現-五段構成と序破急」、独立行政法人日本芸術文化振興会 文化デジタルライブラリー、2014年2月28日閲覧
- ^ 浜野高宏; 今村研一、ハンス・ロバート・アイゼンハウアー (2012年). “ドキュメンタリーの国際共同製作ガイダンス” (PDF) (Japanese). 公益財団法人ユニジャパン. p. 12. 2014年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年3月2日閲覧。