廻り地蔵
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廻り地蔵(まわりじぞう)は一定の区域内の家々で地蔵を回していく日本の風習。
全国各地で行われているが、特に関東地方に多く見られる。山形県、福島県、栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県、福井県、愛知県、三重県、京都府、奈良県、和歌山県、高知県、長崎県で確認されている。
厨子に入れた地蔵を背負って次の家へ運ぶ形式が多い。地蔵が一つの家に滞在する時間は1日から1カ月ほどである。年中地蔵を回す地域とある期間のみ地蔵を回す地域がある。
その起源は16世紀から17世紀辺りまで遡ることができるが全国に広まったのは18世紀以降である。これは社寺の出開帳が広まり始めた時期と合致する。
霊験は安産祈願や疫病避けなど多岐に渡る。特に疫病流行がきっかけで村人、僧侶が廻り地蔵を始めたものが少なくない[1]。
存続への課題
[編集]地蔵を運ぶという重労働ということもあって、高齢化などによって存続が危ぶまれる地域も出ており、東京都狛江市、神奈川県大和市[注 1]など廻り地蔵を取りやめたケースもある。
神奈川県小田原市では15kgの厨子を8kgに軽量化し負担の軽減を行った[5]。
指定文化財
[編集]- 埼玉県熊谷市指定無形民俗文化財 今井の廻り地蔵[6]
- 埼玉県羽生市指定無形民俗文化財 本川俣の廻り地蔵[7]
- 栃木県鹿沼市指定無形民俗文化財 録事尊の村廻り[8]
- 神奈川県大和市指定有形民俗文化財 福田の廻り地蔵および講中道具[9][2][3][4]
- 神奈川県横浜市指定無形民俗文化財 鶴見川流域の廻り地蔵[10][11][12][13]、下飯田の廻り地蔵[10][11]
- 福井県若狭町指定文化財 玉置の庄廻り地蔵、三宅の庄廻り地蔵[14]
- 和歌山県田辺市指定無形民俗文化財 秋津川の廻り地蔵[15]
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 『日本民俗大辞典』Ajio Fukuta, 福田アジオ(Dai 1-han)、吉川弘文館、Tōkyō、1999-2000。ISBN 4-642-01332-6。OCLC 43292638 。
- ^ a b “大和市指定重要有形民俗文化財「福田の廻り地蔵及び講中道具」”. 大和市公式ホームページ. 大和市文化スポーツ部文化振興課. 2023年5月13日閲覧。
- ^ a b “福田の廻り地蔵および講中道具”. 大和市・大和文化百花. 大和市文化スポーツ部文化振興課. 2023年5月13日閲覧。
- ^ a b “大和市の文化財(更新日:2022年02月01日)”. 大和市公式ホームページ. 大和市文化スポーツ部文化振興課. 2023年5月13日閲覧。
- ^ “「まわる」を運命(さだめ)られた地蔵 150年近く続く風習 | 小田原・箱根・湯河原・真鶴”. タウンニュース (2016年4月16日). 2023年3月24日閲覧。
- ^ “文化財 | 熊谷デジタルミュージアム”. www.kumagaya-bunkazai.jp. 2023年3月24日閲覧。
- ^ “本川俣の廻り地蔵 文化遺産オンライン”. bunka.nii.ac.jp. 2023年3月24日閲覧。
- ^ “録事尊の村廻り”. www.city.kanuma.tochigi.jp. 2023年10月5日閲覧。
- ^ “福田の廻り地蔵および講中道具 文化遺産オンライン”. bunka.nii.ac.jp. 2023年3月24日閲覧。
- ^ a b “平成25年度横浜市文化財指定”. 教育委員会事務局生涯学習文化財課. 2023年5月14日閲覧。
- ^ a b “鶴見川流域の廻り地蔵など 4件を市指定文化財に決定/横浜市”. カナロコ by 神奈川新聞. 2023年5月14日閲覧。
- ^ “平成26年度横浜市文化財指定”. 教育委員会事務局生涯学習文化財課. 2023年5月14日閲覧。
- ^ “鶴見川「廻り地蔵」など 横浜市指定文化財に4件追加 | カルチャー”. カナロコ by 神奈川新聞. 2023年3月24日閲覧。
- ^ “文化財一覧(町)|輝きと優しさに出会えるまち 若狭町”. www.town.fukui-wakasa.lg.jp. 2023年3月24日閲覧。
- ^ “田辺市の指定文化財 -民俗文化財-”. www.city.tanabe.lg.jp. 2023年3月24日閲覧。