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数学記号 (Unicodeのブロック)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
数学記号 (Unicodeのブロック)
Mathematical Operators
範囲 U+2200..U+22FF
(256 個の符号位置)
基本多言語面
用字 Common
主な言語・文字体系
割当済 256 個の符号位置
未使用 0 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
1.0.0 242 (+242)
3.2 256 (+14)
公式ページ
コード表 ∣ ウェブページ
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数学記号(すうがくきごう、英語: Mathematical Operators)は、Unicodeの80個目のブロック

解説

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数学で用いられる様々な数学記号が収録されている。

Unicodeのバージョン1.0においても「数学記号(Mathematical Operators)」というブロック名で制定されていた[1]

収録文字

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コード 文字 文字名(英語) 用例・説明
その他の数学記号
U+2200 FOR ALL 全称記号。「全ての」を意味する。例えばx∈ℕは全てのxが自然数であることを表す。

しばしば上付き文字として書かれる。

U+2201 COMPLEMENT 集合論において補集合を表す。∁Aのように集合を表す文字の前に書かれるか、Aのように上付き文字として書かれる。
U+2202 PARTIAL DIFFERENTIAL 偏微分を表す。ベクトル量について特定の次元のみで微分することを表し、通常は分数の形式で使われる。

位相空間では境界を表す。

記号名は「ラウンドD」などと呼ばれる。

U+2203 THERE EXISTS 存在記号。「とある」を意味する。例えばx∈ℕはxには自然数であるものが存在することを表す。

しばしば上付き文字として書かれる。

U+2204 THERE DOES NOT EXIST U+2203 ∃ THERE EXISTSの否定。
U+2205 EMPTY SET 空集合。要素を持たない集合を表す。

言語学ではヌル形態素または音韻上の「ゼロ」(子音や母音が無いこと)を示すために使用される[2]

U+2206 INCREMENT この記号には以下の用法がある。
U+2207 NABLA ナブラ記号。主にベクトル演算で用いられる。以下の用法がある。
  • スカラー量xの直前に書かれて∇xとすると、勾配(gradient)を表す。
  • U+2219 ∙ BULLET OPERATORと共にベクトル量Aに対して∇∙Aとすると、発散(divergence)を表す。
  • U+00D7 × MULTIPLICATION SIGNと共にベクトル量Aに対して∇×Aとすると、回転(rotation)を表す。
  • 上付きの2(U+00B2 ² SUPERSCRIPT TWO)と共に用いて∇²とすると、ラプラス作用素を表す[2]
  • 解析学において有限差分のうち後進差分を表す[2]
  • プログラミング言語のAPLでは再帰呼び出しを表す[3]
集合の包含関係
U+2208 ELEMENT OF x∈Xは要素xが集合Xに含まれていることを表す。

左辺には要素が、右辺には集合が置かれる。

U+2209 NOT AN ELEMENT OF U+2208 ∈ ELEMENT OFの否定。x∉XはxがXに含まれないことを表す。

多くの地域ではU+2208 ∈ ELEMENT OFに縦線が引かれた字形をしているが、日本においてはしばしば縦線の代わりに斜めの線が引かれることがある。

U+220A SMALL ELEMENT OF math pi fontに由来する。直線型のイプシロン(U+03F5 ϵ GREEK LUNATE EPSILON SYMBOL)ではない[2]

APLでは1項演算子として用いた場合は多次元配列を1次元配列に変換すること(enlist)を、2項演算子として用いた場合は左辺が右辺に含まれているかどうかを真理値で返すこと(membership)を表す[3]

U+220B CONTAINS AS MEMBER X∋xは集合Xが要素xを含んでいることを表す。
U+220C DOES NOT CONTAIN AS MEMBER U+220B ∋ CONTAINS AS MEMBERの否定。
U+220D SMALL CONTAINS AS MEMBER
その他の数学記号
U+220E END OF PROOF 墓石記号。証明終了を表す。
N項演算子
U+220F N-ARY PRODUCT 総乗記号。記号の下に変数の開始値が、上に終了値が書かれることを意図している。
U+2210 N-ARY COPRODUCT 以下の用法がある。
U+2211 N-ARY SUMMATION 総和記号。記号の下に変数の開始値が、上に終了値が書かれることを意図している。
演算子
U+2212 MINUS SIGN 減算記号。マイナス。

ハイフンマイナス(U+002D - HYPHEN-MINUS)とは異なり、減算記号としての機能のみを持ち、ハイフンとしての機能は持たない。

U+2213 MINUS-OR-PLUS SIGN 複号。マイナスプラス。

計算式について正の場合と負の場合とを同時に表記する際に用いられる。±とは符号が逆になる項に付けられる。

チェス代数式記譜法英語版では黒が明らかに有利であることを表す。

U+2214 DOT PLUS ベクトル演算における直和を表す[4]
U+2215 DIVISION SLASH 汎用除算演算子[2]。以下の用法がある。
  • 集合論において商集合を表す。
  • 分数表記の数式をプレーンテキスト上で表現する場合に用いられる。
U+2216 SET MINUS 集合の減算。B∖Aは集合Bから集合Aに含まれる要素を取り除いた差集合を表す。
U+2217 ASTERISK OPERATOR 以下の用法がある。
U+2218 RING OPERATOR 写像の合成を表す。

APLでは∘.×の形でテンソルの外積を表す[3]

U+2219 BULLET OPERATOR 任意の演算子の説明などにおいて、任意の演算子または被演算子(オペランド)の書かれる位置を示すために用いられる。例えばは写像を表す矢印の一般的な記法を示している。
U+221A SQUARE ROOT 根号。正の平方根を表す。
U+221B CUBE ROOT 正の立方根を表す。
U+221C FOURTH ROOT 正の四乗根を表す。
U+221D PROPORTIONAL TO 比例記号。A∝BはAがBに比例していることを表す。
その他の数学記号
U+221E INFINITY 無限大。無限に大きな数であることを表す。

チェスの代数式記譜法ではどちらが有利かはわからない局面であることを表す。

U+221F RIGHT ANGLE 直角記号。∟ABCは∠ABCが直角であることを表す。

チェスの代数式記譜法では"with"(駒があること)を表す[2]

U+2220 ANGLE 角記号。任意のを表す。

占星術の文脈ではセミスクエア・アスペクト(天体同士の間の角度が45°であること)を表す[2]

JIS製図記号では傾斜度(データム直線またはデータム平面に対して理論的に正確な角度をもつ幾何学的直線または幾何学的平面からの理論的に正確な角度を持つべき直線形体及び平面形体の狂いの大きさ)を表す[5]

U+2221 MEASURED ANGLE 測定角
U+2222 SPHERICAL ANGLE 立体角
関係
U+2223 DIVIDES 以下の用法がある。
  • 整数論において、A∣BはBがAで割り切れる、すなわちAがBの約数であることを表す。
  • 集合の内包的記法英語版において「すなわち(such that)」を意味する。例えば閉区間の定義である はxの条件を表している。
U+2224 DOES NOT DIVIDE U+2223 ∣ DIVIDESの否定。整数論においてA∤BはAがBの約数ではないことを表す。
U+2225 PARALLEL TO 平行記号。以下の用法がある。
  • 幾何学において、二つの線分または直線平行であることを表す。
  • 整数論において「完全に割り切る」を表す。
  • 電気工学において並列抵抗の抵抗値を計算するために用いられる。この場合、と等価である。
  • JISの製図記号では平行度(データム直線、データム平面に対して平行な幾何学的直線または幾何学的平面からの平行であるべき直線形体又は平面形体の狂いの大きさ)を表す[5]

多くの地域では通常2本の縦線(U+2016 ‖ DOUBLE VERTICAL LINEと同形)で書かれるが、日本では通常2つの斜線(//)で書かれる。

U+2226 NOT PARALLEL TO U+2225 ∥ PARALLEL TOの否定。幾何学で平行ではないことを表す。

日本では異なる字形で書かれる(U+2225 ∥ PARALLEL TOに同じ

論理及び集合演算子
U+2227 LOGICAL AND 以下の用法がある。
U+2228 LOGICAL OR 論理学において論理和を表す。
U+2229 INTERSECTION 集合論において積集合(共通部分)を表す。

キャップ(cap)とも呼ばれる[2]

U+222A UNION 集合論において和集合を表す。

カップ(cup)とも呼ばれる[2]

積分記号
U+222B INTEGRAL 積分記号。インテグラル。
U+222C DOUBLE INTEGRAL 二重積分を表す。
U+222D TRIPLE INTEGRAL 三重積分を表す。
U+222E CONTOUR INTEGRAL 線積分を表す。
U+222F SURFACE INTEGRAL 面積分を表す。
U+2230 VOLUME INTEGRAL 体積積分を表す。
U+2231 CLOCKWISE INTEGRAL
U+2232 CLOCKWISE CONTOUR INTEGRAL 線積分の移動方向を指定する場合に用いられる。複素関数では移動方向によって積分の結果が異なることがある。

レイアウトミラーリング中に時計回りまたは反時計回りの矢印が反転しない[2]

U+2233 ANTICLOCKWISE CONTOUR INTEGRAL
その他の数学記号
U+2234 THEREFORE 結論を表す。「したがって」を意味する。
U+2235 BECAUSE 理由を表す。「なぜならば」を意味する。
関係
U+2236 RATIO 比率を表すコロン

比率として用いる場合U+003A(通常のコロン)よりも好ましい。数学的用途における分割またはスケールの表示用[2]

U+2237 PROPORTION 割合
演算子
U+2238 DOT MINUS 飽和減算。A∸Bは通常の減算とは異なり、A<Bの時は結果が負ではなく0となる。"monus"とも呼ばれる[6]

集合論における対称差の表記法として主張されることもあるが、この場合U+2206∆の方が好まれる[2]

関係
U+2239 EXCESS 超過
演算子
U+223A GEOMETRIC PROPORTION 幾何学的比率
関係
U+223B HOMOTHETIC 相似
U+223C TILDE OPERATOR 以下の用法がある。
  • 多くの地域で図形の相似を表す記号として用いられる。
  • 工学などにおいて値がある程度近いことを表す。
  • APLでは1項演算子として用いた場合は論理の否定(not)を、2項演算子として用いた場合は差集合を表す[3]
U+223D REVERSED TILDE 日本において図形の相似を表す記号として用いられる。

日本では"lazy S"と呼ばれるSを横倒しにしたような字形で書かれるが、他の多くの地域ではチルダ(~)を左右反転したような字形で書かれる[2]

U+223E INVERTED LAZY S
その他の数学記号
U+223F SINE WAVE 電気工学で用いられる機器において交流を表すシンボルとして用いられる[2]
演算子
U+2240 WREATH PRODUCT 群論において輪積(リース積)を表す。
関係
U+2241 NOT TILDE U+223C ∼ TILDE OPERATORの否定。工学などで、値があまり近くないことを表す。
U+2242 MINUS TILDE
U+2243 ASYMPTOTICALLY EQUAL TO 漸近的に等しい。漸近した値の収束値が右辺と等しいことを表す。

或いは、単に値が近いことを表す。

U+2244 NOT ASYMPTOTICALLY EQUAL TO U+2243 ≃ ASYMPTOTICALLY EQUAL TOの否定。漸近した値の収束値が右辺と等しくないことを表す。
U+2245 APPROXIMATELY EQUAL TO おおよそ等しい
U+2246 APPROXIMATELY BUT NOT ACTUALLY EQUAL TO おおよそ等しいが完全に等しい値ではない
U+2247 NEITHER APPROXIMATELY NOR ACTUALLY EQUAL TO 等しくなく、おおよそ近い値でもない
U+2248 ALMOST EQUAL TO ほとんど等しい。U+2245 ≅ APPROXIMATELY EQUAL TOよりも値が近いことを表す。多くの地域において最も標準的な「ほぼ等しい」を表す記号。

或いは漸近的に等しいことを表す[2]

Unicodeの公式文書では、ある文字が別の文字列の合成によって表現可能であることを表す。

U+2249 NOT ALMOST EQUAL TO U+2248 ≈ ALMOST EQUAL TOの否定。ほとんど等しいとは言えない。
U+224A ALMOST EQUAL OR EQUAL TO ほとんど等しいか、完全に等しい
U+224B TRIPLE TILDE
U+224C ALL EQUAL TO 全て等しい

上部はreversed tildeとlazy Sの2通りのグリフパターンがある[2]

U+224D EQUIVALENT TO 同等である
U+224E GEOMETRICALLY EQUIVALENT TO 幾何学的に同等である
U+224F DIFFERENCE BETWEEN 異なる
U+2250 APPROACHES THE LIMIT 極限へ近づく
U+2251 GEOMETRICALLY EQUAL TO 幾何学的に等しい
U+2252 APPROXIMATELY EQUAL TO OR THE IMAGE OF おおよそ等しい、或いは写像である。ニアリーイコール。

日本では「ほぼ等しい」を表すために頻繁に用いられる。

U+2253 IMAGE OF OR APPROXIMATELY EQUAL TO 写像である、或いはおおよそ等しい。

U+2252 ≒ APPROXIMATELY EQUAL TO OR THE IMAGE OFの異体字。

U+2254 COLON EQUALS 定義を表す。
U+2255 EQUALS COLON
U+2256 RING IN EQUAL TO
U+2257 RING EQUAL TO 「おおよそ等しい」を表す[2]
U+2258 CORRESPONDS TO 対応する
U+2259 ESTIMATES 見積もった値
U+225A EQUIANGULAR TO 角度が等しい
U+225B STAR EQUALS
U+225C DELTA EQUAL TO 定義を表す。
U+225D EQUAL TO BY DEFINITION 定義を表す。
U+225E MEASURED BY 測定値
U+225F QUESTIONED EQUAL TO 等しいかどうか分からないことを表す。
U+2260 NOT EQUAL TO 不等号。等しくないことを表す。
U+2261 IDENTICAL TO 合同記号。以下の用法がある。
  • 幾何学において図形の合同を表す。
  • 定義を表す。
  • APLでは1項演算子として用いた場合はテンソル次元(depth)を、2項演算子として用いた場合は左辺が右辺の要素になっているかどうかを真理値で返す(matching)を表す[3]
  • ISO 2047では改行(U+000A)を表す。
U+2262 NOT IDENTICAL TO U+2261 ≡ IDENTICAL TOの否定。幾何学において合同ではないことを表す。
U+2263 STRICTLY EQUIVALENT TO 厳密に同等である
U+2264 LESS-THAN OR EQUAL TO 小なりイコール。以下

国際的に最も一般的な小なりイコールの記号。

U+2265 GREATER-THAN OR EQUAL TO 大なりイコール。以上

国際的に最も一般的な大なりイコールの記号。

U+2266 LESS-THAN OVER EQUAL TO 日本の初等教育で用いられる小なりイコールの記号。
U+2267 GREATER-THAN OVER EQUAL TO 日本の初等教育で用いられる大なりイコールの記号。
U+2268 LESS-THAN BUT NOT EQUAL TO 小なり。未満

U+003C < LESS-THAN SIGNと同じ意味だが、等しくないことを強調したい場合に用いられる。

U+2269 GREATER-THAN BUT NOT EQUAL TO 大なり。

U+003E > GREATER-THAN SIGNと同じ意味だが、等しくないことを強調したい場合に用いられる。

U+226A MUCH LESS-THAN 以下の用法がある。
  • ~より非常に小さい
  • 順序集合において「~より前にある」を表す。
U+226B MUCH GREATER-THAN 以下の用法がある。
  • ~より非常に大きい
  • 順序集合において「~より後にある」を表す。
U+226C BETWEEN 原告(plaintiff)、少なくとも2つの変数がある同次多項式(quantic)[2][7]
U+226D NOT EQUIVALENT TO U+224D ≍ EQUIVALENT TOの否定。
U+226E NOT LESS-THAN U+003C < LESS-THAN SIGNの否定。~より小さくない

機能上はU+2265 ≥ GREATER-THAN OR EQUAL TOと同じである。

U+226F NOT GREATER-THAN U+003E > GREATER-THAN SIGNの否定。~より大きくない

機能上はU+2264 ≤ LESS-THAN OR EQUAL TOと同じである。

U+2270 NEITHER LESS-THAN NOR EQUAL TO U+2264 ≤ LESS-THAN OR EQUAL TOの否定。~より小さくも等しくもない

機能上はU+003E > GREATER-THAN SIGNと同じである。

U+2271 NEITHER GREATER-THAN NOR EQUAL TO U+2265 ≥ GREATER-THAN OR EQUAL TOの否定。~より大きくも等しくもない

機能上はU+003C < LESS-THAN SIGNと同じである。

U+2272 LESS-THAN OR EQUIVALENT TO ~より小さいか同等である
U+2273 GREATER-THAN OR EQUIVALENT TO ~より大きいか同等である
U+2274 NEITHER LESS-THAN NOR EQUIVALENT TO U+2272 ≲ LESS-THAN OR EQUIVALENT TOの否定。
U+2275 NEITHER GREATER-THAN NOR EQUIVALENT TO U+2273 ≳ GREATER-THAN OR EQUIVALENT TOの否定。
U+2276 LESS-THAN OR GREATER-THAN 複号(±)のある不等式で用いられる。
U+2277 GREATER-THAN OR LESS-THAN
U+2278 NEITHER LESS-THAN NOR GREATER-THAN
U+2279 NEITHER GREATER-THAN NOR LESS-THAN
U+227A PRECEDES 順序集合において「~より前にある」を表す。

また、濃度の大小にも用いられる。 U+003C < LESS-THAN SIGNU+226A ≪ MUCH LESS-THANで書かれることもあるが、順序に言及していることを明示するために用いられる。

U+227B SUCCEEDS 順序集合において「~より後にある」を表す。
U+227C PRECEDES OR EQUAL TO ~より前にあるか同じ位置である
U+227D SUCCEEDS OR EQUAL TO ~より後にあるか同じ位置である
U+227E PRECEDES OR EQUIVALENT TO ~より前にあるか同等である
U+227F SUCCEEDS OR EQUIVALENT TO ~より後にあるか同等である
U+2280 DOES NOT PRECEDE U+227A ≺ PRECEDESの否定。
U+2281 DOES NOT SUCCEED U+227B ≻ SUCCEEDSの否定。
U+2282 SUBSET OF 集合の包含関係を表すために用いられる。A⊂Bは集合Aが集合Bに含まれる(Bの部分集合である)ことを表す。
U+2283 SUPERSET OF A⊃Bは集合Aが集合Bを部分集合として含んでいることを表す。

APLでは1項演算子として用いた場合は最初の要素(first)を、2項演算子として用いた場合は左辺をインデックスとした右辺の要素を取り出すこと(pick)を表す[3]

U+2284 NOT A SUBSET OF U+2282 ⊂ SUBSET OFの否定。
U+2285 NOT A SUPERSET OF U+2283 ⊃ SUPERSET OFの否定。
U+2286 SUBSET OF OR EQUAL TO A⊆Bは集合Aが集合Bに含まれるかBと同一の集合であることを表す。
U+2287 SUPERSET OF OR EQUAL TO A⊇Bは集合Aが集合Bを含んでいるかBと同一の集合であることを表す。
U+2288 NEITHER A SUBSET OF NOR EQUAL TO U+2286 ⊆ SUBSET OF OR EQUAL TOの否定。
U+2289 NEITHER A SUPERSET OF NOR EQUAL TO U+2287 ⊇ SUPERSET OF OR EQUAL TOの否定。
U+228A SUBSET OF WITH NOT EQUAL TO ~に含まれるが同一ではない
U+228B SUPERSET OF WITH NOT EQUAL TO ~を含むが同一ではない
演算子
U+228C MULTISET 多重集合
U+228D MULTISET MULTIPLICATION
U+228E MULTISET UNION 多重集合の結合 (join) あるいは直和(非交和、sum)を表す。
関係
U+228F SQUARE IMAGE OF
U+2290 SQUARE ORIGINAL OF
U+2291 SQUARE IMAGE OF OR EQUAL TO
U+2292 SQUARE ORIGINAL OF OR EQUAL TO
演算子
U+2293 SQUARE CAP
U+2294 SQUARE CUP 多重集合の結合 (join) あるいは直和(非交和、sum)を表す。
U+2295 CIRCLED PLUS 以下の用法がある。

また、電池などでは陰極(カソード)であることを表す

U+2296 CIRCLED MINUS 集合論において対称差を表すことがある。

APLでは1項演算子として用いた場合は2次元配列(行列)を行方向に反転(上下反転)することを表す[3]

また、電池などでは陽極(アノード)であることを表す。

ISO 2047ではエスケープ文字(U+001B)を表す。

U+2297 CIRCLED TIMES 以下の用法がある。

また、国際天気図では雲量不明を、日本の天気図記号では天気不明であることを表す。

U+2298 CIRCLED DIVISION SLASH
U+2299 CIRCLED DOT OPERATOR 以下の用法がある。
  • (direct product)[7]を表す。
  • 物理学において磁束などの向きが紙面に対して鉛直上方向にあることを表す。
  • ISO 2047ではシフトイン(U+000F)を表す。
U+229A CIRCLED RING OPERATOR
U+229B CIRCLED ASTERISK OPERATOR
U+229C CIRCLED EQUALS クリエイティブ・コモンズの記号では改変禁止を表す[2]
U+229D CIRCLED DASH
U+229E SQUARED PLUS
U+229F SQUARED MINUS ISO 2047では伝送制御拡張(U+0010)を表す。
U+22A0 SQUARED TIMES ISO 2047では問い合わせ文字(U+0005)を表す。
U+22A1 SQUARED DOT OPERATOR
U+22A2 RIGHT TACK 論理学において推論を表す。

APLでは1項演算子として用いた場合は被演算子と同じ値を返すこと(same)を、2項演算子として用いた場合は右辺を返す(right)ことを表す[3]

この記号を俗に"turnstile(回転式改札口)[2]"と呼ぶ。

U+22A3 LEFT TACK U+22A2 ⊢ RIGHT TACKの否定。左辺により右辺が推論不可能であることを表す。

APLでは1項演算子として用いた場合は被演算子と同じ値を返すこと(same)を、2項演算子として用いた場合は左辺を返す(left)ことを表す[3]

ISO 2047では伝送ブロック終結(U+0017)を表す。

その他の数学記号
U+22A4 DOWN TACK 以下の用法がある。
  • 論理学において真(true)の真理値を表す。
  • APLにおいて左辺nのn進数で表された右辺を十進法に戻すこと(decode)を表す[3]
U+22A5 UP TACK 以下の用法がある。
  • 幾何学において2つの線分または直線が垂直であることを表す。垂直記号
  • 論理学において(false)の真理値を表す。
  • APLにおいて左辺nのn進数で右辺を表現すること(encode)を表す[3]
  • JISの製図記号では直角度(データム直線、データム平面に対して直角な幾何学的直線または幾何学的平面からの直角であるべき直線形体又は平面形体の狂いの大きさ)を表す[5]
  • ISO 2047ではテキスト開始(U+0002)を表す。
関係
U+22A6 ASSERTION
U+22A7 MODELS
U+22A8 TRUE 論理学においてA⊨BはAはBのトートロジーであることを表す。左辺の命題から右辺の命題が論理的に等価であることが証明可能である(AからBが妥当な推論である)ことを表す。
U+22A9 FORCES 線形論理において論理包含を表す。
U+22AA TRIPLE VERTICAL BAR RIGHT TURNSTILE
U+22AB DOUBLE VERTICAL BAR DOUBLE RIGHT TURNSTILE
U+22AC DOES NOT PROVE U+22A2 ⊢ RIGHT TACKの否定。機能的にはU+22A3 ⊣ LEFT TACKと同等である。
U+22AD NOT TRUE U+22A8 ⊨ TRUEの否定。
U+22AE DOES NOT FORCE U+22A9 ⊩ FORCESの否定。
U+22AF NEGATED DOUBLE VERTICAL BAR DOUBLE RIGHT TURNSTILE
U+22B0 PRECEDES UNDER RELATION
U+22B1 SUCCEEDS UNDER RELATION
U+22B2 NORMAL SUBGROUP OF 抽象代数学においてA⊲BはA(群Bの部分群)が群Bの正規部分群であることを表す。
U+22B3 CONTAINS AS NORMAL SUBGROUP A⊳Bは群Aが群Bを正規部分群として包含していることを表す。
U+22B4 NORMAL SUBGROUP OF OR EQUAL TO 正規部分群であるか、同一の群である
U+22B5 CONTAINS AS NORMAL SUBGROUP OR EQUAL TO
U+22B6 ORIGINAL OF
U+22B7 IMAGE OF
U+22B8 MULTIMAP 線形論理において論理結合子を表す。A⊸BはAがBに変化され、Aが消費されることを表す。
U+22B9 HERMITIAN CONJUGATE MATRIX
演算子
U+22BA INTERCALATE
U+22BB XOR 論理学において排他的論理和(XOR)を表す。
U+22BC NAND 論理学において否定論理積(NAND)を表す。
U+22BD NOR 論理学において否定論理和(NOR)を表す。
その他の数学記号
U+22BE RIGHT ANGLE WITH ARC
U+22BF RIGHT TRIANGLE 幾何学において直角三角形を表す。
N項演算子
U+22C0 N-ARY LOGICAL AND n項論理積

記号の下に変数の開始値が、上に終了値が書かれることを意図している。

「すべての~」(U+2200 ∀ FOR ALLと等価)を表すためにも使用される[2]

U+22C1 N-ARY LOGICAL OR n項論理和

記号の下に変数の開始値が、上に終了値が書かれることを意図している。

「とある~」(U+2203 ∃ THERE EXISTSと等価)を表すためにも使用される[2]

U+22C2 N-ARY INTERSECTION n項積集合

記号の下に変数の開始値が、上に終了値が書かれることを意図している。

Z言語では一般化された積集合を表す[2]

U+22C3 N-ARY UNION n項和集合

記号の下に変数の開始値が、上に終了値が書かれることを意図している。

Z言語では一般化された和集合を表す[2]

演算子
U+22C4 DIAMOND OPERATOR APLで1行に複数の命令文を書く場合にセパレータとして用いられる(Statement Separator)[3]
U+22C5 DOT OPERATOR 以下の用法がある。
  • 乗算記号として用いられる。
  • ベクトル演算では通常の乗算記号(U+00D7 × MULTIPLICATION SIGN)とは区別され、内積を表す[8]
  • 電子工学においては論理演算における論理積を表す。乗算の表記として、U+00B7 ·(中黒)より適切である[2]
U+22C6 STAR OPERATOR 以下の用法がある。
U+22C7 DIVISION TIMES
関係
U+22C8 BOWTIE
演算子
U+22C9 LEFT NORMAL FACTOR SEMIDIRECT PRODUCT 群論において半直積を表す。⋊は左辺に作用する右辺の半直積を、⋉はその逆を表す。
U+22CA RIGHT NORMAL FACTOR SEMIDIRECT PRODUCT
U+22CB LEFT SEMIDIRECT PRODUCT
U+22CC RIGHT SEMIDIRECT PRODUCT
関係
U+22CD REVERSED TILDE EQUALS
論理演算子
U+22CE CURLY LOGICAL OR
U+22CF CURLY LOGICAL AND
関係
U+22D0 DOUBLE SUBSET
U+22D1 DOUBLE SUPERSET
演算子
U+22D2 DOUBLE INTERSECTION
U+22D3 DOUBLE UNION
関係
U+22D4 PITCHFORK
U+22D5 EQUAL AND PARALLEL TO
U+22D6 LESS-THAN WITH DOT
U+22D7 GREATER-THAN WITH DOT
U+22D8 VERY MUCH LESS-THAN
U+22D9 VERY MUCH GREATER-THAN
U+22DA LESS-THAN EQUAL TO OR GREATER-THAN
U+22DB GREATER-THAN EQUAL TO OR LESS-THAN
U+22DC EQUAL TO OR LESS-THAN
U+22DD EQUAL TO OR GREATER-THAN
U+22DE EQUAL TO OR PRECEDES
U+22DF EQUAL TO OR SUCCEEDS
U+22E0 DOES NOT PRECEDE OR EQUAL U+227C ≼ PRECEDES OR EQUAL TOの否定。
U+22E1 DOES NOT SUCCEED OR EQUAL U+227D ≽ SUCCEEDS OR EQUAL TOの否定。
U+22E2 NOT SQUARE IMAGE OF OR EQUAL TO
U+22E3 NOT SQUARE ORIGINAL OF OR EQUAL TO
U+22E4 SQUARE IMAGE OF OR NOT EQUAL TO
U+22E5 SQUARE ORIGINAL OF OR NOT EQUAL TO
U+22E6 LESS-THAN BUT NOT EQUIVALENT TO
U+22E7 GREATER-THAN BUT NOT EQUIVALENT TO
U+22E8 PRECEDES BUT NOT EQUIVALENT TO
U+22E9 SUCCEEDS BUT NOT EQUIVALENT TO
U+22EA NOT NORMAL SUBGROUP OF U+22B2 ⊲ NORMAL SUBGROUP OFの否定。
U+22EB DOES NOT CONTAIN AS NORMAL SUBGROUP U+22B3 ⊳ CONTAINS AS NORMAL SUBGROUPの否定。
U+22EC NOT NORMAL SUBGROUP OF OR EQUAL TO U+22B4 ⊴ NORMAL SUBGROUP OF OR EQUAL TOの否定。
U+22ED DOES NOT CONTAIN AS NORMAL SUBGROUP OR EQUAL U+22B5 ⊵ CONTAINS AS NORMAL SUBGROUP OR EQUAL TOの否定。
行列の省略
U+22EE VERTICAL ELLIPSIS これら 4 つの省略記号は、行列の行/列の省略に使用される[2]
U+22EF MIDLINE HORIZONTAL ELLIPSIS
U+22F0 UP RIGHT DIAGONAL ELLIPSIS
U+22F1 DOWN RIGHT DIAGONAL ELLIPSIS
関係
U+22F2 ELEMENT OF WITH LONG HORIZONTAL STROKE
U+22F3 ELEMENT OF WITH VERTICAL BAR AT END OF HORIZONTAL STROKE
U+22F4 SMALL ELEMENT OF WITH VERTICAL BAR AT END OF HORIZONTAL STROKE
U+22F5 ELEMENT OF WITH DOT ABOVE
U+22F6 ELEMENT OF WITH OVERBAR
U+22F7 SMALL ELEMENT OF WITH OVERBAR
U+22F8 ELEMENT OF WITH UNDERBAR
U+22F9 ELEMENT OF WITH TWO HORIZONTAL STROKES
U+22FA CONTAINS WITH LONG HORIZONTAL STROKE
U+22FB CONTAINS WITH VERTICAL BAR AT END OF HORIZONTAL STROKE
U+22FC SMALL CONTAINS WITH VERTICAL BAR AT END OF HORIZONTAL STROKE
U+22FD CONTAINS WITH OVERBAR
U+22FE SMALL CONTAINS WITH OVERBAR
U+22FF Z NOTATION BAG MEMBERSHIP

小分類

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このブロックの小分類は「その他の数学記号」(Miscellaneous mathematical symbols)、「集合の包含関係」(Set membership)、「N項演算子」(N-ary operators)、「演算子」(Operators)、「角」(Angles)、「関係」(Relations)、「論理及び集合演算子」(Logical and set operators)、「積分記号」(Integrals)、「論理演算子」(Logical operators)、「行列の省略」(Matrix ellipses)、の10つとなっている[2]。本ブロックでは、Unicodeのバージョン更新時の文字追加が隙間を埋める形で行われた影響で、同一の小分類に属する文字が飛び飛びの符号位置に割り当てられていることがある。また、収録文字が1文字しかない小分類については小分類名が単数形で表現されているが、本記事では単数形か複数形かによる小分類名の表記ゆれについては別の小分類として扱わず、同一の小分類として扱うこととする。

その他の数学記号(Miscellaneous mathematical symbols

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この小分類には以下のいずれにも分類されない様々な数学記号が収録されている。

集合の包含関係(Set membership

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この小分類には集合論で用いられる、包含関係を表すための2項演算子集合間の関係を表す記号)が収録されている。

N項演算子(N-ary operators

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この小分類には下に初期値、上に終値が書かれることを意図した大きなn項演算子が収録されている。

演算子(Operators

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この小分類には様々な演算子が収録されている。

角(Angles

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この小分類には幾何学において角を表す角記号及びその派生記号が収録されている。

関係(Relations

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この小分類には大小関係や同一性などの右辺と左辺の関係性を表す記号(等号及び不等号類)が収録されている。

論理及び集合演算子(Logical and set operators

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この小分類には論理学や集合論で用いられる、下に初期値、上に終値が書かれることを意図した大きなn項演算子が収録されている。

積分記号(Integrals

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この小分類には積分記号及びその派生記号が収録されている。

論理演算子(Logical operators

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この小分類には論理学で用いられる追加の論理演算子が収録されている。

行列の省略(Matrix ellipses

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この小分類には線形代数学行列の表記において省略に用いられる三点リーダーのような外見の記号が収録されている。

文字コード

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数学記号(Mathematical Operators)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+220x
U+221x
U+222x
U+223x
U+224x
U+225x
U+226x
U+227x
U+228x
U+229x
U+22Ax
U+22Bx
U+22Cx
U+22Dx
U+22Ex
U+22Fx
注釈
1.^バージョン16.0時点


履歴

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以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
1.0 U+2200..22F1 242
3.2 U+22F2..22FF 14 L2/00-119 SC2/WG2 N2191R (19 April 2000), Proposal for mathematical symbols in 10646 (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

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  1. ^ 3.8: Block-by-Block Charts”. The Unicode Standard. Unicode Consortium. 2024年11月13日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af "The Unicode Standard, Version 15.1 - U2200.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2024年11月13日閲覧
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m TryAPL”. 2024年11月14日閲覧。
  4. ^ TAKEUCHI, Osamu (2024年10月24日). “線形代数II/射影・直和・直交直和”. 武内@筑波大. 2024年11月13日閲覧。
  5. ^ a b c 幾何公差の記号一覧”. d-engineer.com. 2024年11月15日閲覧。
  6. ^ DOSEI (2008年6月5日). “負にならない引き算, 飽和減算”. DOSEIの日記. 2024年11月13日閲覧。
  7. ^ a b 日本語訳不明
  8. ^ U+00D7は外積を表す。

関連項目

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