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水ヶ瀞ダム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
新水ヶ瀞発電所から転送)
水ヶ瀞ダム
水ヶ瀞ダム
所在地 左岸:山形県西村山郡西川町大字水沢
右岸:山形県西村山郡西川町大字月岡
位置 北緯38度26分04秒 東経140度04分21秒 / 北緯38.43444度 東経140.07250度 / 38.43444; 140.07250
河川 最上川水系寒河江川
ダム湖
ダム諸元
ダム型式 重力式コンクリートダム
堤高 34.0 m
堤頂長 372.0 m
堤体積 116,000 m3
流域面積 259.8 km2
湛水面積 25.0 ha
総貯水容量 1,936,000 m3
有効貯水容量 1,425,000 m3
利用目的 発電
事業主体 東北電力
電気事業者 東北電力
発電所名
(認可出力)
水ヶ瀞発電所
(5,000kW)
施工業者 間組奥村組升村建設
着手年 / 竣工年 1980年1990年
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水ヶ瀞ダム(みずがとろダム)は、山形県西村山郡西川町一級河川最上川水系寒河江川に建設されたダム。かつては新水ヶ瀞ダムともいわれた。高さ34メートルの重力式コンクリートダムで、東北電力発電用ダムである。同社の水力発電所・水ヶ瀞発電所に送水し、最大5,000キロワットの電力を発生する。

歴史

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建設

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最上川水系における水力発電は1898年明治31年)、寒河江川に白岩発電所(600キロワット)が建設されたことに始まる。かつて当地に存在した電力会社山形電気1927年(昭和2年)、寒河江川にて水ヶ瀞発電所の建設に着手し、1929年(昭和4年)12月に完成させた。

現在の水ヶ瀞発電所は水車発電機を収めた建物をダム直下に置いたダム式発電所であるが、当時はダム水路式発電所といって、上流のダムに貯えた水路によって発電所建物まで導く形をとっていた。発電所建物は現在の水ヶ瀞ダム(新水ヶ瀞ダム)のある位置にあり、115.24メートルの落差と13.9立方メートル毎秒の水を利用し、最大1万2,700キロワットの電力を発生することができた。一方の水ヶ瀞ダムは現在の月山大橋の真下あたりに位置していた。当時の水ヶ瀞ダムは高さ22メートル(24.2メートルという説もある[1])の重力式コンクリートダムで、ダム周辺の地名をとって月山沢ダムとも呼ばれていた。

しかし、完成後間もなく訪れた恐慌の影響から電力需要は伸びず、会社は経営の危機に陥ってしまう。社員への給料は半減し、株式会社でありながら株主への配当もままならなくなった。これに責任を感じたのか、当時の社長自殺に追い込まれた。やがて電気事業国家管理が進み、水ヶ瀞発電所は1939年(昭和14年)、日本発送電に移管。戦後になると日本発送電は分割民営化され、最終的には東北電力に移管された。

再開発

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寒河江川では1967年(昭和42年)の羽越豪雨などの水害を契機に治水対策が検討されており、1972年(昭和47年)に建設省東北地方建設局(現・国土交通省東北地方整備局)は寒河江川総合開発事業の中核として寒河江ダムの建設を計画した。寒河江ダムは高さ112メートルのロックフィルダムで、洪水調節不特定利水かんがい上水道発電を目的とする、建設省(国土交通省)直轄多目的ダム特定多目的ダム)である。寒河江ダムの完成により水ヶ瀞ダムが水没することになるため、東北電力は水ヶ瀞発電所の廃止を決定。その代わり、寒河江ダムの目的のうち発電を担当することになった。本道寺発電所(7万5,000キロワット)・新水ヶ瀞発電所(5,000キロワット)を建設し、当地における水力発電事業の規模を大幅に増強させることにした。

本道寺発電所は寒河江ダム右岸の地下空間に水車発電機を置いた地下式発電所である。寒河江ダムから水を取り入れて発電するが、それは電気が大量に消費される時間帯に集中して行われている。こうした運用をとるため、一定でない発電所からの放流量を調整することを目的として、新水ヶ瀞ダムの建設が計画された。本道寺発電所で発電に使用した大量の水を一時的に貯え、新水ヶ瀞発電所を通じて一定量を放流し続けることで、下流の急激な増減水を抑えるというものである。本道寺・新水ヶ瀞両発電所の合計出力は再開発前の6.3倍に相当する8万キロワットとなり、最上川水系において最大の出力を誇る発電所群となった。なお、その後名称から「新」が取れ、現在は水ヶ瀞ダム水ヶ瀞発電所と呼ばれるようになっている。

周辺

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旧・水ヶ瀞ダム
水ヶ瀞ダム
所在地 左岸:山形県西村山郡西川町
右岸:山形県西村山郡西川町
位置 北緯38度27分06秒 東経140度00分24秒 / 北緯38.45167度 東経140.00667度 / 38.45167; 140.00667
河川 最上川水系寒河江川
ダム湖
ダム諸元
ダム型式 重力式
コンクリートダム
堤高 22.0 m
堤頂長 50.9 m
堤体積 8,000 m3
流域面積 202.5 km2
湛水面積 9.0 ha
総貯水容量 417,000 m3
有効貯水容量 250,000 m3
利用目的 発電
事業主体 東北電力
電気事業者 東北電力
発電所名
(認可出力)
水ヶ瀞発電所
(12,700kW)
施工業者 飛島建設
着手年 / 竣工年 ?1938年
備考 [2][3]
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国道112号道の駅にしかわから寒河江川を上流に向かって進むと、水ヶ瀞ダムを過ぎて寒河江ダムへと至る。水ヶ瀞ダムから寒河江ダムまでの間には、漁業権を持つ最上第二漁業協同組合によって寒河江川本道寺特別釣り場「本道寺釣り道場」が運営されている。ここでは入漁料と引き替えにヤマメニジマスイワナなどを釣ることができる。ただ、6月から11月までの間は、寒河江ダムからのフラッシュ放流が週一回実施される。放流量は小規模ながらも急激に増水するので、サイレンが鳴った時は速やかに退避しなければならない。このほか基本的なことになるが台風集中豪雨の際は増水しているおそれが大きいので、川には近寄らないことである。

脚注

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  1. ^ 『角川日本地名大辞典 6 山形県』より。
  2. ^ a b 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成(1976年度撮影)
  3. ^ 旧・水ヶ瀞ダムの諸元は基本的にダム便覧を出典としているが、『角川地名大辞典 6 山形県』によると堤高24.2メートル、堤頂長52.7メートル、有効貯水容量138,000立方メートルであったという。また、竣工年はダム便覧によると1938年とあるが、『山形県大百科事典』によると水ヶ瀞発電所の着工は1927年、完成は1929年とある。座標については1976年撮影の航空写真から、おおよその位置(月山大橋の中央あたり)を示す。

関連項目

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参考文献

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  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会編著『角川地名大辞典 6 山形県』角川書店、1981年。
  • 山形放送山形県大百科事典事務局編『山形県大百科事典』山形放送、1983年。

外部リンク

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