昭和残侠伝シリーズ
『昭和残侠伝』シリーズ(しょうわざんきょうでんしりーず)は、高倉健主演で、東映によって1965年から1972年にかけて制作されたヤクザ映画シリーズ[1]。全9作[1]。東映東京撮影所製作。『網走番外地』シリーズ、『日本侠客伝』シリーズと並ぶ高倉健の代表的シリーズである[1]。なお、シリーズとされているが各作品の設定やストーリーに繋がりは無い。
概要
[編集]第1作『昭和残侠伝』は太平洋戦争終結直後、第2作以降は戦前の昭和初期を背景に、新旧のヤクザ勢力の対立を描く[1]。高倉健の他に池部良がレギュラー出演し、第4作『昭和残侠伝 血染の唐獅子』からは高倉健=花田秀次郎、池部良=風間重吉と役名が固定化した。おおむね風間は敵対勢力に与しながら秀次郎と友情で結ばれ、最後は二人揃って殴りこみに行くのがパターンになっている[1]。
製作経緯
[編集]前年の『日本侠客伝』第1作で、岡田茂京都撮影所所長と俊藤浩滋は「主人公とそれを支える流れ者」という形に眼をつけた[2]。これなら男同士の情念も描けるし、やはり前年から製作が始まった鶴田浩二主演の『博徒』シリーズには無い形なので「独自のカラーが出せる、毎回これでいこうや」となって、毎回ゲストを出しては途中で殺すパターンが出来上がった[2]。このパターンを発展したのが『昭和残侠伝』シリーズで、流れ者の殴り込みを一本立ちさせたのが1966年から始まる『兄弟仁義』シリーズとなる[2]。「東京撮影所でも高倉健のシリーズを」となって始まったが中身は『日本侠客伝』の時代を終戦直後に変更しただけで、中村錦之助の役が傘を持った池部良に変わっただけであった[2]。『日本侠客伝』シリーズの脚本家・笠原和夫がプロデューサーの吉田達に「オレの盗作じゃないか」とクレームをつけたといわれる[3]。
シリーズ一覧
[編集]- 第1作『昭和残侠伝』(1965年10月1日公開 東映東京撮影所製作)
- 第2作『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』(1966年1月13日公開 東映東京撮影所製作)
- 第3作『昭和残侠伝 一匹狼』(1966年7月9日公開 東映東京撮影所製作)
- 第4作『昭和残侠伝 血染の唐獅子』(1967年7月8日公開 東映東京撮影所製作)
- 第5作『昭和残侠伝 唐獅子仁義』(1969年3月6日公開 東映東京撮影所製作)
- 第6作『昭和残侠伝 人斬り唐獅子』(1969年11月28日公開 東映東京撮影所製作)
- 第7作『昭和残侠伝 死んで貰います』(1970年9月22日公開 東映東京撮影所製作)
- 第8作『昭和残侠伝 吼えろ唐獅子』(1971年10月27日公開 東映東京撮影所製作)
- 第9作『昭和残侠伝 破れ傘』(1972年12月30日公開 東映東京撮影所製作)
脚注
[編集]- ^ a b c d e 金澤誠「【特集】 任侠 高倉健 死んで貰います! 彼が演じ続けた理想の日本人的ヒーローは、時を超えて胸に響く。高倉健は唯一無二のスターなのである。」『東映キネマ旬報 2007年春号 vol.2』2007年、東映ビデオ、2–5頁。(東映キネマ旬報 vol.2)
- ^ a b c d やくざなり 24 - 25頁
- ^ 任侠青春 68頁
参考文献・ウェブサイト
[編集]- 大高宏雄『仁義なき映画列伝』鹿砦社、2002年。ISBN 978-4846306366。
- 笠原和夫『映画はやくざなり』新潮社、2003年。ISBN 978-4104609017。
- 山本哲士『高倉健・藤純子の任侠映画と日本情念:憤怒と情愛の美学』文化科学高等研究院出版局、2015年。ISBN 978-4-938710-94-1。