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小将棋(しょうしょうぎ)は、日本の将棋類の一つであり、二人で行うボードゲーム(盤上遊戯)の一種である。
現在の本将棋の元となったゲームであるが、これらは時代によってさらに2種類に分けられる。
これらのゲームは「平安将棋 →小将棋(大将棋などの要素を吸収)→本将棋(駒の再利用と醉象の削除)」という順番で発展していったと考えられている。
小将棋が遊ばれなくなった理由として、『諸象戯図式』には2つの複合的な理由が掲載されている。
- 戦国時代頃には既に先手必勝・後手必勝となる定跡が完成されていたこと。
- それにより、後奈良天皇が天文年間に醉象の駒の取り除きを命じたこと。
しかし、これらの理由には確かな信憑性が欠けており、またいつ頃駒の再利用が付け加えられたのかなど、不明な部分が多い。
9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | | 香 | 桂 | 銀 | 金 | 王 | 金 | 銀 | 桂 | 香 | 一 | | 飛 | | | 象 | | | 角 | | 二 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 三 | | | | | | | | | | 四 | | | | | | | | | | 五 | | | | | | | | | | 六 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 七 | | 角 | | | 象 | | | 飛 | | 八 | 香 | 桂 | 銀 | 金 | 玉 | 金 | 銀 | 桂 | 香 | 九 |
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小将棋は文献に記述が残るが、競技が途絶え、詳細なルールは伝わっていない。大まかには、現在よく知られた本将棋に醉象を加え、持ち駒再使用ルールを除いたものと考えられている。
- 縦横9マスずつに区切られた将棋盤の上で行う。
- 自分から見て手前の三段を自陣、反対に相手から見て三段を敵陣という。
- 競技者双方が交互に、盤上にある自分の駒を1回ずつ動かす(本将棋とは違い持ち駒という概念はない)。
- 駒は、玉将(玉)または王将(王)・醉象(象)・飛車(飛)・角行(角)・金将(金)・銀将(銀)・桂馬(桂)・香車(香)・歩兵(歩)の10種類あり、それぞれ動きが決まっている。
- 開始時には、右図のように双方の駒を並べる。
- 玉将または王将、金将以外は以下の方法により「成る」ことができる。
- 敵陣の外側にある駒を敵陣内へ移動させたとき。
- 歩兵、香車の場合は一番奥の段にたどり着いたとき。
- 自分の駒を動かすときに動く先に相手の駒があるとき、その駒を取ることができる。
- 本将棋とは違い、相手の駒を取っても自分の持ち駒にすることはできない。
- 勝敗は以下のように決定される。
- 相手の玉将(王将)を追い詰めて王手の回避ができない状態(詰み)にした場合、勝ちとなる。
- 双方が駒を消耗し合い駒枯れになった場合、玉将2枚と成金1枚だけがあったときは成金のある側が勝ちとなる。つまり、玉将以外の駒を持っていた方が勝ちとなる。
- 駒枯れになっても相手の玉将を詰ますことができない場合、合意によって引き分けとなる。
- 太子がいる場合、太子と玉将の両方を取らないと勝ちにならない。
- ○はその位置に動ける。
- \│/─はその線上を他の駒に突き当たらない限りどこまでも動ける。
- ☆はその場所まで飛び越えて動ける。
元の駒
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動き
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成駒
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動き
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玉将(ぎょくしょう)
王将(おうしょう)
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全方向に1マス動ける。
取られると負け[注釈 1]。
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醉象(すいぞう)
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真後ろ以外の方向に1マス動ける。
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太子(たいし)
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玉将と同一。
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飛車(ひしゃ)
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縦横に何マスでも動ける。
飛び越えては行けない。
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龍王(りゅうおう)
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飛車の動きに斜めに1マスの動きを足したもの。
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角行(かくぎょう) |
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斜めに何マスでも動ける。
飛び越えては行けない。
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龍馬(りゅうめ[注釈 2])
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角の動きに縦横に1マスの動きを足したもの。
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金将(きんしょう)
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縦横と斜め前に1マス動ける。
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銀将(ぎんしょう)
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前と斜めに1マス動ける。
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成銀(なりぎん)
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金と同じ。
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桂馬(けいま)
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前へ2、横へ1の位置に移動できる。
その際、駒を飛び越えることができる。
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成桂(なりけい)
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金と同じ。
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香車(きょうしゃ)
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前方に何マスでも動ける。
飛び越えては行けない。
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成香(なりきょう)
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金と同じ。
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歩兵(ふひょう)
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前方に1マス動ける。
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と金(ときん)
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金と同じ。
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上の表では便宜的に成銀を「全」、成桂を「圭」、成香を「杏」と表示している。
朝倉象棋(あさくらしょうぎ)は、小将棋を元にした変則将棋(ローカルルール)のひとつである。後述の発掘を契機に朝倉氏の根拠であった福井市で考案され、現在でもイベントとして対局が行われている。
1973年、一乗谷朝倉氏遺跡から発掘された174枚の将棋の駒から醉象が1枚だけ含まれており、当時は醉象を含んだ将棋が指されていたとされている[1]。
このことから、福井県将棋連盟では醉象を用いた本将棋を「朝倉象棋」と命名し、普及活動を行うようになった。駒の初期配置や醉象・太子のルールは小将棋に準ずるが、その他の詳細なルールは本将棋と共通である。取った駒は玉将か醉象(太子)、またはその両方の駒を除き、持ち駒として再利用できることが小将棋との大きな違いとなる。
2007年4月に女流棋士の山田久美対安食総子で対局が行われた[2]。
- 本将棋に醉象1枚(先後手で2枚)のほか猛豹2枚(先後手で4枚)を加えたもの。したがって駒数は計46枚。
- 江戸時代には、駒の配置に2通り(猛豹の位置が「銀将」の上とされる[3]が、「金将」の上という異説あり[4])の図面(及び並べ方を覚える為の詩歌[5])が現存し、持ち駒の再使用の可否が不明[6]。
- 成りは敵陣三段目以内。不成の選択も可だが、「行き処のない歩香桂」の扱いについては記載が無い。
- 「猛豹」の成駒は「角行」、「醉象」が「太子」だが、「金将」は不成か「飛車」[注釈 3]に成るか書かれた文献(及び小象棋「金将」駒の出土・発掘による現物確認)がない。
- 現代では指せる競技者が不在となっている[7]。
- ^ 醉象が太子に成ると、玉将(王将)と同じ働きを持つ。玉将(王将)が取られても太子が存在する場合、太子が取られるまでは試合を続行する。
- ^ 「りゅうま」とも言う。
- ^ 中将棋(中象棋)では「金将」は成ると「飛車」。さらに大型の将棋では「奔金」。
- ^ 参考資料として、増川宏一『将棋の駒はなぜ40枚か』(集英社、ISBN 4-08-720019-1)の65ページ以降「四二枚型と四〇枚型」をあげておく。醉象以外の中将棋の駒は発掘されておらず、行われていたのが小将棋であったことが強く示唆されている。
- ^ 将棋心地 朝倉象棋
- ^ 山本亨介『将棋庶民史』(朝日新聞社 1972年)
- ^ 西澤太兵衛貞仁『諸象棋図巧(諸象戯図式)』(1696年)元禄六年)
- ^ 「両営玉王之上醉象在。左右金将之首猛豹有。」(伊藤看壽『将棋図式(象戯図式)』(1755年)宝暦五年)
- ^ 木村義徳『持駒使用の謎 日本将棋の起源』(日本将棋連盟 2001年)
- ^ 増川宏一 「ものと人間の文化史 (23‐1) 将棋 (1)」 (法政大学出版局 、1977/11)
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