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本朝麗藻

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
本朝麗藻
編集者 高階積善
発行日 寛弘7年(1010年)頃
ジャンル 漢詩
日本の旗 日本
言語 漢文
ウィキポータル 文学
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本朝麗藻(ほんちょうれいそう)は平安中期の漢詩集高階積善の撰。一条朝末期、寛弘7年(1010年)頃成立。全2巻。

概要

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上巻は春・夏・秋・冬の四時部であるが、現存本は前田家本とその転写しかなく「冬」全てを含む首尾を欠く[1]。下巻は山水・仏事・神祇・山荘・閑居・帝徳・法令・書籍(付勤学)・賢人・讃徳・詩・酒・贈答・餞送・懐旧・述懐の16部に分かれる。六朝風の七言詩の占める比重が頗る大きい。

一条天皇具平親王以下、藤原道長藤原伊周藤原公任大臣卿相をはじめ、大江以言大江匡衡藤原為時源為憲源道済ら寛弘期に活躍した詩人36人の作品150余首(漢詩と詩序を含む)を収録。作品年代の上限は円融朝。具平親王を別にすると藤原伊周(積善の甥)・大江以言(伊周の側近)の作が最も多い。

群書類従・文筆部」所収。

内容

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巻上

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巻首欠

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作品 作者
三月三日侍宴同賦柳発紅桃応製 以春為韻 藤原伊周
暮春於右尚書菅中丞亭同賦閑庭花自落 以心為韻 大江以言
七言暮春於白河同賦春色無辺畔詩一首 以情為韻幷序 源孝道
暮春陪都督大王遊覧法興院同賦庭花依旧開応教 以春為韻幷序 源道済
林花落灑舟 以風為韻幷序 藤原道長
同前 大江以言
同前 高階積善
家長春資貯 藤原懐平
同前 藤原頼通
同前 大江通直
七言暮春侍宴左丞相東三條第同賦度水落花舞応製詩一首 以軽為韻幷序 大江匡衡
同前 藤原道長
同前 藤原伊周
同前 藤原頼通
同前 源明理
同前 紀為基
同前 源孝道
同前 橘為義
同前 藤原為時
同前 藤原広業
花木被人知 以名為韻 具平親王
同前 大江以言
花色照青松 以春為韻 大江以言
花落掩青苔 以閑為韻 高階積善
暮春与金吾眺望施無畏寺上方 藤原伊周
花落春帰路 以深為韻 藤原伊周
同前 藤原輔尹

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作品 作者
四月末全熱 藤原頼通
四月八日灌仏 具平親王
夏夜池亭即事 藤原伊周
雨為水上糸 以浮為韻 源伊頼
同前 藤原為時
同前 菅原宣義
池水繞橋流 以情為韻 源頼定
同前 藤原敦信
絃歌伴月来 藤原懐平
敷簟待客来 便用来字 大江以言
夏日勝秋月 藤原頼通
清夜月光多 以澄為韻 一条天皇
同前 藤原懐平
初蝉纔一声 以心為韻 一条天皇
高閣夜涼多 以風為韻 大江以言
水樹多佳趣 藤原懐平
同前 源道済
秋花先秋開 以芳為韻 具平親王
左右好風来 以涼為韻 藤原道長
同前 橘為義

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作品 作者
早秋賦秋従簟上生 題中取韻 具平親王
七夕佳会風為使 以知為韻 一条天皇
牛女秋意 藤原伊周
七夕於秘書閣同賦織女雲為衣応製 以秋為韻幷序 大江以言

以下欠

巻下

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山水部

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作品 作者
遥山歛暮煙 以晴為韻 具平親王
同前 大江以言
過秋山 具平親王
海不辞水 以深為韻 大江以言
晴後山川清 探得遊字 藤原公任
同前 探得添字 三善為政
与諸文友泛船於宇治川聊以逍遥 藤原伊周
夏日陪於員外端尹文亭同賦泉伝万歳声詩一首 以送為韻幷序 大江以言
同前 藤原為時

仏事部

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作品 作者
大宋国銭塘湖水心寺詩有感継之 源為憲
同諸知己餞銭塘水心寺之作 本韻 藤原頼通
酬和前遠州継大宗国銭塘西湖水心寺詩之什 本韻 源孝道
晩秋遊清水寺上方 藤原道長
同前 藤原有国
冬夜宿法音寺各言志 大江以言
秋日遊東光寺各成四韻 三善為政
晩秋遊弥勒寺上方 源孝道
禅林寺眺望 源道済
石山寺小池蓮 源為憲
歳暮遊園城寺上方 大江以言
七言冬日於雲林院西洞同賦境静少人事詩一首 以賖為韻幷序 源道済
七言暮秋勧学会於法興院聴講法花経同賦世尊大恩詩一首 以深為韻幷序 高階積善
同前 藤原有国
探得富楼那 源俊賢
秋夜対月憶入道尚書禅公 源為憲
贈心公古調詩 具平親王
憐戸部出家応和右丞相之侍婢也 藤原伊周
近来播州書写山中有性空上人者誦法華経為事寤寤不休天台源公聞其高行遠尋相見緇素結縁者寔繁而有徒予伝見諸讃聖徳詩顧身甚恨障礙多縁未遂頂礼綴拙什聊結後縁 具平親王

神祇部

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作品 作者
竹生島 高階積善
三月尽日陪吉祥院聖廟同賦古廟春方暮各分字詩一首 探得分字幷序 大江以言
七言九月尽日侍小野廟各分字詩一首 探得□字幷序 高階積善
同前 寒字 藤原為時
同前 通字 源孝道
海浜神祠 住吉祠 藤原為時

山荘部

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作品 作者
暮秋於左相府宇治別業即事一首 藤原道長
同前 藤原行成
同前 源孝道
偸見左相府宇治作有感 具平親王
白河山家眺望詩 藤原頼通
題玉井山庄 和泉国云云 藤原為時

閑居部

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作品 作者
閑居無外事 源道済
門閑无謁客 藤原為時
閑中日月長 大江以言

帝徳部

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作品 作者
瑤琴治世音 探得遥字 一条天皇
感減四分一之一首(減服御常膳物・減諸国今年調庸及租税 源為憲
仲秋釈奠賦万国咸寧 藤原有国
仲秋釈奠聴講古文孝経同賦天下和平 源為憲

法令部

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作品 作者
七言夏日於左監門宗次将父亭聴講令詩一首 幷序 大江以言

書籍部 付勤学

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作品 作者
書中有往事 以情為韻 一条天皇
偸見御製有感自以次本韻 具平親王
重有 一条天皇
奉読重押情字御製不堪抃舞敬押本韻 具平親王
勤学
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作品 作者
冬日陪於飛香舎第一皇子始読御注孝経応教詩一首 幷序 大江以言
同前 藤原道長
同前 藤原伊周
同前 藤原頼通
同前 源俊賢
同前 藤原輔正
同前 大江匡衡
同前 菅原宣義

賢人部

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作品 作者
七言早夏陪宴同賦所貴是賢才各分一字応製詩一首 探得藤字幷序 大江以言
同前 都字 具平親王

讃徳部

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作品 作者
和高礼部再夢白大保之作 具平親王
同前 藤原為時
夢中同謁白大保元相公 高階積善
客有図孟嘗君像以詩讃其徳者矣余昔読史記知四君之為人同成四韻加篇末 藤原伊周

詩部

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作品 作者
夏日同賦未飽風月思 深字 藤原伊周
同前 藤原頼通
同前 源則忠
同前 大江以言
同前 藤原為時
春日同賦閑居唯友詩 以心為韻 藤原為時

酒部

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作品 作者
唯以酒為家 情字 具平親王
観酔不如秋 心字 高階積善
酔時心勝醒時心 得酣字 藤原輔尹
寒近酔人消 題中 大江以言

贈答部

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作品 作者
閑中聞左親衛員外将軍両度遊宇治川聊述中懐偸呈下風 藤原頼通
覲謁之後以詩贈太宋客羌世昌 藤原為時
重寄 藤原為時
感勘解藤相公賢郎茂才蒙課試之綸旨聊呈鄙懐 源孝道
美州前刺史再三往復訪以予病不堪感懐訪以答謝 藤原有国
頃者侍中御史中丞至囚門前近駐華轂普見囚徒与食療飢好事之輩以詩歎美予伝以聞之継其末 本韻 源為憲
奉和藤賢才子登天台山之什 本韻 源為憲
戸部尚書重賦丹字見贈妙詞吟咏反覆欲罷不能愗課庸駑以盍余意 具平親王
和戸部尚書同賦寒林暮鳥帰 本韻 具平親王

餞送部

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作品 作者
七言暮春陪員外藤納言書閣餞飛州刺史赴任応教詩一首 幷序 大江以言
贈飛州高使君赴任詩 藤原伊周
迂陵島人感皇恩詩 源為憲
高麗蕃徒之中有新羅国迂陵島忻競悦之者其文不優頗知詩篇臨別之日予与一篇 藤原有国

懐旧部

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作品 作者
秋日会宣風坊亭与翰林善学士吏部橘侍郎御史江中丞能州前刺史参州前員外源刺史藤茂才連貢士懐旧命飲 藤原有国
読諸故人旧遊詩有感 具平親王
初冬感李部橘侍郎見過懐旧命飲 幷序 藤原有国
題故工部橘郎中詩巻 具平親王
斎院相公忌日令修諷誦 藤原伊周
秋日到入唐寂照上人旧房 藤原伊周
余近曽有到寂上人旧房之作左丞相尊閤忝賜高和聊次本韻敬以答謝 藤原伊周
冬日往詣般若寺見故蔵闍梨旧房中心之感触緒難禁逐書所懐寄覚上人 藤原頼通
秋日登天台過故康上人旧房 藤原有国
去年春中書大王桃花閣命詩酒左尚書藤員外中丞惟成菅中丞資忠内史慶大夫保胤共侍席内史在大王属文之始以儒学侍縦容尚矣七八年来洛陽才子之論詩人者謂三人為先鳴当于其時或求道一乗或告別九原西園雪夜東平花朝莫不閣筆廃吟眷恋惆悵廼者研精之余披覧去春之作其文爛然存其人忽然去矣逐製懐旧之瓊篇忝賜惟新之玉章善以為翰墨之庸奴藩邸之旧僕而已因之為時一読腸断再詠涙落偸抽短毫敬押高韻 藤原為時

述懐部

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作品 作者
向西京過孔門口号 藤原有国
除名之後初復三品重陽之日得倍宴席情感所催欲罷不能聊述鄙懐呈諸知己 藤原有国

「日本古典全集」, 国立国会図書館デジタルコレクション国書データベース及び国立公文書館デジタルアーカイブを基に作成

出典

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参考文献

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  • 今浜通隆『本朝麗藻全注釈 1~3』(新典社注釈叢書)
  • 川口久雄・本朝麗藻を読む会編『本朝麗藻簡注』(勉誠社)
  • 柳沢良一『本朝麗藻総索引』(勉誠社)
  • 大曾根章介・佐伯雅子編『校本本朝麗藻』(汲古書院)

関連項目

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外部リンク

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