松尾由美
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1960年11月27日 -)は日本のSF作家、推理作家。石川県金沢市出身。
(まつお ゆみ、経歴・人物
[編集]金沢大学附属中学校・金沢大学附属高等学校を経て、お茶の水女子大学文教育学部外国文学科英文学専攻卒。日本推理作家協会、本格ミステリ作家クラブ、日本文芸家協会に所属。夫はSF作家の柾悟郎[1]。
高校時代はラジオ「欽ドン」常連有名人。単行本『欽ドン』パート5や6に自画像などが掲載されている。
大学時代は「お茶水女子大学SF研究会」に所属。卒業後、7年間のメーカー勤務を経て小説を書きはじめる。1989年、柾との合作「エモーショナル・レスキュー」(お茶の水女子大学SF研究会『コスモス』に掲載)でSFファンジン大賞・創作部門を受賞。
1989年、『異次元カフェテラス』を刊行してデビュー。その二年後には妊婦ばかりが住む街を舞台にしたSFミステリ『バルーン・タウンの殺人』で第17回ハヤカワ・SFコンテスト入選を果たし、1994年に同名の作品集を刊行して注目を集める。
『安楽椅子探偵アーチー』シリーズや、『バルーン・タウン』シリーズ等に見られるユニークな設定とユーモラスな作風とで知られる。
自筆プロフィールには「肩書きは作家のほか、ルー・リード研究家(自称)、ニューヨーク・ドールズの伝記翻訳家(版元募集中)」とある。作中で自己の趣味を押し出すことは少ないが、登場するネコの名前に往年のドイツオペラ歌手のファーストネームをズラリとつけた作品が存在する。
作品リスト
[編集]単著
[編集]「バルーン・タウン」シリーズ
[編集]- バルーン・タウンの殺人(1994年1月 ハヤカワ文庫JA / 2003年12月 創元推理文庫)
- バルーン・タウンの手品師(2000年10月 文藝春秋 / 2004年7月 創元推理文庫)
- バルーン・タウンの手毬唄(2002年9月 文藝春秋 / 2005年5月 創元推理文庫)
「安楽椅子探偵アーチー」シリーズ
[編集]- 安楽椅子探偵アーチー(2003年8月 創元クライム・クラブ / 2005年10月 創元推理文庫)
- 安楽椅子探偵アーチー オランダ水牛の謎(2006年10月 創元クライム・クラブ / 2009年7月 創元推理文庫)
「ハートブレイク・レストラン」シリーズ
[編集]- ハートブレイク・レストラン(2005年11月 光文社 / 2008年7月 光文社文庫)
- ハートブレイク・レストラン ふたたび(2015年6月 光文社文庫)
- さよなら ハートブレイク・レストラン(2016年5月 光文社文庫)
「ニャン氏」シリーズ
[編集]- ニャン氏の事件簿(2017年2月 創元推理文庫)
- ニャン氏の童心(2018年11月 創元推理文庫)
- ニャン氏の憂鬱(2020年8月 創元推理文庫)
その他
[編集]- 異次元カフェテラス(1989年5月 アルゴ文庫)
- ブラック・エンジェル(1994年8月 光風社出版 / 2002年5月 創元推理文庫)
- ピピネラ(1996年2月 講談社 / 2005年1月 講談社文庫 ※全面改稿)
- ジェンダー城の虜(1996年8月 ハヤカワ文庫JA)
- マックス・マウスと仲間たち(1997年10月 朝日新聞社)
- 瑠奈子のキッチン(1998年8月 講談社)
- おせっかい(2000年6月 幻冬舎 / 2006年2月 新潮文庫)
- 銀杏坂(2001年9月 光文社 / 2004年1月 光文社文庫)
- スパイク(2002年11月 光文社 / 2004年11月 光文社文庫)
- 雨恋(2005年1月 新潮社 / 2007年8月 新潮文庫)
- 【改題】雨の日のきみに恋をして(2016年10月 双葉文庫)
- いつもの道、ちがう角(2005年12月 光文社文庫)
- 九月の恋と出会うまで(2007年 新潮社 / 2009年8月 新潮文庫 / 2016年2月 双葉文庫)
- 人くい鬼モーリス(2008年 理論社ミステリーYA!)
- 【改題】モーリスのいた夏(2011年9月 PHP文芸文庫)
- フリッツと満月の夜(2008年4月 ポプラ社)
- 【改題】ぼくと猫と満月の夜(2012年5月 ポプラ文庫ピュアフル ※短編追加)
- 煙とサクランボ(2011年 光文社 / 2014年4月 光文社文庫)
- 花束に謎のリボン(2012年2月 光文社文庫)
- わたしのリミット(2013年9月 東京創元社 / 2015年9月 創元推理文庫)
- サトミとアオゲラ探偵(2018年10月 ポプラ文庫)
- 嵐の湯へようこそ!(2021年12月 角川文庫)
アンソロジー
[編集]「」内が松尾由美の作品
- 名探偵の饗宴(1998年3月 朝日新聞社 / 2015年3月 朝日文庫)「バルーン・タウンの裏窓」
- 恋する男たち(1999年1月 朝日新聞社 / 2005年3月 新潮文庫)「マンホールより愛をこめて」
- 本格ミステリ01(2001年7月 講談社ノベルス)「オリエント急行十五時四十分の謎」
- 【分冊・改題】透明な貴婦人の謎(2005年1月 講談社文庫)
- 危険な関係 女流ミステリー傑作選(2002年5月 ハルキ文庫)「恐ろしい絵」
- Little Selections 21 わたし(2003年4月 ポプラ社)「バルーン・タウンの殺人」
- ザ・ベストミステリーズ 2003 推理小説年鑑(2003年7月 講談社)「バルーン・タウンの手毬唄」
- 【分冊・改題】殺人の教室 ミステリー傑作選(2006年4月 講談社文庫)
- 本格ミステリ04(2004年6月 講談社ノベルス)「走る目覚まし時計の問題」
- 【改題】深夜バス78回転の問題(2008年1月 講談社文庫)
- ザ・ベストミステリーズ 2004 推理小説年鑑(2004年7月 講談社)「走る目覚まし時計の問題」
- 【分冊・改題】犯人たちの部屋 ミステリー傑作選(2007年11月 講談社文庫)
- ファンタジーの宝石箱 Vol.3 タイム・バード(2004年10月 全日出版)「うっかり者の小鬼」
- 最後の恋(2005年12月 新潮社)「わたしは鏡」
- 【改題】 最後の恋 つまり、自分史上最高の恋。(2008年11月 新潮文庫)
- ミステリーは仕事する(2007年3月 ポプラ社)「なぜ、助産婦に頼まなかったのか」
- 不思議の足跡(2007年10月 光文社カッパ・ノベルス / 2011年4月 光文社文庫)「ロボットと俳句の問題」
- NOVA 8 書き下ろし日本SFコレクション(2011年8月 河出文庫)「落としもの」
- 私がデビューしたころ ミステリ作家51人の始まり(2014年6月 東京創元社)※エッセイアンソロジー「三度目の正直?」
- ベスト本格ミステリ2016(2016年6月 講談社ノベルス)「不透明なロックグラスの問題」
- 【再編集・改題】ベスト本格ミステリ TOP5 短編傑作選002(2019年2月 講談社文庫)
- アンソロジー 隠す(2017年2月 文藝春秋)「誰にも言えない」
- 惑―まどう― アンソロジー(2017年7月 新潮社 / 2022年2月 実業之日本社文庫)「惑星Xからの侵略」
- 怪を編む ショートショート・アンソロジー(2018年4月 光文社文庫)「穴を掘りに」
- ベスト本格ミステリ2018(2018年6月 講談社ノベルス)「袋小路の猫探偵」
- 【再編集・改題】ベスト本格ミステリ TOP5 短編傑作選004(2019年6月 講談社文庫)
- アンソロジー 噓と約束(2019年4月 光文社)「パスタ君」
- 御城の事件 〈東日本篇〉(2020年3月 光文社時代小説文庫)「紙の舟が運ぶもの」
- 11の秘密 ラスト・メッセージ(2021年12月 ポプラ社)「みきにはえりぬ」
メディア・ミックス
[編集]映画
[編集]- 九月の恋と出会うまで(2019年3月1日公開、配給:ワーナー・ブラザース映画、監督:山本透、主演:高橋一生・川口春奈)[2]
脚注
[編集]- ^ 権田萬治・新保博久監修『日本ミステリー事典』(新潮社)より
- ^ “高橋一生×川口春奈「九月の恋と出会うまで」予告編公開、主題歌はandropの新曲”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2018年11月19日) 2022年7月8日閲覧。