板垣峠
板垣峠 | |
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所在地 | 福井県越前市、同今立郡池田町 |
座標 | 北緯35度52分59.1秒 東経136度18分25秒 / 北緯35.883083度 東経136.30694度座標: 北緯35度52分59.1秒 東経136度18分25秒 / 北緯35.883083度 東経136.30694度 |
標高 | 420 m |
山系 | 越前中央山脈(越前中央山地)[注釈 1] |
通過路 | 国道417号 |
プロジェクト 地形 |
板垣峠(いたがきとうげ)は、福井県越前市と同県今立郡池田町を隔てる峠である。
概要
[編集]国道417号が通る板垣トンネルの標高は349mとされているが[注釈 2]、『コンサイス日本山名辞典』では板垣峠の標高を420mとしている[2][3]。また、1909年(明治42年)に福井県が出版した『若越小誌』では461mとしている[4]。なお、越前市が発足する前に存在した今立郡岡本村の『岡本村史』、岡本村を編入した今立町の『今立町誌』では板垣峠は520mの地点(鞍部)を通過するとしている[5][6]。
『岡本村史』によると、「村の東端には地図にみえる五八三米の山麓を北に、ついで五八〇米・五五二米と三個の山麓が南北に並立していて(中略)、武生盆地から月尾谷を通って、足羽川渓谷地方、即ち池田村方面に向う道路の板垣峠は、この最南の山頂を南に下った鞍部、五二〇米の地点を通過している。」と記す[7][注釈 3]。『今立町誌』では「粟田部と池田郷を結ぶ板垣峠は南坂下から登った五二〇メートルの鞍部を通っている。」と記す[8]。
板垣峠に至る道路を「板垣坂」と呼ぶが[9]、板垣峠自体を「板垣坂」とも称した[10][11]。
元々は武生町から今立郡北日野村、粟田部村、岡本村、上池田村稲荷谷口、大野郡下味見村横越、足羽郡上宇坂村蔵作を経て下宇坂村小和清水で美濃街道へ至る「池田道」が通っており[12]、岡本村(現・越前町東部)と上池田村(現・池田町西部)の間の峠として板垣峠(板垣坂)が存在した。当時の池田道(板垣坂)は、月尾谷と北隣の水間谷を隔てる分水嶺である「月尾山肢」の中腹に沿った後、太田山(大谷山)の東側の緩傾斜地を通り、板垣峠へ至るルートを採っており[13][14]、1897年(明治30年)、池田道の改修で板垣坂を切り下げて車道とした[15]。
1936年(昭和11年)、大谷山の西の鞍部に鳥越隧道(延長122.5m、幅員3.7m、限界高3.0m)が[16]、板垣峠の直下に板垣隧道(延長345.0m、幅員3.9m、限界高3.5m)が[17]それぞれ整備されると、鞍谷を経由する現在のルートが主流となり、板垣坂は廃れていった[18]。
1960年(昭和35年)に一般県道今立本巣北方線に指定され、1976年(昭和51年)に主要地方道29号鯖江美山線へ昇格、1981年(昭和56年)に一般国道417号に指定されている。
現在の板垣トンネルは1936年(昭和11年)に板垣隧道として開通し、52年後の1988年(昭和63年)に拡張された。
道路状況
[編集]峠付近は片側1車線の確保された国道らしい道路である。トンネルには歩道は整備されていないが、車両同士が離合するには十分な道幅が確保されている。越前市と池田町を結ぶ3路線の中で唯一の国道であり、他の路線以上に交通の往来の激しい峠である。峠付近には越前市側にさらに鳥越トンネルが貫いており、付近の山の険しさを物語っている。
本峠と鳥越トンネルをバイパスする板垣坂バイパスが事業中であり、2024年11月24日開通予定と発表された。
隣接する峠
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “位置・面積、地形、気候”. 越前市 (2023年12月6日). 2024年11月1日閲覧。
- ^ 徳久球雄、三省堂編修所 編『コンサイス日本山名辞典』三省堂、1978年7月15日、42頁。doi:10.11501/12191707。
- ^ 徳久球雄、三省堂編修所 編『コンサイス日本山名辞典』(修訂版)三省堂、1979年3月20日、42頁。doi:10.11501/12197233。
- ^ 『若越小誌』、17頁
- ^ 『岡本村史』本篇、4頁
- ^ 『今立町誌』第一巻 本編、1063頁
- ^ 『岡本村史』本篇、4頁。
- ^ 『今立町誌』第一巻 本編、1063頁。
- ^ 『岡本村史』本篇、5頁「岡本村全図」。
- ^ 井上翼章 編輯、日置謙 校訂『越前国名蹟考』 巻之四、福井 二書房出版、1902年9月17日、446,464頁。doi:10.11501/764505。
- ^ 福井県立図書館、福井県郷土誌懇談会 共編『越前国名蹟考』福井県郷土誌懇談会〈福井県郷土叢書第五集〉、1958年3月31日、349,363頁。doi:10.11501/3018669。
- ^ 「縣費ニ係ル土木費支出規則(明治28年8月福井県令第40号)」『福井県会議事提要』下巻、福井県、1897年11月19日、5頁、doi:10.11501/789994。
- ^ 『岡本村史』本篇、4-5頁。
- ^ 『今立町誌』第一巻 本編、937頁 図2-40「明治42年(2万分の1)測図」、938頁 図2-41「明治42年 5万分の1」。
- ^ 『若越小誌』、450頁
- ^ 『日本全国隧道リスト』、344頁
- ^ 『トンネル通覧』日本道路公団技術部技術課〈トンネル技術資料 001〉、1964年12月12日、182,185頁。doi:10.11501/1697967。
- ^ 『今立町誌』第一巻 本編、930頁。
参考文献
[編集]- 福井県 編『若越小誌』(復刻)歴史図書社、1973年6月20日(原著1909年9月10日)。doi:10.11501/9536469。
- 小葉田淳 編『岡本村史』 本篇、岡本村史刊行會、1956年9月29日。doi:10.11501/3012154。
- 今立町誌編さん委員会 編『今立町誌』 第一巻 本編、今立町役場、1982年3月31日。doi:10.11501/9538788。