栗戦書
栗 戦書 | |
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2022年 | |
生年月日 | 1950年8月30日(74歳) |
出生地 | 中華人民共和国 河北省平山県 |
出身校 | 河北師範大学夜間大学 |
所属政党 | 中国共産党 |
称号 | 高級工商管理修士 |
配偶者 | 王金凤 |
子女 |
栗潛心 栗多习 |
親族 | 栗群(甥) |
在任期間 | 2018年3月17日 - 2023年3月10日 |
国家主席 | 習近平 |
在任期間 | 2017年10月25日 - 2022年10月23日 |
党総書記 | 習近平 |
在任期間 | 2012年11月15日 - 2022年10月23日 |
党総書記 | 習近平 |
在任期間 | 2012年11月15日 - 2017年10月25日 |
党総書記 | 習近平 |
在任期間 | 2012年9月1日 - 2017年10月30日 |
党総書記 | 習近平 |
栗 戦書 | |
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各種表記 | |
拼音: | Li Zhanshu |
和名表記: | りつ せんしょ |
発音転記: | リー・チャンシュー |
栗 戦書(りつ せんしょ、英語: Li Zhanshu、リー・チャンシュー、1950年8月30日 - )は、中華人民共和国の政治家。習近平政権で第10代全国人民代表大会常務委員長を務めた。党内序列は習近平党総書記(最高指導者の役職)・李克強国務院総理(首相の役職)に次ぐ第3位が最高であった。
経歴
[編集]河北省平山県生まれ。河北師範大学夜間大学政教系を卒業、中国共産党中央党校党建理論養成班、同通信講座学院経済専攻、中国社会科学院在職大学院金融貿易系商業経済専攻在職大学院生課程班、ハルビン工業大学高級管理人員工商管理専攻にて学習し、高級工商管理修士の学位を保持している。
1971年から翌年にかけて河北省石家荘地区財貨学校物価専攻で学び、1972年に同地区商業局弁公室に勤務し幹事や副主任を務める。1975年4月に中国共産党に入党、1976年に同地区党委員会弁公室資料科に移り、幹事と科長を歴任する。1983年から1985年にかけて河北省無極県党委書記代理、書記を務める。この時期に隣接する正定県の書記を務めた習近平と親交を深め、当時の上司と関係がうまくいかなかった習に対して、栗が相談にのったこともあったという[1][2]。1985年、石家荘地区に戻り、党委副書記・行政公署専員を務める。1986年、中国共産主義青年団河北省委員会書記に就任。1990年、河北省承徳地区党委副書記・行政公署専員となる。1993年、河北省党委常務委員・秘書長に昇進。1997年、河北省党委常務委員・農村工作領導小組副組長となる。
1998年に陝西省党委員会に移り、常務委員・農村工作領導小組副組長・弁公室主任を務める。2000年、陝西省党委常務委員・組織部長となる。2002年1月、陝西省党委常務委員兼西安市党委書記となり、4月には西安市人民代表大会常務委員会主任も兼務する。5月、陝西省党委副書記に昇格(西安市党委書記兼人代常務委員会主任の兼職はそのまま。)。同年11月に第16回党大会で中央候補委員に選出された。
2003年12月、黒竜江省党委副書記に転出。翌年9月、黒竜江省政府党組副書記を兼務。さらに10月には黒竜江省副省長を兼任する。2007年10月、第17回党大会で中央候補委員に再選された栗は、同年12月25日、黒龍江省省長代理となり、翌年1月27日、第11期黒龍江省人代第1回会議で正式に省長に選出される。
2010年8月、貴州省党委書記に転出。9月には同省人代常務委員会主任を兼務する。2012年7月18日、党中央の決定により、貴州省党委書記を解任されて党中央弁公庁に移る。当時の最高指導者であった胡錦濤党総書記と同じ中国共産主義青年団出身で、胡錦濤主席の信頼が厚いとされる[3]栗が中央弁公庁に転出したことについては、次期最高指導者に内定している習近平政治局常務委員が派閥を超えて指名したとの説がある[1]。栗は同庁で常務副主任を務めた後、同年9月1日、主任に昇格した[4][5]。翌月23日には中央直属機関工作委員会書記を兼任する[6]。
同年の第18回党大会で11月14日には中央委員に、11月15日には中央政治局委員、中央書記処書記に選出される。
同年12月、党中央保密委員会主任を栗戦書中央弁公庁主任が兼任していることが公になった[7][8]
2014年3月、党国家安全委員会弁公室が党中央弁公庁内に新たに設置され、栗戦書主任が弁公室主任を兼ねることが明らかになった[9]。
2017年10月25日の第十九次中央委員会第一次全体会議(第19期1中全会)で政治局常務委員に選出された。
2018年3月、全国人民代表大会で第10代全人代常務委員長に選ばれた[10]。
2018年9月9日に北朝鮮の平壌で行われた朝鮮民主主義人民共和国建国70周年記念行事に出席し、従来の大陸間弾道ロケット(ICBM)の披露の代わりに経済建設が強調された北朝鮮の軍事パレードを閲兵し、隣の朝鮮労働党の金正恩委員長と手を取り合って歓声に応え、会談で栗戦書氏は習近平総書記の親書を渡して非核化と経済重視の新戦略路線を評価し、金委員長も中国の経験に倣って経済発展を推し進めると応じた[11][12]。また、5年ぶりに行われ、中国語の表記など中朝友好の演出が盛り込まれたマスゲームも李雪主夫人を伴った金正恩と夜に観覧した[13]。
2020年8月12日、ニューヨーク・タイムズは栗戦書氏の娘の栗潜心(38歳)が、パートナーと思われる35歳のシンガポールの豪商チュア・ファ・ポーと共に、数億香港ドルを上回る巨額の富を香港に築いていることを報じた[14]。栗潜心は、30歳に過ぎない2013年に税金避難地で有名なイギリス領ヴァージン諸島において成立させた会社の名義を使い、約1500万アメリカ合衆国ドルの値段で香港の赤柱に高級住宅を購入していた。
2022年10月23日の第二十次中央委員会第一次全体会議(第20期1中全会)にて政治局常務委員から外れ引退[15]。
家族
[編集]大叔父:栗再温-中央直属機関工作委員会副主任、中華全国総工会書記処書記、山東省副省長、山東省委員会書記処書記など歴任したが文革中に迫害死、のちに名誉回復[16][17][18][19][20]。
父親、父親の兄弟なども共産党関係者の典型的な「紅色家庭」[21]。
人物
[編集]- 名前は共産党員の父が国民党との内戦で戦死した弟を思い、戦地からの手紙を意味する「戦地家書」から名付けられた[22]。
- 祖父が省部級を務めている高級幹部であるので紅後代(紅三代)にあたる[23]。
- 出自・経歴、要職への抜擢から、陝西幇に数えられ、かつ陝軍の代表的人物とされる。
- 河北省で共青団書記の経歴もあり、胡錦濤総書記が評価し省書記に昇任させたことから団派とされることが多いが、共青団中央書記処の書記や副書記などを務めたこともなく、李克強・李源潮・劉延東らとは色合いを異にする。
- 習近平が20歳代で河北省のある県で昇格した書記としての活動の際(1983-85年頃)、頼りにしたのが隣県の書記である栗戦書だったという[24]。よく酒を飲んだとも、当時の上司である党省書記の高揚との関係がうまくいない習近平からの相談を受けていたともいう[2]。
- 河北省・陝西省・黒竜江省・貴州省と地方ばかり30数年渡り歩き実績を積んで来た中央政界とは縁がない官員であった。
- 抜擢時の年齢62歳では省書記であるとあと数年で引退目前という時期である。
- 2011年5月8日から4日間、習近平が政治局常務委員、中央書記局書記として貴州省視察に訪れた。栗戦書は省書記として全行程に同行し、習近平と並んで別の「長談」(長話)をしたと伝えられる[25]。そしておよそ1年後の7月に弁公庁副主任に抜擢される。「長談」には、転じた意味があり、それは「先行きの相談」だ。
- 中央政界では無名だったため、2012年7月の弁公庁副主任への抜擢、9月の令計画主任失脚による襲継は驚きを以って周囲に受け止められ、第18期中央委員会全体会議における政治局委員および中央書記処書記への選出・任命の一連の流れも含め「黒馬」(ダークホース)と評された。
- 黒竜江省省長選出時の演説において「三不」(三ない)という自らがずっと想ってきた「人としての規範」を表明した。つまり、「苛めない、狡くない、怠けない」である[25]。
- 2009年の省長在任当時、張徳江政治局委員・副総理が派遣された国家的産業事故であった黒竜江省鶴崗市の炭鉱ガス爆発事故[26]が発生している。事故の検討会議の席上で、「私には重要な指導責任がある」と述べ、事故の責任を認めたが、結果、彼に対しての処罰などはなかった[25]。
- 正規の学歴はないが独学で、詩の創作を数十年続けておりその数、数百首にのぼるという[25]。
- ボクシングはできないがボクシング観戦が好きで、また京劇の一節も唄えないが聴くのは好きとのこと[25]。
- 自己の性格を分析して両面性があるとし、ある時は豪放だと思えるがまたある時は意気地が無いとする[25]。
役職
[編集]- 第19期中国共産党中央政治局常務委員会委員
- 第18期・第19期中国共産党中央政治局委員
- 党中央国家安全委員会副主席
- 党中央保密委員会主任
- 元中国共産党中央弁公庁主任
- 党中央国家安全委員会弁公室主任
- 第16・17期中央候補委員
- 第18期・第19期中央委員
脚注
[編集]- ^ a b 矢板明夫「中国指導者の登竜門・次期政権の“大番頭”ポスト 栗戦書氏浮上 習近平氏、派閥超え直接指名」『産経新聞』2012年7月25日付記事(2012年9月3日閲覧)。
- ^ a b 矢板明夫『習近平 なぜ暴走するのか』p.209 文藝春秋 文春文庫 2014年9月10日 ISBN 978-4-16-790193-6 (2016年8月9日再閲覧)
- ^ 成沢健一「中国:総書記側近に胡主席派…新指導部の安定狙い」『毎日新聞』2012年9月1日付記事(2012年9月3日閲覧)。
- ^ 栗戦書氏が中央弁公庁主任に 「人民網日本語版」2012年9月2日(2016年8月9日閲覧)
- ^ 栗戦書氏、『習総書記』最側近に=党中央弁公庁主任に就任-中国時事ドットコム、2012年9月1日付配信記事(2012年9月3日閲覧)。
- ^ 习近平大内总管栗战书兼任中直工委书记 配信日時不記載(但し内容より2012年10月23日以降) 希望之声 (2016年8月8日閲覧)以下筆者補足:中共中央直属機関工作委員会とは、中央委員会に直属の党機関により構成する会議体である。横断的な調整協議機能を持つ。本来他の直属機関と同列の一機関の長でしかない中央弁公庁主任が委員会書記となることで他の機関に対して指導力を担保するための装置となる重要な組織である。
- ^ 栗战书兼任 中央保密委员会主任 晶报 多媒体数字版、2013年1月23日付配信記事(2016年7月6日閲覧)。
- ^ 胡前主席の側近、陳世炬氏が党中央の要職につく=前政権との良好関係示す Record China 2016年4月17日 (2016年8月9日閲覧) 「同機関(注:中央保密委員会)は党指導者の秘書的業務を行っており、大きな政治的権限を持つ」との記述。
- ^ 港媒:习近平〝左膀〞出炉 栗战书掌国安办主任 新唐人電視台ニュースサイト、2014年3月7日付配信記事(2016年7月5日閲覧)。
- ^ “習氏、指導体制を強化 副主席に「盟友」王岐山氏”. 東京新聞. (2018年3月18日) 2018年3月19日閲覧。
- ^ “北朝鮮が建国70年の軍事パレード、弾道ミサイル登場せず”. ロイター. (2018年9月9日) 2018年9月9日閲覧。
- ^ “金正恩氏「米国も相応の行動を」 中国共産党幹部と会談”. 朝日新聞. (2018年9月9日) 2018年9月10日閲覧。
- ^ “北朝鮮で5年ぶりマスゲーム 中国寄りの演出目立つ”. FNN. (2018年9月10日) 2018年9月10日閲覧。
- ^ Stevenson, Alexandra; Forsythe, Michael (2020年8月12日). “Luxury Homes Tie Chinese Communist Elite to Hong Kong’s Fate” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2020年8月13日閲覧。
- ^ “「定年前引退」複数、発表名簿に見る次期外相レース 中国共産党大会”. 朝日新聞. (2022年10月23日) 2022年10月25日閲覧。
- ^ 党中央直属機関工作委員会(zh) 历任副书记 の名簿に 栗再温(1952.07-1955.05)の記述。楊尚昆主任の時期に当たる。
- ^ 宮﨑正弘『中国を動かす百人 習近平政権の重要人物』p.126 双葉社 2012年12月23日(2016年7月25日閲覧)
- ^ 栗再温「中華全国総工会書記処書記」の記述
- ^ 副省长栗再温被迫害致死 2月17日付の項に記述 大眾網 2009年8月19日 (2016年7月25日閲覧)
- ^ 栗战书:寸心的表白——缅怀叔父栗政通烈士 红歌会网 2013年5月14日 来源:人文贵州 原文:「河北日報」2005年6月22日本人執筆。題名和訳「中国人民抗日戦争勝利60周年紀念に際し、謹んでこの文を扶眉戦役中犠牲となりし叔父と、中国革命の勝利・民族の解放・人民の利益のために献身の烈士らに捧ぐ」の文中、祖父に関しての記述。
- ^ 栗战书:寸心的表白——缅怀叔父栗政通烈士 红歌会网 2013年5月14日 来源:人文贵州 原文:「河北日報」2005年6月22日本人執筆。題名和訳「中国人民抗日戦争勝利60周年紀念に際し、謹んでこの文を扶眉戦役中犠牲となりし叔父と、中国革命の勝利・民族の解放・人民の利益のために献身の烈士らに捧ぐ」の文中、父、父の兄弟らに関しての記述。
- ^ 政策実行力を重視 新体制、側近で固め 新常務委員の横顔 毎日新聞ニュース 来源 毎日新聞 2017年10月26日 東京朝刊
- ^ 峯村健司『十三億分の一の男 中国皇帝をめぐる人類最大の権力闘争』小学館 2015年3月25日 初版第二刷 ISBN 978-4-09-389754-9 pp.288,289インタビューにおける有力紅二代団体の代表者胡木英の「(紅後代は)共産党の創設にかかわった革命家の子孫」発言に拠る
- ^ 中澤克二『習近平の権力闘争』p.128 日本経済新聞出版社 2015年9月1日 ISBN 978-4-532-35656-9(2016年7月19日閲覧)
- ^ a b c d e f 栗战书:退休前突然高升的三不官员掲載時期不詳 大紀元徳国生活網 原文 新紀元周刊292期 張海山記者
- ^ 黑龙江矿难已造成104人遇难 4名被困矿工位置确定2009年11月23日 中新网 来源:中国新闻网 (2016年7月28日閲覧)
参考文献
[編集]- 高橋博・21世紀中国総研編『中国重要人物事典』(蒼蒼社、2009年)
- 栗战书出任黑龙江省代省长 财经网 2007年12月26日
- 十八大人物之栗战书:多重历练的“大内总管” 2012年9月3日 来源:大公网
外部リンク
[編集]- 栗戦書氏略歴
- 中国領導幹部資料庫--栗戦書--
- 中国共产党第十八届中央委员会委员名单--新華網--2012年11月14日付配信記事
- 中国共产党第十八届中央委员会第一次全体会议公报--新華網--2012年11月15日付配信記事
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