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椿三十郎 (2007年の映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
椿三十郎
監督 森田芳光
脚本 黒澤明
菊島隆三
小国英雄
原作 山本周五郎
日日平安
製作 島谷能成
千葉龍平
早河洋
永田芳男
製作総指揮 角川春樹
出演者 織田裕二
豊川悦司
松山ケンイチ
鈴木杏
村川絵梨
佐々木蔵之介
風間杜夫
西岡徳馬
小林稔侍
中村玉緒
藤田まこと
音楽 大島ミチル
撮影 浜田毅
編集 田中慎二
配給 東宝
公開 日本の旗 2007年12月1日
上映時間 119分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 12億円[1]
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椿三十郎』(つばきさんじゅうろう)は、山本周五郎の小説『日日平安』を原作に、1962年に公開された黒澤明監督『椿三十郎』を元に2007年に製作された日本映画2007年12月1日公開。

概要

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1962年公開の映画『椿三十郎』の脚本(黒澤明、菊島隆三小国英雄による)の再映画化。公開前年に『武士の一分』が41億円の興行収入を上げ、時代劇が商売になると踏んだ角川春樹は、『用心棒』と『椿三十郎』の2作品をリメイクするため、黒澤プロダクションから原作権を購入し[2]2006年7月12日に製作を発表した。同年秋から撮影を開始し、12月1日にクランクアップした。

本作は、前作の脚本をそのまま使用(一切加筆訂正はされていない)、モノクロとカラーの画面の差も含めて、各シーンを現代感覚を取り入れて再構築した。同じ脚本が使用された理由は、監督に起用された森田芳光が、「あれだけ完璧な脚本をどうやって変えるんですか。変えてしまえば逃げることになる。演出でアレンジするしかない」と角川にオリジナル脚本の使用を提案し、角川が応じたためである。森田は、周囲には「黒澤を超えるとか超えないとかじゃない」「自分たちがベストを尽くせばいい」と平静を装っていたが、実際は撮影台本の一頁目に「絶対超える」と大書きし、他の頁には「どのシーンにも必ずオリジナルのカットを入れる」と書き込むなど、黒澤への対抗心を剥き出しにして撮影に臨んだ。そのため黒澤版より20分長い上映時間となった[3]。黒澤明演出での有名なクライマックスの決闘シーンは、本作では細かいカット割とスローモーションを使った新たな演出がされている。これは海外上映を考慮したお正月映画であるため、R15指定にしたかった角川の要望によるものである[1]

椿三十郎を演じたのは時代劇初主演で、2007年にデビュー20周年を迎えた織田裕二。時代劇の出演自体、そのキャリアの初期における『将軍家光の乱心 激突』(1989年、東映)や『風雲!江戸の夜明け』(1989年、テレビ東京系)以来、18年ぶりとなった。元々、角川が織田を起用した理由は、織田主演で53億円の売り上げを出した『踊る大捜査線』の時代劇版をやりたかったからである[2]

若侍は全員オーディションでキャスティングされた。睦田夫人を演じる中村玉緒は、本作が14年ぶりの本格的な映画出演であった。

後半の演出がコメディ調になるところで伊藤克信を登場させ、オリジナルとの違いを表現した。

完成披露会見で、製作総指揮の角川春樹が「40億円は最低ライン。そこからどれだけ伸ばせるかが勝負。60億円が一つの目安になる」と、前年の松竹配給の木村拓哉主演の時代劇『武士の一分』の興行収入40億円超えを宣言し、話題となった[4]

最終的な興行収入は12億円[1]。不入りとなったため、予定されていた崔洋一監督による『用心棒』のリメイクは中止された。本作がヒットしていれば、7年間の複数契約を結んでいた『用心棒』のリメイクが最低でも7本作られ、『男はつらいよ』のようにシリーズ化が予定されていたという[1]

スタッフ

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キャスト

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備考

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その年の最低映画作品を選出するHIHOはくさい映画賞にて、角川春樹がこの作品と『蒼き狼 〜地果て海尽きるまで〜』を対象に生涯功労賞を受賞している。

DVD

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脚注

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注釈

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  1. ^ 「どうもな。このわしの間延びした馬面にも困ったものだ。昔のことだがわしが馬に乗ったのを見て、誰かこんなことを言いおったよ。乗った人より馬は丸顔」というセリフがあり、黒澤版の伊藤雄之助を誰が継げるのかと心配された。

出典

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  1. ^ a b c d 伊藤 2021, p. 273.
  2. ^ a b 伊藤 2021, p. 272.
  3. ^ 伊藤 2021, pp. 272–273.
  4. ^ 織田裕二主演「椿三十郎」会見で、角川春樹氏が興収60億円宣言!”. 映画.com. 映画ニュース (2007年11月26日). 2021年3月29日閲覧。

参考文献

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  • 伊藤彰彦『最後の角川春樹』毎日新聞出版、2021年11月19日。ISBN 978-4-6203-2710-5 

外部リンク

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