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標葉郡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
福島県標葉郡の範囲

標葉郡(しねはぐん、しめはぐん)は、福島県浜通り陸奥国磐城国)にあった

郡域

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1878年明治12年)に行政区画として発足した当時の郡域は、双葉郡大熊町浪江町双葉町葛尾村にあたる。

歴史

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古代
  • 先代旧事本紀』国造本紀によると成務天皇期に足彦命を染羽国造(しめはのくにのみやつこ)に任じたとされる。
  • 和名抄』には「志波(しは)郡」とある。
標葉氏による統治
  • 戦国時代前期までは、標葉郡は標葉氏の領土だったが、北隣の相馬氏に滅ぼされた。
相馬氏による統治
  • 戦国時代後期から明治維新までは、標葉郡は相馬氏の領土に入れられた。
  • 浜街道が「岩城相馬街道」と呼ばれたのは、この戦国時代後半である。そして、標葉郡(相馬氏の領土)と楢葉郡岩城氏の領土)の境が、夜ノ森である。戦国時代後半の標葉郡は、相馬氏が岩城氏と田村氏を牽制する為の前線地帯となっていた。
  • 江戸時代も、引き続き相馬氏が治める中村藩の領土となり、二宮尊徳の農政指導によって越中国(現在の富山県)から標葉郡に移住する人々が多く現れた。
  • 江戸時代になると、江戸以南の東海道と同じく、江戸以北の浜街道にも宿場町が整備された。
戊辰戦争と廃藩置県
戦後社会
  • 高度経済成長期になると、旧標葉郡も旧岩城領と同じように東京の電力供給源となった。これを象徴する出来事が、旧標葉郡の一角だった大熊に、東京電力福島第一原子力発電所が建設されたことである。
  • 平成以後の旧標葉郡では、旧岩城領と同じく、発電所を背景にした地域振興(大熊の「原子力もなか」など)や、話題作りによる地域振興(浪江の「DASH村」や「なみえ焼きそば」など)といった多様で独自性の濃い地域振興策が実施された。
福島第一原子力発電所事故
平成23年(2011年)3月11日の東日本大震災に誘発された福島第一原子力発電所事故により、旧標葉郡は、ほぼ全域が警戒区域となり、住民は退去を強制されているたが、徐々に警戒区域も解除され住民の帰還も始まっている。

近代以降の沿革

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小野田村、井手村、室原村、幾世橋村、北幾世橋村、高瀬村、牛渡村、酒井村、谷津田村、苅宿村、酒田村、権現堂村、樋渡村、藤橋村、立野村、請戸村、舛倉村、棚塩村、末森村、大堀村、西台村、小丸村、川添村、加倉村、田尻村、熊川村、前田村、山田村、熊村、佐山村、上羽鳥村、新山村、下羽鳥村、渋川村、松倉村、目迫村、水沢村、郡山村、細谷村、小入野村、鴻草村、野上村、下野上村、長塚村、両竹村、中野村、中田村、寺沢村、松迫村、夫沢村、小良浜村、中浜村、大川原村、石熊村、野川村、上野川村、津島村(現・浪江町津島)、下津島村、赤宇木村、昼曽根村、落合村、羽付村、水境村、芹沢村

町村制以降の沿革

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1. 浪江村 2. 熊町村 3. 大野村 4. 新山村 5. 長塚村 6. 請戸村 7. 幾世橋村 8. 大堀村 9. 苅野村 10. 津島村 11. 葛尾村(橙:大熊町 黄:双葉町 緑:浪江町 青:合併なし 21 - 29は楢葉郡)
  • 明治22年(1889年4月1日 - 町村制の施行により、以下の各村が発足。(11村)
    • 浪江村 ← 権現堂村、川添村、牛渡村、樋渡村、高瀬村(現・浪江町)
    • 熊町村 ← 熊村、熊川村、夫沢村、小良浜村、小入野村(現・大熊町)
    • 大野村 ← 大川原村、野上村、下野上村(現・大熊町)
    • 新山村 ← 新山村、前田村、水沢村、目迫村、山田村、石熊村、郡山村、細谷村、松迫村(現・双葉町)
    • 長塚村 ← 長塚村、上羽鳥村、下羽鳥村、寺沢村、松倉村、鴻草村、渋川村、中田村(現・双葉町)
    • 請戸村 ← 請戸村(現・浪江町)、両竹村、中浜村(現・浪江町、双葉町)、中野村(現・双葉町)
    • 幾世橋村 ← 幾世橋村、北幾世橋村、棚塩村(現・浪江町)
    • 大堀村 ← 小野田村、大堀村、小丸村、田尻村、末森村、井手村、谷津田村、酒井村(現・浪江町)
    • 苅野村 ← 苅宿村、加倉村、室原村、立野村、酒田村、藤橋村、西台村(現・浪江町)
    • 津島村 ← 下津島村、津島村、羽付村、南津島村、赤宇木村、昼曽根村、行方郡川房村[大柿](現・浪江町)
    • 葛尾村 ← 上野川村、野川村、落合村、葛尾村(現存
  • 明治29年(1896年)4月1日 - 標葉郡および楢葉郡の一部(川前村を除く)の区域をもって双葉郡が発足。同日標葉郡廃止。

変遷表

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自治体の変遷
藩政期 明治22年以前 明治22年4月1日 明治22年 - 明治28年 明治29年4月1日 現在
津島村 津島村 津島村 津島村 双葉郡
津島村
双葉郡
浪江町
芹沢村
水境村
下津島村 下津島村
赤宇木村 赤宇木村
羽附村 羽附村
昼曽根村 昼曽根村
〔田〕津島村 南津島村
苅宿村 苅宿村 苅野村 苅野村 双葉郡
苅野村
加倉村 加倉村
酒田村 酒田村
立野村 立野村
西台村 西台村
藤橋村 藤橋村
室原村 室原村
権現堂村 権現堂村 浪江村 浪江村 双葉郡
浪江村
牛渡村 牛渡村
川添村 川添村
高瀬村 高瀬村
樋渡村 樋渡村
大堀村 大堀村 大堀村 大堀村 双葉郡
大堀村
井手村 井手村
小野田村 小野田村
小丸村 小丸村
酒井村 酒井村
末森村 末森村
田尻村 田尻村
谷津田村 谷津田村
幾世橋村 幾世橋村 幾世橋村 幾世橋村 双葉郡
幾世橋村
北幾世橋村 北幾世橋村
棚塩村 棚塩村
請戸村 請戸村 請戸村 請戸村 双葉郡
請戸村
中浜村 中浜村
両竹村 両竹村
中野村 中野村 双葉郡
双葉町
新山村 新山村 新山村 新山村 双葉郡
新山村
石熊村 石熊村
郡山村 郡山村
細谷村 細谷村
前田村 前田村
松迫村 松迫村
水沢村 水沢村
目迫村 目迫村
山田村 山田村
長塚村 長塚村 長塚村 長塚村 双葉郡
長塚村
鴻草村 鴻草村
渋川村 渋川村
寺沢村 寺沢村
中田村 中田村
上羽鳥村 上羽鳥村
下羽鳥村 下羽鳥村
松倉村 松倉村
大川原村 大川原村 大野村 大野村 双葉郡
大野村
双葉郡
大熊町
野上村 野上村
下野上村 下野上村
熊村 熊村 熊町村 熊町村 双葉郡
熊町村
佐山村
熊川村 熊川村
夫沢村 夫沢村
小良浜村 小良浜村
小入野村 小入野村
〔田〕葛尾村 葛尾村 葛尾村 葛尾村 双葉郡
葛尾村
双葉郡
葛尾村
落合村 落合村
野川村 野川村
上野川村 上野川村
〔田〕-田村郡所属

行政

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楢葉・標葉郡長
氏名 就任年月日 退任年月日 備考
1 荒至重 明治12年(1879年)1月27日 明治15年(1882年)5月17日
2 長久保猷 明治15年(1882年)5月17日 明治16年(1883年)1月29日
3 宮川正治 明治16年(1883年)2月1日 明治16年(1883年)7月14日
4 沼沢七郎 明治16年(1883年)11月22日 明治17年(1884年)7月14日
5 三淵隆衡 明治17年(1884年)7月14日 明治18年(1885年)8月15日
6 荒賀直哉 明治18年(1885年)9月4日 明治19年(1886年)月日不詳
7 岡貞一 明治19年(1886年)5月3日 明治19年(1886年)6月3日
8 遠藤常師 明治19年(1886年)6月3日 明治19年(1886年)7月
9 長井高明 明治19年(1886年)10月4日 明治24年(1891年)10月9日
10 坂口実行 明治24年(1891年)10月9日 明治26年(1893年)12月5日
11 高山喜英 明治26年(1893年)12月5日 明治28年(1895年)11月26日
12 三田勝俊 明治28年(1895年)11月26日 明治29年(1896年)3月31日 標葉郡との合併により楢葉郡廃止

参考文献

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  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 7 福島県、角川書店、1981年3月1日。ISBN 4040010701 
  • 旧高旧領取調帳データベース

関連項目

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先代
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行政区の変遷
- 1896年
次代
双葉郡