水谷達夫
水谷 達夫 | |
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生誕 | 1911年10月2日 |
出身地 | 日本 愛知県 名古屋市 |
死没 |
1998年8月27日(86歳没) 日本 |
学歴 |
東京音楽学校 シュトゥットガルト音楽大学 |
ジャンル | クラシック音楽 |
職業 |
ピアニスト 音楽教育者 |
担当楽器 | ピアノ |
水谷 達夫(みずたに たつお、1911年(明治44年)10月2日[1] - 1998年(平成10年)8月27日[1])は、日本のピアニスト。音楽教育者。父は音楽教育家・音楽家、児童演劇教育家の水谷志奇男。ピアニストの石川(旧姓:水谷)百合子は三男三女の長女[2][3]。ヴァイオリニストで歌手の水谷美月の大叔父にあたる。
経歴
[編集]愛知県名古屋市出身[1]。4歳より父にピアノの手ほどきを受ける[4]。東京音楽学校予科を経て[5]、1933年(昭和8年)東京音楽学校本科器楽部卒業[4]。1935年(昭和10年)同校研究科修了[4]。福井直俊、田中規矩士、パウル・ヴァインガルテン、レオ・シロタ、レオニード・クロイツァーに師事[4]。レオ・シロタ門下では、永井進、豊増昇とともに三羽烏と謳われた[6]という。
1939年(昭和14年)東京音楽学校助教授任官[5]、1949年(昭和24年)東京藝術大学教授に任官[4]。この間、1954年(昭和29年) - 1955年(昭和30年)シュトゥットガルト音楽大学でアルフレッド・クロイッツにドイツ古典音楽研究、表現法、有鍵楽器の奏法を師事[1]。1979年(昭和54年)東京藝術大学名誉教授となる[5]。
アンサンブルを好み、木下保とは1935年(昭和10年)の第1回、第5 - 12回独唱会のピアニストを務め、1943年(昭和18年)9月第10回独唱会「信時潔歌曲の夕」において『沙羅』全曲初演の伴奏を行い、レコードが文部大臣賞を受賞している。また木下の還暦演奏会では『詩人の恋』『沙羅』を伴奏。他にも声楽家とのコンサートは年間75回の中山悌一との労音をはじめ、奥田智重子、戸田敏子、浅野千鶴子や、ヴァイオリンの江藤俊哉、フルートの吉田雅夫等とステージ、放送で共演[3]。
幅広い演奏活動と併行して、教育者として数多くの大学にて教鞭をとる。東京藝術大学45年間、国立音楽大学20年間、桐朋学園大学11年間、上野学園大学5年間、神戸山手女子短期大学6年間、大分大学10年間、鹿児島大学、聖徳大学10年間[3]。
1963年(昭和38年)にはNHK-TV『ピアノのおけいこ』講師として、娘の水谷百合子(司会・助手)[3]とともに、お茶の間にピアノ教育を普及させた[5]。
文部省教科書編集委員、文部省社会教育局主催コンクール審査員、毎日コンクール審査員、NHK全国学校音楽コンクール審査員、東京文化会館コンクール審査員、群馬コンクール審査員。日英音楽文化協会会員、日独音楽文化協会会員、演奏家文化協会会員、演連文化協会会員、日本演奏連盟特別会員等歴任。東京藝術大学大学院修士課程の設置準備に深く関わり、芸術教育研究の計画的整備について尽力。現在の「博士課程」の設置基礎を築く[3]。
水谷の教えを受けた者はきわめて多数にのぼり、鬼頭恭一[7]、伊藤栄一[8]、小林秀雄[9]、三石精一[10]、久本成夫[11]、小田野宏之[12]、坂本博士[13]、村田由美[14]、木村由紀子[15]、桑原由喜枝[16]、森木洋子[17]、涌井曄子[18]、滝澤三枝子[19]、横田伸子[20]、小坂恵利乃[21]、植田伸子[22]、斎藤冨佐子[23]、淡海悟郎[24]、荻野治子[25]、蔵田裕行[26]、田中敦子[27]、大野久美子[28]、奥村晃博[29]、佐藤英臣[30]、八木宏子[31]、岡﨑實俊[3]、石川百合子[3][32]、安井耕一[3]、佐藤鈴子[3]、原佳大[3]、井上淳司[33]、増田宏昭[34]、中川さとみ[35]、水谷直子(水谷達夫の次男、水谷迪夫の長女)[3]などがいる。
1998年(平成10年)8月27日死去。86歳没。没日付をもって正四位に叙せられた[4]。
1999年(平成11年)から、水谷の功績を記念して、P.I.A.Japan音楽コンクールにおいて、本選出場のなかで最も優れた伴奏者に『水谷達夫賞』を授与している[36]。第1回受賞者は塚田佳男である[37]。
主なディスコグラフィー
[編集]以下の保存音源以外にも、戦前のSPレコード吹込みを多数行っていたものと思われる。中には水谷達夫:作曲となっているものもある。
- 独唱:君が姿 木下保:作詞、 シューベルト:作曲、 木下保、 水谷達夫:ピアノ(コロムビア(戦前)、商品番号:33695、1939-12)[38]
- 独唱:小夜歌 堀内敬三:作詞、シューベルト:作曲、 木下保、水谷達夫:ピアノ(コロムビア(戦前)、商品番号:33694、1939-11)[38]
- 独唱:棒呈 水谷達夫:作曲、木下保(コロムビア(戦前)、商品番号:33749)[38]
- 独唱:楽に寄す 二宮徳馬:作詞、シューベルト:作曲、木下保、水谷達夫:ピアノ(コロムビア(戦前)、商品番号:33694、1939-11)[38]
- 独唱:海辺にて 二宮徳馬:作詞、シューベルト:作曲、木下保、水谷達夫:ピアノ(コロムビア(戦前)、商品番号:33695、1939-12)[38]
- 独唱:蓮花 木下保:作詞、水谷達夫:作曲、木下保(コロムビア(戦前)、商品番号:33749)[38]
- 木下保の藝術-信時潔、團伊玖磨 歌曲集- CD 日本伝統文化振興財団
- 木下保の藝術-SP音源復刻盤- CD 木下記念日本歌曲研究会/木下記念スタジオ(限定頒布)※上記『沙羅』を含む
- SP音源復刻盤 信時潔作品集成(2008年度(平成20年度)文化庁芸術祭大賞受賞)木下保『沙羅』他を担当 日本伝統文化振興財団
脚注・出典
[編集]- ^ a b c d e “水谷達夫”. コトバンク 20世紀日本人名事典. 2020年3月4日閲覧。
- ^ “プロフィール”. アルベルネユーゲントコール. 2020年3月5日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “水谷達夫名誉教授生誕100年記念演奏会 水谷達夫プロフィール”. 学校法人東京聖徳学園. 2020年3月4日閲覧。
- ^ a b c d e f 木下保の藝術~信時潔、團伊玖磨 歌曲集~ CD ライナーノーツ
- ^ a b c d 木下保の藝術~SP音源復刻盤~ CD 木下記念日本歌曲研究会/木下記念スタジオ ライナーノーツ
- ^ “音楽評論家・萩谷由喜子が読む『ピアノの巨人 豊増昇』小澤征爾、小澤幹雄編著”. 産經新聞. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “~思い出すままに~ 佐藤 正知”. 名古屋パストラーレ合奏団. 2020年3月4日閲覧。
- ^ “指揮者:伊藤栄一先生の紹介”. 東京カントライ. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “和澤康代ソプラノリサイタル”. 二期会21. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “三石精一”. 町田フィルハーモニー交響楽団. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “久本 成夫”. コトバンク 新撰 芸能人物事典 明治~平成. 2020年3月13日閲覧。
- ^ “指揮 小田野宏之”. 世田谷フィルハーモニー管弦楽団. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “プロフィール 作品”. サカモト・ミュージック・スクール. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “指導者のプロフィール”. 混声合唱団 菩提樹. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “講師プロフィール”. プリマヴェーラ ピアノ教室. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “御木マドカ ふるさとコンサート”. ホテルサンルート徳山. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “高響の歴史:昭和25年(1950年)”. 高知交響楽団. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “会長(作曲家)涌井曄子プロフィール”. 音楽塾ワクイ・システム. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “滝澤三枝子オフィシャルサイト”. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “横田伸子”. アミーチ・デッラ・リリカ. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “Instructor”. GAKU MUSIC SCHOOL 池田駅前校. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “プロフィール”. 植田伸子オフィシャルサイト. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “この一瞬の響きに―ピアニスト飯吉馨から学んだこと”. 紀伊國屋書店. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “スタッフ”. 株式会社トーンマイスター. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “オペラを楽しもう!!”. 栃木県総合文化センター. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “わが思いのすべて 蔵田裕行”. ファウエム ミュージック コーポレーション. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “経歴”. 田中敦子ピアノ教室. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “出演者、指導者”. ハルモニーコール. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “奥村晃博”. 昭和音楽大学. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “指導者紹介”. 桐生市民合唱団. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “第25回 日本音楽舞踊会議 ピアノ部会公演”. 日本音楽舞踊会議. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “チマッティ神父帰天50周年コンサート”. チマッティ資料館. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “教員紹介 井上 淳司”. 東邦音楽大学. 2020年3月4日閲覧。
- ^ “Performers”. 立教大学交響楽団. 2020年3月4日閲覧。
- ^ “ピアノフリータイムレッスン-個人レッスン”. 朝日カルチャーセンター 宮地楽器ミュージックジョイ・新宿. 2020年3月4日閲覧。
- ^ “第10回 P.I.A.Japan音楽コンクール”. NPO P.I.A.Japan. 2020年3月5日閲覧。
- ^ “出演者”. 5/R HALL&GALLERY. 2020年3月5日閲覧。
- ^ a b c d e f “水谷達夫”. 国立国会図書館 歴史的音源. 2020年3月4日閲覧。