江蘇常隆客車
江蘇常隆客車有限公司(英:Jiangsu Alfa Bus、中国語: 江苏常隆客车)は、江蘇省江陰市に拠点を置く中華人民共和国の自動車メーカー。ALFA BUS(アルファバス)のブランドで、電気バス車両の開発・製造を手掛ける。
概要
[編集]1999年に江蘇箭牌客車製造廠(中: 江苏箭牌客车制造厂、1984年創業)を買収し、EVバスの設計及び製造を目的に設立された[1]。中国で年間1000台の生産能力を有し[2]、自国向けモデル以外にも欧州向けモデルや後述の日本向けモデルといったバス車両を販売。2012年には中国初の12メートル車両で世界最高基準の「EU完成車認証」を取得[2]。2016年には日本で自動車用リチウムイオン電池の開発や製造などを手掛ける日産自動車とNECの合弁会社「オートモーティブエナジーサプライ(現・エンビジョンAESC)」と高性能リチウム電池の供給パートナーとして業務提携した[3]。
日本法人
[編集]種類 | 株式会社 |
---|---|
本社所在地 |
日本 〒101-0023 東京都千代田区神田松永町20番地 加賀電子本社ビル9F |
設立 | 2019年12月23日 |
業種 | 輸送用機器 |
法人番号 | 5010401150090 |
事業内容 | 自動車 |
代表者 | 黄 坤達(代表取締役社長) |
資本金 | 90,000,000円 |
決算期 | 3月末日 |
主要株主 |
江蘇常隆客車有限公司 株式会社エクセル 株式会社ヴィ・クルー |
外部リンク | https://alfabus-j.com |
2019年12月、日本国内におけるEVバスおよびその関連部品の輸出入および販売を目的に、日本の加賀電子グループの商社で株式会社エクセルなどが出資する合弁会社「アルファバスジャパン株式会社」を設立。日本向けに開発した路線バスタイプの大型電気バス「ECITY L10」と小型電気バス「E-City L6」を販売する[4]。
2020年12月に実証実験用車両として四国電力坂出発電所の従業員通勤用バスに初導入され[5]、2021年4月には日光国立公園で低公害バスとして本採用された[6]。2023年時点で国土交通省の「標準仕様ノンステップバス認定」を取得しており[7]、道路運送車両法による保安基準[8]の規定に従い、非常口を後部右側に設置している。搭載バッテリーは日産・リーフと同じエンビジョンAESC製のリチウムイオン電池を採用している[9][10]。
2023年3月13日、日本に導入された中国・BYD社製EVバスで日本自動車工業会が自主的に規制している発がん性物質「六価クロム」が使用されていた問題を受け、同じく中国で製造するアルファバスも自社製造車両に使われている部品の一部に六価クロムが使用されていたことを公表した。同社ではそのまま使用しても人体に影響はないとしているが、不安払拭を図るため、日本国内で納入済みの車両に対して対象部品の交換を実施した[11]。
2023年10月12日、日本市場向け6m級の小型電気バス「ECITY L6」の発売を発表した[12]。
販売車種
[編集]- ECITY L10(イーシティ・エル・テン[9])[13]
- 大型路線バス(電気バス)
- 全長:10.48m
- 全幅:2.485m
- 全高:3.26m
- 車両重量:11,800kg
- 航続距離:240km
- バッテリー容量:296kWh(三元リチウムイオン電池)
- 定員:76人
- 国土交通省認定ノンステップバス標準仕様車
- ECITY L6(イーシティ・エル・シックス)[12]
- 小型路線バス(電気バス)
- 全長:6.09m
- 全幅:2.08m
- 全高:2.98m
- 航続距離:200km
- 駆動用バッテリー容量:105kWh(三元リチウムイオン電池)
- 定員:25~29人
導入実績
[編集]- 四国電力 - 2020年12月、実証実験用車両として坂出発電所の従業員通勤用バスにECITY L10を3台導入[5]。
- 日光交通 - 2021年4月23日、同社が受託する栃木県立日光自然博物館で日光国立公園内を走るバスとしてECITY L10を1台導入[6]。2022年より東武バス日光に受託先が変更された。
- 山梨交通 - 2021年10月20日、一般路線用にECITY L10を2台導入、現在は3台導入されている[14][10]。
- しずてつジャストライン - 2023年2月13日、小鹿営業所にECITY L10を1台導入、現在は2台導入されている[15]。
- 越後交通 - 2023年3月19日、中央環状線「くるりん」にECITY L10を2台導入[16]。
- 東武バス日光 - 2023年4月22日、前述の栃木県立日光自然博物館で日光国立公園内を走るバスにECITY L10を1台追加導入[17]。
- 伊丹市交通局 - 2023年5月15日、広畑営業所にECITY L10を2台導入[18]。当初は同年3月に運行開始を予定していたが、発がん性物質「六価クロム」使用問題を受けて一旦延期されていた[19][20]。
- 京都バス - 2023年12月16日、嵐山営業所にECITY L10が2台導入される[21][22]。
- 神姫バス - 2024年3月30日、姫路東出張所にECITY L10が1台導入された[23]。
- 西武バス - 2024年4月1日導入。滝山営業所にECITY L10が2台導入された。
- 山梨交通 - 2024年4月1日導入。甲府駅~米倉山を結ぶシャトルバスにて「ECITY L6」が1台導入された。
- 鯱バス - 2024年4月1日導入。特定企業輸送向けにECITY L10が1台導入された[24]。
ギャラリー
[編集]-
東武バス日光(ECITY L10)
-
伊丹市交通局(ECITY L10)
脚注
[編集]- ^ “发展历程”. 江苏常隆客车有限公司. 2023年2月17日閲覧。
- ^ a b “会社概要”. アルファバスジャパン株式会社. 2023年2月17日閲覧。
- ^ “日産傘下のAESC、中国企業に車載用電池供給”. NNA ASIA. (2016年1月15日) 2023年2月17日閲覧。
- ^ “山梨交通にALFAバス社製EV(電気自動車)バス2台納入 ~ 環境配慮に加え、災害時の非常電源としても活用できる路線バスとして運行開始 ~”. ドリームニュース. (2021年11月2日) 2023年2月17日閲覧。
- ^ a b “しずてつジャストラインにALFAバス社製EV(電気自動車)バスを納入”. アットプレス. (2023年2月16日)
- ^ a b “日光国立公園にEVバス 自然博物館が運行”. 日本経済新聞. (2021年4月22日)
- ^ “標準仕様ノンステップバス認定車両の一覧”. 国土交通省. 2023年2月17日閲覧。
- ^ 道路運送車両の保安基準第26条 (PDF)
- ^ a b “奈良交通の大型電気バスを活用した新たな観光ルートの実証運行[後編]”. バスギアターミナル. (2021年12月24日)
- ^ a b “アルファバスジャパン、EVバスを山梨交通に納車”. 日本経済新聞. (2021年11月1日)
- ^ “弊社 EV バスにおける環境負荷物質(六価クロム)の使用状況について”. アルファバスジャパン株式会社. (2023年3月13日)
- ^ a b “小型コミュニテイーEVバス、他国に先駆け日本市場で発売!!”. アルファバスジャパン株式会社 (2023年10月12日). 2024年10月30日閲覧。
- ^ ALFABUS ECITY L10 (PDF) 株式会社エクセル
- ^ “山梨交通がEVバス導入、運行開始式”. 朝日新聞. (2021年10月21日)
- ^ “EV路線バス運行 しずてつジャストライン、災害時の活用も 静岡県内初”. 静岡新聞. (2023年2月14日)
- ^ “中央環状線「くるりん」にEVバスを導入!”. 長岡市. (2023年2月24日)
- ^ “奥日光におけるEVバスの導入について”. 栃木県 (2023年3月28日). 2024年10月30日閲覧。
- ^ “5月13日(土)に電気バス導入記念イベントを開催します”. 伊丹市交通局. 2023年5月1日閲覧。
- ^ “伊丹市、中国メーカー製造の電気バス運行を延期 国内で規制の化学物質使用疑い”. 神戸新聞NEXT. (2023年2月22日)
- ^ “3月21日(火・祝)に予定していました電気バス導入記念イベントは、実施を見合わせます”. 伊丹市交通局. 2023年3月21日閲覧。
- ^ “【EVバス導入記念】『オオムラサキ号』導入イベントを実施します”. 京都バス株式会社 (2023年11月17日). 2023年11月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年10月30日閲覧。
- ^ “【EVバス導入記念】『e-アラシヤマ号』導入イベントを実施します”. 京都バス株式会社 (2023年11月24日). 2023年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年10月30日閲覧。
- ^ “姫路エリアに電気バス(大型路線バスタイプ)を導入します。”. 神姫バス株式会社 (2024年2月22日). 2024年10月30日閲覧。
- ^ “愛知県初・⼤型電気バス(EVバス)を導⼊”. 鯱バス (2024年2月29日). 2024年10月30日閲覧。
関連項目
[編集]- バス (交通機関)
- 電気自動車
- 他社製の大型ノンステップバス
- いすゞ・エルガ
- 日野・ブルーリボン
- 三菱ふそう・エアロスター
- トヨタ・SORA
- BYD・K8
- EVモーターズ・ジャパン・F8 series2-City Bus 10.5m
- オノエンスター・EV10.5