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淀野隆三

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1952年

淀野 隆三(よどの りゅうぞう、1904年(明治37年)4月16日 - 1967年(昭和42年)7月7日)は、日本の文芸評論家フランス文学者。

生涯

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京都府紀伊郡伏見町(現・京都市伏見区)生まれ。本名・三吉。淀野家は伏見過書町で手広く鉄工所を営んでいた[1]。京都府立京都第二中学校(現・京都府立鳥羽高等学校)を卒業後、1922年第三高等学校(現・京都大学 総合人間学部)文科甲類に入学[2][3]野球部に入り、一高三高戦で三塁手として活躍した[3]。三高劇研究会に所属し、卒業した先輩の梶井基次郎中谷孝雄外村茂と知り合う[2][3][4]

1925年、三高卒業後に東京帝国大学文学部仏文科に入学。前年に同校に進んでいた梶井基次郎中谷孝雄外村茂の創刊した同人誌『青空』の6月号・通巻4号から同人参加した[3]。息子が法学部を専攻することを望んでいた父親は文学者になることに大反対し、上京前に口論していた[4]

1927年2月、 伊豆湯ヶ島に転地療養していた梶井を見舞いに行った。その時、淀野は三高時代から付き合っていた芸妓・政子も伴っていた[4]。淀野の両親は政子との結婚を反対していた[4]。淀野は梶井を通じて川端康成と知り合い、以降長く親交を持つようになる[5][6]

1928年に東京帝国大学卒。同年3月25日には、政子との間に長女・華子が誕生した。名付け親は三高時代からの友人・三好達治であった[4]。淀野はマルセル・プルースト失われた時を求めて』の部分訳をして作家を志し、法政大学で講師をしつつ文筆活動を送る。一時期にはプロレタリア文学運動にも傾倒するが、梶井基次郎がそれを止めるように助言し、淀野がプルーストの専門家になることを望んだ[7]

梶井基次郎の死後は、中谷孝雄とともに、梶井の全集編纂を行った[8]。その後、家業の「淀野商店」(鉄材、鉄器具)を継ぐため京都市伏見区両替町4丁目-290番地に帰郷した[6]

戦後、佐藤正彰の世話で1952年明治大学文学部教授となった。川端康成は京都に行くと淀野の家に立ち寄り、淀野も鎌倉の川端家を訪問するなど、家族ぐるみの付き合いとなった。川端は淀野の娘・華子を可愛がり、成人した華子は結婚出産後も川端家と交流するようになる[6]

1963年から1965年まで明治大学人文科研究所所長を務めた。1964年に文学部長となるが病気のため1965年に辞任。を患い1967年に63歳で没した。

淀野の息子の淀野隆(華子の弟)は、サンケイ新聞記者となり、1968年の川端康成のノーベル文学賞の授賞式にも同行した[6]

翻訳

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脚注

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  1. ^ 「第一部 第六章 『青空』創刊」(柏倉 2010, pp. 87–110)
  2. ^ a b 「第六章 狂的の時代――三高後期」(大谷 2002, pp. 105–136)
  3. ^ a b c d 「第七章 天に青空、地は泥濘――本郷と目黒にて」(大谷 2002, pp. 137–161)
  4. ^ a b c d e 鈴木貞美編「『青空』の青春――淀野隆三『日記』抄」(別巻 2000, pp. 397–434)
  5. ^ 淀野隆三「湯ヶ島の思ひ出など」(世紀1935年1月号)。別巻 2000, pp. 89–94に部分所収
  6. ^ a b c d 淀野隆『二人だけの「愛・宇宙」六十兆個のバラード』(近代文藝社、2010年12月)。小谷野 2013, pp. 382, 442, 470, 534
  7. ^ 梶井基次郎「淀野隆三宛て」(昭和6年11月6日付)。新3巻 2000, pp. 438–439に所収
  8. ^ 鈴木貞美「梶井基次郎年譜」(別巻 2000, pp. 454–503)

参考文献

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  • 梶井基次郎全集第3巻 書簡』筑摩書房、2000年1月。ISBN 978-4-48-070413-9 
  • 『梶井基次郎全集別巻 回想の梶井基次郎』筑摩書房、2000年9月。ISBN 978-4480704146 
  • 大谷晃一『評伝 梶井基次郎』(完本)沖積舎、2002年11月。ISBN 978-4806046813  初本(河出書房新社)は1978年3月 NCID BN00241217。新装版は 1984年1月 NCID BN05506997。再・新装版は1989年4月 NCID BN03485353
  • 柏倉康夫『評伝 梶井基次郎――視ること、それはもうなにかなのだ』左右社、2010年8月。ISBN 978-4903500300 
  • 小谷野敦川端康成伝――双面の人』中央公論新社、2013年5月。ISBN 978-4-12-004484-7 

外部リンク

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