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物理数学(ぶつりすうがく、英語: physical mathematics[1])とは、物理学で用いられるいくつかの数学的手法を総称した呼び方であり、特定の数学分野を示すものではない。代表的な手法・分野は以下の通り。ある物理現象を扱う際にはこのうちいくつかの手法を複合的に用いることが多い。
日本の大学の理学部物理学科ではこれらの分野を物理数学という科目名で教育されている。専門基礎科目として教授される線形代数および微分積分学、確率統計学を除いた数学は物理数学という科目名で専門科目として教授される。物理学の教育において重要な柱の一つである。
物理数学が実際にどのように物理現象に適用されるか調べる初等的な例として、電磁気学における静電ポテンシャルの問題について述べる。ここでは用いた物理数学の手法を明示するため、意図的に詳しく解答を掲載している。
無限に広がる真空中の誘電率を、電荷密度をとするとき、静電ポテンシャルはポアソン方程式を満たす。
ただしはベクトル解析における3次元ラプラシアンであり、である。
これを偏微分方程式とみなしてフーリエ変換を用いて解き、を求めよ。
この偏微分方程式の解として積分方程式を仮定し、ポアソン方程式に代入すると次の方程式を得る。
ここでΔ関数の性質から直ちに次の式を得る。
このような方程式の解をグリーン関数と呼ぶ。のフーリエ変換をとして両辺をフーリエ変換すると次の式を得る。
これをについて解き、逆フーリエ変換するとグリーン関数について次の式を得る。
ただし、とした。積分部は複素積分を用いて計算することができるので次の式を得る。
これをはじめの積分方程式に代入するとポアソン方程式の解を得る。
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