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『'''マクロスプラス'''』(MACROSS PLUS)は[[1994年]]から[[1995年]]にかけて発売された[[日本]]の[[OVA]]。全4巻。1982年から1983年に放送された[[テレビアニメ]]『[[超時空要塞マクロス]]』の世界設定を継承した「[[マクロスシリーズ]]」の一作品1995年には[[アニメ映画|劇場版]]『'''マクロスプラス MOVIE EDITION'''』(マクロスプラス ムービーエディション)も公開された
『'''マクロスプラス'''』(MACROSS PLUS)は[[1994年]]から[[1995年]]にかけて発売された[[日本]]の[[OVA|オリジナル・デオ・アニメ(OVA)]]。全4巻


1982年から1983年にかけて放映された[[スタジオぬえ]]原作のテレビアニメ『[[超時空要塞マクロス]]』の世界設定を継承し、テレビアニメ『[[マクロス7]]』と並行して企画・製作された作品であり、「[[マクロスシリーズ]]<!--○○シリーズに『』は用いない(Wikipedia:スタイルマニュアル#著作物名)-->」のひとつに数えられる。『超時空要塞マクロス』の時代より約30年後の西暦2040年を舞台に、三段変形を特徴とする[[メカ]]、[[可変戦闘機 (マクロスシリーズ)|可変戦闘機]](VF)の次期主力機開発競争を背景とし、ふたりの男性[[テストパイロット]]と、人気[[バーチャルアイドル]]のプロデューサーを務める女性の[[三角関係]]を描く<ref name="mantan2014-07-17">{{Cite web|和書|url=https://mantan-web.jp/article/20140717dog00m200031000c.html |title=マクロス:河森監督が「プラス」「7」を語る 気になる新作は… |website=MANTANWEB |publisher=MANTAN |date=2014-07-17 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。
== 概要 ==
{{出典の明記|section="1"|date=2023年12月}}
本作は『[[超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか]]』の監督を務めた[[河森正治]]を中心に、『マクロス』の後継作として[[テレビアニメ]]『[[マクロス7]]』と並行して企画・制作された。
{{Seealso|マクロス7#作品解説}}


『超時空要塞マクロス』においてスタジオぬえの一員として[[メカニックデザイン]]、設定監修などで携わり、劇場版『[[超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか]]』では共同監督を務めた[[河森正治]]が原作・総監督となり、同作でメカ作画監督を務め、「[[板野一郎#板野サーカス|板野サーカス]]」と呼ばれるメカアクション描写で知られた[[板野一郎]]が[[特撮監督|特技監督]]、メカニックデザインを務めたスタジオぬえの[[宮武一貴]]が舞台設定・メカニカル設定(河森と連名)として参加している。新たなメインスタッフとして、監督に[[渡辺信一郎 (アニメ監督)|渡辺信一郎]]、脚本に[[信本敬子]]、オリジナルキャラクターデザインに[[摩砂雪]]、音楽に[[菅野よう子]]らが起用され、アニメーション制作は[[トライアングルスタッフ]]が担当した。


英語吹き替え版の『'''[[#INTERNATIONAL VERSION|MACROSS PLUS INTERNATIONAL VERSION]]'''』(マクロスプラス インターナショナルバージョン)も発売された。1995年10月7日には、OVA版を再編集して新作カットを加えたアニメ映画『'''[[#MOVIE EDITION|マクロスプラス MOVIE EDITION]]'''』(マクロスプラス ムービーエディション)が、『[[マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!|劇場版マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!]]』との同時上映で公開された。
本作は作品世界の時系列上第1作『超時空要塞マクロス』を直近とする続編シリーズ作品であり、「マクロス・シティ」「私の彼はパイロット」「VF-1Jバルキリー」「ロイ・フォッカー勲章」などといった第1作由来のさまざまな事象が登場し、直接の続編であることが強調されている。


== 物語 ==
本作で試みられた[[コンピュータグラフィックス|CG]]と[[セルアニメ]]を積極的に融合させる演出は、当時の水準では極めて効果的であり、それまでのアニメにはない精密なビジュアルであった。ただし、この時点では基本的にバーチャルアイドルの表現やデータ表示など、あくまで「作中でCGとして描かれている物をCGで描く」レベルに留まっており、メカ描写など「作中で実物として存在する物をCGで描く」本格的なCGの導入は次作『[[マクロス ゼロ]]』を待つことになる。[[板野一郎]]の手がける「[[板野サーカス]]」も、この作品のためにアメリカで模擬空中戦を体験したことから、戦闘機パイロットの皮膚感覚を伝えるよりリアルな描写へと進化している。


=== 前史概略 ===
また、サブテーマとして[[バーチャルリアリティ|仮想現実]]と人の心の関係が問われている。これらのサウンドトラックを制作した[[菅野よう子]]は、本作がアニメ音楽デビュー作であったが、迫力と緊迫感を盛り上げる仕事を認められ、のちの活躍への足掛かりとなった。
{{Seealso|超時空要塞マクロス|マクロスシリーズ#年表}}
西暦1999年、地球に異星人の巨大宇宙船が落下した。人類は異星人との戦争に備えて[[マクロスシリーズの用語一覧#地球統合政府|地球統合政府]]を発足させるとともに、のちに「[[マクロス (架空の兵器)|マクロス]]」と命名される落下した宇宙船の改修を進め、そこから得た[[オーバーテクノロジー・オブ・マクロス|オーバーテクノロジー]]により「[[可変戦闘機 (マクロスシリーズ)|可変戦闘機]](VF)」をはじめとする新兵器を開発した。2009年から2010年にかけて、戦うことしか知らない異星人「[[ゼントラーディ]]」との戦争([[第一次星間大戦]])が起こり、マクロスに乗艦した人々は歌をはじめとする文化の力によって一部のゼントラーディ人と和平を結び、戦争に勝利する。人口の大半を失った地球人類はゼントラーディ人とともに[[マクロスシリーズの用語一覧#新統合政府|新統合政府]]を樹立し、マクロスを中心に首都「[[マクロスシリーズの用語一覧#マクロス・シティ|マクロス・シティ]]」を築く。そして「[[オーバーテクノロジー・オブ・マクロス#フォールド|フォールド]]」と呼ばれる超光速航法を用いて、種の存続のために宇宙移民を開始する。


=== あらすじ ===
台詞を全て英語に吹き替えたインターナショナルバージョン(日本語字幕つき)が制作された点も、当時としては画期的であった。[[1990年代]]に入り北米で日本製アニメが注目され始めていたが、日本側が正規の海外版を企画するのはまだ珍しいケースであった<!--OVAに関してはテレビよりも海外展開がしやすいため1980年代ですでに積極的に海外版が制作されていた-->。戦争よりも「航空機もの」という作風も手伝い、本作は『[[AKIRA (アニメ映画)|AKIRA]]』『[[攻殻機動隊]]』とともに三大日本アニメとして、海外のアニメファンにも浸透する人気作品となった。
※以下の記述は最初に発表されたOVA版の内容にもとづく。『マクロスプラス MOVIE EDITION』との差異については[[#OVA版との差異|後述]]。


第一次星間大戦の終結から30年後の西暦2040年。腕は立つが自由奔放で軍規違反を繰り返していた[[マクロスシリーズの用語一覧#新統合軍|統合軍]]パイロットの[[#イサム・ダイソン|イサム・ダイソン]]は、[[VF-11 サンダーボルト]]に代わる次期主力可変戦闘機のテストパイロットとして、太陽系外移民惑星「[[#惑星エデン|エデン]]」にある[[#ニューエドワーズ・テストフライトセンター|ニューエドワーズ・テストフライトセンター]]への転属を命じられる。そこでは競合メーカー2社が開発した試作機「[[VF-19 エクスカリバー#YF-19|YF-19]]」と「[[VF-22 シュトゥルムフォーゲルII#YF-21|YF-21]]」による採用コンペティション「スーパー・ノヴァ計画」が行なわれており、YF-21の開発主任兼テストパイロットを務める[[#ガルド・ゴア・ボーマン|ガルド・ゴア・ボーマン]]の姿もあった。同じころ、エデンでは[[人工知能]]で動く人気絶頂の[[バーチャルアイドル|ヴァーチャロイド・アイドル]]「[[シャロン・アップル]]」のコンサートが間近に控えており、イサムとガルドはシャロンのプロデューサーを務める[[#ミュン・ファン・ローン|ミュン・ファン・ローン]]と再会する。3人はエデンで過ごした幼なじみであり、かつては親友どうしであったものの、7年前の事件をきっかけに関係は崩れていた。演習でガルドは脳波コントロールシステムを備えたYF-21の実力を見せつけるが、突如として7年前の事件がフラッシュバックしてコントロールを失い、さらに自身の思考に起因する機体トラブルにより、同行していたイサムが乗るVF-11を大破させる。
本作は[[渡辺信一郎 (アニメ監督)|渡辺信一郎]]の監督デビュー作でもあり、河森、菅野、脚本家[[信本敬子]]らとのつながりは、のちに『[[カウボーイビバップ]]』に活かされることになる。なお、[[OVA]]第1巻のみ[[庵野秀明]]が原画で参加している。


エデンではシャロンのコンサートが開演し、観衆はその歌声と魅力に酔いしれる。プロデューサーとは名ばかりで、未完成の人工知能を秘密裏にサポートする役割を担っていたミュンは、コンサートを訪れていたイサムの姿を見て動揺し、一時的にシャロンが想定を外れた動きを見せる。イサムは修理を終えたYF-19を駆り、無謀な飛行を続けながらガルドのYF-21と競いあう。一方、かつて歌手を目指していたミュンは歌うことを拒み、パイロットになる夢を実現させたイサムとガルドを見て意気消沈し、距離を置くようになる。その夜、イサムとガルドはコンサート会場で火災が発生するという予告電話を受け、それぞれミュンのもとに向かう。その電話と火災はミュンの心を読み取り、ひとりでに動きだしたシャロンによるものだった。先にたどり着いたガルドがミュンを救い、ミュンはガルドに対して感情を溢れさせ、やがてその身を寄せあう。翌朝、イサムは勝ち誇った態度のガルドと決着をつけるべく演習に臨むが、格闘戦で形勢不利になったYF-21が拾ったYF-19のガンポッドから装填されていないはずの実弾が発射され、重傷を負う。
本作が発売された当時のOVA市場は『[[ああっ女神さまっ]]』や『[[天地無用!]]』などの[[美少女]]を描いたアニメが主流であり、本作はそれなりに好セールスだったものの、この2者や前作『[[超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-]]』より売れなかった(オリコン調べ{{full|date=2023年12月}})。


ガルドは査問会議にかけられて故意を疑われるものの、上層部は事故と裁定する。イサムは病室から抜け出して、そばで見守っていたミュンとともにエデンの森を訪れて思い出を振り返る。病院に戻ってきたふたりを見たガルドは逆上し、イサムと殴りあいの喧嘩を始める。傷つくことを恐れて夢をあきらめていたミュンは、変わらずに夢を追い続けるイサムとガルドを前にしてシャロンの秘密と自己嫌悪の感情を吐露し、3人はわだかまりを抱えたまま別れる。シャロンの公演が終わり、ミュンは新たな興行のため、大戦終結30周年記念式典が行なわれる地球のマクロス・シティへと向かう。一方、上層部の当初からの意向により、統合軍は有人可変戦闘機に代わる新型無人戦闘機「[[ゴースト (マクロスシリーズ)#X-9|ゴーストX-9]]」の採用を決定し、スーパー・ノヴァ計画は中止となる。これに不満を抱いたイサムは無断でYF-19を持ちだし、ゴーストに一泡吹かせるために採用発表が行なわれる地球を目指して飛び立つ。そのころ地球では、人工知能を偏愛するエンジニアの手によって中枢のブラックボックスに非合法のチップを組み込まれたシャロンが、ミュンの心をモデルとして完全な自我に目覚める。
== MOVIE EDITION ==
劇場公開は[[1995年]][[10月7日]]、配給は[[松竹]]、上映時間115分。『[[マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!]]』との併映で、「マクロスフェスティバル'95」と銘打たれ公開された。

基本構成はOVA版を踏襲し、シーンを再編集して若干のストーリー変更が行われている。OVA製作当初から劇場版を念頭に置いて製作されており、OVAは各巻ごとにエピソードを振り分けた形になっている。約20分の新作カットが加えられたが、とりわけ終盤の展開がボリュームアップされ、劇場版ならではの見所となっている。特に最終盤のYF-21がゴーストX-9の発射したミサイルを全弾回避するシーンは5秒間でセル画116枚<ref>{{Cite web|和書|author=あにぶ編集部 |url=https://anibu.jp/20170825-macross-movieedition-58676.html |title=白熱のドッグファイト!「 マクロスプラス MOVIE EDITION 」 |website=アニメコラムサイト「あにぶ」 |publisher=あにぶ運営委員会 |date=2017-08-25 |accessdate=2023-06-21}}</ref>が使用され、そのクオリティの高さは「伝説の5秒」とも評されている<ref>「エピソードシート マクロスプラス MOVIE EDITION」『週刊 マクロス・クロニクル 新訂版 No.74』デアゴスティーニ・ジャパン、2014年、19頁。</ref><ref>{{Cite web|和書|author=宮本裕也 |url=https://maidonanews.jp/article/12214883 |title=「伝説の5秒」がアップデート マクロス爆音映画祭に行ってきた |website=まいどなニュース |publisher=神戸新聞社 |date=2019-02-28 |accessdate=2023-06-21}}</ref>。

2021年、日本国内で「マクロスシリーズ」の権利を有する[[ビックウエスト]]、[[スタジオぬえ]]と、国外で「[[ロボテック]]」として権利を有する[[ハーモニーゴールド USA]]とのあいだで合意が締結されたことで「マクロスシリーズ」の世界展開が可能になり、同年12月14日より本作が北米で劇場公開されることになった<ref>{{Cite web|和書|author=勝田哲也 |url=https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1366658.html |title=映画「マクロスプラス」、北米での劇場公開が12月14日より開始! |website=GAME Watch |publisher=インプレス |date=2021-11-16 |accessdate=2021-11-20 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://mantan-web.jp/article/20211119dog00m200065000c.html |title=マクロス:世界展開を宣言 「マクロスプラス -MOVIE EDITION-」海外初上映 |website=MANTANWEB(まんたんウェブ) |publisher=MANTAN |date=2021-11-20 |accessdate=2021-11-20 }}</ref>。

== あらすじ ==
地球と[[ゼントラーディ]]による宇宙戦争「[[第一次星間大戦]]」の終結から30年後の[[2040年]]、人類初の移民惑星エデンにあるニューエドワース基地では、[[マクロスシリーズの用語一覧#地球統合軍|統合宇宙軍]]の次期主力[[可変戦闘機 (マクロスシリーズ)|可変戦闘機]]の採用コンペティション「スーパー・ノヴァ計画」が行われていた。競合メーカー2社が開発した試作可変戦闘機[[VF-19 エクスカリバー#バリエーション|YF-19]]と[[VF-22 シュトゥルムフォーゲルII#YF-21|YF-21]]のテストパイロットは、かつて親友どうしであった[[#イサム・ダイソン|イサム・ダイソン]]と[[#ガルド・ゴア・ボーマン|ガルド・ゴア・ボーマン]]。幼馴染の二人は、7年前のある事件をきっかけに袂を分かっていた。

そして二人は、偶然にも幼なじみの音楽プロデューサー、[[#ミュン・ファン・ローン|ミュン・ファン・ローン]]と再会し、彼女を巡る[[三角関係]]でも火花を散らす。しかしミュンは、絶大な人気を有する[[人工知能]]のヴァーチャル・アイドル、「[[シャロン・アップル]]」の秘密に深く関わっていた。かつて歌手を目指しながらも夢を諦め、不完全な人工知能のシャロンを裏で操る役目を担っていたミュンは、いつまでも子供のように夢を追い続けるイサムとガルドを前にして自己嫌悪に陥りながらも、二人のあいだで心が揺れ動く。

シャロンのエデンでの公演が終わり、ミュンは新たな興行のため大戦終結30周年記念式典が行われる地球のマクロス・シティへと向かう。一方、上層部の意向により、統合軍は有人可変戦闘機に代わる無人戦闘機の制式採用を決定し、スーパー・ノヴァ計画は中止となる。これに不満を持ったイサムは無断でYF-19を持ちだし、新型戦闘機の採用発表が行われる地球へと突入する。ガルドがこれを追撃し、二人は大気圏内で激しいドッグファイトを繰り広げる。その果てに、みずから封じていた7年前の記憶がガルドの脳裏によみがえり、非が自身にあったことを思い出し、イサムと和解する。


そこに、人工知能を偏愛するエジニアの手によって自我に目覚め、マクロス・シティ支配したシャロンが操る無人戦闘機[[ゴースト (マクロスシリーズ)#X-9|ゴーストX-9]]が襲いかかる。ガルドはゴーストの相手を引き受け、イサムはシャロンに捕らわれたミュン救出向かう。ガルドゴーストは激闘のすえにり、イサムはシャロンの歌に取り込まれかけながらも、ミュンの歌を聞いて意識を取り戻、シャロンの制御コンピュータを破壊しミュンとの再会を果たす。
シャロンによってマクロス・シティの情報ネットワークは掌握され、その場の人々の精神はその歌声に支配されてゆく。イサムは地球の防衛網を突破て大気圏に突入するが、そこへ追撃要請を受けガルドのYF-21が現れ、ふたりは口喧嘩を交えながら激しい[[ドッグファイト]]を繰り広げる。その果てにガルドは、7年前にミュンを傷つけたのがイサムではなく自分自身であり、それを恥じて記憶を封じ込めていたことを思い出す。罪の意識にさいなまれるガルドをイサムは受け入れ、友情を取り戻す。そこへイサムへの歪んだ愛を向けるシャロンが操るゴーストX-9が襲いかかる。ガルドは捕らわれたミュンをイサムに託してゴーストの相手を引き受け、イサムはミュン救出すべく、シャロンの支配を受け浮上したマクロスへと向かう。無人機の機動力に勝ち目がないと判断したガルドは、YF-21のリミッターを解除し、壮絶な追撃の果てにゴーストる。イサムはシャロンの歌に取り込まれかけながらも、聞こえてきたミュン自身の歌によって意識を取り戻すと砲火をくぐり抜けてマクロスの情報ネット中枢とシャロンのブラックボックスを破壊しミュンとの再会を果たす。
<!--【注意】あらすじは結末に至るまでを記すことが推奨されています。「ネタバレ」への配慮や、閲覧者の期待を煽るような記述は必要ありません。-->
<!--【注意】あらすじは結末に至るまでを記すことが推奨されています。「ネタバレ」への配慮や、閲覧者の期待を煽るような記述は必要ありません。-->


== 登場人物 ==
== 登場人物 ==
「英」は英語吹き替え版のキャスト(第4話は[[バンダイビジュアル]]版) <ref name="IMDb">{{Cite web |url=https://www.imdb.com/title/tt0110426/fullcredits |title=Macross Plus (TV Mini Series 1994) - “Cast” credits |website=IMDb |publisher=IMDb.com, Inc. |language=en |date= |accessdate=2024-08-14}}</ref><ref name="CBR2023-08-02">{{Cite web|author=Timothy Blake Donohoo |url=https://www.cbr.com/best-macross-series-releasing-outside-japan/ |title=The Best Macross Anime Is Rereleasing Outside Japan — Here's Why That Matters |website=CBR |publisher=Valnet Inc. |language=en |date=2023-08-02 |accessdate=2024-08-14}}</ref>。
; {{Anchors|イサム・ダイソン}}イサム・ダイソン
; {{Vanc|イサム・ダイソン|イサム}}
: [[声優|声]] - [[山崎たくみ]] / 英 - [[ブライアン・クランストン|リー・ストーン]]
: [[声優|声]] - [[山崎たくみ]] / 英 - [[ブライアン・クランストン|リー・ストーン]]、{{仮リンク|デヴィッド・ヘイター|en|David Hayter}}(第4話)
: 本作の主人公。フルネームは'''イサム・アルヴァ・ダイソン'''。階級は中尉。24歳。テストパイロットとして新星インダストリー社の新型可変戦闘機[[VF-19 エクスカリバー#マクロスプラス|YF-19]]を担当する。ガルドとミュンとは旧知の仲。幼少より大空を飛ぶことに魅せられ、ダルメシアン・ハイスクール時代のある事件をきっかけに惑星エデンを離れ、統合軍にパイロットとして入隊。腕前は超一流であり、エースパイロットの証「[[ロイ・フォッカー]]勲章」を3度受章しているが、自由奔放な性格で軍規違反を繰り返し、前述勲章を3度とも剥奪されるほどの問題児でもある。統合軍内をたらい回しにされ、辺境でゼントラーディ残存兵と戦っていたが、[[テストパイロット]]を何人も病院送りにした「じゃじゃ馬」YF-19のテストパイロットとしてエデンへと戻ってきた。
: 本作の主人公。フルネームは「イサム・アルヴァ・ダイソン(Isamu Alva Dyson<ref name="ep1" group="*">『マクロスプラス』「Episode 1」。</ref>)」。地球出身で、2015年3月27日生まれの24歳{{R|ep1|group=*}}。階級は中尉。テストパイロットとして[[マクロスシリーズの用語一覧#新星インダストリー|新星インダストリー]]社の新型可変戦闘機[[VF-19 エクスカリバー#YF-19|YF-19]]を担当する。ガルドとミュンとは旧知の仲。幼少のころより大空を飛ぶことに魅せられ、惑星エデンのダルメシアン・ハイスクールで、ガルドとともに手作りのエアプレーンを飛ばすことに夢中になっていた。ハイスクール時代のある事件をきっかけにエデンを離れ、統合軍にパイロットとして入隊した。腕前は超一流だが自由奔放かつ無鉄砲で、エースパイロットの証「[[ロイ・フォッカー]]勲章」を3度受章しながらすべて剥奪されている{{R|ep1|group=*}}。常習的な軍規違反で統合軍内をたらい回しにされ、辺境でゼントラーディ残存兵と戦っていたが、テストパイロットを何人も病院送りにした「じゃじゃ馬」YF-19のテストパイロットとして7年ぶりにエデンへと戻ることになる。
: [[小太刀右京]]による小説版『[[マクロスF#小説|マクロスF]]』や、『[[劇場版 マクロスF|劇場版 マクロスF 恋離飛翼 〜サヨナラノツバサ〜]]』にも登場する。{{Main|マクロスFの登場人物#イサム・ダイソン}}
: [[小太刀右京]]による小説版『[[マクロスF#小説|マクロスF]]』や、『[[劇場版 マクロスF|劇場版 マクロスF 恋離飛翼 〜サヨナラノツバサ〜]]』にも登場する。{{Main|マクロスFの登場人物#イサム・ダイソン}}
; {{Anchors|ガルド・ゴア・ボーマン}}ガルド・ゴア・ボーマン
; {{Vanc|ガルド・ゴア・ボーマン|ガルド}}
: 声 - [[石塚運昇]]{{efn2|2018年8月に石塚が死去したことにより、2019年のゲーム『[[歌マクロス スマホDeカルチャー]]』では[[大塚明夫]]が代役を務めている<ref>{{Twitter status2|uta_macross|1090883129643028481|4=歌マクロス公式の2019年1月31日のツイート|5=2019-01-31}}</ref>。2024年発売のゲーム『[[マクロス -Shooting Insight-]]』でも大塚が続投している<ref>{{Cite tweet|author=「マクロス -Shooting Insight-」 official |user=MACROSS_SI |number=1702970585956094124 |title=◤マクロス -Shooting Insight-◢ |date=2023-09-16 |accessdate=2023-09-30}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://macross-si.bushiroadgames.com/news/post-5/ |title=『マクロスプラス』の登場キャラクターを公開! |website=「マクロス -Shooting Insight-」 |publisher=ブシロード |date=2023-09-19 |accessdate=2023-09-30}}</ref>。}} / 英 - [[リチャード・エプカー|リチャード・ジョージ]]
: 声 - [[石塚運昇]]{{efn2|2018年8月に石塚が死去したことにより、2019年のゲーム『[[歌マクロス スマホDeカルチャー]]』では[[大塚明夫]]が代役を務めている<ref>{{Twitter status2|uta_macross|1090883129643028481|4=歌マクロス公式の2019年1月31日のツイート|5=2019-01-31}}</ref>。2024年発売のゲーム『[[マクロス -Shooting Insight-]]』でも大塚が続投している<ref>{{Cite tweet|author=「マクロス -Shooting Insight-」 official |user=MACROSS_SI |number=1702970585956094124 |title=◤マクロス -Shooting Insight-◢ |date=2023-09-16 |accessdate=2023-09-30}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://macross-si.bushiroadgames.com/news/post-5/ |title=『マクロスプラス』の登場キャラクターを公開! |website=「マクロス -Shooting Insight-」 |publisher=ブシロード |date=2023-09-19 |accessdate=2023-09-30}}</ref>。}} / 英 - [[リチャード・エプカー|リチャード・ジョージ]]、{{仮リンク|マイケル・グレゴリー (俳優)|en|Michael Gregory (actor)|label=マイケル・グレゴリー}}(第4話)
: ゼネラル・ギャラクシー社の開発主任兼テストパイロット。25歳。新型可変戦闘機[[VF-22 シュトゥルムフォーゲルII#YF-21|YF-21]]を担当する。沈着冷静だが、イサムは意地を張りあうライバル同士。[[ゼントラーディ]]と地球人の共存により生まれた混血児(いわゆるピースチルドレン)で、[[遺伝]]により明晰な頭脳と屈強な肉体をえている。しかし、成長とともに巨人族の血の発作的な攻撃衝動に襲われ、ひそかに抑制薬を服用していたが、これがのちのちテスト中に重大な事件を引き起こす。
: [[マクロスシリーズの用語一覧#ゼネラル・ギャラクシー|ゼネラル・ギャラクシー]]社の開発主任兼テストパイロット。25歳。新型可変戦闘機[[VF-22 シュトゥルムフォーゲルII#YF-21|YF-21]]を担当する。冷静沈着だが、イサムに対して憎悪の感情を向け、意地を張りあう。巨人族[[ゼントラーディ|ゼントラーディ人]]と地球人の共存により生まれた混血児(いわゆるピースチルドレン)で、遺伝により明晰な頭脳と屈強な肉体をそなえている。しかし、成長とともに巨人族の血の発作的な攻撃衝動に襲われるようになり、ひそかに抑制薬を服用していたが、これがテスト中に重大な事件を引き起こす。
: 7年前までは幼馴染であるイサムやミュンとの関係は良好であった。しかし、父親が亡くなり悲しむミュンをイサムが慰めていたところを見て、破壊衝動を抑えきれずミュンに襲い掛かる。これによりイサムとの関係も崩壊し、の凶行に対する後悔に耐えきれず記憶を封じ「ミュンを襲った犯人はイサムである」と思い込むことで理性を保っていた。
: 7年前までは幼なじみであるイサムやミュンとの関係は良好であった。しかし、父親が亡くなり悲しむミュンをイサムが慰めていたところを見て、破壊衝動を抑えきれずミュンに襲い掛かる。これによりイサムとの関係も崩壊し、自身の凶行に対する後悔に耐えきれず記憶を封じ「ミュンを襲った犯人はイサムである」と思い込むことで理性を保っていた。イサムとの戦いの果てに真実を思い出して和解を遂げ、ゴーストの足止めを引き受けて相討ちとなる
; {{Vanc|ミュン・ファン・ローン|ミュン}}
: OVA版と映画版では、最後のゴーストX-9と決着をつけるシーンが変更されている。
; {{Anchors|ミュン・ファン・ローン}}ミュン・ファン・ローン
: 声 - [[深見梨加]]、歌 - [[新居昭乃]] / 英 - アン・シャーマン、歌 - ミシェル・フリン
: 声 - [[深見梨加]]、歌 - [[新居昭乃]] / 英 - アン・シャーマン、歌 - ミシェル・フリン
: イサムとガルドの幼馴染み。23歳の中国系白人<ref>『マクロスプラス MOVIE EDITION』『マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!』劇場パンフレット、ビックウエスト、1995年</ref>。幼少より歌を愛し、歌手になることを志していた。ハイスクールのマドンナ的存在だったが、ある事件をきっかけに地球に渡り、一度は歌を捨てる。7年後にシャロン・アップル・プロジェクトのプロデューサーとしてエデンに戻り、イサムとガルドとの恋の板挟みで苦悩する。持ち歌「VOICES」はハイスクール時代に作ったもの
: イサムとガルドの幼なじみ。23歳の中国系白人{{Sfn|パンフレット|loc=「THE CHARACTERS & THE CAST」}}。幼少のころより歌を愛し、歌手になることを志していた。ダルメシアン・ハイスクールのマドンナ的存在だったが、ある事件をきっかけに地球に渡り、歌を捨てる。7年後にシャロン・アップル・プロジェクトのプロデューサーとしてエデンに戻り、思いがけず再会したイサムとガルドとの恋の板挟みで苦悩する。
; シャロン・アップル
; {{Vanc|シャロン・アップル|シャロン}}
: 声 - [[兵藤まこ]]、歌 - [[新居昭乃]]、[[菅野よう子#Gabriela Robin|Gabriela Robin]]、[[ウヨンタナ|Wu yun ta na]]、[[メロディー・セクストン|Melodie Sexton]]、{{仮リンク|Raiché Coutev Sisters|en|Raiché Coutev Sisters}} / 英 - [[メローラ・ハート]]、 {{仮リンク|ブリジット・ホフマン|en|Bridget Hoffman}}(第4話)
: 声 - [[兵藤まこ]] / 英 - [[メローラ・ハート]]
: 人工知能によって2039年に生まれ、2040年には銀河系最大の人気となった[[バーチャルアイドル]]。ファンの声援に呼応して、その容姿、歌声は幾重にも変化する。
: [[人工知能]]によって2039年に生まれ、2040年には銀河系最大の人気となった[[バーチャルアイドル|ヴァーチャロイド・アイドル]]。ファンの声援に呼応して、その容姿、歌声は幾重にも変化する。
: その人工知能は感情面において未完成であり、秘密裏にミュンのサポートを受けて動いていたが、のちに「バイオニューロチップ」と呼ばれる、自己保存本能をもつ非合法のマイクロチップを組み込まれることで自我に目覚め、「シャロン・アップル事件」を引き起こす。
: {{main|シャロン・アップル}}
: {{main|シャロン・アップル}}
; {{Anchors|ミラード・ジョンソン}}ミラード・ジョンソン
; {{Vanc|ミラード・ジョンソン|ミラード}}
: 声 - [[内海賢二]] / 英 - ボー・ビリングスリー
: 声 - [[内海賢二]] / 英 - ボー・ビリングスリー
: ニューエドワード基地の司令官で、「スーパー・ノヴァ計画」の主任を務める大佐でもある。52歳。かつては[[スカル隊|スカル中隊]]所属のパイロットで[[一条輝]]の部下だった<ref group="注">その様子はドラマCD『[[超時空要塞マクロス#ドラマアルバム|超時空要塞マクロス・インサイドストーリー マクロス・クラシック]]』で描かれている。同作では声を[[石井康嗣]]が担当している。</ref>。テストフライト中の事故で左足を失い現在は義足を装着している。テストパイロットのイサムやガルドたちに毅然とした態度をとる。厳格だが度量のある「空の男」。
: ニューエドワード基地の司令官で、「スーパー・ノヴァ計画」の主任を務める大佐。52歳。かつては[[スカル隊|スカル中隊]]所属のパイロットで[[一条輝]]の部下だった{{Efn2|その様子は本作と同時期に制作されたドラマCD『[[超時空要塞マクロス#ドラマアルバム|超時空要塞マクロス・インサイドストーリー マクロス・クラシック]]』で描かれている。同作では声を[[石井康嗣]]が担当している。}}。テストフライト中の事故で左足を失い義足を装着している。イサムやガルドたちに毅然とした態度をとり、厳格だが度量のある「空の男」でもある
; {{Anchors|ヤン・ノイマン}}ヤン・ノイマン
; {{Vanc|ヤン・ノイマン|ヤン}}
: 声 - [[西村朋紘|西村智博]] / 英 - [[ダン・ウォーレン]]
: 声 - [[西村朋紘|西村智博]] / 英 - [[ダン・ウォーレン]]、[[デレク・スティーヴン・プリンス]](第4話)
: YF-19の主任設計者。そばかすが目立つ冴えない少年だが、17歳の若さで次期主力戦闘機の設計主任になった天才。機械への偏った愛情が、乗り手を選ぶYF-19の機体特性に反映されている。プライベでもシャロンを愛する凄腕の[[ハッ]]
: YF-19の主任設計者。そばかすが目立つ冴えない少年だが、17歳の若さで次期主力戦闘機の設計主任になった天才。機械への偏った愛情が、乗り手を選ぶYF-19の機体特性に反映されている。凄腕の[[ハッカ]]でもあり、シャロンを愛してハッキングを試みる。奔放なイサムに振り回されるうちに、感情の起伏が激しくなったと指摘されるようになる。スパー・ノヴァ計画が中止になると不満をあらわにし、イサムとともにYF-19を持ち出して後席でサポートするが、シャロンに操られ、イサムによって緊急脱出装置で機体から射出される
; {{Anchors|ルーシー・マクミラン}}ルーシー・マクミラン
; {{Vanc|ルーシー・マクミラン|ルーシー}}
: 声 - [[林原めぐみ]] / 英 - バンビ・ダーロ
: 声 - [[林原めぐみ]] / 英 - バンビ・ダーロ
: YF-19テストチームのオペレーター担当。21歳。そばかすが目立つ女性で、イサムに着任早々口説かれるなど、その奔放さに呆れながらも、公私ともにサポートする理解者となる。劇場版ではイサムと同衾し[[肉体関係 (隠語)|肉体関係]]となるシーンが追加されている。
: YF-19テストチームのオペレーター担当。21歳。そばかすが目立つ女性で、着任早々口説いてきたイサムの奔放さに呆れながらも、公私ともにサポートする理解者となる。
; {{Anchors|マージ・グルドア}}マージ・グルドア
; {{Vanc|マージ・グルドア|マージ}}
: 声 - [[速水奨]] / 英 - [[スティーヴン・ブルーム|デヴィッド・ルーカス]]
: 声 - [[速水奨]] / 英 - [[スティーヴン・ブルーム|デヴィッド・ルーカス]]
: ミュンの補佐役で、シャロン・アップル・システムの開発者。23歳。人工知能に偏執的な愛情を注ぎ、統合軍と絡んで暗躍する。
: ミュンの補佐役で、シャロン・アップル・システムの開発者。23歳。人工知能に偏執的な愛情を注ぎ、統合軍と絡んで暗躍する。非合法のバイオニューロチップをシャロンに組み込んで完全な自我を生じさせ、マクロス・シティが掌握される光景を眺めて笑みを浮かべつつ、マクロスからその身を投げる。
; {{Anchors|レイモンド・マーリー}}レイモンド・マーリー
; {{Vanc|レイモンド・マーリー|レイモンド}}
: 声 - [[銀河万丈]]/英 - [[ボブ・パーペンブルック]]
: 声 - [[銀河万丈]] / 英 - [[ボブ・パーペンブルック]]
: 芸能会社アップルエージェンシーの社長。コンサートツアーの統括責任者。
: 芸能会社アップルエージェンシーの社長。シャロンのコンサートツアーの統括責任者。エデンでの公演を終えて地球の式典を訪れるが、シャロンにバイオニューロチップを搭載したことをマージに告げられ、コンサートを中止しようとして射殺される
; {{Anchors|ケイト・マッソー}}ケイト・マッソー
; {{Vanc|ケイト・マッソー|ケイト}}
: 声 - [[高乃麗]]
: 声 - [[高乃麗]] / 英 - スーザン・ジョーダン
: イサムやガルド、ミュンの元同級生。開放的で世話好きな二児の母親。
: イサムやガルド、ミュンの元同級生。開放的で世話好きな二児の母親。再会したミュンが歌を拒むのを見て心配し、元気づけようとイサムやガルドに連絡をとる
; {{Anchors|モーガン・マッソー}}モーガン・マッソー
; {{Vanc|モーガン・マッソー|モーガン}}
: 声 - [[屋良有作]]
: 声 - [[屋良有作]] / 英 - ダガリー・グラント
: ケイトの夫。ジャーナリスト。イサムやガルド、ミュンの元同級生で、ハイスクール時代からイサムに対し熱狂的ともいえるシンパシーを抱いている。
: ケイトの夫。ジャーナリスト。イサムやガルド、ミュンの元同級生で、ハイスクール時代からイサムに対し熱狂的ともいえるシンパシーを抱いている。
; {{Anchors|ゴメス}}ゴメス将軍
; {{Vanc|ゴメス将軍|ゴメス}}
: 声 - [[北村弘一]] / 英 - リチャード・バーンズ
: 声 - [[北村弘一]] / 英 - リチャード・バーンズ
: スーパーノヴァ計画の監督者。有人戦闘機の存続については否定的な見解を持つ。
: スーパーノヴァ計画の監督者。有人戦闘機の存続については否定的な見解を持つ。
; {{Anchors|ヒギンズ}}ヒギンズ総司令
; {{Vanc|ヒギンズ総司令|ヒギンズ}}
: 声 - [[佐藤正治 (声優)|佐藤正治]]
: 声 - [[佐藤正治 (声優)|佐藤正治]]
: 新統合軍の最高責任者。無人戦闘機計画とシャロン・アップル・プロジェクトを後援する。
: 新統合軍の最高責任者。無人戦闘機計画とシャロン・アップル・プロジェクトを後援する。


== 登場メカ ==
== 登場メカ ==

; バトルスーツ
=== 主要可変戦闘機 ===
: はぐれゼントラーディの使用しているパワードスーツ。色はブラウン。
; YF-19
; [[VF-11 サンダーボルト|VF-11B サンダーボルト]]
: 新星インダストリーの開発した可変戦闘機。2040年現在における新統合軍の主力兵器だが、すでに旧式化しており、次世代機の開発が始まっている。オプションとしてスーパーパック、固体燃料ロケットブースターを装備する。
: 次期主力戦闘機開発プロジェクト「スーパー・ノヴァ」計画で次期主力機の座を狙う新星インダストリーの機[[前進翼]]を採用しており、優れた運動性能と引き換えに操縦には高度な技量を要す。テストパイロットはイサム・ダイソン。クリーム色に黒と赤のカラーリング。オプションとして陸戦パック、ファスパック、フォールドブースターを装備する。
: {{Main|VF-19 エクスカリバー#YF-19}}
; VF-11 無人機仕様
; YF-21
: VF-11の無人機仕様。オレンジ色に塗装されており、ゴーストのテストに使用される。
: スーパー・ノヴァ計画でYF-19と次期主力機の座を争っているゼネラル・ギャラクシー社の機体。脳波コントロールシステム「BDI(Brain Direct Image)」を採用している。テストパイロットはガルド・ゴア・ボーマン。色は青。オプションとしてファストパック、フォールドブースターを装備する。
; [[VF-19 エクスカリバー|YF-19]]
: {{Main|VF-22 シュトゥルムフォーゲルII#YF-21}}
: スーパーノヴァ計画でYF-21と次期主力機の座を争っている新星インダストリー社の機体。[[前進翼]]を採用しており、優れた運動性能と引き換えに操縦には高度な技量を要する。テストパイロットはイサム・ダイソン。クリーム色に黒と赤のカラーリング。オプションとして陸戦パック、ファストパック、フォールドブースターを装備する。
; VF-11B サンダーボルト
; [[VF-22 シュトゥルムフォーゲルII#YF-21|YF-21]]
: 新星インダストリーの開発した可変戦闘機。2040年現在における新統合軍の主力兵器だが、すでに旧式化しており、次世代機の開発が始まっている。オプションとしてスーパーパック、固体燃料ロケットブースターを装備する。OVA版でイサムが物語の最初に搭乗している機体。
: 次期主力戦闘機開発プロジェクト「スーパーノヴァ」計画でYF-19と次期主力機の座を争っているゼネラル・ギャラクシー社の機体。脳波コントロールシステムを採用している。テストパイロットはガルド・ゴア・ボーマン。色は青。オプションとしてファストパック、フォールドブースターを装備する。
: {{Main|VF-11 サンダーボルト#VF-11B}}

=== 統合軍の兵器 ===

==== ニューエドワーズ基地の兵器 ====
; {{Vanc|8発全翼巨人爆撃機}}
: 全長約70 - 80メートルにもおよぶ超巨大な爆撃機。翼下に4機のターゲット・ドローンを懸架できる。
: 『[[マクロス VF-X2]]』では「ウイングスロップ SB-10/10 スターウイング(WINGTHROP SB-10/10 STARWING)」と命名されている。
; {{Vanc|ターゲット・ドローン}}
: オレンジ色にペイントされた無人機。機首にビーム砲を持ち、ハイ・マニューバミサイルを6機搭載可能。
; [[ゼントラーディ軍の兵器#ヌージャデル・ガー|ヌージャデル・ガー]]
; [[ゼントラーディ軍の兵器#ヌージャデル・ガー|ヌージャデル・ガー]]
: 第一次星間大戦でゼントラーディ軍が使用していたパワードスーツ。色はディープグリーン。ペイント弾を使用した演習の標的機として登場。
: 第一次星間大戦でゼントラーディ軍が使用していたパワードスーツ。色はディープグリーン。ペイント弾を使用した演習の標的機として登場。
; [[VF-1 バルキリー|VF-1J バルキリー]]
; [[VF-1 バルキリー#VF-1J|VF-1J バルキリー]]
: 第一次星間大戦で地球統合軍が使用していた可変戦闘機。色は白地に黒いラインが入っている。ペイント弾を使用した演習標的機として登場。
: 第一次星間大戦で地球統合軍が使用していた可変戦闘機。白地に黒いラインが入っている。ペイント弾を使用した演習で、標的機のヌージャデル・ガーによって盾にされる機体として登場。
; [[デストロイド|デストロイド・モンスター]]
; [[デストロイド#モンスター|デストロイド・モンスター]]
: 第一次星間大戦で地球統合軍が使用していたデストロイド。YF-19の陸戦パックの実弾を使用した演習の標的機として登場。
: 第一次星間大戦で地球統合軍が使用していた陸戦兵器[[デストロイド]]の一種。YF-19の実弾を使用した演習の標的機として登場。

; 8発全翼巨人爆撃機 (WINGTHROP SB-10/10 STARWING)
==== 地球の兵器 ====
: 全長約70 - 80メートルにもおよぶ超巨大な爆撃機。翼下に4機のターゲット・ドローンを懸架できる。『[[マクロス VF-X2]]』では'''ウイングスロップ SB-10/10 スターウイング'''と命名されている。
; SDF-1 マクロス
; ターゲット・ドローン
: 1999年に地球に落下した異星人の巨大宇宙船を地球人が改修したもの。両腕部には[[マクロス (架空の兵器)#アームド級宇宙空母|アームド級]]が接続されている。地球のマクロス・シティに鎮座している。
: オレンジ色にペイントされた無人機。機首にビーム砲を持ち、ハイ・マニューバミサイルを6機搭載可能。
: {{Main|マクロス (架空の兵器)}}
; スターラーホエール
; ゴーストX-9
: 地球とエデンをつなぐ巨大な旅客宇宙船。かつての海上客船のような外観で、海上から重力制御で浮上して宇宙に向かう。
: 無人戦闘機。有人機の耐G限界を超えた驚異的な運動性を発揮する。
; [[マクロス (架空の兵器)|SDF-1 マクロス]]
: {{Main|ゴースト (マクロスシリーズ)#X-9}}
: 1999年に地球に落下した異星人の巨大宇宙船を地球人が改修したもの。両腕部にはアームド級が接続されている。地球のマクロスシティに鎮座している。
; VF-11 無人機仕様
; [[ゴースト (マクロスシリーズ)#X-9|ゴーストX-9]]
: [[VF-11 サンダーボルト|VF-11]]の無人機仕様。オレンジ色に塗装されており、ゴーストのテストに使用される。
: 無人戦闘機。有人機の耐G限界を超えた驚異的な運動性をもつ。
; 自動防衛サテライト
; {{Vanc|自動防衛サテライト}}
: 地球の衛星軌道上を周回し、防衛ラインを形成する攻撃衛星。
: 地球の衛星軌道上を周回し、防衛ラインを形成する攻撃衛星。
; イサムのバイク
: イサムがプライベートで使用する赤いバイク。
; ガルドのスポーツカー
: ガルドの乗っている車。水素エンジンで発電し、四輪の電磁モーターを駆動する。自動車電話を搭載している。
; 病院のバイク
: イサムが病院から抜け出す時に使用したバイク。
; マクロスシティヘリ
: 地球のマクロスシティで使用されている[[複合ヘリコプター|ジェットヘリ]]。


=== ゼントラーディの兵器 ===
== 用語 ==
; {{Vanc|バトルスーツ}}
{{Main2|シリーズ共通の用語については[[マクロスシリーズの用語一覧]]を}}
: はぐれゼントラーディの使用しているパワードスーツ。色はブラウン。OVA第1話の冒頭でイサムが所属する部隊と交戦する。
: デザインは宮武が手がけており、河森より「どこの所属とも分からない残存部隊が使用しているもの」という注文を受けたといい、飛行姿勢にこだわったと述べている{{Sfn|宮武|2005|p=30}}。


=== 惑星・地名 ===
=== その他のメカ ===
; {{Vanc|スターラーホエール}}
; {{Anchors|惑星エデン}}惑星エデン
: 地球とエデンをつなぐ巨大な旅客宇宙船。かつての海上客船のような外観で、海上から重力制御で浮上して宇宙に向かう。
: 地球から10.4光年先の[[グルームブリッジ34|グロームブリッジ星系]]にある惑星。2014年に近距離宇宙移民船団が発見し、最初の移民惑星として入植が進められた<ref>『マクロスF』第1話アバンタイトル部分では、2012年にメガロード04が到達したとされている。</ref>。「[[エデン]](楽園)」の名の通り、開放的で自然豊かな土地。重力は地球よりも若干弱く、大気が濃密<ref>『[[マクロスエース]] Vol.006』230頁。</ref>。複数の衛星を持つ{{Efn2|劇場版『マクロスプラス』の「Chapter 4」では2つの[[三日月]]が見える。}}。乾燥地帯には統合軍のニューエドワーズ・テストフライトセンターがある。
; {{Vanc|マクロス・シティヘリ}}
:; 惑星エデン植民記念公園 星の丘 展望台
: 地球のマクロス・シティで使用されている[[複合ヘリコプター|ジェットヘリ]]。
:: 湾に面した丘陵地帯。発電用の風車が多数立ち並ぶ。少年・少女時代のイサム・ガルド・ミュンが手作りのエアプレーンを飛ばした場所。
:; ニューエドワーズ・テストフライトセンター
:: 惑星エデンの乾燥地帯にある統合宇宙軍施設。2039年より次期主力戦闘機開発計画「[[#用語|プロジェクト・スーパーノヴァ]]」の性能評価試験が行われる。名称の由来はアメリカ航空史の聖地・[[エドワーズ空軍基地]]で、新旧エドワーズ基地間がフォールドブースターによる可変戦闘機の地球-エデン間の最短飛行記録コースとなっている。
:; ダルメシアンハイスクール
:: イサム・ガルド・ミュンの出身高校。学園祭の時にイサムがガルドのエアプレーンを飛ばして空に巨大な翼竜の絵を描いた。
:; キャピタルシティ
:: 惑星エデンの河口付近の大都市。地球の[[サンフランシスコ]]周辺を参考にして作られており、観光スポットにもなっている。アトランティス・ドームや宇宙港などがある。
:; アトランティス・ドーム
:: マクロスを記念した大公会堂で開閉型ドームを持つ。竜鳥をかたどったモニュメントがある。シャロンがコンサートを行う。
:<!--この行は除去しないでください-->
; [[マクロスシリーズの用語一覧#マクロス・シティ|マクロス・シティ]]
: 2040年現在の[[地球]]の首都。超時空要塞マクロスを中心とした都市で、新統合宇宙政府発足30周年記念式典が行われる。


=== 生物 ===
== 設定・用語 ==
{{Main2|シリーズの基本設定|マクロスシリーズ|シリーズ共通の用語|マクロスシリーズの用語一覧}}
惑星エデンに棲息する生物。監督の[[河森正治]]は惑星エデンでは羽が生えた生物が基本だと語っている<ref>『マクロスF』BD/DVD 4巻「#10 レジェンド・オブ・ゼロ」[[オーディオコメンタリー]]。</ref>。コンセプチュアルデザイン(世界観設定)を行った[[宮武一貴]]によると、恐竜が滅びず残った世界であり、地球の哺乳類の類は生息していないと説明している。ミツメヘビトカゲ、グレートテーブルツリー、ニジイロポプラ、デザート・コーラル、カップツリー、ヒメヤシなど地球では見られない生物が棲息している。『[[マクロスF]]』にはエデン原産の生物ヒュドラが登場する。
{{Anchors|惑星・地名}}
; 竜鳥(サウロ・バード)
=== 惑星エデン ===
: 鳥類に近い形の生物。森林地帯に棲息する「巨大竜鳥」は肉食だが性格は大人しく、人目に触れることは滅多にない。翼長20数m、体重80 - 120kg。巨大な翼で水上を滑空し、長い首で水中生物を捕食する。その他、食用として飼育される牛サイズの「食用竜鳥」、20cm - 30cmサイズの「小型竜鳥」、陸を疾走する「疾走竜鳥」がいる。
地球から11.7光年先の[[グルームブリッジ34|グルームブリッジ星系]]にある惑星{{Sfn|パンフレット|loc=「MACROSS HISTORY」}}。2013年11月に近距離宇宙移民船団が発見し、最初の移民惑星として入植が進められた{{Sfn|パンフレット|loc=「MACROSS HISTORY」}}{{Efn2|『マクロスF』第1話アバンタイトル部分では、2012年に[[メガロード-01|メガロード-04]]が到達したとされている。}}。「[[エデン]](楽園)」の名のとおり開放的で自然豊かな土地であり、観光地として都市開発も進められている。重力は地球よりも若干弱く、大気が濃密<ref name="MA6-230">『[[マクロスエース]] Vol.006』角川書店、2010年、230頁。</ref>。空には2つの月が描かれている。
;フライングアップル
:樹の幹から垂れた枝が根を張るエデン特有の植物。熟した実は枝から伸びた根が切れると空に飛び上がるためフライングアップルと呼ばれる。実は[[ビワ]]のような形状。作中でイサムとミュンが齧ったものは苦いと感想を述べている。


=== 技術 ===
==== 地名・施設 ====
; {{Vanc|ニューエドワーズ・テストフライトセンター|ニューエドワーズ基地}}
; [[VF-22 シュトゥルムフォーゲルII#機体解説|BDI]]
: 惑星エデンの乾燥地帯にある統合宇宙軍施設。2039年より次期主力戦闘機開発計画「スーパー・ノヴァ」の性能評価試験が行なわれる。名称の由来はアメリカ航空史の聖地・[[エドワーズ空軍基地]]で、新旧エドワーズ基地間がフォールドブースターによる可変戦闘機の地球 - エデン間の最短飛行記録コースとなっている。
: YF-21に搭載された、脳波による操縦システム。
; {{Vanc|キャピタル・シティ}}
; バイオニューロンチップ
: 惑星エデンの河口付近にある大都市。地球の[[サンフランシスコ]]周辺を参考にして作られており、観光スポットにもなっている。アトランティス・ドームや宇宙港などがある。
: [[人工知能]]に搭載される非合法のマイクロチップ。危険な自己保存本能を持つ。これによりシャロン・アップルは自我に目覚め、「シャロン・アップル事件」を引き起こす。
; {{Vanc|惑星エデン植民記念公園 星の丘 展望台|星の丘}}
: 湾に面した丘陵地帯。発電用の風車が多数立ち並ぶ。ハイスクール時代のイサム、ガルド、ミュンが手作りのエアプレーンを飛ばした場所。都市開発が進んでも手つかずのままで、イサムたち3人が7年ぶりに再会する場所となる。
; {{Vanc|アトランティス・ドーム}}
: マクロスを記念した大公会堂で、開閉型ドームを持つ。竜鳥をかたどったモニュメントがある。シャロンがコンサートを行なう。

==== 生物 ====
; {{Vanc|竜鳥|サウロ・バード}}(りゅうちょう、サウロ・バード)
: 惑星エデンに生息する鳥類に近い姿の生物。森林地帯に生息する「巨大竜鳥」は肉食だが性格は大人しく、人目に触れることはめったにない。翼長20数m、体重80 - 120kg{{R|MA6-230}}。巨大な翼で水上を滑空し、長い首で水中生物を捕食する。そのほか、食用として飼育される牛サイズの「食用竜鳥」、20cm - 30cmサイズの「小型竜鳥」、陸を疾走する「疾走竜鳥」がいる<ref>{{Cite journal |和書 |title=ワールドガイドシート 惑星エデン |journal=[[マクロス・クロニクル]] |volume= |issue=No.04 |publisher=[[ウィーヴ]]・[[小学館集英社プロダクション]] |page=22 |date=2008-09-18 }}</ref>。
; {{Vanc|フライングアップル}}
: 樹の幹から垂れた枝が根を張るエデン特有の植物。熟した実は枝から伸びた根が切れると空に飛び上がるためフライングアップルと呼ばれる。実は[[ビワ]]のような形状で、第3話でイサムとミュンがかじる場面では苦いと感想を述べる。

このほか、ミツメヘビトカゲ、グレートテーブルツリー、ニジイロポプラ、デザート・コーラル、カップツリー、ヒメヤシなど、地球では見られない生物が生息している。

舞台設定を手がけた宮武は、[[恐竜]]が滅びず残った世界であり、地球の哺乳類のたぐいは生息していないと説明している{{R|MA6-230}}。

『[[マクロスF]]』にはエデン原産の生物で、翼の生えた[[ネコ科]]哺乳類のような外見の「ヒュドラ」が登場する。同作品のオーディオコメンタリーで河森は、エデンでは羽が生えた生物が基本だと語っている<ref>『マクロスF』BD/DVD 4巻「#10 レジェンド・オブ・ゼロ」[[オーディオコメンタリー]]。</ref>。

=== 地球 ===
人類の母星。2010年のゼントラーディ軍ボドル基幹艦隊による軌道爆撃で焦土と化し、生命の大半が失われたが、クレーターに鎮座する[[マクロス (架空の兵器)|SDF-1 マクロス]]を中心に新統合政府の首都「[[マクロスシリーズの用語一覧#マクロス・シティ|マクロス・シティ]]」が築き上げられ、大都市として発展を遂げている。2040年には新統合宇宙政府発足30周年記念式典が行なわれる。

本作におけるマクロス・シティのデザインは宮武が手がけた{{Sfn|宮武|2005|p=37}}。道路から描き始め、都市に必要な機能を加味し、運河や道路には象徴性をもたせてデザインした{{Sfn|宮武|2005|p=37}}。河森からは最初「[[コンピュータグラフィックス|CG]]で半立体に起き上がらせるためのベースとして地図を描いて欲しい」という注文を受けて描いたが、互いに都市の密度についての認識が異なっており、当時の技術や処理能力では難しかったため不採用になったという{{Sfn|宮武|2005|p=37}}。

== MOVIE EDITION ==
『'''マクロスプラス MOVIE EDITION'''』(マクロスプラス ムービーエディション)は、OVA『マクロスプラス』全4話を再編集して約20分{{Sfn|パンフレット|loc=「EXPLANATION MACROSS PLUS」}}の新作カットを加えたアニメ映画。[[1995年]][[10月7日]]公開、配給は[[松竹]]、上映時間は115分<ref>{{Cite web|和書|url=https://eiga.com/movie/40903/ |title=マクロスプラス MOVIE EDITION |website=映画.com |publisher=エイガ・ドット・コム |accessdate=2024-06-30}}</ref>。『プラス』と並行制作されたテレビアニメ『[[マクロス7]]』の番外編『[[マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!|劇場版マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!]]』との同時上映で、「マクロスフェスティバル ’95」と銘打たれ公開された。

基本構成はOVA版のシーンを再編集しつつ、若干のストーリー変更が行われている。OVA版は当初から劇場版を念頭に置いて制作されており、各巻ごとにエピソードを振り分けたかたちになっている{{Sfn|パンフレット|loc=「SPECIAL INTERVIEW SHOJI KAWAMORI」}}。再編集にともなう時系列の入れ替えなどにより序盤の展開が速くなっているが、そのぶん新作カットが加えられ、とりわけ終盤がボリュームアップされている{{Sfn|クロニクル新訂版53|p=19}}。特に最終盤のYF-21がゴーストX-9の発射したミサイルを全弾回避するシーンは5秒間でセル画116枚<ref>{{Cite web|和書|author=あにぶ編集部 |url=https://anibu.jp/20170825-macross-movieedition-58676.html |title=白熱のドッグファイト!「 マクロスプラス MOVIE EDITION 」 |website=アニメコラムサイト「あにぶ」 |publisher=あにぶ運営委員会 |date=2017-08-25 |accessdate=2023-06-21}}</ref>が使用され、そのクオリティの高さは「伝説の5秒」とも評されている{{Sfn|クロニクル新訂版74|p=19}}<ref>{{Cite web|和書|author=宮本裕也 |url=https://maidonanews.jp/article/12214883 |title=「伝説の5秒」がアップデート マクロス爆音映画祭に行ってきた |website=まいどなニュース |publisher=神戸新聞社 |date=2019-02-28 |accessdate=2023-06-21}}</ref>。OVA版の制作時から、劇場用に作られていたカットも存在する{{Sfn|アニメージュ1995.10|p=24}}。挿入歌としてシャロンの曲「WANNA BE AN ANGEL」が追加されている。

日本国外では[[ビデオテープ]]と[[DVD]]が発売されたが、字幕のみで吹き替えはない{{R|CBR2023-08-02}}。

2021年、日本国内で「マクロス」の権利を有する[[ビックウエスト]]、[[スタジオぬえ]]と、国外で「[[ロボテック]]」として権利を有する[[ハーモニーゴールド USA]]とのあいだで合意が締結されたことで「マクロス」の世界展開が可能になり、同年12月14日より本作が北米で劇場公開されることになった<ref>{{Cite web|和書|author=勝田哲也 |url=https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1366658.html |title=映画「マクロスプラス」、北米での劇場公開が12月14日より開始! |website=GAME Watch |publisher=インプレス |date=2021-11-16 |accessdate=2021-11-20 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://mantan-web.jp/article/20211119dog00m200065000c.html |title=マクロス:世界展開を宣言 「マクロスプラス -MOVIE EDITION-」海外初上映 |website=MANTANWEB(まんたんウェブ) |publisher=MANTAN |date=2021-11-20 |accessdate=2021-11-20 }}</ref>。

=== OVA版との差異 ===
{{Seealso|[[#あらすじ|あらすじ]]}}

劇場版では物語の序盤でイサムがニューエドワーズ基地に着任してすぐにYF-19を操縦することになっており{{Sfn|クロニクル新訂版53|p=20}}、上空から自由落下して地上付近で回避する場面が追加され、ほかにミュンがレイモンドにシャロンへの懸念を語る場面なども新たに加わっている{{Sfn|クロニクル新訂版53|p=21}}。

イサムとルーシーの恋愛にまつわる場面も追加されて夜のデートとベッドシーンが描かれ、ミュンが火災に巻き込まれる場面ではイサムが救出に向かうことはなくなっている{{Sfn|クロニクル新訂版53|p=22}}。

OVA版の第2話ラストでイサム機がガルド機との格闘中に実弾を受ける場面はカットされており、OVA版の第1話における演習場面が前後の場面とつなげられ、イサムはここの事故で重傷を負うことになっている{{Sfn|クロニクル新訂版53|p=22}}{{Sfn|クロニクル新訂版74|p=17}}。

物語後半ではルーシーとミラードの会話場面が追加され、ミラードが若いころにイサムと同じく機体を無断で持ち出したことがあると語る{{Sfn|クロニクル新訂版74|p=18}}。

終盤はリミッターを解除したYF-21とゴーストX-9の決戦場面が大きく拡充されている(いわゆる「伝説の5秒」){{Sfn|クロニクル新訂版74|p=19}}。最終局面ではイサムの少年時代の回想や、ミュンが破壊されたシャロンの中枢部を抱擁してチップを引き抜く場面、再会を果たしたイサムとミュンの対話などが追加されている{{Sfn|クロニクル新訂版74|p=20}}。

== 作品解説 ==
{{Seealso|マクロス7#作品解説}}

=== 企画 ===
本作はもともと実写映画をはじめとしてテレビアニメとOVA、その劇場版からなる「マクロス4大プロジェクト」の一環として企画された<ref name="AM1994-11">{{Cite journal |和書 |journal=[[アニメージュ]] |issue=1994年11月号 |page=8 |publisher=[[徳間書店]] |date=1994年10月 }}</ref>。製作会社[[ビックウエスト]]の大西加紋は、[[アメリカ合衆国]]より[[ハリウッド]]での実写映画化企画を持ちかけられた際、当時の子供のあいだでは『マクロス』の知名度が低かったことから、日本国内でも新作を展開して人気を盛り上げようという意図と、[[バンダイ]]が「[[ガンダムシリーズ一覧|ガンダム]]」のプラモデル([[ガンプラ]])に並ぶヒット商品を求めていたという背景があったことを明かしている{{Sfn|アニメージュ1994.10|p=27}}。このプロジェクトのうち、実写映画だけは実現しなかった([[マクロスシリーズ#幻の企画|別項目参照]])。

『超時空要塞マクロス』を手がけた当時の[[河森正治]]は「同じことは二度とやらない」という意識が強く、劇場版『愛・おぼえていますか』(1984年)やミュージックビデオ『[[超時空要塞マクロス Flash Back 2012]]』(1987年)はメディアが変わることを条件に受け入れて制作し、プラモデル企画「[[マクロスシリーズ#幻の企画|アドバンスドバルキリー]]」にも携わっていたが、オリジナル企画を考えても通らずに10年が経過したころ、[[バンダイビジュアル]]のプロデューサーで、河森の学校の後輩でもあった[[高梨実]]に「時効」だと声をかけられた{{Sfn|グレートメカニックG2024春|p=34}}<ref name="HJ2024-04-13">{{Cite web|和書|url=https://hjweb.jp/article/1456828/ |title=30周年記念特別企画座談会 『マクロス7』&『マクロスプラス』河森正治×BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部×BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部 |website=Hobby JAPAN Web |publisher=ホビージャパン |date=2024-04-13 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。その言葉を聞いて河森は1週間の時間をもらい、新しいアイデアを思いつけば引き受けようと考えた結果、旧作ファンやメカファンから「総スカン」を食らう覚悟で『マクロス7』の原型となる「戦わずに歌うパイロット」という着想に至り、その一方で従来のファンに向けて、正反対となるリアル路線の『マクロスプラス』のアイデアを用意し、どちらもできるのであれば引き受けると高梨に伝えたところ、数日後に両方通ったと連絡を受けたという{{Sfn|グレートメカニックG2024春|p=34}}{{R|HJ2024-04-13}}{{Sfn|フィギュア王314|p=40}}{{Efn2|高梨は1997年のインタビューで「まず劇場版とビデオ版の『マクロスプラス』というのがあって、それからテレビの『マクロス7』の話が持ちあがって……」と答えており<ref>『[[マクロス デジタルミッション VF-X|マクロスデジタルミッションVF-X]] 最強攻略ガイド』小学館、1997年、110頁、{{ISBN2|4-09-102577-3}}。</ref>、河森も1995年に発売されたムックのインタビューでは「まず先に(中略)『マクロスプラス』のイメージが固まりました」と語っている<ref>『THIS IS ANIMATION Special マクロス7』小学館、1995年、56頁。</ref>。}}。同時に2作品のメカを用意しなければならないことから、『プラス』を洋画風、『7』を漫画風と作風を分け、かつ両作の時代設定を近づけて登場機の系統を共通にすることで同時進行が可能になると考えた{{Sfn|フィギュア王314|p=40}}。河森は本作の位置づけをサイドストーリー的なものであるとしており、また当時『プラス』を「青いマクロス」、『7』を「赤いマクロス」と色でたとえ、『プラス』は「温度が高くなりすぎると冷たい色に見える青い炎」のイメージで青空や大気圏を舞台にしたといい、『7』は「赤く燃える炎の、ホットな感じ」だと語った{{R|AM1994-11}}。

加えてテレビアニメではメカ描写に限界があるため、テレビアニメは歌、OVAはメカに振り分けるという意図も河森にはあった{{Sfn|グレートメカニックG2024春|p=34}}。大西加紋も、週に1本ペースのテレビは「マニア層」を納得させるだけの水準維持が難しく、逆にクオリティを高くできるビデオはペースが遅いという欠点があることから、両方が必要だという考えを述べていた{{Sfn|アニメージュ1994.10|p=27}}。

本作が生まれた背景には、スタジオぬえの関与なしに制作され、1992年に発売されたOVA『[[超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-]]』の存在もある<ref name="スタイル2005-02-10">{{Cite web|和書|author= |url=http://www.style.fm/as/01_talk/itano05.shtml |title=animator interview 板野一郎(5) |website=WEBアニメスタイル |publisher=スタジオ雄 |date=2005-02-10 |accessdate=2024-06-30}}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=サデスパー堀野 |url=https://dig-it.media/showa50/article/836846/ |title=マクロスを創った男たち。唯一無二のアニメーションを表現する板野一郎 |website=Dig-it |publisher=ヘリテージ |date=2024-06-05 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。[[板野一郎]]は『II』がなければ本作はやらなかったと語っており、同作を「僕達の思ってた『マクロス』と繋がっていなかった」と評し、河森にも自分と同様の気持ちがあったといい、新作の誘いを受けた際に「10年経っただけ進化したものにしたい」ということで、10年間の自分たちの成長過程を画で表現することに挑戦したという{{R|スタイル2005-02-10}}。

=== 新規スタッフ ===
河森総監督のもとで監督に起用された[[渡辺信一郎 (アニメ監督)|渡辺信一郎]]は、本作が監督デビューとなる<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinra.net/article/column-hamamatsu-talk1-php |title=菅野よう子×神山健治×渡辺信一郎『音楽がアニメーションをどう変えるか』第1部 |website=CINRA |publisher=CINRA |date=2009-11-24 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。渡辺はもともと実写映画志望で{{Sfn|パンフレット|loc=「STAFF COMMENTS」}}、現場慣れしていない河森のフォローと、多様なアイデアを取り入れるための起用であったといい、[[プロット (物語)|プロット]]の作成段階から参加して[[絵コンテ]]も担当している{{Sfn|アニメージュ1995.2|p=24}}。脚本には実写ドラマを手がけていた[[信本敬子]]が起用され、河森は感情描写や台詞の発想に刺激を受けたという{{R|HJ2024-04-13}}。板野は、「大人のドラマ」を描きたいという目標において渡辺や信本の果たした役割は大きく、河森だけでは[[大林宣彦]]風の「綺麗な恋愛関係」で終わるところ、渡辺が入ることで大人っぽくなったと述べている{{R|スタイル2005-02-10}}。音楽を手がける[[菅野よう子]]は、本作において初めて単独でアニメのサウンドトラックを担当した([[#音楽|後述]])。本作で出会った渡辺、信本、菅野は、のちに結集してテレビアニメ『[[カウボーイビバップ]]』を手がけることになる<ref name="アキバ総研2019-02-12">{{Cite web|和書|url=https://akiba-souken.com/article/38479/ |title=「Gガンダム」「マクロスプラス」など平成6年のアニメ! |website=アキバ総研 |publisher=カカクコム |date=2019-02-12 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。

本作のオリジナルキャラクターデザインは[[摩砂雪]]が担当{{Sfn|アニメージュ1994.10|p=37}}{{R|スタイル2005-02-10}}。そのほか、第2話、第3話の絵コンテ担当に[[樋口真嗣]]{{Sfn|アニメージュ1995.2|p=24}}、シャロンのコンサートシーン担当に[[森本晃司 (アニメーター)|森本晃司]]{{Sfn|アニメージュ1995.2|p=24}}、[[原画]]スタッフに[[庵野秀明]](第1話){{Efn2|YF-21の離陸シーンを担当{{Sfn|アニメージュ1994.10|p=37}}<ref name="ダ・ヴィンチ2013-07-29">{{Cite web|和書|author=柳井洋二 |url=https://ddnavi.com/interview/140337/a/ |title=18年の歳月を経て甦る『マクロスプラス』発売記念上映会レポート |website=ダ・ヴィンチ |publisher=KADOKAWA |date=2013-07-29 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。庵野は新人時代、『超時空要塞マクロス』、『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』に参加している<ref>{{Cite web|和書|url=https://moviewalker.jp/news/article/51901/ |title=庵野秀明が自身のキャリアを振り返る!【アニメーター編】師匠でもある天才・宮崎駿の仕事を大いに語る!Part1 |website=MOVIE WALKER PRESS |publisher=ムービーウォーカー |date=2014-10-30 |accessdate=2024-07-03}}</ref>。}}ら著名なクリエイターが名を連ねている。また板野は、自身が目をかけて第4話でメカ作画監督を担当した[[後藤雅巳]]、板野を慕って集まった[[村木靖]]、[[鴨川浩]]といった面々も作品の完成度に貢献したと語っている{{R|スタイル2005-02-10}}。

=== テーマ ===
河森は、『超時空要塞マクロス』では歌の力で戦争が終結に導かれるという物語が描かれたが、本作では反対に歌の力が[[マインドコントロール]]的なところまで暴走したときの問題をテーマに掲げている{{Sfn|パンフレット|loc=「SPECIAL INTERVIEW SHOJI KAWAMORI」}}。シャロンは当初、当時最先端だった[[バイオテクノロジー]]をモチーフとしていたが、人間との差別化が難しいためバーチャルアイドルとAI(人工知能)に変更した{{R|HJ2024-04-13}}。こうしたテーマを選んだことについて河森は当時、メディアによる[[催眠]]効果に関心があったと語っている{{R|mantan2014-07-17}}。また河森は当時からAIの進歩による無人機の台頭やCG([[コンピュータグラフィックス]])の普及を予測しており、「最後の有人戦闘アニメ」をやろうと考えたという<ref>{{Cite web|和書|author=永井和幸 |url=https://funs-project.com/cretalk/003/ |title=重神機パンドーラ-前野智昭×河森正治 |website=FUN'S PROJECT |publisher=大日本印刷 |date= |accessdate=2024-06-30}}</ref>。人間と機械の対立というコンセプトはありふれていたため、本作では双方に存在する魅力と危うさのようなものを描きたかったとしており、両者の組み合わせをさまざまなかたちで採用している{{Sfn|パンフレット|loc=「SPECIAL INTERVIEW SHOJI KAWAMORI」}}。渡辺も、イサムとガルド、ミュンとシャロンの「どちらが正しいとは言えない」という点を見どころとして挙げている{{Sfn|パンフレット|loc=「STAFF COMMENTS」}}。

河森はまた、小さな青春物語や友情物語を最新鋭戦闘機とバーチャルリアリティのテクノロジーで拡大して見せるとどうなるかという試みでもあったと語る{{Sfn|アニメージュ1995.10|p=26}}{{Sfn|パンフレット|loc=「SPECIAL INTERVIEW SHOJI KAWAMORI」}}。対象を「スタイル」で判断しがちな傾向に対して、そこから生じる「思い込み」を意図的に外すのが河森の好みで、本作は「ものすごくシリアスな装いで、バカなストーリー」だとしており、入れているシリアスなテーマも、感じられなくてもよい程度にしているといい、並行制作の『7』のほうが重いテーマを扱っていると述べている{{Sfn|アニメージュ1995.10|p=26}}。

渡辺は「空を描く」ことが本作で最初にやりたかったことのひとつであり、ただの背景ではなく「憧れの対象」「広がりある空」として描きたかったとコメントしている{{Sfn|アニメージュ1995.10|p=24}}。板野も「きれいな空で、気持ちいい戦闘シーンを作りたい」と考え、そのために取材で実際に戦闘機の操縦を体験した{{Sfn|アニメージュ1995.10|p=24}}([[#空戦描写|後述]])。

=== デザイン・設定 ===
『超時空要塞マクロス』で主役機の[[VF-1 バルキリー]]をデザインした河森は、本作においてその後継となる可変戦闘機[[VF-11 サンダーボルト|VF-11]]、[[VF-19 エクスカリバー#YF-19|YF-19]]、[[VF-22 シュトゥルムフォーゲルII#YF-21|YF-21]]のデザインを手がけた。イサムが搭乗するYF-19は、アドバンスドバルキリーを経て『[[天空のエスカフローネ]]』の原型となった企画『空中騎行戦記』でデザインした「星嵐-99甲」をベースとしたが、ほぼ原型はとどめていない{{Sfn|グレートメカニックG2024春|p=35}}。VF-1から変形機構を抜本的に変化させることを目指しつつも、主役機としてのアイデンティティを生み出すのに苦慮したという{{R|HJ2024-04-13}}。ガルドが搭乗するライバル機のYF-21はYF-19よりも早く完成しており、当時の試作機競争のなかで河森が一番好きな[[YF-23 (航空機)|YF-23]]をモチーフに、変形機構をはじめYF-19との差別化を目指した{{R|HJ2024-04-13}}。

ゼントラーディのバトルスーツ、8発全翼巨人爆撃機、ゴーストX-9といったメカや、コクピット、パイロットスーツ、惑星エデンの風景やニューエドワーズ基地、コンサートホールなどの施設、同惑星に生息する竜鳥、地球のマクロス・シティといった舞台背景のデザインは[[宮武一貴]]が担当した{{Sfn|宮武|2005|pp=30-44}}<ref>『マクロスエース Vol.006』角川書店、2010年、230頁。</ref>。

スタジオぬえと関わりがあり、『超時空要塞マクロス』放映時にVF-1の設定を解説する同人誌を出して模型誌にも引用されるなどしていた千葉昌宏は、本作においてYF-19とYF-21の設定を依頼され、YF-19が関係するということで同時に『7』の設定も手がけて同作品に登場する[[マクロス7の登場人物一覧#ガジェット・M・千葉|Dr.千葉]]のモデルとなり、その後のシリーズ作品にも設定監修として携わることになる<ref>『マクロスFebri』一迅社、2016年、115頁。</ref>。

=== 空戦描写 ===
本作のために河森ら制作陣はアメリカ合衆国で取材を重ね、[[エドワーズ空軍基地]]やドライデン飛行研究センター(現在の[[アームストロング飛行研究センター]])を訪れて参考にした{{R|HJ2024-04-13}}。

エアコンバットUSA([https://aircombat.com/ 公式サイト])では河森と板野が実際に[[北大西洋条約機構|NATO]]の練習機に搭乗して模擬空中戦をおこない<ref name="そこあに2013-05-17">{{Cite web|和書|author= |url=https://sokoani.com/archives/5898.html |title=「マクロス映画祭 春の陣2013」スペシャルトーク付上映イベントレポート |website=そこあに |publisher=HOTCAST WAVE |date=2013-05-17 |accessdate=2024-06-30}}</ref>{{R|ダ・ヴィンチ2013-07-29}}{{R|HJ2024-04-13}}、そこでの体験を劇中の空戦描写に取り入れた<ref name="GIGAZINE2010-10-31">{{Cite web|和書|url=https://gigazine.net/news/20101031-shoji-kawamori-talk-machiasobi4/ |title=これがプロフェッショナルの仕事と生き様、マクロスの河森正治監督が語る「アニメーション監督という職業」 |website=GIGAZINE |publisher=OSA |date=2010-10-31 |accessdate=2024-06-30}}</ref>{{R|HJ2024-04-13}}。河森は『超時空要塞マクロス』の企画時、飛行機に乗せてもらい刺激を受けた経験から、『プラス』では「飛行機ものをちゃんとやりたい」ということで板野とアメリカに渡り、教官同乗のもとでみずから操縦して互いに後ろを取りあった{{R|GIGAZINE2010-10-31}}。このとき板野は、自分に[[重力加速度|G]]を故意にかけて[[ブラックアウト (航空・宇宙)|ブラックアウト]]を体験した{{R|ダ・ヴィンチ2013-07-29}}。

第1話でガルドがミサイルを回避するカットは板野の手描き原画によるもの<ref name="スタイル2005-02-18">{{Cite web|和書|author= |url=http://www.style.fm/as/01_talk/itano06.shtml |title=animator interview 板野一郎(6) |website=WEBアニメスタイル |publisher=スタジオ雄 |date=2005-02-18 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。板野の原画はカット袋に入り切らず、代わりに段ボール箱を用いていたという<ref name="MA7">『マクロスエース Vol.007』角川書店、2010年、227頁。</ref>。ガルドとゴーストの最後の戦闘シーンも板野によるもので、最初は無線でガルドの死が伝わるというだけのシーンであったが、板野はこのガルドを描かなければならないと主張し、中割りができないようシートに番号を振ってランダムに割り、手ぶれ補正機能のついたカメラでも追いきれないようなかたちでGに苦しむガルドの気持ちが伝わる表現を試みた{{R|MA7}}。本作の仕事で無理をした板野は[[帯状疱疹]]を患って眠れなくなるほど悪化し、手描きに限界を感じて活動をCGメインに移していくことになる{{R|スタイル2005-02-18}}{{R|MA7}}。

=== 音楽 ===
{{Seealso|シャロン・アップル}}
音楽を担当する[[菅野よう子]]は、本作において初めて単独でアニメの[[サウンドトラック]]を手がけることになった<ref name="mora">{{Cite web|和書|author=鈴木隆詩 |url=https://mora.jp/topics/interview/post-274/ |title=フライングドッグ代表取締役・佐々木史朗さんインタビュー~アニメサントラの歴史を築いた3作品を振り返る~ |website=mora |publisher=ソニー・ミュージックソリューションズ |date=2016-01-08 |accessdate=2024-06-30}}</ref>{{Efn2|本作に先駆けて、[[溝口肇]]が音楽を手がけたOVA『[[ぼくの地球を守って#OVA|ぼくの地球を守って]]』(1993 - 1994年)にも参加している{{R|mora}}。}}。[[ハウス (音楽)|ハウス]]、[[テクノ (ダンスミュージック)|テクノ]]から、[[環境音楽|アンビエント]]、宗教・民族音楽、[[バンド (音楽)|バンド]]セッション、[[交響曲|シンフォニー]]に至るまで、本作で菅野が手がけた音楽のジャンルは多岐にわたる<ref name="MACC">{{Cite web|和書|author=不破了三 |url=https://macc.bunka.go.jp/3055/ |title=音を極める――メディア芸術の音を創造した人々 第9回 作曲家、プロデューサー・菅野よう子[後編] |website=MACC – Media Arts Current Contents |publisher=文化庁 |date=2023-10-24 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。

音楽プロデューサーの[[佐々木史朗 (音楽プロデューサー)|佐々木史朗]]([[ビクターエンタテインメント]])は、当時すでに[[コマーシャルメッセージ]](CM)の音楽を数多く手がけていてその業界では有名だった菅野を本作に起用することに決め、[[溝口肇]]のライブでピアノを弾いていた菅野に声をかけたという{{R|mora}}。菅野の起用について、佐々木によれば河森は最初、音楽性を讃えながらもCMにはないバトル曲については心配もあるという反応であったといい{{R|mora}}、渡辺も、菅野のキャラクターからスタッフのあいだでは「本当に曲を作れるのか」との声もあったが「出来上がった曲を聞いて、人を見かけで判断してはならないと思い知った」と発言している<ref>{{Cite web|和書|author=真狩祐志 |url=https://animeanime.jp/article/2009/11/04/5564.html |title=菅野よう子ワールド炸裂! 「“ささくれ”と“やさぐれ”」 |website=アニメ!アニメ! |publisher=イード |date=2009-11-04 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。

最初に発注されたのがシャロン・アップルのコンサートで用いる歌で、菅野はシャロンの設定を見て「音楽兵器」を作ろうと張り切り、その対極にあるミュンのための音楽と合わせて5曲ほどを制作した{{R|MACC}}。本作は音楽を先行して制作していたため、指示がほとんどなく自由に作曲できたという{{Sfn|パンフレット|loc=「MUSIC:YOKO KANNO 音楽:菅野よう子」}}。通常の劇伴のようにメニューやフィルムに合わせての作業ではなく、シチュエーションやテーマごとに作曲する方法であった{{R|MACC}}。上記のように音楽のジャンルは広範にわたるが、菅野は本作においてジャンルを指定されたことはなく、「私の経験と体感とイメージで勝手に見繕ったらこうなった」と語っている{{R|MACC}}。

シャロンの音楽について菅野は、本当に聴く人を「洗脳」するつもりで制作したといい、トレンドのサイクルから作品の時代における流行の音楽をイメージし、音響が脳に与える影響も考えて劇伴を作っていったと語っている<ref name="Red Bull">{{Cite web|和書|author=Akihiro Tomita |url=http://www.redbullmusicacademy.jp/jp/magazine/yoko-kanno-interview |title=INTERVIEW: 菅野よう子 |website=Red Bull Music Academy Japan |publisher=Red Bull Music Academy |date= |accessdate=2024-06-30 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20141112235228/http://www.redbullmusicacademy.jp/jp/magazine/yoko-kanno-interview |archivedate=2014-11-12 }}</ref>。コンサートシーン用の曲は宗教的な要素も柱とし、「Idol Talk」と「SANTI-U」を制作した{{Sfn|パンフレット|loc=「MUSIC:YOKO KANNO 音楽:菅野よう子」}}。当時は加減を知らず「兵器としての音楽を作りたい」と思っていたが、のちに「あの曲を聴いて空軍に入り、[[イラク戦争]]に行ってきました」「シャロン・アップルの曲で自殺を考えた」といった感想を受けて初めて音楽や音響の影響力に気が付き、怖さを感じたと述べている{{R|Red Bull}}。

楽曲の演奏には[[イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団]]が起用された{{R|mora}}<ref name="akiba2019-01-31">{{Cite web|和書|author=鈴木隆詩 |url=https://akiba-souken.com/article/38274/?page=2 |title=(2ページ目)【インタビュー】フライングドッグ10周年。その軌跡とアーティストとの関わりを、佐々木史朗社長が語る! |website=アキバ総研 |publisher=カカクコム |date=2019-01-31 |accessdate=2024-06-30}}</ref><ref name="Musicman">{{Cite web|和書|author= |url=https://www.musicman.co.jp/interview/347011 |title=第174回 株式会社フライングドッグ 代表取締役社長 佐々木史朗氏 インタビュー【前半】 |website=Musicman |publisher=エフ・ビー・コミュニケーションズ |date=2020-10-21 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。菅野の要望もあり[[イスラエル]]の[[テルアビブ]]まで向かい、レコーディングはホールにおいて2チャンネルの一発録りで実施された{{R|mora}}。佐々木は海外録音について、以前に[[モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団]]のレコーディングを経験し手応えを感じていたことと、当時は円高で海外旅行がしやすかったことを背景に挙げている{{R|akiba2019-01-31}}{{R|Musicman}}。菅野は本作で初めてオーケストラ用のスコアを書いたといい、ホールでの録音もスタジオ録音とはまったく違ったと語っている{{R|MACC}}。佐々木によると菅野は「鳴りのいいスコア」がオーケストラのメンバーに好評だったという{{R|mora}}。

シャロンの歌唱には複数のボーカリストが起用されており、このうち[[山根麻以|山根麻衣]]と[[新居昭乃]]について佐々木は「全くタイプの違う女性シンガーが、ひとりのキャラとして歌うという形式も珍しい」と述べている{{R|mora}}。歌手志望時代のミュンが歌っていたという設定の劇中歌「VOICES」も、ビクターエンタテインメントでアニメの主題歌を何度も担当しており、菅野とも知り合いだった新居に歌唱を任せた{{R|mora}}。作詞の[[菅野よう子#Gabriela Robin|Gabriela Robin]](菅野の別名義)はシャロンの曲「SANTI-U」と「Torch song」の歌唱も務めているが、菅野によると歌は本作が最初で、[[Origa]]と出会うまで理想的なボーカリストがいなかったため「仕方なくという感じ」であったという{{R|MACC}}。

シャロンの曲のうち、第4話で使用されている「INFORMATION HIGH」のみ菅野ではなく、元[[電気グルーヴ]]の[[CMJK]]が作曲した{{R|mora}}。歌唱は[[メロディー・セクストン]]{{R|mora}}。当時[[フロッグマンレコーズ]]でテクノ界を中心に活躍していた[[佐藤大]](DAI名義)と[[渡辺健吾]](KEN=GO→名義)が作詞を担当した<ref>{{Cite web|和書|author=CMJK |url=https://ameblo.jp/cmjk/entry-10094726069.html |title=INFORMATION HIGH |website=CMJKオフィシャルブログ『LOST CONTROL』 |publisher=アメブロ |date=2008-05-07 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。佐藤はのちに『[[カウボーイビバップ]]』、『[[攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX]]』で菅野と組み、『[[マクロスF]]』でも楽曲を手がけている。

=== コンピュータグラフィックス ===
河森がアニメに[[コンピュータグラフィックス]](CG)を導入したのは本作が最初である<ref name="EE">{{Cite web|和書|url=https://www.toei-anim.co.jp/sp/ee_cgmovie/interview/023.html |title=河森正治氏(アニメーション監督/メカデザイナー)【3DCGの夜明け 〜日本のフルCGアニメの未来を探る〜 第23回/2015年2月号】 |website=EE.jp |publisher=東映アニメーション |date= |accessdate=2024-06-30}}</ref>。日本ではCGが「1分1億円」と言われていた当時、本作の取材のためにアメリカ合衆国を訪れた河森は、サンフランシスコ郊外にあるアニメーション・特撮制作会社のコロッサスにおいて数十人がデジタルペイントで仕上げ作業をしているのを見学し、それが「安いから」という理由で行なわれていると聞いて衝撃を受けたという{{R|GIGAZINE2010-10-31}}{{R|EE}}<ref name="アキバ総研2019-05-30">{{Cite web|和書|author=廣田恵介 |url=https://akiba-souken.com/article/40109/ |title=デジタルと出会ってから何が変わったのか? 河森正治の発想と実験【アニメ業界ウォッチング第54回】 |website=アキバ総研 |publisher=カカクコム |date=2019-05-30 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。そこでデジタル化の流れは止められないと感じ、同行していた高梨とも相談して、時代に先んじるかたちでCGの導入を決め、認知を広めるためにテレビアニメ『7』のオープニング映像でも用いることにしたと語っている{{R|EE}}{{R|アキバ総研2019-05-30}}。

当時のCGは高額であったため、本作では[[3次元コンピュータグラフィックス]](3DCG)の部分的な使用にとどまっている{{R|EE}}{{R|アキバ総研2019-05-30}}。難しいカット以外は[[パーソナルコンピュータ]](PC)で制作したものをプリントアウトして撮影するという手法であった{{R|GIGAZINE2010-10-31}}。

CGは映像制作会社の[[IMAGICA Lab.|LINKS Corporation]](リンクス)が担当し、CGディレクターの[[片塰満則]]が制作した{{Sfn|アニメージュ1995.2|p=30}}。当初リンクスが受けたのはシャロンの3Dシンボルマーク制作についての相談であったが、河森が同社スタッフの説明を受けてCG表現の可能性を認識し、本格導入を決定した{{Sfn|アニメージュ1995.2|p=30}}。片塰は基本的な設定を除くデザインや演出を務め、アニメにおける従来の制作工程にCGの機能を当てはめるといった、CGをセルになじませるための実験を行なった{{Sfn|アニメージュ1995.2|p=30}}。第3巻のラストで使われるフォールド空間を進むYF-19のCGモデルのデータ作成には株式会社ビルドアップが協力し、『7』のオープニングに登場するCGの機体にもデータの一部が流用された{{Sfn|アニメージュ1995.2|p=30}}。片塰は『プラス』と『7』で手がけたCGのリールを持って[[スタジオジブリ]]に営業をかけ、その約4か月後に[[宮崎駿]]から直接発注を受けて『[[On Your Mark#映像作品|On Your Mark]]』のCG制作を担当することになったという<ref>{{Cite tweet|author=片塰満則 |user=ktmax4 |number=1340232846858829825 |title=昨日追加されたスタジオジブリ作品場面写真に、… |date=2020-12-19 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。

リンクス以外では、[[佐山善則]]によるCG画像も使用されている{{Sfn|アニメージュ1995.2|p=31}}。当初メカデザイナーとしての参加を予定していた佐山は、河森にCG処理のアドバイスをするためにセル画を[[Mac (コンピュータ)|Macintosh]]で加工して見せたことでCG作業を手がけることになり、リンクス作成のCGデータを貼り込む作業なども担当した{{Sfn|アニメージュ1995.2|p=31}}。渡辺によると、リンクスのCGだけでは浮いた印象になると思い、佐山によるCGをモニター表示などに多用したという{{Sfn|パンフレット|loc=「STAFF COMMENTS」}}。第1話に登場するガルドの脳波の波形は、佐山自身の脳波データをMacで記録したものが用いられている{{Sfn|アニメージュ1995.2|p=31}}。

=== キャスト・演技 ===
イサム役の[[山崎たくみ]]はもともとパイロットにあこがれていたといい、イサムの設定画を見て『マクロス』の内容をあまり知らずにオーディションを受け、絶対に自分がやるという意思を当時のマネージャーに表明したと明かしている{{R|そこあに2013-05-17}}。

ガルド役の[[石塚運昇]]はオーディションを経ず、「完全に声の格好良さで」河森が指名したという{{R|そこあに2013-05-17}}。一方、渡辺は当時アニメの音響や声優の演技を批判しており、音響監督の[[三間雅文]]がその意見を受けて真っ先に石塚の名を挙げたとしている<ref name="AT2018-09-08">{{Cite web|和書|author=胃の上心臓 |url=https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1536214085 |title=『カウボーイビバップ』極音上映会トークショー“音ビバップ“レポート |website=アニメイトタイムズ |publisher=アニメイト |date=2018-09-08 |accessdate=2024-06-30}}</ref><ref name="サンライズワールド">{{Cite web|和書|url=https://sunrise-world.net/news/news.php?id=15913 |title=音楽制作の裏話も!カウボーイビバップ極上音響上映「音ビバップ」イベントレポート |website=サンライズワールド |publisher=バンダイナムコフィルムワークス |date=2018-08-20 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。渡辺は石塚の演技を聞いて意識が変わり、「アニメ作品には芝居のトーンを決定づける人が、基本的には一人いる」として、『プラス』においてはそれが石塚であったと述べる{{R|AT2018-09-08}}。また渡辺は自身の作品で一度メインキャラクターの役を務めた声優には、キャラクターとの結びつきが強くなりすぎるということで、ほかの作品でメインの役を依頼することはないが、『カウボーイビバップ』でもメインキャラクターのジェット・ブラック役で出演した石塚は唯一の例外であったと語っている{{R|サンライズワールド}}<ref>{{Cite web|和書|author= |url=https://natalie.mu/comic/news/296021 |title=「カウボーイビバップ」“極上音響上映”、渡辺信一郎監督「運昇さんの演技を観て」(イベントレポート) |website=コミックナタリー |publisher=ナターシャ |date=2018-08-20 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。

演技は「洋画のような渋さ」を要求され、河森によれば間を取る、説明を省くなどして、漫画的な『7』とは対照的な作風にしたという{{R|そこあに2013-05-17}}。

板野は、[[航空自衛隊]]のテストパイロットによる無線音声を聞いた経験から、実際の戦闘中は声優の演技のようにはきれいにしゃべれないだろうと考え、声優を[[後楽園ゆうえんち]]の[[ローラーコースター|ジェットコースター]]に乗せて台詞を言わせ、Gがかかるとうまくしゃべれないという経験をさせたことで、第1話では普通にしゃべっていたのが第2話から大きく変わったと語っている<ref name="電ファミ2021-06-11">{{Cite web|和書|url=https://news.denfaminicogamer.jp/interview/210611a/2 |title=伝説のアニメーター・板野一郎はゲーム業界でも偉大な指導者だった!直弟子の手がけるVRゲーム『アルトデウス: BC』に受け継がれる、「板野サーカス」の極意とは |website=電ファミニコゲーマー |publisher=マレ |date=2021-06-11 |accessdate=2024-06-30}}</ref>{{Efn2|当時の状況について、山崎はジェットコースターに同乗した板野と「普通にしゃべってました」{{R|そこあに2013-05-17}}、石塚は「僕は全然誘われなかったんですよ」{{R|そこあに2013-05-17}}、三間は「俺と河森総監督と3人で」<ref>{{Cite web|和書|url=https://akiba-souken.com/article/27432/?page=2 |title=(2ページ目)音響監督・三間雅文 ロングインタビュー!(アニメ・ゲームの“中の人”第3回) |website=アキバ総研 |publisher=カカクコム |date=2016-07-21 |accessdate=2024-06-30}}</ref>、板野は「音響監督の三間雅文さんと一緒に、ガルドとイサムの声優さんを遊園地に連れて行って」{{R|電ファミ2021-06-11}}と発言している。}}。

== 評価 ==
本作はメカ描写をはじめとするクオリティの高さやバーチャルアイドルを描いた先見性などが評価され、日本国外においても人気を獲得した<ref>{{Cite web|和書|url=https://eiga.com/news/20130412/3/ |title=「マクロスプラス」初ブルーレイ化 シリーズ劇場版を上映する「マクロス映画祭」も開催 |website=映画.com |publisher=エイガ・ドット・コム |date=2013-04-12 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。また音楽を手がけた菅野の存在は本作によって広く知られることになり、その音楽性は業界を超えて賞賛され、「菅野よう子の登場でアニメ音楽の歴史が変わった」ともいわれる{{R|Red Bull}}。

=== 論評 ===
アニメ雑誌『[[アニメージュ]]』の解説者5名によるレビューでは、最終第4巻の時点で映像・作画においては総じて高評価であるものの、映画ライターの渡辺麻紀による「期待したコンピュータの恋愛が描けていない」「三角関係のケリもあまりに安直」、漫画家の[[あさりよしとお]]による「莫大な手間を掛けた作画をつぎこんで、こういうベタベタな落としをやる…これがやっぱり『マクロス』なんですね」といった評価もなされた<ref>{{Cite journal |和書 |journal=[[アニメージュ]] |issue=1995年8月号 |page=64 |publisher=[[徳間書店]] |date=1995年7月 }}</ref>。

ライターの志田英邦は『[[CONTINUE (雑誌)|CONTINUE]]』において、「すぐれたSF作品は時として[[予言]]のように、来るべき未来を描く」と述べ、現実世界の21世紀に出現した[[VOCALOID]]「[[初音ミク]]」が、肉体を持たず作り物と知られながらも熱狂的な人気を得ているシャロン・アップルと変わらないコンセプトをもつと評し、さらに本作のリリース開始から約3年後の1997年にロールアウトされた[[Su-47 (航空機)|Su-47]]がYF-19に類似していることや、ドッグファイトシーンの作画がのちのアニメ監督の作画に対する指示にも影響を与えていることを、本作における「予言」として挙げている<ref>『CONTINUE Vol.40』太田出版、2008年、20頁。</ref>。

ライターの夏葉薫は『[[オトナアニメ]]』において、シリーズのなかでも独立性の高い作品でありながら物語内容は「あまり複雑ではない」として、OVA全4巻という時間内でシリーズの要素を盛り込んだ物語を作るための「狭い正解」を選んだ作品だとしている<ref name="OA9">『オトナアニメ Vol.9』洋泉社、2008年、40-41頁。</ref>。河森・板野によるメカ描写とアクション作画は「日本アニメ史上に燦然と輝くひとつの金字塔」だと評し、「大人の『マクロス』」というコンセプトを実現するために起用された渡辺・信本は、河森が得意とする「大林宣彦的な少年少女の淡い慕情の描写」の7年後にあたる大人の恋愛を描くのに適した人選だったと述べている{{R|OA9}}。またシリーズの作品世界はオーバーテクノロジーが存在しながら、機体の思考制御やバーチャルアイドルが主流となっていない理由として本作で描かれる事件が説明となっており、後継作品において作劇上の困難となりうる要素を処理していると指摘している{{R|OA9}}。

アニメ評論家の[[藤津亮太]]は「手描きの極まった戦闘シーン」として本作を挙げ、空戦シーンについて「観察力と想像力の織りなすスペクタクルには圧倒されるばかり」と評している<ref>{{Cite web|和書|author=藤津亮太 |url=https://akiba-souken.com/article/25871/ |title=【アニメコラム】キーワードで斬る!見るべきアニメ100 第1回 「ガールズ&パンツァー劇場版」ほか |website=アキバ総研 |publisher=カカクコム |date=2016-01-30 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。

アニメ監督の[[平尾隆之]]は、とりわけ本作のビジュアル面に衝撃を受けたといい、パイロットにかかるGの表現、カメラワーク、エフェクト、動きを省略しない丁寧な作画などを高く評価し、自身の監督作『[[映画大好きポンポさん]]』の制作中にも何度も見直してカメラワークや演出、特殊効果などを参考にしたと語っている<ref name="Febri2021-12-03">{{Cite web|和書|author=岡本大介 |url=https://febri.jp/febri_talk/hirao_takayuki_3/ |title=平尾隆之③ アニメの技術革新を感じた『マクロスプラス』 |website=Febri |publisher=一迅社 |date=2021-12-03 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。ドラマ面では、人工知能が台頭する時代におけるアナログ主義のイサムを「この先消えゆくであろうマイノリティの象徴」と見て、「マイノリティがマジョリティに一矢報いる」展開であると読んでいる{{R|Febri2021-12-03}}。

=== 人気投票 ===
2019年に[[NHK BSプレミアム]]で放送された『[[発表!全マクロス大投票|発表!全マクロス大投票]]』では、アニメ作品部門で『プラス』のOVA版が第7位・劇場版が第8位、キャラクター部門でイサムが作品別第7位(OVA版)・総合第9位、メカ部門でYF-19がOVA版第1位・劇場版第7位、歌部門で「INFORMATION HIGH」が作品別第9位(OVA版)・総合第11位となった<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nhk.or.jp/anime/macross/ranking/ |title=投票結果 |website=全マクロス大投票 |publisher=[[日本放送協会]] |date= |accessdate=2024-06-30}}</ref>。


== スタッフ ==
== スタッフ ==
* 企画 - 大西良昌、茂木隆、末吉博彦、宮田達夫、浅見勇
* 企画 - 大西良昌、茂木隆、末吉博彦、宮田達夫、浅見勇
* 原作 - [[スタジオぬえ]][[河森正治]]
* 原作 - [[スタジオぬえ]] / [[河森正治]]
* 総監督・[[メカニックデザイン]] - 河森正治
* 総監督 - 河森正治
* 監督 - [[渡辺信一郎 (アニメ監督)|渡辺信一郎]]
* 監督 - [[渡辺信一郎 (アニメ監督)|渡辺信一郎]]
* 脚本 - [[信本敬子]]
* 脚本 - [[信本敬子]]
* [[キャラクターデザイン|オリジナルキャラクターデザイン]] - [[摩砂雪]]
* [[キャラクターデザイン|オリジナルキャラクターデザイン]] - [[摩砂雪]]
* 舞台設定・メカニカル設定 - [[宮武一貴]]、河森正治
* 舞台設定・メカニカル設定 - [[宮武一貴]]、河森正治
* 絵コンテ - 河森正治、渡辺信一郎、[[樋口真嗣]](2話、3話、劇場版)
* 絵コンテ - 河森正治、渡辺信一郎、[[樋口真嗣]](第2話、3話、劇場版)
* 作画監督 - [[摩砂雪]]('''夷倭世'''名義)(1話)、[[青野厚司]](2話)、[[森山雄治]](3話)、瀬尾康博(4話、劇場版)
* 作画監督 - [[摩砂雪]]('''夷倭世'''名義)(第1話)、[[青野厚司]](第2話)、[[森山雄治]](第3話)、瀬尾康博(第4話、劇場版)
* 特技監督 - [[板野一郎]]
* 特技監督 - [[板野一郎]]
<!--*演出助手: 大原実、三笠修-->
<!--*演出助手: 大原実、三笠修-->
* メカニック作画監督 - [[後藤雅巳]](4話)
* メカニック作画監督 - [[後藤雅巳]](第4話)
* コンサートシーンアニメーション - [[森本晃司 (アニメーター)|森本晃司]]
* コンサートシーンアニメーション - [[森本晃司 (アニメーター)|森本晃司]]
<!--*作画監督補: 小倉陳利、岸田隆宏、[[鶴巻和哉]]、[[逢坂浩司]]-->
<!--*作画監督補: 小倉陳利、岸田隆宏、[[鶴巻和哉]]、[[逢坂浩司]]-->
* 美術監督 - 針生勝文
* 美術監督 - 針生勝文
* 撮影監督 - 高橋明彦(1話)、安津畑隆(2~4話、劇場版)
* 撮影監督 - 高橋明彦(第1話)、安津畑隆(第2 - 第4話、劇場版)
* 音響監督 - [[三間雅文]]
* 音響監督 - [[三間雅文]]
* 音響効果 - [[柴崎憲治]]
* 音響効果 - [[柴崎憲治]]
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* プロデューサー - 大西加紋、高梨実、津田義夫、井口亮、神田浩武
* プロデューサー - 大西加紋、高梨実、津田義夫、井口亮、神田浩武
* 製作・著作 - [[バンダイビジュアル]]、[[ビックウエスト]]、ヒーロー、[[毎日放送]]、[[小学館]]
* 製作・著作 - [[バンダイビジュアル]]、[[ビックウエスト]]、ヒーロー、[[毎日放送]]、[[小学館]]
* インターナショナル版演出クイント・ランカスター
* インターナショナル版演出 - クイント・ランカスター
* 英語台本リチャード・ガルシア
* 英語台本 - リチャード・ガルシア


== 主題歌 ==
== 使用曲 ==
; {{Anchors|After, in the dark}}After, in the dark
: 歌 - [[山根麻衣]] / 作詞 - 山根麻衣、[[Gabriela Robin]] / 作曲・編曲 - [[菅野よう子]]
: OVA版のエンディングテーマ。シングルおよび単独トラックでの音源は未発売。
; {{Anchors|VOICES}}VOICES
: 歌 - [[新居昭乃]] / 作詞 - [[覚和歌子]] / 作曲・編曲 - 菅野よう子
: 読みはヴォイシズ。劇中ではミュン・ファン・ローンの歌として用いられている。OVA版最終話および、劇場版のエンディングテーマにも使用。本曲にはアレンジが異なる「Acoustic」、「a cappella」バージョンがある。また、同じテーマを使用した「MYUNG Theme」および「MYUNG Theme (cello version) 」がある。


=== エンディングテーマ ===
その他、シャロン・アップルが歌う挿入歌については「[[シャロン・アップル#歌唱曲]]」を参照。
; {{Vanc|After, in the dark}}
: 作詞 - [[山根麻衣]]、[[菅野よう子#Gabriela Robin|Gabriela Robin]] / 作曲・編曲 - [[菅野よう子]] / 歌 - 山根麻衣
: OVA版第1話から第3話のエンディングテーマ。
: [[シングルカット]]はされておらず、『MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK』でも後述の「Torch song」と同一のトラックに収録されており、単独トラックでは未発売である。


== リリースリスト ==
=== 挿入歌 ===
映像は全て[[バンダイビジュアル]]より発売。
=== ビデオ・LD ===
VHSの型番はBES-1053∼BES-1056、LDの型番はBELL-704∼BELL-707
* 「マクロスプラス Episode1」1994年8月25日発売 本編40分+特典映像「Macross A Space Cronicle」17分
<!--*:コンテ: [[河森正治]]、[[渡辺信一郎]]
*: 作画監督: 夷倭世
*: 作画監督補佐: 小倉勝利、岸田隆宏、[[鶴巻和哉]]
*: 演出助手: 大原実
*: 撮影監督: 高橋明彦
*: 原画: [[庵野秀明]]-->
* 「マクロスプラス Episode2」1995年1月1日発売 本編40分
<!--*:コンテ: [[樋口真嗣]]、[[河森正治]]、[[渡辺信一郎]]
*: 作画監督: 青野厚司
*: 演出助手: 大原実
*: 撮影監督: 安津畑隆-->
* 「マクロスプラス Episode3」1995年2月21日発売 本編40分
<!--*:コンテ: [[樋口真嗣]]、[[河森正治]]、[[渡辺信一郎]]
*: 演出: [[森山雄治]]
*: 作画監督: [[森山雄治]]
*: 演出助手: 三笠修
*: 撮影監督: 安津畑隆-->
* 「マクロスプラス Episode4」1995年6月25日発売 本編37分
<!--*:コンテ: [[河森正治]]、[[渡辺信一郎]]
*: 作画監督: 瀬尾康博
*: メカニック作監: [[後藤雅巳]]
*: 作画監督補佐: [[逢坂浩司]]
*: 演出助手: 大原実
*: 撮影監督: 安津畑隆-->
* 「マクロスプラス Movie Edition」1996年2月25日発売 本編115分
<!--*:コンテ: [[樋口真嗣]]、[[河森正治]]、[[渡辺信一郎]]
*: 脚色: [[信本敬子]]
*: 作画監督: 夷倭世、青野厚司、森山雄治、瀬尾康博
*: メカニック作監: 後藤雅巳
*: 作画監督補佐: 小倉陳利、岸田隆宏、[[鶴巻和哉]]、[[逢坂浩司]]
*: 特技監督: [[板野一郎]]
*: 舞台設定、メカニカル設定: [[宮武一貴]]
*: 設定: 田中精美、佐山善則-->


=== ターナショナルバジョン ===
==== ミュ・ファン・ローンの曲 ====
; {{Vanc|VOICES}}
型番はVHSがBES-1190(Vol.1)・BES-1194∼BES-1196(Vol.2∼Vol.4)、LDがBEAL-782(Vol.1)・BEAL-784∼BEAL-786(Vol.2∼Vol.4)。
: 作詞 - [[覚和歌子]] / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - [[新居昭乃]]
* 「マクロスプラス Vol.1」 1995年3月25日発売
: 第1話、第3話、第4話挿入歌。OVA版第4話および劇場版エンディングテーマ。劇中ではミュンの歌として用いられており、ハイスクール時代に作ったものと設定されている。読みはヴォイシズ{{Efn2|『マクロスプラス』第2話におけるケイト・マッソーの台詞。[[小山鹿梨子]]の漫画『[[劇場版 マクロスF#シェリル 〜キス・イン・ザ・ギャラクシー〜|シェリル 〜キス・イン・ザ・ギャラクシー〜]]』では「ヴォイセス」とルビが振られている<ref>小山鹿梨子(原案協力 - 河森正治)『シェリル 〜キス・イン・ザ・ギャラクシー〜 4』講談社、2012年、30頁、{{ISBN2|978-4-06-376707-0}}。</ref>。}}。
* 「マクロスプラス Vol.2」 1995年5月25日発売
: 本曲にはアレンジが異なる「Acoustic」、「a cappella」バージョンがある。また、同じテーマを使用した「MYUNG Theme」および「MYUNG Theme (cello version) 」がある。
* 「マクロスプラス Vol.3」 1995年7月25日発売
* 「マクロスプラス Vol.4」 2000年3月31日発売


==== シャロン・アップルの曲 ====
正規版とは別に、Manga Entertainment社からも英語吹替え版が発売された。
{{Seealso|シャロン・アップル#歌唱曲}}
=== DVD ===
; Idol Talk
インターナショナルバージョンの英語吹替えも収録。型番はBCBA-0937∼BCBA-0940、MOVIE EDITIONがBCBA-0536。
: 作詞 - Gabriela Robin、新居昭乃 / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - 新居昭乃
* 「マクロスプラス Vol.1」 2001年8月25日発売
: 第1話、第2話挿入歌。
* 「マクロスプラス Vol.2」 2001年10月25日発売
; SANTI-U
* 「マクロスプラス Vol.3」 2001年12月21日発売
: 作詞 - Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - Gabriela Robin
* 「マクロスプラス Vol.4」 2002年2月25日発売
: 第2話、第4話挿入歌。
* 「マクロスプラス MOVIE EDITION」 2000年7月25日発売
; The Borderline
: 作詞 - Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - 新居昭乃
: 第2話、第3話、第4話挿入歌。
; PULSE
: 作詞 - Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - [[ウヨンタナ|Wu yun ta na]](台詞 - [[兵藤まこ]])
: 第4話挿入歌。
; INFORMATION HIGH
: 作詞 - [[佐藤大|DAI]]、[[渡辺健吾|KEN=GO→]] / 作曲・編曲 - [[CMJK]] / 歌 - [[メロディー・セクストン|Melodie Sexton]]
: 第4話挿入歌。
; A Sai ёn
: 作詞 - Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - {{仮リンク|Raiché Coutev Sisters|en|Raiché Coutev Sisters}}
: 第4話挿入歌。
; Torch song
: 作詞 - Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - Gabriela Robin
: 第4話挿入歌。
; WANNA BE AN ANGEL
: 作詞 - Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - 新居昭乃
: 劇場版挿入歌。


==== 他作品からの流用曲 ====
=== DVDリマスターボックス ===
; [[リン・ミンメイ#私の彼はパイロット|私の彼はパイロット]]
2007年8月24日発売。映像をHDリマスター化、音声をリニアPCMし、Vol.1~4とMOVIE EDITIONをセットにしたDVD-BOX。
: 作詞 - [[超時空要塞マクロス#主題歌|阿佐茜]] / 作曲・編曲 - [[羽田健太郎]] / 歌 - [[高乃麗]]<ref>{{Cite journal |和書 |title=エピソードシート マクロスプラス 「Episode2」 |journal=[[マクロス・クロニクル|週刊 マクロス・クロニクル 新訂版]] |volume= |issue=No.12 |page=23 |publisher=[[デアゴスティーニ・ジャパン]] |date=2013-04-23 }}</ref>
* 「マクロスプラス リマスターボックス」 (BCBA-3048)
: 第2話挿入歌。『超時空要塞マクロス』に登場するアイドル歌手、[[リン・ミンメイ]]のデビュー曲。ケイトがカラオケで歌う。


=== ブルーレイボック===
== 各話リ ==
{| class="wikitable"
2013年6月21日発売。映像はHD(1440x1080)、音声5.1ch化し、Vol.1~4とMOVIE EDITIONセットにした[[Blu-ray Disc|ブルーレイ]]BOX。音声は日本語、英語を切り替え可能。PS版「ゲームエディション」のムービーも収録。
!巻数!!サブタイトル!!絵コンテ!!作画監督
|-
|Vol.1||Episode 1||[[河森正治]]、[[渡辺信一郎 (アニメ監督)|渡辺信一郎]]||[[摩砂雪|夷倭世]]
|-
|Vol.2||Episode 2||rowspan="2"|[[樋口真嗣]]、河森正治、渡辺信一郎||[[青野厚司]]
|-
|Vol.3||Episode 3||[[森山雄治]](兼演出)
|-
|Vol.4||Episode 4||河森正治、渡辺信一郎||瀬尾康博、[[後藤雅巳]](メカニック)
|}


== 関連メディア ==
*「マクロスプラス Complete Blu-ray Box」(BCXA-0719)

=== 映像ソフト ===
映像はすべて[[バンダイビジュアル]](現・[[バンダイナムコフィルムワークス]])より発売。

==== ビデオ・LD ====
規格品番はVHSがBES-1053 - BES-1056、LDがBELL-704 - BELL-707。
* 『マクロスプラス Vol.1』1994年8月25日発売、本編40分と特典映像「Macross A Space Cronicle」17分
* 『マクロスプラス Vol.2』1995年1月1日発売、本編40分
* 『マクロスプラス Vol.3』1995年2月21日発売、本編40分
* 『マクロスプラス Vol.4』1995年6月25日発売、本編37分
* 『マクロスプラス MOVIE EDITION』1996年2月25日発売、本編115分

==== INTERNATIONAL VERSION ====
規格品番はVHSがBES-1190(Vol.1)・BES-1194 - BES-1196(Vol.2 - Vol.4)、LDがBEAL-782(Vol.1)・BEAL-784 - BEAL-786(Vol.2 - Vol.4)。
* 『MACROSS PLUS INTERNATIONAL VERSION Vol.1』 1995年3月25日発売
* 『MACROSS PLUS INTERNATIONAL VERSION Vol.2』 1995年5月25日発売
* 『MACROSS PLUS INTERNATIONAL VERSION Vol.3』 1995年7月25日発売
* 『MACROSS PLUS INTERNATIONAL VERSION Vol.4』 2000年3月31日発売

日本国外では{{仮リンク|Manga Entertainment|en|Manga Entertainment}}から英語吹き替え版が発売された<ref name="AWN">{{Cite web |author=Fred Patten |url=https://www.awn.com/animationworld/new-japan-anime-film-reviews-12 |title=New from Japan: Anime Film Reviews |website=Animation World Network |publisher=Animation World Network |language=en |date=2002-05-31 |accessdate=2024-08-14}}</ref><ref name="ANN2022-07-01">{{Cite web |author=Alex Mateo |url=https://www.animenewsnetwork.com/news/2022-07-01/macross-plus-macross-ii-anime-offered-overseas-on-blu-ray-disc/.187281 |title=Macross Plus, Macross II Anime Offered Overseas on Blu-ray Disc |website=Anime News Network |publisher=Anime News Network |language=en |date=2022-07-01 |accessdate=2024-08-14}}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=PicardMan |url=https://animesuperhero.com/macross-will-finally-get-out-of-streaming-limbo/ |title=Macross Will Finally Get out of Streaming Limbo |website=Anime Superhero News |publisher= |language=en |date=2024-03-21 |accessdate=2024-08-14}}</ref><ref name="ANN2024-05-28">{{Cite web |author=Anita Tai |url=https://www.animenewsnetwork.com/news/2024-05-28/macross-plus-anime-blu-ray-disc-ships-this-fall-in-u.s-u.k/.211291 |title=Macross Plus Anime's Blu-ray Disc Ships This Fall in U.S., U.K. |website=Anime News Network |publisher=Anime News Network |language=en |date=2024-05-28 |accessdate=2024-08-14}}</ref>。バンダイビジュアルが発売した『INTERNATIONAL VERSION』の第4巻では、主要キャストの多くが変更された{{R|IMDb}}{{R|CBR2023-08-02}}。

2024年秋、[[Crunchyroll]]が[[Anime Limited]]との提携によりOVA版と劇場版を収録し、Manga Entertainment版とバンダイビジュアル版の吹き替えと字幕を利用可能なBlu-ray Disc『Macross Plus Ultimate Edition』をアメリカとイギリスで発売する{{R|ANN2024-05-28}}<ref>{{Cite web |url=https://www.animationmagazine.net/2024/05/anime-ltd-brings-macross-plus-ultimate-edition-to-u-s-thru-crunchyroll-store/ |title=Anime Ltd. Brings 'Macross Plus' Ultimate Edition to U.S. thru Crunchyroll Store |website=Animation Magazine |publisher=Animation Magazine |language=en |date=May 28, 2024-05-28 |accessdate=2024-08-14}}</ref>。

==== DVD ====
『INTERNATIONAL VERSION』の英語吹き替え版も収録。規格品番はBCBA-0937 - BCBA-0940、『MOVIE EDITION』がBCBA-0536。
* 『マクロスプラス Vol.1』 2001年8月25日発売
* 『マクロスプラス Vol.2』 2001年10月25日発売
* 『マクロスプラス Vol.3』 2001年12月21日発売
* 『マクロスプラス Vol.4』 2002年2月25日発売
* 『マクロスプラス MOVIE EDITION』 2000年7月25日発売
* 『マクロスプラス リマスターボックス』 (BCBA-3048) - 2007年8月24日発売。映像をHDリマスター、音声をリニアPCMとし、OVA全4巻と『MOVIE EDITION』をセットにしたDVD-BOX。

==== Blu-ray Disc ====
* 『マクロスプラス Complete Blu-ray Box』(BCXA-0719) - 2013年6月21日発売。映像はHD(1440x1080)、音声5.1ch化し、OVA全4巻と『MOVIE EDITION』をセットにした[[Blu-ray Disc|Blu-ray]] Box<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1368775248 |title=「マクロスプラス BD Box」より河森総監督の公式コメ到着! |website=アニメイトタイムズ |publisher=アニメイト |date=2013-05-17 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。音声は日本語、英語を切り替え可能。PlayStation版『GAME EDITION』のムービーも収録。発売を記念して2013年5月2日より「マクロス映画祭 春の陣2013」が開催され、本作を含むシリーズ劇場版4作品が上映された<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0052017 |title=『マクロスプラス』18年ぶりにスクリーンで復活!ブルーレイ化記念映画祭が開催決定! |website=シネマトゥデイ |publisher=シネマトゥデイ |date=2013-04-11 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。
* 『マクロスプラス MOVIE EDITION』(BCXA-1060) - 2016年1月29日発売。『[[マクロスΔ]]』制作を記念して発売された低価格Blu-ray Disc。新規オーディオコメンタリーを収録<ref>{{Cite web|和書|url=https://s.response.jp/article/2015/12/10/265869.html |title=マクロス5作品が低価格Blu-ray化…コレクターにうれしい仕様 |website=レスポンス |publisher=イード |date=2015-12-10 |accessdate=2024-06-30}}</ref>。

=== CD ===
発売は[[ビクターエンタテインメント]]。2013年6月21日に[[フライングドッグ]]より再販<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jvcmusic.co.jp/flyingdog/-/Discographylist2/Z0655.html |title=MACROSS PLUS |website=FlyingDog Official Web Site |publisher=フライングドッグ |date= |accessdate=2024-07-14}}</ref>。
* 『MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK』(VICL-570 / VTCL-60344〈再販〉) - 1994年10月21日発売。
* 『MACROSS PLUS The Cream P・U・F』 (VICL-15037 / VTCL-60345〈再販〉) - 1995年2月22日発売。発売禁止となったシャロン・アップルのアルバムから危険な催眠要素を除去して復刻したという設定。
* 『MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK II』(VICL-571 / VTCL-60346〈再販〉) - 1995年7月21日発売。
* 『MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK PLUS 〜for fans only』 (VICL-23112 / VTCL-60347〈再販〉) - 1995年11月22日発売。

=== 書籍 ===
{{Main2|シリーズ全体を扱った書籍・雑誌|マクロスシリーズ#書籍・雑誌}}
* 『THIS IS ANIMATION Special マクロスプラス』[[小学館]]、1995年3月1日発行、{{ISBN2|978-4091015815}}
* 『THIS IS ANIMATION THE SELECT マクロスプラス MOVIE EDITION』小学館、1995年10月20日発行、{{ISBN2|978-4091015846}}


== 関連作品 ==
== 関連作品 ==

=== 小説 ===
=== 小説 ===
; マクロスプラス
; マクロスプラス
: [[信本敬子]]著。1996年、小学館[[スーパークエスト文庫]]。全1巻。アニメ版の前編にあたり、主人公のハイスクール時代から、それぞれの旅立ち、再会までが描かれる。設定には若干オリジナルの要素が加えられている。著者あとがきではアニメ本編にあたる第2巻の予定もほのめかされていたが、その後執筆されていない。小説独自の新規の登場人物である「グレン」は、後半で謎の奇病により女性化し「グレンシア」として、イサムの母親である看護婦「マリアラ」と「再会」するなど{{独自研究範囲|date=2023年12月|『[[アクエリオンEVOL]]』の登場人物 MIX(ミックス)の[[性転換]]を想起させる}}展開もある。{{独自研究範囲|date=2023年12月|のちの『[[カウボーイビバップ]]』の登場人物たちの雛形ともいえる人物構成もなされており、[[スピンオフ]]ともいえる}}
: [[信本敬子]]著。1996年、小学館[[スーパークエスト文庫]]。全1巻。アニメ版の前編にあたり、主人公たちのハイスクール時代から、それぞれの旅立ち、再会までが描かれる。設定には若干オリジナルの要素が加えられている。著者あとがきではアニメ本編にあたる第2巻の予定もほのめかされていたが、その後執筆されていない。


=== CD ===
=== 漫画 ===
; {{Vanc|マクロスプラス タックネーム}}(MACROSS PLUS TAC NAME)
発売は[[ビクターエンタテインメント]]。本作は[[菅野よう子]]による最初のアニメ[[サウンドトラック]]であるが、すでに後の『[[カウボーイビバップ]]』、『[[∀ガンダム]]』や、『[[地球少女アルジュナ]]』に通じる文脈を見ることができる。
: 漫画はU.G.E、構成協力は守屋直樹。『[[マクロスエース]] Vol.005』(2010年6月発売)より連載が開始され、同誌が『Vol.008』で刊行停止となってからは『[[ニュータイプエース]]』に移籍し、『Vol.2』(2011年10月8日発売)から『Vol.8』(2012年4月10日)まで連載された。単行本全2巻。設定はアニメ版を踏襲しつつも、ストーリー構成が変更されている。
* 「MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK」 1994年10月21日発売
* 「MACROSS PLUS - The Cream P・U・F」 1995年2月22日発売
** 発売禁止となったシャロン・アップルのアルバムから危険な催眠要素を除去して復刻したという設定。菅野よう子の曲のほか、元[[電気グルーヴ]]のCMJK作曲の「Information High」が含まれている。この「Information High」は当時[[フロッグマンレコーズ]]でテクノ界を中心に活躍していた[[佐藤大]]と[[渡辺健吾]]が作詞を担当。佐藤大が本格的にアニメ業界にかかわるきっかけとなったとされている。のちに『[[カウボーイビバップ]]』、『[[攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX]]』で関わった菅野と組み『[[マクロスF]]』でも楽曲を手がけている。
* 「MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK 2」 1995年7月21日発売
* 「MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK PLUS - for fans only」 1995年11月22日発売


=== ゲーム ===
=== ゲーム ===
377行目: 523行目:
: [[PlayStation 3]]用。2013年2月28日、バンダイナムコゲームスより発売。2060年を舞台に歴代シリーズ作品のキャラクターやメカが集結するフライトアクションRPG。
: [[PlayStation 3]]用。2013年2月28日、バンダイナムコゲームスより発売。2060年を舞台に歴代シリーズ作品のキャラクターやメカが集結するフライトアクションRPG。
; [[歌マクロス スマホDeカルチャー]]
; [[歌マクロス スマホDeカルチャー]]
: [[iOS]] / [[Android (オペレーティングシステム)|Android]]用。2019年1月追加登場。[[ディー・エヌ・エー|DeNA]]より配信。音楽リズムゲーム。
: [[iOS]] / [[Android (オペレーティングシステム)|Android]]用。[[ディー・エヌ・エー|DeNA]]より配信。音楽リズムゲーム。2019年1月に追加登場<ref>{{Cite web|和書|author= |url=https://www.4gamer.net/games/369/G036931/20190129060/ |title=「歌マクロス」,バルキリーなどが初登場するイベント「暴走する歌声 ~シャロン・アップル~」を開催 |website=4Gamer.net |publisher=Aetas |date=2019-01-29 |accessdate=2024-06-30}}</ref>
; [[マクロス -Shooting Insight-]]
; [[マクロス -Shooting Insight-]]
: [[Nintendo Switch]]、[[PlayStation 5]]、[[PlayStation 4]]、[[Steam]]用。2024年3月14日、[[ブシロード]]より発売。歴代シリーズ作品が集結したスクロールシューティングゲーム。「イサム・ダイソン&YF-19」が操作可能。
: [[Nintendo Switch]]、[[PlayStation 5]]、[[PlayStation 4]]、[[Steam]]用。2024年3月14日、[[ブシロード]]より発売。歴代シリーズ作品が集結したスクロールシューティングゲーム。「イサム・ダイソン&YF-19」が操作可能。
390行目: 536行目:
: [[PlayStation 2]]用。2005年、バンプレストより発売。シミュレーションRPG。
: [[PlayStation 2]]用。2005年、バンプレストより発売。シミュレーションRPG。
; [[スーパーロボット大戦X-Ω]]
; [[スーパーロボット大戦X-Ω]]
: [[iOS]] / [[Android (オペレーティングシステム)|Android]]用。2019年期間限定で登場。[[バンダイナムコエンターテインメント]]より配信。ロボットアクションRPG。
: [[iOS]] / [[Android (オペレーティングシステム)|Android]]用。[[バンダイナムコエンターテインメント]]より配信。ロボットアクションRPG。2019年6月に期間限定で登場<ref>{{Cite web|和書|author= |url=https://www.4gamer.net/games/307/G030704/20190603045/ |title=「スーパーロボット大戦X-Ω」,初の合体攻撃“XΩスキル”が実装 |website=4Gamer.net |publisher=Aetas |date=2019-06-03 |accessdate=2024-06-30}}</ref>


==== Another Century's Episodeシリーズ ====
==== Another Century's Episodeシリーズ ====
398行目: 544行目:
; [[Another Century's Episode Portable]]
; [[Another Century's Episode Portable]]
: PlayStation Portable用。2011年、バンダイナムコゲームスより発売、開発はフロム・ソフトウェア。ロボットアクション。
: PlayStation Portable用。2011年、バンダイナムコゲームスより発売、開発はフロム・ソフトウェア。ロボットアクション。

=== 漫画 ===
; マクロスプラス タックネーム(MACROSS PLUS TAC NAME)
: 2010年6月に連載開始した『マクロスプラス』の漫画版。掲載誌は『[[マクロスエース]]』、休刊後に『[[ニュータイプエース]]』に移籍、単行本全2巻。漫画はU.G.E、構成協力は守屋直樹。設定はアニメ版を踏襲しつつも、ストーリー構成が変更されている。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[先進戦術戦闘機]](Advanced Tactical Fighter) - アメリカ空軍の次期主力戦闘機開発計画。1980年代、候補機[[F-22 (戦闘機)|YF-22]]と[[YF-23 (航空機)|YF-23]]のあいだで採用競争が行なわれ、YF-22がF-22ラプターとして制式採用された。本作はその経緯を引用し、ガルドの乗機YF-21もYF-23をモチーフにデザインされた。
* [[ライトスタッフ]] - [[アメリカ空軍]]のテストパイロットたちを描いた実写映画作品。トム・ウルフ著作の原作小説が本作の着想元となった。
* [[エイフェックス・ツイン]] - まだ日本での一般的な知名度も低かった当時、劇中においてファーストアルバム『Selected Ambient Works 85-92』のジャケットが登場する。このジャケットに大きく描かれているロゴをデザインしたポール・ニコルソンは、のちに『[[攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX]]』で「笑い男」のマークや「個別の11人」のロゴを手がけている。
* [[:en:Advanced Tactical Fighter]](先進戦術戦闘機) - アメリカ空軍の次期主力戦闘機開発計画。1980年代、候補機[[F-22 (戦闘機)|YF-22]]と[[YF-23 (航空機)|YF-23]]の間で採用競争が行われ、YF-22がF-22ラプターとして制式採用された。本作はその経緯を引用し、ガルド・ゴア・ボーマンの乗機YF-21もYF-23をモチーフにデザインされた。
* [[マクロス7]] - 前述のとおり本作と並行して企画され、また世界設定においては本作の5年後の移民船団を描いたテレビシリーズ作品。作風は本作と対照をなすもので、本作でテストされていたYF-19、21の制式採用機[[VF-19 エクスカリバー|VF-19]]、[[VF-22 シュトゥルムフォーゲルII|VF-22]]が登場する。本作のBGMや挿入歌が流れる場面も存在する。
* [[エイフェックス・ツイン]] - まだ日本での一般的な知名度も低かった当時、劇中においてファーストアルバム『Selected Ambient Works 85-92』のジャケットが登場した。ちなみに、このジャケットに大きく描かれているロゴをデザインしたポール・ニコルソンは、後に『[[攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX]]』で「笑い男」のマークや「個別の11人」のロゴを手がけている。
* [[マクロスF]] - 本作より19年後の2059年を舞台とするテレビアニメで、セルフオマージュ的な内容を各所に含んでいる。また、[[小太刀右京]]が手がける短編小説「カブキ・ウォーバード」「楽園星天剣酔舞」が、本作と大きく関わる話となっている。
* [[エドワーズ空軍基地]] - 本作の舞台「ニュー・エドワーズ基地」のモデルになったアメリカ空軍の基地。砂漠地帯にあり、最新鋭機のテストフライト施設として著名である。
* [[劇場版 マクロスF|劇場版 マクロスF 恋離飛翼 〜サヨナラノツバサ〜]] - 『マクロスF』の劇場版で、2011年に公開された。軍を退役後、民間軍事会社S.M.Sに入ったイサムがVF-19に乗って駆けつける場面がある。声と機体のみの登場。
* [[ロック岩崎]] - 実在の元航空自衛官、アクロバットパイロット。
* [[劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!]] - 『[[マクロスΔ]]』の劇場版で、2021年に公開された。2068年を舞台とし、同作品に登場するヴァーチャロイド・ユニット「[[ワルキューレ (マクロスΔ)#Yami_Q_ray|Yami_Q_ray]]」を生み出すことになるセイレーンデルタシステムは、「シャロン・アップル型量子AIシステムの発展形」と劇中で推測される。
* [[マクロス7]] - 前述の通り本作と平行して企画され、また世界設定においては本作の5年後の移民船団を描いたテレビシリーズ作品。作風は本作と対照をなすもので、本作でテストされていたYF-19、21の制式採用機[[VF-19 エクスカリバー|VF-19]]、[[VF-22 シュトゥルムフォーゲルII|VF-22]]が登場する。本作のBGMや挿入歌が流れる場面も存在する。
* [[マクロスF]] - 本作より19年後を舞台とするテレビアニメで、セルフオマージュ的な内容を各所に含んでいる。また、[[小太刀右京]]が手がける短編小説「カブキ・ウォーバード」「楽園星天剣酔舞」が、本作と大きく関わる話となっている。
* [[劇場版 マクロスF|劇場版 マクロスF 恋離飛翼 〜サヨナラノツバサ〜]] - 軍を退役後、民間軍事会社S.M.Sに入ったイサムがVF-19に乗って駆けつける場面がある。声と機体のみの登場。
* [[ヴァリアブルファイター・マスターファイル]] - 作品世界内で発行された航空専門誌という設定の[[ムック (出版)|ムック]]シリーズ。『ヴァリアブルファイター・マスターファイル VF-19 エクスカリバー』『ヴァリアブルファイター・マスターファイル VF-25 メサイア 新たなる救世主』に本作の後日談的な内容、イサムのその後の活動などが記されている。
* [[ヴァリアブルファイター・マスターファイル]] - 作品世界内で発行された航空専門誌という設定の[[ムック (出版)|ムック]]シリーズ。『ヴァリアブルファイター・マスターファイル VF-19 エクスカリバー』『ヴァリアブルファイター・マスターファイル VF-25 メサイア 新たなる救世主』に本作の後日談的な内容、イサムのその後の活動などが記されている。
* [[量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-]] - 2023年放映のプラモデルを題材としたテレビドラマ。第2話で[[BANDAI SPIRITS]]のプラモデル「HG 1/100 YF-19」が取り上げられている<ref>{{Cite web|和書|url=https://macross.jp/news-detail/24114/ |title=【マクロスプラス】TVドラマ「量産型リコ」第2話に『マクロスプラス』HG 1/100 YF-19 が登場! |website=MACROSS PORTAL |publisher= |date=2023-07-03 |accessdate=2023-07-08}}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=入倉功一 |url=https://www.cinematoday.jp/news/N0137892 |title=与田祐希「量産型リコ」マクロス回のガウォーク推しに喜びの声 |website=シネマトゥデイ |publisher=シネマトゥデイ |date=2023-07-07 |accessdate=2023-07-08}}</ref>。
* [[量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-]] - 2023年放映のプラモデルを題材としたテレビドラマ。第2話で[[BANDAI SPIRITS]]のプラモデル「HG 1/100 YF-19」が取り上げられている<ref>{{Cite web|和書|url=https://macross.jp/news-detail/24114/ |title=【マクロスプラス】TVドラマ「量産型リコ」第2話に『マクロスプラス』HG 1/100 YF-19 が登場! |website=MACROSS PORTAL |publisher= |date=2023-07-03 |accessdate=2023-07-08 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20230708151223/https://macross.jp/news-detail/24114/ |archivedate=2023-07-08 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=入倉功一 |url=https://www.cinematoday.jp/news/N0137892 |title=与田祐希「量産型リコ」マクロス回のガウォーク推しに喜びの声 |website=シネマトゥデイ |publisher=シネマトゥデイ |date=2023-07-07 |accessdate=2023-07-08}}</ref>。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
=== 注釈 ===
{{Notelist2}}
{{Reflist|group="注"}}

=== 出典 ===
=== 出典 ===
{{Reflist}}
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==== 作品内 ====
{{Reflist|group="*"}}

== 参考文献 ==
* {{Cite journal |和書 |journal=[[アニメージュ]] |issue=1994年10月号 |publisher=[[徳間書店]] |date=1994年9月 |ref={{SfnRef|アニメージュ1994.10}}}}
* {{Cite journal |和書 |author= |title=緋と蒼のトリロジー -2つの「マクロス」の映像表現- |journal=[[アニメージュ]] |volume= |issue=1995年2月号 |publisher=[[徳間書店]] |date=1995年1月 |ref={{SfnRef|アニメージュ1995.2}}}}
* {{Cite journal |和書 |author= |title=LAST OF MACROSS |journal=[[アニメージュ]] |volume= |issue=1995年10月号 |publisher=[[徳間書店]] |date=1995年9月 |ref={{SfnRef|アニメージュ1995.10}}}}
* {{Cite book |和書 |author= |title=『マクロスプラス MOVIE EDITION』『マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!』パンフレット |publisher=[[ビックウエスト]] |year=1995 |ref = {{SfnRef|パンフレット}} }}
* {{Cite book |和書 |author= |title=宮武一貴 マクロス&オーガス デザインワークス |publisher=[[ムービック]] |year=2005 |ref = {{SfnRef|宮武|2005}} }}
* {{Cite journal |和書 |author= |title=エピソードシート マクロスプラス MOVIE EDITION |journal=[[マクロス・クロニクル|週刊 マクロス・クロニクル 新訂版]] |volume= |issue=No.53 |publisher=[[デアゴスティーニ・ジャパン]] |date=2014-02-04 |ref={{SfnRef|クロニクル新訂版53}}}}
* {{Cite journal |和書 |author= |title=エピソードシート マクロスプラス MOVIE EDITION |journal=[[マクロス・クロニクル|週刊 マクロス・クロニクル 新訂版]] |volume= |issue=No.74 |publisher=[[デアゴスティーニ・ジャパン]] |date=2014-07-01 |ref={{SfnRef|クロニクル新訂版74}}}}
* {{Cite journal |和書 |author= |title= |journal=グレートメカニックG |volume= |issue=2024 SPRING |publisher=[[双葉社]] |date=2024-03-11 |ref={{SfnRef|グレートメカニックG2024春}}}}
* {{Cite journal |和書 |author= |title= |journal=[[フィギュア王]] |volume= |issue=No.314 |publisher=[[ワールドフォトプレス]] |date=2024-04-30 |ref={{SfnRef|フィギュア王314}}}}


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
426行目: 583行目:
* [https://web.archive.org/web/20080915024901/http://www.bigwest-ad.co.jp/service/contents/macross.html ビックウエスト・アドによるマクロスシリーズの作品紹介](2008年9月15日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])
* [https://web.archive.org/web/20080915024901/http://www.bigwest-ad.co.jp/service/contents/macross.html ビックウエスト・アドによるマクロスシリーズの作品紹介](2008年9月15日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])


{{マクロスシリーズ|作品}}
{{マクロスシリーズ}}
{{トライアングルスタッフ}}
{{トライアングルスタッフ}}
{{河森正治}}
{{河森正治}}

2024年8月27日 (火) 14:47時点における版

マクロスシリーズ > マクロスプラス
マクロスプラス
ジャンル SFロボットアニメ
OVA
原作 スタジオぬえ / 河森正治
総監督 河森正治
監督 渡辺信一郎
脚本 信本敬子
キャラクターデザイン 摩砂雪(オリジナル)
メカニックデザイン 宮武一貴、河森正治
(舞台設定・メカニカル設定)
音楽 菅野よう子
アニメーション制作 トライアングルスタッフ
製作 バンダイビジュアルビックウエスト
ヒーロー、毎日放送小学館
発表期間 1994年8月25日 - 1995年6月25日
話数 全4話
映画:マクロスプラス MOVIE EDITION
原作 スタジオぬえ / 河森正治
総監督 河森正治
監督 渡辺信一郎
脚本 信本敬子
キャラクターデザイン 摩砂雪(オリジナル)
メカニックデザイン 宮武一貴、河森正治
(舞台設定・メカニカル設定)
音楽 菅野よう子
制作 トライアングルスタッフ
製作 バンダイビジュアル、ビックウエスト
ヒーロー、毎日放送、小学館
封切日 日本の旗 1995年10月7日
アメリカ合衆国の旗 2021年12月14日
上映時間 115分
その他 併映『マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!
小説
著者 信本敬子
イラスト 摩砂雪
出版社 小学館
レーベル スーパークエスト文庫
発売日 1996年
巻数 全1巻
漫画:マクロスプラス タックネーム
作者 U.G.E
出版社 角川書店
掲載誌 マクロスエース
ニュータイプエース
発表号 マクロスエース
Vol.005(2010年6月) - Vol.008(2011年3月)
ニュータイプエース
Vol.2(2011年10月) - Vol.8(2012年4月)
巻数 全2巻
その他 構成協力 - 守屋直樹
テンプレート - ノート
プロジェクト アニメライトノベル漫画
ポータル アニメ文学漫画

マクロスプラス』(MACROSS PLUS)は、1994年から1995年にかけて発売された日本オリジナル・ビデオ・アニメ(OVA)。全4巻。

1982年から1983年にかけて放映されたスタジオぬえ原作のテレビアニメ『超時空要塞マクロス』の世界設定を継承し、テレビアニメ『マクロス7』と並行して企画・製作された作品であり、「マクロスシリーズ」のひとつに数えられる。『超時空要塞マクロス』の時代より約30年後の西暦2040年を舞台に、三段変形を特徴とするメカ可変戦闘機(VF)の次期主力機開発競争を背景とし、ふたりの男性テストパイロットと、人気バーチャルアイドルのプロデューサーを務める女性の三角関係を描く[1]

『超時空要塞マクロス』においてスタジオぬえの一員としてメカニックデザイン、設定監修などで携わり、劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』では共同監督を務めた河森正治が原作・総監督となり、同作でメカ作画監督を務め、「板野サーカス」と呼ばれるメカアクション描写で知られた板野一郎特技監督、メカニックデザインを務めたスタジオぬえの宮武一貴が舞台設定・メカニカル設定(河森と連名)として参加している。新たなメインスタッフとして、監督に渡辺信一郎、脚本に信本敬子、オリジナルキャラクターデザインに摩砂雪、音楽に菅野よう子らが起用され、アニメーション制作はトライアングルスタッフが担当した。

英語吹き替え版の『MACROSS PLUS INTERNATIONAL VERSION』(マクロスプラス インターナショナルバージョン)も発売された。1995年10月7日には、OVA版を再編集して新作カットを加えたアニメ映画『マクロスプラス MOVIE EDITION』(マクロスプラス ムービーエディション)が、『劇場版マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!』との同時上映で公開された。

物語

前史概略

西暦1999年、地球に異星人の巨大宇宙船が落下した。人類は異星人との戦争に備えて地球統合政府を発足させるとともに、のちに「マクロス」と命名される落下した宇宙船の改修を進め、そこから得たオーバーテクノロジーにより「可変戦闘機(VF)」をはじめとする新兵器を開発した。2009年から2010年にかけて、戦うことしか知らない異星人「ゼントラーディ」との戦争(第一次星間大戦)が起こり、マクロスに乗艦した人々は歌をはじめとする文化の力によって一部のゼントラーディ人と和平を結び、戦争に勝利する。人口の大半を失った地球人類はゼントラーディ人とともに新統合政府を樹立し、マクロスを中心に首都「マクロス・シティ」を築く。そして「フォールド」と呼ばれる超光速航法を用いて、種の存続のために宇宙移民を開始する。

あらすじ

※以下の記述は最初に発表されたOVA版の内容にもとづく。『マクロスプラス MOVIE EDITION』との差異については後述

第一次星間大戦の終結から30年後の西暦2040年。腕は立つが自由奔放で軍規違反を繰り返していた統合軍パイロットのイサム・ダイソンは、VF-11 サンダーボルトに代わる次期主力可変戦闘機のテストパイロットとして、太陽系外移民惑星「エデン」にあるニューエドワーズ・テストフライトセンターへの転属を命じられる。そこでは競合メーカー2社が開発した試作機「YF-19」と「YF-21」による採用コンペティション「スーパー・ノヴァ計画」が行なわれており、YF-21の開発主任兼テストパイロットを務めるガルド・ゴア・ボーマンの姿もあった。同じころ、エデンでは人工知能で動く人気絶頂のヴァーチャロイド・アイドルシャロン・アップル」のコンサートが間近に控えており、イサムとガルドはシャロンのプロデューサーを務めるミュン・ファン・ローンと再会する。3人はエデンで過ごした幼なじみであり、かつては親友どうしであったものの、7年前の事件をきっかけに関係は崩れていた。演習でガルドは脳波コントロールシステムを備えたYF-21の実力を見せつけるが、突如として7年前の事件がフラッシュバックしてコントロールを失い、さらに自身の思考に起因する機体トラブルにより、同行していたイサムが乗るVF-11を大破させる。

エデンではシャロンのコンサートが開演し、観衆はその歌声と魅力に酔いしれる。プロデューサーとは名ばかりで、未完成の人工知能を秘密裏にサポートする役割を担っていたミュンは、コンサートを訪れていたイサムの姿を見て動揺し、一時的にシャロンが想定を外れた動きを見せる。イサムは修理を終えたYF-19を駆り、無謀な飛行を続けながらガルドのYF-21と競いあう。一方、かつて歌手を目指していたミュンは歌うことを拒み、パイロットになる夢を実現させたイサムとガルドを見て意気消沈し、距離を置くようになる。その夜、イサムとガルドはコンサート会場で火災が発生するという予告電話を受け、それぞれミュンのもとに向かう。その電話と火災はミュンの心を読み取り、ひとりでに動きだしたシャロンによるものだった。先にたどり着いたガルドがミュンを救い、ミュンはガルドに対して感情を溢れさせ、やがてその身を寄せあう。翌朝、イサムは勝ち誇った態度のガルドと決着をつけるべく演習に臨むが、格闘戦で形勢不利になったYF-21が拾ったYF-19のガンポッドから装填されていないはずの実弾が発射され、重傷を負う。

ガルドは査問会議にかけられて故意を疑われるものの、上層部は事故と裁定する。イサムは病室から抜け出して、そばで見守っていたミュンとともにエデンの森を訪れて思い出を振り返る。病院に戻ってきたふたりを見たガルドは逆上し、イサムと殴りあいの喧嘩を始める。傷つくことを恐れて夢をあきらめていたミュンは、変わらずに夢を追い続けるイサムとガルドを前にしてシャロンの秘密と自己嫌悪の感情を吐露し、3人はわだかまりを抱えたまま別れる。シャロンの公演が終わり、ミュンは新たな興行のため、大戦終結30周年記念式典が行なわれる地球のマクロス・シティへと向かう。一方、上層部の当初からの意向により、統合軍は有人可変戦闘機に代わる新型無人戦闘機「ゴーストX-9」の採用を決定し、スーパー・ノヴァ計画は中止となる。これに不満を抱いたイサムは無断でYF-19を持ちだし、ゴーストに一泡吹かせるために採用発表が行なわれる地球を目指して飛び立つ。そのころ地球では、人工知能を偏愛するエンジニアの手によって中枢のブラックボックスに非合法のチップを組み込まれたシャロンが、ミュンの心をモデルとして完全な自我に目覚める。

シャロンによってマクロス・シティの情報ネットワークは掌握され、その場の人々の精神はその歌声に支配されてゆく。イサムは地球の防衛網を突破して大気圏に突入するが、そこへ追撃要請を受けたガルドのYF-21が現れ、ふたりは口喧嘩を交えながら激しいドッグファイトを繰り広げる。その果てにガルドは、7年前にミュンを傷つけたのがイサムではなく自分自身であり、それを恥じて記憶を封じ込めていたことを思い出す。罪の意識にさいなまれるガルドをイサムは受け入れ、友情を取り戻す。そこへイサムへの歪んだ愛を向けるシャロンが操るゴーストX-9が襲いかかる。ガルドは捕らわれたミュンをイサムに託してゴーストの相手を引き受け、イサムはミュンを救出すべく、シャロンの支配を受け浮上したマクロスへと向かう。無人機の機動力に勝ち目がないと判断したガルドは、YF-21のリミッターを解除し、壮絶な追撃の果てにゴーストと相討ちになる。イサムはシャロンの歌に取り込まれかけながらも、聞こえてきたミュン自身の歌によって意識を取り戻すと、砲火をくぐり抜けてマクロスの情報ネット中枢とシャロンのブラックボックスを破壊し、ミュンとの再会を果たす。

登場人物

「英」は英語吹き替え版のキャスト(第4話はバンダイビジュアル版) [2][3]

イサム・ダイソン
- 山崎たくみ / 英 - リー・ストーンデヴィッド・ヘイター英語版(第4話)
本作の主人公。フルネームは「イサム・アルヴァ・ダイソン(Isamu Alva Dyson[* 1])」。地球出身で、2015年3月27日生まれの24歳[* 1]。階級は中尉。テストパイロットとして新星インダストリー社の新型可変戦闘機YF-19を担当する。ガルドとミュンとは旧知の仲。幼少のころより大空を飛ぶことに魅せられ、惑星エデンのダルメシアン・ハイスクールで、ガルドとともに手作りのエアプレーンを飛ばすことに夢中になっていた。ハイスクール時代のある事件をきっかけにエデンを離れ、統合軍にパイロットとして入隊した。腕前は超一流だが自由奔放かつ無鉄砲で、エースパイロットの証「ロイ・フォッカー勲章」を3度受章しながらすべて剥奪されている[* 1]。常習的な軍規違反で統合軍内をたらい回しにされ、辺境でゼントラーディ残存兵と戦っていたが、テストパイロットを何人も病院送りにした「じゃじゃ馬」YF-19のテストパイロットとして7年ぶりにエデンへと戻ることになる。
小太刀右京による小説版『マクロスF』や、『劇場版 マクロスF 恋離飛翼 〜サヨナラノツバサ〜』にも登場する。
ガルド・ゴア・ボーマン
声 - 石塚運昇[注 1] / 英 - リチャード・ジョージマイケル・グレゴリー英語版(第4話)
ゼネラル・ギャラクシー社の開発主任兼テストパイロット。25歳。新型可変戦闘機YF-21を担当する。冷静沈着だが、イサムに対しては憎悪の感情を向け、意地を張りあう。巨人族ゼントラーディ人と地球人の共存により生まれた混血児(いわゆるピースチルドレン)で、遺伝により明晰な頭脳と屈強な肉体をそなえている。しかし、成長とともに巨人族の血の発作的な攻撃衝動に襲われるようになり、ひそかに抑制薬を服用していたが、これがテスト中に重大な事件を引き起こす。
7年前までは幼なじみであるイサムやミュンとの関係は良好であった。しかし、父親が亡くなり悲しむミュンをイサムが慰めていたところを見て、破壊衝動を抑えきれずミュンに襲い掛かる。これによりイサムとの関係も崩壊し、自身の凶行に対する後悔に耐えきれず記憶を封じて「ミュンを襲った犯人はイサムである」と思い込むことで理性を保っていた。イサムとの戦いの果てに真実を思い出して和解を遂げ、ゴーストの足止めを引き受けて相討ちとなる。
ミュン・ファン・ローン
声 - 深見梨加、歌 - 新居昭乃 / 英 - アン・シャーマン、歌 - ミシェル・フリン
イサムとガルドの幼なじみ。23歳の中国系白人[7]。幼少のころより歌を愛し、歌手になることを志していた。ダルメシアン・ハイスクールのマドンナ的存在だったが、ある事件をきっかけに地球に渡り、歌を捨てる。7年後にシャロン・アップル・プロジェクトのプロデューサーとしてエデンに戻り、思いがけず再会したイサムとガルドとの恋の板挟みで苦悩する。
シャロン・アップル
声 - 兵藤まこ、歌 - 新居昭乃Gabriela RobinWu yun ta naMelodie SextonRaiché Coutev Sisters英語版 / 英 - メローラ・ハートブリジット・ホフマン英語版(第4話)
人工知能によって2039年に生まれ、2040年には銀河系最大の人気となったヴァーチャロイド・アイドル。ファンの声援に呼応して、その容姿、歌声は幾重にも変化する。
その人工知能は感情面において未完成であり、秘密裏にミュンのサポートを受けて動いていたが、のちに「バイオニューロチップ」と呼ばれる、自己保存本能をもつ非合法のマイクロチップを組み込まれることで自我に目覚め、「シャロン・アップル事件」を引き起こす。
ミラード・ジョンソン
声 - 内海賢二 / 英 - ボー・ビリングスリー
ニューエドワード基地の司令官で、「スーパー・ノヴァ計画」の主任を務める大佐。52歳。かつてはスカル中隊所属のパイロットで、一条輝の部下だった[注 2]。テストフライト中の事故で左足を失い、義足を装着している。イサムやガルドたちに毅然とした態度をとり、厳格だが度量のある「空の男」でもある。
ヤン・ノイマン
声 - 西村智博 / 英 - ダン・ウォーレンデレク・スティーヴン・プリンス(第4話)
YF-19の主任設計者。そばかすが目立つ冴えない少年だが、17歳の若さで次期主力戦闘機の設計主任になった天才。機械への偏った愛情が、乗り手を選ぶYF-19の機体特性に反映されている。凄腕のハッカーでもあり、シャロンを愛してハッキングを試みる。奔放なイサムに振り回されるうちに、感情の起伏が激しくなったと指摘されるようになる。スーパー・ノヴァ計画が中止になると不満をあらわにし、イサムとともにYF-19を持ち出して後席でサポートするが、シャロンに操られ、イサムによって緊急脱出装置で機体から射出される。
ルーシー・マクミラン
声 - 林原めぐみ / 英 - バンビ・ダーロ
YF-19テストチームのオペレーター担当。21歳。そばかすが目立つ女性で、着任早々口説いてきたイサムの奔放さに呆れながらも、公私ともにサポートする理解者となる。
マージ・グルドア
声 - 速水奨 / 英 - デヴィッド・ルーカス
ミュンの補佐役で、シャロン・アップル・システムの開発者。23歳。人工知能に偏執的な愛情を注ぎ、統合軍と絡んで暗躍する。非合法のバイオニューロチップをシャロンに組み込んで完全な自我を生じさせ、マクロス・シティが掌握される光景を眺めて笑みを浮かべつつ、マクロスからその身を投げる。
レイモンド・マーリー
声 - 銀河万丈 / 英 - ボブ・パーペンブルック
芸能会社アップルエージェンシーの社長。シャロンのコンサートツアーの統括責任者。エデンでの公演を終えて地球の式典を訪れるが、シャロンにバイオニューロチップを搭載したことをマージに告げられ、コンサートを中止しようとして射殺される。
ケイト・マッソー
声 - 高乃麗 / 英 - スーザン・ジョーダン
イサムやガルド、ミュンの元同級生。開放的で世話好きな二児の母親。再会したミュンが歌を拒むのを見て心配し、元気づけようとイサムやガルドに連絡をとる。
モーガン・マッソー
声 - 屋良有作 / 英 - ダガリー・グラント
ケイトの夫。ジャーナリスト。イサムやガルド、ミュンの元同級生で、ハイスクール時代からイサムに対し熱狂的ともいえるシンパシーを抱いている。
ゴメス将軍
声 - 北村弘一 / 英 - リチャード・バーンズ
スーパーノヴァ計画の監督者。有人戦闘機の存続については否定的な見解を持つ。
ヒギンズ総司令
声 - 佐藤正治
新統合軍の最高責任者。無人戦闘機計画とシャロン・アップル・プロジェクトを後援する。

登場メカ

主要可変戦闘機

YF-19
次期主力戦闘機開発プロジェクト「スーパー・ノヴァ」計画で次期主力機の座を狙う新星インダストリー社の機体。前進翼を採用しており、優れた運動性能と引き換えに操縦には高度な技量を要する。テストパイロットはイサム・ダイソン。クリーム色に黒と赤のカラーリング。オプションとして陸戦パック、ファストパック、フォールドブースターを装備する。
YF-21
スーパー・ノヴァ計画でYF-19と次期主力機の座を争っているゼネラル・ギャラクシー社の機体。脳波コントロールシステム「BDI(Brain Direct Image)」を採用している。テストパイロットはガルド・ゴア・ボーマン。色は青。オプションとしてファストパック、フォールドブースターを装備する。
VF-11B サンダーボルト
新星インダストリーの開発した可変戦闘機。2040年現在における新統合軍の主力兵器だが、すでに旧式化しており、次世代機の開発が始まっている。オプションとしてスーパーパック、固体燃料ロケットブースターを装備する。OVA版でイサムが物語の最初に搭乗している機体。

統合軍の兵器

ニューエドワーズ基地の兵器

8発全翼巨人爆撃機
全長約70 - 80メートルにもおよぶ超巨大な爆撃機。翼下に4機のターゲット・ドローンを懸架できる。
マクロス VF-X2』では「ウイングスロップ SB-10/10 スターウイング(WINGTHROP SB-10/10 STARWING)」と命名されている。
ターゲット・ドローン
オレンジ色にペイントされた無人機。機首にビーム砲を持ち、ハイ・マニューバミサイルを6機搭載可能。
ヌージャデル・ガー
第一次星間大戦でゼントラーディ軍が使用していたパワードスーツ。色はディープグリーン。ペイント弾を使用した演習の標的機として登場。
VF-1J バルキリー
第一次星間大戦で地球統合軍が使用していた可変戦闘機。白地に黒いラインが入っている。ペイント弾を使用した演習で、標的機のヌージャデル・ガーによって盾にされる機体として登場。
デストロイド・モンスター
第一次星間大戦で地球統合軍が使用していた陸戦兵器デストロイドの一種。YF-19の実弾を使用した演習の標的機として登場。

地球の兵器

SDF-1 マクロス
1999年に地球に落下した異星人の巨大宇宙船を地球人が改修したもの。両腕部にはアームド級が接続されている。地球のマクロス・シティに鎮座している。
ゴーストX-9
無人戦闘機。有人機の耐G限界を超えた驚異的な運動性を発揮する。
VF-11 無人機仕様
VF-11の無人機仕様。オレンジ色に塗装されており、ゴーストのテストに使用される。
自動防衛サテライト
地球の衛星軌道上を周回し、防衛ラインを形成する攻撃衛星。

ゼントラーディの兵器

バトルスーツ
はぐれゼントラーディの使用しているパワードスーツ。色はブラウン。OVA第1話の冒頭でイサムが所属する部隊と交戦する。
デザインは宮武が手がけており、河森より「どこの所属とも分からない残存部隊が使用しているもの」という注文を受けたといい、飛行姿勢にこだわったと述べている[8]

その他のメカ

スターラーホエール
地球とエデンをつなぐ巨大な旅客宇宙船。かつての海上客船のような外観で、海上から重力制御で浮上して宇宙に向かう。
マクロス・シティヘリ
地球のマクロス・シティで使用されているジェットヘリ

設定・用語

惑星エデン

地球から11.7光年先のグルームブリッジ星系にある惑星[9]。2013年11月に近距離宇宙移民船団が発見し、最初の移民惑星として入植が進められた[9][注 3]。「エデン(楽園)」の名のとおり開放的で自然豊かな土地であり、観光地として都市開発も進められている。重力は地球よりも若干弱く、大気が濃密[10]。空には2つの月が描かれている。

地名・施設

ニューエドワーズ・テストフライトセンター
惑星エデンの乾燥地帯にある統合宇宙軍施設。2039年より次期主力戦闘機開発計画「スーパー・ノヴァ」の性能評価試験が行なわれる。名称の由来はアメリカ航空史の聖地・エドワーズ空軍基地で、新旧エドワーズ基地間がフォールドブースターによる可変戦闘機の地球 - エデン間の最短飛行記録コースとなっている。
キャピタル・シティ
惑星エデンの河口付近にある大都市。地球のサンフランシスコ周辺を参考にして作られており、観光スポットにもなっている。アトランティス・ドームや宇宙港などがある。
惑星エデン植民記念公園 星の丘 展望台
湾に面した丘陵地帯。発電用の風車が多数立ち並ぶ。ハイスクール時代のイサム、ガルド、ミュンが手作りのエアプレーンを飛ばした場所。都市開発が進んでも手つかずのままで、イサムたち3人が7年ぶりに再会する場所となる。
アトランティス・ドーム
マクロスを記念した大公会堂で、開閉型ドームを持つ。竜鳥をかたどったモニュメントがある。シャロンがコンサートを行なう。

生物

竜鳥(りゅうちょう、サウロ・バード)
惑星エデンに生息する鳥類に近い姿の生物。森林地帯に生息する「巨大竜鳥」は肉食だが性格は大人しく、人目に触れることはめったにない。翼長20数m、体重80 - 120kg[10]。巨大な翼で水上を滑空し、長い首で水中生物を捕食する。そのほか、食用として飼育される牛サイズの「食用竜鳥」、20cm - 30cmサイズの「小型竜鳥」、陸を疾走する「疾走竜鳥」がいる[11]
フライングアップル
樹の幹から垂れた枝が根を張るエデン特有の植物。熟した実は枝から伸びた根が切れると空に飛び上がるためフライングアップルと呼ばれる。実はビワのような形状で、第3話でイサムとミュンがかじる場面では苦いと感想を述べる。

このほか、ミツメヘビトカゲ、グレートテーブルツリー、ニジイロポプラ、デザート・コーラル、カップツリー、ヒメヤシなど、地球では見られない生物が生息している。

舞台設定を手がけた宮武は、恐竜が滅びず残った世界であり、地球の哺乳類のたぐいは生息していないと説明している[10]

マクロスF』にはエデン原産の生物で、翼の生えたネコ科哺乳類のような外見の「ヒュドラ」が登場する。同作品のオーディオコメンタリーで河森は、エデンでは羽が生えた生物が基本だと語っている[12]

地球

人類の母星。2010年のゼントラーディ軍ボドル基幹艦隊による軌道爆撃で焦土と化し、生命の大半が失われたが、クレーターに鎮座するSDF-1 マクロスを中心に新統合政府の首都「マクロス・シティ」が築き上げられ、大都市として発展を遂げている。2040年には新統合宇宙政府発足30周年記念式典が行なわれる。

本作におけるマクロス・シティのデザインは宮武が手がけた[13]。道路から描き始め、都市に必要な機能を加味し、運河や道路には象徴性をもたせてデザインした[13]。河森からは最初「CGで半立体に起き上がらせるためのベースとして地図を描いて欲しい」という注文を受けて描いたが、互いに都市の密度についての認識が異なっており、当時の技術や処理能力では難しかったため不採用になったという[13]

MOVIE EDITION

マクロスプラス MOVIE EDITION』(マクロスプラス ムービーエディション)は、OVA『マクロスプラス』全4話を再編集して約20分[14]の新作カットを加えたアニメ映画。1995年10月7日公開、配給は松竹、上映時間は115分[15]。『プラス』と並行制作されたテレビアニメ『マクロス7』の番外編『劇場版マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!』との同時上映で、「マクロスフェスティバル ’95」と銘打たれ公開された。

基本構成はOVA版のシーンを再編集しつつ、若干のストーリー変更が行われている。OVA版は当初から劇場版を念頭に置いて制作されており、各巻ごとにエピソードを振り分けたかたちになっている[16]。再編集にともなう時系列の入れ替えなどにより序盤の展開が速くなっているが、そのぶん新作カットが加えられ、とりわけ終盤がボリュームアップされている[17]。特に最終盤のYF-21がゴーストX-9の発射したミサイルを全弾回避するシーンは5秒間でセル画116枚[18]が使用され、そのクオリティの高さは「伝説の5秒」とも評されている[19][20]。OVA版の制作時から、劇場用に作られていたカットも存在する[21]。挿入歌としてシャロンの曲「WANNA BE AN ANGEL」が追加されている。

日本国外ではビデオテープDVDが発売されたが、字幕のみで吹き替えはない[3]

2021年、日本国内で「マクロス」の権利を有するビックウエストスタジオぬえと、国外で「ロボテック」として権利を有するハーモニーゴールド USAとのあいだで合意が締結されたことで「マクロス」の世界展開が可能になり、同年12月14日より本作が北米で劇場公開されることになった[22][23]

OVA版との差異

劇場版では物語の序盤でイサムがニューエドワーズ基地に着任してすぐにYF-19を操縦することになっており[24]、上空から自由落下して地上付近で回避する場面が追加され、ほかにミュンがレイモンドにシャロンへの懸念を語る場面なども新たに加わっている[25]

イサムとルーシーの恋愛にまつわる場面も追加されて夜のデートとベッドシーンが描かれ、ミュンが火災に巻き込まれる場面ではイサムが救出に向かうことはなくなっている[26]

OVA版の第2話ラストでイサム機がガルド機との格闘中に実弾を受ける場面はカットされており、OVA版の第1話における演習場面が前後の場面とつなげられ、イサムはここの事故で重傷を負うことになっている[26][27]

物語後半ではルーシーとミラードの会話場面が追加され、ミラードが若いころにイサムと同じく機体を無断で持ち出したことがあると語る[28]

終盤はリミッターを解除したYF-21とゴーストX-9の決戦場面が大きく拡充されている(いわゆる「伝説の5秒」)[19]。最終局面ではイサムの少年時代の回想や、ミュンが破壊されたシャロンの中枢部を抱擁してチップを引き抜く場面、再会を果たしたイサムとミュンの対話などが追加されている[29]

作品解説

企画

本作はもともと実写映画をはじめとしてテレビアニメとOVA、その劇場版からなる「マクロス4大プロジェクト」の一環として企画された[30]。製作会社ビックウエストの大西加紋は、アメリカ合衆国よりハリウッドでの実写映画化企画を持ちかけられた際、当時の子供のあいだでは『マクロス』の知名度が低かったことから、日本国内でも新作を展開して人気を盛り上げようという意図と、バンダイが「ガンダム」のプラモデル(ガンプラ)に並ぶヒット商品を求めていたという背景があったことを明かしている[31]。このプロジェクトのうち、実写映画だけは実現しなかった(別項目参照)。

『超時空要塞マクロス』を手がけた当時の河森正治は「同じことは二度とやらない」という意識が強く、劇場版『愛・おぼえていますか』(1984年)やミュージックビデオ『超時空要塞マクロス Flash Back 2012』(1987年)はメディアが変わることを条件に受け入れて制作し、プラモデル企画「アドバンスドバルキリー」にも携わっていたが、オリジナル企画を考えても通らずに10年が経過したころ、バンダイビジュアルのプロデューサーで、河森の学校の後輩でもあった高梨実に「時効」だと声をかけられた[32][33]。その言葉を聞いて河森は1週間の時間をもらい、新しいアイデアを思いつけば引き受けようと考えた結果、旧作ファンやメカファンから「総スカン」を食らう覚悟で『マクロス7』の原型となる「戦わずに歌うパイロット」という着想に至り、その一方で従来のファンに向けて、正反対となるリアル路線の『マクロスプラス』のアイデアを用意し、どちらもできるのであれば引き受けると高梨に伝えたところ、数日後に両方通ったと連絡を受けたという[32][33][34][注 4]。同時に2作品のメカを用意しなければならないことから、『プラス』を洋画風、『7』を漫画風と作風を分け、かつ両作の時代設定を近づけて登場機の系統を共通にすることで同時進行が可能になると考えた[34]。河森は本作の位置づけをサイドストーリー的なものであるとしており、また当時『プラス』を「青いマクロス」、『7』を「赤いマクロス」と色でたとえ、『プラス』は「温度が高くなりすぎると冷たい色に見える青い炎」のイメージで青空や大気圏を舞台にしたといい、『7』は「赤く燃える炎の、ホットな感じ」だと語った[30]

加えてテレビアニメではメカ描写に限界があるため、テレビアニメは歌、OVAはメカに振り分けるという意図も河森にはあった[32]。大西加紋も、週に1本ペースのテレビは「マニア層」を納得させるだけの水準維持が難しく、逆にクオリティを高くできるビデオはペースが遅いという欠点があることから、両方が必要だという考えを述べていた[31]

本作が生まれた背景には、スタジオぬえの関与なしに制作され、1992年に発売されたOVA『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』の存在もある[37][38]板野一郎は『II』がなければ本作はやらなかったと語っており、同作を「僕達の思ってた『マクロス』と繋がっていなかった」と評し、河森にも自分と同様の気持ちがあったといい、新作の誘いを受けた際に「10年経っただけ進化したものにしたい」ということで、10年間の自分たちの成長過程を画で表現することに挑戦したという[37]

新規スタッフ

河森総監督のもとで監督に起用された渡辺信一郎は、本作が監督デビューとなる[39]。渡辺はもともと実写映画志望で[40]、現場慣れしていない河森のフォローと、多様なアイデアを取り入れるための起用であったといい、プロットの作成段階から参加して絵コンテも担当している[41]。脚本には実写ドラマを手がけていた信本敬子が起用され、河森は感情描写や台詞の発想に刺激を受けたという[33]。板野は、「大人のドラマ」を描きたいという目標において渡辺や信本の果たした役割は大きく、河森だけでは大林宣彦風の「綺麗な恋愛関係」で終わるところ、渡辺が入ることで大人っぽくなったと述べている[37]。音楽を手がける菅野よう子は、本作において初めて単独でアニメのサウンドトラックを担当した(後述)。本作で出会った渡辺、信本、菅野は、のちに結集してテレビアニメ『カウボーイビバップ』を手がけることになる[42]

本作のオリジナルキャラクターデザインは摩砂雪が担当[43][37]。そのほか、第2話、第3話の絵コンテ担当に樋口真嗣[41]、シャロンのコンサートシーン担当に森本晃司[41]原画スタッフに庵野秀明(第1話)[注 5]ら著名なクリエイターが名を連ねている。また板野は、自身が目をかけて第4話でメカ作画監督を担当した後藤雅巳、板野を慕って集まった村木靖鴨川浩といった面々も作品の完成度に貢献したと語っている[37]

テーマ

河森は、『超時空要塞マクロス』では歌の力で戦争が終結に導かれるという物語が描かれたが、本作では反対に歌の力がマインドコントロール的なところまで暴走したときの問題をテーマに掲げている[16]。シャロンは当初、当時最先端だったバイオテクノロジーをモチーフとしていたが、人間との差別化が難しいためバーチャルアイドルとAI(人工知能)に変更した[33]。こうしたテーマを選んだことについて河森は当時、メディアによる催眠効果に関心があったと語っている[1]。また河森は当時からAIの進歩による無人機の台頭やCG(コンピュータグラフィックス)の普及を予測しており、「最後の有人戦闘アニメ」をやろうと考えたという[46]。人間と機械の対立というコンセプトはありふれていたため、本作では双方に存在する魅力と危うさのようなものを描きたかったとしており、両者の組み合わせをさまざまなかたちで採用している[16]。渡辺も、イサムとガルド、ミュンとシャロンの「どちらが正しいとは言えない」という点を見どころとして挙げている[40]

河森はまた、小さな青春物語や友情物語を最新鋭戦闘機とバーチャルリアリティのテクノロジーで拡大して見せるとどうなるかという試みでもあったと語る[47][16]。対象を「スタイル」で判断しがちな傾向に対して、そこから生じる「思い込み」を意図的に外すのが河森の好みで、本作は「ものすごくシリアスな装いで、バカなストーリー」だとしており、入れているシリアスなテーマも、感じられなくてもよい程度にしているといい、並行制作の『7』のほうが重いテーマを扱っていると述べている[47]

渡辺は「空を描く」ことが本作で最初にやりたかったことのひとつであり、ただの背景ではなく「憧れの対象」「広がりある空」として描きたかったとコメントしている[21]。板野も「きれいな空で、気持ちいい戦闘シーンを作りたい」と考え、そのために取材で実際に戦闘機の操縦を体験した[21]後述)。

デザイン・設定

『超時空要塞マクロス』で主役機のVF-1 バルキリーをデザインした河森は、本作においてその後継となる可変戦闘機VF-11YF-19YF-21のデザインを手がけた。イサムが搭乗するYF-19は、アドバンスドバルキリーを経て『天空のエスカフローネ』の原型となった企画『空中騎行戦記』でデザインした「星嵐-99甲」をベースとしたが、ほぼ原型はとどめていない[48]。VF-1から変形機構を抜本的に変化させることを目指しつつも、主役機としてのアイデンティティを生み出すのに苦慮したという[33]。ガルドが搭乗するライバル機のYF-21はYF-19よりも早く完成しており、当時の試作機競争のなかで河森が一番好きなYF-23をモチーフに、変形機構をはじめYF-19との差別化を目指した[33]

ゼントラーディのバトルスーツ、8発全翼巨人爆撃機、ゴーストX-9といったメカや、コクピット、パイロットスーツ、惑星エデンの風景やニューエドワーズ基地、コンサートホールなどの施設、同惑星に生息する竜鳥、地球のマクロス・シティといった舞台背景のデザインは宮武一貴が担当した[49][50]

スタジオぬえと関わりがあり、『超時空要塞マクロス』放映時にVF-1の設定を解説する同人誌を出して模型誌にも引用されるなどしていた千葉昌宏は、本作においてYF-19とYF-21の設定を依頼され、YF-19が関係するということで同時に『7』の設定も手がけて同作品に登場するDr.千葉のモデルとなり、その後のシリーズ作品にも設定監修として携わることになる[51]

空戦描写

本作のために河森ら制作陣はアメリカ合衆国で取材を重ね、エドワーズ空軍基地やドライデン飛行研究センター(現在のアームストロング飛行研究センター)を訪れて参考にした[33]

エアコンバットUSA(公式サイト)では河森と板野が実際にNATOの練習機に搭乗して模擬空中戦をおこない[52][44][33]、そこでの体験を劇中の空戦描写に取り入れた[53][33]。河森は『超時空要塞マクロス』の企画時、飛行機に乗せてもらい刺激を受けた経験から、『プラス』では「飛行機ものをちゃんとやりたい」ということで板野とアメリカに渡り、教官同乗のもとでみずから操縦して互いに後ろを取りあった[53]。このとき板野は、自分にGを故意にかけてブラックアウトを体験した[44]

第1話でガルドがミサイルを回避するカットは板野の手描き原画によるもの[54]。板野の原画はカット袋に入り切らず、代わりに段ボール箱を用いていたという[55]。ガルドとゴーストの最後の戦闘シーンも板野によるもので、最初は無線でガルドの死が伝わるというだけのシーンであったが、板野はこのガルドを描かなければならないと主張し、中割りができないようシートに番号を振ってランダムに割り、手ぶれ補正機能のついたカメラでも追いきれないようなかたちでGに苦しむガルドの気持ちが伝わる表現を試みた[55]。本作の仕事で無理をした板野は帯状疱疹を患って眠れなくなるほど悪化し、手描きに限界を感じて活動をCGメインに移していくことになる[54][55]

音楽

音楽を担当する菅野よう子は、本作において初めて単独でアニメのサウンドトラックを手がけることになった[56][注 6]ハウステクノから、アンビエント、宗教・民族音楽、バンドセッション、シンフォニーに至るまで、本作で菅野が手がけた音楽のジャンルは多岐にわたる[57]

音楽プロデューサーの佐々木史朗ビクターエンタテインメント)は、当時すでにコマーシャルメッセージ(CM)の音楽を数多く手がけていてその業界では有名だった菅野を本作に起用することに決め、溝口肇のライブでピアノを弾いていた菅野に声をかけたという[56]。菅野の起用について、佐々木によれば河森は最初、音楽性を讃えながらもCMにはないバトル曲については心配もあるという反応であったといい[56]、渡辺も、菅野のキャラクターからスタッフのあいだでは「本当に曲を作れるのか」との声もあったが「出来上がった曲を聞いて、人を見かけで判断してはならないと思い知った」と発言している[58]

最初に発注されたのがシャロン・アップルのコンサートで用いる歌で、菅野はシャロンの設定を見て「音楽兵器」を作ろうと張り切り、その対極にあるミュンのための音楽と合わせて5曲ほどを制作した[57]。本作は音楽を先行して制作していたため、指示がほとんどなく自由に作曲できたという[59]。通常の劇伴のようにメニューやフィルムに合わせての作業ではなく、シチュエーションやテーマごとに作曲する方法であった[57]。上記のように音楽のジャンルは広範にわたるが、菅野は本作においてジャンルを指定されたことはなく、「私の経験と体感とイメージで勝手に見繕ったらこうなった」と語っている[57]

シャロンの音楽について菅野は、本当に聴く人を「洗脳」するつもりで制作したといい、トレンドのサイクルから作品の時代における流行の音楽をイメージし、音響が脳に与える影響も考えて劇伴を作っていったと語っている[60]。コンサートシーン用の曲は宗教的な要素も柱とし、「Idol Talk」と「SANTI-U」を制作した[59]。当時は加減を知らず「兵器としての音楽を作りたい」と思っていたが、のちに「あの曲を聴いて空軍に入り、イラク戦争に行ってきました」「シャロン・アップルの曲で自殺を考えた」といった感想を受けて初めて音楽や音響の影響力に気が付き、怖さを感じたと述べている[60]

楽曲の演奏にはイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団が起用された[56][61][62]。菅野の要望もありイスラエルテルアビブまで向かい、レコーディングはホールにおいて2チャンネルの一発録りで実施された[56]。佐々木は海外録音について、以前にモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団のレコーディングを経験し手応えを感じていたことと、当時は円高で海外旅行がしやすかったことを背景に挙げている[61][62]。菅野は本作で初めてオーケストラ用のスコアを書いたといい、ホールでの録音もスタジオ録音とはまったく違ったと語っている[57]。佐々木によると菅野は「鳴りのいいスコア」がオーケストラのメンバーに好評だったという[56]

シャロンの歌唱には複数のボーカリストが起用されており、このうち山根麻衣新居昭乃について佐々木は「全くタイプの違う女性シンガーが、ひとりのキャラとして歌うという形式も珍しい」と述べている[56]。歌手志望時代のミュンが歌っていたという設定の劇中歌「VOICES」も、ビクターエンタテインメントでアニメの主題歌を何度も担当しており、菅野とも知り合いだった新居に歌唱を任せた[56]。作詞のGabriela Robin(菅野の別名義)はシャロンの曲「SANTI-U」と「Torch song」の歌唱も務めているが、菅野によると歌は本作が最初で、Origaと出会うまで理想的なボーカリストがいなかったため「仕方なくという感じ」であったという[57]

シャロンの曲のうち、第4話で使用されている「INFORMATION HIGH」のみ菅野ではなく、元電気グルーヴCMJKが作曲した[56]。歌唱はメロディー・セクストン[56]。当時フロッグマンレコーズでテクノ界を中心に活躍していた佐藤大(DAI名義)と渡辺健吾(KEN=GO→名義)が作詞を担当した[63]。佐藤はのちに『カウボーイビバップ』、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』で菅野と組み、『マクロスF』でも楽曲を手がけている。

コンピュータグラフィックス

河森がアニメにコンピュータグラフィックス(CG)を導入したのは本作が最初である[64]。日本ではCGが「1分1億円」と言われていた当時、本作の取材のためにアメリカ合衆国を訪れた河森は、サンフランシスコ郊外にあるアニメーション・特撮制作会社のコロッサスにおいて数十人がデジタルペイントで仕上げ作業をしているのを見学し、それが「安いから」という理由で行なわれていると聞いて衝撃を受けたという[53][64][65]。そこでデジタル化の流れは止められないと感じ、同行していた高梨とも相談して、時代に先んじるかたちでCGの導入を決め、認知を広めるためにテレビアニメ『7』のオープニング映像でも用いることにしたと語っている[64][65]

当時のCGは高額であったため、本作では3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)の部分的な使用にとどまっている[64][65]。難しいカット以外はパーソナルコンピュータ(PC)で制作したものをプリントアウトして撮影するという手法であった[53]

CGは映像制作会社のLINKS Corporation(リンクス)が担当し、CGディレクターの片塰満則が制作した[66]。当初リンクスが受けたのはシャロンの3Dシンボルマーク制作についての相談であったが、河森が同社スタッフの説明を受けてCG表現の可能性を認識し、本格導入を決定した[66]。片塰は基本的な設定を除くデザインや演出を務め、アニメにおける従来の制作工程にCGの機能を当てはめるといった、CGをセルになじませるための実験を行なった[66]。第3巻のラストで使われるフォールド空間を進むYF-19のCGモデルのデータ作成には株式会社ビルドアップが協力し、『7』のオープニングに登場するCGの機体にもデータの一部が流用された[66]。片塰は『プラス』と『7』で手がけたCGのリールを持ってスタジオジブリに営業をかけ、その約4か月後に宮崎駿から直接発注を受けて『On Your Mark』のCG制作を担当することになったという[67]

リンクス以外では、佐山善則によるCG画像も使用されている[68]。当初メカデザイナーとしての参加を予定していた佐山は、河森にCG処理のアドバイスをするためにセル画をMacintoshで加工して見せたことでCG作業を手がけることになり、リンクス作成のCGデータを貼り込む作業なども担当した[68]。渡辺によると、リンクスのCGだけでは浮いた印象になると思い、佐山によるCGをモニター表示などに多用したという[40]。第1話に登場するガルドの脳波の波形は、佐山自身の脳波データをMacで記録したものが用いられている[68]

キャスト・演技

イサム役の山崎たくみはもともとパイロットにあこがれていたといい、イサムの設定画を見て『マクロス』の内容をあまり知らずにオーディションを受け、絶対に自分がやるという意思を当時のマネージャーに表明したと明かしている[52]

ガルド役の石塚運昇はオーディションを経ず、「完全に声の格好良さで」河森が指名したという[52]。一方、渡辺は当時アニメの音響や声優の演技を批判しており、音響監督の三間雅文がその意見を受けて真っ先に石塚の名を挙げたとしている[69][70]。渡辺は石塚の演技を聞いて意識が変わり、「アニメ作品には芝居のトーンを決定づける人が、基本的には一人いる」として、『プラス』においてはそれが石塚であったと述べる[69]。また渡辺は自身の作品で一度メインキャラクターの役を務めた声優には、キャラクターとの結びつきが強くなりすぎるということで、ほかの作品でメインの役を依頼することはないが、『カウボーイビバップ』でもメインキャラクターのジェット・ブラック役で出演した石塚は唯一の例外であったと語っている[70][71]

演技は「洋画のような渋さ」を要求され、河森によれば間を取る、説明を省くなどして、漫画的な『7』とは対照的な作風にしたという[52]

板野は、航空自衛隊のテストパイロットによる無線音声を聞いた経験から、実際の戦闘中は声優の演技のようにはきれいにしゃべれないだろうと考え、声優を後楽園ゆうえんちジェットコースターに乗せて台詞を言わせ、Gがかかるとうまくしゃべれないという経験をさせたことで、第1話では普通にしゃべっていたのが第2話から大きく変わったと語っている[72][注 7]

評価

本作はメカ描写をはじめとするクオリティの高さやバーチャルアイドルを描いた先見性などが評価され、日本国外においても人気を獲得した[74]。また音楽を手がけた菅野の存在は本作によって広く知られることになり、その音楽性は業界を超えて賞賛され、「菅野よう子の登場でアニメ音楽の歴史が変わった」ともいわれる[60]

論評

アニメ雑誌『アニメージュ』の解説者5名によるレビューでは、最終第4巻の時点で映像・作画においては総じて高評価であるものの、映画ライターの渡辺麻紀による「期待したコンピュータの恋愛が描けていない」「三角関係のケリもあまりに安直」、漫画家のあさりよしとおによる「莫大な手間を掛けた作画をつぎこんで、こういうベタベタな落としをやる…これがやっぱり『マクロス』なんですね」といった評価もなされた[75]

ライターの志田英邦は『CONTINUE』において、「すぐれたSF作品は時として予言のように、来るべき未来を描く」と述べ、現実世界の21世紀に出現したVOCALOID初音ミク」が、肉体を持たず作り物と知られながらも熱狂的な人気を得ているシャロン・アップルと変わらないコンセプトをもつと評し、さらに本作のリリース開始から約3年後の1997年にロールアウトされたSu-47がYF-19に類似していることや、ドッグファイトシーンの作画がのちのアニメ監督の作画に対する指示にも影響を与えていることを、本作における「予言」として挙げている[76]

ライターの夏葉薫は『オトナアニメ』において、シリーズのなかでも独立性の高い作品でありながら物語内容は「あまり複雑ではない」として、OVA全4巻という時間内でシリーズの要素を盛り込んだ物語を作るための「狭い正解」を選んだ作品だとしている[77]。河森・板野によるメカ描写とアクション作画は「日本アニメ史上に燦然と輝くひとつの金字塔」だと評し、「大人の『マクロス』」というコンセプトを実現するために起用された渡辺・信本は、河森が得意とする「大林宣彦的な少年少女の淡い慕情の描写」の7年後にあたる大人の恋愛を描くのに適した人選だったと述べている[77]。またシリーズの作品世界はオーバーテクノロジーが存在しながら、機体の思考制御やバーチャルアイドルが主流となっていない理由として本作で描かれる事件が説明となっており、後継作品において作劇上の困難となりうる要素を処理していると指摘している[77]

アニメ評論家の藤津亮太は「手描きの極まった戦闘シーン」として本作を挙げ、空戦シーンについて「観察力と想像力の織りなすスペクタクルには圧倒されるばかり」と評している[78]

アニメ監督の平尾隆之は、とりわけ本作のビジュアル面に衝撃を受けたといい、パイロットにかかるGの表現、カメラワーク、エフェクト、動きを省略しない丁寧な作画などを高く評価し、自身の監督作『映画大好きポンポさん』の制作中にも何度も見直してカメラワークや演出、特殊効果などを参考にしたと語っている[79]。ドラマ面では、人工知能が台頭する時代におけるアナログ主義のイサムを「この先消えゆくであろうマイノリティの象徴」と見て、「マイノリティがマジョリティに一矢報いる」展開であると読んでいる[79]

人気投票

2019年にNHK BSプレミアムで放送された『発表!全マクロス大投票』では、アニメ作品部門で『プラス』のOVA版が第7位・劇場版が第8位、キャラクター部門でイサムが作品別第7位(OVA版)・総合第9位、メカ部門でYF-19がOVA版第1位・劇場版第7位、歌部門で「INFORMATION HIGH」が作品別第9位(OVA版)・総合第11位となった[80]

スタッフ

使用曲

エンディングテーマ

After, in the dark
作詞 - 山根麻衣Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - 山根麻衣
OVA版第1話から第3話のエンディングテーマ。
シングルカットはされておらず、『MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK』でも後述の「Torch song」と同一のトラックに収録されており、単独トラックでは未発売である。

挿入歌

ミュン・ファン・ローンの曲

VOICES
作詞 - 覚和歌子 / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - 新居昭乃
第1話、第3話、第4話挿入歌。OVA版第4話および劇場版エンディングテーマ。劇中ではミュンの歌として用いられており、ハイスクール時代に作ったものと設定されている。読みはヴォイシズ[注 8]
本曲にはアレンジが異なる「Acoustic」、「a cappella」バージョンがある。また、同じテーマを使用した「MYUNG Theme」および「MYUNG Theme (cello version) 」がある。

シャロン・アップルの曲

Idol Talk
作詞 - Gabriela Robin、新居昭乃 / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - 新居昭乃
第1話、第2話挿入歌。
SANTI-U
作詞 - Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - Gabriela Robin
第2話、第4話挿入歌。
The Borderline
作詞 - Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - 新居昭乃
第2話、第3話、第4話挿入歌。
PULSE
作詞 - Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - Wu yun ta na(台詞 - 兵藤まこ
第4話挿入歌。
INFORMATION HIGH
作詞 - DAIKEN=GO→ / 作曲・編曲 - CMJK / 歌 - Melodie Sexton
第4話挿入歌。
A Sai ёn
作詞 - Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - Raiché Coutev Sisters英語版
第4話挿入歌。
Torch song
作詞 - Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - Gabriela Robin
第4話挿入歌。
WANNA BE AN ANGEL
作詞 - Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - 新居昭乃
劇場版挿入歌。

他作品からの流用曲

私の彼はパイロット
作詞 - 阿佐茜 / 作曲・編曲 - 羽田健太郎 / 歌 - 高乃麗[82]
第2話挿入歌。『超時空要塞マクロス』に登場するアイドル歌手、リン・ミンメイのデビュー曲。ケイトがカラオケで歌う。

各話リスト

巻数 サブタイトル 絵コンテ 作画監督
Vol.1 Episode 1 河森正治渡辺信一郎 夷倭世
Vol.2 Episode 2 樋口真嗣、河森正治、渡辺信一郎 青野厚司
Vol.3 Episode 3 森山雄治(兼演出)
Vol.4 Episode 4 河森正治、渡辺信一郎 瀬尾康博、後藤雅巳(メカニック)

関連メディア

映像ソフト

映像はすべてバンダイビジュアル(現・バンダイナムコフィルムワークス)より発売。

ビデオ・LD

規格品番はVHSがBES-1053 - BES-1056、LDがBELL-704 - BELL-707。

  • 『マクロスプラス Vol.1』1994年8月25日発売、本編40分と特典映像「Macross A Space Cronicle」17分
  • 『マクロスプラス Vol.2』1995年1月1日発売、本編40分
  • 『マクロスプラス Vol.3』1995年2月21日発売、本編40分
  • 『マクロスプラス Vol.4』1995年6月25日発売、本編37分
  • 『マクロスプラス MOVIE EDITION』1996年2月25日発売、本編115分

INTERNATIONAL VERSION

規格品番はVHSがBES-1190(Vol.1)・BES-1194 - BES-1196(Vol.2 - Vol.4)、LDがBEAL-782(Vol.1)・BEAL-784 - BEAL-786(Vol.2 - Vol.4)。

  • 『MACROSS PLUS INTERNATIONAL VERSION Vol.1』 1995年3月25日発売
  • 『MACROSS PLUS INTERNATIONAL VERSION Vol.2』 1995年5月25日発売
  • 『MACROSS PLUS INTERNATIONAL VERSION Vol.3』 1995年7月25日発売
  • 『MACROSS PLUS INTERNATIONAL VERSION Vol.4』 2000年3月31日発売

日本国外ではManga Entertainment英語版から英語吹き替え版が発売された[83][84][85][86]。バンダイビジュアルが発売した『INTERNATIONAL VERSION』の第4巻では、主要キャストの多くが変更された[2][3]

2024年秋、CrunchyrollAnime Limitedとの提携によりOVA版と劇場版を収録し、Manga Entertainment版とバンダイビジュアル版の吹き替えと字幕を利用可能なBlu-ray Disc『Macross Plus Ultimate Edition』をアメリカとイギリスで発売する[86][87]

DVD

『INTERNATIONAL VERSION』の英語吹き替え版も収録。規格品番はBCBA-0937 - BCBA-0940、『MOVIE EDITION』がBCBA-0536。

  • 『マクロスプラス Vol.1』 2001年8月25日発売
  • 『マクロスプラス Vol.2』 2001年10月25日発売
  • 『マクロスプラス Vol.3』 2001年12月21日発売
  • 『マクロスプラス Vol.4』 2002年2月25日発売
  • 『マクロスプラス MOVIE EDITION』 2000年7月25日発売
  • 『マクロスプラス リマスターボックス』 (BCBA-3048) - 2007年8月24日発売。映像をHDリマスター、音声をリニアPCMとし、OVA全4巻と『MOVIE EDITION』をセットにしたDVD-BOX。

Blu-ray Disc

  • 『マクロスプラス Complete Blu-ray Box』(BCXA-0719) - 2013年6月21日発売。映像はHD(1440x1080)、音声5.1ch化し、OVA全4巻と『MOVIE EDITION』をセットにしたBlu-ray Box[88]。音声は日本語、英語を切り替え可能。PlayStation版『GAME EDITION』のムービーも収録。発売を記念して2013年5月2日より「マクロス映画祭 春の陣2013」が開催され、本作を含むシリーズ劇場版4作品が上映された[89]
  • 『マクロスプラス MOVIE EDITION』(BCXA-1060) - 2016年1月29日発売。『マクロスΔ』制作を記念して発売された低価格Blu-ray Disc。新規オーディオコメンタリーを収録[90]

CD

発売はビクターエンタテインメント。2013年6月21日にフライングドッグより再販[91]

  • 『MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK』(VICL-570 / VTCL-60344〈再販〉) - 1994年10月21日発売。
  • 『MACROSS PLUS The Cream P・U・F』 (VICL-15037 / VTCL-60345〈再販〉) - 1995年2月22日発売。発売禁止となったシャロン・アップルのアルバムから危険な催眠要素を除去して復刻したという設定。
  • 『MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK II』(VICL-571 / VTCL-60346〈再販〉) - 1995年7月21日発売。
  • 『MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK PLUS 〜for fans only』 (VICL-23112 / VTCL-60347〈再販〉) - 1995年11月22日発売。

書籍

  • 『THIS IS ANIMATION Special マクロスプラス』小学館、1995年3月1日発行、ISBN 978-4091015815
  • 『THIS IS ANIMATION THE SELECT マクロスプラス MOVIE EDITION』小学館、1995年10月20日発行、ISBN 978-4091015846

関連作品

小説

マクロスプラス
信本敬子著。1996年、小学館スーパークエスト文庫。全1巻。アニメ版の前編にあたり、主人公たちのハイスクール時代から、それぞれの旅立ち、再会までが描かれる。設定には若干オリジナルの要素が加えられている。著者あとがきではアニメ本編にあたる第2巻の予定もほのめかされていたが、その後は執筆されていない。

漫画

マクロスプラス タックネーム(MACROSS PLUS TAC NAME)
漫画はU.G.E、構成協力は守屋直樹。『マクロスエース Vol.005』(2010年6月発売)より連載が開始され、同誌が『Vol.008』で刊行停止となってからは『ニュータイプエース』に移籍し、『Vol.2』(2011年10月8日発売)から『Vol.8』(2012年4月10日)まで連載された。単行本全2巻。設定はアニメ版を踏襲しつつも、ストーリー構成が変更されている。

ゲーム

MACROSS PLUS
アーケードゲーム。1996年、バンプレスト。縦スクロール・シューティング。
マクロスプラス -GAME EDITION-
PlayStation用。 2000年、タカラより発売。3Dシューティング。
マクロスエースフロンティア
PlayStation Portable用。2008年、バンダイナムコゲームスより発売。開発はアートディンク。3Dアクションシューティング。
マクロスアルティメットフロンティア
PlayStation Portable用。2009年、バンダイナムコゲームスより発売。開発はアートディンク。3Dアクションシューティング。『エースフロンティア』の続編。
マクロストライアングルフロンティア
PlayStation Portable用。2011年、バンダイナムコゲームスより発売。開発はアートディンク。3Dアクションシューティング。『アルティメットフロンティア』の続編。
マクロス30 銀河を繋ぐ歌声
PlayStation 3用。2013年2月28日、バンダイナムコゲームスより発売。2060年を舞台に歴代シリーズ作品のキャラクターやメカが集結するフライトアクションRPG。
歌マクロス スマホDeカルチャー
iOS / Android用。DeNAより配信。音楽リズムゲーム。2019年1月に追加登場[92]
マクロス -Shooting Insight-
Nintendo SwitchPlayStation 5PlayStation 4Steam用。2024年3月14日、ブシロードより発売。歴代シリーズ作品が集結したスクロールシューティングゲーム。「イサム・ダイソン&YF-19」が操作可能。

スーパーロボット大戦シリーズ

スーパーロボット大戦α
PlayStation用。2000年、バンプレストより発売。シミュレーションRPG。
スーパーロボット大戦α外伝
PlayStation用。2001年、バンプレストより発売。シミュレーションRPG。
第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
PlayStation 2用。2005年、バンプレストより発売。シミュレーションRPG。
スーパーロボット大戦X-Ω
iOS / Android用。バンダイナムコエンターテインメントより配信。ロボットアクションRPG。2019年6月に期間限定で登場[93]

Another Century's Episodeシリーズ

Another Century's Episode 3 THE FINAL
PlayStation 2用。2007年、バンプレストより発売、開発はフロム・ソフトウェア。クロス・オーバー・ロボット・アクション。
Another Century's Episode Portable
PlayStation Portable用。2011年、バンダイナムコゲームスより発売、開発はフロム・ソフトウェア。ロボットアクション。

関連項目

  • 先進戦術戦闘機(Advanced Tactical Fighter) - アメリカ空軍の次期主力戦闘機開発計画。1980年代、候補機YF-22YF-23のあいだで採用競争が行なわれ、YF-22がF-22ラプターとして制式採用された。本作はその経緯を引用し、ガルドの乗機YF-21もYF-23をモチーフにデザインされた。
  • エイフェックス・ツイン - まだ日本での一般的な知名度も低かった当時、劇中においてファーストアルバム『Selected Ambient Works 85-92』のジャケットが登場する。このジャケットに大きく描かれているロゴをデザインしたポール・ニコルソンは、のちに『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』で「笑い男」のマークや「個別の11人」のロゴを手がけている。
  • マクロス7 - 前述のとおり本作と並行して企画され、また世界設定においては本作の5年後の移民船団を描いたテレビシリーズ作品。作風は本作と対照をなすもので、本作でテストされていたYF-19、21の制式採用機VF-19VF-22が登場する。本作のBGMや挿入歌が流れる場面も存在する。
  • マクロスF - 本作より19年後の2059年を舞台とするテレビアニメで、セルフオマージュ的な内容を各所に含んでいる。また、小太刀右京が手がける短編小説「カブキ・ウォーバード」「楽園星天剣酔舞」が、本作と大きく関わる話となっている。
  • 劇場版 マクロスF 恋離飛翼 〜サヨナラノツバサ〜 - 『マクロスF』の劇場版で、2011年に公開された。軍を退役後、民間軍事会社S.M.Sに入ったイサムがVF-19に乗って駆けつける場面がある。声と機体のみの登場。
  • 劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!! - 『マクロスΔ』の劇場版で、2021年に公開された。2068年を舞台とし、同作品に登場するヴァーチャロイド・ユニット「Yami_Q_ray」を生み出すことになるセイレーンデルタシステムは、「シャロン・アップル型量子AIシステムの発展形」と劇中で推測される。
  • ヴァリアブルファイター・マスターファイル - 作品世界内で発行された航空専門誌という設定のムックシリーズ。『ヴァリアブルファイター・マスターファイル VF-19 エクスカリバー』『ヴァリアブルファイター・マスターファイル VF-25 メサイア 新たなる救世主』に本作の後日談的な内容、イサムのその後の活動などが記されている。
  • 量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記- - 2023年放映のプラモデルを題材としたテレビドラマ。第2話でBANDAI SPIRITSのプラモデル「HG 1/100 YF-19」が取り上げられている[94][95]

脚注

注釈

  1. ^ 2018年8月に石塚が死去したことにより、2019年のゲーム『歌マクロス スマホDeカルチャー』では大塚明夫が代役を務めている[4]。2024年発売のゲーム『マクロス -Shooting Insight-』でも大塚が続投している[5][6]
  2. ^ その様子は本作と同時期に制作されたドラマCD『超時空要塞マクロス・インサイドストーリー マクロス・クラシック』で描かれている。同作では声を石井康嗣が担当している。
  3. ^ 『マクロスF』第1話アバンタイトル部分では、2012年にメガロード-04が到達したとされている。
  4. ^ 高梨は1997年のインタビューで「まず劇場版とビデオ版の『マクロスプラス』というのがあって、それからテレビの『マクロス7』の話が持ちあがって……」と答えており[35]、河森も1995年に発売されたムックのインタビューでは「まず先に(中略)『マクロスプラス』のイメージが固まりました」と語っている[36]
  5. ^ YF-21の離陸シーンを担当[43][44]。庵野は新人時代、『超時空要塞マクロス』、『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』に参加している[45]
  6. ^ 本作に先駆けて、溝口肇が音楽を手がけたOVA『ぼくの地球を守って』(1993 - 1994年)にも参加している[56]
  7. ^ 当時の状況について、山崎はジェットコースターに同乗した板野と「普通にしゃべってました」[52]、石塚は「僕は全然誘われなかったんですよ」[52]、三間は「俺と河森総監督と3人で」[73]、板野は「音響監督の三間雅文さんと一緒に、ガルドとイサムの声優さんを遊園地に連れて行って」[72]と発言している。
  8. ^ 『マクロスプラス』第2話におけるケイト・マッソーの台詞。小山鹿梨子の漫画『シェリル 〜キス・イン・ザ・ギャラクシー〜』では「ヴォイセス」とルビが振られている[81]

出典

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作品内

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参考文献

外部リンク