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「ロバート・J・ソウヤー」の版間の差分

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カナダ人SF作家が増えた今では自称していないはずだから過去形に。
 
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'''ロバート・ジェームズ・ソウヤー'''(Robert James Sawyer, [[1960年]][[4月29日]] - )は、[[カナダ]]の[[SF作家]]<ref name="bio">{{Cite web |url= http://sfwriter.com/gale.htm |title=Autobiography from ''Contemporary Authors'' |year=2003 |author=Robert J. Sawyer |accessdate=2009-09-26}}</ref>。2012年時点までに22作の長編を出版しており<ref name="cv">{{Cite web |url= http://www.sfwriter.com/cv.htm |title=Robert J. Sawyer Curriculum Vitae |year=2007 |author=Robert J. Sawyer |accessdate=2007-08-08}}</ref>、''[[アスタウンディング|アナログ]]''、''[[アメージング・ストーリーズ]]''、''[[:en:On Spec|On Spec]]''、''[[ネイチャー]]'' といった雑誌や多くのアンソロジーにSF短編を発表している<ref name="shortfic">{{Cite web |url= http://sfwriter.com/shortfic.htm |title=Short-Fiction Bibliography |year=2007 |author=Robert J. Sawyer |accessdate=2007-09-25}}</ref><ref name="contento">{{Cite web|url= http://www.locusmag.com/index/s588.htm#A14503 |title=The ''Locus'' Index to Science Fiction (1984-1998) |year=2007 |author=Charles N. Brown and William G. Contento |accessdate=2007-12-06}}</ref>。小説についての賞を14回受賞しており<ref name="cv" /><ref name="locusawardsdb">{{Cite web |url= http://www.locusmag.com/SFAwards/Db/NomLit116.html#4576 |title=''Locus'' Index to Science Fiction Awards |year=2007 |author=Mark R. Kelly |accessdate=2007-09-25}}</ref>、[[ネビュラ賞]] (1995)<ref name="nebulawin">{{Cite web |url= http://sfwriter.com/prnewi95.htm |title=Nebula Award win for ''The Terminal Experiment'' |year=1995 |author=SFWRITER.COM Inc. |accessdate=2007-09-25}}</ref>、[[ヒューゴー賞]] (2003)<ref name="hugowin">{{Cite web |url= http://sfwriter.com/prhuwi03.htm |title=Hugo Award win for ''Hominids''|year=2003|author=SFWRITER.COM Inc.|accessdate=2007-09-25}}</ref>、[[ジョン・W・キャンベル記念賞]] (2006)<ref name="campbellwin">{{Cite web|url= http://sfwriter.com/campbell.htm |title=John W. Campbell Memorial Award win for ''Mindscan'' |year=2006 |author=SFWRITER.COM Inc.|accessdate=2007-09-25}}</ref> も受賞している。
'''ロバート・ジェームズ・ソウヤー'''(Robert James Sawyer, [[1960年]][[4月29日]] - )は、[[カナダ]]の[[SF作家]]。


[[オタワ]]生まれの[[トロント]]育ち<ref name="bio" />。[[トロント]]の[[ライアソン大学]]でラジオとテレビの芸術 (Radio and Television Arts、RTA) を学び、1982年に卒業<ref name="bio" />。現在は[[オンタリオ州]][[ミシサガ (オンタリオ州)|ミシサガ]]に在住。
1999年に ''Ottawa Citizen''紙に「カナダSF界の旗手」と評されている。自身は「ハードSF作家」と称しているが、一般的な[[ハードSF]]作家よりも人間心理の描写に長けている。ソウヤーの作品は[[アーサー・C・クラーク]]的な(形而上学的・哲学的な)掘り下げが特徴である。ソウヤーは[[サイエンス・フィクション]]をアイデアの文学と捉えている。


2000年に[[コンタクト・ジャパン]]のイベントで来日した。
彼はまた「カナダ生まれでカナダ在住の唯一のプロの専業SF作家」と自称していた。


2011年4月、SFコンベンション「はるこん」[http://www.hal-con.net/]のゲスト・オブ・オナーとして、3度目の来日を果たした<ref>{{Cite web|和書|url= http://www.hal-con.net/archives.php?year=2011&id=102a&lang=ja |title=はるこん2011 Guests of Honor (ゲスト・オブ・オナー) |publisher= はるこんARCHIVES |accessdate=2012-06-02}}</ref>。
== 経歴 ==
[[オタワ]]生まれの[[トロント]]育ち。現在は[[オンタリオ州]][[ミシサガ (オンタリオ州)|ミシサガ]]に在住。[[トロント]]の[[ライアソン大学]]でラジオとテレビの芸術 (Radio and Television Arts、RTA) を学び、1982年に卒業。同期には、[[ファンタジー]]作家として有名な[[タニア・ハフ]]がいる。20年後、ソウヤーはSF作家としての国際的な活躍に対してライアソン大学の卒業者賞を授与された。


== 小説 ==
ソウヤーは、数々の賞を受賞している。カナダではベストセラーの上位10作品リストの常連である。十二ヶ国語で翻訳されており(ブルガリア語、中国語、チェコ語、オランダ語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、ポーランド語、ロシア語、セルビア語、スペイン語)、各国で賞を受賞している(アメリカ、カナダ、フランス、日本、スペイン)。<!-- 英語版は褒めすぎなので、大胆に要約しました(訳者) -->
=== 作風とテーマ ===
ソウヤーの作品は科学と宗教の交差を描くことが多く、[[合理主義]]が[[神秘主義]]に打ち勝つことが多い<ref name="sidelights">{{Cite web|url= http://biography.jrank.org/pages/345/Sawyer-Robert-J-ames-1960-Sidelights.html |title=''Something About the Author'' on Robert J. Sawyer (Sidelights) |year=2004 |author=J. Sydney Jones |accessdate=2007-12-06}}</ref>(例えば『ターミナル・エクスペリメント』、''Calculating God''、ネアンデルタール・パララックス三部作など)。


また、古生物学に深い関心があることもキンタグリオ・シリーズや『さよならダイノサウルス』からうかがえる。さらに''Calculating God''の主人公は古生物学者だし、ネアンデルタール・パララックス三部作ではネアンデルタール人が消滅しなかったもうひとつの地球を描いている。
ソウヤーの短編は ''Analog Science Fiction''、''Amazing Stories''、''On Spec''といった雑誌やアンソロジーに発表されている。また、[http://www.robertjsawyerbooks.com Robert J. Sawyer Books] では編集も行っていて、[[トロント大学]]などでSF小説の書き方の講師も勤めている。''The New York Review of Science Fiction'' にも寄稿しており、''The Canadian Encyclopedia'' ではサイエンス・フィクションの専門家として協力している。1時間のドキュメンタリー番組 ''In the Mind of Robert J. Sawyer'' が 2003年1月8日にカナダのテレビ局で放送され、何度も再放送されている。また、[[カナダ放送協会]]が制作したドキュメンタリー [http://www.cbc.ca/planetofthedoctor ''The Planet of the Doctor''] ではイギリスのSFテレビ番組『[[ドクター・フー]]』をソウヤーが分析している。


ソウヤーは、人間の意識をコピーしたり[[精神転送|アップロードする]]というアイデアを使うことが多い(''Mindscan''、『ゴールデン・フリース』、『ターミナル・エクスペリメント』など)。''Wake'' は、[[World Wide Web]] の基盤内で意識が自発的に生まれる話である。
2000年、ソウヤーは[[オンタリオ州]][[リッチモンドヒル (オンタリオ州)|リッチモンドヒル]]の図書館で客員作家 (Writer-in-Residence) として勤務していた。2003年、トロント図書館のメリル・コレクション([[ジュディス・メリル]]が客員作家だった1987年に集めたSFやファンタジーのコレクション)に関する客員作家となった。2005年、オンタリオ州の[[ウォータールー地域]]の自治体は『ホミニッド』を推薦図書に選定し、2006年には同地域のキッチナー図書館で客員作家に任命された。


また、[[量子力学]](特に[[量子コンピュータ]])に関心があり、短編「ホームズ、最後の事件ふたたび」<ref name="styousee">{{Cite web|url= http://sfwriter.com/styousee.htm |title=You See But You Do Not Observe (short story) |year=1995 |author=Robert J. Sawyer|accessdate=2007-09-25}}</ref>([[シャーロック・ホームズ]]への[[パスティーシュ]])、短編 "Iterations"<ref name="stiterat">{{Cite web |url= http://sfwriter.com/stiterat.htm |title=Iterations (short story) |year=2000 |author=Robert J. Sawyer |accessdate=2007-09-25}}</ref>、''Factoring Humanity''や『ホミニッド』で扱っている。
ソウヤーは常にカナダのサイエンス・フィクションの代弁者である。彼は[[アメリカSFファンタジー作家協会]] (SFWA) のカナダ支部設立に尽力し、1992年に支部が設立されたときの責任者となった。[[1998年]]、SFWAの会長に立候補し、前会長の[[ノーマン・スピンラッド]]を破って当選した。しかし彼の改革路線には反対の声が多く寄せられ、任期半ばで副会長のポール・レビンソンに会長の座を譲った。辞任の前にソウヤーが公約としていた投票が行われ、SFWAの細則や手続きが大きく変わった。特に入会条件が変更され、北米以外での本の売り上げやネット上での売り上げが考慮されるようになった。また、[[ネビュラ賞]]に最優秀脚本賞が創設された。


[[地球外知的生命体探査]] (SETI) は、『ゴールデン・フリース』、''Factoring Humanity''、''Mindscan''、''Rollback'' などで登場する。ソウヤーは遠未来を舞台とした『スタープレックス』で宇宙論も扱っている<ref name="fraknoi">{{Cite web |url= http://www.brookscole.com/astronomy_d/templates/student_resources/0030328667_fraknoi/general_resources/stories.html |title=Science Fiction Stories with Good Science |year=1997 |author=Andrew Fraknoi |accessdate=2007-12-06}}</ref>。
2000年に[[コンタクト・ジャパン]]のイベントで来日した。


実在の研究施設を設定として使用することも多く、[[三大学中間子研究所|TRIUMF]](『さよならダイノサウルス』)、[[欧州原子核研究機構|CERN]](『フラッシュフォワード』)、[[ロイヤルオンタリオ博物館]] (''Calculating God'')、[[サドベリー・ニュートリノ観測所]](ネアンデルタール・パララックス三部作)、[[アレシボ天文台]] (''Rollback'') などがある。
2009年には『[[フラッシュフォワード]]』がアメリカでテレビドラマ化された(ただしストーリーはまったく異なる)。


ソウヤー作品のその他の特徴として主人公が致命的障害を抱えている点が挙げられる。『フレームシフト』の主人公は[[ハンチントン病]]、''Calculating God''の主人公は肺癌、''Mindscan''の主人公は脳[[動静脈奇形]]を抱えている。それにも関わらず、ソウヤーの作品は明るい終わり方をするものが多い<ref name="chinese">{{Cite news |url= http://www.cbc.ca/arts/books/story/2007/08/28/robert-sawyer.html |title=Sawyer says Chinese readers see freedom in sci-fi's ideas |author=Canadian Broadcasting Corporation |accessdate=2007-12-06 |work=CBC News |date=2007-08-28}}</ref>。
2011年4月、SFコンベンション「[http://www.hal-con.net/ はるこん]」のゲスト・オブ・オナーとして、3度目の来日予定。


ソウヤーの政治的姿勢は一般のカナダ人よりもリベラルであり、その傾向が表れた作品も書いている。しかし「配られたカード」<ref name="sthand">{{Cite web |url= http://sfwriter.com/sthand.htm |title=The Hand You're Dealt (short story) |year=1997 |author=Robert J. Sawyer |accessdate=2007-09-25}}</ref>は[[リバタリアンSF]]のアンソロジー ''Free Space'' に収録されている。"The Right's Tough" という作品<ref name="stright">{{Cite web |url= http://sfwriter.com/2007/08/rights-tough.html |title=The Right's Tough (short story) |year=2004 |author=Robert J. Sawyer |accessdate=2007-09-25}}</ref>もリバタリアンSFのアンソロジー ''Visions of Liberty'' に収録されている。彼はカナダとアメリカ両方の市民権を得ており、両国の政治に批判的であることでも知られている。作中ではアメリカ人がカナダを訪れる様子を描いたり (''Mindscan'')、逆にカナダ人がアメリカを訪れる様子を描いたりすることが多い(『フレームシフト』、ネアンデルタール・パララックス三部作)。
== 作風 ==
ソウヤーの文体は[[アイザック・アシモフ]]的な簡単で明快な散文として知られている。これは 1980年代に雑誌のノンフィクションライターとして活動していた経験が関係している。また、作中でポップカルチャーに言及することも多い(ソウヤーが『[[宇宙大作戦]]』や『[[猿の惑星]]』を好きという点も見逃せない)。また、カナダを舞台にしたりカナダに言及した作品が多いのも特徴のひとつである。


ソウヤーの文体は、[[オースン・スコット・カード]]が[[アイザック・アシモフ]]的な簡単で明快な散文と評した<ref name="card">{{Cite web |url= http://www.hatrack.com/osc/reviews/f&sf/90-12.html |title=Review of ''Golden Fleece'' |year=1990 |author=Orson Scott Card |accessdate=2007-08-11}}</ref><ref name="tce">{{Cite web |url= http://www.thecanadianencyclopedia.com/index.cfm?PgNm=TCE&Params=A1ARTA0009947 |title=''The Canadian Encyclopedia'' on Robert J. Sawyer |year=2007 |author=Historica Foundation of Canada |accessdate=2007-12-04}}</ref>。また、作中でポップカルチャーに言及することも多い(ソウヤーが『[[宇宙大作戦]]』や『[[600万ドルの男]]』や『[[猿の惑星 (映画)|猿の惑星]]』を好きという点も見逃せない)。
ソウヤーの政治的姿勢は一般のカナダ人よりもリベラルであり、その傾向が現われた作品も書いている(『配られたカード』<!--''The Hand You're Dealt''(SFマガジン1998年1月号掲載)-->, ''The Right's'')。彼はカナダとアメリカ両方の市民権を得ており、両国の政治に批判的であることでも知られている。作中ではアメリカ人がカナダを訪れる様子を描いたり (''Mindscan'')、逆にカナダ人がアメリカを訪れる様子を描いたりすることが多い(『フレームシフト』、ネアンデルタール・パララックス三部作)。


==== SFとミステリの融合 ====
ソウヤーの作品は科学と宗教の対立を描くことが多く、常に[[合理主義]]が[[神秘主義]]に打ち勝つ(『ターミナル・エクスペリメント』、''Calculating God''、ネアンデルタール・パララックス三部作)。また古生物学に深い関心があることもキンタグリオ・シリーズや『さよならダイノサウルス』からうかがえる。さらに''Calculating God''の主人公は古生物学者であるし、ネアンデルタール・パララックス三部作ではネアンデルタール人が消滅しなかったもうひとつの地球を描いている。
ソウヤーの作品にはSFとミステリを融合したものもあり、短編「爬虫類のごとく……」<ref name="stoldtime">{{Cite web |url= http://sfwriter.com/stoldtim.htm |title=Just Like Old Times (short story) |year=1993 |author=Robert J. Sawyer |accessdate=2007-09-25}}</ref>はカナダのSFの賞({{仮リンク|オーロラ賞|en|Aurora Award}})とミステリーの賞([[アーサー・エリス賞]])を同時に受賞した。『イリーガル・エイリアン』は異星人被告が登場する法廷劇である。『ホミニッド』では、ネアンデルタール人が別のネアンデルタール人を殺した容疑で裁判にかけられる。殺人事件が描かれた作品も多い(『ゴールデン・フリース』、''Fossil Hunter''、『フレームシフト』、『フラッシュフォワード』)。短編にもミステリに分類されるものが多い。


== 編集と学術的な仕事 ==
ソウヤーは、人間の意識をコピーしたりアップロードするというアイデアを使うことが多い(''Mindscan''、『ゴールデン・フリース』、『ターミナル・エクスペリメント』など)。また、[[量子力学]](特に[[量子コンピュータ]])に関心があり、''Factoring Humanity''や『ホミニッド』で扱っている。[[地球外知的生命体探査|SETI]]は、『ゴールデン・フリース』、''Factoring Humanity''、''Mindscan''などで登場する。
作家として以外に、[[:en:Fitzhenry & Whiteside|Fitzhenry & Whiteside]] という出版社の一部である Red Deer Press の[[インプリント]]Robert J. Sawyer Books[http://www.robertjsawyerbooks.com]の編集を担当している<ref name="rjsbooks">{{Cite web |url= http://www.sfwriter.com/rjsbooks.htm |title=Robert J. Sawyer Books Submission Guidelines |year=2007 |author=Red Deer Press |accessdate=2007-12-06}}</ref>。また、''[[:en:The New York Review of Science Fiction|The New York Review of Science Fiction]]'' 誌に寄稿し<ref name="brbnyrsf">{{Cite web |url= http://www.bbr-online.com/catalogue/Items/NYRSF.shtml |title=''New York Review of Science Fiction'' #176 to current |year=2007 |author=The BRB Catalogue |accessdate=2007-12-06}}</ref>、''The Canadian Encyclopedia'' ではサイエンス・フィクションの専門家として協力している<ref name="tce" />。[[L・ロン・ハバード]]の開催したコンテスト [[:en:Writers of the Future|Writers of the Future]] では審査員を務めた<ref name="wotf">{{Cite web |url=http://www.writersofthefuture.com/judges.htm |title=List of Judges |year=2007 |author=Writers of the Future |accessdate=2007-09-25 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20070909041914/http://www.writersofthefuture.com/judges.htm |archivedate=2007-09-09 |url-status=dead|url-status-date=2017-09 }}</ref>。


== 映画とテレビ ==
ソウヤーは『スタープレックス』で宇宙論も扱っている。実在の研究施設を設定として使用することも多く、[[三大学中間子研究所|TRIUMF]](『さよならダイノサウルス』)、[[欧州原子核研究機構|CERN]](『フラッシュフォワード』)、[[王立オンタリオ博物館]] (''Calculating God'')、[[サドベリー・ニュートリノ観測所]](ネアンデルタール・パララックス三部作)などがある。
2009年には『[[フラッシュフォワード (小説)|フラッシュフォワード]]』がアメリカ[[アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー|ABC]]でテレビドラマ化された(ただしストーリーはまったく異なる)。パイロット版は、[[デヴィッド・S・ゴイヤー]]と[[ブラノン・ブラガ]]が脚本を書き、ゴイヤーが監督を務め、[[ジョセフ・ファインズ]]と[[ソーニャ・ヴァルゲル]]が出演した<ref name="ffgo">{{Cite web |url= http://www.hollywoodreporter.com/news/abc-picks-flash-83638 |title=ABC picks up 'Flash Forward' |year=2009 |author=Nellie Andreeva |accessdate=2009-05-09}}</ref>。若干の調整を経て、第1シーズンは22話で構成されることになった<ref name="22epis">{{Cite web |url= http://www.thewrap.com/ind-column/flashforward-finds-new-leaders-14102 |title=ABC's 'FlashForward' Finds New Leaders |year=2009 |author=Josef Adalian |accessdate=2010-04-13}}</ref>。ソウヤーはストーリー監修を務め<ref name="ffsold">{{Cite web |url= http://sfwriter.com/2008/09/tv-rights-to-sawyers-novel-flashforward.html |title=TV rights to Sawyer's novel ''Flashforward'' sold to ABC |year=2008 |author=SFWRITER.COM Inc.|accessdate=2009-05-09}}</ref>、第19話「軌道修正」では自ら脚本を書いた<ref name="RJSepis">{{Cite web|url= http://sfwriter.com/2010/03/on-flashforward-set-watching-episode-i.html |title=On ''FlashForward'' set Watching the Episode I Wrote Being Filmed |year=2010 |author=SFWRITER.COM Inc. |accessdate=2010-04-13}}</ref>。


2005年から2006年にかけて放送された『[[チャーリー・ジェイド]]』のシリーズ原案を書いている。2003年には『[[ロボテック]]』のコンセプト関連の仕事もしている。[[カナダ放送協会|CBCラジオ]]のSFドキュメンタリーシリーズ ''Ideas'' で脚本やナレーションを担当し、カナダの [[:en:Vision TV|Vision TV]] のドキュメンタリーシリーズ ''Supernatural Investigator''(2009年1月27日放送開始)でもホスト役を務めていた<ref name="supernat">{{Cite web |url= http://sfwa.org/pressbook/09/0112-Sawyer-Supernatural.html |title=Robert J. Sawyer hosts ''Supernatural Investigator'' |year=2009 |author=SFWA Pressbook |accessdate=2009-01-28}} {{リンク切れ|date=2010年9月}}</ref>。また、[[カナダ放送協会|CBC]]が制作したドキュメンタリー ''The Planet of the Doctor'' ではイギリスのSFテレビ番組『[[ドクター・フー]]』をソウヤーが分析している<ref name="planetdoc">{{Cite news |url=http://www.cbc.ca/planetofthedoctor/ |title=''Planet of the Doctor'' |year=2005 |author=Canadian Broadcasting Corporation |accessdate=2007-09-25 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20070812031959/http://www.cbc.ca/planetofthedoctor/ |archivedate=2007年8月12日 |deadlinkdate=2017年9月 }}</ref>。[[:en:TVOntario|TVOntario]]の ''[[:en:Saturday Night at the Movies|Saturday Night at the Movies]]'' にもよく出演し、[[SF映画]]にコメントしている。
ソウヤーの作品にはSFとミステリーを融合したものもあり、短編『爬虫類のごとく……』<!--''Just Like Old Times''(SFマガジン1997年7月号掲載)-->はカナダのSFの賞とミステリーの賞を同時に受賞した。『イリーガル・エイリアン』は異星人被告が登場する法廷劇である。『ホミニッド』では、ネアンデルタール人が別のネアンデルタール人を殺した容疑で裁判にかけられる。殺人事件が描かれた作品も多い(『ゴールデン・フリース』、''Fossil Hunter''、『フレームシフト』、『フラッシュフォワード』)。この背景にソウヤーがカナダの連邦司法省にコンサルタントとして勤務し、未来の遺伝学に対して法がどう対処すべきかについて調査していたことが上げられる。


== 教育と講演 ==
ソウヤー作品のその他の特徴として主人公が致命的障害を抱えている点が挙げられる。『フレームシフト』の主人公は[[ハンチントン病]]、''Calculating God''の主人公は肺癌、''Mindscan''の主人公は脳[[動静脈奇形]]を抱えている。それにも関わらず、ソウヤーの作品は明るい終わり方をするものが多い。
[[トロント大学]]や[[ライアソン大学]]などでSF小説の書き方の講師も勤めたことがある。2000年、ソウヤーは[[オンタリオ州]][[リッチモンドヒル (オンタリオ州)|リッチモンドヒル]]の公立図書館にて客員作家 (Writer-in-Residence) として勤務していた。2003年、トロント図書館のメリル・コレクション([[ジュディス・メリル]]が客員作家だった1987年に集めたSFやファンタジーのコレクション)に関する客員作家となった<ref name="prmerril">{{Cite web |url= http://sfwriter.com/prmerril.htm |title=Merril Collection Writer-in-Residence |year=2003 |author=SFWRITER.COM Inc. |accessdate=2007-09-25}}</ref>。2006年、[[:en:Odyssey Writing Workshop|Odyssey Writing Workshop]] で講師を務めた。2005年、オンタリオ州の[[ウォータールー地域]]の自治体は『ホミニッド』を推薦図書に選定し<ref name="oboc">{{Cite web |url= http://obocwaterlooregion.blogspot.com/2006/04/one-book-one-community-2005-title.html |title=One Book, One Community chooses ''Hominids'' |year=2005 |author=Region of Waterloo |accessdate=2007-09-25}} {{リンク切れ|date=September 2010|bot=H3llBot}}</ref>、2006年には同地域のキッチナー図書館で客員作家に任命された<ref name="edna">{{Cite web |url= http://www.sfwriter.com/2006/08/rob-to-be-writer-in-residence-in.html |title=Edna Staebler Writer-in-Residence |year=2006 |author=Robert J. Sawyer blog |accessdate=2007-09-25}}</ref>。

テクノロジー関連のイベントで基調講演を依頼されることが多く<ref name="keynotes">{{Cite web |url= http://sfwriter.com/speaking.htm |title=Keynotes and Talks |year=2007 |author=Robert J. Sawyer |accessdate=2007-12-05}}</ref><ref name="speakers">{{Cite web|url= http://speakers.ca/sawyer_robert.aspx |title=Robert J. Sawyer: The Challenge of Tomorrow |year=2007 |author=Speakers' Spotlight |accessdate=2007-12-05}}</ref>、カナダの連邦司法省では未来の遺伝学に対して法がどう対処すべきかについて助言するコンサルタントを務めたこともある<ref name="genetic">{{Cite web |url=http://www.sfsite.com/columns/news0303.htm |title=Genetics Future Forum Includes Author |year=2003 |author=Steven H Silver |accessdate=2007-12-05 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20080429015040/http://www.sfsite.com/columns/news0303.htm |archivedate=2008-04-29 |url-status=dead|url-status-date=2017-09 }}</ref>。

== 影響と評価 ==
=== カナダにおける文化的意義 ===
ソウヤーは常にカナダのサイエンス・フィクションの代弁者である。彼は[[アメリカSFファンタジー作家協会]] (SFWA) のカナダ支部設立に尽力し、1992年に支部が設立されたときの責任者となった。カナダ支部発行のニュースレター ''Alouette'' の編集も行った。このニュースレターはオーロラ賞のベストファンジン部門にもノミネートされた。

=== 国際的評価 ===
ソウヤー作品はニューヨークの出版社から出版されており、13か国語に翻訳されている(ブルガリア語、中国語、チェコ語、オランダ語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、ポーランド語、ロシア語、セルビア語、スペイン語)<ref name="cv" />。国際的な賞も受賞しており、[[ヒューゴー賞]]([[ワールドコン]]参加者の投票)、[[ネビュラ賞]]([[アメリカSFファンタジー作家協会]]の会員による選考)、[[ジョン・W・キャンベル記念賞]]なども受賞している<ref name="locusawardsdb" />。

=== 文壇 ===
[[1998年]]、SFWAの会長に立候補し、前会長の[[ノーマン・スピンラッド]]を破って当選した。しかし彼の改革路線には反対の声が多く寄せられ、任期半ばで副会長の[[ポール・レヴィンソン]]に会長の座を譲った。辞任の前にソウヤーが公約としていた投票が行われ、SFWAの細則や手続きが大きく変わった。特に入会条件が変更され、北米以外での本の売り上げやネット上での売り上げが考慮されるようになった。また、[[ネビュラ賞]]に最優秀脚本賞が創設された。

他にも、[[カナダ推理作家協会]]、{{仮リンク|国際ホラー作家協会|en|Horror Writers Association}}、{{仮リンク|カナダ著作家協会|en|Writers' Union of Canada}}<ref name="twuc">{{Cite web |url=http://writersunion.ca/ww_alphalist.asp?L=S |title=Membership Directory |year=2007 |author=The Writers' Union of Canada |accessdate=2007-09-25 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20070927013234/http://writersunion.ca/ww_alphalist.asp?L=S |archivedate=2007-09-27 |url-status=dead|url-status-date=2017-09 }}</ref>、{{仮リンク|カナダ脚本家組合|en|Writers Guild of Canada}} でも活動してきた。

== 受賞歴 ==
* [[ヒューゴー賞]]
** 『ホミニッド ―原人―』<ref name="WWE-2003">{{Cite web| url = http://www.worldswithoutend.com/books_year_index.asp?year=2003| title = 2003 Award Winners & Nominees| work = Worlds Without End| accessdate=2009-05-16}}</ref>
* [[ネビュラ賞]]
** 『ターミナル・エクスペリメント』<ref name="WWE-1995">{{Cite web| url = http://www.worldswithoutend.com/books_year_index.asp?year=1995| title = 1995 Award Winners & Nominees| work = Worlds Without End| accessdate=2009-05-16}}</ref>
* [[星雲賞]]海外長編部門
** 『さよならダイノサウルス』、『フレームシフト』、『イリーガル・エイリアン』
* [[オーロラ賞]](カナダのSF作家の作品に与えられる賞)
** 『ゴールデン・フリース』、『ターミナル・エクスペリメント』、『スタープレックス』、『フラッシュフォワード』、''Relativity''、"Biding Time"、''Wake''、''Watch''
* [[アーサー・エリス賞]]
** 「爬虫類のごとく…」
* [[ジョン・W・キャンベル記念賞]]
** ''Mindscan''<ref name="WWE-2006">{{Cite web| url = http://www.worldswithoutend.com/books_year_index.asp?year=2006| title = 2006 Award Winners & Nominees| work = Worlds Without End| accessdate=2009-05-16}}</ref>


== 作品 ==
== 作品 ==
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** ''Fossil Hunter''([[1993年]])
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* 『さよならダイノサウルス』''End of an Era''(1994年)
* 『[[さよならダイノサウルス]]』''End of an Era''(1994年)
* 『ターミナル・エクスペリメント』''The Terminal Experiment''<!-- - Serialized as ''Hobson's Choice'' in [[Analog Science Fiction]] -->([[1995年]])
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* 『イリーガル・エイリアン』''Illegal Alien''(1997年)
* 『イリーガル・エイリアン』''Illegal Alien''(1997年)
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* ''Relativity''([[2004年]])
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** ''Wake''<!-- Serialized in [[アスタウンディング|Analog]], 2008-9 -->(2009年)
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* ''Triggers''<!-- Serialized in [[アスタウンディング|Analog]], 2012 -->(2012年)
* ''Red Planet Blues'' (2013年)
* ''Quantum Night'' (2016年3月1日)
*''The Oppenheimer Alternative'' (2020年)
* ''The Downloaded'' (2023年)


== 受賞歴 ==
== 脚注 ==
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* [[ヒューゴー賞]]
** 『ホミニッド ―原人―』
* [[ネビュラ賞]]
** 『ターミナル・エクスペリメント』
* [[星雲賞]]海外長編部門
** 『さよならダイノサウルス』、『フレームシフト』、『イリーガル・エイリアン』
* [[オーロラ賞]](カナダのSF作家の作品に与えられる賞)
** 『ゴールデン・フリース』、『ターミナル・エクスペリメント』、『スタープレックス』、『フラッシュフォワード』、''Relativity''


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
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* [http://www.sfwriter.com/index.htm ロバート・J・ソウヤーのWebサイト(英語)]
* [http://www.sfwriter.com/ ロバート・J・ソウヤーのWebサイト(英語)]
* [http://www.reddeerpress.com/ Red Deer Press]
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* {{Imdb name|id=2384988|name=Robert J. Sawyer}}
* [http://www.bookreviewsandmore.ca/2011/04/robert-j-sawyer-author-profile.html Robert J Sawyer Interview] at BookReviewsAndMore.ca
* [http://thebookstacks.org/2011/11/20/off-the-shelf-with-author-robert-j-sawyer/ Robert J Sawyer Podcast Interview]
* [http://paullev.libsyn.com/webpage/rob_sawyer_talks_about_flash_forward_/ Robert J Sawyer Talks about Flashforward]


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2024年7月31日 (水) 08:45時点における最新版

ロバート・J・ソウヤー
Robert J. Sawyer
誕生 1960年4月29日
カナダの旗 カナダオンタリオ州オタワ
職業 作家
国籍 カナダの旗 カナダ
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国[1]
ジャンル SF推理小説
主な受賞歴 ヒューゴー賞
ネビュラ賞
星雲賞
オーロラ賞
デビュー作 『ゴールデン・フリース』
公式サイト http://www.sfwriter.com/
ウィキポータル 文学
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ロバート・ジェームズ・ソウヤー(Robert James Sawyer, 1960年4月29日 - )は、カナダSF作家[2]。2012年時点までに22作の長編を出版しており[3]アナログアメージング・ストーリーズOn Specネイチャー といった雑誌や多くのアンソロジーにSF短編を発表している[4][5]。小説についての賞を14回受賞しており[3][6]ネビュラ賞 (1995)[7]ヒューゴー賞 (2003)[8]ジョン・W・キャンベル記念賞 (2006)[9] も受賞している。

オタワ生まれのトロント育ち[2]トロントライアソン大学でラジオとテレビの芸術 (Radio and Television Arts、RTA) を学び、1982年に卒業[2]。現在はオンタリオ州ミシサガに在住。

2000年にコンタクト・ジャパンのイベントで来日した。

2011年4月、SFコンベンション「はるこん」[1]のゲスト・オブ・オナーとして、3度目の来日を果たした[10]

小説

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作風とテーマ

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ソウヤーの作品は科学と宗教の交差を描くことが多く、合理主義神秘主義に打ち勝つことが多い[11](例えば『ターミナル・エクスペリメント』、Calculating God、ネアンデルタール・パララックス三部作など)。

また、古生物学に深い関心があることもキンタグリオ・シリーズや『さよならダイノサウルス』からうかがえる。さらにCalculating Godの主人公は古生物学者だし、ネアンデルタール・パララックス三部作ではネアンデルタール人が消滅しなかったもうひとつの地球を描いている。

ソウヤーは、人間の意識をコピーしたりアップロードするというアイデアを使うことが多い(Mindscan、『ゴールデン・フリース』、『ターミナル・エクスペリメント』など)。Wake は、World Wide Web の基盤内で意識が自発的に生まれる話である。

また、量子力学(特に量子コンピュータ)に関心があり、短編「ホームズ、最後の事件ふたたび」[12]シャーロック・ホームズへのパスティーシュ)、短編 "Iterations"[13]Factoring Humanityや『ホミニッド』で扱っている。

地球外知的生命体探査 (SETI) は、『ゴールデン・フリース』、Factoring HumanityMindscanRollback などで登場する。ソウヤーは遠未来を舞台とした『スタープレックス』で宇宙論も扱っている[14]

実在の研究施設を設定として使用することも多く、TRIUMF(『さよならダイノサウルス』)、CERN(『フラッシュフォワード』)、ロイヤルオンタリオ博物館 (Calculating God)、サドベリー・ニュートリノ観測所(ネアンデルタール・パララックス三部作)、アレシボ天文台 (Rollback) などがある。

ソウヤー作品のその他の特徴として主人公が致命的障害を抱えている点が挙げられる。『フレームシフト』の主人公はハンチントン病Calculating Godの主人公は肺癌、Mindscanの主人公は脳動静脈奇形を抱えている。それにも関わらず、ソウヤーの作品は明るい終わり方をするものが多い[15]

ソウヤーの政治的姿勢は一般のカナダ人よりもリベラルであり、その傾向が表れた作品も書いている。しかし「配られたカード」[16]リバタリアンSFのアンソロジー Free Space に収録されている。"The Right's Tough" という作品[17]もリバタリアンSFのアンソロジー Visions of Liberty に収録されている。彼はカナダとアメリカ両方の市民権を得ており、両国の政治に批判的であることでも知られている。作中ではアメリカ人がカナダを訪れる様子を描いたり (Mindscan)、逆にカナダ人がアメリカを訪れる様子を描いたりすることが多い(『フレームシフト』、ネアンデルタール・パララックス三部作)。

ソウヤーの文体は、オースン・スコット・カードアイザック・アシモフ的な簡単で明快な散文と評した[18][19]。また、作中でポップカルチャーに言及することも多い(ソウヤーが『宇宙大作戦』や『600万ドルの男』や『猿の惑星』を好きという点も見逃せない)。

SFとミステリの融合

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ソウヤーの作品にはSFとミステリを融合したものもあり、短編「爬虫類のごとく……」[20]はカナダのSFの賞(オーロラ賞英語版)とミステリーの賞(アーサー・エリス賞)を同時に受賞した。『イリーガル・エイリアン』は異星人被告が登場する法廷劇である。『ホミニッド』では、ネアンデルタール人が別のネアンデルタール人を殺した容疑で裁判にかけられる。殺人事件が描かれた作品も多い(『ゴールデン・フリース』、Fossil Hunter、『フレームシフト』、『フラッシュフォワード』)。短編にもミステリに分類されるものが多い。

編集と学術的な仕事

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作家として以外に、Fitzhenry & Whiteside という出版社の一部である Red Deer Press のインプリントRobert J. Sawyer Books[2]の編集を担当している[21]。また、The New York Review of Science Fiction 誌に寄稿し[22]The Canadian Encyclopedia ではサイエンス・フィクションの専門家として協力している[19]L・ロン・ハバードの開催したコンテスト Writers of the Future では審査員を務めた[23]

映画とテレビ

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2009年には『フラッシュフォワード』がアメリカABCでテレビドラマ化された(ただしストーリーはまったく異なる)。パイロット版は、デヴィッド・S・ゴイヤーブラノン・ブラガが脚本を書き、ゴイヤーが監督を務め、ジョセフ・ファインズソーニャ・ヴァルゲルが出演した[24]。若干の調整を経て、第1シーズンは22話で構成されることになった[25]。ソウヤーはストーリー監修を務め[26]、第19話「軌道修正」では自ら脚本を書いた[27]

2005年から2006年にかけて放送された『チャーリー・ジェイド』のシリーズ原案を書いている。2003年には『ロボテック』のコンセプト関連の仕事もしている。CBCラジオのSFドキュメンタリーシリーズ Ideas で脚本やナレーションを担当し、カナダの Vision TV のドキュメンタリーシリーズ Supernatural Investigator(2009年1月27日放送開始)でもホスト役を務めていた[28]。また、CBCが制作したドキュメンタリー The Planet of the Doctor ではイギリスのSFテレビ番組『ドクター・フー』をソウヤーが分析している[29]TVOntarioSaturday Night at the Movies にもよく出演し、SF映画にコメントしている。

教育と講演

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トロント大学ライアソン大学などでSF小説の書き方の講師も勤めたことがある。2000年、ソウヤーはオンタリオ州リッチモンドヒルの公立図書館にて客員作家 (Writer-in-Residence) として勤務していた。2003年、トロント図書館のメリル・コレクション(ジュディス・メリルが客員作家だった1987年に集めたSFやファンタジーのコレクション)に関する客員作家となった[30]。2006年、Odyssey Writing Workshop で講師を務めた。2005年、オンタリオ州のウォータールー地域の自治体は『ホミニッド』を推薦図書に選定し[31]、2006年には同地域のキッチナー図書館で客員作家に任命された[32]

テクノロジー関連のイベントで基調講演を依頼されることが多く[33][34]、カナダの連邦司法省では未来の遺伝学に対して法がどう対処すべきかについて助言するコンサルタントを務めたこともある[35]

影響と評価

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カナダにおける文化的意義

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ソウヤーは常にカナダのサイエンス・フィクションの代弁者である。彼はアメリカSFファンタジー作家協会 (SFWA) のカナダ支部設立に尽力し、1992年に支部が設立されたときの責任者となった。カナダ支部発行のニュースレター Alouette の編集も行った。このニュースレターはオーロラ賞のベストファンジン部門にもノミネートされた。

国際的評価

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ソウヤー作品はニューヨークの出版社から出版されており、13か国語に翻訳されている(ブルガリア語、中国語、チェコ語、オランダ語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、ポーランド語、ロシア語、セルビア語、スペイン語)[3]。国際的な賞も受賞しており、ヒューゴー賞ワールドコン参加者の投票)、ネビュラ賞アメリカSFファンタジー作家協会の会員による選考)、ジョン・W・キャンベル記念賞なども受賞している[6]

文壇

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1998年、SFWAの会長に立候補し、前会長のノーマン・スピンラッドを破って当選した。しかし彼の改革路線には反対の声が多く寄せられ、任期半ばで副会長のポール・レヴィンソンに会長の座を譲った。辞任の前にソウヤーが公約としていた投票が行われ、SFWAの細則や手続きが大きく変わった。特に入会条件が変更され、北米以外での本の売り上げやネット上での売り上げが考慮されるようになった。また、ネビュラ賞に最優秀脚本賞が創設された。

他にも、カナダ推理作家協会国際ホラー作家協会英語版カナダ著作家協会英語版[36]カナダ脚本家組合英語版 でも活動してきた。

受賞歴

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作品

[編集]
  • 『ゴールデン・フリース』Golden Fleece1990年
  • キンタグリオ・シリーズ:
    • 『占星師アフサンの遠見鏡』Far-Seer1992年
    • Fossil Hunter1993年
    • Foreigner1994年
  • さよならダイノサウルスEnd of an Era(1994年)
  • 『ターミナル・エクスペリメント』The Terminal Experiment1995年
  • 『スタープレックス』Starplex1996年
  • 『フレームシフト』Frameshift1997年
  • 『イリーガル・エイリアン』Illegal Alien(1997年)
  • Factoring Humanity1998年
  • フラッシュフォワードFlashforward1999年
  • Calculating God2000年
  • Iterations - 短編集(2002年
  • ネアンデルタール・パララックス三部作英語版
    • 『ホミニッド ―原人―』Hominids(2002年)
    • 『ヒューマン ―人類―』Humans2003年
    • 『ハイブリッド ―新種―』Hybrids(2003年)
  • Relativity2004年
  • Mindscan2005年
  • Rollback(2007年)
  • Identity Theft and Other Stories - 短編集(2008年)
  • WWW三部作
    • Wake(2009年)
    • Watch(2010年)
    • Wonder(2011年)[40]
  • Triggers(2012年)
  • Red Planet Blues (2013年)
  • Quantum Night (2016年3月1日)
  • The Oppenheimer Alternative (2020年)
  • The Downloaded (2023年)

脚注

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  1. ^ Robert J. Sawyer (2007年). “Autobiography from Dual Citizenship”. 2011年6月26日閲覧。
  2. ^ a b c Robert J. Sawyer (2003年). “Autobiography from Contemporary Authors”. 2009年9月26日閲覧。
  3. ^ a b c Robert J. Sawyer (2007年). “Robert J. Sawyer Curriculum Vitae”. 2007年8月8日閲覧。
  4. ^ Robert J. Sawyer (2007年). “Short-Fiction Bibliography”. 2007年9月25日閲覧。
  5. ^ Charles N. Brown and William G. Contento (2007年). “The Locus Index to Science Fiction (1984-1998)”. 2007年12月6日閲覧。
  6. ^ a b Mark R. Kelly (2007年). “Locus Index to Science Fiction Awards”. 2007年9月25日閲覧。
  7. ^ SFWRITER.COM Inc. (1995年). “Nebula Award win for The Terminal Experiment”. 2007年9月25日閲覧。
  8. ^ SFWRITER.COM Inc. (2003年). “Hugo Award win for Hominids”. 2007年9月25日閲覧。
  9. ^ SFWRITER.COM Inc. (2006年). “John W. Campbell Memorial Award win for Mindscan”. 2007年9月25日閲覧。
  10. ^ はるこん2011 Guests of Honor (ゲスト・オブ・オナー)”. はるこんARCHIVES. 2012年6月2日閲覧。
  11. ^ J. Sydney Jones (2004年). “Something About the Author on Robert J. Sawyer (Sidelights)”. 2007年12月6日閲覧。
  12. ^ Robert J. Sawyer (1995年). “You See But You Do Not Observe (short story)”. 2007年9月25日閲覧。
  13. ^ Robert J. Sawyer (2000年). “Iterations (short story)”. 2007年9月25日閲覧。
  14. ^ Andrew Fraknoi (1997年). “Science Fiction Stories with Good Science”. 2007年12月6日閲覧。
  15. ^ Canadian Broadcasting Corporation (2007年8月28日). “Sawyer says Chinese readers see freedom in sci-fi's ideas”. CBC News. http://www.cbc.ca/arts/books/story/2007/08/28/robert-sawyer.html 2007年12月6日閲覧。 
  16. ^ Robert J. Sawyer (1997年). “The Hand You're Dealt (short story)”. 2007年9月25日閲覧。
  17. ^ Robert J. Sawyer (2004年). “The Right's Tough (short story)”. 2007年9月25日閲覧。
  18. ^ Orson Scott Card (1990年). “Review of Golden Fleece”. 2007年8月11日閲覧。
  19. ^ a b Historica Foundation of Canada (2007年). “The Canadian Encyclopedia on Robert J. Sawyer”. 2007年12月4日閲覧。
  20. ^ Robert J. Sawyer (1993年). “Just Like Old Times (short story)”. 2007年9月25日閲覧。
  21. ^ Red Deer Press (2007年). “Robert J. Sawyer Books Submission Guidelines”. 2007年12月6日閲覧。
  22. ^ The BRB Catalogue (2007年). “New York Review of Science Fiction #176 to current”. 2007年12月6日閲覧。
  23. ^ Writers of the Future (2007年). “List of Judges”. 2007年9月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年9月25日閲覧。
  24. ^ Nellie Andreeva (2009年). “ABC picks up 'Flash Forward'”. 2009年5月9日閲覧。
  25. ^ Josef Adalian (2009年). “ABC's 'FlashForward' Finds New Leaders”. 2010年4月13日閲覧。
  26. ^ SFWRITER.COM Inc. (2008年). “TV rights to Sawyer's novel Flashforward sold to ABC”. 2009年5月9日閲覧。
  27. ^ SFWRITER.COM Inc. (2010年). “On FlashForward set Watching the Episode I Wrote Being Filmed”. 2010年4月13日閲覧。
  28. ^ SFWA Pressbook (2009年). “Robert J. Sawyer hosts Supernatural Investigator”. 2009年1月28日閲覧。 [リンク切れ]
  29. ^ Canadian Broadcasting Corporation (2005年). Planet of the Doctor. オリジナルの2007年8月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20070812031959/http://www.cbc.ca/planetofthedoctor/ 2007年9月25日閲覧。 
  30. ^ SFWRITER.COM Inc. (2003年). “Merril Collection Writer-in-Residence”. 2007年9月25日閲覧。
  31. ^ Region of Waterloo (2005年). “One Book, One Community chooses Hominids”. 2007年9月25日閲覧。 [リンク切れ]
  32. ^ Robert J. Sawyer blog (2006年). “Edna Staebler Writer-in-Residence”. 2007年9月25日閲覧。
  33. ^ Robert J. Sawyer (2007年). “Keynotes and Talks”. 2007年12月5日閲覧。
  34. ^ Speakers' Spotlight (2007年). “Robert J. Sawyer: The Challenge of Tomorrow”. 2007年12月5日閲覧。
  35. ^ Steven H Silver (2003年). “Genetics Future Forum Includes Author”. 2008年4月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年12月5日閲覧。
  36. ^ The Writers' Union of Canada (2007年). “Membership Directory”. 2007年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年9月25日閲覧。
  37. ^ 2003 Award Winners & Nominees”. Worlds Without End. 2009年5月16日閲覧。
  38. ^ 1995 Award Winners & Nominees”. Worlds Without End. 2009年5月16日閲覧。
  39. ^ 2006 Award Winners & Nominees”. Worlds Without End. 2009年5月16日閲覧。
  40. ^ Robert J. Sawyer. “Wonder”. 2012年6月2日閲覧。

外部リンク

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