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「6.29豪雨災害」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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| dates =[[1999年]][[6月23日]]から[[7月3日]]<br />(特に[[6月29日]])
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| data =気象庁資料および消防白書<ref name="jma19990623">{{Cite web|publisher=気象庁|url=http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/1999/19990623/19990623.html|title=梅雨前線、低気圧 平成11年(1999年)6月23日~7月3日|accessdate=2014-10-15}}</ref>
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'''6.29豪雨災害'''(6.29ごううさいがい)とは、[[1999年]]([[平成]]11年)[[6月29日]](火曜日)に発生した[[水害]](豪雨災害)。
'''6.29豪雨災害'''(6.29ごううさいがい)とは、[[1999年]]([[平成]]11年)[[6月29日]](火曜日)に発生した[[水害]](豪雨災害)。


災害の起こった年から「平成11年6月豪雨」、あるいは特に被害が顕著だった[[広島県]]と[[福岡県]]の名をとって「◯◯広島豪雨」「◯◯福岡豪雨」などで呼ばれている。以下、当時の広島と福岡を中心に記載する。
気象庁では「梅雨前線、低気圧 平成11年(1999年)6月23日~7月3日」として分類<ref name="jma19990623" />、災害の起こった年から「平成11年6月豪雨」、あるいは特に被害が顕著だった[[広島県]]と[[福岡県]]の名をとって「◯◯広島豪雨」「◯◯福岡豪雨」などで呼ばれている。


== 概要 ==
== 概要 ==
1999年は梅雨や台風により各地で災害が起こっており、その中でこの災害はこの年の代表的な災害となった<ref name="giroj">{{Cite web|publisher=損害保険料率算出機構|url=http://www.giroj.or.jp/disclosure/risk/riskno53.pdf|format=PDF|title=平成11年6月末から8月にかけての風水害の概要|accessdate=2014-10-15}}</ref>。
{{Location map+|Japan|width=300|float=right|caption=|places=
{{Location map~|Japan|lat_deg=33|lat_min=35|lon_deg=130|lon_min=24|position=bottom|background=#FFF|label=福岡市}}
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}}
1999年は梅雨や台風により各地で災害が起こっており、その中で「6.29豪雨災害」はこの年の代表的な災害となった<ref name="giroj">損害保険料率算出機構</ref>。


活発化した[[梅雨]]前線の東上に伴い1999年[[6月23日]]から[[7月3日]]にかけて[[西日本]]から[[北日本]]の広い範囲で降雨し、各地で豪雨となった<ref name="giroj" /><ref name="cgrmlitc20">国土交通省中国地方整備局</ref>。最多一日降水量は6月29[[高知県]][[長岡郡]][[本山町]]で観測された341mm<ref name="giroj" />。特に6月28日から6月29日には、[[北部九州]]から[[中部地方]]にかけて局地的に時間あたり100mmの降水量を計測し、28府県で被害が発生し浸水災害や[[土砂災害]]([[土石流]]・[[がけ崩れ]])を引き起こした<ref name="giroj" /><ref name="cgrmlitc20" />。
活発化した[[梅雨]]前線の東上に伴い1999年[[6月23日]]から[[7月3日]]にかけて[[西日本]]から[[北日本]]の広い範囲で降雨し、各地で豪雨となった<ref name="giroj" /><ref name="cgrmlitc20">{{Cite web|publisher=国土交通省中国地方整備局|url=http://www.cgr.mlit.go.jp/ootagawa/bousai/saigai/saigai_c20.htm|title=1999年6月23〜7月3日/梅雨前線豪雨による土砂災害|accessdate=2014-10-15}}</ref>。特に6月29日には、[[北部九州]]から[[中部地方]]にかけて局地的に時間あたり100mmの降水量を計測し、28府県で被害が発生し浸水災害や[[土砂災害]]([[土石流]]・[[がけ崩れ]])を引き起こした<ref name="giroj" /><ref name="cgrmlitc20" />。


その中でも、[[広島県]][[広島市]][[呉市]]および[[福岡県]][[福岡市]]で[[集中豪雨]]により比較的規模の大きい災害が発生し[[災害救助法]]が適用された<ref name="giroj" />。この2つのケースは当時新しい都市型災害として注目された。広島では[[新興住宅地]]で土石流が発生し都市型土砂災害と呼ばれ<ref name="cgrmlitc20" />、福岡ではJR[[博多駅]]が水浸しとなり都市機能が麻痺し典型的な[[都市型水害]]の被災例となった<ref name="giroj" />。
その中でも、6月29日午前に[[福岡県]][[福岡市]]で、同日午後に[[広島県]][[広島市]][[市]]で[[集中豪雨]]により比較的規模の大きい災害が発生し[[災害救助法]]が適用された<ref name="giroj" />。この2つのケースは当時新しい都市型災害として注目された。福岡ではJR[[博多駅]]が水浸しとなり都市機能が麻痺し典型的な[[都市型水害]]の被災例とな<ref name="giroj" />、広島では[[新興住宅地]]で土石流が発生し都市型土砂災害と呼ばれた<ref name="cgrmlitc20" />。


1998年5月施行の[[被災者生活再建支援法]]の初適用事例(広島県全域)<ref name="giroj" /><ref name="chugoku19990705">{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-05|url=http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99070501.html|title=「被災者支援法」が広島県内全域に拡大|accessdate=2013-07-20}}</ref>。また広島での土砂災害を機に[[土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律]](土砂災害防止法)が制定された<ref>{{Cite web|publisher=京都府|url=http://www.pref.kyoto.jp/dosyashitei/1206345289820.html|title=土砂災害防止法 よくある質問|accessdate=2013-07-20}}</ref>。
1998年5月施行の[[被災者生活再建支援法]]の初適用事例(広島県全域)<ref name="giroj" /><ref name="chugoku19990705">{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-05|url=http://web.archive.org/web/20080316224559/http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99070501.html|title=「被災者支援法」が広島県内全域に拡大|accessdate=2014-10-15}}</ref>。また広島での土砂災害を機に[[土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律]](土砂災害防止法)が制定された<ref>{{Cite web|publisher=京都府|url=http://www.pref.kyoto.jp/dosyashitei/1206345289820.html|title=土砂災害防止法 よくある質問|accessdate=2014-10-15}}</ref>。


== 被害 ==
== 降水 ==
{| class="wikitable" style="float:right;font-size:smaller;text-align: right;"
以下、1999年7月26日[[消防庁]]が発表した6月23日から7月3日までの大雨災害による全国的な被害状況を示す<ref name="giroj" />。この数字には以下に記載する広島と福岡の数字も含まれている。
|+6月23日から7月3日までの<br />各地方気象官署で観測された降水量(mm)<ref>{{Cite web|publisher=気象庁|url=http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/1999/19990623/19990623_b1.html|title=降水量表|accessdate=2014-10-15}}</ref>
{| class="wikitable" style="text-align:right;"
|-
|-
!colspan="4"|人的被害(人)!!colspan="5"|住宅等被害(棟)!!rowspan="2"|備考
!rowspan="2" colspan="2"| !!rowspan="2"|期間!!colspan="2"|1日!!colspan="2"|1時間
|-
|-
!量!!日付!!量!!時刻
!死者!!不明者!!重傷者!!軽傷者!!全壊!!半壊!!一部損壊!!床上浸水!!床下浸水
|-
|-
!広尾
||39||1||10||59||173||122||435||3,844||14,741||
||北海道広尾町||215.5||154.0||01||25.0||01/07:41
|}

== 降水 ==
[[ファイル:Terra MODIS Stationary front cloud over Japan.jpg|thumb|right|250px|典型的な梅雨前線の雲(災害日ではなく2006年7月16日のもの)。災害当時はこの写真のものより南に前線が位置した。]]
;気候区分
西日本はほとんどが[[太平洋側気候]]で占められる。その中で、瀬戸内海に面した地域は[[瀬戸内海式気候]]、日本海側が[[日本海側気候]]である。

;梅雨前線
災害時期の梅雨前線は、6月23日から活発となり、その後南下し6月27日西日本南端に位置していたが、28日午後から夜かけて梅雨前線上の低気圧が[[中国大陸]]東岸から[[黄海]]上へ北上したことに伴い梅雨前線も北上し、29日未明の降雨となった<ref name="giroj" /><ref name="bousaih">{{Cite web|publisher=広島県防災web|url=http://www.bousai.pref.hiroshima.jp/www/contents/1318849733997/index.html|title=1999年(平成11年)6月29日 6.29災害(豪雨災害)|accessdate=2013-07-20}}</ref>。

つまり、この時期の梅雨の典型的な気圧配置となった<ref name="giroj" />。この際、強い[[積乱雲]]が発生したことにより北部九州から中国地方にかけて局地的に豪雨が降ることになった<ref name="giroj" />。

;降雨状況
6月23日から九州地方を中心に断続的に雨が振り、6月27日から当日である29日まで2日間近く無降雨が続いた<ref name="giroj" /><ref name="2001JSNDS">{{Cite journal |和書|author=牛山素行|authorlink=牛山素行|publisher=日本自然災害学会|journal=自然災害科学|date =2001|volume=20|issue =1|url=http://www.disaster-i.net/notes/2001JSNDS-hiroshima.pdf|format=PDF|title=1901年以降の降水量記録から見た1999年6月29日広島豪雨の特徴|accessdate=2013-07-20}}</ref>。この時点では記録的な豪雨というわけではなく、この時期の平均的な雨量だった<ref name="2001JSNDS" />。

災害当日である29日は、北部九州から中国地方にかけて広い範囲で未明から降雨が始まり、夜半には一旦終了している<ref name="giroj" /><ref name="2001JSNDS" />。

同日の豪雨域は、午前中は福岡市中心部で発生し一旦南下し[[太宰府市]]へ入り<ref name="jscear991104">楠田、1999年</ref>、午後には広島市[[佐伯区]]の山々東側(市中心部側)肌に沿って縦長に伸び[[安佐南区]]・[[安佐北区]]まで発生、その後呉市中心部にも発生した<ref name="giroj" /><ref name="cgrmlitc20" /><ref name="jseceS101">{{Cite journal |和書 |author=海堀正博|publisher=砂防学会|journal=平成24年度砂防学会研究発表会概要集|url=http://www.jsece.or.jp/event/conf/abstruct/2009/pdf/03_organized/S101.pdf|format=PDF|title=6.29 土砂災害の概要と減災への課題|accessdate=2013-07-20}}</ref>。

福岡と広島における時間降水量を見ると、下記の通り異常な雨量を計測した<ref name="giroj" /><ref name="cgrmlitc20" /><ref name="2001JSNDS" /><ref name="dprikyoto">井上</ref>。なお1時間あたりの雨量の目安として、50ミリを超えると全く傘が役に立たなくなり車の運転が困難な状況になり、80ミリを超えると人体は息苦しさを覚え圧迫感を感じるようになる<ref>{{Cite web|publisher=気象庁|url=http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/amehyo.html|title=雨と風の表|accessdate=2013-07-20}}</ref>。
{| class="wikitable" style="text-align:right;"
|-
|-
!大船渡
|rowspan="4"|福岡県||福岡市||7:43-8:43||79.5mm||||rowspan="4"|広島県||八幡川橋(佐伯区)||14:00-15:00||81mm
||岩手県大船渡市||260.5||108.0||30||17.5||30/18:45
|-
|-
!仙台
|[[糟屋郡]][[篠栗町]]||8:00-9:00||100mm||||戸山(安佐南区)||14:00-16:00||63mm
||仙台市宮城野区||194.0||107.0||30||18.0||03/23:04
|-
|-
!福島
|太宰府市||9:00-10:00||77mm||||[[魚切ダム]](佐伯区)||15:00-16:00||63mm
||福島県福島市||177.0||116.0||30||14.5||30/08:28
|-
|-
!白河
|[[飯塚市]]||9:00-10:00||59mm||||呉市||15:00-16:00||70mm
||福島県白河市||197.5||119.5||30||19.5||30/11:35
|}
つまり、ごく短時間での局所的な集中豪雨により、午前中は福岡県で、午後は広島県で災害が発生することとなった。

== 北部九州 ==
[[ファイル:基礎自治体位置図 40130.svg|thumb|right|300px|福岡県の地図。濃い紫が被害の大きかった福岡市。]]
=== 原因 ===
当日の[[博多湾]]は[[潮汐|大潮]]で満潮は9時34分であった<ref name="jscear991104" />。ほぼ同時刻に福岡市中心部で短期間で記録的な豪雨が発生したことにより、河川水位を押上げ浸水被害([[洪水|外水氾濫]])を出した<ref name="jscear991104" />。主な該当河川は[[御笠川]]水系御笠川や御笠川水系[[諸岡川]]、[[多々良川]]水系[[須恵川]]<ref name="jscear991104" /><ref name="tokyoacfukuoka">{{Cite web|publisher=東京大学大学院情報学環・学際情報学府web|url=http://www.hiroi.iii.u-tokyo.ac.jp/index-genzai_no_sigoto-toshi_suigai-huku.siryo.htm|title=6月末梅雨前線豪雨1999年6月29日福岡災害(1999.6.29福岡災害)|accessdate=2013-07-20}}</ref>。

当時の福岡市内の下水道は時間雨量最大52mmで処理するよう設計されていたため排水処理が追いつかず、[[洪水|内水氾濫]]も引き起こした<ref name="dprikyoto" /><ref name="tokyoacfukuoka" />。

この福岡での豪雨災害の特異点は、都市部の地下への浸水である<ref name="jscear991104" />。外水氾濫と内水氾濫により、JR[[博多駅]]周辺の地下鉄博多駅や[[博多駅地下街]]、[[天神地下街]]をはじめ周辺のビル地下は浸水した<ref name="jscear991104" /><ref name="dprikyoto" />。

また当時の浸水は予想以上の早さで起こったため行政側も対応が遅れている<ref name="jscear991104" /><ref name="dprikyoto" />。

=== 被害 ===
以下、1999年7月1日福岡県消防防災課が取りまとめた福岡県内の被害状況<ref name="tokyoacfukuoka" />である。
{| class="wikitable" style="text-align:right;"
|-
|-
!小名浜
!rowspan="2"| !!colspan="3"|人的被害(人)!!colspan="6"|住宅被害(棟)!!rowspan="2"|備考
||福島県いわき市||195.5||111.5||30||28.0||30/04:37
|-
|-
!宇都宮
!死者!!不明者!!負傷者!!全壊!!流失!!半壊<br />家屋!!一部損壊!!床上浸水!!床下浸水
||栃木県宇都宮市||202.5||110.0||30||20.0||30/10:42
|-
|-
!日光
!福岡市
||栃木県日光市||233.5||109.0||30||17.0||30/09:13
||1||-||-||-||-||2||-||708||703||
|-
|-
!伊良湖
!福岡市以外
||愛知県渥美町||292.0||107.0||29||43.5||29/21:46
||-||-||5||-||-||-||16||354||1,802||他に非住家7棟
|-
!尾鷲
||三重県尾鷲市||576.0||261.5||29||86.5||29/22:03
|-
!京都
||京都市中京区||447.0||117.0||27||69.0||30/00:40
|-
!舞鶴
||京都府舞鶴市||219.5||115.0||29||43.0||29/23:15
|-
!神戸
||神戸市中央区||362.0||179.5||29||45.0||29/18:00
|-
!洲本
||兵庫県洲本市||396.0||205.5||29||39.5||29/14:40
|-
!津山
||岡山県津山市||243.0||105.5||29||32.0||29/10:59
|-
!呉
||広島県呉市||446.5||186.0||29||73.5||29/16:50
|-
!松江
||島根県松江市||271.0||100.0||29||19.0||03/01:10
|-
!浜田
||島根県浜田市||344.0||146.0||29||41.5||29/14:50
|-
!高知
||高知県高知市||404.0||206.5||29||99.5||29/09:30
|-
!山口
||山口県山口市||342.0||103.0||29||31.0||29/10:55
|-
!下関
||山口県下関市||400.5||139.5||29||35.5||29/11:06
|-
!萩
||山口県萩市||432.5||204.0||29||58.5||29/06:07
|-
!福岡
||福岡市中央区||391.0||153.5||29||79.5||29/08:43
|-
!飯塚
||福岡県飯塚市||496.0||165.5||29||62.0||29/10:06
|-
!日田
||大分県日田市||535.5||170.5||24||45.5||29/11:32
|-
!厳原
||長崎県厳原町||520.5||153.0||02||63.0||29/01:03
|-
!平戸
||長崎県平戸市||566.0||180.5||26||55.0||29/06:37
|-
!佐世保
||長崎県佐世保市||503.5||133.5||26||39.5||02/13:48
|-
!福江
||長崎県福江市||654.0||231.5||26||71.0||02/10:53
|-
!佐賀
||佐賀県佐賀市||481.0||115.5||02||55.5||29/09:33
|-
!阿蘇山
||熊本県白水村||638.5||155.5||24||41.0||24/14:14
|-
!都城
||宮崎県都城市||392.5||119.5||03||59.0||03/06:53
|-
!鹿児島
||鹿児島県鹿児島市||388.5||158.0||23||38.5||03/06:28
|-
!枕崎
||鹿児島県枕崎市||292.5||112.0||28||41.5||03/06:03
|}
|}
大まかな流れは以下のとおり<ref>{{Cite web|publisher=気象庁|url=http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/1999/19990623/19990623_a.html|title=日々の概況|accessdate=2014-10-15}}</ref>。
{{Vertical_images_list
* この期間中、梅雨前線によりほぼ全国的に雨が降った。その中で低気圧の影響で局地的に大雨が降った。
|幅= 200px
* 6月
| 1=Mikasa river 2011.jpg
** 23日 - [[長江]]下流にあった低気圧が梅雨前線を伴って北上し[[朝鮮半島]]に到達、南九州を中心に大雨
| 2=御笠川。
** 24日 - 低気圧は更に北東方向に進み、日本海西部から北海道に達し、九州北部から西日本全域・[[甲信地方]]と北海道で大雨。
| 3=Hakata subway entrance.jpg
** 25日 - 低気圧は更に進み、[[千島列島]]の東海上に停滞し、九州から近畿南部にかけて大雨。北海道では暴風となった。
| 4=2008年の地下鉄博多駅入口。当時ここからも流入した。
** 26日 - 前線上の九州[[西海]]上に低気圧が発生し、北部九州と中国地方西部で大雨となった。
| 5=Tenjin Chikagai(Tenjin Underground City) - 02.JPG
** 27日 - その低気圧が[[瀬戸内海]]から[[三陸]]沖へと進み、局所的に大雨。
| 6=天神地下街。当時内水氾濫のため水浸しとなった。
** 28日 - 三陸沖の低気圧が東に進んで停滞、前線は日本南岸に停滞し、南九州で雨。
}}
** 29日 - [[対馬海峡]]にあった新たな低気圧が[[山陰地方]]沖へと進み、南九州から中部地方にかけて大雨。
天神地下街では8時ごろから浸水が始まり、天井から雨漏りが起こっている<ref name="dprikyoto" />。
** 30日 - その低気圧が日本海中部へ進み、近畿地方から東北地方にかけて大雨。
* 7月
** 01日 - その低気圧が東北地方へ進み、中部地方と九州の一部で大雨。
** 02日 - 低気圧は日本海北部に停滞する一方で、別の低気圧が対馬海峡から東へ進み、九州から四国の一部で大雨。
** 03日 - 低気圧は日本海西部から東北方向に進み、南九州と中部地方で大雨。


アメダス観測地点での1日降水量記録は6月24日[[釈迦岳 (大分県・福岡県)|釈迦岳]]での386mm、1時間降水量記録は6月29日福岡[[篠栗町]]での09時-10時の100mm<ref>{{Cite web|publisher=気象庁|url=http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/1999/19990623/19990623_c1.html|title=アメダスでの観測値|accessdate=2014-10-15}}</ref>。
博多駅では10時30分ごろから浸水が始まった。レールが冠水したため12時5分から15時45分まで一部路線を運休し排水処理を行なっている<ref name="dprikyoto" />。交通は麻痺し、地下の最下層に受電施設を置くビルが多かったため、停電を起こし機能停止に陥った<ref name="jscear991104" />。


右表に、この期間内での降水量記録を表記する。全国的に雨が降っている中で、6月29日と30日の降水量が多かったことがわかる。1時間降水量で見ると、尾鷲・高知で80mm以上のいわゆる息苦しくなるような圧迫感がある”猛烈な雨”が、京都・呉・萩・福岡・飯塚・厳原・平戸・福江・佐賀・都城で50mm以上のいわゆる滝のように降る”非常に激しい雨”が観測されている。
博多駅周辺で地下空間のある182棟のうち、地下に浸水した建物が71棟、そのうち1m以上浸水が29棟、完全水没10棟<ref name="jscear991104" />。死者はビル地下で溺死した<ref name="jscear991104" />。そのビルは小規模なもので、階段・地下駐車場入り口・換気口から水が入り、消防隊が駆けつけた11時24分時点で天井付近まで流入していた<ref name="dprikyoto" /><ref name="tokyoacfukuoka" />。


以下、右表を参照し、最大1時間降水量を6月29日に記録した地方気象官署とその時間帯の分布を示す。図が示す通り、29日の西日本ではほぼ午前中に強い雨が降り、近畿地方以西は夕方から夜にかけて強い雨が降っている。
=== 対策 ===
{{Location_map_with_crop
;御笠川
|Japan
対策が取られたがのちの2003年(平成15年)7月豪雨でも甚大な被害を受けたため、再検討された。さらに河床掘削され護岸整備を行い、平成15年豪雨時流量を耐えうる890m<sup>3</sup>/sまで計画高水流量を上げている<ref name="lbnagasakiu">{{Cite journal |和書 |author1=棚橋由彦|author2=蒋宇静|author3=田上亜祐美|publisher=長崎大学工学部研究報告|url=http://www.lb.nagasaki-u.ac.jp/reports/kougaku/pdf/35_65_14.pdf|format=PDF|title=博多駅周辺の地下施設データベース及び浸水被害把握支援ツールの構築|accessdate=2013-07-20}}</ref>。
|crop map=1
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|resizeY=746 <!--元画像 (413 × 373 ピクセル) を2倍-->
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|oLeft=15
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|places=
{{Location map~|Japan|lat=34.59 |long=137.04 |mark=Black_pog.svg|marksize=10}}<!-- 伊良湖-->
{{Location map~|Japan|lat=34.07 |long=136.19 |mark=Black_pog.svg|marksize=10}}<!-- 尾鷲-->
{{Location map~|Japan|lat=35.47 |long=135.39 |mark=Black_pog.svg|marksize=10}}<!-- 舞鶴-->
{{Location map~|Japan|lat=34.70 |long=135.20 |mark=Blue_pog.svg|marksize=10}}<!-- 神戸-->
{{Location map~|Japan|lat=34.34 |long=134.90 |mark=Green_pog.svg|marksize=10}}<!-- 洲本-->
{{Location map~|Japan|lat=35.07 |long=134.00 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=10}}<!-- 津山-->
{{Location map~|Japan|lat=34.25 |long=132.57 |mark=Blue_pog.svg|marksize=10}}<!-- 呉-->
{{Location map~|Japan|lat=34.90 |long=132.08 |mark=Green_pog.svg|marksize=10}}<!-- 浜田-->
{{Location map~|Japan|lat=33.56 |long=133.53 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=10}}<!-- 高知-->
{{Location map~|Japan|lat=34.18 |long=131.47 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=10}}<!-- 山口-->
{{Location map~|Japan|lat=34.41 |long=131.40 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=10}}<!-- 下関-->
{{Location map~|Japan|lat=33.59 |long=130.39 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 萩-->
{{Location map~|Japan|lat=33.59 |long=130.39 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=10}}<!-- 福岡-->
{{Location map~|Japan|lat=33.65 |long=130.69 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=10}}<!-- 飯塚-->
{{Location map~|Japan|lat=33.32 |long=130.94 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=10}}<!-- 日田-->
{{Location map~|Japan|lat=34.20 |long=129.28 |mark=Red_pog.svg|marksize=10}}<!-- 厳原-->
{{Location map~|Japan|lat=33.37 |long=129.55 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 平戸-->
{{Location map~|Japan|lat=33.26 |long=130.30 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=10}}<!-- 佐賀-->
|caption=6月29日最大1時間降水量分布。色は観測した時間帯を示し、[[File:Red_pog.svg|10px|赤]]が00時-03時、[[File:Orange_pog.svg|10px|橙]]が04時-07時、[[File:Yellow_pog.svg|10px|黄]]が08時-11時、[[File:Green_pog.svg|10px|緑]]が12時-15時、[[File:Blue_pog.svg|10px|青]]が16時-19時、[[File:Black_pog.svg|10px|黒]]が20時-23時。
}}{{-}}


== 被害 ==
;博多駅周辺
{| class="wikitable" style="float:center;font-size:smaller;text-align: right;"
{{See also|[http://www.city.fukuoka.lg.jp/doro-gesuido/h-shinsuitaisaku/hp/usuiseibirainbowplanhakata.html 福岡市道路下水道局]}}
|+平成11年6月23日から7月3日の梅雨前線、低気圧による被害状況(防災白書参照)<ref>{{Cite web|publisher=気象庁|url=http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/1999/19990623/19990623_e.html|title=被害状況|accessdate=2014-10-15}}</ref>
元々博多駅周辺は周囲より凹んだ立地にあり漏水しやすい地形であったため<ref name="jscear991104" /><ref name="dprikyoto" />、6.29豪雨災害の後の平成15年豪雨でも浸水被害を受けた。これを受け博多駅地区緊急浸水対策事業「雨水整備レインボープラン博多」として抜本的な浸水対策がとられるようになった<ref name="lbnagasakiu" />。ポンプ場などの既存施設の更新に加え、雨水貯留管や雨水調整池、浸透側溝を新たに建設している<ref name="lbnagasakiu" />。

== 中国地方 ==
[[ファイル:基礎自治体位置図 34202.svg|thumb|right|300px|広島県の地図。赤が被害の大きかった呉市。薄い紫が広島市であり、この西側半分が被害の大きかった地点。]]
{{multiple image
| align = right
| width = 150
| image1 = Granite01.jpg
| caption1 = 加工された花崗岩。このように加工しやすい岩ではあるが風化が進むと崩れやすい特性がある。
| image2 = 庭土に使われる予定の真砂土P3304267.JPG
| caption2 = 園芸用に用いられるマサ土。今回の土砂災害の原因でもある。
}}
=== 原因 ===
中国地方の雨量は上記降水のデータからもわかる通り、1日降水量では高知県と、時間降水量では福岡と比べても、そこまでの降水量ではなかった<ref name="jseceS101" />。その中で広島での被害が大きくなった原因は、特異な状況下での降雨により土砂災害が発生したためである。

;地理
中国地方の特徴的な地質の一つに、「[[真砂土|マサ土]]」が挙げられる<ref name="cgeo">{{Cite web|publisher=中国地質調査業協会|url=http://www.chugoku-geo.or.jp/geology/chugoku/001|title=花崗岩の風化|accessdate=2013-07-20}}</ref>。これはこの地方に広く分布する[[花崗岩]]が[[風化]]して堆積した地層であり、崩れやすく崖崩れや土石流の原因となる<ref name="cgeo" />。また、多大な被害が出た広島県西部は、狭い平野をギリギリまで土地開発しているため全国的に見ても急傾斜地が多い特徴がある<ref name="isad">{{Cite web|publisher=消防科学総合センター|url=http://www.isad.or.jp/cgi-bin/hp/index.cgi?ac1=IB17&ac2=69summer&ac3=1845&Page=hpd_view|title=4.土砂災害から身を守るために|accessdate=2013-07-20}}</ref>。

つまり、急傾斜地に崩れやすい性質を持った土が存在していたこと、比較的小規模な土石災害ながら高速ですぐ近くの住宅地を襲ったことが被害が多数でた原因となった<ref name="jseceS101" /><ref name="geochs">{{Cite web|publisher=日本地すべり学会|url=http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/hiroshima/honbun7.htm|title=平成11年6月広島豪雨災害緊急調査団現地調査結果|accessdate=2013-07-20}}</ref>。

更に、土石流内の流木の状況から樹木の植生に問題があったと指摘されている<ref name="geochs" /><ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-16|url=http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99071635.html|title=団地が危ない 6・29豪雨災害(中)|accessdate=2013-07-20}}</ref>。ただ[[マツ材線虫病|マツ枯れ]]に関しては当該地にそこまで多くなかったため、マツ枯れが土石流の原因になったとはいえない<ref name="geochs" />。

;対応
平日昼間に発生した土砂災害でありながら被害を大きくした理由は上記以外にもある。

広島県西部での100人以上の死者・行方不明者を出した豪雨災害は1967年(昭和42年)7月<ref>{{Cite web|publisher=広島県砂防課|url=http://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/100/1171533201304.html|title=昭和42年7月豪雨災害(呉市)|accessdate=2013-07-20}}</ref>を最後に30年近く、死者・行方不明者を出した豪雨災害は1988年(昭和63年)7月<ref>{{Cite web|publisher=広島県砂防課|url=http://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/100/1171536797613.html|title=昭和63年7月豪雨災害(加計町(現安芸太田町))|accessdate=2013-07-20}}</ref>を最後に10年近く起こっていなかったこと、更に災害現場付近の住民はそれ以前同様の災害に遭遇していなかったことから、当時の土砂災害に対する危機管理の低さが後の報告書で指摘されており、これが住民のみならず行政対応が後手に回る一因となった<ref name="2001JSNDS" /><ref name="jseceS101" /><ref name="isad" />。

また上記の通り、局地的に同時多発的に特異な災害が発生したため、行政の対応が遅れた部分もある<ref name="chugokukensyo1">{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-06-29|url=http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/kensyou/kensyo1.html|title=2時間で一気に被災|accessdate=2013-07-20}}</ref>。まず広島市で15時台から災害が発生し、その1時間後である16時台に呉市で発生と、離れた地点で時間差で重大な災害が発生したため県も対応に手間取った<ref name="chugokukensyo1" />。

=== 被害 ===
1999年7月26日消防庁発表の中国地方における被害状況<ref name="cgrmlitc20" />と、2013年現在広島県が公表している県内のみの被災状況<ref name="bousaih" />は以下のとおり。なお負傷者の整合性がとれていないがソースを尊重しそのまま記載している。
{| class="wikitable" style="text-align:right;"
|-
|-
!rowspan="2"| !!colspan="3"|人的被害(人)!!colspan="6"|住宅等被害(棟)!!rowspan="2"|備考
!colspan="2" rowspan="2"| !!colspan="4"|人的(人)!!colspan="5"|住宅(棟)
|-
|-
!死者!!不明者!!傷者!!全壊!!流失!!半壊!!一部損壊!!床上浸水!!床下浸水
!死者!!行方不明!!重傷者!!傷者!!全壊!!半壊!!一部損壊!!床上浸水!!床下浸水
|-
|-
!colspan="2"|北海道
!中国地方
||35||1||55||153||-||102||305||1,434||3,409||
||||||||||||||1||||
|-
|-
!rowspan="3"|東北
!広島県のみ
!岩手
||31||1||59||101||-||68||-||1,284||2,763||
||||||||||||||1||||
|}
{| class="wikitable" style="float:right;font-size:smaller;text-align: center;"
!colspan="2" rowspan="2"|住所!!colspan="5"|年齢!!!!rowspan="2"|計
|-
|-
!宮城
|10代<br />以下||20代<br />〜30代||40代<br />〜50代||60代<br />〜70代||80代<br />以上
||||||||||||||||2||53
|-
|-
!福島
|rowspan="9"|広島県||[[西区 (広島市)|西区]]||||1||||||||||1
||||||||||||||||||18
|-
|-
!rowspan="2"|関東
|[[安佐南区]]||1||2||||||||||3
!茨城
||||||||||||||2||2||7
|-
|-
!栃木
|[[安佐北区]]||1||||1||2||2||||6
||||||||||||||||||1
|-
|-
!rowspan="8"|中部
|[[佐伯区]]||||2||1||4||2||||9
!石川
||1||||1||1||||||||||
|-
|-
!福井
|[[佐伯町 (広島県)|佐伯町]]||1||||||||||||1
||||||||2||||||1||||1
|-
|-
!山梨
|[[呉市]]||||||1||7||||||8
||||||||||||||||||1
|-
|-
!長野
|[[江田島町]]||1||||||1||||||2
||||||||||||1||5||28||483
|-
|-
!岐阜
|[[安芸津町]]||||||||1|||||||1
||||||||2||||3||10||28||213
|-
|-
!静岡
|[[河内町 (広島県)|河内町]]||||||||1||||||1
||||||||||||||12||2||33
|-
|-
!愛知
|[[山口県]]||[[下関市]]||||||1||||||||1
||||||||||||1||7||117||609
|-
|-
!三重
|rowspan="2"|[[岡山県]]||[[大佐町]]||||1||||||||||1
||||||||||||||||7||48
|-
|-
!rowspan="6"|近畿
|[[美甘村]]||||||||1||||||1
!滋賀
||||||||||||||2||2||91
|-
|-
!京都
|[[島根県]]||[[日原町]]||||||||||1||||1
||||||1||1||3||||25||145||1,868
|-
|-
!大阪
||||||||||||||2||101||1,323
|-
|-
!兵庫
!colspan="2"|合計
|4||6||4||17||5||||36
||||||||1||7||14||14||316||1,221
|-
!奈良
||||||||||1||1||||1||236
|-
!和歌山
||||||||||||||1||||4
|-
!rowspan="5"|中国
!鳥取
||||||||||||||||||3
|-
!島根
||1||||||||||||4||16||121
|-
!岡山
||1||||||||1||||6||||31
|- style="background-color: #D0E7FF"
!広島
||31||1||22||37||101||68||303||1,302||2,723
|-
!山口
||1||||||1||1||1||21||33||563
|-
!rowspan="3"|四国
!徳島
||||||||||||||4||64||484
|-
!愛媛
||||||||||||||1||6||43
|-
!高知
||||||||||||||||200||724
|-
!rowspan="5"|九州
!大分
||||||||||||||||||6
|- style="background-color: #D0E7FF"
!福岡
||2||||3||3||7||6||27||1,273||4,890
|-
!佐賀
||||||1||||||||8||8||278
|-
!長崎
||1||||||1||6||3||58||48||265
|-
!熊本
||||||||1||||||3||||27
|-
!colspan="2" rowspan="2"|計
!死者!!行方不明!!重傷者!!軽傷者!!全壊!!半壊!!一部損壊!!床上浸水!!床下浸水
|-
||38||1||28||50||127||98||518||3,701||16,368
|}
以下、特に顕著な被害が発生した福岡県と広島県について記載する。

== 福岡 ==
=== 降水状況 ===
6月29日朝、[[寒冷前線]]を伴った低気圧が九州北部に到達、この時に南東側に前線に沿って活発な[[積乱雲]]が並んで発生しており([[集中豪雨#バックビルディング型|バックビルディング]])、これら積乱雲列が福岡を通過したことにより局地的に豪雨が発生した<ref name="halex20140623-3516">{{Cite web|publisher=ハレックス|url=http://www.halex.co.jp/blog/jousuke/20140623-3516.html|title=平成11年(1999年)6月29日 博多駅前水没|accessdate=2014-10-15}}</ref>。ピークは08時から09時台で各市町村で激しく降ったのが2時間以内、つまり08時から10時の間に起こった<ref name="halex20140623-3516" />。

最多1時間降水量は篠栗町08時-09時台の100mm<ref name="dprikyoto">{{Cite journal |和書 |author=井上和也|publisher=京都大学防災研究所|url=http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/web_j/kyodo/kyodo12/12s-2/pdfile/inoue.pdf|format=PDF|title=地下空間での水害|accessdate=2014-10-15}}</ref>。他、太宰府市09-10時台で77mm、飯塚市09-10時台で59mm<ref name="dprikyoto" />。福岡市では、07時からの3時間降水量126mm、08-09時台の1時間降水量77mm<ref name="halex20140623-3516" />。なお篠栗と福岡は約12kmしか離れていないにもかかわらず総雨量は50mm近く違っている<ref name="halex20140623-3516" />。

{| class="wikitable"
|-
|colspan="2"|6月29日の時間降水量分布。観測値は[http://www.data.jma.go.jp/ 気象庁/過去の気象データ検索]より。[[File:black_pog.svg|17px|黒]]が80mm以上(強烈な雨)、[[File:Red_pog.svg|14px|赤]]が50mm以上(非常に激しい雨)、[[File:Orange_pog.svg|10px|橙]]が30mm以上(激しい雨)、[[File:Green_pog.svg|8px|緑]]が20mm以上(強い雨)、[[File:Yellow_pog.svg|6px|黄]]が10mm以上(やや強い雨)、それ以下のものは省略する。
|-
||
{{Location map+
|Japan Fukuoka
|width=200
|float=left
|places=
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=51.1 |lon_deg=130 |lon_min=44.6 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 八幡-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=48.5 |lon_deg=130 |lon_min=32.3 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 宗像-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=42.8 |lon_deg=130 |lon_min=58.5 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 行橋-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=38.3 |lon_deg=130 |lon_min=32.7 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 篠栗-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=33.6 |lon_deg=130 |lon_min=11.4 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 前原-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=34.9 |lon_deg=130 |lon_min=22.5 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 福岡-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=25.0 |lon_deg=130 |lon_min=26.7 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 九千部山-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=24.3 |lon_deg=130 |lon_min=47.1 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 朝倉-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=17.5 |lon_deg=130 |lon_min=37.5 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 耳納山-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=13.5 |lon_deg=130 |lon_min=38.7 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 黒木-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=0.4 |lon_deg=130 |lon_min=28.0 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 大牟田-->
|caption=07-08時台。
}}
||
{{Location map+
|Japan Fukuoka
|width=200
|float=left
|places=
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=51.1 |lon_deg=130 |lon_min=44.6 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 八幡-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=48.5 |lon_deg=130 |lon_min=32.3 |mark=Red_pog.svg|marksize=14}}<!-- 宗像-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=44.5 |lon_deg=130 |lon_min=50.6 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 頂吉-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=38.3 |lon_deg=130 |lon_min=32.7 |mark=Black_pog.svg|marksize=17}}<!-- 篠栗-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=39.1 |lon_deg=130 |lon_min=41.6 |mark=Red_pog.svg|marksize=14}}<!-- 飯塚-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=33.6 |lon_deg=130 |lon_min=11.4 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 前原-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=34.9 |lon_deg=130 |lon_min=22.5 |mark=Red_pog.svg|marksize=14}}<!-- 福岡-->
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{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=25.0 |lon_deg=130 |lon_min=26.7 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 九千部山-->
|caption=08-09時台。
}}
|-
||
{{Location map+
|Japan Fukuoka
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{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=51.1 |lon_deg=130 |lon_min=44.6 |mark=Red_pog.svg|marksize=14}}<!-- 八幡-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=48.5 |lon_deg=130 |lon_min=32.3 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 宗像-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=44.5 |lon_deg=130 |lon_min=50.6 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 頂吉-->
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{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=38.3 |lon_deg=130 |lon_min=32.7 |mark=Red_pog.svg|marksize=14}}<!-- 篠栗-->
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{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=34.9 |lon_deg=130 |lon_min=22.5 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 福岡-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=29.8 |lon_deg=130 |lon_min=29.4 |mark=Red_pog.svg|marksize=14}}<!-- 太宰府-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=33.5 |lon_deg=130 |lon_min=51.5 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 添田-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=25.0 |lon_deg=130 |lon_min=26.7 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 九千部山-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=24.3 |lon_deg=130 |lon_min=47.1 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 朝倉-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=18.2 |lon_deg=130 |lon_min=29.6 |mark=Red_pog.svg|marksize=14}}<!-- 久留米-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=17.5 |lon_deg=130 |lon_min=37.5 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 耳納山-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=13.5 |lon_deg=130 |lon_min=38.7 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 黒木-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=9.6 |lon_deg=130 |lon_min=24.2 |mark=Black_pog.svg|marksize=17}}<!-- 柳川-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=0.4 |lon_deg=130 |lon_min=28.0 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 大牟田-->
|caption=09-10時台。
}}
||
{{Location map+
|Japan Fukuoka
|width=200
|float=left
|places=
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=51.1 |lon_deg=130 |lon_min=44.6 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 八幡-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=48.5 |lon_deg=130 |lon_min=32.3 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 宗像-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=44.5 |lon_deg=130 |lon_min=50.6 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 頂吉-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=42.8 |lon_deg=130 |lon_min=58.5 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 行橋-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=39.1 |lon_deg=130 |lon_min=41.6 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 飯塚-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=33.5 |lon_deg=130 |lon_min=51.5 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 添田-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=25.0 |lon_deg=130 |lon_min=26.7 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 九千部山-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=24.3 |lon_deg=130 |lon_min=47.1 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 朝倉-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=18.2 |lon_deg=130 |lon_min=29.6 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 久留米-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=17.5 |lon_deg=130 |lon_min=37.5 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 耳納山-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=13.5 |lon_deg=130 |lon_min=38.7 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 黒木-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=9.6 |lon_deg=130 |lon_min=24.2 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 柳川-->
{{Location map~|Japan Fukuoka|lat_deg=33 |lat_min=0.4 |lon_deg=130 |lon_min=28.0 |mark=Red_pog.svg|marksize=14}}<!-- 大牟田-->
|caption=10-11時台。
}}
|}
|}
{{Vertical_images_list
{{Vertical_images_list
|幅= 250px
|幅= 200px
|枠幅=200px
| 1=Kannondai, Saeki-ku, Hiroshima 1988.jpg
| 1=Kyushu Railway - Hakata Station - Hakata Side Station Square - 01.JPG| 2=博多駅前広場。この豪雨により全面的に浸水した。
| 2=土砂災害が発生した場所の一つ(1988年当時の写真)<ref>{{国土航空写真}}</ref>。写真中央左から住宅地に流れる渓流で1999年土石流が発生した。
| 3=Mikasa river 2011.jpg| 4=御笠川。
| 3=Kochi Kominkan Sekihi 2013.07.27.JPG
| 5=Tenjin Chikagai(Tenjin Underground City) - 02.JPG| 6=天神地下街。当時内水氾濫のため水浸しとなった。
| 4=河内公民館の敷地内に建立された「災害記録の碑」
}}
}}
上記の全国的な被害と比べると死者・行方不明者で8割、全壊・半壊家屋で6割近くが広島での被災によるものだとわかる。つまり、この6.29豪雨災害における浸水以外の被害のほとんどは広島で発生したものである。
;死者・行方不明者
中国地方における死者・行方不明者の住所と年齢構成は右のとおり<ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-01|url=http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99070101.html|title=被害拡大 死者26人不明なお9人/中国地方|accessdate=2013-07-20}}</ref><ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-02|url=http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99070201.html|title=新たに1遺体収容 広島市安佐北区亀山|accessdate=2013-07-20}}</ref>。なお、当時の自治体名で記載している(単位は人)。


=== 要因・状況 ===
梅雨前線の低気圧中心から見ると遠いところに位置する[[鳥取県]]では出なかった。山口県下関市は海沿い、岡山県[[阿哲郡]]大佐町(現[[新見市]])・同県[[真庭郡]]美甘村(現[[真庭市]])・島根県[[鹿足郡]]日原町(現[[津和野町]])は山間部に位置している。
この福岡での豪雨災害は洪水災害や土砂災害が発生したが<ref name="halex20140623-3516" />、特異点は福岡市中心部での地下空間への浸水である<ref name="jscear991104">{{Cite journal |和書 |author=楠田哲也|publisher=土木学会|journal=土木学会誌|date =1999|volume=11|issue =4|url=http://www.jsce.or.jp/journal/thismonth/ar991104.pdf|format=PDF|title=1999. 6. 29 福岡豪雨|accessdate=2014-10-15}}</ref>。
* 元々この地方では6月23日からの梅雨前線による雨が降り続いており、土中の保水力は飽和状態になっていたところへ、短期的な集中豪雨が襲ったことにより土中に吸収されることなく表層に留まっていた<ref name="halex20140623-3516" />。
* 当日の[[博多湾]]は[[潮汐|大潮]]で満潮は09時34分であった<ref name="jscear991104" />。ほぼ同時刻に福岡市中心部で短期間で記録的な豪雨が発生したことにより、[[御笠川]]水系御笠川や御笠川水系[[諸岡川]]、[[多々良川]]水系[[須恵川]]など福岡市近辺を流れる河川の水位を押上げ[[洪水|外水氾濫]]を出した<ref name="jscear991104" /><ref name="tokyoacfukuoka">{{Cite web|publisher=東京大学大学院情報学環・学際情報学府web|url=http://www.hiroi.iii.u-tokyo.ac.jp/index-genzai_no_sigoto-toshi_suigai-huku.siryo.htm|title=6月末梅雨前線豪雨1999年6月29日福岡災害(1999.6.29福岡災害)|accessdate=2014-10-15}}</ref>。
* 当時の福岡市内の下水道は時間雨量最大52mmで処理するよう設計されていたため排水処理が追いつかず、[[洪水|内水氾濫]]も引き起こした<ref name="dprikyoto" />。


この短時間で発生した豪雨によって外水氾濫と内水氾濫が同時に起こったことにより、JR[[博多駅]]周辺の地下鉄博多駅や[[博多駅地下街]]、[[天神地下街]]をはじめ周辺のビル地下は浸水した<ref name="jscear991104" /><ref name="dprikyoto" />。なお博多駅周辺は凹地形つまり明らかに地盤が低く水が溜まりやすかったことも災いした<ref name="dprikyoto" />。
広島県の32人のうち24人(広島市17・呉市7)が土砂災害によるものである<ref name="jseceS101" /><ref name="geochs" />。また広島での被害のうち、豪雨地域により2つに分類できる。
* 広島市西部での豪雨 - 西区・安佐南区・安佐北区・佐伯区・[[佐伯郡]]佐伯町(現[[廿日市市]])
* 呉市周辺の豪雨 - 呉市・[[安芸郡 (広島県)|安芸郡]]江田島町(現[[江田島市]])・[[豊田郡]]安芸津町(現[[東広島市]])・[[賀茂郡 (広島県)|賀茂郡]]河内町(現東広島市)
平日昼間に発生した災害であることもあり、その時間帯に住宅地にいる高齢者に被害数が多くなっている。


天神地下街では8時ごろから浸水が始まり、天井から雨漏りが起こっている<ref name="dprikyoto" />。
;周辺被害
昼間から夕方の災害で帰宅ラッシュ時と重なったため、JR[[山陽新幹線]]や在来線各駅・各バスなど交通機関で大混乱となった<ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-06-30|url=http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn9906305.html|title=広島県内の交通機関、運休や遅れ相次ぐ|accessdate=2013-07-20}}</ref>。土砂災害により道路が分断され、復旧に時間を擁した<ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-06|url=http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99070603.html|title=広島県内で依然、国道など40ヵ所全面通行止め|accessdate=2013-07-20}}</ref>。


博多駅では10時30分ごろから浸水が始まった。レールが冠水したため12時5分から15時45分まで一部路線を運休し排水処理を行なっている<ref name="dprikyoto" />。交通は麻痺し、地下の最下層に受電施設を置くビルが多かったため、停電を起こし機能停止に陥った<ref name="jscear991104" />。
広島県内での土砂災害は、土石流が139箇所、がけ崩れが186箇所<ref>{{Cite web|publisher=広島県砂防課|url=http://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/100/1171538334545.html|title=平成11年6・29豪雨災害(広島市・呉市)|accessdate=2013-07-20}}</ref>。当時広島県が指定していた土石流危険渓流や急傾斜地崩壊危険個所以外からも災害が発生しており<ref name="chugokukensyo1" />、行政側が想定外の箇所でも被災した。また広島では、流木が[[草津漁港]]を埋め尽くし、漁業に影響を与えている<ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-01|url=http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99070133.html|title=広島湾に大量の流木 草津漁港マヒ|accessdate=2013-07-20}}</ref>。


博多駅周辺で地下空間のある182棟のうち、地下に浸水した建物が71棟、そのうち1m以上浸水が29棟、完全水没10棟<ref name="jscear991104" />。死者は1人出したが博多駅東2丁目のビルの地下で溺死したもので、そのビルは小規模なものだったため階段・地下駐車場入り口・換気口から水が入り、消防隊が駆けつけた11時24分時点で天井付近まで流入していた<ref name="jscear991104" /><ref name="dprikyoto" />。
当初は広島市・呉市のみに被災者生活再建支援法が適用されていたが<ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-02|url=http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99070202.html|title=広島市と呉市に被災者生活再建支援法を初適用|accessdate=2013-07-20}}</ref>、後に広島県全域にまで拡大している<ref name="chugoku19990705" />。


=== 対策 ===
== 広島 ==
=== 降水状況 ===
{{See also|[http://www.bousai.pref.hiroshima.jp/hdis/ 広島県防災Web]}}
6月29日午前中に福岡で雨を降らせた低気圧は梅雨前線を伴って北上し、午後には[[山陰地方|山陰]]沖に停滞し前線も中国地方に停滞した<ref name="halex20140627-3571">{{Cite web|publisher=ハレックス|url=http://www.halex.co.jp/blog/jousuke/20140627-3571.html|title=平成11年(1999年)6月29日 広島で土砂災害頻発|accessdate=2014-10-15}}</ref>。そこに南から[[暖湿流]]が流れこんだことにより梅雨前線が活発となり、局地的な豪雨が発生した<ref name="halex20140627-3571" />。この豪雨は29日午後の長くても約2時間程度の集中的に降っており、まず13時から16時に広島市[[佐伯区]]から[[安佐北区]]の範囲で、15時から17時に[[呉市]]を中心として豪雨となった<ref name="halex20140627-3571" /><ref name="hiroshima002_08gouu">{{Cite web|publisher=広島県|url=http://www.sabo.pref.hiroshima.lg.jp/portal/sonota/saigai/002_08gouu.htm|title=平成11年6月 豪雨 (最大時間雨量81.0mm,死者・行方不明者32人)|accessdate=2014-10-15}}</ref>。特徴的なのが広島市の降雨域で、[[広島湾]]の西側の山々に沿って細長く伸びている<ref name="halex20140627-3571" />。
多大な被害を出した広島県および広島市・呉市はこれを機に、防災計画の見直しを図った<ref name="isad" />。行政側は特に災害発生時の初動と、土石流危険渓流や急傾斜地崩壊危険個所の近くの住民への広報を徹底した<ref name="isad" />。学識者はより詳細な[[ハザードマップ]]作成を自治体に求め<ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-17|url=http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99071701.html|title=土砂災害調査団が地域防災見直し提言/広島県|accessdate=2013-07-20}}</ref>、その後の土砂災害防止法施行や[[水防法]]改正に伴いより細かく更新されている。


最大1時間降水量は、広島市佐伯区五日市町の八幡川橋(日本道路公団観測点)14時-15時台の81mm、呉市(アメダス)15時50分-16時50分の73mm<ref name="hiroshima002_08gouu" />。この2箇所を時間降水量60mmから80mmの雨量が降っている<ref name="halex20140627-3571" />。他特異な記録として、戸山(安佐南区/県観測点)の2時間降水量14時-16時で63mmなど<ref name="hiroshima002_08gouu" />。なおこれら広島市の降水量の特異点がアメダス観測点のものではないのは、局地的な豪雨だったため記録できなかったためである<ref name="jseceS101" />。
また、住民側も意識が変わり独自で防災訓練を行なっている<ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=2000-06-24|url=http://www.chugoku-np.co.jp/News/after_1y/kyokun5.html|title=5.自主防災|accessdate=2013-07-20}}</ref>。2012年には被災地の一つである佐伯区の河内地区にある河内公民館の敷地内に「災害記録の碑」が建立された<ref>{{Cite web|publisher=西日本タイムズ|date=2012-06-29|url=http://l-co.co.jp/times/modules/log/index.php?content_id=4209|title=忘れまい「災害記録の碑」6・29集会で除幕|accessdate=2013-07-20}}</ref>。


{| class="wikitable"
しかし、15年後の2014年8月に[[広島土砂災害]]が発生し、6.29災害の教訓が生かされなかった事が分かった。<ref>{{Cite web|publisher=MSN産経ニュース|date=2014-08-20|url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140820/dst14082019130032-n1.htm|title=広島市、土砂崩れ発生後に避難勧告 15年前の教訓生かされず|accessdate=2014-08-21}}</ref>
|-
{{-}}
|colspan="4"|6月29日の時間降水量分布。観測値は[http://www.data.jma.go.jp/ 気象庁/過去の気象データ検索]と、広島県資料<ref>{{Cite web|publisher=広島県|url=http://www.sabo.pref.hiroshima.lg.jp/portal/sonota/sabo/pdf/205_H11_6_29_sokuhou.pdf|format=PDF|title=6.29災害速報版パンフレット(PDF)|accessdate=2014-10-15}}</ref>より。[[File:black_pog.svg|17px|黒]]が80mm以上(強烈な雨)、[[File:Red_pog.svg|14px|赤]]が50mm以上(非常に激しい雨)、[[File:Orange_pog.svg|10px|橙]]が30mm以上(激しい雨)、[[File:Green_pog.svg|8px|緑]]が20mm以上(強い雨)、[[File:Yellow_pog.svg|6px|黄]]が10mm以上(やや強い雨)、それ以下のものは省略する。
|-
||
{{Location map+
|Japan Hiroshima
|width=200
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{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=13.3 |lon_deg=132 |lon_min=13.2 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 大竹-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=21.9 |lon_deg=132 |lon_min=11.4 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 廿日市津田-->
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{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=46.1 |lon_deg=132 |lon_min=27.8 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 大朝-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=36.4 |lon_deg=132 |lon_min=28.7 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 海見山-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=10.9 |lon_deg=132 |lon_min=49.8 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 久比-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=51.6 |lon_deg=133 |lon_min=1.4 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 庄原-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=35.0 |lon_deg=133 |lon_min=3.0 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 世羅-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=28.1 |lon_deg=132 |lon_min=53.6 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 河内-->
<!-- 県資料-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=24.3 |lon_deg=132 |lon_min=21.3 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 八幡川橋-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=29.5 |lon_deg=132 |lon_min=21.8 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 戸山-->
|caption=13-14時台。
}}
||
{{Location map+
|Japan Hiroshima
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|float=left
|places=
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=13.3 |lon_deg=132 |lon_min=13.2 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 大竹-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=21.9 |lon_deg=132 |lon_min=11.4 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 廿日市津田-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=29.1 |lon_deg=132 |lon_min=19.8 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 恵下谷山-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=35.8 |lon_deg=132 |lon_min=10.6 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 内黒山-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=42.5 |lon_deg=132 |lon_min=10.4 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 八幡-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=36.6 |lon_deg=132 |lon_min=19.2 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 加計-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=41.9 |lon_deg=132 |lon_min=18.7 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 王泊-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=46.1 |lon_deg=132 |lon_min=27.8 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 大朝-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=36.4 |lon_deg=132 |lon_min=28.7 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 海見山-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=32.7 |lon_deg=132 |lon_min=31.8 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 三入-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=23.9 |lon_deg=132 |lon_min=27.7 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 広島-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=48.3 |lon_deg=132 |lon_min=36.9 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 犬伏山-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=51.6 |lon_deg=133 |lon_min=1.4 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 庄原-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=28.1 |lon_deg=132 |lon_min=53.6 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 河内-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=35 |lat_min=3.4 |lon_deg=133 |lon_min=11.3 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 道後山-->
<!-- 県資料-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=24.3 |lon_deg=132 |lon_min=21.3 |mark=Black_pog.svg|marksize=17}}<!-- 八幡川橋-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=29.5 |lon_deg=132 |lon_min=21.8 |mark=Red_pog.svg|marksize=14}}<!-- 戸山-->
|caption=14-15時台。
}}
||
{{Location map+
|Japan Hiroshima
|width=200
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|places=
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=21.9 |lon_deg=132 |lon_min=11.4 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 廿日市津田-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=29.1 |lon_deg=132 |lon_min=19.8 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 恵下谷山-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=41.9 |lon_deg=132 |lon_min=18.7 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 王泊-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=46.1 |lon_deg=132 |lon_min=27.8 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 大朝-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=36.4 |lon_deg=132 |lon_min=28.7 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 海見山-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=32.7 |lon_deg=132 |lon_min=31.8 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 三入-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=23.9 |lon_deg=132 |lon_min=27.7 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 広島-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=14.4 |lon_deg=132 |lon_min=33.0 |mark=Red_pog.svg|marksize=14}}<!-- 呉-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=5.5 |lon_deg=132 |lon_min=29.9 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 倉橋-->
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{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=29.9 |lon_deg=132 |lon_min=39.6 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 志和-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=41.7 |lon_deg=132 |lon_min=45.6 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 甲田-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=48.3 |lon_deg=132 |lon_min=36.9 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 犬伏山-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=55.3 |lon_deg=132 |lon_min=48.9 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 安田山-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=48.7 |lon_deg=132 |lon_min=51.0 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 三次-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=28.1 |lon_deg=132 |lon_min=53.6 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 河内-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=33.7 |lon_deg=133 |lon_min=13.9 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 府中-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=35 |lat_min=3.4 |lon_deg=133 |lon_min=11.3 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 道後山-->
<!-- 県資料-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=24.3 |lon_deg=132 |lon_min=21.3 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 八幡川橋-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=29.5 |lon_deg=132 |lon_min=21.8 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 戸山-->
|caption=15-16時台。
}}
|-
||
{{Location map+
|Japan Hiroshima
|width=200
|float=left
|places=
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=36.4 |lon_deg=132 |lon_min=28.7 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 海見山-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=14.4 |lon_deg=132 |lon_min=33.0 |mark=Red_pog.svg|marksize=14}}<!-- 呉-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=5.5 |lon_deg=132 |lon_min=29.9 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 倉橋-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=25.0 |lon_deg=132 |lon_min=42.0 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 東広島-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=29.9 |lon_deg=132 |lon_min=39.6 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 志和-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=41.7 |lon_deg=132 |lon_min=45.6 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 甲田-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=48.3 |lon_deg=132 |lon_min=36.9 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 犬伏山-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=55.3 |lon_deg=132 |lon_min=48.9 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 安田山-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=35 |lat_min=2.0 |lon_deg=132 |lon_min=54.1 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 高野-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=51.6 |lon_deg=133 |lon_min=1.4 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 庄原-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=48.7 |lon_deg=132 |lon_min=51.0 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 三次-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=28.1 |lon_deg=132 |lon_min=53.6 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 河内-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=41.6 |lon_deg=133 |lon_min=7.0 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 上下-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=45.8 |lon_deg=133 |lon_min=16.7 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 油木-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=53.7 |lon_deg=133 |lon_min=16.6 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 東城-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=35 |lat_min=3.4 |lon_deg=133 |lon_min=11.3 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 道後山-->
|caption=16-17時台。
}}
||
{{Location map+
|Japan Hiroshima
|width=200
|float=left
|places=
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=14.4 |lon_deg=132 |lon_min=33.0 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 呉-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=10.9 |lon_deg=132 |lon_min=49.8 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 久比-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=25.0 |lon_deg=132 |lon_min=42.0 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 東広島-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=29.9 |lon_deg=132 |lon_min=39.6 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 志和-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=51.6 |lon_deg=133 |lon_min=1.4 |mark=Yellow_pog.svg|marksize=6}}<!-- 庄原-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=35.0 |lon_deg=133 |lon_min=3.0 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 世羅-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=28.1 |lon_deg=132 |lon_min=53.6 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 河内-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=19.8 |lon_deg=132 |lon_min=58.9 |mark=Orange_pog.svg|marksize=10}}<!-- 竹原-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=33.7 |lon_deg=133 |lon_min=13.9 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 府中-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=41.6 |lon_deg=133 |lon_min=7.0 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 上下-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=45.8 |lon_deg=133 |lon_min=16.7 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 油木-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=34 |lat_min=53.7 |lon_deg=133 |lon_min=16.6 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 東城-->
{{Location map~|Japan Hiroshima|lat_deg=35 |lat_min=3.4 |lon_deg=133 |lon_min=11.3 |mark=Green_pog.svg|marksize=8}}<!-- 道後山-->
|caption=17-18時台。
}}
||
|}
{{Vertical_images_list
|幅= 200px
|枠幅=200px
| 1=庭土に使われる予定の真砂土P3304267.JPG| 2=園芸用に用いられるマサ土。今回の土砂災害の原因でもある。
| 3=Kannondai, Saeki-ku, Hiroshima 1988.jpg| 4=土砂災害が発生した場所の一つ(1988年当時の写真で宅地造成途中)<ref>{{国土航空写真}}</ref>。写真中央左から住宅地に流れる渓流で1999年土石流が発生した。
| 5=Kochi Kominkan Sekihi 2013.07.27.JPG| 6=河内公民館の敷地内に建立された「災害記録の碑」
}}

=== 要因 ===
広島での災害の特異点は、局所的に短期間で豪雨が降ったことにより発生した土砂災害である。

'''地理的要因'''
* 中国地方の特徴的な地質の一つに、「[[真砂土|マサ土]]」が挙げられる<ref name="cgeo">{{Cite web|publisher=中国地質調査業協会|url=http://www.chugoku-geo.or.jp/geology/chugoku/001|title=花崗岩の風化|accessdate=2014-10-15}}</ref>。これはこの地方に広く分布する[[花崗岩]]が[[風化]]して堆積した地層であり、崩れやすく崖崩れや土石流の原因となる<ref name="cgeo" />。
* 今回大きな被害を出した2地域は土地事情により住宅地近くに急傾斜が多い<ref name="isad" />。
** 広島市は、[[太田川]]が形成した三角州の狭い平野に発展した都市で周囲は山地で囲まれている。そのため住宅地を確保するため平野部をギリギリまで土地開発している<ref name="isad">{{Cite web|publisher=消防科学総合センター|url=http://www.isad.or.jp/cgi-bin/hp/index.cgi?ac1=IB17&ac2=69summer&ac3=1845&Page=hpd_view|title=4.土砂災害から身を守るために|accessdate=2014-10-15}}</ref>。
** 呉市は、明治以降[[呉鎮守府]]が開所したことにより発展した、[[入り江]]に形成された[[港湾都市]]であり、狭い平野の背後にすぐ山地が迫っている<ref>{{Cite web|author=宮村忠|publisher=日本損害保険協会|url=http://www.sonpo.or.jp/archive/publish/bousai/jiho/pdf/no_245/yj24542.pdf|format=PDF|title=日本の水害史と堤防|accessdate=2014-10-15}}</ref>。
* [[治山]]不備
** 土砂災害が起こった山では森林の保全に問題があり、樹木の土壌緊張力によって土砂を繋ぎ止める事ができず、土砂と一緒になって流出したことによりより被害を拡大してしまった<ref name="geochs" /><ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-16|url=http://web.archive.org/web/20080506214056/http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99071635.html|title=団地が危ない 6・29豪雨災害(中)|accessdate=2014-10-15}}</ref>。
** 治山弱体化については[[マツ材線虫病|マツ枯れ]]が原因との説もあるが<ref name="halex20140627-3571" />、当該地にそこまで多くなかったためマツ枯れが土石流の原因になったとはいいきれない<ref name="geochs" />。

つまり、急傾斜地に崩れやすい性質を持った土が存在していたこと、森林保全の不備により治山が不十分だったこと、比較的小規模な土石災害ながら高速ですぐ近くの住宅地を襲ったこと、が被害が多数でた原因となった<ref name="isad" /><ref name="geochs">{{Cite web|publisher=日本地すべり学会|url=http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/hiroshima/honbun7.htm|title=平成11年6月広島豪雨災害緊急調査団現地調査結果|accessdate=2014-10-15}}</ref><ref name="jseceS101">{{Cite journal |和書 |author=海堀正博|publisher=砂防学会|journal=平成24年度砂防学会研究発表会概要集|url=http://www.jsece.or.jp/event/conf/abstruct/2009/pdf/03_organized/S101.pdf|format=PDF|title=6.29 土砂災害の概要と減災への課題|accessdate=2014-10-15}}</ref>。

'''人的要因'''

平日昼間の住宅地に発生した災害でありながら被害が拡大した要因は、人的なものが大きい。
* 広島県西部での100人以上の死者・行方不明者を出した豪雨災害は1967年[[昭和42年7月豪雨]]を最後に30年近く、死者・行方不明者を出した豪雨災害は1988年[[昭和63年7月豪雨]]を最後に10年近く起こっていなかったこと、更に災害現場付近の住民はそれ以前同様の災害に遭遇していなかったことから、当時の土砂災害に対する危機管理の低かったため住民のみならず行政対応が後手に回る一因となった<ref name="jseceS101" /><ref name="isad" />。
* 比較的離れた2箇所で局地的に時間差で特異な災害が発生したため、行政の対応が遅れた部分もある<ref name="chugokukensyo1">{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-06-29|url=http://web.archive.org/web/20041206011045/http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/kensyou/kensyo1.html|title=2時間で一気に被災|accessdate=2014-10-15}}</ref>。

=== 被害状況 ===
広島県内での土砂災害は、土石流が139箇所、がけ崩れが186箇所<ref>{{Cite web|publisher=広島県砂防課|url=http://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/100/1171538334545.html|title=平成11年6・29豪雨災害(広島市・呉市)|accessdate=2014-10-15}}</ref>。当時広島県が指定していた土石流危険渓流や急傾斜地崩壊危険個所以外からも災害が発生している<ref name="chugokukensyo1" />。また広島では、流木が[[草津漁港]]を埋め尽くし、漁業に影響を与えている<ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-01|url=http://web.archive.org/web/20080316225340/http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99070133.html|title=広島湾に大量の流木 草津漁港マヒ|accessdate=2014-10-15}}</ref>。

昼間から夕方の災害で帰宅ラッシュ時と重なったため、JR[[山陽新幹線]]や在来線各駅・各バスなど交通機関で大混乱となった<ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-06-30|url=http://web.archive.org/web/20080316224502/http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn9906305.html|title=広島県内の交通機関、運休や遅れ相次ぐ|accessdate=2014-10-15}}</ref>。土砂災害により道路が分断され、復旧に時間を擁した<ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-06|url=http://web.archive.org/web/20080316224502/http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn9906305.html|title=広島県内で依然、国道など40ヵ所全面通行止め|accessdate=2014-10-15}}</ref>。

広島における死者・行方不明者32人のうち、広島市西部を中心とした豪雨では20人、呉市を中心とした豪雨では12人。平日昼間であったことから60歳以上が20人、つまり全体の6割にまで達している<ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-01|url=http://web.archive.org/web/20080316224507/http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99070101.html|title=被害拡大 死者26人不明なお9人/中国地方|accessdate=2014-10-15}}</ref><ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-02|url=http://web.archive.org/web/20080316225344/http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99070201.html|title=新たに1遺体収容 広島市安佐北区亀山|accessdate=2014-10-15}}</ref>。

当初は広島市・呉市のみに被災者生活再建支援法が適用されていたが<ref>{{Cite web|publisher=中国新聞|date=1999-07-02|url=http://web.archive.org/web/20080316224518/http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/Tn99070202.html|title=広島市と呉市に被災者生活再建支援法を初適用|accessdate=2014-10-15}}</ref>、後に広島県全域にまで拡大している<ref name="chugoku19990705" />。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|2}}
{{Reflist}}

== 参考資料 ==
* {{Cite web|publisher=損害保険料率算出機構|url=http://www.giroj.or.jp/disclosure/risk/riskno53.pdf|format=PDF|title=平成11年6月末から8月にかけての風水害の概要|accessdate=2013-07-20}}
* {{Cite web|publisher=国土交通省中国地方整備局|url=http://www.cgr.mlit.go.jp/ootagawa/bousai/saigai/saigai_c20.htm|title=1999年6月23日〜7月3日/梅雨前線豪雨による土砂災害|accessdate=2013-07-20}}
* {{Cite journal |和書 |author=楠田哲也|publisher=土木学会|journal=土木学会誌|date =1999|volume=11|issue =4|url=http://www.jsce.or.jp/journal/thismonth/ar991104.pdf|format=PDF|title=1999. 6. 29 福岡豪雨|accessdate=2013-07-20}}
* {{Cite journal |和書 |author=井上和也|publisher=京都大学防災研究所|url=http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/web_j/kyodo/kyodo12/12s-2/pdfile/inoue.pdf|format=PDF|title=地下空間での水害|accessdate=2013-07-20}}
* [http://www.chugoku-np.co.jp/News/990629_gouu/990629_gouu.html 6.29豪雨] - 中国新聞


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[気象学・気候学に関する記事の一覧]]
* [[気象学・気候学に関する記事の一覧]]
* [[玄倉川水難事故]] - 同年8月に起きた豪雨絡みの水難事故。
* [[玄倉川水難事故]] - 同年8月に起きた豪雨絡みの水難事故。
* [[広島土砂災害]] - 2014年8月に起きた都市型土砂災害。
* [[広島土砂災害]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://www.disaster-i.net/disaster/199906d/ 1999年6月梅雨前線豪雨災害-1999年広島豪雨・福岡豪雨- 研究関連情報]
* [http://www.disaster-i.net/disaster/199906d/ 1999年6月梅雨前線豪雨災害-1999年広島豪雨・福岡豪雨- 研究関連情報]
* 写真で見る平成11年6.29豪雨災害 - 広島県砂防課
** [http://www.sabo.pref.hiroshima.lg.jp/portal/sonota/sabo/photolist_doseki.htm 土石流災害編]
** [http://www.sabo.pref.hiroshima.lg.jp/portal/sonota/sabo/photolist_gake.htm がけ崩れ災害編]
** [http://www.sabo.pref.hiroshima.lg.jp/portal/sonota/sabo/photolist_kasenn.htm その他災害編]


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2014年10月20日 (月) 13:06時点における版

6.29豪雨災害
発災日時 1999年6月23日から7月3日
(特に6月29日
被災地域 日本の旗 全国
災害の気象要因 梅雨低気圧
気象記録
最多雨量 高知県長岡郡本山町で341 mm
最多時間雨量 福岡県糟屋郡篠栗町で100 mm
人的被害
死者
38人
行方不明者
1人
負傷者
78人
建物等被害
全壊
127棟
半壊
98棟
一部損壊
518棟
床上浸水
3,701棟
床下浸水
16,368棟
災害救助法
適用市区町村
広島県広島市呉市
福岡県福岡市
出典: 気象庁資料および消防白書[1]
テンプレートを表示
6.29豪雨災害の位置
本山町
本山町
福岡市
福岡市
篠栗町
篠栗町
広島市
広島市
呉市
呉市
6.29豪雨災害 (日本)

6.29豪雨災害(6.29ごううさいがい)とは、1999年平成11年)6月29日(火曜日)に発生した水害(豪雨災害)。

気象庁では「梅雨前線、低気圧 平成11年(1999年)6月23日~7月3日」として分類[1]、災害の起こった年から「平成11年6月豪雨」、あるいは特に被害が顕著だった広島県福岡県の名をとって「◯◯広島豪雨」「◯◯福岡豪雨」などで呼ばれている。

概要

1999年は梅雨や台風により各地で災害が起こっており、その中でこの災害はこの年の代表的な災害となった[2]

活発化した梅雨前線の東上に伴い1999年6月23日から7月3日にかけて西日本から北日本の広い範囲で降雨し、各地で豪雨となった[2][3]。特に6月29日には、北部九州から中部地方にかけて局地的に時間あたり100mmの降水量を計測し、28府県で被害が発生し浸水災害や土砂災害土石流がけ崩れ)を引き起こした[2][3]

その中でも、6月29日午前に福岡県福岡市で、同日午後に広島県広島市呉市で、集中豪雨により比較的規模の大きい災害が発生し災害救助法が適用された[2]。この2つのケースは当時新しい都市型災害として注目された。福岡ではJR博多駅が水浸しとなり都市機能が麻痺し典型的な都市型水害の被災例となり[2]、広島では新興住宅地で土石流が発生し都市型土砂災害と呼ばれた[3]

1998年5月施行の被災者生活再建支援法の初適用事例(広島県全域)[2][4]。また広島での土砂災害を機に土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)が制定された[5]

降水

6月23日から7月3日までの
各地方気象官署で観測された降水量(mm)[6]
期間 1日 1時間
日付 時刻
広尾 北海道広尾町 215.5 154.0 01 25.0 01/07:41
大船渡 岩手県大船渡市 260.5 108.0 30 17.5 30/18:45
仙台 仙台市宮城野区 194.0 107.0 30 18.0 03/23:04
福島 福島県福島市 177.0 116.0 30 14.5 30/08:28
白河 福島県白河市 197.5 119.5 30 19.5 30/11:35
小名浜 福島県いわき市 195.5 111.5 30 28.0 30/04:37
宇都宮 栃木県宇都宮市 202.5 110.0 30 20.0 30/10:42
日光 栃木県日光市 233.5 109.0 30 17.0 30/09:13
伊良湖 愛知県渥美町 292.0 107.0 29 43.5 29/21:46
尾鷲 三重県尾鷲市 576.0 261.5 29 86.5 29/22:03
京都 京都市中京区 447.0 117.0 27 69.0 30/00:40
舞鶴 京都府舞鶴市 219.5 115.0 29 43.0 29/23:15
神戸 神戸市中央区 362.0 179.5 29 45.0 29/18:00
洲本 兵庫県洲本市 396.0 205.5 29 39.5 29/14:40
津山 岡山県津山市 243.0 105.5 29 32.0 29/10:59
広島県呉市 446.5 186.0 29 73.5 29/16:50
松江 島根県松江市 271.0 100.0 29 19.0 03/01:10
浜田 島根県浜田市 344.0 146.0 29 41.5 29/14:50
高知 高知県高知市 404.0 206.5 29 99.5 29/09:30
山口 山口県山口市 342.0 103.0 29 31.0 29/10:55
下関 山口県下関市 400.5 139.5 29 35.5 29/11:06
山口県萩市 432.5 204.0 29 58.5 29/06:07
福岡 福岡市中央区 391.0 153.5 29 79.5 29/08:43
飯塚 福岡県飯塚市 496.0 165.5 29 62.0 29/10:06
日田 大分県日田市 535.5 170.5 24 45.5 29/11:32
厳原 長崎県厳原町 520.5 153.0 02 63.0 29/01:03
平戸 長崎県平戸市 566.0 180.5 26 55.0 29/06:37
佐世保 長崎県佐世保市 503.5 133.5 26 39.5 02/13:48
福江 長崎県福江市 654.0 231.5 26 71.0 02/10:53
佐賀 佐賀県佐賀市 481.0 115.5 02 55.5 29/09:33
阿蘇山 熊本県白水村 638.5 155.5 24 41.0 24/14:14
都城 宮崎県都城市 392.5 119.5 03 59.0 03/06:53
鹿児島 鹿児島県鹿児島市 388.5 158.0 23 38.5 03/06:28
枕崎 鹿児島県枕崎市 292.5 112.0 28 41.5 03/06:03

大まかな流れは以下のとおり[7]

  • この期間中、梅雨前線によりほぼ全国的に雨が降った。その中で低気圧の影響で局地的に大雨が降った。
  • 6月
    • 23日 - 長江下流にあった低気圧が梅雨前線を伴って北上し朝鮮半島に到達、南九州を中心に大雨
    • 24日 - 低気圧は更に北東方向に進み、日本海西部から北海道に達し、九州北部から西日本全域・甲信地方と北海道で大雨。
    • 25日 - 低気圧は更に進み、千島列島の東海上に停滞し、九州から近畿南部にかけて大雨。北海道では暴風となった。
    • 26日 - 前線上の九州西海上に低気圧が発生し、北部九州と中国地方西部で大雨となった。
    • 27日 - その低気圧が瀬戸内海から三陸沖へと進み、局所的に大雨。
    • 28日 - 三陸沖の低気圧が東に進んで停滞、前線は日本南岸に停滞し、南九州で雨。
    • 29日 - 対馬海峡にあった新たな低気圧が山陰地方沖へと進み、南九州から中部地方にかけて大雨。
    • 30日 - その低気圧が日本海中部へ進み、近畿地方から東北地方にかけて大雨。
  • 7月
    • 01日 - その低気圧が東北地方へ進み、中部地方と九州の一部で大雨。
    • 02日 - 低気圧は日本海北部に停滞する一方で、別の低気圧が対馬海峡から東へ進み、九州から四国の一部で大雨。
    • 03日 - 低気圧は日本海西部から東北方向に進み、南九州と中部地方で大雨。

アメダス観測地点での1日降水量記録は6月24日釈迦岳での386mm、1時間降水量記録は6月29日福岡篠栗町での09時-10時の100mm[8]

右表に、この期間内での降水量記録を表記する。全国的に雨が降っている中で、6月29日と30日の降水量が多かったことがわかる。1時間降水量で見ると、尾鷲・高知で80mm以上のいわゆる息苦しくなるような圧迫感がある”猛烈な雨”が、京都・呉・萩・福岡・飯塚・厳原・平戸・福江・佐賀・都城で50mm以上のいわゆる滝のように降る”非常に激しい雨”が観測されている。

以下、右表を参照し、最大1時間降水量を6月29日に記録した地方気象官署とその時間帯の分布を示す。図が示す通り、29日の西日本ではほぼ午前中に強い雨が降り、近畿地方以西は夕方から夜にかけて強い雨が降っている。

6.29豪雨災害の位置
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6月29日最大1時間降水量分布。色は観測した時間帯を示し、赤が00時-03時、橙が04時-07時、黄が08時-11時、緑が12時-15時、青が16時-19時、黒が20時-23時。

被害

平成11年6月23日から7月3日の梅雨前線、低気圧による被害状況(防災白書参照)[9]
人的(人) 住宅(棟)
死者 行方不明 重傷者 軽傷者 全壊 半壊 一部損壊 床上浸水 床下浸水
北海道 1
東北 岩手 1
宮城 2 53
福島 18
関東 茨城 2 2 7
栃木 1
中部 石川 1 1 1
福井 2 1 1
山梨 1
長野 1 5 28 483
岐阜 2 3 10 28 213
静岡 12 2 33
愛知 1 7 117 609
三重 7 48
近畿 滋賀 2 2 91
京都 1 1 3 25 145 1,868
大阪 2 101 1,323
兵庫 1 7 14 14 316 1,221
奈良 1 1 1 236
和歌山 1 4
中国 鳥取 3
島根 1 4 16 121
岡山 1 1 6 31
広島 31 1 22 37 101 68 303 1,302 2,723
山口 1 1 1 1 21 33 563
四国 徳島 4 64 484
愛媛 1 6 43
高知 200 724
九州 大分 6
福岡 2 3 3 7 6 27 1,273 4,890
佐賀 1 8 8 278
長崎 1 1 6 3 58 48 265
熊本 1 3 27
死者 行方不明 重傷者 軽傷者 全壊 半壊 一部損壊 床上浸水 床下浸水
38 1 28 50 127 98 518 3,701 16,368

以下、特に顕著な被害が発生した福岡県と広島県について記載する。

福岡

降水状況

6月29日朝、寒冷前線を伴った低気圧が九州北部に到達、この時に南東側に前線に沿って活発な積乱雲が並んで発生しており(バックビルディング)、これら積乱雲列が福岡を通過したことにより局地的に豪雨が発生した[10]。ピークは08時から09時台で各市町村で激しく降ったのが2時間以内、つまり08時から10時の間に起こった[10]

最多1時間降水量は篠栗町08時-09時台の100mm[11]。他、太宰府市09-10時台で77mm、飯塚市09-10時台で59mm[11]。福岡市では、07時からの3時間降水量126mm、08-09時台の1時間降水量77mm[10]。なお篠栗と福岡は約12kmしか離れていないにもかかわらず総雨量は50mm近く違っている[10]

6月29日の時間降水量分布。観測値は気象庁/過去の気象データ検索より。黒が80mm以上(強烈な雨)、赤が50mm以上(非常に激しい雨)、橙が30mm以上(激しい雨)、緑が20mm以上(強い雨)、黄が10mm以上(やや強い雨)、それ以下のものは省略する。
6.29豪雨災害の位置(福岡県内)
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
07-08時台。
6.29豪雨災害の位置(福岡県内)
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
08-09時台。
6.29豪雨災害の位置(福岡県内)
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
09-10時台。
6.29豪雨災害の位置(福岡県内)
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
10-11時台。
博多駅前広場。この豪雨により全面的に浸水した。
博多駅前広場。この豪雨により全面的に浸水した。
御笠川。
御笠川。
天神地下街。当時内水氾濫のため水浸しとなった。
天神地下街。当時内水氾濫のため水浸しとなった。

要因・状況

この福岡での豪雨災害は洪水災害や土砂災害が発生したが[10]、特異点は福岡市中心部での地下空間への浸水である[12]

  • 元々この地方では6月23日からの梅雨前線による雨が降り続いており、土中の保水力は飽和状態になっていたところへ、短期的な集中豪雨が襲ったことにより土中に吸収されることなく表層に留まっていた[10]
  • 当日の博多湾大潮で満潮は09時34分であった[12]。ほぼ同時刻に福岡市中心部で短期間で記録的な豪雨が発生したことにより、御笠川水系御笠川や御笠川水系諸岡川多々良川水系須恵川など福岡市近辺を流れる河川の水位を押上げ外水氾濫を出した[12][13]
  • 当時の福岡市内の下水道は時間雨量最大52mmで処理するよう設計されていたため排水処理が追いつかず、内水氾濫も引き起こした[11]

この短時間で発生した豪雨によって外水氾濫と内水氾濫が同時に起こったことにより、JR博多駅周辺の地下鉄博多駅や博多駅地下街天神地下街をはじめ周辺のビル地下は浸水した[12][11]。なお博多駅周辺は凹地形つまり明らかに地盤が低く水が溜まりやすかったことも災いした[11]

天神地下街では8時ごろから浸水が始まり、天井から雨漏りが起こっている[11]

博多駅では10時30分ごろから浸水が始まった。レールが冠水したため12時5分から15時45分まで一部路線を運休し排水処理を行なっている[11]。交通は麻痺し、地下の最下層に受電施設を置くビルが多かったため、停電を起こし機能停止に陥った[12]

博多駅周辺で地下空間のある182棟のうち、地下に浸水した建物が71棟、そのうち1m以上浸水が29棟、完全水没10棟[12]。死者は1人出したが博多駅東2丁目のビルの地下で溺死したもので、そのビルは小規模なものだったため階段・地下駐車場入り口・換気口から水が入り、消防隊が駆けつけた11時24分時点で天井付近まで流入していた[12][11]

広島

降水状況

6月29日午前中に福岡で雨を降らせた低気圧は梅雨前線を伴って北上し、午後には山陰沖に停滞し前線も中国地方に停滞した[14]。そこに南から暖湿流が流れこんだことにより梅雨前線が活発となり、局地的な豪雨が発生した[14]。この豪雨は29日午後の長くても約2時間程度の集中的に降っており、まず13時から16時に広島市佐伯区から安佐北区の範囲で、15時から17時に呉市を中心として豪雨となった[14][15]。特徴的なのが広島市の降雨域で、広島湾の西側の山々に沿って細長く伸びている[14]

最大1時間降水量は、広島市佐伯区五日市町の八幡川橋(日本道路公団観測点)14時-15時台の81mm、呉市(アメダス)15時50分-16時50分の73mm[15]。この2箇所を時間降水量60mmから80mmの雨量が降っている[14]。他特異な記録として、戸山(安佐南区/県観測点)の2時間降水量14時-16時で63mmなど[15]。なおこれら広島市の降水量の特異点がアメダス観測点のものではないのは、局地的な豪雨だったため記録できなかったためである[16]

6月29日の時間降水量分布。観測値は気象庁/過去の気象データ検索と、広島県資料[17]より。黒が80mm以上(強烈な雨)、赤が50mm以上(非常に激しい雨)、橙が30mm以上(激しい雨)、緑が20mm以上(強い雨)、黄が10mm以上(やや強い雨)、それ以下のものは省略する。
6.29豪雨災害の位置(広島県内)
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
13-14時台。
6.29豪雨災害の位置(広島県内)
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
14-15時台。
6.29豪雨災害の位置(広島県内)
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
15-16時台。
6.29豪雨災害の位置(広島県内)
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
16-17時台。
6.29豪雨災害の位置(広島県内)
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
6.29豪雨災害
17-18時台。
園芸用に用いられるマサ土。今回の土砂災害の原因でもある。
園芸用に用いられるマサ土。今回の土砂災害の原因でもある。
土砂災害が発生した場所の一つ(1988年当時の写真で宅地造成途中)[18]。写真中央左から住宅地に流れる渓流で1999年土石流が発生した。
土砂災害が発生した場所の一つ(1988年当時の写真で宅地造成途中)[18]。写真中央左から住宅地に流れる渓流で1999年土石流が発生した。
河内公民館の敷地内に建立された「災害記録の碑」
河内公民館の敷地内に建立された「災害記録の碑」

要因

広島での災害の特異点は、局所的に短期間で豪雨が降ったことにより発生した土砂災害である。

地理的要因

  • 中国地方の特徴的な地質の一つに、「マサ土」が挙げられる[19]。これはこの地方に広く分布する花崗岩風化して堆積した地層であり、崩れやすく崖崩れや土石流の原因となる[19]
  • 今回大きな被害を出した2地域は土地事情により住宅地近くに急傾斜が多い[20]
    • 広島市は、太田川が形成した三角州の狭い平野に発展した都市で周囲は山地で囲まれている。そのため住宅地を確保するため平野部をギリギリまで土地開発している[20]
    • 呉市は、明治以降呉鎮守府が開所したことにより発展した、入り江に形成された港湾都市であり、狭い平野の背後にすぐ山地が迫っている[21]
  • 治山不備
    • 土砂災害が起こった山では森林の保全に問題があり、樹木の土壌緊張力によって土砂を繋ぎ止める事ができず、土砂と一緒になって流出したことによりより被害を拡大してしまった[22][23]
    • 治山弱体化についてはマツ枯れが原因との説もあるが[14]、当該地にそこまで多くなかったためマツ枯れが土石流の原因になったとはいいきれない[22]

つまり、急傾斜地に崩れやすい性質を持った土が存在していたこと、森林保全の不備により治山が不十分だったこと、比較的小規模な土石災害ながら高速ですぐ近くの住宅地を襲ったこと、が被害が多数でた原因となった[20][22][16]

人的要因

平日昼間の住宅地に発生した災害でありながら被害が拡大した要因は、人的なものが大きい。

  • 広島県西部での100人以上の死者・行方不明者を出した豪雨災害は1967年昭和42年7月豪雨を最後に30年近く、死者・行方不明者を出した豪雨災害は1988年昭和63年7月豪雨を最後に10年近く起こっていなかったこと、更に災害現場付近の住民はそれ以前同様の災害に遭遇していなかったことから、当時の土砂災害に対する危機管理の低かったため住民のみならず行政対応が後手に回る一因となった[16][20]
  • 比較的離れた2箇所で局地的に時間差で特異な災害が発生したため、行政の対応が遅れた部分もある[24]

被害状況

広島県内での土砂災害は、土石流が139箇所、がけ崩れが186箇所[25]。当時広島県が指定していた土石流危険渓流や急傾斜地崩壊危険個所以外からも災害が発生している[24]。また広島では、流木が草津漁港を埋め尽くし、漁業に影響を与えている[26]

昼間から夕方の災害で帰宅ラッシュ時と重なったため、JR山陽新幹線や在来線各駅・各バスなど交通機関で大混乱となった[27]。土砂災害により道路が分断され、復旧に時間を擁した[28]

広島における死者・行方不明者32人のうち、広島市西部を中心とした豪雨では20人、呉市を中心とした豪雨では12人。平日昼間であったことから60歳以上が20人、つまり全体の6割にまで達している[29][30]

当初は広島市・呉市のみに被災者生活再建支援法が適用されていたが[31]、後に広島県全域にまで拡大している[4]

脚注

  1. ^ a b 梅雨前線、低気圧 平成11年(1999年)6月23日~7月3日”. 気象庁. 2014年10月15日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 平成11年6月末から8月にかけての風水害の概要” (PDF). 損害保険料率算出機構. 2014年10月15日閲覧。
  3. ^ a b c 1999年6月23日〜7月3日/梅雨前線豪雨による土砂災害”. 国土交通省中国地方整備局. 2014年10月15日閲覧。
  4. ^ a b 「被災者支援法」が広島県内全域に拡大”. 中国新聞 (1999年7月5日). 2014年10月15日閲覧。
  5. ^ 土砂災害防止法 よくある質問”. 京都府. 2014年10月15日閲覧。
  6. ^ 降水量表”. 気象庁. 2014年10月15日閲覧。
  7. ^ 日々の概況”. 気象庁. 2014年10月15日閲覧。
  8. ^ アメダスでの観測値”. 気象庁. 2014年10月15日閲覧。
  9. ^ 被害状況”. 気象庁. 2014年10月15日閲覧。
  10. ^ a b c d e f 平成11年(1999年)6月29日 博多駅前水没”. ハレックス. 2014年10月15日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g h 井上和也「地下空間での水害」(PDF)、京都大学防災研究所、2014年10月15日閲覧 
  12. ^ a b c d e f g 楠田哲也「1999. 6. 29 福岡豪雨」(PDF)『土木学会誌』第11巻第4号、土木学会、1999年、2014年10月15日閲覧 
  13. ^ 6月末梅雨前線豪雨1999年6月29日福岡災害(1999.6.29福岡災害)”. 東京大学大学院情報学環・学際情報学府web. 2014年10月15日閲覧。
  14. ^ a b c d e f 平成11年(1999年)6月29日 広島で土砂災害頻発”. ハレックス. 2014年10月15日閲覧。
  15. ^ a b c 平成11年6月 豪雨 (最大時間雨量81.0mm,死者・行方不明者32人)”. 広島県. 2014年10月15日閲覧。
  16. ^ a b c 海堀正博「6.29 土砂災害の概要と減災への課題」(PDF)『平成24年度砂防学会研究発表会概要集』、砂防学会、2014年10月15日閲覧 
  17. ^ 6.29災害速報版パンフレット(PDF)” (PDF). 広島県. 2014年10月15日閲覧。
  18. ^ 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
  19. ^ a b 花崗岩の風化”. 中国地質調査業協会. 2014年10月15日閲覧。
  20. ^ a b c d 4.土砂災害から身を守るために”. 消防科学総合センター. 2014年10月15日閲覧。
  21. ^ 宮村忠. “日本の水害史と堤防” (PDF). 日本損害保険協会. 2014年10月15日閲覧。
  22. ^ a b c 平成11年6月広島豪雨災害緊急調査団現地調査結果”. 日本地すべり学会. 2014年10月15日閲覧。
  23. ^ 団地が危ない 6・29豪雨災害(中)”. 中国新聞 (1999年7月16日). 2014年10月15日閲覧。
  24. ^ a b 2時間で一気に被災”. 中国新聞 (1999年6月29日). 2014年10月15日閲覧。
  25. ^ 平成11年6・29豪雨災害(広島市・呉市)”. 広島県砂防課. 2014年10月15日閲覧。
  26. ^ 広島湾に大量の流木 草津漁港マヒ”. 中国新聞 (1999年7月1日). 2014年10月15日閲覧。
  27. ^ 広島県内の交通機関、運休や遅れ相次ぐ”. 中国新聞 (1999年6月30日). 2014年10月15日閲覧。
  28. ^ 広島県内で依然、国道など40ヵ所全面通行止め”. 中国新聞 (1999年7月6日). 2014年10月15日閲覧。
  29. ^ 被害拡大 死者26人不明なお9人/中国地方”. 中国新聞 (1999年7月1日). 2014年10月15日閲覧。
  30. ^ 新たに1遺体収容 広島市安佐北区亀山”. 中国新聞 (1999年7月2日). 2014年10月15日閲覧。
  31. ^ 広島市と呉市に被災者生活再建支援法を初適用”. 中国新聞 (1999年7月2日). 2014年10月15日閲覧。

関連項目

外部リンク