「難民認定」の版間の差分

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{{改名提案|日本の難民認定問題|date=2015年5月}}
'''難民認定''' (なんみんにんてい) とは、ある国において当該国の政府から居住許可を得ていない人物(当該国にとって外国人)を本国に帰還させた場合、[[人種]]、[[宗教]]、[[国籍]]、その他特定の社会的集団の構成員であることや、政治的意見を理由に迫害される大きな危機があると考えられる場合に当人を[[難民]]と認定して居住許可を与えるための手続・制度をいう。難民認定申請は当該(危機があると考えられる)本国から命からがら避難してきた人物が行う以外にも、すでにその「ある国」に正式な許可(就労・留学・婚姻など)を得て居住している人物が本国の政変・内乱などを理由として行うこともある。
'''難民認定''' (なんみんにんてい) とは、ある国において当該国の政府から居住許可を得ていない人物(当該国にとって外国人)を本国に帰還させた場合、[[人種]]、[[宗教]]、[[国籍]]、その他特定の社会的集団の構成員であることや、政治的意見を理由に迫害される大きな危機があると考えられる場合に当人を[[難民]]と認定して居住許可を与えるための手続・制度をいう。難民認定申請は当該(危機があると考えられる)本国から命からがら避難してきた人物が行う以外にも、すでにその「ある国」に正式な許可(就労・留学・婚姻など)を得て居住している人物が本国の政変・内乱などを理由として行うこともある。



2015年5月27日 (水) 14:03時点における版

難民認定 (なんみんにんてい) とは、ある国において当該国の政府から居住許可を得ていない人物(当該国にとって外国人)を本国に帰還させた場合、人種宗教国籍、その他特定の社会的集団の構成員であることや、政治的意見を理由に迫害される大きな危機があると考えられる場合に当人を難民と認定して居住許可を与えるための手続・制度をいう。難民認定申請は当該(危機があると考えられる)本国から命からがら避難してきた人物が行う以外にも、すでにその「ある国」に正式な許可(就労・留学・婚姻など)を得て居住している人物が本国の政変・内乱などを理由として行うこともある。

内容

本節では主として日本の制度について記述する。

難民認定の方法には2つある。1つ目は国内にいる難民認定申請者の中でいわゆる難民条約難民議定書上の難民該当性を有する者を難民と認定するというものである。2つ目は国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)が行っている第三国定住プログラムでリストアップされている難民について受け入れ枠を定めて難民と認定し、国内に入国させ保護するというものである(UNHCR認定者をマンデイト難民、あるいはマンデート難民と称する)。日本では後者については(過去に、インドシナ難民に限って時限的に行った実績はあるが、広く、どの国・地域の難民でも受け入れるという意味での広汎な受入れ対応は)行っていない。

2005年1月18日には、日本国政府はUNHCRが難民認定したクルド人トルコに強制送還した。マンデイト難民の強制送還は世界初であった。UNHCRは、日本の行為は「ルフールマン(迫害を受ける危険性のある領域に人を送り返すこと)」とする批判を行った[1]。日本の法務省は、入国管理局長の三浦正晴名義で、「難民ではない」とする反論を送った。東京高裁が、クルド人男性が迫害を受けたと主張した時期に、実際にはイギリスに難民申請のため出国していたことを重視し(この申請は却下)、「迫害の事実はなかった」とする判決を出したことを理由にしている[2]。しかし、マンデイト難民認定を無視するのは難民認定の基準を難民条約や難民議定書に求めた判例に反するという反論もある[3]

欧米諸国では難民の認定に積極的で多数の受入れ人数の実績をもつ国が多いが、それに比べて、日本は受入れ人数の実績が少ないことから、「閉鎖的」、「反人権的」、「グローバル時代に逆行する」などの批判がある。

具体的な難民受入れの人数はアメリカの3万人を筆頭に、2万人のドイツ、イギリス、1万人のカナダ、フランスが続くが[4]、日本の難民認定数は年間100人に満たない(法務省調べ)。


日本の法務省(入国管理局)は「日本の難民認定数が少ないのは申請数が少ないから」としている。一方、難民認定申請者側は「日本で難民認定申請しても受け入れられないので申請しないだけ」としている。一部の法学研究者らの見解は、「日本の難民法は手続きが非常に厳格で、実際に申請できる難民はほとんどいないという制度上の問題がある」としている(法学館Law Journal)。

これらの改善を図るため、日本では法務省入国管理局関係職員以外の学識経験者などが法務大臣の指定を受け「難民審査参与員」として難民認定手続の過程に関与する制度が設けられ、2005年5月から導入されている。

難民認定の件数

2005年の各国の難民認定のデータ
  ①難民認定申請数 ②難民認定者数 人道的な配慮による在留許可数 ①に対する②の比率(%)
日本 384 46 97 12.0
アメリカ 39240 19766 - 50.4
カナダ 20876 12061 - 57.8
オーストラリア 6353 1771 - 27.9
ニュージーランド 665 210 - 31.6
イギリス 52080 8435 2970 16.2
ドイツ 42,908 2,464 657 5.7
フランス 97,784 22,145 - 22.6
ベルギー 22,850 3,730 - 16.3
スペイン 5,254 238 123 4.5
ポルトガル 114 7 9 6.1
イタリア 9,346 907 4,375 9.7
オランダ 12,347 967 8,991 7.8
デンマーク 2,260 168 202 7.4
フィンランド 3,574 12 585 0.3
ノルウェー 5,402 567 1,913 10.5
アイルランド 8,551 556 - 6.5
スウェーデン 17,530 764 5,130 4.4
アイスランド 118 1(1955年以降) - 0

出典:UNHCRホームページ

上記の表によると、日本の庇護申請数より少ない国はポルトガル、アイスランドである。一方、日本より認定者数が少ない国はポルトガル、フィンランド、アイスランドである。2005年の難民認定申請数に対する同年に処理された認定者数の比率が日本より高い国はアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、フランス、ベルギーである。

脚注

  1. ^ "UNHCR、前例のない難民の強制送還に懸念" (Press release). 国連難民高等弁務官駐日地域事務所. 18 January 2005. 2009年10月27日閲覧
  2. ^ 三浦正晴 (2005年1月25日). “国連難民高等弁務官駐日地域事務所代表殿” (PDF). 法務省. 2009年10月27日閲覧。
  3. ^ 東京地方裁判所判決 2003年04月09日 、平成14(行ウ)116、『国家賠償等請求(追加的併合)事件』。
  4. ^ 安田修. “日本の永住権と国籍取得・在留特別許可・難民認定・子供の認知”. 海外移住情報. 2009年10月27日閲覧。

関連項目

外部リンク