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「ミネラルウォーター」の版間の差分

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{{独自研究|date=2011年3月}}
{{出典の明記|date=2011年3月}}
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[[Image:Stilles Mineralwasser.jpg|thumb|200px|ミネラルウォーター]]
[[Image:Stilles Mineralwasser.jpg|thumb|200px|ミネラルウォーター]]
'''ミネラルウォーター'''({{lang-en-short|mineral water}})あるいは'''鉱泉水'''(こうせんすい)とは、[[容器]]入り[[飲料水]]のうち、[[地下水]]を原水とするものを言う。


== 成分 ==
'''ミネラルウォーター'''(mineral water)とは、[[容器]]入り[[飲料水]]のうち、[[地下水]]を原水とするものを言う。
=== 軟水と硬水 ===
水に含まれるカルシウム塩とマグネシウム塩の量の指標([[硬度 (水)|硬度]])が一定水準より少ない場合を[[軟水]]、多い場合を[[硬水]]という。硬度は普通[[炭酸カルシウム]](CaCO<sub>3</sub>)含有量に近似して示され、[[厚生労働省]]ではその量が60mg/L以下の水を軟水、60~120mg/Lを中硬水、120~180mg/Lを硬水、180mg/L以上を超硬水と定義している<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000178391.pdf |title=清涼飲料水評価書 カルシウム・マグネシウム等(硬度) |page=10 |format=PDF |publisher=厚生労働省 食品安全委員会 |date=2017-04-25 |accessdate=2021-04-03}}</ref>。一般的に、[[日本]]国内で産出されるミネラルウォーターは軟水のものが多く、[[欧州]]で産出されるものには硬水が多い<ref name="pocket97" />。


一般的には硬水よりも軟水のほうが飲みやすいとされているが、美容目的などで硬水が選ばれることもある<ref name="pocket98">杉山美次『ポケット図解 最新水の雑学がよーくわかる本 第2版』[[秀和システム]]、2012年、98頁</ref>。ただし、[[マグネシウム]]含有量が高くなると苦みが強く飲みにくくなる<ref name="pocket98" />。
ヨーロッパでは古くより[[飲泉]]の習慣があったが、17世紀に[[イギリス]]の{{仮リンク|マルヴァーン|en|Malvern water}}の水を瓶につめて販売したのがミネラルウォーターのはじまりである。19世紀になると瓶詰めにかかるコストが軽減したことで、水道よりも安全な水として(20世紀以前の水道は塩素殺菌をしていなかった)普及した。


ミネラルウォーターという名称から、[[ミネラル]]([[無機物]])を多く含んだ[[飲料水]]であると思われがちだが、ミネラルウォーターに含有する程度のミネラルでは栄養補強には程遠い<ref name="pocket94" />。ミネラルウォーターには大豆や魚と比較してカリウムやマグネシウム、カルシウムといったミネラル分はほとんど含まれておらず、1日の基準摂取量を満たすには数十リットルから数百リットル飲む必要がある。基本的に水であるため、大量に摂取すれば摂取するほどに[[排泄|尿]]の量も増え、それに伴ってミネラル分も吸収した傍から排出される。また、[[水中毒]]の危険性があるため、推奨されない。ミネラル分は[[食事]]から摂取する必要がある。
日本では特に、原水の成分に無機塩添加などの調整を行っていないものは、'''ナチュラルウォーター'''・'''ナチュラルミネラルウォーター'''と呼ぶ。一方、原水が地下水でないものは、[[ボトルドウォーター]]と呼ぶ。これらの区分については、[[農林水産省]]がガイドラインを定めている。市販品では、各地の[[名水]]や大自然のイメージを前面に押し出しているものが多い。


== 成分 ==
=== 炭酸含有の有無 ===
[[欧米]]では、ミネラルウォーターの原料となる水に元々炭酸が含まれているものがあり、ミネラルウォーターといえば[[サンペレグリノ]]、[[ゲロルシュタイナー]]など[[炭酸水]]を指すことが多い<ref name="pocket96">杉山美次『ポケット図解 最新水の雑学がよーくわかる本 第2版』秀和システム、2012年、96頁</ref>。炭酸水を冷やさずに常温で飲むと独特の味わいになるため、日常的に炭酸水を飲む習慣がない[[日本人]]には馴染めないことがある。特に「ガスなし」と断らないと炭酸水が出てくることがある。
ミネラルウォーターとの名称から、[[ミネラル]]([[無機物]])を多く含んだ[[飲料水]]のことと思っている人も多いが、ミネラルウォーターにはミネラル成分の[[品質]]規定があるわけではない。ミネラルウォーターには大豆や魚と比較してカリウムやマグネシウム、カルシウムといったミネラル分はほとんど含まれておらず、1日の基準摂取量を満たすには数十リットルから数百リットル飲む必要がある。基本的に水であるため、大量に摂取すれば摂取するほどに[[排泄|尿]]の量も増え、それに伴ってミネラル分も吸収した傍から排出される。前提としてミネラル分はきちんと[[食事]]から摂取した方が良い。


「ガスなし」ミネラルウォーターには、サンペレグリノの無炭酸のように炭酸を抜く工程を加えたものや、[[エビアン (ミネラルウォーター)|エビアン]]のように元々炭酸を含まない水を利用したものなどがある。
=== 軟水と硬水 ===
水に含まれるカルシウム塩とマグネシウム塩の量の指標([[硬度 (水)|硬度]])が一定水準より少ない場合を[[軟水]]、多い場合を[[硬水]]という。一般的に、日本国内で産出されるミネラルウォーターは[[軟水]]のものが多く、欧州で産出されるものには[[硬水]]が多い。WHOの基準では、これらの塩類の量を[[炭酸カルシウム]]に換算したアメリカ硬度(mg/L)において、0~60のものを軟水、120~180のものを硬水、180以上のものを非常な硬水というように決められている。


無炭酸ミネラルウォーターをスティルウォーター(英: still water)、炭酸ミネラルウォーターをスパークリングウォーター(英: sparkling water)という。
{{要出典範囲|date=2015年3月|なお、日本では水道水よりも水質基準がゆるく([[ヒ素|砒素]]濃度が水道水の5倍まで認められるなど)、また水質検査間隔などの規制もゆるい。あくまで、飲料のみの用途を想定しているためであり、日常的に料理などに使用するのは基準の想定外である。安全性という点では、日本においては水道水に劣っている}}。


== ヨーロッパのミネラルウォーター ==
=== 炭酸含有の有無 ===
=== 歴史 ===
欧米では、ミネラルウォーターの原料となる水に元々炭酸が含まれているものがあり、ミネラルウォーターといえば[[炭酸水]]を指すことが多い(代表例:[[サンペレグリノ]]、[[ゲロルシュタイナー]])。炭酸水を冷やさずに常温で飲むと独特の味わいになるため、日常的に炭酸水を飲む習慣がない日本人には馴染めないことがある。特に「ガスなし」と断らないと炭酸水が出てくることがあるので注意すること。
ヨーロッパでは2000年以上も前から「奇跡の水」として湧き水を飲む[[飲泉]]の習慣があった<ref name="pocket95">杉山美次『ポケット図解 最新水の雑学がよーくわかる本 第2版』秀和システム、2012年、95頁</ref>。ヨーロッパには[[石灰岩]]地帯が多く、[[河川]]の水や[[地下水]]を利用する場合でも硬度が高いために上水道はあまり美味しくはなかった<ref name="pocket94">杉山美次『ポケット図解 最新水の雑学がよーくわかる本 第2版』秀和システム、2012年、94頁</ref>。そこで地下水の美味しい地域で採水した水が瓶詰めにした状態で販売されるようになった<ref name="pocket94" />。


[[17世紀]]に[[イギリス]]の{{仮リンク|マルヴァーン|en|Malvern water}}の水を[[瓶]]につめて販売したのがミネラルウォーターのはじまりである。[[19世紀]]になると瓶詰めにかかるコストが軽減したことで、20世紀以前の[[塩素殺菌]]をしていなかった水道よりも安全な水として普及した。
「ガスなし」ミネラルウォーターには、炭酸を抜く工程を加えたもの(例:[[サンペレグリノ]]の無炭酸)や、元々炭酸を含まない水を利用したもの(例:[[エビアン (ミネラルウォーター)|エビアン]])などがある。


=== 区分 ===
ミネラルウォーターをスティルウォーター(英: still water)、発泡ミネラルウォーターをスパークリングウォーター(英: sparkling water)という。
[[欧州連合]]の基準では、ナチュラルミネラルウォーター、スプリングウォーター、プロセスドウォーターに分類される。
* ナチュラルミネラルウォーター
** 公的組織の審査と承認を受けていること<ref name="pocket97">杉山美次『ポケット図解 最新水の雑学がよーくわかる本 第2版』秀和システム、2012年、97頁</ref>。
** 殺菌やミネラル分の調整などあらゆる人為的加工を行っていないこと<ref name="pocket97" />。
** 人体の健康に有益なミネラル分を一定量保持しており、科学的、医学的、または臨床学的に健康への好適性が証明されていること<ref name="pocket97" />。
** ミネラルのバランスが良く含有成分や水温などが安定していること<ref name="pocket97" />。
* スプリングウォーター
** 一か所の水源から直接採水して添加物を加えずにボトリングしたもの<ref name="pocket97" />。
* プロセスドウォーター
** 熱処理、ろ過、ミネラルの添加などを加えた加工水<ref name="pocket97" />。


ヨーロッパのナチュラルミネラルウォーターは、水源の環境保全や成分中の生菌の数などの厳格な基準による管理を行うことで無殺菌・無除菌で製造されており<ref name="pocket96" />、輸入品では殺菌方法に「無殺菌」と表示されている。
== 健康食品として ==
従来は、単に風味の良い水として販売されていたミネラルウォーターではあるが、近年において[[バナジウム]]が[[糖尿病]]抑制効果があるとして<ref>http://ee-job.com/19.html</ref>、このバナジウムを含む地下水が[[健康食品]]の一種として販売されている。なお、このバナジウムの糖尿病抑制効果には明確な裏付けがある訳ではなく、あくまでも「そのような説が発表された」という段階なのだが、早くも多くの中小の[[健康食品]]メーカーがこれらバナジウムを含む地下水の販売を行っている模様で、既に大手[[清涼飲料水]]メーカーの一部にもこれを扱う所が見られる。


=== 代表的な商品 ===
なお[[特保]]の認可を得ない限り、食品に効果の表示はできない。現在、ミネラルウォーターに特保の認可を受けた商品はなく、そのため「糖尿病抑制効果がある水」などと表示する商品は無い(表示すれば[[医薬品医療機器等法]]に抵触する)。
* [[エビアン (ミネラルウォーター)|エビアン]]([[フランス]]) - 日本では[[伊藤園|伊藤園・伊藤忠ミネラルウォーターズ]]が輸入販売
* [[ボルヴィック]](フランス) - 日本では[[キリンMCダノンウォーターズ]]が輸入、[[キリン (企業)|キリン]]が販売
* [[クリスタルガイザー]]([[アメリカ合衆国|アメリカ]])- [[大塚食品]]が販売
* [[ヴィッテル (ミネラルウォーター)|ヴィッテル]](フランス)
* [[サンペレグリノ]]([[イタリア]])
* [[コントレックス]](フランス) 


== 日本のミネラルウォーター ==
=== 機能水 ===
[[File:Nunobiki Kosenjo.jpg|thumb|[[明治]]32年(1899年)創業の布引鉱泉所<ref>[http://www.nunobiki.co.jp/info.htm 会社概要]株式会社布引礦泉所</ref>。[[神戸市]]の[[布引瀑布]]下に湧出する鉱泉を用いた炭酸水を販売<ref>『開国五十年史』開国五十年史発行所、1908年, p398</ref>。]]
医学的に効果が証明されていないので、[[特保]]の認可を得ているわけではないが、各社より健康に良い等の機能を謳った[[機能水]]が販売されている。[[アルカリイオン水]]などが有名である。


== 日本における歴史 ==
=== 歴史 ===
日本では、明治時代に[[宮内省]]が[[兵庫県]]多田村平野(現在の[[川西市]]平野3-23-1)の平野鉱泉を用いて炭酸水の御料工場を建てたことから始まった。その後、工場は[[三菱財閥]]に払い下げられ、[[炭酸泉]]を瓶に詰め、[[1884年]]『鉱泉 平野水』として発売、[[1885年]]に[[明治屋]]が権利を得て『三ツ矢印 平野水』としてそれ以外の地域にも発売したのが始まり。また炭酸を含まないものは、[[1929年]]に堀内合名会社(現 富士ミネラルウォーター株式会社)が山梨県下部(現 [[山梨県]][[南巨摩郡]][[身延町]][[下部町|下部]])の富士身延鉄道(現 [[東日本旅客鉄道|JR東海]] [[身延線]])の土地で湧出した水を『日本ヱビアン』(NIPPON EVIAN)として発売したのが始まり。
[[日本]]では、明治時代に[[宮内省]]が[[兵庫県]][[多田村 (兵庫県)|多田村]]平野(現在の[[川西市]]平野の平野鉱泉を用いて炭酸水の御料工場を建てたことから始まった。その後、工場は[[三菱財閥]]に払い下げられ、[[二酸化炭素泉|炭酸泉]]を瓶に詰め、[[1884年]]『鉱泉 平野水』として発売、[[1885年]]に[[明治屋]]が権利を得て『三ツ矢印 平野水』(のちに[[三ツ矢サイダー]]に発展)としてそれ以外の地域にも発売したのが始まり。炭酸を含まないものは、[[1929年]]に堀内合名会社(現 [[富士ミネラルウォーター]]株式会社)が山梨県下部(現 [[山梨県]][[南巨摩郡]][[身延町]][[下部町|下部]])の富士身延鉄道(現 [[東旅客鉄道|JR東海]] [[身延線]])の土地で湧出した水を『日本ヱビアン』(NIPPON EVIAN)として発売したのが始まり。


[[1960年代]]には大手酒類メーカーが業務用としてミネラルウォーターの販売を開始。一般家庭には、[[1983年]]に[[ハウス食品]]『[[六甲のおいしい水]]』<ref>[[2010年]]に販売権を[[アサヒ飲料]]に移譲。[[2013年]]に「[[アサヒおいしい水]]」のシリーズ商品として発売を続けている。</ref>・[[サントリー]]『[[山崎蒸溜所|山崎]]の名水』発売されたことをきっかけとして普及。日本国外のミネラルウォーターは、1980年代終盤から1995年にかけて輸入量が急伸し、これにより一般に普及した<ref>{{Cite book|和書
[[1960年代]]には大手酒類メーカーが業務用としてミネラルウォーターの販売を開始。一般家庭には、[[1983年]]に[[ハウス食品]]『[[六甲のおいしい水]]』{{Efn|[[2010年]]に販売権を[[アサヒ飲料]]に移譲。[[2013年]]に「[[アサヒおいしい水]]」のシリーズ商品として発売を続けている。}}・[[サントリー]]『[[山崎蒸溜所|山崎]]の名水』発売きっかけとなった。[[1986年]]には政令「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)が改正され、清涼飲料水の原水基準{{Efn|[[水道法]]第4条に規定する基準に適合するもの。ただミネラルウォーターにおいは、硬度・[[水素イオン指数|pH]]の適用は除外。}}を準用したものから、新設された「ミネラルウォーター類の製造基準」が適用されるようになったことも追い風になった。日本国外のミネラルウォーターは、1980年代終盤から1995年にかけて輸入量が急伸し、これにより一般に普及した<ref>{{Cite book|和書
|author = 株式会社日刊経済通信社 調査部
|author = 株式会社日刊経済通信社 調査部
|title = DATA500 酒類・食品産業 on GRAPHICS ―21世紀への設計―
|title = DATA500 酒類・食品産業 on GRAPHICS ―21世紀への設計―
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}}</ref>。
}}</ref>。


近年では、比較的水事情の良いと思われていた日本国内でも、大都市圏などの[[水道]]水には、水源の有機物系の臭いや水道配管の錆、さらには消毒のための塩素の臭いや[[トリハロメタン]]の危険性など、水質に問題があると感じる消費者も増えている。日本の残留塩素や総トリハロメタンの基準は[[WHO]]基準より遥かに低いものの、{{要出典範囲|date=2015年3月|業者が「健康を害する」と非科学的な宣伝を行っているのが現状である。ミネラルウォーターはこのような地域を中心に売上を伸ばす傾向にあり}}、[[コンビニエンスストア]]などでも普遍的に見かける定番商品となっている。また、これらから製造された[[氷]]も見掛けられる。
近年では、比較的水事情の良いと思われていた日本国内でも、[[大都市圏]]などの[[水道]]水には、水源の[[有機物]]系の臭いや水道配管の[[]]、さらには消毒のための[[塩素]]の臭いや[[トリハロメタン]]の危険性など、水質に問題があると感じる消費者も増えている。


日本の水道水の残留塩素や総トリハロメタンの基準は[[WHO]]基準より遥かに低いものの、ミネラルウォーターは[[コンビニエンスストア]]などでも普遍的に見かける定番商品となっており、これらから製造された[[氷]]も見掛けられる。
現代の日本国内生産量では山梨県が1位(34%)であり、以下、静岡県(2位:14%)、鳥取県(3位:14%)と続く(2009年)<ref>日本ミネラルウォーター協会「都道府県別生産数量の推移」(パーセンテージについては小数点以下四捨五入)</ref>。


現在の日本国内生産量では山梨県が1位(34%)であり、以下、[[静岡県]](2位:14%)、[[鳥取県]](3位:14%)と続く(2009年)<ref>日本ミネラルウォーター協会「都道府県別生産数量の推移」(パーセンテージについては小数点以下四捨五入)</ref>。
== ミネラルウォーターの表示区分 ==

昨今は[[OEM]]や[[プライベートブランド|PB]]での流通量も多くなっている。小[[ロット管理|ロット]]・低価格によるボトリング委託業者が増えた為と思われる。

製品紹介サイトなどでは3000種以上を載せている所もある。

=== 区分 ===
{{law|section=1}}
{{law|section=1}}
日本においては、ミネラルウォーター品質表示ガイライン([[農林水産省]]平成2年3月30日食品流通局長通達「2食流第1071号」、平成7年2月17日「7食流第398号」改正)により内容物表示定めている。
日本では特、原水の成分に無機塩添加などの調整を行っいないものは、'''ナチュラルウォーター'''・'''ナチュラルミネラルウォーター'''と呼ぶ。一方、原水が地下水でないもは、[[ボトルウォーター]]と呼ぶ。これらの区分については、[[農林水産省]]の通達で定められている(平成2年3月30日食品流通局長通達「2食流第1071号」、平成7年2月17日「7食流第398号」改正)。市販品では、各地[[名水]]や大自然のイメージ前面に押し出しているものが多い

[[地下水]]などのうち飲用適の水([[カルシウム]]、[[マグネシウム]]など([[硬度 (水)|硬度]])及び[[水素イオン指数|pH]]値を除き、[[水道法]]第4条に適合する水をいう)を容器に詰めたもの([[炭酸飲料]]の[[日本農林規格]](昭和49年6月27日農林省告示第567号)に規定する炭酸飲料を除く)。これを「ミネラルウォーター類」という。


; 適用範囲
: [[地下水]]などのうち飲用適の水([[カルシウム]]、[[マグネシウム]]など([[硬度 (水)|硬度]])及び[[水素イオン指数|pH]]値を除き、[[水道法]]第4条に適合する水をいう)を容器に詰めたもの([[炭酸飲料]]の[[日本農林規格]](昭和49年6月27日農林省告示第567号)に規定する炭酸飲料を除く)。これを「ミネラルウォーター類」という。
* ナチュラルウォーター
* ナチュラルウォーター
** 特定の水源から採水された地下水を原水とし、[[沈殿]]、[[濾過]]、加熱[[殺菌]]以外の物理的・化学的処理を行わないもの
** 特定の水源から採水された地下水を原水とし、[[沈殿]]、[[濾過]]、加熱[[殺菌]]以外の物理的・化学的処理を行わないもの
* ナチュラルミネラルウォーター
* ナチュラルミネラルウォーター
**ナチュラルウォーターのうちされた地下水地表から浸透し、地下を移動中又は地下に滞留中に[[地層]]中の[[無機塩類]]が[[溶解]]した地下水(天然の[[二酸炭素]]が溶解し、発泡性を有する地下水を含む)をいう)を原水としたもの。
**ナチュラルウォーターのうち天然の[[二酸炭素]]が溶解し、発泡性を有する地下水を含む地表から浸透し、地下を移動中又は地下に滞留中に[[地層]]中の[[無機塩類]]が[[溶解]]したされた地下水を原水としたもの。
* ミネラルウォーター
* ミネラルウォーター
** ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的などのために[[ミネラル]]調整、[[ばっ気]]、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合などが行われているもの。
** ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的などのために[[ミネラル]]調整、[[気]]、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合などが行われているもの。
* 飲用水、ボトルドウォーター
* ボトルドウォーター
** ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外のもの。
** ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外のもので蒸留水や水道水などの飲用水を容器に詰めたもの。ボトルドウォーターには海洋深層水を含む<ref name="pocket94" />


== 代表的な商品 ==
=== 代表的な商品 ===
日本において2008年に販売されたミネラルウォーター類の、上位10銘柄は次の通りである。
2022年に販売されたミネラルウォーター類の、上位10銘柄は次の通りである。
{| class="wikitable"
{| class="wikitable"
|+ ミネラルウォーター類の銘柄別販売集中度(2008年)<ref>{{Cite book|和書
|+ ミネラルウォーター類の銘柄別販売集中度(2022年)<ref>{{Cite book|和書
|author = 株式会社日刊経済通信社 調査部
|author = 株式会社日刊経済通信社 調査部
|title = 酒類食品産業の生産・販売シェア-需給の動向と価格変動- 2009年版
|title = 酒類食品産業の生産・販売シェア-需給の動向と価格変動- 2023
|accessdate = 2010-10-13
|accessdate = 2024-12-15
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|publisher = 日刊経済通信社
|publisher = 日刊経済通信社
|location = 東京
|location = 東京
|isbn = 978-4-931500-16-7
|isbn = 978-4-931500-33-4
}}</ref>
}}</ref>
|-
|-
! 商品名 !! シェア !! メーカー
! 商品名 !! シェア !! 販売者
|-
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| [[サントリー天然水|日本の天然水]]
| [[サントリー天然水]]
| 20.7%
| 29.4%
| [[サントリー]]
| [[サントリーフーズ]]
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|-
| [[い・ろ・は・す]]他
| 森の水だより
| 14.8%
| 15.6%
| [[日本コカ・コーラ]]
| [[日本コカ・コーラ]]
|-
|-
| キリン アルカリイオンの水
| アルカリイオンの水
| 11.3%
| 9.3%
| [[キリンMCダノンウォーターズ]]
| [[キリンビバレッジ]]
|-
|-
| [[アサヒおいしい水|アサヒ おいしい水]]
| [[ボルヴィック]]
| 7.6%
| 1.1% 
| キリンMCダノンウォーターズ
|-
| [[六甲のおいしい水]]
| 6.1% 
| [[ハウス食品]]
|-
| 富士山のバナジウム天然水
| 3.2%
| [[アサヒ飲料]]
| [[アサヒ飲料]]
|-
|-
| [[クリスタルガイザー]](アメリカ)
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| [[大塚食品]]
|-
|-
| [[コントレックス]]
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| 1.1%
| [[ダイドードリンコ]]
| サントリー
|-
|-
| [[エビアン (ミネラルウォーター)|エビアン]](フランス)
| [[財宝温泉]]水
| 1.4%
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| 伊藤園・伊藤忠ミネラルウォーターズ
|-
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| [[財宝 (企業)|財宝]]
| [[財宝 (企業)|財宝]]
|-
| 伊藤園 磨かれて、澄みきった日本の水
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| [[伊藤園]]
|-
| ポッカサッポロ 富士山麓のおいしい天然水
| 0.8%
| [[ポッカサッポロフード&ビバレッジ]]
|}
|}


== 採水に関わる問題 ==
== 問題点・注意点 ==
=== 採水に関わる問題 ===
ミネラルウォーターの需要が増加する一方で、採水地においては、過剰な地下水の採取を問題視する動きもある。
ミネラルウォーターの需要が増加する一方で、採水地においては、過剰な地下水の採取を問題視する動きもある。


近年、表流水の一部も含むと言われている日本国内の良質な地下水を輸出するため、[[海外企業|国外企業]]が、経済的に疲弊している[[林業]]事業者から大規模に[[水源林]]を含む[[森林]]を購入していることが明らかとなった。日本には規制する法令等が未整備であることから、大量の採水が行われることにより国土の荒廃を招く事が危惧されている<ref>「日本の[[水源林]]の危機 ~グローバル資本の参入から『森と水の循環』を守るには~」(2009)、「グローバル化する国土資源(土・緑・水)と土地制度の盲点 日本の水源林の危機 II」(2010)、いずれも[[東京財団]]</ref>。
[[サントリー天然水]]を製造している山梨県[[北杜市]]の[[白州蒸溜所]]近辺では、近年、地下水の水位の低下や混濁が起きており、これは同工場による過剰な地下水の採取が原因ではないかとする考えがある。


=== 調乳に対する注意 ===
近年、日本国内の良質な地下水(表流水の一部も含むと言われている)を輸出するため、国外企業が、経済的に疲弊している[[林業]]事業者から大規模に[[森林]]([[水源林]]を含む)を購入していることが明らかとなった。日本には規制する法令等が未整備であることから、大量の採水が行われることにより国土の荒廃を招く事が危惧されている<ref>「日本の[[水源林]]の危機 ~グローバル資本の参入から『森と水の循環』を守るには~」(2009)、「グローバル化する国土資源(土・緑・水)と土地制度の盲点 日本の水源林の危機 II」(2010)、いずれも[[東京財団]]</ref>。
[[東北地方太平洋沖地震|2011年東北地方太平洋沖地震]]が原因の[[東京電力]][[福島第一原子力発電所事故]]で、外部に多量の[[放射能]]([[放射性物質]])が流出したことから、[[東京]]など[[関東地方]]の一部の[[水道]]水から高濃度の放射能(放射性[[ヨウ素]])が検出され、乳児への摂取を中止するよう要請があったことから、直後にミネラルウォーターが非常に品薄な状態になった。一部の店頭では乳幼児がいる世帯であると証明できる場合に陳列分とは別枠で提供していた。2011年6月時点で在庫は十分確保されるようになり、品薄状態は改善された。


日本の[[粉ミルク]]は硬度の低い日本の水道水で溶かすことを前提に成分が設計されているため、外国製を主体とした硬度の高い製品では、[[ミネラル]]分の過剰摂取となり、乳児の体に負担をかけることが指摘されている。助産婦によれば、ミルク用にはできる限り硬度の低い製品を使うことが求められる<ref>[https://allabout.co.jp/gm/gc/378142/ ミルク調乳とミネラルウォーター] All About</ref>。もし適した水([[軟水]])が入手できない場合は、通常通りに水道水を使用することの見解が日本小児科学会などから発表されている<ref>[http://www.jpeds.or.jp/pdf/touhoku_6.pdf 「食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値100Bq/キログラムを超過する濃度の放射性ヨウ素が測定された水道水摂取」に関する、日本小児科学会、日本周産期・新生児医学会、日本未熟児新生児学会の共同見解]平成23年3月24日</ref>。これは、放射性物質を含んだ水を摂取するよりも、ミルクを与えないことによる脱水症状の方が危険であるという理由からである。
== 調乳に対する注意 ==
[[東北地方太平洋沖地震|2011年東北地方太平洋沖地震]]が原因の[[東京電力]][[福島第一原子力発電所事故]]で、外部に多量の[[放射能]]([[放射性物質]])が流出したことから、東京など[[関東地方]]の一部の[[水道]]水から高濃度の放射能(放射性[[ヨウ素]])が検出され、乳児への摂取を中止するよう要請があったことから、直後にミネラルウォーターが非常に品薄な状態になった。一部の店頭では乳幼児がいる世帯であると証明できる場合に陳列分とは別枠で提供していた。なお、2011年6月時点で在庫は十分確保されるようになり、品薄状態は改善された。


「小児、妊娠中および授乳中の女性は上限値が設定できないため、食品由来以外の[[バナジウム]]は摂取しないこと」という事が危険情報として独立行政法人国立健康・栄養研究所から発表<ref>{{Hfnet|724|バナジウム}}</ref>されており、ミルクメーカーによってはバナジウムを含んたミネラルウォーターを推奨しない場合もある。
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また「小児、妊娠中および授乳中の女性は上限値が設定できないため、食品由来以外のバナジウムは摂取しないこと」という事が危険情報として独立行政法人国立健康・栄養研究所から発表<ref>[http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail724.html 「健康食品」の安全性・有効性情報/独立行政法人国立健康・栄養研究所]</ref>されており、ミルクメーカーによってはバナジウムを含んたミネラルウォーターを推奨しない場合もある。


== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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* [[湧水]]
* [[湧水]]
* [[海洋深層水]]
* [[海洋深層水]]
* [[炭酸水]]
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
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* [http://www.minekyo.jp/ 日本ミネラルウォーター協会] - 業界団体
* [https://minekyo.net/ 日本ミネラルウォーター協会] - 業界団体
* [https://www.jdsa-net.org/ 日本宅配水&サーバー協会] - ウォーターサーバー事業者の業界団体


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2024年12月22日 (日) 09:07時点における最新版

ミネラルウォーター

ミネラルウォーター: mineral water)あるいは鉱泉水(こうせんすい)とは、容器入り飲料水のうち、地下水を原水とするものを言う。

成分

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軟水と硬水

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水に含まれるカルシウム塩とマグネシウム塩の量の指標(硬度)が一定水準より少ない場合を軟水、多い場合を硬水という。硬度は普通炭酸カルシウム(CaCO3)含有量に近似して示され、厚生労働省ではその量が60mg/L以下の水を軟水、60~120mg/Lを中硬水、120~180mg/Lを硬水、180mg/L以上を超硬水と定義している[1]。一般的に、日本国内で産出されるミネラルウォーターは軟水のものが多く、欧州で産出されるものには硬水が多い[2]

一般的には硬水よりも軟水のほうが飲みやすいとされているが、美容目的などで硬水が選ばれることもある[3]。ただし、マグネシウム含有量が高くなると苦みが強く飲みにくくなる[3]

ミネラルウォーターという名称から、ミネラル無機物)を多く含んだ飲料水であると思われがちだが、ミネラルウォーターに含有する程度のミネラルでは栄養補強には程遠い[4]。ミネラルウォーターには大豆や魚と比較してカリウムやマグネシウム、カルシウムといったミネラル分はほとんど含まれておらず、1日の基準摂取量を満たすには数十リットルから数百リットル飲む必要がある。基本的に水であるため、大量に摂取すれば摂取するほどに尿の量も増え、それに伴ってミネラル分も吸収した傍から排出される。また、水中毒の危険性があるため、推奨されない。ミネラル分は食事から摂取する必要がある。

炭酸含有の有無

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欧米では、ミネラルウォーターの原料となる水に元々炭酸が含まれているものがあり、ミネラルウォーターといえばサンペレグリノゲロルシュタイナーなど炭酸水を指すことが多い[5]。炭酸水を冷やさずに常温で飲むと独特の味わいになるため、日常的に炭酸水を飲む習慣がない日本人には馴染めないことがある。特に「ガスなし」と断らないと炭酸水が出てくることがある。

「ガスなし」ミネラルウォーターには、サンペレグリノの無炭酸のように炭酸を抜く工程を加えたものや、エビアンのように元々炭酸を含まない水を利用したものなどがある。

無炭酸ミネラルウォーターをスティルウォーター(英: still water)、炭酸ミネラルウォーターをスパークリングウォーター(英: sparkling water)という。

ヨーロッパのミネラルウォーター

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歴史

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ヨーロッパでは2000年以上も前から「奇跡の水」として湧き水を飲む飲泉の習慣があった[6]。ヨーロッパには石灰岩地帯が多く、河川の水や地下水を利用する場合でも硬度が高いために上水道はあまり美味しくはなかった[4]。そこで地下水の美味しい地域で採水した水が瓶詰めにした状態で販売されるようになった[4]

17世紀イギリスマルヴァーン英語版の水をにつめて販売したのがミネラルウォーターのはじまりである。19世紀になると瓶詰めにかかるコストが軽減したことで、20世紀以前の塩素殺菌をしていなかった水道よりも安全な水として普及した。

区分

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欧州連合の基準では、ナチュラルミネラルウォーター、スプリングウォーター、プロセスドウォーターに分類される。

  • ナチュラルミネラルウォーター
    • 公的組織の審査と承認を受けていること[2]
    • 殺菌やミネラル分の調整などあらゆる人為的加工を行っていないこと[2]
    • 人体の健康に有益なミネラル分を一定量保持しており、科学的、医学的、または臨床学的に健康への好適性が証明されていること[2]
    • ミネラルのバランスが良く含有成分や水温などが安定していること[2]
  • スプリングウォーター
    • 一か所の水源から直接採水して添加物を加えずにボトリングしたもの[2]
  • プロセスドウォーター
    • 熱処理、ろ過、ミネラルの添加などを加えた加工水[2]

ヨーロッパのナチュラルミネラルウォーターは、水源の環境保全や成分中の生菌の数などの厳格な基準による管理を行うことで無殺菌・無除菌で製造されており[5]、輸入品では殺菌方法に「無殺菌」と表示されている。

代表的な商品

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日本のミネラルウォーター

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明治32年(1899年)創業の布引鉱泉所[7]神戸市布引瀑布下に湧出する鉱泉を用いた炭酸水を販売[8]

歴史

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日本では、明治時代に宮内省兵庫県多田村平野(現在の川西市平野)の平野鉱泉を用いて炭酸水の御料工場を建てたことから始まった。その後、工場は三菱財閥に払い下げられ、炭酸泉を瓶に詰め、1884年『鉱泉 平野水』として発売、1885年明治屋が権利を得て『三ツ矢印 平野水』(のちに三ツ矢サイダーに発展)としてそれ以外の地域にも発売したのが始まり。炭酸を含まないものは、1929年に堀内合名会社(現 富士ミネラルウォーター株式会社)が山梨県下部(現 山梨県南巨摩郡身延町下部)の富士身延鉄道(現 JR東海 身延線)の土地で湧出した水を『日本ヱビアン』(NIPPON EVIAN)として発売したのが始まり。

1960年代には大手酒類メーカーが業務用としてミネラルウォーターの販売を開始。一般家庭には、1983年ハウス食品六甲のおいしい水[注釈 1]サントリー山崎の名水』の発売がきっかけとなった。1986年には政令「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)が改正され、清涼飲料水の原水基準[注釈 2]を準用したものから、新設された「ミネラルウォーター類の製造基準」が適用されるようになったことも追い風になった。日本国外のミネラルウォーターは、1980年代終盤から1995年にかけて輸入量が急伸し、これにより一般に普及した[9]

近年では、比較的水事情の良いと思われていた日本国内でも、大都市圏などの水道水には、水源の有機物系の臭いや水道配管の、さらには消毒のための塩素の臭いやトリハロメタンの危険性など、水質に問題があると感じる消費者も増えている。

日本の水道水の残留塩素や総トリハロメタンの基準はWHO基準より遥かに低いものの、ミネラルウォーターはコンビニエンスストアなどでも普遍的に見かける定番商品となっており、これらから製造されたも見掛けられる。

現在の日本国内生産量では山梨県が1位(34%)であり、以下、静岡県(2位:14%)、鳥取県(3位:14%)と続く(2009年)[10]

昨今はOEMPBでの流通量も多くなっている。小ロット・低価格によるボトリング委託業者が増えた為と思われる。

製品紹介サイトなどでは3000種以上を載せている所もある。

区分

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日本では特に、原水の成分に無機塩添加などの調整を行っていないものは、ナチュラルウォーターナチュラルミネラルウォーターと呼ぶ。一方、原水が地下水でないものは、ボトルドウォーターと呼ぶ。これらの区分については、農林水産省の通達で定められている(平成2年3月30日食品流通局長通達「2食流第1071号」、平成7年2月17日「7食流第398号」改正)。市販品では、各地の名水や大自然のイメージを前面に押し出しているものが多い。

地下水などのうち飲用適の水(カルシウムマグネシウムなど(硬度)及びpH値を除き、水道法第4条に適合する水をいう)を容器に詰めたもの(炭酸飲料日本農林規格(昭和49年6月27日農林省告示第567号)に規定する炭酸飲料を除く)。これを「ミネラルウォーター類」という。

  • ナチュラルウォーター
    • 特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿濾過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの
  • ナチュラルミネラルウォーター
    • ナチュラルウォーターのうち天然の二酸化炭素が溶解し、発泡性を有する地下水を含む地表から浸透し、地下を移動中又は地下に滞留中に地層中の無機塩類溶解した鉱化された地下水を原水としたもの。
  • ミネラルウォーター
    • ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的などのためにミネラル調整、曝気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合などが行われているもの。
  • ボトルドウォーター
    • ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外のもので蒸留水や水道水などの飲用水を容器に詰めたもの。ボトルドウォーターには海洋深層水を含む[4]

代表的な商品

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2022年に販売されたミネラルウォーター類の、上位10銘柄は次の通りである。

ミネラルウォーター類の銘柄別販売集中度(2022年)[11]
商品名 シェア 販売者
サントリー天然水 29.4% サントリーフーズ
い・ろ・は・す 15.6% 日本コカ・コーラ
アルカリイオンの水 9.3% キリンビバレッジ
アサヒ おいしい水 1.1%  アサヒ飲料
クリスタルガイザー(アメリカ) 1.1% 大塚食品
ダイドー MIU 1.1% ダイドードリンコ
エビアン(フランス) 1.0% 伊藤園・伊藤忠ミネラルウォーターズ
財宝温泉水 0.9% 財宝
伊藤園 磨かれて、澄みきった日本の水 0.8% 伊藤園
ポッカサッポロ 富士山麓のおいしい天然水 0.8% ポッカサッポロフード&ビバレッジ

問題点・注意点

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採水に関わる問題

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ミネラルウォーターの需要が増加する一方で、採水地においては、過剰な地下水の採取を問題視する動きもある。

近年、表流水の一部も含むと言われている日本国内の良質な地下水を輸出するため、国外企業が、経済的に疲弊している林業事業者から大規模に水源林を含む森林を購入していることが明らかとなった。日本には規制する法令等が未整備であることから、大量の採水が行われることにより国土の荒廃を招く事が危惧されている[12]

調乳に対する注意

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2011年東北地方太平洋沖地震が原因の東京電力福島第一原子力発電所事故で、外部に多量の放射能放射性物質)が流出したことから、東京など関東地方の一部の水道水から高濃度の放射能(放射性ヨウ素)が検出され、乳児への摂取を中止するよう要請があったことから、直後にミネラルウォーターが非常に品薄な状態になった。一部の店頭では乳幼児がいる世帯であると証明できる場合に陳列分とは別枠で提供していた。2011年6月時点で在庫は十分確保されるようになり、品薄状態は改善された。

日本の粉ミルクは硬度の低い日本の水道水で溶かすことを前提に成分が設計されているため、外国製を主体とした硬度の高い製品では、ミネラル分の過剰摂取となり、乳児の体に負担をかけることが指摘されている。助産婦によれば、ミルク用にはできる限り硬度の低い製品を使うことが求められる[13]。もし適した水(軟水)が入手できない場合は、通常通りに水道水を使用することの見解が日本小児科学会などから発表されている[14]。これは、放射性物質を含んだ水を摂取するよりも、ミルクを与えないことによる脱水症状の方が危険であるという理由からである。

「小児、妊娠中および授乳中の女性は上限値が設定できないため、食品由来以外のバナジウムは摂取しないこと」という事が危険情報として独立行政法人国立健康・栄養研究所から発表[15]されており、ミルクメーカーによってはバナジウムを含んたミネラルウォーターを推奨しない場合もある。

脚注

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注釈

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  1. ^ 2010年に販売権をアサヒ飲料に移譲。2013年に「アサヒおいしい水」のシリーズ商品として発売を続けている。
  2. ^ 水道法第4条に規定する基準に適合するもの。ただしミネラルウォーターにおいては、硬度・pHの適用は除外。

出典

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  1. ^ 清涼飲料水評価書 カルシウム・マグネシウム等(硬度)” (PDF). 厚生労働省 食品安全委員会. p. 10 (2017年4月25日). 2021年4月3日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g 杉山美次『ポケット図解 最新水の雑学がよーくわかる本 第2版』秀和システム、2012年、97頁
  3. ^ a b 杉山美次『ポケット図解 最新水の雑学がよーくわかる本 第2版』秀和システム、2012年、98頁
  4. ^ a b c d 杉山美次『ポケット図解 最新水の雑学がよーくわかる本 第2版』秀和システム、2012年、94頁
  5. ^ a b 杉山美次『ポケット図解 最新水の雑学がよーくわかる本 第2版』秀和システム、2012年、96頁
  6. ^ 杉山美次『ポケット図解 最新水の雑学がよーくわかる本 第2版』秀和システム、2012年、95頁
  7. ^ 会社概要株式会社布引礦泉所
  8. ^ 『開国五十年史』開国五十年史発行所、1908年, p398
  9. ^ 株式会社日刊経済通信社 調査部「清涼飲料水市場」『DATA500 酒類・食品産業 on GRAPHICS ―21世紀への設計―』日刊経済通信社、東京、2000年。ISBN 4-931500-53-6 
  10. ^ 日本ミネラルウォーター協会「都道府県別生産数量の推移」(パーセンテージについては小数点以下四捨五入)
  11. ^ 株式会社日刊経済通信社 調査部『酒類食品産業の生産・販売シェア-需給の動向と価格変動- 2023年度版』日刊経済通信社、東京、2023年。ISBN 978-4-931500-33-4 
  12. ^ 「日本の水源林の危機 ~グローバル資本の参入から『森と水の循環』を守るには~」(2009)、「グローバル化する国土資源(土・緑・水)と土地制度の盲点 日本の水源林の危機 II」(2010)、いずれも東京財団
  13. ^ ミルク調乳とミネラルウォーター All About
  14. ^ 「食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値100Bq/キログラムを超過する濃度の放射性ヨウ素が測定された水道水摂取」に関する、日本小児科学会、日本周産期・新生児医学会、日本未熟児新生児学会の共同見解平成23年3月24日
  15. ^ バナジウム - 素材情報データベース<有効性情報>(国立健康・栄養研究所

関連項目

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外部リンク

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