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「ジョニー・ウォーカー」の版間の差分

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[[File:Johnnie Walker Black Label.jpg|thumb|150px|ジョニーウォーカー黒ラベル]]
[[File:Johnnie Walker Black Label.jpg|thumb|222x222px|ジョニーウォーカー黒ラベル|代替文=]]
'''ジョニー・ウォーカー''' (Johnnie Walker) は[[スコッチ・ウイスキー]]の世界的に有名な[[ブランド]]で[[スコットランド]]の[[キルマーノック]] (Kilmarnock)が発祥地である。現在、ジョニーウォーカーは世界最大総合酒類メーカーである[[イギリス|英国]][[ディアジオ]]社 ([[:en:Diageo|Diageo]])傘下の[[ブランド]]の一つる。
'''ジョニー・ウォーカー''' (''Johnnie Walker'')、世界的に有名な[[スコッチ・ウイスキー]]の[[ブランド]]である。1820年に[[スコットランド]]南部の[[キルマーノック]](''Kilmarnock'')の地で当初は食料雑貨店として創業され、1830年頃からウイスキー製造を開始し1909年から創業者ジョンの愛称に因んだジョニーウォーカーのブランド販売されようになった


世界で最も普及している[[スコッチ・ウイスキー]]の銘柄として知られ、世界中のあらゆる国々で流通し、年間2億本以上のボトルが出荷されている。現在のジョニー・ウォーカーはイギリスの酒造企業・[[ディアジオ]]社が抱えるブランドの一つとなっている。
ジョニー・ウォーカーはキルマーノックの町の駅のちょうど北側の醸造所で作られ続けている。いまだにストランド (Strand) 通りとジョン・フィニー (John Finnie) 通りには歴史的な保税倉庫と会社の事務所(今は[[地方公共団体|地方自治体]])がある。


ジョニー・ウォーカーはスコッチの銘柄としては世界で一番広まっている。200以上の国々で年間1億2000万本売れている。
== 歴史 ==
== 歴史 ==
[[Image:Johnnie Walker Blue Label - promotional bottle - Suvarnabhumi Airport.JPG|thumb|ジョニー・ウォーカー青ラベル]]
元々は「ウォーカーのキルマーノック・ウイスキー (Walker's Kilmarnock Whisky) 」として知られた。その銘柄は、ジョン・“ジョニー”・ウォーカーが[[スコットランド]]の[[エアシャー]] (Ayrshire) の食料品屋で[[ウイスキー]]を売り始めて、それが受け継がれたものである。ジョニーの名を冠しているものの、このウイスキーが有名になったのは息子のアレグザンダー・ウォーカーと孫のアレグザンダー・ウォーカー2世によるところが大きい。


=== 食料雑貨店開業(1820~1857) ===
ジョン・ウォーカーは[[1857年]]に亡くなったが、ウォーカー家が会社を立ち上げ、世界的に有名な銘柄に育て上げたことで、彼の遺した物は確固たる物になった。
[[ファイル:Johnnie Walker statue, Kilmarnock, Scotland.jpg|代替文=|サムネイル|240x240ピクセル|創業者ジョン・ウォーカー]]
創業者'''ジョン・ウォーカー'''(''John Walker'')は、1805年に[[スコットランド]]の[[キルマーノック]]の町で生まれた。1819年に農場経営者である父親を亡くし、運営が困難となった農場を売却したウォーカー家は、その資金で翌1820年に食料雑貨店をキルマーノックの大通りに開いた。これがウォーカー社の創業とされ、当時若干15歳のジョンは家族の大黒柱として店を切り盛りした。1823年に酒税引き下げの機会を得たジョンは様々なアルコール飲料を販売して利益を上げた。1825年以降になるとウイスキー販売を事業の中心にするようになり、またジョン自身も蒸留所を開設した後に他の蒸留所とも取引してヴァッテッドモルトの[[スコッチ・ウイスキー|スコッチウイスキー]]を製造するようになった。これは'''ウォーカーズ・キルマーノック'''(''Walker's Kilmarnock Whisky'')と名付けられて一定の知名度を獲得した。ジョンは1857年に死去し、息子のアレクサンダーが事業を引き継いだ。


「ジョン・ウォーカーはウイスキーに名前つけたが、息子のアレクサンダーのほうが重要な人物である。[[1852年]]、ルマノック壊滅的な洪水が襲た年にウォーカーの在庫は大打撃をうけた。アレクサンダーが[[1856年]]に事業に加わり、狭い範囲での雑貨屋の商売をやめて卸売業をやるべきだと父親を説得した。会社は始めの頃、色々な[[蒸留酒]]を出していた。[[キタイアー半島]][[キャンベルタウン]]ウイスキーや、[[ヘブリディーズ諸島|インナーヘブリディーズ諸島]]の[[アイラ島|アイラ]]ウイスキー(これは、気の利いたスモーキーな風味)、パテントスティルかグレーンウイスキー、『[[グレンリヴェット蒸留所|グレンリヴェット]]』すなわち[[:en:SPEYSIDE|スペイサイド]]・ウイスキーなどである。 ウイスキーの売上はジョン・ウォーカーが売っている頃は会社の8%の収入ぎなかったが、アレクサンダーが息子に会社をつい去る頃にはそ数字は90から95%に上がった。」(引用[[#References|Giles MacDonogh]])
「ジョン・ウォーカーはウイスキー製造の礎築いたが、それを世界的なブランドにまで高めたのは息子のアレクサンダーと孫アレクサンダー2世の功績である。ジョンはウイスキー製造と並行して様々な酒類も取り扱ていた。アレクサンダーは小売販売をやめて自家製造と卸売業に専念すべきだと父親を説得した。ジョ時代のウイスキー製造事業は会社利益の8%を占めるぎなかったが、アレクサンダー時代会社が急成長する中利益の90%以上を稼ぎ出す様った。」(引用[[#References|''Giles MacDonogh'']])


=== 酒造事業の拡大(1858~1908) ===
アレクサンダー・ウォーカーは象徴的な四角いボトルを[[1870年]]に発表した。このボトルのもう一つの特徴はラベルである。右が24度高い角度で斜めに貼られている。[[1908年]]、[[ジェームス・スティーブンソン]]が[[代表取締役]]の時にブランドの一新が行われた。ウイスキーの名前がウォーカーの「キルマーノック・ウイスキー」 (Walker's Kilmarnock Whiskies) から「ジョニー・ウォーカー・ウイスキー 」(Johnnie Walker Whisky) に変わった。さらにスローガン「創業1820年-今も続く、力強く!」 (Born in 1820-Still going Strong!) ができた。また、21世紀に至るまで広告に使われている、大またで歩く人の絵も作られた。商業デザイナーのトム・ブローン (Tom Browne) の描いた絵の人は、テールのある赤い[[外套|コート]]を着て、[[シルクハット]]をかぶり、[[片眼鏡]]をつけ[[ブーツ|ヘシアン・ブーツ]]を履き、[[杖|ステッキ]]を持っており、創業者ジョン・ウォーカーに似せて描かれている。
[[ファイル:AlexanderWalker22.png|サムネイル|二代目アレクサンダー・ウォーカー]]
二代目'''アレクサンダー・ウォーカー'''(''Alexander Walker'')は、[[キルマーノック]]の町に鉄道が開通したのを好機と受け止め、ウォーカーズ・キルマーノックの生産設備を拡充した後に流通販売網を広げて大きな利益を上げた。今日の象徴的な四角いボトルはこの1860年頃に発案されており、荷箱に隙間無く詰め込めるようにして大量輸送を助ける為だった。またボトル幅の狭さに合わせてラベルを斜めに貼るようにした。1865年には、より大量の生産に対応するべくブレンデッドのスコッチウイスキーに切り替える事を決めて、ヴァッテッドモルトのウォーカーズ・キルマーノックにグレーンウイスキーをブレンドした'''''オールドハイランド'''(Walker’s Old Highland)の製造を開始し、''これが現在に繋がるジョニーウォーカーの原型となった。ウイスキー製造事業の基盤を拡大したアレクサンダーは1889年に没し、その息子であるジョージとアレクサンダー2世が後を継いだ。


=== ブランドの発足(1909~1924) ===
2018年3月には、[[アメリカ合衆国]]限定商品として女性版とも言える「ジェーン・ウォーカー」が発売された<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/economy/20180228-OYT1T50053.html 「ジョニ黒」の女性版、米で3月に限定発売]『読売新聞』朝刊2018年3月1日(国際面)</ref>。
[[ファイル:JohnnieWalker2012.jpg|サムネイル|213x213ピクセル|ジョニーウォーカー社]]三代目の'''ジョージ'''(''George Paterson Walker'')と'''アレクサンダー2世'''(''Alexander Walker II'')は、1909年にオールドハイランドを改称して'''ジョニーウォーカー'''(''Johnnie Walker'')のブランドを立ち上げた。これは創業者である祖父ジョンの愛称に因んだものであり、ブランドロゴに描かれているシルクハットを被り赤いテイルコートを着てステッキを片手に大股で歩く男性は、洒落者として知られていた在りし日のジョンの姿であった。'''白ラベル'''(6年物)、'''赤ラベル'''(10年物)、'''黒ラベル'''(12年物)の三色が世に送り出され、ジョニーウォーカーはイギリス国内のみならず海外にも広まった。事業の急成長とウイスキーの生産拡大に伴い、経営面を担当するジョージはスコットランド各地の蒸留所を次々と買収した。製造面を担当するアレクサンダー2世は1920年にウイスキー分野での功労を認められて英国王室から[[ナイト]]に叙任された。


=== 運営会社の変遷(1925~現在) ===
日本では「ジョニ黒」(12年)、「ジョニ赤」の愛称で親しまれており、昭和期の日本では庶民の憧れとして大衆文化にもしばしば登場した。[[1957年]]当時、ジョニ黒は1万円で売らていた(当時の1万円は大卒初任給二ヶ月分に相当する)[[1985年]]頃に並行輸入品や海外旅行土産の免税品が普及すると入手しやすくなり、[[1989年]][[4月1日]]以降は[[消費税]]の導入に伴い、[[物品税]]とウイスキーの等級制度がそれぞれ廃止され更に購入しやすくなった。なお、[[2017年]]現在は実売価格2,500円前後で入手可能となっている。[[2009年]][[10月]]、日本でのジョニー・ウォーカーの輸入販売元が長きに渡って輸入販売を担当したディアジオジャパンから[[麒麟麦酒]]([[キリンールディングス]]傘下)<ref>当初は赤ラベルと黒ラベル12年のみ移行したが、後にダブルブラックと緑ラベル15年、金ラベル、プラチナラベルも順次移行した。</ref>に移行した<ref>Hughes, John (2005). ''Still Going Strong: A History of Scotch Whisky Advertising'', Tempus Publishing Ltd., ISBN 0-7524-3174-9</ref>。
[[第一次世界大戦]]の混乱を経た後の1925年にジョニーウォーカーブランドは、当時の酒造最大手であったディスティラーズ社(''Distillers Company'')の傘下に入った。1934年にジョニーウォーカーは[[御用達|英国王室御用達]](''royal warrant'')を拝命した。それから半世紀後の1986年にディスティラーズ社は[[ギネス|ギネス社]](''Guinness'')に買収された。その時期に'''青ラベル'''(最古年物)と'''黄金ラベル'''(18年物)が販売された。1997年に[[ギネス|ギネス社]]はグランドメトロポリタン社(''Grand Metropolitan'')と合併して世界最大手の酒造企業となる[[ディアジオ|ディアジオ社]](''Diageo'')が誕生した。その発足に合わせて'''緑ラベル'''(15年物)が発売された。現在のジョニーウォーカーのブランドオーナーはこの[[ディアジオ|ディアジオ社]]である。


== ブレンド ==
=== 日本国内 ===
日本では「ジョニ黒」「ジョニ赤」の愛称で親しまれており、昭和期の日本では庶民の憧れとして大衆文化にもしばしば登場した。1957年においてのジョニ黒の実売価格は1万円であり、こ当時の大卒初任給二ヶ月分に相当した。1985年頃になると海外旅行増加に伴う免税品の利用から入手しくなった。1989年消費税導入されると[[物品税]]とウイスキーの等級制度がそれぞれ廃止された事で更に購入しくなった。2017年現在においては2,500円前後で出来る。2009年10月、日本国内の輸入販売元が[[ディアジオ|ディアジオ・ジャパン]]から[[麒麟麦酒|キリンール]]<ref>当初は赤ラベルと黒ラベル12年のみ移行したが、後にダブルブラックと緑ラベル15年、金ラベル、プラチナラベルも順次移行した。</ref>に移行した<ref>Hughes, John (2005). ''Still Going Strong: A History of Scotch Whisky Advertising'', Tempus Publishing Ltd., ISBN 0-7524-3174-9</ref>。
[[1860年]]より前は[[モルト]]とグレーンウイスキーを混ぜることは違法だった{{要出典|date=2009年2月}}。その期間にジョン・ウォーカーはたくさんのウイスキーを売った。特に彼の「ウォーカーのキルマーノック・ウィスキー」 (Walker's Kilmarnock Whisky) である。


2018年3月には、[[アメリカ合衆国]]限定商品として女性版とも言える「ジェーン・ウォーカー」が発売された<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/economy/20180228-OYT1T50053.html 「ジョニ黒」の女性版、米で3月に限定発売]『読売新聞』朝刊2018年3月1日(国際面)</ref>。
[[1865年]]にジョンの息子アレクサンダーはウォーカー初のブレンド「ウォーカーのオールド・ハイランド 」(Walker’s Old Highland) を生産した。


== ブレンド一覧 ==
[[1906年]]から[[1909年]]はジョンの孫ジョージとアレクサンダー2世が製品を拡大して、色の名前で売り出した。[[第一次世界大戦]]中、「ジョニー・ウォーカー・ホワイト」を作り、[[1932年]]にはアレクサンダー2世が「ジョニー・ウォーカー・スイング」を発売した。下の表は様々なジョニー・ウォーカーのブレンドを並べ、生産の年と一番安いものから一番高いものまででまとめている。
=== カラーラベル ===
{| class="wikitable"
{| class="wikitable"
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32行目: 36行目:
! width="11%" | 1865 - 1905 !! width="12%" | 1906 - 1908 !! width="11%" | 1909 - 1911 !! width="7%" | 1912 - 1931 !! width="7%" | 1932 - 1991 !! width="7%" | 1992 - 1996 !! width="10%" |1997 - 2012 !! width="7%" | 2012 - 2016 !! width="10%" | 2016 - 現在
! width="11%" | 1865 - 1905 !! width="12%" | 1906 - 1908 !! width="11%" | 1909 - 1911 !! width="7%" | 1912 - 1931 !! width="7%" | 1932 - 1991 !! width="7%" | 1992 - 1996 !! width="10%" |1997 - 2012 !! width="7%" | 2012 - 2016 !! width="10%" | 2016 - 現在
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! '''ヤング'''<br /><span style="font-weight: normal">(ブレンデッド)
! 6年<br /><span style="font-weight: normal">(blended)
!
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| bgcolor="#ffffff" | オールド・ハイランド
| bgcolor="#ffffff" |<small>オールド・ハイランド</small>
| bgcolor="#ffffff" | ジョニー・ウォーカー<br />白ラベル
| bgcolor="#ffffff" | 白ラベル
! !! !! !! !! !!
! !! !! !! !! !!
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! none given<br /><span style="font-weight: normal">(ブレンデッド)
! 10年/不詳<br /><span style="font-weight: normal">(blended)
!
!
| bgcolor="#ffcccc" | スペシャル<br />オールド・ハイランド
| bgcolor="#ffcccc" |<small>スペシャル<br />オールド・ハイランド</small>
| colspan="7" bgcolor="#ffcccc" | ジョニー・ウォーカー<br />赤ラベル
| colspan="7" bgcolor="#ffcccc" | 赤ラベル
|- align="center"
|- align="center"
! 12年<br /><span style="font-weight: normal">(ブレンデッド)
! 12年<br /><span style="font-weight: normal">(blended)
| bgcolor="#cccccc" | ウォーカーの<br />オールド・ハイランド
| bgcolor="#cccccc" |<small>オールド・ハイランド</small>
| bgcolor="#cccccc" | エキストラ・スペシャル<br />オールドハイランド
| bgcolor="#cccccc" |<small>エキストラ・スペシャル<br />OH</small>
| colspan="7" bgcolor="#cccccc" | ジョニー・ウォーカー<br />黒ラベル
| colspan="7" bgcolor="#cccccc" | 黒ラベル
|- align="center"
|- align="center"
! 17年<br /><span style="font-weight: normal">(ブレンデッド)
! 不詳<br /><span style="font-weight: normal">(blended)
! || || || || || ||
| colspan="2" bgcolor="#aaaaaa" | ダブル黒ラベル
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! 不詳<br /><span style="font-weight: normal">(blended)
! || || ||
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| colspan="5" bgcolor="#ffff88" | ジョニー・ウォーカー<br />スイング
| colspan="5" bgcolor="#ffff88" | スイング
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! 15年<br />(ヴァッテッド)<span style="font-weight: normal">
! 15年<br /><span style="font-weight: normal">(vatted)<span style="font-weight: normal">
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| bgcolor="#99ff99" | ジョニー・ウォーカー<br />グリーンラベル
| bgcolor="#99ff99" | ラベル
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| bgcolor="#99ff99" | ジョニー・ウォーカー<br />グリーンラベル
| bgcolor="#99ff99" | ラベル
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! 15年<br /><span style="font-weight: normal">(ブレンデッド)
! 不詳<br /><span style="font-weight: normal">(blended)
! || || || || || ||
! || || || || || ||
| colspan="2" bgcolor="#ffcc00" | ジョニー・ウォーカー<br />ゴード・リザーブ
| colspan="2" bgcolor="#ffcc00" | 黄金ラベ補欠版
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! 18年<br /><span style="font-weight: normal">(ブレンデッド)
! 18年<br /><span style="font-weight: normal">(blended)
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| colspan="2" bgcolor="#ffcc00" | ジョニー・ウォーカー<br />ゴー
| colspan="2" bgcolor="#ffcc00" | 黄金ラベ
| colspan="2" bgcolor="#e5e4e2" | ジョニー・ウォーカー<br />プチナム
| colspan="2" bgcolor="#ffffcc" | 白金ベル
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! ベリー・オールド<br /><span style="font-weight: normal">(ブレンデッド)
! 最古年<br /><span style="font-weight: normal">(blended)
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| colspan="4" bgcolor="#99ccff" | ジョニー・ウォーカー<br />ブ
| colspan="4" bgcolor="#99ccff" | 青ラベ
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|}
|}
<gallery widths="96" heights="120" perrow="7">
* ジョニー・ウォーカー赤ラベル:グレーン・ウイスキーとモルト・ウイスキーのプレミアムブレンド。世界で最も売れているウイスキーでジョニー・ウォーカーの製品のなかで唯一、ほかの物と混ぜて飲むことを念頭においている製品である。
ファイル:Johnnie Walker Red Label.jpg|赤ラベル
* ジョニー・ウォーカー黒ラベル:40種類ものウイスキーの贅沢なブレンドで、そのどれもが12年以上熟成している。[[ウィンストン・チャーチル]]のお気に入りだったとも言われている。
ファイル:Johnnie Walker Black Label.jpg|黒ラベル
* ジョニー・ウォーカー・スイング:特徴的なボトルから名前がついた。底に厚みをつけて[[起き上がりこぼし]]のように作ってあり、揺すっても簡単には倒れない。アレクサンダー2世の最後のブレンド(ゴールドとブルーが基になっていると彼のメモにある)で、アメリカにはめったにない。
ファイル:Johnnie Walker Swing.jpg|スイング
* ジョニー・ウォーカー・グリーンラベル(ピュア・モルト)。ヴァッテッドモルト・ウイスキーで、約15種類のシングル・モルト・ウイスキーからなる。代表的なのはタリスカー、クラガンモア、リンクウッド、カリラなどの15年熟成したものである。2013年の春に一時廃止され、2016年8月に復活。
ファイル:JW Greens.jpg|緑ラベル
* ジョニー・ウォーカー・ゴールド・ラベル(ゴールドラベル・リザーブに改名):15種類以上のモルトを贅沢にブレンドしたブレンデッドウイスキー。本来とても珍しい[[スコッチ・ウイスキー#北ハイランド|クライヌリッシュ]] (Clynelish) ・モルトが基である。アレクサンダー2世のブレンドのメモが基になっている。アレクサンダー2世はジョニー・ウォーカー100周年を記念して、熟成したモルトの特別なブレンドを作りたいと強く思っていた。[[第一次世界大戦]]が起こり、モルトが不足して努力は実らなかった。[[1950年]]にアレクサンダー2世のノートを引き継いだマスター・ブレンダーが、それを使って彼に捧げるブレンドを作った。しかし[[第二次世界大戦]]が起こり、仕入れの問題でまたも中断した。現在ジョニー・ウォーカーは、稀少だが必要な熟成したモルトの在庫を確保し、この100周年のブレンドはついにゴールドラベルとして手に入るようになったが、ついにモルトがなくなり販売を中止。新ゴールドとして年数を下げてグリーンラベルの価格帯で販売するようになった。
ファイル:Johnnie Walker Gold Label.jpg|黄金ラベル
* ジョニー・ウォーカー・プラチナム・ラベル:貴重な貯蔵庫から選び抜かれた18年以上熟成のシングルモルトと、グレンウイスキーをブレンドして誕生した新ラベル。位置的には旧ゴールドの位置に値する。味わい的には甘さとエレガントさとスモーキーさが絶妙なバランスを保ち、深く、リッチでありながらスムース。
ファイル:Webysther 201503211457450661 - Johnnie Walker Platinum Label, garrafa e Caixa.jpg|白金ラベル
* ジョニー・ウォーカー・ブルー・ラベル:ジョニー・ウォーカーの究極のブレンド。すべてのボトルにシリアルナンバーがついていて、[[絹|シルク]]の裏地の箱で売っている。証明書がついている。年数は書いていないが、50年から60年熟成させたウイスキーが多種類ブレンドされていると言われる。
ファイル:JW Blue Label.jpg|青ラベル
* ジョニー・ウォーカー・ブルー・ラベル200周年記念:[[2005年]]にジョニー・ウォーカーの究極のブレンドの究極のボトルとして造られた。ブルー・ラベルのカスク・ストレングスを特別に放出し、四角い[[バカラ (ガラス)|バカラ]]社製の[[水晶]]の[[デカンタ]]に瓶詰めされた。デカンタはシルクの裏地の革の箱に収まり特別の文書がついていた。超限定商品で4000ドル前後で売られた。
</gallery>
* ジョニー・ウォーカー・スパイスロード:2012年11月発売に発売された、ジョニー・ウォーカー・エクスプロラーズ・クラブ・コレクションの第1弾。トレードルート・シリーズの3つの中の最初のブレンドであり、偉大な交易路で発見された豊かさから着想された。ジョニーウォーカーのエージェントがアジアのにぎやかな市場で見つけたであろう活気、アロマ、スパイスなどを呼び起こさせるものになっている。このウイスキーは古い[[オーク]][[樽]]の中で熟成させ、スパイス市場を思い起こさせる強い仕上がりの素晴らしい口当たりの良さと豊かな香りを持っているが、依然としてジョニーウォーカー伝統に則っている。ボトルの口は白酒にように細くなっており、一度に大量に出ないようになっている。免税店限定販売品である。尚エクスプロラーズ・クラブ・コレクションは全て[[免税店]]販売限定品となる予定である。

* ジョニーウォーカー・ゴールド・ルート:2013年3月7日発売された、ジョニー・ウォーカー・エクスプロラーズ・クラブ・コレクションの第2弾。ウォーカー家やエージェントたちが新しいビジネスや豊かな冒険を求め、[[中央アメリカ]]から[[太平洋]]沿岸を南下して、[[インカ帝国]][[ピラミッド]][[遺跡]]を望見したり、[[アンデス山脈]]の山々を旅したりしながら目にした雄大な眺望、多様な文化の旅に着想を得た。最高級の熟成したウイスキーを精選してブレンドし、豊かな滑らかさ、さわやかな香りを創り出し、口に含むとこの地方独特の果物の香り、美しく、豊かな金色のイメージが広がる。免税店限定販売品である。
; ホワイト・ラベル
* ジョニーウォーカー・ロイヤル・ルート:2013年後半に販されたジョニーウォーカー・エクスプロラーズ・クラブ・コレクションの第3弾。こちらも免税店限定商品であり、スパイスロードから始まったエクスプロラーズ・クラブ・コレクションの最終ある。ロイヤルルートは極東から地中海を結ぶシルクロードをイメージして作られた。マスターブレンダーはこの異国情緒に刺激を受け、深く印象的な味わい、そして非常に調和の取れたバランスに作り上げ、ザーブセラーからの最高級のオーク樽で熟成した。フルーツ、トフィ、ウッディといったフレーバーがバランスよく調和し、わずかにアロマティックなスモークも感じられる。
: 1909年に6年物として登場した。第一次世界大戦中に販売終了した。
; レッド・ラベル
: グレーンウイスキーとモルトウイスキーのブレンデッドであり、1909年の販売当初は10年物とされたが、後に不詳となった。1945年以降の世界で最も売れているウイスキーと言われている。
; ブラック・ラベル
: 数多くの原酒を配合した贅沢なブレンデッドであり、そのどれもが12年以上熟成している。1909年に12年物として発売されて以来、世界で最も売れているスコッチウイスキーである。
; ダブルブラック・ラベル
: 元は旅行客向け小売品(免税店用)だったが、好評を博した事で2011年からブラックラベルの試作版スタイルで販売されるようになった。ブラックラベルの風味に加えてスモーキーフレーバーの豊かさが特徴とされている。
; スイング
: 他のラベル品と異なる特徴的な壷状のボトルからこの名前がついた。ボトル底面の細工により振動に合わせてゆっくりと揺らいで倒れない。豪華客船の旅の中で考案されたと言われる。創業三代目アレクサンダー2世がこだわりを持って最後に製造したブレンデッドであり、スペイサイドモルトをベースにしている。1932年から販売された。スイングは”揺れ動く”と共に”洗練された”という意味も持つ。
; グリーン・ラベル
: 親会社となる[[ディアジオ|ディアジオ社]]の発足に合わせて、1997年に'''ピュアモルト15年物'''(''Pure Malt 15 Year Old'')の銘柄で発売され、2004年にグリーンラベルとなった。ジョニーウォーカーラベルの中で唯一のヴァッテッドモルトであり、タリスカー、クラガンモア、リンクウッド、カリラといった15年以上熟成のシングルモルトがブレンドされている。当時のピュアモルト人気の高まりが背景にあるが、創業者ジョン・ウォーカーの製造スタイルを復古したものとも言える。2013年春に一時販売中止されたが、2016年8月に復帰した。また、カリラ、クライヌリッシュ、グレンキンチー、カーデュをブレンドした'''アイランド・グリーン'''(''Island Green'')ラベルも公開された。
; ゴールド・ラベル
: 18年以上熟成の貴重な原酒を配合した最高級のブレンデッド。クライヌリッシュモルトをベースにして、選び抜かれた数多くの原酒が加えられている。創業三代目アレクサンダー2世が遺していたレシピノートから誕生した。彼は1905年の創業者ジョン・ウォーカー生誕100周年を記念するウイスキーの開発を志していたが、大戦勃発などの様々な事情で結局その目的は果たせなかった。必要な熟成モルトがようやく確保されて、この特別なブレンデッドが日の目を迎える事になったのは親会社が[[ギネス|ギネス社]]となった後の1990年代に入ってからであり、ゴールドラベルと銘打たれた。
; ゴールド・ラベル・リザーブ
:製造に必要な熟成モルトがなくなった事で生産中止を余儀なくされたゴールドラベルの代理品として、2013年から販売されるようになった。熟成年数が不詳になった事で補欠を意味するリザーブの接尾辞が付いた。価格も下がり、グリーンラベルと同程度になった。
; プラチナ・ラベル
: スペイサイド、ハイランド、アイランズといった幅広い地域から集められた18年以上熟成の厳選シングルモルトとグレーンウイスキーのブレンデッドである。歴代マスターブレンダーのプライベートレシピを基にして編み出されたとされ、ジョニーウォーカーの集大成的ブレンドとも言える。2012年からゴールドラベルの後継品として販売開始され、2017年から'''18年物'''(''Aged 18 Years'')と改称された。
; ブルー・ラベル
: ジョニーウォーカー究極のブレンデッドである。全てのボトルに製造番号が刻印され、シルクを裏地にした贈答箱に収められている。熟成年数は明記されてないが、ジョニーウォーカー秘蔵の貯蔵樽の中から取り出された数々の貴重な精選原酒が使われており、それらは15年から60年の熟成物と言われる。創業二代目アレクサンダー・ウォーカーが製造していた19世紀当時の至高の風味の再現を目指して開発された。親会社が[[ギネス|ギネス社]]となった直後の1980年代後半に'''最古年物'''(''John Walker's Oldest'')の銘柄で発売され、1992年頃にブルーラベルとなった。
:ブルーラベルは元々、ジョニーウォーカーが[[御用達|英国王室御用達]]となった1934年に製造された'''国王ジョージ5世記念版'''(''John Walker & Sons King George V Scotch Whisky'')に用いられた名誉ある色であり、その栄光を復古したものとも言える。2005年に数量限定販売された'''ジョン・ウォーカー生誕200周年記念版'''(''Johnnie Walker Blue Label 200th Anniversary'')にもブルーラベルが使われた。これは水晶製[[デカンタ]]に封入され豪華な贈答箱に収められて4000ドル前後の値段が付けられた。
<br/>

=== 限定版 ===
; ブレンダーズバッチ(''Blenders' Batch'')
:; レッドライ・フィニッシュ
:: 第一弾。可能な限り少ない種類のモルトウイスキーと、[[バーボン・ウイスキー|バーボン]]用貯蔵樽で熟成されたグレーンウイスキーをブレンドし、それを更に[[ライ・ウイスキー]]用貯蔵樽で6ヶ月間寝かせた作品。最少の組み合わせで最高の風味を生み出すべく、200種類以上の原酒を用いて50回以上の試作を繰り返したという。
:; トリプルグレイン・アメリカンオーク
:: 第二弾。大麦原酒、小麦原酒、トウモロコシ原酒、モートラックモルト、カーデュモルトのそれぞれをアメリカ産オーク樽で10年熟成させてブレンドした作品。グレーンウイスキーの秘める可能性を世の中に問うべく生み出された。
:; ワインカスク・ブレンド
:: 第三弾。様々なワイン用貯蔵樽の中で熟成させた数々のウイスキーをブレンドした作品。より軽やかで優美な味わいを実現するべく、女性ブレンダーによって開発された。上記の様にブレンダーズバッチは熟成樽に軸を置く風味の構成を目指した作品群とも言えた。
<br/>
; エクスプロラーズクラブ・コレクション(''Explorer's Club Collection'')
:; スパイス・ロード
:: 2012年11月発売の第1弾。トレードルート・シリーズ三品の最初のブレンドであり、偉大な交易路で発見された豊かさから着想された。ジョニーウォーカーのエージェントがアジアのにぎやかな市場で見つけたであろう活気、アロマ、スパイスなどを呼び起こさせるものになっている。このウイスキーは古い[[オーク|オーク樽]]の中で熟成させ、スパイス市場を思い起こさせる強い仕上がりの素晴らしい口当たりの良さと豊かな香りを持っているが、依然としてジョニーウォーカー伝統に則っている。ボトルの口は白酒にように細くなっており、一度に大量に出ないようになっている。なおこのコレクションは全て[[免税店]]用の限定品となる予定である。
:; ゴールド・ルート
:: 2013年3月7日発売の第2弾。ウォーカー家やエージェントたちが新しいビジネスや豊かな冒険を求め、中央アメリカから太平洋沿岸を南下して、インカ帝国のピラミッド遺跡を望見したり、アンデス山脈の山々を旅したりしながら目にした雄大な眺望、多様な文化の旅に着想を得た。最高級の熟成したウイスキーを精選してブレンドし、豊かな滑らかさ、さわやかな香りを創り出し、口に含むとこの地方独特の果物の香り、美しく、豊かな金色のイメージが広がる。
:; ロイヤル・ルート
:: 2013年後半売の第3弾。スパイスロードから始まったコレクションの最終である。ロイヤルルートは極東から地中海を結ぶシルクロードをイメージして作られた。マスターブレンダーはこの異国情緒に刺激を受け、深く印象的な味わい、そして非常に調和の取れたバランスに作り上げ、ザーブセラーからの最高級のオーク樽で熟成した。フルーツ、トフィ、ウッディといったフレーバーがバランスよく調和し、わずかにアロマティックなスモークも感じられる。


== 大衆文化の中のジョニー・ウォーカー ==
== 大衆文化関連 ==
[[ファイル:Tom Browne07.jpg|サムネイル|213x213ピクセル|村上春樹の世界のジョニーウォーカー]]
[[Image:Johnnie Walker Black Label Limited edition2.JPG|thumb|Black Label, Limited edition for F1 team McLaren Mercedes]]
[[Image:Mika_Hakkinen_2006_Goodwood.jpg|thumb|ジョニー・ウォーカーペイントが施された[[マクラーレン・MP4-21]]]]
[[Image:Mika_Hakkinen_2006_Goodwood.jpg|thumb|JWロゴの[[マクラーレン・MP4-21|マクラーレンMP4-21]]|代替文=|160x160ピクセル]]
[[Image:Johnnie Walker Black Label Limited edition2.JPG|thumb|F1マクラーレン記念版黒ラベル|代替文=|213x213ピクセル]]
* [[ロン・ホワイト]]は演技中にジョニー・ウォーカー・黒ラベルを飲む。
* [[ロン・ホワイト]]は演技中にジョニー・ウォーカー・黒ラベルを飲む。
* [[村上春樹]]の『[[海辺のカフカ]]』では「ジョニー・ウォーカー」と名乗る人物が登場する。いでたちは赤いジャケットとブーツ、ステッキ、蝶ネクタイで、ラベルの人物に扮していた。
* [[村上春樹]]の『[[海辺のカフカ]]』では「ジョニー・ウォーカー」と名乗る人物が登場する。いでたちは赤いジャケットとブーツ、ステッキ、蝶ネクタイで、ラベルの人物に扮していた。
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* 『昭和16年夏の敗戦』([[猪瀬直樹]]著) には当時、[[総力戦研究所]]研究員だった[[今泉兼寛]]が視察旅行で[[タイ王国|タイ]]へ入国した際のエピソードとして、既に日本では入手が困難になっていたジョニーウォーカーがユニオンジャック([[イギリスの国旗]])のラベルを貼られて横溢している様を目にして、「イギリスの国力及び海軍力の誇示と総力戦の一端を見せつけられた思いがした」旨を語っている。
* 『昭和16年夏の敗戦』([[猪瀬直樹]]著) には当時、[[総力戦研究所]]研究員だった[[今泉兼寛]]が視察旅行で[[タイ王国|タイ]]へ入国した際のエピソードとして、既に日本では入手が困難になっていたジョニーウォーカーがユニオンジャック([[イギリスの国旗]])のラベルを貼られて横溢している様を目にして、「イギリスの国力及び海軍力の誇示と総力戦の一端を見せつけられた思いがした」旨を語っている。


== その他 ==
== その他逸話 ==
[[2006年]]、ジョニー・ウォーカーは[[レバノン]]、[[ベイルート]]のビルにかけた巨大な広告でニュースになった。広告は、国が被害を受け困難を余儀なくされている人々に同情し励ましているが、窮状の原因が何であるかは示していない。これを紛争の片側に味方していると見る人もいる。同じ広告は北[[イスラエル]]にかかっていないからである<ref> [http://bloggingbeirut.com/archives/679-WAR-ADs-Johnnie-Walker-Keep-Walking.html ベイルートの広告の写真あり]</ref>。
[[2006年]]、ジョニー・ウォーカーは[[レバノン]]、[[ベイルート]]のビルにかけた巨大な広告でニュースになった。広告は、国が被害を受け困難を余儀なくされている人々に同情し励ましているが、窮状の原因が何であるかは示していない。これを紛争の片側に味方していると見る人もいる。同じ広告は北[[イスラエル]]にかかっていないからである<ref> [http://bloggingbeirut.com/archives/679-WAR-ADs-Johnnie-Walker-Keep-Walking.html ベイルートの広告の写真あり]</ref>。



2019年1月14日 (月) 03:16時点における版

ジョニーウォーカー・黒ラベル

ジョニー・ウォーカーJohnnie Walker)は、世界的に有名なスコッチ・ウイスキーブランドである。1820年にスコットランド南部のキルマーノックKilmarnock)の地で当初は食料雑貨店として創業され、1830年頃からウイスキー製造を開始し、1909年から創業者ジョンの愛称に因んだジョニー・ウォーカーのブランド名で販売されるようになった。

世界で最も普及しているスコッチ・ウイスキーの銘柄として知られ、世界中のあらゆる国々で流通し、年間2億本以上のボトルが出荷されている。現在のジョニー・ウォーカーはイギリスの酒造企業・ディアジオ社が抱えるブランドの一つとなっている。

歴史

食料雑貨店開業(1820~1857)

創業者ジョン・ウォーカー

創業者ジョン・ウォーカーJohn Walker)は、1805年にスコットランドキルマーノックの町で生まれた。1819年に農場経営者である父親を亡くし、運営が困難となった農場を売却したウォーカー家は、その資金で翌1820年に食料雑貨店をキルマーノックの大通りに開いた。これがウォーカー社の創業とされ、当時若干15歳のジョンは家族の大黒柱として店を切り盛りした。1823年に酒税引き下げの機会を得たジョンは様々なアルコール飲料を販売して利益を上げた。1825年以降になるとウイスキー販売を事業の中心にするようになり、またジョン自身も蒸留所を開設した後に他の蒸留所とも取引してヴァッテッドモルトのスコッチウイスキーを製造するようになった。これはウォーカーズ・キルマーノックWalker's Kilmarnock Whisky)と名付けられて一定の知名度を獲得した。ジョンは1857年に死去し、息子のアレクサンダーが事業を引き継いだ。

「ジョン・ウォーカーはウイスキー製造の礎を築いたが、それを世界的なブランドにまで高めたのは息子のアレクサンダーと孫のアレクサンダー2世の功績である。ジョンはウイスキー製造と並行して様々な酒類をも取り扱っていた。アレクサンダーは小売販売をやめて自家製造と卸売業に専念すべきだと父親を説得した。ジョン時代のウイスキー製造事業は会社利益の8%を占めるに過ぎなかったが、アレクサンダー時代には会社が急成長する中で利益の90%以上を稼ぎ出す様になった。」(引用:Giles MacDonogh

酒造事業の拡大(1858~1908)

二代目アレクサンダー・ウォーカー

二代目アレクサンダー・ウォーカーAlexander Walker)は、キルマーノックの町に鉄道が開通したのを好機と受け止め、ウォーカーズ・キルマーノックの生産設備を拡充した後に流通販売網を広げて大きな利益を上げた。今日の象徴的な四角いボトルはこの1860年頃に発案されており、荷箱に隙間無く詰め込めるようにして大量輸送を助ける為だった。またボトル幅の狭さに合わせてラベルを斜めに貼るようにした。1865年には、より大量の生産に対応するべくブレンデッドのスコッチウイスキーに切り替える事を決めて、ヴァッテッドモルトのウォーカーズ・キルマーノックにグレーンウイスキーをブレンドしたオールドハイランド(Walker’s Old Highland)の製造を開始し、これが現在に繋がるジョニーウォーカーの原型となった。ウイスキー製造事業の基盤を拡大したアレクサンダーは1889年に没し、その息子であるジョージとアレクサンダー2世が後を継いだ。

ブランドの発足(1909~1924)

ジョニーウォーカー社

三代目のジョージGeorge Paterson Walker)とアレクサンダー2世Alexander Walker II)は、1909年にオールドハイランドを改称してジョニーウォーカーJohnnie Walker)のブランドを立ち上げた。これは創業者である祖父ジョンの愛称に因んだものであり、ブランドロゴに描かれているシルクハットを被り赤いテイルコートを着てステッキを片手に大股で歩く男性は、洒落者として知られていた在りし日のジョンの姿であった。白ラベル(6年物)、赤ラベル(10年物)、黒ラベル(12年物)の三色が世に送り出され、ジョニーウォーカーはイギリス国内のみならず海外にも広まった。事業の急成長とウイスキーの生産拡大に伴い、経営面を担当するジョージはスコットランド各地の蒸留所を次々と買収した。製造面を担当するアレクサンダー2世は1920年にウイスキー分野での功労を認められて英国王室からナイトに叙任された。

運営会社の変遷(1925~現在)

第一次世界大戦の混乱を経た後の1925年にジョニーウォーカーブランドは、当時の酒造最大手であったディスティラーズ社(Distillers Company)の傘下に入った。1934年にジョニーウォーカーは英国王室御用達royal warrant)を拝命した。それから半世紀後の1986年にディスティラーズ社はギネス社Guinness)に買収された。その時期に青ラベル(最古年物)と黄金ラベル(18年物)が販売された。1997年にギネス社はグランドメトロポリタン社(Grand Metropolitan)と合併して世界最大手の酒造企業となるディアジオ社Diageo)が誕生した。その発足に合わせて緑ラベル(15年物)が発売された。現在のジョニーウォーカーのブランドオーナーはこのディアジオ社である。

日本国内

日本では「ジョニ黒」「ジョニ赤」の愛称で親しまれており、昭和期の日本では庶民の憧れとして大衆文化にもしばしば登場した。1957年においてのジョニ黒の実売価格は1万円であり、これは当時の大卒初任給二ヶ月分に相当した。1985年頃になると海外旅行者の増加に伴う免税品の利用から入手し易くなった。1989年に消費税が導入されると物品税とウイスキーの等級制度がそれぞれ廃止された事で更に購入し易くなった。2017年の現在においては2,500円前後で購入出来る。2009年10月、日本国内の輸入販売元がディアジオ・ジャパンからキリンビール[1]に移行した[2]

2018年3月には、アメリカ合衆国限定商品として女性版とも言える「ジェーン・ウォーカー」が発売された[3]

ブレンド一覧

カラーラベル

Age 1865 - 1905 1906 - 1908 1909 - 1911 1912 - 1931 1932 - 1991 1992 - 1996 1997 - 2012 2012 - 2016 2016 - 現在
6年
(blended)
オールド・ハイランド 白ラベル
10年/不詳
(blended)
スペシャル・
オールド・ハイランド
赤ラベル
12年
(blended)
オールド・ハイランド エキストラ・スペシャル・
O・H
黒ラベル
不詳
(blended)
ダブル黒ラベル
不詳
(blended)
スイング
15年
(vatted)
緑ラベル 緑ラベル
不詳
(blended)
黄金ラベル補欠版
18年
(blended)
黄金ラベル 白金ラベル
最古年
(blended)
青ラベル
ホワイト・ラベル
1909年に6年物として登場した。第一次世界大戦中に販売終了した。
レッド・ラベル
グレーンウイスキーとモルトウイスキーのブレンデッドであり、1909年の販売当初は10年物とされたが、後に不詳となった。1945年以降の世界で最も売れているウイスキーと言われている。
ブラック・ラベル
数多くの原酒を配合した贅沢なブレンデッドであり、そのどれもが12年以上熟成している。1909年に12年物として発売されて以来、世界で最も売れているスコッチウイスキーである。
ダブルブラック・ラベル
元は旅行客向け小売品(免税店用)だったが、好評を博した事で2011年からブラックラベルの試作版スタイルで販売されるようになった。ブラックラベルの風味に加えてスモーキーフレーバーの豊かさが特徴とされている。
スイング
他のラベル品と異なる特徴的な壷状のボトルからこの名前がついた。ボトル底面の細工により振動に合わせてゆっくりと揺らいで倒れない。豪華客船の旅の中で考案されたと言われる。創業三代目アレクサンダー2世がこだわりを持って最後に製造したブレンデッドであり、スペイサイドモルトをベースにしている。1932年から販売された。スイングは”揺れ動く”と共に”洗練された”という意味も持つ。
グリーン・ラベル
親会社となるディアジオ社の発足に合わせて、1997年にピュアモルト15年物Pure Malt 15 Year Old)の銘柄で発売され、2004年にグリーンラベルとなった。ジョニーウォーカーラベルの中で唯一のヴァッテッドモルトであり、タリスカー、クラガンモア、リンクウッド、カリラといった15年以上熟成のシングルモルトがブレンドされている。当時のピュアモルト人気の高まりが背景にあるが、創業者ジョン・ウォーカーの製造スタイルを復古したものとも言える。2013年春に一時販売中止されたが、2016年8月に復帰した。また、カリラ、クライヌリッシュ、グレンキンチー、カーデュをブレンドしたアイランド・グリーンIsland Green)ラベルも公開された。
ゴールド・ラベル
18年以上熟成の貴重な原酒を配合した最高級のブレンデッド。クライヌリッシュモルトをベースにして、選び抜かれた数多くの原酒が加えられている。創業三代目アレクサンダー2世が遺していたレシピノートから誕生した。彼は1905年の創業者ジョン・ウォーカー生誕100周年を記念するウイスキーの開発を志していたが、大戦勃発などの様々な事情で結局その目的は果たせなかった。必要な熟成モルトがようやく確保されて、この特別なブレンデッドが日の目を迎える事になったのは親会社がギネス社となった後の1990年代に入ってからであり、ゴールドラベルと銘打たれた。
ゴールド・ラベル・リザーブ
製造に必要な熟成モルトがなくなった事で生産中止を余儀なくされたゴールドラベルの代理品として、2013年から販売されるようになった。熟成年数が不詳になった事で補欠を意味するリザーブの接尾辞が付いた。価格も下がり、グリーンラベルと同程度になった。
プラチナ・ラベル
スペイサイド、ハイランド、アイランズといった幅広い地域から集められた18年以上熟成の厳選シングルモルトとグレーンウイスキーのブレンデッドである。歴代マスターブレンダーのプライベートレシピを基にして編み出されたとされ、ジョニーウォーカーの集大成的ブレンドとも言える。2012年からゴールドラベルの後継品として販売開始され、2017年から18年物Aged 18 Years)と改称された。
ブルー・ラベル
ジョニーウォーカー究極のブレンデッドである。全てのボトルに製造番号が刻印され、シルクを裏地にした贈答箱に収められている。熟成年数は明記されてないが、ジョニーウォーカー秘蔵の貯蔵樽の中から取り出された数々の貴重な精選原酒が使われており、それらは15年から60年の熟成物と言われる。創業二代目アレクサンダー・ウォーカーが製造していた19世紀当時の至高の風味の再現を目指して開発された。親会社がギネス社となった直後の1980年代後半に最古年物John Walker's Oldest)の銘柄で発売され、1992年頃にブルーラベルとなった。
ブルーラベルは元々、ジョニーウォーカーが英国王室御用達となった1934年に製造された国王ジョージ5世記念版John Walker & Sons King George V Scotch Whisky)に用いられた名誉ある色であり、その栄光を復古したものとも言える。2005年に数量限定販売されたジョン・ウォーカー生誕200周年記念版Johnnie Walker Blue Label 200th Anniversary)にもブルーラベルが使われた。これは水晶製デカンタに封入され豪華な贈答箱に収められて4000ドル前後の値段が付けられた。


限定版

ブレンダーズバッチ(Blenders' Batch
レッドライ・フィニッシュ
第一弾。可能な限り少ない種類のモルトウイスキーと、バーボン用貯蔵樽で熟成されたグレーンウイスキーをブレンドし、それを更にライ・ウイスキー用貯蔵樽で6ヶ月間寝かせた作品。最少の組み合わせで最高の風味を生み出すべく、200種類以上の原酒を用いて50回以上の試作を繰り返したという。
トリプルグレイン・アメリカンオーク
第二弾。大麦原酒、小麦原酒、トウモロコシ原酒、モートラックモルト、カーデュモルトのそれぞれをアメリカ産オーク樽で10年熟成させてブレンドした作品。グレーンウイスキーの秘める可能性を世の中に問うべく生み出された。
ワインカスク・ブレンド
第三弾。様々なワイン用貯蔵樽の中で熟成させた数々のウイスキーをブレンドした作品。より軽やかで優美な味わいを実現するべく、女性ブレンダーによって開発された。上記の様にブレンダーズバッチは熟成樽に軸を置く風味の構成を目指した作品群とも言えた。


エクスプロラーズクラブ・コレクション(Explorer's Club Collection
スパイス・ロード
2012年11月発売の第1弾。トレードルート・シリーズ三品の最初のブレンドであり、偉大な交易路で発見された豊かさから着想された。ジョニーウォーカーのエージェントがアジアのにぎやかな市場で見つけたであろう活気、アロマ、スパイスなどを呼び起こさせるものになっている。このウイスキーは古いオーク樽の中で熟成させ、スパイス市場を思い起こさせる強い仕上がりの素晴らしい口当たりの良さと豊かな香りを持っているが、依然としてジョニーウォーカー伝統に則っている。ボトルの口は白酒にように細くなっており、一度に大量に出ないようになっている。なお、このコレクションは全て免税店用の限定品となる予定である。
ゴールド・ルート
2013年3月7日発売の第2弾。ウォーカー家やエージェントたちが新しいビジネスや豊かな冒険を求め、中央アメリカから太平洋沿岸を南下して、インカ帝国のピラミッド遺跡を望見したり、アンデス山脈の山々を旅したりしながら目にした雄大な眺望、多様な文化の旅に着想を得た。最高級の熟成したウイスキーを精選してブレンドし、豊かな滑らかさ、さわやかな香りを創り出し、口に含むとこの地方独特の果物の香り、美しく、豊かな金色のイメージが広がる。
ロイヤル・ルート
2013年後半発売の第3弾。スパイス・ロードから始まったコレクションの最終作である。ロイヤル・ルートは極東から地中海を結ぶシルクロードをイメージして作られた。マスターブレンダーはこの異国情緒に刺激を受け、深く印象的な味わい、そして非常に調和の取れたバランスに作り上げ、ザーブセラーからの最高級のオーク樽で熟成した。フルーツ、トフィ、ウッディといったフレーバーがバランスよく調和し、わずかにアロマティックなスモークも感じられる。

大衆文化との関連

村上春樹の世界のジョニーウォーカー
JWロゴのマクラーレンMP4-21
F1マクラーレン記念版黒ラベル

その他逸話

2006年、ジョニー・ウォーカーはレバノンベイルートのビルにかけた巨大な広告でニュースになった。広告は、国が被害を受け困難を余儀なくされている人々に同情し励ましているが、窮状の原因が何であるかは示していない。これを紛争の片側に味方していると見る人もいる。同じ広告は北イスラエルにかかっていないからである[5]

関連項目

外部リンク

参照

脚注

  1. ^ 当初は赤ラベルと黒ラベル12年のみ移行したが、後にダブルブラックと緑ラベル15年、金ラベル、プラチナラベルも順次移行した。
  2. ^ Hughes, John (2005). Still Going Strong: A History of Scotch Whisky Advertising, Tempus Publishing Ltd., ISBN 0-7524-3174-9
  3. ^ 「ジョニ黒」の女性版、米で3月に限定発売『読売新聞』朝刊2018年3月1日(国際面)
  4. ^ 朝日新聞be編集グループ編『サザエさんをさがして』(朝日新聞出版、2005年)、pp.130-133
  5. ^ ベイルートの広告の写真あり