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「著作権法の判例一覧 (アメリカ合衆国)」の版間の差分

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{{Pathnav|知的財産権|著作権|著作権法 (アメリカ合衆国)|frame=1}}
{{改名提案|アメリカ合衆国における著作権法の判例一覧|t=ノート:著作権法の判例一覧 (欧州)|date=2024-12-23}}{{Pathnav|知的財産権|著作権|著作権法 (アメリカ合衆国)|frame=1}}
[[File:Oscar Wilde MET DP136272.jpg|thumb|作家[[オスカー・ワイルド]]を撮影した写真の著作権侵害を巡る裁判。最高裁は1884年、この写真に著作物性を認めた{{Sfn|山本|2008|pp=52–54}}。]]
'''アメリカ合衆国著作権法の判例一覧''' ({{Lang-en|List of United States copyright case law}}) では、[[著作権法 (アメリカ合衆国)|米国著作権法]]に関連した[[判例]]のうち、特筆性のあるものを解説する。
'''アメリカ合衆国著作権法の判例一覧'''(アメリカがっしゅうこくちょさくけんほうのはんれいいちらん)では、[[著作権法 (アメリカ合衆国)|米国著作権法]]に関連した[[判例]]をまとめる。2008年からの10年間を例にとると、米国内で年3000件前後と多くの著作権関連案件が[[アメリカ合衆国連邦裁判所|連邦裁判所]]に新規提訴されていることから{{Efn2|アダルト映画製作Malibu Mediaの1社だけで2012年から2016年の間に累計5000件以上提訴していることから、この5年間の総件数の上振れ特殊要因となっている{{R|BloombergBNA|SyracuseU}}。「年3000件前後」との記述からはこの上振れ要因を除いている。}}、法学の専門家によって言及・解説されるなど、特筆性の認められる判例に絞って本項で取り上げる。米国著作権法には[[アメリカ法#連邦法の優位性|連邦法と州法]]が存在し、二重に権利が保護されているが{{Sfn|白鳥|2004|p=3}}、両者の間で矛盾する場合は連邦法としての著作権法 ([[合衆国法典]]第17編に収録) が優先されることから{{Efn2|これは[[アメリカ合衆国憲法#第6条 (Article VI)|合衆国憲法]] 第6編第2項の「{{仮リンク|連邦優位条項|en|Supremacy Clause}}{{R|Imai1957|page1=103}}」({{Lang|en|Supremacy Clause}}、別称: 最高法規条項{{Sfn|白鳥|2004|pp=4–5}}) が適用されるためである{{Sfn|白鳥|2004|pp=4–5}}。}}、以下では特記のない限りは連邦法について述べる。


なお、米国は著作権の各種国際条約に加盟しており{{Efn2|詳細は[[著作権法 (アメリカ合衆国)#国際条約の加盟状況]]も参照のこと。米国著作権法第101条 (各種用語の定義) でも、「条約」の内訳が規定されている。たとえば[[ベルヌ条約]]に米国は1988年に加入し、1989年3月1日から施行している{{R|BerneConv-WIPO-2}}。}}、これに従って [https://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section104&num=0&edition=prelim 第104条] では、条約加盟国で発行された外国著作物に対しても米国著作権法によって保護を与えると定められている。したがって、国をまたいで流通する著作物についても、米国連邦裁判所の判決が実際に存在する。
== 判例の特徴 ==
2008年からの10年間を見ると、米国内で年3000件前後の著作権侵害案件が提訴されている<ref group="註">アダルト映画製作Malibu Mediaの1社だけで2012年から2016年の間に累計5000件以上提訴していることから、この5年間の総件数の上振れ特殊要因となっている。</ref>。特にメディア・エンターテイメント業界が集積する[[カリフォルニア州]] (C.D. Cal. およびN.D. Cal.) と[[ニューヨーク州]] (S.D. N.Y. およびE.D. N.Y.) の件数が多い<ref name=BloombergBNA>{{Cite web |url=https://www.bna.com/patent-copyright-lawsuit-n73014449878/ |title=Patent, Copyright Lawsuit Volumes Fall in 2016 |last=Nayak |first=Malathi |publisher=[[Bloomberg]] BNA |date=2017-01-17 |accessdate=2019-05-13}}</ref><ref name=SyracuseU>{{Cite web |url=https://trac.syr.edu/tracreports/civil/483/ |title=Fewer Copyright Infringement Lawsuits Filed |publisher=[[シラキューズ大学]] |date=2017-09-29 |accessdate=2019-05-13}}</ref>。


== 判例の特徴 ==
判例の多い争点としては、[[フェアユース]] (fair use、公正利用) が挙げられる。一般的には、著作権者に無断で著作物を第三者が利用した場合、著作権侵害となる。しかし合衆国法典第17編[http://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section107&num=0&edition=prelim 第107条]に基づき「批評、解説、ニュース報道、教育、研究または調査」などの利用シーンで
米国著作権法における司法判断の特徴として、[[フェアユース]] ({{Lang|en|fair use}}、公正利用) の[[法理]]が挙げられる{{Sfn|作花|2018|pp=853&ndash;870}}。一般的には、著作権者に無断で著作物を第三者が利用した場合、著作権侵害となる。しかし合衆国法典第17編 [http://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section107&num=0&edition=prelim 第107条] に基づき「批評、解説、ニュース報道、教育、研究または調査」などの利用シーンで{{Efn2|第107条の条文では{{Lang|en|including}}や{{Lang|en|such as}}といった表現が使われていることから、これら利用シーンや考慮点はあくまで例示である点に留意が必要である。用語の定義が記された第101条において、''"{{Lang|en|The terms "including" and "such as" are illustrative and not limitative.}}"'' ({{Lang|en|including}}や{{Lang|en|such as}}といった表現は例示であり、例以外を排除するものではない) と記されている。}}
#「使用の目的」(非営利の教育など)
#「使用の目的・性質」(非営利の教育など)
#「著作物の内容」
#「著作物の内容」
#「量・質の両側面から著作物が使用された割合」
#「量・質の両側面から著作物が用された割合」
#「使用によって著作物の市場価値にどの程度影響を及ぼすか」
#「用によって著作物の市場価値にどの程度影響を及ぼすか」(市場代替性)
の4基準などを総合的に考慮して、著作権侵害に当たらないフェアユースであると判示されることがある。このうち第1基準については、原著作物を利用したいわゆる[[パロディ#パロディに対する法的取り扱い|パロディ]]の著作権侵害を巡って、被告側がフェアユースで抗弁することもある。これは第1基準で「{{仮リンク|変形的利用|en|Transformativeness}}」(transformative use、transformativeness) が認められているからである。
の4基準などを総合的に考慮して、著作権侵害に当たらないフェアユースであると判示されることがある。


第1基準については、原著作物を利用したいわゆる[[パロディ#パロディに対する法的取り扱い|パロディ]]などの著作権侵害を巡って、被告側がフェアユースで抗弁することもある。これは第1基準で「{{仮リンク|変形的利用|en|Transformativeness}}」({{Lang|en|transformative use}}、{{Lang|en|transformativeness}}) が認められているからである{{Sfn|山本|2008|pp=113&ndash;114}}。
フェアユース以外では、著作権の保護対象物の定義を問う判例もある。その代表例が、[[特許権]]や[[商標権]]などの[[産業財産権]]と、著作権とを線引きする「[[アイディア・表現二分論]]」である。産業財産権は、産業の発展のためのアイディア・思想そのものを強い独占性で保護する。一方アイディアそのものではなく、その文化的で独創的な表現を対象に緩い排他性で保護するのが著作権である。しかし米国著作権法では、産業的・実用的なコンピュータ・プログラムなども著作権法の範疇で論じられることがあり、アイディアと表現の境界線にはグレーゾーンが存在する。


4基準のうち、第1基準の変形的利用、および第4基準の市場代替性の2点セットが他基準に優先して重視されているとの指摘がある。これは、元となった著作物とは異なる目的に変形されることで、元の著作物と市場で競合して経済的利益を損ねることなく併存できるためである。つまり、第1基準で営利活動だと認められても、変形度が高く第4基準に影響しなければ、フェアユース判定されることがある{{Sfn|作花|2018|p=854}}(例:「[[#キャンベル対アカフ・ローズ・ミュージック裁判]]」など)。
判例の年代別に見ると、米国著作権法には大きな転換期が3度ある。1度目は1891年制定・同年施行の国際著作権改正法 (International Copyright Act of 1891) である。これにより、米国内で流通する国際著作物も米国著作権法の保護対象となり、海賊出版時代が終焉を迎えた。2度目は1976年制定の改正法 (Copyright Act of 1976) が施行開始となった1978年1月である。当改正法によって未発表の著作物であっても著作権保護の対象となったほか、フェアユースの概念が初めて成文化された。3度目の転換期は1998年10月制定・同年施行の[[デジタルミレニアム著作権法]] (通称DMCA) である。DMCAによりデジタル著作物に対する著作権侵害の罰則と免責が明文化された。インターネットの普及によりデジタル著作物が国際的に容易に流通するようになったため、大規模な著作権侵害の訴訟に発展しやすい。

フェアユース以外では、著作権の保護対象物の定義を問う判例もある。その代表例が、[[特許権]]や[[商標権]]などの[[産業財産権]]と、著作権とを線引きする「[[アイディア・表現二分論]]」である。産業財産権は、産業の発展のためのアイディア・思想を強い独占性で保護する。一方アイディアそのものではなく、その文化的で創作的な表現を対象に緩い排他性で保護するのが著作権である (例: 「[[#ベーカー対セルデン裁判]]」など){{Sfn|白鳥|2004|pp=76&ndash;77}}。しかし実際には、アイディアと表現が一体化していて切り離せないケースもあり、表現に著作権の独占を認めるとその大元となるアイディアまで独占され、産業の発展が阻害されうる。このようなケースでは「[[マージ理論]]」で抗弁することもある{{Sfn|白鳥|2004|pp=79&ndash;81}} (例:「[[#モリシー対P&G裁判]]」、「[[#サイエントロジー対ラーマ裁判]]」など)。

判例の年代別に見ると、米国連邦著作権法にはいくつか転換期がある。
{{Seealso|著作権法の歴史 (アメリカ合衆国)}}
{{Seealso|著作権法の歴史 (アメリカ合衆国)}}
* {{仮リンク|1891年の国際著作権改正法|label=1891年制定・同年施行の国際著作権改正法|en|International Copyright Act of 1891}} (International Copyright Act of 1891、通称: チェース法) -- 米国内で流通する外国著作物も米国著作権法の保護対象となり{{Sfn|白鳥|2004|p=48}}、米国連邦裁判所の取り扱うことができる案件の幅が広がった (例: 日英米にまたぐ「[[#データイースト対エピックス裁判]]」、タイから米への逆輸入で争った「[[#カートサン対ワイリー裁判]]」など)。
* {{仮リンク|1976年の著作権改正法|label=1976年制定・1978年1月施行の改正法|en|Copyright Act of 1976}} (Copyright Act of 1976) -- 未発行の著作物は州法でしか保護されなかったが、1976年法により連邦法でも著作権保護の対象となったほか、判例のみで用いられてきたフェアユースの概念が初めて条文上で成文化された{{Sfn|作花|2018|p=853}} (判例上でフェアユースが確立されたのは1841年最高裁判決「[[#フォルサム対マーシュ裁判]]」である)。
* {{仮リンク|1988年のベルヌ条約実施法|en|Berne Convention Implementation Act of 1988}} (Berne Convention Implementation Act of 1988またはBCIA){{Efn2|name=Implementation1988|{{Lang|en|Implementation}}は「実施」以外の訳があてられ、「ベルヌ条約履行法」{{R|Rep-Berne-Kobayashi}}や「ベルヌ条約執行法」{{Sfn|白鳥|2004|p=62}}と記述されることもある。本項ではLeaffer著・牧野監訳の表記に従った{{Sfn|Leaffer|2008|p=14}}。}} - ベルヌ条約加盟に求められる保護水準まで法強化し、[[著作権表示]]や{{仮リンク|著作権登録|en|Copyright registration}} ([[著作権の形式的手続]]) なしで著作物保護することとなった ([[無方式主義]]の採用)。ただし米国内の著作物についてはベルヌ条約の拘束を受けないため、出訴する際には登録を済ませておく必要がある{{Sfn|白鳥|2004|pp=62&ndash;64}} (例: [[#ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判]]、[[#フォース・エステート対Wall-Street.com裁判]]など)。
* 1998年10月制定・同年施行の[[デジタルミレニアム著作権法]] (通称: DMCA) -- インターネットの普及によりデジタル著作物が国際的に容易に流通するようになったことから{{R|Yamamoto1999|page1=1&ndash;4}}、デジタル著作物に対する著作権侵害の罰則と免責が明文化された{{Sfn|白鳥|2004|p=68}}。DMCA成立後、国際的に大規模な著作権侵害の訴訟に発展したケースも存在する (例: 「[[#全米作家協会他対Google裁判]]」、約1兆円の損害賠償を請求した「[[#Oracle対Google裁判]]」など)。


== 判例の読み方 ==
== 判例の読み方 ==
判例の一部は判例集に掲載されることから、一般的には "''Nichols v. Universal Pictures Corp., 45 F.2d 119 (2nd Cir. 1931)''" のように表記される。これは1931年に第2巡回区控訴裁が「[[#ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判]]」において下した判決であり、合衆国控訴審裁判所判例集 ({{Lang|en|Federal Reporter}}) の第2次シリーズの第45巻 119頁以降に掲載されていることを表す。これが連邦地方裁であれば、"F.2d" の代わりに合衆国地方裁判所判例集を意味する "F. Supp" ({{Lang|en|Federal Supplement}}) となる。最高裁まで上訴・審理されれば、{{仮リンク|合衆国判例集|en|United States Reports}}を意味する "U.S." ({{Lang|en|United States Reports}}) または "S.Ct." ({{Lang|en|Supreme Court Reporter}}) になる{{Sfn|白鳥|2004|pp=viii&ndash;ix|loc=はしがき}}。
米国著作権法は[[連邦法]]である[[合衆国法典]]の[http://uscode.house.gov/browse/prelim@title17&edition=prelim 第17編]に収録されていることから、連邦法に基づき司法判断を下すのは[[アメリカ合衆国連邦裁判所|連邦裁判所]]の役目となる。連邦裁判所とは具体的には
{{Main|判例引用#アメリカ合衆国}}
* 一審の[[アメリカ合衆国連邦裁判所#地方裁判所|合衆国地方裁判所]] (連邦地方裁)
* 二審の[[合衆国控訴裁判所]] (連邦控訴裁)
* 三審の[[合衆国最高裁判所]] (連邦最高裁)
で構成されている。なお、米国著作権法には州法も一部存在していることから、これらは[[州裁判所 (アメリカ合衆国)|州裁判所]]の管轄となるが、特筆性の観点から州裁判所の判例が引用されることは少ない。


[[File:US Court of Appeals and District Court map.svg|thumb|連邦地方裁と連邦控訴裁の管轄マップ]]
判例名は一般的に「原告名 (著作権者) v. 被告名」で記されるが、被告が二審や三審に[[上訴]]した場合は、原告名と被告名の順が逆転して表記されるため注意が必要である{{Refnest|group="註"|例えば最高裁の判例 (2001年) ''New York Times Co. v. Tasini'' (正式名は''The New York Times Company, Inc., et al., Petitioners v. Jonathan Tasini, et al.'') の場合<ref name=Justia-Tasini-2001>{{Cite web |url=https://supreme.justia.com/cases/federal/us/533/483/ |title=New York Times Co. v. Tasini, 533 U.S. 483 (2001) |publisher=Justia |accessdate=2019-05-06}}</ref>、著作権者を代表して{{仮リンク|ジョナサン・タシーニ|en|Jonathan Tasini}}らが新聞社[[ニューヨーク・タイムズ]]などを著作権侵害で提訴している。しかし二審の合衆国控訴裁 (1997年) までは''Tasini v. New York Times Co.''と表記されている<ref name=Justia-Tasini-1997>{{Cite web |url=https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/972/804/1486523/ |title=Tasini v. New York Times Co., 972 F. Supp. 804 (S.D.N.Y. 1997) |publisher=Justia |accessdate=2019-05-06}}</ref>。その後、被告ニューヨーク・タイムズなどが二審の判決を不服として上訴したことから、最高裁での裁判名は順番が逆転している。}}。
米国著作権法は[[連邦法]]である[[合衆国法典]]の [http://uscode.house.gov/browse/prelim@title17&edition=prelim 第17編] (17 U.S.C.) に収録されていることから、これに基づき司法判断を下すのは[[アメリカ合衆国連邦裁判所|連邦裁判所]]の役目となる{{Sfn|白鳥|2004|p=vii|loc=はしがき}}。連邦裁判所とは具体的には以下で構成されている{{R|DoJ-Court}}。
* 一審の[[アメリカ合衆国連邦裁判所#地方裁判所|合衆国地方裁判所]] (連邦地裁) -- 全米に94か所{{R|DoJ-Court}}
* 二審の[[合衆国控訴裁判所]] (連邦控訴裁) -- 全米に13か所 (11の巡回区を含む) あり、一審の訴訟を取り扱った連邦地裁の場所に応じて決まるが{{R|DoJ-Court}}、うち連邦区控訴裁判所に限っては特許権などを特別に扱うため、著作権のみの訴訟は担当しない{{Sfn|白鳥|2004|p=vii|loc=はしがき}}
* 三審の[[合衆国最高裁判所]] (連邦最高裁) -- 全米に1か所のみ{{Sfn|白鳥|2004|p=viii|loc=はしがき}}

{{For2|一審と二審の地域対比表|:en: List of United States district and territorial courts#Active courts}}

特にメディア・エンターテイメント業界やIT業界が集積する[[カリフォルニア州]] (C.D. Cal. とN.D. Cal.、および[[アメリカ合衆国第9巡回区控訴裁判所|第9巡回区]]) と[[ニューヨーク州]] (S.D. N.Y. とE.D. N.Y.、および{{仮リンク|第2巡回区控訴裁判所|label=第2巡回区|en|United States Court of Appeals for the Second Circuit}}) の訴訟件数が多い{{R|BloombergBNA|SyracuseU}}。第9と第2巡回区の控訴裁判決は他の巡回区以上に注目されるものの、巡回区外での法的拘束力はなく、時として互いの巡回区で異なる判決が下されることもあることから、このような矛盾は連邦最高裁で解消されることとなる{{Sfn|白鳥|2004|pp=vii&ndash;viii|loc=はしがき}}。

米国では上告された事案を受理して審議するか却下するか、連邦最高裁が事前に裁量で判断 (足切り) することができる。受理した案件は、{{仮リンク|移送令状|en|Certiorari#United_States}} ({{Lang-la|certiorari}}、サーシオレイライ) が発せられ、二審の連邦控訴裁から連邦最高裁に移送・審理される{{R|Certiorari-Imaoka}}。却下された場合は "''Warner Brothers Pictures, Inc. v. Columbia Broadcasting Systems, Inc., 216 F.2d 945 (9th Cir. 1954), cert. denited, 348 U.S. 971''" のように引用表記されることもある (文献によって異なる)。これは「[[#ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ対CBS裁判]]」の移送が最高裁で事前に却下され (''{{Lang|en|cert. denied}}'')、二審の第9巡回区控訴裁の判決で確定したことを意味する{{Sfn|白鳥|2004|pp=274, 109&ndash;110}}。なお、どの案件を最高裁が受理するかは「重要な連邦問題」か否かで判断され、時にはこの「重要な」の定義に政治的な判断が含まれることもあると言われる{{R|Shigemura|page1=59}}。

米国著作権法には州法も一部存在していることから、これらは[[州裁判所 (アメリカ合衆国)|州裁判所]]の管轄となるが、特筆性の観点から州裁判所の判例が引用されることは少ない{{Efn2|州政府の作成した法令や判例集が著作権保護の対象となるか問われた判例が一部引用されることはある{{Sfn|山本|2008|p=34}}。}}{{Efn2|専門書の一部には文献末尾に引用判例一覧を掲載していることがあるが{{Sfn|白鳥|2004|pp=269&ndash;274}}{{Sfn|山本|2008|pp=258&ndash;|loc=索引}}、連邦裁判所の判例で大半を占めている。}}。

裁判所名に "D" が表記される場合、一審の連邦地裁 ({{Lang|en|District Court}}) の判例であることを意味している。Dの後ろには州の略称がつく (例: [[マサチューセッツ州]]連邦地裁であれば "D. Mass")。
{{See also|アメリカ合衆国各州の略号一覧}}

"Cir" は二審の連邦控訴裁 ({{Lang|en|United States Courts of Appeals}}) の意味で、第1-第11の巡回区 ({{Lang|en|Circuit}}) を指す (例: ニューヨーク州などを管轄する第2巡回区控訴裁であれば "2nd Cir"){{Sfn|白鳥|2004|p=viii|loc=はしがき}}。なお、建国当初は三審の連邦最高裁判所判事が二審の連邦巡回裁判所 (Circuit Court) にも参加する形をとっていたが、1891年に二審が連邦控訴巡回裁判所 ({{Lang|en|Circuit Court of Appeals}}) に改組されたタイミングで、専任の裁判官のみで二審が構成されるようになった。さらに1948年、二審を第XX巡回区連邦裁判所 ({{Lang|en|Court of Appeals for the XX Circuit}}) に改称している{{Sfn|山本|2008|p=111}}。

判例名は一審では一般的に「原告名 (著作権者) v. 被告名」で記されるが、被告が二審や三審に[[上訴]]した場合は、原告名と被告名の順が逆転して表記されるため注意が必要である{{Efn2|例えば最高裁の判例 (2001年) 「[[#ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判]]」の場合{{R|Justia-Tasini-2001}}、著作権者を代表して{{仮リンク|ジョナサン・タシーニ|en|Jonathan Tasini}}らが新聞社[[ニューヨーク・タイムズ]]などを著作権侵害で提訴しており、一審および二審の合衆国控訴裁 (1997年) までは ''{{Lang|en|Tasini v. New York Times Co.}}'' と表記されている{{R|Justia-Tasini-1997}}。その後、被告ニューヨーク・タイムズなどが二審の判決を不服として上訴したことから、最高裁での裁判名は ''{{Lang|en|New York Times Co. v. Tasini}}'' (正式名は''{{Lang|en|The New York Times Company, Inc., et al., Petitioners v. Jonathan Tasini, et al.}}'') と表記順が逆転している。}}。

過去の改正により著作権法の条文体系が大きく変更しているため、判例の年代によりその判例が引用する条文が指し示す内容が異なる点にも注意が必要である。たとえば1947年改正法以前の第25条は、1947年改正法の第101条であり、これは1976年改正法で第412および第501 – 第504条に継承されている{{R|ArtRevTable}}。各改正による条文対比表は [https://uscode.house.gov/tables/usctable1.htm;jsessionid=D069095EB45E6421235B672E5B8DEBFC#TITLE17 政府公式サイト] を参照のこと。


== 連邦最高裁判所の判例 ==
== 連邦最高裁判所の判例 ==
最高裁で係争中の案件は「[[#連邦下級裁判所の判例]]」を参照。
最高裁で係争中の案件は「[[#連邦下級裁判所の判例]]」を参照。


※表中の「判例の通称」の英語表記をクリックすると、英語版ウィキペディアの個別判例ページに遷移する。また判例集番号末尾をクリックすると、[[Justia]]や[[FindLaw]]など判例を転載した外部サイトに遷移する。[[Help:MediaWikiに適応するブラウザ#対応するブラウザ|デスクトップビュー]]で閲覧の場合、表の項目名横をクリックすると、昇順または降順で並び替えることができる ([[Help:携帯端末でのアクセス#デスクトップとモバイルで機能や動作が異なるもの|モバイルビューやモバイルアプリ]]では並び替え機能なし)。判例の通称は英語名アルファベット順で並び替えされる。
{| class="wikitable sortable" style="width:95%"

! style="width:16%" | 判例の通称 !! style="width:11%" | 判決年<br>([[判例引用#アメリカ合衆国|判例集番号]]) !! style="width:9%" class=unsortable | 争点 !! style="width:6%" | 判決 !! style="width:49%" class=unsortable | 訴訟概要と判決要点 !! style="width:4%" class=unsortable | 特筆性
<!-- 「特筆性」の欄には専門家が言及した出典を付記して下さい。出典2つで1行とし、3つ以降の場合は改行コードを入れると表が崩れません。 -->
{| class="wikitable sortable" style="width:98%"
! style="width:16%" | 判例の通称{{Efn2|name=CaseName|英語の判例名は、引用文献によって略称を用いたり複数の原告・被告がいる場合に省略されるなどの表記揺れがある。たとえば「[[#ABC他対Aereo裁判]]」(573 U.S. 431 (2014)) の場合、[[Justia]]では判例名を "Am. Broad. Cos. v. Aereo, Inc." としており{{R|USSC-573-431}}、[[Oyez Project]]では "ABC, Inc. v. Aereo, Inc." である{{R|USSC-573-431-Oyez}}。連邦最高裁の書面上は "AMERICAN BROADCASTING COS., INC., ET AL. v. AEREO, INC., FKA BAMBOOM LABS, INC." が正式な訴訟名であり{{R|USSC-573-431-SC}}、原告側に "et al." とある通り複数で構成されている。一審の連邦地裁の書面によると、Aereo社が配信していた番組にはABCの他、CBS、FOX、NBC、PBSなどの主力テレビ局が含まれている{{R|Aereo-SDNY}}。英語の判例名を引用した日本語の文献でも、判例名をそのまま英語表記することも多く、当表に記述した日本語の判例名は仮訳による参考情報の扱いとされたい。}} !! style="width:11%" | 判決年<br>([[判例引用#アメリカ合衆国|判例集番号]]) !! style="width:9%" class=unsortable | 争点 !! style="width:6%" | 判決 !! style="width:52%" class=unsortable | 訴訟概要と判決要点 !! style="width:4%" class=unsortable | 特筆性
|-
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| data-sort-value="Wheaton v. Peters"|{{Visible anchor|[[ウィートン対ピーターズ裁判]]}}<br>([[:en: Wheaton v. Peters|Wheaton v. Peters]]) || 1834<br>({{ussc|33|591}}) || コモンロー・コピーライト、[[職務著作]] ({{仮リンク|代理法 (コモン・ロー)|label=代理法|en|Law of agency}}) || 合法 || 連邦法としての著作権法が適用された米国最高裁最古の判決{{R|Wheaton-Berkeman|page1=23}}。法律家{{仮リンク|ヘンリー・ウィートン|en|Henry Wheaton}}は公務として{{仮リンク|アメリカ合衆国最高裁判所判例編纂者|label=最高裁判例集の編纂者|en|Reporter of Decisions of the Supreme Court of the United States}}を務めており{{R|Wheaton-Bio}}、ウィートンの判例集が無断で同僚の{{仮リンク|リチャード・ピーターズ (法廷記録者)|label=リチャード・ピーターズ|en|Richard Peters (reporter)}}によって複製出版されたことから著作権侵害で提訴した事件である{{R|USSC-33-591}}。州法たるコモンロー・コピーライトも著作物を保護するが、これが発行によって保護が消滅することを示し{{R|USSC-33-591}}、英国「{{仮リンク|ドナルドソン対バケット裁判|en|Donaldson v Becket}}」({{Lang|en|Donaldson v Becket}}) の1774年判決を踏襲した{{Sfn|白鳥|2004|p=59}}。そして、合衆国最高裁の判決は連邦法では著作物性がないとも捉えられて複製は合法とされた{{Sfn|白鳥|2004|p=59}}。<br>また、ウィートンが[[代理#英米法での特徴|代理法]]の観点から独立の契約者なのか、それとも最高裁から雇われた従業員なのか (つまり職務著作となりうるのか) についても考察されたことで当判決は知られている{{Sfn|Fisk|2003|p=69}}。 || {{R|Wheaton-Berkeman}}{{Sfn|Fisk|2003|p=69}}<br>{{Sfn|白鳥|2004|p=59}}
| data-sort-value="Baker v. Selden"|{{Visible anchor|[[ベーカー対セルデン裁判]]}}<br>([[:en: Baker v. Selden|Baker v. Selden]]) || 1879<br>({{ussc|101|99}}) || [[アイディア・表現二分論]] || 合法 || 書籍で紹介した[[簿記]]の手法が酷似。簿記の手法そのものに独占性を主張するには、特許を取得しなければならず、手法そのものは著作権性がないと判示された。同様に新薬や耕作用具の論文も文字による表現は著作物だが、発明の新規性は特許法の範疇だと例示され、後の国内外の判例に多大な影響を与えたリーディング・ケース。 || {{Sfn|山本隆司|2008|pp=12&ndash;13}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=107&ndash;111}}
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| data-sort-value="Baker v. Selden"|{{Visible anchor|[[ベーカー対セルデン裁判]]}}<br>([[:en: Baker v. Selden|Baker v. Selden]]) || 1879<br>({{ussc|101|99}}) || [[アイディア・表現二分論]] (マージ理論) || 合法 || アイディア・表現二分論 (事実や発見を含むアイディアそのものは保護せず、アイディアの表現のみを著作権法で保護する[[法理]]) の基礎を構築したとされる判決{{Sfn|山本|2008|pp=12&ndash;13}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=107&ndash;111}}{{Sfn|白鳥|2004|pp=77&ndash;80}}。ベーカーとセルデン両名の書籍で紹介した[[簿記]]の手法が酷似していたことから、先に出版されたセルデンの書の相続人である妻がベーカーを訴えた。簿記の手法に対して独占性を主張するには、特許を取得しなければならず、手法そのものは著作物性がないと判示された{{R|USSC-101-99}}。同様に新薬や耕作用具の論文も文字による表現は著作物だが、発明の新規性は特許法の範疇だと例示され、後の国内外の判例に多大な影響を与えたリーディング・ケース{{Sfn|山本|2008|pp=12&ndash;13}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=107&ndash;111}}。 || {{Sfn|山本|2008|pp=12&ndash;13}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=107&ndash;111}}<br>{{Sfn|白鳥|2004|pp=77&ndash;80}}
| data-sort-value="Mazer v. Stein"|{{Visible anchor|[[メイザー対ステイン裁判]]}}<br>([[:en: Mazer v. Stein|Mazer v. Stein]]) || 1954<br>({{Ussc|347|201}}) || アイディア・表現二分論 || 違法 || 実用品デザインの著作権保護を巡るリーディング・ケース。原告の卓上ランプの台には、[[バリ島]]のダンサー男女の像が用いられていたことから、実用品の「機能」面でのランプには著作権性はないが、ダンサー像には「表現」の著作権性があるとして、卓上ランプの模倣が著作権侵害と判定された。本件以降も、旧式電話機型の鉛筆削り、犬形の貯金箱、繊維製品のグラフィックデザインに著作権性が認められる判決が続いている<ref group="註">鉛筆削りはTed Arnold Ltd. v. Silvercraft Co. (259 F.Supp 733 (S.D.N.Y. 1956))、貯金箱はRoyalty Designs, Inc. v. Thrifticheck Serv. Corp. (204 F.Supp 702 (S.D.N.Y. 1962))、繊維製品はPeter Pan Fabrics, Inc. v. Martin Weiner Corp. (274 F.2d 489 (2nd Cir. 1960)) などが挙げられる。</ref>。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=164&ndash;166}}
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| data-sort-value="Burrow-Giles Lithographic Co. v. Sarony"|{{Visible anchor|[[バローガイルズ・リトグラフィック対サロニー裁判]]}}<br>([[:en: Burrow-Giles Lithographic Co. v. Sarony|Burrow-Giles Lithographic Co. v. Sarony]]) || 1884<br>({{ussc|111|53}}) || 写真の保護要件 || 違法 || 作家[[オスカー・ワイルド]]を被写体にした写真が無断で[[リトグラフ]]化されたことから、写真家{{仮リンク|ナポレオン・サロニー|en|Napoleon Sarony}}がリトグラフ販売事業者を提訴した。最高裁は被写体のポーズ、衣装、装飾品、明暗などの選択は、写真家の創造的な選択・配置であると指摘し、写真の著作権保護を認めた{{R|USSC-111-53}}{{Sfn|山本|2008|pp=52&ndash;54}}。なお、米国著作権法は1865年の法改正で写真を保護対象に追加している{{Sfn|山本|2008|p=22}}。 || {{Sfn|山本|2008|pp=52&ndash;54}}{{R|LOC-SCt}}
| data-sort-value="Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc."|{{Visible anchor|[[ソニー・アメリカ他対ユニバーサル・シティ・スタジオ他裁判]]}}<br>([[:en: Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc.|Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc.]]) || 1984<br>({{ussc|464|417}}) || フェアユース第3・第4基準 || 合法 || 通称「[[ベータマックス#その他|ベータマックス]]訴訟」。テレビ番組の家庭用録画機器ベータマックスなどの合法性が問われた。著作物 (番組) 全量を複製しているにも関わらずフェアユースが認められたレアケース。利用者の多くが家庭での使用であり、後日視聴 (time-shifting) を目的としていることから、録画が番組著作権者の収益に影響を及ぼさないと判示された。21世紀に入ってからはインターネット視聴や音楽などのファイル共有ソフトウェアなどを巡って類似訴訟が発生しており、度々ベータマックス訴訟が引き合いに出される。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Bleistein v. Donaldson Lithographing Co."|{{Visible anchor|[[ブライシュタイン対ドナルドソン・リトグラフィング裁判]]}}<br>([[:en: Bleistein v. Donaldson Lithographing Co.|Bleistein v. Donaldson Lithographing Co.]]) || 1903<br>({{ussc|188|239}}, 251) || [[応用美術]]の保護要件 || 違法 || サーカスの広告用に多色石版刷りされたポスターが無断複製され、このポスターが著作権保護の対象かが問われた。ポスターに描かれたのは実在する人物であり、実際のサーカスでよく見られる情景であった{{R|USSC-188-239}}。当判決以前は著作権の保護要件に審美性 (aesthetic merit) を求める判決も存在したものの、当判決によって審美性は保護要件とならないと判示された。ただしこの原則は実用品には適用されず、審美性の質を主観的に判断して保護要件に含めうる余地を残している{{Sfn|Goldstein & Hugenholtz|2013|p=193}}。 || {{Sfn|Goldstein & Hugenholtz|2013|p=193}}{{Sfn|山本|2008|p=28}}
| data-sort-value="Harper & Row v. Nation Enterprises"|{{Visible anchor|[[ハーパー & ロー対Nation誌裁判]]}}<br>([[:en: Harper & Row v. Nation Enterprises|Harper & Row v. Nation Enterprises]]) || 1985<br>({{ussc|471|539}}) || フェアユース第1・第4基準、アイディア・表現二分論 || 違法 || [[ハーパーコリンズ|ハーパー]]社が出版権を獲得して書籍化を計画していた[[ジェラルド・R・フォード|フォード元大統領]]の未発表回想録を、雑誌『Nation』が引用して先に出版した。フォード元大統領が公人であることから「公共性」を理由に被告はフェアユースで抗弁したが、公人か否かはフェアユースの判断基準外と判示された。また最初の出版権を誰が有するかを重要視された。引用されたのは元原稿20万語のうちわずか300語だったが、決定的な箇所だとの判示。 || <ref name=SU-FairUse/>{{Sfn|山本隆司|2008|p=111}}{{Sfn|Leaffer|2008|p=682}}
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| data-sort-value="Sheldon v. Metro-Goldwyn Pictures Corp."|{{Visible anchor|[[シェルドン対メトロ・ゴールドウィン・ピクチャーズ裁判]]}}<br>([[:en: Sheldon v. Metro-Goldwyn Pictures Corp.|Sheldon v. Metro-Goldwyn Pictures Corp.]]) || 1940<br>({{ussc|309|390}}) || [[アイディア・表現二分論]] (物語)、{{仮リンク|3ステップ・テスト|label=抽象化テスト|en|Abstraction-Filtration-Comparison test#Abstraction}} || 違法 || {{仮リンク|エドワード・シェルドン (劇作家)|label=エドワード・シェルドン|en|Edward Sheldon}}脚本『{{仮リンク|Dishonored Lady|en|Dishonored Lady}}』は実在の殺人事件被疑者{{仮リンク|マデリン・スミス|en|Madeleine Smith}}を題材にした作品。[[MGM|メトロ・ゴールドウィン]] (現MGM) がシェルドンとの間で映画化権の交渉を行うも決裂したことから、同じ題材の別小説を原作として映画『[[令嬢殺人事件]]』を製作した。これを受け、シェルドンが映画の差止と損害賠償 (興行収入のシェア) を求めて提訴した。物語の[[プロット (物語)|プロット]]はアイディアに過ぎないが、人物関係や情景設定と情景描写、詳細な出来事などはアイディアの「表現」だとし、損害賠償金額の算出対象を絞り込んだ{{R|USSC-309-390}}。また [https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/F2/81/49/1475281/ 二審] では抽象化テストを用いたことでも知られる{{Sfn|山本|2008|p=52}}。抽象化テストの手法を確立した「[[#ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判]]」(1930年) も参照のこと。 || {{Sfn|山本|2008|p=52}}{{Sfn|McGee|2005|pp=104&ndash;105}}
| data-sort-value="Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co."|{{Visible anchor|[[ファイスト出版対ルーラル電話サービス裁判]]}}<br>([[:en: Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co.|Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co.]]) || 1991<br>({{ussc|499|340}}) || [[アイディア・表現二分論]] (額の汗の法理) || 合法 || {{仮リンク|額の汗の法理|en|Sweat of the brow}}が最高裁で初めて否定された判決。ルーラル社は[[カンザス州]]北西の一部地域で独占営業を認められた電話サービス事業者で、加入者の電話番号を電話帳として編纂して無料配布する法令義務を負っていた。一方のファイスト社は、カンザス州広域で電話帳の発行を専業とする出版社である。ファイストがルーラルの無料電話帳から自社の発行する電話帳に電話番号を転載したことから、著作権侵害が問われた。一審と二審は侵害を認めたが、最高裁では一転し、著作権保護には単なるデータ配列 (額に汗をかいてデータ収集すること) だけでなく独自の創造性 (オリジナリティを持つ表現性) が必要だと合衆国憲法の{{仮リンク|著作権条項|en|Copyright Clause}}が解釈された結果、電話帳に著作権は認められずファイストの行為は合法と判示された。 || <ref name=Telephone-Cornell>{{Cite web |url=https://www.law.cornell.edu/copyright/cases/499_US_340.htm |title=FEIST PUBLICATIONS, INC. v. RURAL TELEPHONE SERVICE CO., 499 U.S. 340 (1991) |publisher=[[コーネル大学]]ロースクール |accessdate=2019-05-13}}</ref><ref name=SfB-Ito>{{Cite web |url=http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8745244 |title=Feist出版社対Rural電話サービス会社 |author=伊藤博文 |work=[[豊橋創造大学]]短期大学部研究紀要. (17) |publisher=[[国立国会図書館]]デジタルコレクション |date=2000 |accessdate=2019-04-23}}</ref>
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| data-sort-value="Mazer v. Stein"|{{Visible anchor|[[メイザー対ステイン裁判]]}}<br>([[:en: Mazer v. Stein|Mazer v. Stein]]) || 1954<br>({{Ussc|347|201}}) || アイディア・表現二分論、応用美術の保護要件、意匠特許 || 違法 || 実用品デザインの著作権保護を巡るリーディング・ケース{{Sfn|Leaffer|2008|pp=164&ndash;166}}{{Sfn|山本|2008|pp=55&ndash;57}}{{Sfn|白鳥|2004|pp=122&ndash;123}}。原告の卓上ランプの支柱にはステイン夫妻作・半浸透性のダンサー男女の像が装飾されており、この像は著作権登録されていた{{R|Mazer-District}}。実用品の「機能」面でのランプには著作権性はないが、ダンサー像には「表現」の著作権性があるとして、卓上ランプの模倣が著作権侵害と判定された{{R|USSC-347-201}}。著作権法と意匠特許のどちらで美的な創作物を保護するかについて、実用的か否かは問われず、美的「表現」かデザインの「発明」かが判断基準だと示された{{Sfn|山本|2008|p=56}}。本件以降も、旧式電話機型の鉛筆削り、犬形の貯金箱、繊維製品のグラフィックデザインに著作権性が認められる判決が続いている{{Efn2|鉛筆削りはTed Arnold Ltd. v. Silvercraft Co. ([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/259/733/2293601/ 259 F.Supp 733 (S.D.N.Y. 1956)])、貯金箱はRoyalty Designs, Inc. v. Thrifticheck Serv. Corp. ([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/204/702/1417949/ 204 F.Supp 702 (S.D.N.Y. 1962)])、繊維製品はPeter Pan Fabrics, Inc. v. Martin Weiner Corp. ([https://casetext.com/case/peter-pan-fabrics-inc-v-martin-weiner-corp 274 F.2d 487 (2nd Cir. 1960)]) などが挙げられる{{Sfn|Leaffer|2008|pp=164&ndash;166}}。}}。<br>なお、本件ではダンサー像の「物理的分離」が可能で像単体が著作物として成立しうる判断されたが{{Sfn|山本|2008|p=57}}、2017年最高裁「[[#スター・アスレティカ対ヴァーシティ・ブランズ裁判]]」判決では「概念的分離」の基準が示されることとなった{{R|Kotto-Fashion}}。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=164&ndash;166}}{{Sfn|山本|2008|pp=55&ndash;57}}<br>{{Sfn|白鳥|2004|pp=122&ndash;123}}{{Sfn|作花|2018|pp=129, 143}}
| data-sort-value="Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc."|{{Visible anchor|[[キャンベル対アカフ・ローズ・ミュージック裁判]]}}<br>([[:en: Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc.|Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc.]]) || 1994<br>({{ussc|510|569}}) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 合法 || 1990年公開映画『[[プリティ・ウーマン]]』の[[オー・プリティ・ウーマン|主題歌]] (歌手[[ロイ・オービソン]]) を使用して、[[ヒップホップ]]グループの[[ツー・ライヴ・クルー|The 2 Live Crew]]がパロディを製作し、25万枚のセールスを記録した。一審はフェアユース認定、二審は否定し、最高裁が再び認定した。フェアユースの定める変形的利用が問われた裁判。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Sears, Roebuck & Co. v. Stiffel Co."|{{Visible anchor|[[シアーズ・ローバック対スティフル裁判]]}}<br>([[:en: Sears, Roebuck & Co. v. Stiffel Co.|Sears, Roebuck & Co. v. Stiffel Co.]]) || 1964<br>({{Ussc|376|225}}) || {{仮リンク|連邦優位条項|en|Supremacy Clause}}、不正競争防止法と著作権法の関係 || 訴訟概要を参照 || スティフル社製支柱ランプの類似品をシアーズ社が販売したことから訴訟に至った。下級裁では、たとえ連邦法としての著作権法や特許法で保護されていない商品であっても、州法の不正競争防止法の観点で違反であると認めて、シアーズ社はスティフル社に対して部分的に賠償責任を負うこととなった。しかし最高裁は合衆国憲法の連邦優位条項を適用して、州法による保護を否定した。これは連邦法の著作権や特許で認められている独占の範囲以外は、パブリックドメインに帰して万人による利用を可能とすべきとの立場に基づく{{R|USSC-376-225}}。なお、同日には蛍光灯設備の類似品を巡る「{{仮リンク|コンプコ対デイブライト・ライトニング裁判|en|Compco Corp. v. Day-Brite Lighting, Inc.}}」({{Lang|en|Compco Corp. v. Day-Brite Lighting, Inc.}}, {{ussc|376|234}} (1964)) の最高裁判決も出ており、連邦法優位がこちらでも示された。その後も「[[#ボニート・ボーツ対サンダー・クラフト・ボーツ裁判]]」(1989年) が同じ立場を踏襲した{{Sfn|白鳥|2004|pp=6&ndash;7}}。 || {{Sfn|白鳥|2004|pp=6&ndash;7}}
| data-sort-value="New York Times Co. v. Tasini"|{{Visible anchor|[[全米作家協会#フリーランサー訴訟|ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判]]}}<br>([[:en: New York Times Co. v. Tasini|New York Times Co. v. Tasini]]) || 2001<br>({{ussc|533|483}}) || [[著作権法 (アメリカ合衆国)#第201条|集合著作物]]、[[二次的著作物]]、[[職務著作]]、[[著作権#方式主義と無方式主義|著作物の登録]] || 違法 || 通称「フリーランサー訴訟」。[[フリーランサー]]の著作物が[[ニューヨーク・タイムズ]]などに寄稿され、それが[[レクシスネクシス]]などのオンラインデータベースに無断転載されたため、{{仮リンク|全米作家労働組合|en|National Writers Union}}のタシーニ会長らが[[集団訴訟]]を起こした。データベース化はフェアユースの定める翻案化には該当しないことから2001年に原告勝訴となった。しかし訴訟には事前に著作物の登録が必須とされている (米国著作権法第412条) ことから、和解金を受け取れなかった未登録の著作物の著作者らが別途裁判を継続し、最終的に総額1800万米ドルの和解金で2014年に決着。 || <ref name=CA1411>{{Cite web |title=米国最高裁,出版社に著者無許諾の電子化の特権を認めず |url=http://current.ndl.go.jp/ca1411 |author=越田崇夫 |work=カレントアウェアネス・ポータル |publisher=[[国立国会図書館]] |date=2001-08-20 |accessdate=2019-05-06}}</ref>
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| data-sort-value="Goldstein v. California"|{{Visible anchor|[[ゴールドスティン対カリフォルニア州政府裁判]]}}<br>([[:en: Goldstein v. California|Goldstein v. California]]) || 1973<br>({{Ussc|412|546}}) || 固定の要件、{{仮リンク|連邦優位条項|en|Supremacy Clause}} || 違法 || ゴールドスティンらは楽曲をテープやレコードに複製する海賊版の生産拠点を運営し、パッケージ化して無断で販売していた。{{仮リンク|カリフォルニア州刑事法典|en|California Penal Code}} ({{Lang|en|The California Penal Code}}) の第635h条では音楽の実演を無断で複製・販売することを禁じ、このような楽曲に[[永久著作権#アメリカ合衆国|永久著作権]]を認めていた。ところが当時の連邦著作権法 (1909年改正ベース) は楽曲の実演について規定していなかったことから、被告は合衆国憲法の連邦優位条項および特許・著作権条項を持ち出して抗弁した。しかし最高裁は、連邦議会が1909年法を可決した際、楽曲が著作権保護に値しないとの意図には解せないとして被告の訴えを退けた{{R|USSC-412-546}}。また特許・著作権条項には {{Lang|en|Writing}} (著作) の文言があるが、これを「あらゆる物質的表現」と解したことから、著作物保護には何らかの媒体に固定されていることが必要と判示された{{Sfn|白鳥|2004|p=86}}。 || {{Sfn|白鳥|2004|p=86}}
| data-sort-value="Eldred v. Ashcroft"|{{Visible anchor|[[エルドレッド対アシュクロフト司法長官裁判]]}}<br>([[:en: Eldred v. Ashcroft|Eldred v. Ashcroft]]) || 2003<br>({{ussc|537|186}}) || [[著作権延長法|ソニー・ボノ著作権延長法]]の合憲性、[[永久著作権#アメリカ合衆国|永久著作権]] || 合法 || 通称「ミッキーマウス訴訟」。著作権保護期間を延長する改正立法によって著作物の社会利用が妨げられ、[[権利章典 (アメリカ)#修正第1条|合衆国憲法修正第1条]]が保障する表現の自由に抵触するとの主張。しかし、フェアユースによって既存著作物の翻案が認められていることから原告の主張を棄却。 || <ref name=TsukubaU>{{Cite web |url=http://coi-sec.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/pdf/survey_h27/201508.pdf |title=著作権の保護期間はどうあるべきか -- TPP交渉を契機に考える |author=新谷由紀子 |coauthor=菊本虔 |work=知財管理 Vol. 65 No. 8 |publisher=筑波大学 |date=2015 |accessdate=2019-05-06}}</ref>
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| data-sort-value="Twentieth Century Music Corp. v. Aiken"|{{Visible anchor|[[20世紀ミュージック対エイケン裁判]]}}<br>([[:en: Twentieth Century Music Corp. v. Aiken|Twentieth Century Music Corp. v. Aiken]]) || 1975<br>({{Ussc|422|151}}) || [[公衆実演権]]、著作権保護の目的 || 合法 || [[バーモント州知事の一覧|バーモント州知事]]や[[アメリカ合衆国上院|合衆国上院議員]]などを歴任した{{仮リンク|ジョージ・エイケン|en|George Aiken}}が経営する食料品店 (イートインスペースも併設していることから客の滞在時間は長い) が、ラジオ局から楽曲を受信して店内で流していた。この楽曲は[[米国作曲家作詞家出版者協会]] (ASCAP) が著作権を管理しており、[[20世紀スタジオ]]社系列の20世紀ミュージック社に[[実演権]]が独占ライセンスされていたことから、営利目的で楽曲を使用したエイケンを20世紀ミュージックが著作権侵害で提訴した。一審は原告の訴えを認めたものの、二審と最高裁は退けた。ラジオの送受信は実演権に含まれないと判断されたためである。さらに、創作者が公平な対価を享受し、創作のインセンティブを与える目的で著作権保護は存在するのであって、その著作物を公衆が享受する公益性との間でバランスがとられるとも判示された{{R|USSC-422-151}}。 || {{Sfn|白鳥|2004|pp=40&ndash;41}}
| data-sort-value="Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp."|{{Visible anchor|[[ダスター対20世紀フォックス裁判]]}}<br>([[:en: Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp.|Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp.]]) || 2003<br>({{ussc|539|23}}) || [[商標権]]と著作権の関係性 || 合法 || 元軍人・後の大統領[[ドワイト・D・アイゼンハワー|アイゼンハワー]]による戦争回想録 (1948年出版) のテレビ化権を[[20世紀フォックス]]が獲得。著作権期限切れ前に更新せず、テレビ番組は1977年にパブリックドメインに帰す。ダスター社がテレビ番組の映像を購入して複製し、{{仮リンク|パッシングオフ|label=リバース・パッシングオフ|en|Passing off}} (他者の商品を自分名義で偽って販売する「逆詐称通用」) を行った。これが{{仮リンク|ランハム法|en|Lanham Act}} (米国の連邦商標法であり、日本の[[不正競争防止法]]の要素も含む) に抵触するとしてフォックスが提訴。リバース・パッシングオフの非を認めつつも、パブリックドメインに帰していることからダスターの著作権侵害は棄却。 || <ref name=NotreDame-Dastar>{{Cite web |url=https://scholarship.law.nd.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1610&context=law_faculty_scholarship |title=Dastar's Next Stand |last=McKenna |first=Mark |publisher=[[ノートルダム大学]]ロースクール |date=2012 |accessdate=2019-05-06 |language=en}}</ref>
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| data-sort-value="Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc."|{{Visible anchor|[[ソニー・アメリカ他対ユニバーサル・シティ・スタジオ他裁判]]}}<br>([[:en: Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc.|Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc.]]) || 1984<br>({{ussc|464|417}}) || フェアユース第1・第4基準、{{仮リンク|寄与侵害 (著作権法)|label=寄与侵害|en|Contributory copyright infringement}} || 合法 || 通称「[[ベータマックス#その他|ソニー・ベータマックス]]判決」{{Sfn|山本|2008|p=112}}。テレビ番組の家庭用録画機器ベータマックスなどを使用して、一般ユーザが著作物 (番組) 全量を複製しており、番組著作権者らが寄与侵害 (一般ユーザの直接侵害に手段提供している廉) で機器メーカーのソニーらを提訴した。利用者の多くが家庭での使用であり、後日視聴 ({{Lang|en|time-shifting}}) を目的としていることから、フェアユース第1基準で非営利性が認められ、録画が番組著作権者の収益に影響を及ぼさないとしてフェアユース第4基準の市場代替性の観点も考慮された{{R|USSC-464-417}}{{Sfn|山本|2008|pp=112&ndash;113}}。21世紀に入ってからはインターネット視聴や音楽などのファイル共有ソフトウェアなどを巡って類似訴訟が発生しており、度々ベータマックス訴訟は「ソニー・ルール{{Sfn|作花|2018|p=687}}」として引き合いに出される ([[#MGMスタジオ対グロクスター裁判]]{{R|USSC-545-913-SC|page1=2}}、[[#ABC他対Aereo裁判]]{{R|USSC-573-431-SC|page1=17}}など)。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|山本|2008|pp=112&ndash;113}}<br>{{Sfn|白鳥|2004|p=40}}
| data-sort-value="Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd."|{{Visible anchor|[[Morpheus#モーフィアス事件(モーフィアス・グロクスター事件)|MGMスタジオ対グロクスター裁判]]}}<br>([[:en: Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd.|Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd.]]) || 2005<br>({{ussc|545|913}}) || 著作権侵害の技術提供者の二次責任 || 合法 || 著作権侵害の技術提供の文脈で、[[ベータマックス#その他|ベータマックス裁判]]と比較されることが多い訴訟。[[Peer-to-peer]]ファイル共有ソフトの[[Morpheus]]が著作権侵害に利用されているとして、開発会社グロクスター等を相手取り、[[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー]] (MGM) など計28の原告団が提訴。Morpheusの頒布者には二次責任を認めたが、その開発者の責までは問わなかった。 || <ref name=Bunka-Mitsui>{{Cite web |url=http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/chosakuken/pdf/h18_chitekizaisan_chosakenkyu.pdf |title=情報通信技術の進展に対応した海外の著作権制度について |work=文化庁委託事業: 知的財産立国に向けた著作権制度の改善に関する調査研究 |author=三井情報開発株式会社 総合研究所 |publisher=文化庁 |date=2006-03 |accessdate=2019-05-06}}</ref>
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| data-sort-value="Harper & Row v. Nation Enterprises"|{{Visible anchor|[[ハーパー & ロー対Nation誌裁判]]}}<br>([[:en: Harper & Row v. Nation Enterprises|Harper & Row v. Nation Enterprises]]) || 1985<br>({{ussc|471|539}}) || フェアユース第1・第4基準、[[アイディア・表現二分論]] || 違法 || フェアユース関連で言及されることの多い代表的判例の一つ{{Sfn|作花|2018|p=853}}。[[ジェラルド・R・フォード|フォード元大統領]]の未発表回想録の引用を巡る争い。総合出版[[ハーパーコリンズ|ハーパー]]社 (原告) が回想録を出版するためフォードから著作権を獲得し、書籍化を計画していた。この書籍の発行前に、雑誌『[[タイム (雑誌)|TIME]]』が2万5千ドルをハーパーに支払う契約を締結し、回想録の抄録発行権を得た。しかし雑誌『{{仮リンク|The Nation|en|The Nation}}』を発行するNation社 (被告) が無断で引用して先に記事掲載したことから、ハーパーとTIME誌間の契約は破棄となり、著作権侵害でNationが提訴された。フォード元大統領が公人であることから「公共性」を理由に被告はフェアユースで抗弁するも、公人か否かはフェアユースの判断基準外と判示された。また最初の出版権を誰が有するかを重要視された。逐語的に引用されたのは、書籍の元原稿20万語のうちわずか300語だったが、決定的な箇所だと判示された{{R|USSC-471-539}}。加えて、回想録は事実を記していることからアイディア・表現二分論上の「アイディア」に該当して著作権保護されないのではないかとの指摘もあったが、その創作的な表現には保護がおよぶとも判示された{{Sfn|白鳥|2004|p=212}}。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|山本|2008|p=111}}<br>{{Sfn|Leaffer|2008|p=682}}{{Sfn|作花|2018|pp=853&ndash;856}}<br>{{Sfn|白鳥|2004|pp=211&ndash;215}}
| data-sort-value="Reed Elsevier, Inc. v. Muchnick"|{{Visible anchor|[[リード・エルゼビア対マッチニック裁判]]}}<br>([[:en: Reed Elsevier, Inc. v. Muchnick|Reed Elsevier, Inc. v. Muchnick]]) || 2010<br>({{ussc|559|154}}) || [[著作権#方式主義と無方式主義|著作物の登録]] || 訴訟概要を参照 || 「[[全米作家協会#フリーランサー訴訟|ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判]]」の類似ケース。学術出版5大企業の一角リード・[[エルゼビア]] (現[[レレックス・グループ]]) がフリーランサーの著作物をデジタル化し、ニューヨークタイムズなどに提供。一部著作物が未登録だったことから和解金の受取対象が問われた。 || <ref name=Elsevier-Loeb>{{Cite web |url=https://www.loeb.com/en/insights/publications/2010/03/reed-elsevier-inc-et-al-v-muchnick-et-al |title=Reed Elsevier, Inc., et al. v. Muchnick, et al. |publisher=Loeb & Loeb (知財や企業法専門弁護士事務所) |date=2010-03-10 |accessdate=2019-05-13}}</ref>
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| data-sort-value="Bonito Boats, Inc. v. Thunder Craft Boats, Inc."|{{Visible anchor|[[デジタルミレニアム著作権法#DMCA成立以前の関連判例|ボニート・ボーツ対サンダー・クラフト・ボーツ裁判]]}}<br>([[:en: Bonito Boats, Inc. v. Thunder Craft Boats, Inc.|Bonito Boats, Inc. v. Thunder Craft Boats, Inc.]]) || 1989<br>({{ussc|489|141}}) || {{仮リンク|連邦優位条項|en|Supremacy Clause}}、船体デザイン、[[DMCA]] || 合法 || デジタルミレニアム著作権法 (DMCA) 第5章 (連邦著作権法 第13章を新設する改正立法) 可決に影響を与えた判例{{Sfn|山本|2008|pp=157&ndash;158}}{{R|SuiGeneris-Cornell|VHDPA-Cornell}}。ボニート社の[[ガラス繊維]]製の遊興用ボートは船体デザインが特許申請されていなかったものの、後にフロリダ州政府が船体デザインの盗用・販売を禁じる州法を成立させたことから、ボニート社がサンダー社を提訴した。この州法は連邦特許法と矛盾するとして「[[#シアーズ・ローバック対スティフル裁判]]」で示された連邦優位条項の解釈を継承し、船体デザインの模倣は合法とされた{{R|USSC-489-141}}。<br>その後、発明の新規性を要件とする特許法では保護されないような船体デザインも著作権法で保護すべく、連邦議会はDMCAを1998年に成立させて法改正することとなった{{Sfn|山本|2008|pp=157&ndash;158}}。 || {{Sfn|山本|2008|pp=157&ndash;158}}{{Sfn|白鳥|2004|pp=7, 266}}<br>{{R|SuiGeneris-Cornell|VHDPA-Cornell}}
| data-sort-value="Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp."|{{Visible anchor|[[オメガ対コストコ裁判]]}}<br>([[:en: Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp.|Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp.]]) || 2010<br>({{ussc|562|40}}) || [[著作権法 (アメリカ合衆国)#消尽論|消尽論]] || 合法 || 「カートサン対ワイリー裁判」とセットで論じられることが多い。スイス高級腕時計メーカーの[[オメガ]]は正規販売ルートのみに商品を卸していたが、安価大量販売で知られる[[コストコ]]が非正規ルートでオメガの時計を入手して販売。時計デザインが著作権保護の対象であることから、オメガがコストコを提訴した。しかし米国著作権法[http://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section109&num=0&edition=prelim 第109条]では、複製した商品の購入者は自由に中古売買でき、著作権者の排他的な権利は所有者まで及ばない消尽論をとっており、コストコの行為は合法と判示された。 || <ref name=Omega-Harvard>{{Cite web |url=https://h2o.law.harvard.edu/cases/4412 |title=Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp. |publisher=[[ハーバード大学]]ロースクール |accessdate=2019-05-13}}</ref>
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| data-sort-value="Community for Creative Non-Violence v. Reid"|{{Visible anchor|[[職務著作#アメリカ合衆国|CCNV対リード裁判]]}}<br>([[:en: Community for Creative Non-Violence v. Reid|Community for Creative Non-Violence v. Reid]]) || 1989<br>({{ussc|490|730}}) || [[職務著作]] || 訴訟概要を参照 || 「職務」の要件を定義したリーディング・ケース{{Sfn|山本|2008|pp=76&ndash;78}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=270&ndash;272}}。ホームレス問題に取り組む慈善団体の{{仮リンク|CCNV|en|Community for Creative Non-Violence}}が彫刻家リードに作品を依頼。完成した彫像は職務著作として委託者CCNVに著作権が認められるのかが問われた。当判決では[[代理#英米法での特徴|代理法]]における「独立の契約者」(independent contractor) の概念が判断基準として用いられた{{R|USSC-490-730}}。 || {{Sfn|山本|2008|pp=76&ndash;78}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=270&ndash;272}}<br>{{Sfn|Goldstein & Hugenholtz|2013|pp=254&ndash;256}}{{Sfn|作花|2018|pp=183, 192|loc=注釈番号22}}
| data-sort-value="Golan v. Holder"|{{Visible anchor|[[ウルグアイ・ラウンド協定法#著作権回復への異議|ゴラン対ホルダー司法長官裁判]]}}<br>([[:en: Golan v. Holder|Golan v. Holder]]) || 2012<br>({{ussc|565|302}}) || 権利回復著作物、[[ウルグアイ・ラウンド協定法]]の合憲性 || 合法 || 過去にパブリックドメインに帰していた外国著作物が、1994年制定のウルグアイ・ラウンド協定法により著作権保護対象となった (これを権利回復著作物と呼ぶ)。権利回復によって著作物の社会利用が妨げられることから、表現の自由を保障する[[権利章典 (アメリカ)#修正第1条|合衆国憲法修正第1条]]に反するとの主張がなされたが、合憲性の判示となった。 || <ref name=Golan-Stanford>{{Cite web |url=http://cyberlaw.stanford.edu/our-work/cases/golan-v-holder |title=GOLAN V. HOLDER |publisher=[[スタンフォード大学]]ロースクール |accessdate=2019-05-13}}</ref>
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| data-sort-value="Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co."|{{Visible anchor|[[ファイスト出版対ルーラル電話サービス裁判]]}}<br>([[:en: Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co.|Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co.]]) || 1991<br>({{ussc|499|340}}) || [[アイディア・表現二分論]] (額の汗の法理) || 合法 || {{仮リンク|額の汗の法理|en|Sweat of the brow}}が最高裁で初めて否定された判決として国内外で知られる{{R|Tamura1998}}{{Sfn|山本|2008|p=30}}。ルーラル社は[[カンザス州]]北西の一部地域で独占営業を認められた電話サービス事業者で、加入者の電話番号を電話帳として編纂して無料配布する法令義務を負っていた。一方のファイスト社は、カンザス州広域で電話帳の発行を専業とする出版社である。ファイストがルーラルの無料電話帳から自社の発行する電話帳に電話番号を転載したことから、著作権侵害が問われた。一審と二審は侵害を認めたが、最高裁では一転し、著作権保護には単なるデータ配列 (額に汗をかいてデータ収集すること) だけでなく独自の創造性 (オリジナリティを持つ表現性) が必要だと合衆国憲法の{{仮リンク|特許・著作権条項|en|Copyright Clause}}が解釈された結果、電話帳に著作権は認められずファイストの行為は合法と判示された{{R|USSC-499-340}}。<br>なお、ファイスト判決以前に額の汗の法理が支持されていた判決例としては、判決文のページ付けシステム{{Efn2|West Publishing Co. v. Mead Data Central, Inc., 799 F.2d 1219 (8th Cir. 1986), cert. denied, 479 U.S. 1070 (1987){{Sfn|白鳥|2004|p=130}}。}}などがある。 || {{Sfn|白鳥|2004|pp=83&ndash;85}}{{Sfn|山本|2008|p=30}}<br>{{R|Telephone-Cornell|SfB-Ito}}
| data-sort-value="Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc."|{{Visible anchor|[[カートサン対ワイリー裁判]]}}<br>([[:en: Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc.|Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc.]]) || 2013<br>({{ussc|568|519}}) || [[著作権法 (アメリカ合衆国)#消尽論|消尽論]] || 合法 || [[タイ王国|タイ人]]留学生スパップ・カートサンは、学術出版大手[[ジョン・ワイリー・アンド・サンズ]] (略称ワイリー) の出版する教科書がタイと比べて米国で高額に販売されていると知り、タイから米国に逆輸入してオークションサイトの[[eBay]]で販売し、約120万米ドルの収益を得たとされる。第2巡回控訴裁の判決を覆す形で、最高裁はカートサン無罪の判決を下した。この判決により、米国の著作物が米国外で複製印刷・販売され、再び米国内に逆輸入した際にも、米国著作権法第109条が定める消尽論が適用されることが判示された。 || <ref name=Bunka-H27Rep/><ref name=Wiley-CNN>{{Cite web |url=https://edition.cnn.com/2012/10/26/justice/court-student-copyright/index.html |title=Supreme Court to hear arguments in case of student who resold books |trans-title=学生が中古販売した書籍を巡って最高裁が聴聞 |first=Bill |last=Mears |publisher=[[CNN]] |date=2012-10-27 |accessdate=2019-04-23 |language=en}}</ref>
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| data-sort-value="Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc."|{{Visible anchor|[[キャンベル対エイカフ・ローズ・ミュージック裁判]]|キャンベル対アカフ・ローズ・ミュージック裁判}}<br>([[:en: Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc.|Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc.]]) || 1994<br>({{ussc|510|569}}) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 合法 || パロディに関するリーディングケース{{Sfn|白鳥|2004|p=219}}{{Sfn|作花|2018|p=875}}。1990年公開映画『[[プリティ・ウーマン]]』の主題歌 [[オー・プリティ・ウーマン|"''Oh, Pretty Woman''"]] (歌手[[ロイ・オービソン]]) を使用して、[[ヒップホップ]]グループの[[ツー・ライヴ・クルー|The 2 Live Crew]] (被告{{仮リンク|ルーサー・キャンベル|en|Luther Campbell}}はこのメンバーの一員) がパロディを製作し、25万枚のセールスを記録した{{R|LAT1993}}。一審はフェアユース認定、二審は否定し、最高裁が再び認定した{{R|USSC-510-569}}。パロディとして使用された箇所 (原曲の冒頭部) は有名であり原曲の中核をなすと認定されたものの、パロディはこのような中核を用いることが常であると判断された。そしてフェアユース第1基準の定める変形的利用が、同じく第1基準で例示される非営利性に勝り、第4基準の市場代替性を損なうことがないと解される裁判{{Sfn|作花|2018|p=875}}。原曲 "''Oh, Pretty Woman''" (あぁ、可愛い女性) がパロディでは "''Big Hairy Woman''" (デカい髪型の女性) に変形されている{{R|Video-VH1}}。2つの楽曲動画は「[[#関連画像・音声・動画]]」節のリンクを参照。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|山本|2008|pp=113&ndash;115}}<br>{{Sfn|作花|2018|pp=853&ndash;855, 875}}{{Sfn|白鳥|2004|pp=219&ndash;224}}
| data-sort-value="Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc."|{{Visible anchor|[[ペトレラ対MGM裁判]]}}<br>([[:en: Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.|Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.]]) || 2014<br>({{ussc|572|12-1315}}) || [[懈怠 (法学)#英米法における懈怠 (laches) の法理|ラッチェスの法理]] || 訴訟概要を参照 || プロボクサーの[[ジェイク・ラモッタ]]の自伝に基づき、ラモッタと友人ペトレラが脚本2版と小説本をそれぞれ執筆した。後に[[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー|MGM]]傘下[[ユナイテッド・アーティスツ]]が映画化権を獲得して『[[レイジング・ブル]]』を1980年に製作・公開。ペトレラの相続人は1991年、脚本の旧版のみ著作権期限更新を行ったが、脚本の新版と小説本は更新を怠った。1997年にペトレラの相続人はMGMが著作権侵害だと訴え、後に訴訟へと発展した。<br>米国著作権法では民事訴訟は発生から3年以内の提訴が認められている (いわゆる出訴制限)。また判例では「ラッチェス抗弁」(懈怠の法理) が一部認められる。これは原告が出訴を遅らせることで不当に損害請求額を積み増してはならないとする考え方である。従来はラッチェスの法理は損害賠償請求のみに適用され、差止命令は適用外と解されてきたが、二審の控訴裁では差止および3年以内に発生した侵害分の損害賠償全ての原告請求を棄却した。しかし最高裁では一転し、著作権法で規定しているのは出訴制限のみで、衡平に欠く場合でなければ、原則は損害賠償や差止などの侵害救済にまでラッチェスの法理は及ばないと判示した。 || <ref name=Yamamoto-Petrella>{{Cite web |url=https://system.jrrc.or.jp/topics_info/%EF%BD%8A%EF%BD%92%EF%BD%92%EF%BD%83%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E7%AC%AC81%E5%8F%B7%EF%BC%88%E3%83%A9%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%B3%95%E7%90%86%EF%BC%89/ |title=ラチェスの法理 |publisher=公益社団法人 [[日本複製権センター]] |work=JRRCマガジン第81号 |author=山本隆司 (米国著作権法弁護士) |date=2016-11-24 |accessdate=2019-05-13}}</ref><ref name=Stanford-Petrella>{{Cite web |url=https://fairuse.stanford.edu/case/petrella-v-metro-goldwyn-mayer-inc/ |title=Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc. |publisher=[[スタンフォード大学]]図書館 |date=2014-05-19 |accessdate=2019-05-08}}</ref><ref name=Innoventier-Petrella>{{Cite web |url=https://innoventier.com/archives/2017/06/3557 |title=特許法上の期間制限内に生じた損害賠償請求に対するラッチェス(懈怠)抗弁の適用を否定した米国連邦最高裁判所判決について |author=町野静 |publisher=イノベンティア |date=2017-06-27 |accessdate=2019-05-08}}</ref>
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| data-sort-value="Lotus Dev. Corp. v. Borland Int'l, Inc."|{{Visible anchor|[[ロータス・デベロップメント対ボーランド裁判]]}}<br>([[:en: Lotus Dev. Corp. v. Borland Int'l, Inc.|Lotus Dev. Corp. v. Borland Int'l, Inc.]]) || 1996<br>([https://www.oyez.org/cases/1995/94-2003 516 U.S. 233], ''per curiam'' decision{{Efn2|name=PerCuriam|米国の最高裁においては一般的には特定の判事が判旨を述べることとなっているが、''{{Lang-la|per curiam}}'' ({{Lang-en-short|by court}}の意) の場合は最高裁の名において判決を下すことを意味する。必ずしも最高裁判事の全会一致を意味するところではないが、二審の控訴裁で下された判決を三審の最高裁も支持する場合、{{仮リンク|裁判所判断|en|Per curiam decision}} ({{Lang|en|per curiam decision}}) の形態がとられる{{R|PerCuriam-Cornell}}。}}) || 著作物の定義、アイディア・表現二分論 || 合法 || [[ロータス・デベロップメント]] (現[[IBM]]) 製の表計算ソフト[[Lotus 1-2-3]]で使用されているコマンド469個 (コピー、印刷等) と同じものをボーランドが自社開発した表計算ソフトのメニューに組み込んだ。ロータスの既存ユーザがボーランド製に乗り換えやすくなったことから、ロータスが提訴。一審ではメニュー体系の著作物性を認めたものの、二審では「操作の手法」に過ぎないとして著作権保護が否定された{{R|Lotus-1stCir-LN}}。最高裁も二審を支持している{{R|USSC-516-233}}。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=112&ndash;114}}{{Sfn|白鳥|2004|pp=118&ndash;119}}
| data-sort-value="American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc."|{{Visible anchor|[[ABC対Aereo裁判]]}}<br>([[:en: American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc.|American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc.]]) || 2014<br>({{ussc|573|13-461}}) || 複製権、公衆実演権 || 違法 || {{仮リンク|Aereo|en|Aereo}}は各地に小型アンテナを数千基設置し、各ユーザがアンテナにインターネット経由でアクセスすることで、TV番組の見逃し配信を提供するストリーミング動画サービス。「ベータマックス訴訟」では家庭内での後日視聴が合法と判示されたことから、Aereoも同様の抗弁を行った。ベータマックスは各ユーザが個々人で複製し、家庭内で視聴していることから著作権法が定める公衆実演権を侵害していないとされる。しかしAereoの場合、各ユーザ向けに複製を行っているのはアンテナを有するAereoであることから、著作権侵害と判示された。この結果、Aereoは2014年に[[連邦倒産法第11章]]に基づき破産申請している<ref name=TechCrunch-Aereo>{{Cite web |url=https://jp.techcrunch.com/2014/11/22/20141121aereo-files-for-chapter-11-bankruptcy/ |title=Aereoが破産申請を提出 |last=Crook |first=Jordan |publisher=[[TechCrunch]] |date=2014-11-22 |accessdate=2019-05-13}}</ref>。 || <ref name=Aereo-WIPO>{{Cite web |url=https://www.wipo.int/wipo_magazine/en/2014/05/article_0003.html |last=Wasoff |first=Lois F. (マサチューセッツ州弁護士) |title=The Aereo Decision – Exploring the Implications |date=2014-09 |accessdate=2019-05-13}}</ref>
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| data-sort-value="New York Times Co. v. Tasini"|{{Visible anchor|[[全米作家協会#フリーランサー訴訟|ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判]]}}<br>([[:en: New York Times Co. v. Tasini|New York Times Co. v. Tasini]]) || 2001<br>({{ussc|533|483}}) || [[著作権法 (アメリカ合衆国)#第201条|集合著作物]]、[[二次的著作物]]、[[職務著作]]、[[著作権#方式主義と無方式主義|著作物の登録]] || 違法 || 通称「タシーニ判決{{Sfn|白鳥|2004|p=132}}」「フリーランサー集団訴訟{{R|AG-Freelance2017}}」。[[フリーランサー]]の著作物が[[ニューヨーク・タイムズ]] (NYT) などに寄稿され、それが[[レクシスネクシス]]などのオンラインデータベースに無断転載されたため、{{仮リンク|全米作家労働組合|en|National Writers Union}}のタシーニ会長らが[[集団訴訟]]を起こした{{R|USSC-533-483}}。[https://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section201&num=0&edition=prelim 201(c)条] は集合著作物について規定しており、集合著作物の著作権者 (本件ではNYT等の新聞・雑誌社) は改訂版を発行する権利は有するが、個々の記事の複製権・頒布権は有しない{{Sfn|白鳥|2004|p=133}}。データベース化はフェアユースの定める翻案化 (つまり改訂版の創作) には該当しないことから2001年最高裁判決で原告勝訴となった{{R|USSC-533-483}}{{Sfn|白鳥|2004|p=133}}。<br>しかし訴訟には事前に著作物の登録が必須とされている (米国著作権法 [https://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section412&num=0&edition=prelim 第412条]) ことから、和解金を受け取れなかった未登録著作物の著作者らが別途訴訟を継続した。本件では別途、[[全米作家協会]]や{{仮リンク|全米ジャーナリスト・作家協会|en|American Society of Journalists and Authors}} (ASJA) なども同類の訴訟を起こしており、2001年のタシーニ判決後に合流している。最終的に原告側は総勢3000人以上、対象著作物は60万記事を超え、総額1800万米ドルの和解金で2014年に決着{{R|AG-Freelance2017}}。 || {{Sfn|白鳥|2004|pp=132&ndash;134}}{{Sfn|山本|2008|pp=16, 88}}<br>{{R|CA1411}}
| data-sort-value="Star Athletica, LLC v. Varsity Brands, Inc."|{{Visible anchor|[[スター・アスレティカ対ヴァーシティ・ブランズ裁判]]}}<br>([[:en: Star Athletica, LLC v. Varsity Brands, Inc.|Star Athletica, LLC v. Varsity Brands, Inc.]]) || 2017<br>({{ussc|580|15-866}}) || 著作物の保護範囲の定義、デザイン || 違法 || スポーツ・アパレル企業同士の訴訟。[[チアリーディング]]のユニフォームデザイン (縞・ジグザグ・逆さV字模様など) が似ているとして大手ヴァ―シティがスターを提訴した。実用品向けのデザインのため著作権は発生しないとスターは抗弁。これに対し、[[フォーダム大学]]ロースクールのファッション法研究センター長{{仮リンク|スーザン・スカフィディ|en|Susan Scafidi}}などもヴァーシティを擁護し、デザインの著作権保護を訴えた。最高裁はヴァーシティのデザイン独創性を認め、フェアユース抗弁を棄却した。しかし流行が去った後でもファッション・デザインに法的保護を与え続けるのか、その線引きの難しさが問題提起されている。 || <ref name=HLR-Varsity>{{Cite web |title=Star Athletica, L.L.C. v. Varsity Brands, Inc. |url=https://harvardlawreview.org/2017/11/star-athletica-l-l-c-v-varsity-brands-inc/ |work=131 Harv. L. Rev. 363 |publisher=Harvard Law Review |date=2017-11 |accessdate=2019-05-13}}</ref>
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| data-sort-value="Eldred v. Ashcroft"|{{Visible anchor|[[エルドレッド対アシュクロフト司法長官裁判]]}}<br>([[:en: Eldred v. Ashcroft|Eldred v. Ashcroft]]) || 2003<br>({{ussc|537|186}}) || [[著作権延長法|ソニー・ボノ著作権延長法]]の合憲性、[[永久著作権#アメリカ合衆国|永久著作権]] || 合法 || 通称「ミッキーマウス訴訟」{{R|Mickey1|Mickey2}}{{Efn2|[[ミッキーマウス]]の著作権保護期間が切れそうになると各国の著作権法が改正されて保護期間が延伸される様を「ミッキーマウス保護法」と皮肉を込めて呼ぶことがある{{R|Mickey3}}。}}。著作権保護期間を死後50年から70年に延長する1998年の改正立法によって著作物の社会利用が妨げられ、[[権利章典 (アメリカ)#修正第1条|合衆国憲法修正第1条]]が保障する表現の自由に抵触するとの主張。また合衆国憲法の{{仮リンク|特許・著作権条項|en|Copyright Clause}}は「限られた期間」({{Lang|en|limited times}}) を保護すると記されており、期間延長がこれに抵触すると主張した。原告はパブリックドメインに帰した著作物を活用する団体・個人で構成。しかし、フェアユースによって既存著作物の翻案が認められていることから、表現の自由に抵触しないと判断された。また、既に[[欧州連合]] (EU) では保護期間を70年に設定していることから、米国もこれに合わせることで創作者へのインセンティブを与えるとする特許・著作権条項の目的に合致するとして、原告の主張を棄却した{{R|USSC-537-186}}。 || {{R|TsukubaU}}{{Sfn|白鳥|2004|pp=42&ndash;46}}<br>{{Sfn|作花|2018|pp=418&ndash;419}}{{Sfn|山本|2008|p=167}}
| data-sort-value="Fourth Estate Public Benefit Corp. v. Wall-Street.com"|{{Visible anchor|[[フォース・エステート対Wall-Street.com裁判]]}}<br>([[:en: Fourth Estate Public Benefit Corp. v. Wall-Street.com|Fourth Estate Public Benefit Corp. v. Wall-Street.com]]) || 2019<br>(586 U.S. ___) || 著作物の登録手続 || 訴訟概要を参照 || {{仮リンク|フォース・エステート (公益法人)|label=フォース・エステート|en|Fourth Estate Public Benefit Corporation}} (4E) は社会性の高いテーマを扱うメディアで、他のメディア企業に記事提供している。企業IR情報などを掲載するWall-Street.comが4Eとのライセンス契約を打ち切ったが、4Eの提供済記事をサイトに掲載し続けたため4Eが提訴した。著作権法では著作者が米国籍の場合、提訴前に{{仮リンク|アメリカ合衆国著作権局|en|United States Copyright Office}} (USCO) に著作物を登録することを求めている。ここでの登録を著作権者の「申請」(著作物の[[著作権法 (アメリカ合衆国)#著作権保護の手続|納付と登録料支払]]) とするか、USCOによる「登録許可」とみなすかで各巡回控訴裁判所によって過去判例が分かれていた。最高裁では後者の「登録許可」方式を採用し、登録許可が完了するまで原告は提訴を待たなければならないと判示された。 || <ref name=4E-CopyrightAlliance>{{Cite web |url=https://copyrightalliance.org/copyright-law/copyright-cases/fourth-estate-v-wall-street-com/ |title=fourth estate v. wall-street.com |publisher=Copyright Alliance |accessdate=2019-05-13}}</ref>
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| data-sort-value="Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp."|{{Visible anchor|[[ダスター対20世紀フォックス裁判]]}}<br>([[:en: Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp.|Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp.]]) || 2003<br>({{ussc|539|23}}) || [[商標権]]と著作権の関係性 || 合法 || 元軍人・後の大統領[[ドワイト・D・アイゼンハワー|アイゼンハワー]]による戦争回想録 (1948年出版) のテレビ化権を[[20世紀フォックス]]が獲得。著作権期限切れ前に更新せず、テレビ番組は1977年にパブリックドメインに帰す。ダスター社がテレビ番組の映像を購入して複製し、{{仮リンク|パッシングオフ|label=リバース・パッシングオフ|en|Passing off}} (他者の商品を自分名義で偽って販売する「逆詐称通用」) を行った。これが{{仮リンク|ランハム法|en|Lanham Act}} (米国の連邦商標法であり、[[不正競争防止法]]の要素も含む) に抵触するとしてフォックスが提訴。リバース・パッシングオフの非を認めつつも、パブリックドメインに帰していることからダスターの著作権侵害は棄却{{R|USSC-539-23}}。 || {{R|NotreDame-Dastar}}{{Sfn|山本|2008|pp=102&ndash;104}}
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| data-sort-value="Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd."|{{Visible anchor|[[Morpheus#モーフィアス事件(モーフィアス・グロクスター事件)|MGMスタジオ対グロクスター裁判]]}}{{Efn2|「MGM v. Grokster」とは別に「Lieber v. Consumer Empowerment」訴訟も同時期に発生し、正式事実審理の前段階で2本の訴訟は1本に併合されている{{Sfn|作花|2018|p=685}}。}}<br>([[:en: Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd.|Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd.]]) || 2005<br>({{ussc|545|913}}) || 著作権侵害の技術提供者の二次責任 ({{仮リンク|誘引侵害責任理論|en|Inducement rule}}) || 違法 || 著作権侵害の技術提供の文脈で、[[ベータマックス#その他|ベータマックス裁判]]と比較されることが多い訴訟{{Sfn|作花|2018|p=687}}{{R|USSC-545-913-SC|page1=2}}。[[Peer-to-peer]]ファイル共有ソフトの[[Morpheus]]等が著作権侵害に利用されているとして、開発会社グロクスター等を相手取り、[[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー]] (MGM) など計28の原告団が提訴。Morpheusの頒布者には二次責任を認めたが、その開発者の責までは問わなかった{{R|USSC-545-913}}。本件では特許法で用いられる誘引侵害責任理論 ({{Lang|en|inducement theory}} または {{Lang|en|inducement test}}){{Efn2|知的財産権における{{仮リンク|誘引侵害責任理論|en|Inducement rule}}とは、他者が権利侵害することを目的としており、その意図が何らかの形で明示されている状態でデバイスが頒布された場合、その頒布者は責任を負うとする考え方である{{R|Giblin2007|page1=2}}。}}が著作権侵害でも適用されると判示された{{Sfn|作花|2018|p=687}}。最高裁判決後、グロクスター社は原告各社と和解に達したが、StreamCast Networks社 (旧MusicCity Networks社) とConsumer Empowerment社 ([[KaZaA]]社) は訴訟を継続{{Sfn|作花|2018|p=687}}。|| {{R|Bunka-Mitsui|page1=53}}<br>{{Sfn|作花|2018|pp=685&ndash;687}}{{R|Giblin2007}}<br>{{Sfn|山本|2008|pp=231&ndash;232, 250}}
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| data-sort-value="Reed Elsevier, Inc. v. Muchnick"|{{Visible anchor|[[リード・エルゼビア対マッチニック裁判]]}}<br>([[:en: Reed Elsevier, Inc. v. Muchnick|Reed Elsevier, Inc. v. Muchnick]]) || 2010<br>({{ussc|559|154}}) || [[著作権#方式主義と無方式主義|著作物の登録]]、{{仮リンク|事物管轄|en|Subject-matter jurisdiction}} || 訴訟概要を参照 || 「[[全米作家協会#フリーランサー訴訟|ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判]]」の類似ケース{{R|USSC-559-154}}。学術出版5大企業{{Efn2|name=Big5|[[エルゼビア]]、[[シュプリンガー・ネイチャー]]、[[ジョン・ワイリー・アンド・サンズ|ワイリー]]、[[テイラーアンドフランシス|テイラー・アンド・フランシス]]、[[アメリカ化学会]]が学術出版業界の世界ビッグ5とされる。科学論文の56%は5社のいずれかの出版物に掲載されている{{R|Elsevier-Big5}}。}}の一角[[エルゼビア|リード・エルゼビア]] (現[[レレックス・グループ]]) がフリーランサーの著作物をデジタル化し、ニューヨークタイムズなどに提供。訴訟対象となった著作物の多くが未登録だったことから和解金の受取対象が問われた{{R|USSC-559-154|Elsevier-Loeb}}。一審では1800万ドルの和解金が示されるも、マッチニックら一部のフリーランス著作者が和解に反対した。二審では未登録の著作物に対して裁判所は事物管轄権を有しないとの理由から、一審を覆した。最高裁は著作権法 [https://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section411&num=0&edition=prelim 第411条] は出訴にあたって著作物の登録を必須要件だとしつつも、未登録であっても司法管轄権はあると判示した{{R|Elsevier-Oyez}}。本件は9年後の最高裁判決「[[#フォース・エステート対Wall-Street.com裁判]]」にも大きな影響を与えた{{R|Elsevier-GT}}。 || {{R|Elsevier-Dodson||page1=16}}<br>{{R|Elsevier-Loeb|Elsevier-GT}}
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| data-sort-value="Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp."|{{Visible anchor|[[オメガ対コストコ裁判]]}}<br>([[:en: Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp.|Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp.]]) || 2010<br>({{ussc|562|40}}) ''per curiam'' decision{{R|USSC-562-40}}{{Efn2|name=PerCuriam}} || [[著作権法 (アメリカ合衆国)#消尽論|消尽論]] || 合法 || 「[[#カートサン対ワイリー裁判]]」とセットで論じられることが多い{{Sfn|作花|2018|p=707}}{{R|Omega-2dCir-Justia|page1=4}}。スイス高級腕時計メーカーの[[オメガ]]は正規販売ルートのみに「[[オメガ#シーマスター|シーマスター]]」のモデルを卸していたが、安価大量販売で知られる[[コストコ]]が非正規ルート (闇転売) でオメガのシーマスターを輸入して販売。時計の彫刻デザイン "Omega Globe" がシーマスターに施されており、このデザインが著作権保護の対象であることから、オメガがコストコを提訴した。オメガは正規ルートに販売する際に、米国内への輸入やコストコへの転売を許可していないと主張した。しかし米国著作権法 [http://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section109&num=0&edition=prelim 第109条] では、複製した商品の購入者は自由に中古売買でき、著作権者の排他的な権利は所有者まで及ばない消尽論をとっており、コストコの行為は合法と判示された{{R|Omega-2dCir-Justia|page1=3&ndash;5}}。 || {{R|Omega-Harvard}}{{Sfn|作花|2018|p=707}}
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| data-sort-value="Golan v. Holder"|{{Visible anchor|[[ウルグアイ・ラウンド協定法#著作権回復への異議|ゴラン対ホルダー司法長官裁判]]}}<br>([[:en: Golan v. Holder|Golan v. Holder]]) || 2012<br>({{ussc|565|302}}) || 権利回復著作物、[[ウルグアイ・ラウンド協定法]]の合憲性 || 合法 || 過去にパブリックドメインに帰していた外国著作物が、1994年制定のウルグアイ・ラウンド協定法により著作権保護対象となった (これを権利回復著作物と呼ぶ{{Sfn|山本|2008|p=35}})。権利回復によって著作物の社会利用が妨げられることから、表現の自由を保障する[[権利章典 (アメリカ)#修正第1条|合衆国憲法修正第1条]]に反するとの主張がなされたが、合憲の判示となった{{R|USSC-565-302}}。 || {{R|Golan-Stanford}}{{Sfn|作花|2018|p=419}}
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| data-sort-value="Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc."|{{Visible anchor|[[カートサン対ワイリー裁判]]}}<br>([[:en: Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc.|Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc.]]) || 2013<br>({{ussc|568|519}}) || [[著作権法 (アメリカ合衆国)#消尽論|消尽論]] || 合法 || [[タイ王国|タイ人]]留学生スパップ・カートサンは、学術出版大手{{Efn2|name=Big5}}[[ジョン・ワイリー・アンド・サンズ]] (略称ワイリー) の出版する教科書がタイと比べて米国で高額に販売されていると知り{{R|USSC-568-519}}、タイから米国に逆輸入してオークションサイトの[[eBay]]で販売し、約120万米ドルの収益を得たとされる{{R|Wiley-CNN}}。第2巡回控訴裁の判決を覆す形で、最高裁はカートサン無罪の判決を下した。この判決により{{R|USSC-568-519}}、米国の著作物が米国外で複製印刷・販売され、再び米国内に逆輸入した際にも、米国著作権法第109条が定める消尽論が適用されることが判示された{{Sfn|文化庁海外調査|2016|p=20}}。 || {{Sfn|文化庁海外調査|2016|p=20}}{{Sfn|作花|2018|pp=707&ndash;709}}
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| data-sort-value="Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc."|{{Visible anchor|[[ペトレラ対MGM裁判]]}}<br>([[:en: Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.|Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.]]) || 2014<br>({{ussc|572|663}}) || [[懈怠 (法学)#英米法における懈怠 (laches) の法理|ラッチェスの法理]] || 訴訟概要を参照 || プロボクサーの[[ジェイク・ラモッタ]]の実話に基づき、ラモッタと友人ペトレラが脚本2版と小説本をそれぞれ執筆した。後に[[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー|MGM]]傘下[[ユナイテッド・アーティスツ]]が映画化権を獲得して『[[レイジング・ブル]]』を1980年に製作・公開。ペトレラ本人は1981年に死去し、ペトレラの相続人 (娘) は1991年、1963年に発行された旧版の脚本について著作権期限更新を行った。1997年にペトレラの相続人はMGMが著作権侵害だと警告したが、実際に訴訟へと発展したのは2009年である{{R|USSC-572-663}}。<br>米国著作権法では民事訴訟は発生から3年以内の提訴が認められている (いわゆる出訴制限)。また判例では「ラッチェス抗弁」(懈怠の法理) が一部認められる。これは原告が出訴を遅らせることで不当に損害請求額を積み増してはならないとする考え方である。従来はラッチェスの法理は損害賠償請求のみに適用され、差止命令は適用外と解されてきたが、二審の控訴裁では差止および3年以内に発生した侵害分の損害賠償全ての原告請求を棄却した。しかし最高裁では一転し、著作権法で規定しているのは出訴制限のみで、衡平に欠く場合でなければ、原則は損害賠償や差止などの侵害救済にまでラッチェスの法理は及ばないと判示した{{R|Innoventier-Petrella|Yamamoto-Petrella}}。 || {{R|Yamamoto-Petrella|Stanford-Petrella}}<br>{{R|Innoventier-Petrella}}
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| data-sort-value="American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc."|{{Visible anchor|[[ABC他対Aereo裁判]]}}<br>([[:en: American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc.|American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc.]]) || 2014<br>({{ussc|573|431}}) || 複製権、公衆実演権 || 違法 || ストリーミング配信における公衆実演権に関する米国初の連邦最高裁判決{{R|Aereo-Bridy|page1=466}}。{{仮リンク|Aereo|en|Aereo}}は各地に小型アンテナを数千基設置し、各ユーザがアンテナにインターネット経由でアクセスすることで、TV番組の見逃し配信を提供するストリーミング動画サービス。番組の著作権を有する地上波テレビ局[[アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー|ABC]]らがAereoを訴えた{{R|USSC-573-431}}。2001年の「[[#A&Mレコード他対ナップスター裁判|#ナップスター判決]]」で違法とされた[[Peer to Peer|P2P]]のファイルシェアのように著作権法の穴を掻い潜ろうとする新技術の登場は、判事らからも "Aereoization" と揶揄された{{R|Aereo-Bridy|page1=469}}。Aereoはケーブルテレビのビジネスモデルに近いことから、先例を引用して公衆実演権に抵触しないと抗弁した{{Efn2|ケーブルテレビの公衆実演権に関する2008年の判決 Cartoon Network LP v. CSC Holdings, Inc., 536 F.3d 121 (2d Cir. 2008) を論拠としている。この2008年判決では、各家庭に設置されたケーブルボックスに{{仮リンク|ネットワークDVR|en|Network DVR}} ({{Lang|en|remote-storage digital video recording}}、RS-DVR) をつなげて番組をデジタル録画しても公衆実演権の侵害に当たらないと判示された{{R|Aereo-Bridy|page1=467&ndash;468}}。}}。「[[#ソニー・アメリカ他対ユニバーサル・シティ・スタジオ他裁判|#ソニー・ベータマックス判決]]」では各ユーザが個々人で複製し、家庭内で視聴していることから著作権法が定める公衆実演権を侵害していないとされるが、Aereoの場合、各ユーザ向けに複製を行っているのはアンテナを有するAereoであることから、著作権侵害と判示された{{R|USSC-573-431-SC|page1=17}}{{R|USSC-573-431}}。この結果、Aereoは2014年に[[連邦倒産法第11章]]に基づき破産申請している{{R|TechCrunch-Aereo}}。 || {{R|Aereo-WIPO}}{{Sfn|作花|2018|pp=618&ndash;619}}<br>{{R|Aereo-Bridy}}
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| data-sort-value="Star Athletica, LLC v. Varsity Brands, Inc."|{{Visible anchor|[[スター・アスレティカ対ヴァーシティ・ブランズ裁判]]}}<br>([[:en: Star Athletica, LLC v. Varsity Brands, Inc.|Star Athletica, LLC v. Varsity Brands, Inc.]]) || 2017<br>({{ussc|580|15-866}}{{Efn2|name=NoRep}}) || 著作物の保護範囲の定義、デザイン、[[ファッションロー]] || 違法 || 通称「チアリーディング・ユニフォーム事件」{{Sfn|作花|2018|p=129}}。[[チアリーディング]]のユニフォームデザイン (縞・ジグザグ・逆さV字模様など) が似ているとしてスポーツ・アパレル大手ヴァ―シティ (デザインを著作権登録済) が同業のスターを提訴した{{R|USSC-580-15-866}}。実用品向けのデザインのため著作権は発生しないとスターは抗弁{{R|Star-Oyez}}。実用品の著作権保護を巡っては1954年最高裁「[[#メイザー対ステイン裁判|#メイザー判決]]」が知られているが{{R|Levi2018|page1=712}}、チアリーディングのユニフォームの場合はデザインと衣服という実用性が物理的にも概念的にも分離不可能であり、一審では著作物性が否定された{{R|Star-Oyez}}。二審の第6巡回区控訴裁、および最高裁はこれを覆し、分離不可でも著作権保護されると判示した{{R|Star-Oyez}}。このように判断が分かれたのは連邦著作権法が「分離性」({{Lang|en|separability}}) の用語を定義していないことに起因する{{R|Levi2018|page1=709}}。第6巡回区控訴裁は概念的分離について「実用的な側面から分離して識別」できること、およびデザインが「実用的な側面から独立して存在」しうるかを判断基準とした{{R|Kotto-Fashion}}{{Efn2|スター対ヴァーシティ以前の類似判例としては、2012年の第2巡回区控訴裁判決 Jovani Fashion Ltd. v. Fiesta Fashions, 2d Cir., 12-598-cv, 10/15/12 が知られている{{R|Kotto-Fashion|Jovani-BNA}}。{{仮リンク|Jovani Fashion|en|Jovani Fashion}}は[[プロム]] (学校卒業時のダンスパーティ) 用ドレスブランドで知られているが、Jovani判決ではドレスのデザインは著作権保護の対象外と判示されていた{{R|Jovani-BNA|page1=6}}。Jovani判決以前にも、貴金属として装飾性の高いベルトの留め具を巡る Kieselstein-Cord v. Accessories by Pearl, Inc., 632 F.2d 989, 991, 993 (2d Cir. 1980){{R|Jovani-BNA|page1=4}}{{Sfn|白鳥|2004|p=124}} や一般的なデザイン商品である自転車の金属ラックを巡る Brandir Int’l, Inc. v. Cascade Pac. Lumber Co., 834 F.2d 1142, 1145 (2d Cir. 1987){{R|Jovani-BNA|page1=4}}{{Sfn|白鳥|2004|p=125}}がある。Kieselstein-Cord判決では分離可能、Brandir International判決では分離不可とされている{{Sfn|白鳥|2004|pp=124&ndash;125}}。}}。最高裁も二審を支持して結審{{R|Star-Oyez}}。 || {{R|Star-LOC|HLR-Varsity}}<br>{{Sfn|作花|2018|pp=129&ndash;131}}{{R|Levi2018}}
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| data-sort-value="Fourth Estate Public Benefit Corp. v. Wall-Street.com"|{{Visible anchor|[[フォース・エステート対Wall-Street.com裁判]]}}<br>([[:en: Fourth Estate Public Benefit Corp. v. Wall-Street.com|Fourth Estate Public Benefit Corp. v. Wall-Street.com]]) || 2019<br>(586 U.S. ___)<br>(Docket no. 17-571{{R|4E-Oyez}}{{Efn2|name=NoRep}}) || 著作物の登録手続 || 訴訟概要を参照 || {{仮リンク|フォース・エステート (公益法人)|label=フォース・エステート|en|Fourth Estate Public Benefit Corporation}} (4E) は社会性の高いテーマを扱うメディアで、他のメディア企業に記事提供している。企業IR情報などを掲載するWall-Street.comが4Eとのライセンス契約を打ち切ったが、4Eの提供済記事をサイトに掲載し続けたため4Eが提訴した。著作権法 [https://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section411&num=0&edition=prelim 第411条(a)] では著作者が米国籍の場合、提訴前に[[アメリカ合衆国著作権局]] (USCO) に著作物を登録することを求めている{{R|4E-Oyez}}。ここでの登録を著作権者の「申請」(著作物の[[著作権法 (アメリカ合衆国)#著作権保護の手続|納付と登録料支払]]) とするか、USCOによる「登録許可」とみなすかで各巡回控訴裁判所によって過去判例が分かれていた{{R|4E-Oyez|4E-LOC}}。最高裁では後者の「登録許可」方式を採用し、登録許可が完了するまで原告は提訴を待たなければならないと判示された{{R|4E-Oyez}}。 || {{R|4E-CopyrightAlliance|4E-LOC}}
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== 連邦下級裁判所の判例 ==
== 連邦下級裁判所の判例 ==
下級裁判所の判例であっても、後の類似訴訟で引用参照されることが多いなど、法学の研究機関や専門家が特筆性があると言及した判例に絞り、一覧化している。
{{Main2|一審と二審の地域対比表|:en: List of United States district and territorial courts#Active courts}}
下級裁判所の判例であっても、後の類似訴訟で引用参照されることが多いなど、研究機関や専門家が特筆性があると言及した判例に絞り、一覧化している。

裁判所名に "D" が表記される場合、一審の連邦地方裁判所 (District Court) の意味である。Dの後ろには州の略称がつく (例: [[マサチューセッツ州]]連邦地方裁であれば "D. Mass")。

"Cir" は二審の合衆国控訴裁判所 (United States Courts of Appeals) の意味で、第1~11の巡回区 (Circuit) および[[ワシントンD.C.]]の計12拠点が配置されており、訴訟の発生地域ごとに区割りしている。なお控訴裁には連邦巡回区控訴裁判所もあるが、合衆国全土に関連する特許や関税など扱う案件が限られており、著作権法のみの訴訟は連邦巡回区控訴裁では取り扱われない。


=== フェアユース関連 ===
=== フェアユース関連 ===
<!-- 「特筆性」の欄には専門家が言及した出典を付記して下さい。出典2つで1行とし、3つ以降の場合は改行コードを入れると表が崩れません。 -->
{| class="wikitable sortable" style="width:95%"
{| class="wikitable sortable" style="width:98%"
! style="width:18%" | 判例の通称 !! style="width:5%" | 判決年 !! style="width:9%" class=unsortable | 裁判所<br>([[判例引用#アメリカ合衆国|判例集番号]]) !! style="width:8%" class=unsortable | 争点 !! style="width:6%" | 著作タイプ !! style="width:4%" | 判決 !! style="width:41%" class=unsortable | 訴訟概要と判決要点 !! style="width:4%" class=unsortable | 特筆性
! style="width:18%" | 判例の通称{{Efn2|name=CaseName}} !! style="width:5%" | 判決年 !! style="width:9%" | 裁判所<br>([[判例引用#アメリカ合衆国|判例集番号]]) !! style="width:8%" class=unsortable | 争点 !! style="width:6%" | 著作タイプ !! style="width:4%" | 判決 !! style="width:44%" class=unsortable | 訴訟概要と判決要点 !! style="width:4%" class=unsortable | 特筆性
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| data-sort-value="Folsom v. Marsh"|{{Visible anchor|[[フォルサム対マーシュ裁判]]}}<br>([[:en: Folsom v. Marsh|Folsom v. Marsh]]) || 1841 || C.C.D. Mass.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/folsom-marsh-ccmass1841.pdf 9. F.Cas. 342]) || フェアユース第1-第4基準全て || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || フェアユースの法理を確立した米国初の判例として知られる{{Sfn|作花|2018|p=853}}。歴史家{{仮リンク|ジャレッド・スパークス|en|Jared Sparks}}が初代大統領[[ジョージ・ワシントン]]の書簡などの著作権を獲得し、12巻から成る『''The Writings of George Washington''』を上梓して{{仮リンク|チャールズ・フォルサム|label=フォルサム社|en|Charles Folsom}}{{Efn2|Folsom, Wells and Thurstonが正式社名{{R|USCO-ForlsomMarsh}}。}}から出版。うち2巻は『''The Life of Washington in the Form of an Autobiography''』として別途{{仮リンク|ベラ・マーシュ|label=マーシュ社|en|Bela Marsh}}{{Efn2|Marsh, Capen and Lyonが正式社名<ref name=USCO-ForlsomMarsh/>。}}から後に出版したことから、無断転載でフォルサムが提訴した。当判決では、現代のフェアユース第107条の第1-第4基準に類似する観点が全て含まれる形で判示された。以降、1976年改正法でフェアユースが成文化されるまでの間、米国ではもっぱら司法判断に基づいてきた。|| {{Sfn|山本|2008|pp=111&ndash;112}}{{Sfn|作花|2018|p=853}}
| data-sort-value="Keep Thomson Governor Comm. v. Citizens for Gallen Comm."|{{Visible anchor|[[トムソン知事対ギャレン候補裁判]]}}<br>(Keep Thomson Governor Comm. v. Citizens for Gallen Comm.) || 1978 || D. N.H.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/457/957/2347248/ 457 F.Supp. 957]) || フェアユース第1・第3基準 || 音楽<br>(実演) || 合法 || [[ニューハンプシャー州]]知事選において共和党現職{{仮リンク|メルドリム・トムソン・ジュニア|en|Meldrim Thomson Jr.}}の選挙キャンペーンソング15秒分を民主党候補{{仮リンク|ヒュー・ガレン|en|Hugh Gallen}}が自身の選挙広告に流用。使用量が少なく、かつ政治討論目的のためフェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse>{{Cite web |title=Summaries of Fair Use Cases |url=https://fairuse.stanford.edu/overview/fair-use/cases/ |work="Getting Permission" by Richard Stim (October 2016) |publisher=[[スタンフォード大学]]図書館 |accessdate=2019-05-13}}</ref>
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| data-sort-value="Italian Book Corp., v. American Broadcasting Co."|{{Visible anchor|[[イタリア・ブックABC裁判]]}}<br>(Italian Book Corp., v. American Broadcasting Co.) || 1978 || S.D. N.Y.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/458/65/1875667/ 458 F.Supp. 65]) || フェアユース第1・第3・第4基準 || 音楽<br>(テレビ) || 合法 || ニューークで開催されたイタリア現地取材してテレビでニュース報道したところ、祭で演奏されていた楽曲まで報道映像含まれてしまった。使用量が限定的、また収録は故意では、かつ作詞作曲家潜在市場価値を毀損していないためフェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Keep Thomson Governor Comm. v. Citizens for Gallen Comm."|{{Visible anchor|[[トムソ知事陣営ギャレン候補陣営裁判]]}}<br>(Keep Thomson Governor Comm. v. Citizens for Gallen Comm.) || 1978 || D. N.H.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/457/957/2347248/ 457 F.Supp. 957]) || フェアユース第1・第3基準 || 音楽<br>(実演) || 合法 || [[ニューハンプシャ州]]知事選において[[共和党 (アメリカ)|共和党]]現職{{仮リン|メルドム・トムソン・ジュニ|en|Meldrim Thomson Jr.}}の選挙キャンペーンソング15秒分[[民主党 (アメリカ合衆国)|民主党]]候補{{仮リンク|ヒュー・ガレン|en|Hugh Gallen}}が自身の選挙広告流用。使用量が、かつ政治討論目的のためフェアユースが認められた。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Elsmere Music, Inc. v. National Broadcasting Co."|{{Visible anchor|[[エルスメア・ミュージック対NBC裁判]]}}<br>([[:en: Elsmere Music, Inc. v. National Broadcasting Co.|Elsmere Music, Inc. v. National Broadcasting Co.]]) || 1980 || S.D. N.Y.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/482/741/2095233/ 482 F.Supp. 741]) || フェアユース第1 (パロディ)・第3基準 || 音楽<br>(テレビ) || 合法 || [[NBC]]放送コメディバラエティ番組『[[サタデ・ナト・ライブ]]』内 "''[[アイ・ラブ・ニューヨーク|I love New York]]''" のパロディが流れた。[[デ・ミニミス#著作権|デ・ミニミス]] (ごく軽微な使用) あると判示。[[:en: I Love New York#Imitations]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Italian Book Corp., v. American Broadcasting Co."|{{Visible anchor|[[イタリック対ABC裁判]]}}<br>(Italian Book Corp., v. American Broadcasting Co.) || 1978 || S.D. N.Y.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/458/65/1875667/ 458 F.Supp. 65]) || フェアユース第1・第3・第4基準 || 音楽<br>(テレビ) || 合法 || ニュヨークで開催されたタリア祭を現地取材してテレビでニュース報道したところ、祭で演奏されていた楽まで報道映像に含まてしまった。使用量が限定的、また収録は故意はない、かつ作詞作曲家の潜在市場価値を毀損していないためフェアユースが認められた。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Roy Export Co. Establishment. of Vaduz v. Columbia Broadcasting System, Inc."|{{Visible anchor|[[ロイ・CBS裁判]]}}<br>(Roy Export Co. Establishment. of Vaduz v. Columbia Broadcasting System, Inc.) || 1982 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/royexport-cbs-2dcir1982.pdf 672 F.2d 1095, 1100]) || フェアユース第2基準 || 映像<br>(ニュース報道) || 法 || [[チャーリー・チャップリン]]の72分映画から75秒を抜粋してチャップリン死去のニュース報道に使用 (Roy Exportはチャップリン作の著作権)。抜粋箇所が映画の肝心なシーンだったためフェアユースは認められず。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Elsmere Music, Inc. v. National Broadcasting Co."|{{Visible anchor|[[エメア・ミュジックNBC裁判]]}}<br>([[:en: Elsmere Music, Inc. v. National Broadcasting Co.|Elsmere Music, Inc. v. National Broadcasting Co.]]) || 1980 || S.D. N.Y.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/482/741/2095233/ 482 F.Supp. 741]) || フェアユース第1 (パロディ)・第3基準 || 音楽<br>(テレビ) || 法 || [[NBC]]放送コメディバラエティ番組『[[サタデー・ナイト・ライブ]]』内で "''[[アイ・ラブ・ニューヨーク|I love New York]]''"パロディ曲が流れた。[[デ・ミニミス#著作権|デ・ミニミス]] (ごく軽微な使用) であると判示[[:en: I Love New York#Imitations]]も参照。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Hustler Magazine, Inc. v. Moral Majority, Inc."|{{Visible anchor|[[モラル・マジョリティ裁判]]}}<br>(Hustler Magazine, Inc. v. Moral Majority, Inc.) || 1985 || C.D. Cal.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/hustler-moralmajority-9thcir1986.pdf 606 F.Supp. 1526]) || フェアユース第4基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 法 || 出版実業家[[リー・リン]]率いるポルノ雑誌『[[ハラー (男性誌)|ハスラー]]』がキスト教[[福音派]]で[[宗教右派]][[ジェリー・ファルエル|ジェリー・ファルウェル]]牧師を冒涜する文章を掲載これを同牧師創設・運営する宗教組織モラル・マジョリティが引用して数十万部をコピし、資金集めのために配布。既に雑誌は市場から引き上げられていたため、原著作物の利益侵害に当たらないとしてフェアユース認める判示。なお、両者は精神的苦痛を理由に、別途[[ハスラー・マガジン対ファルウェル事件|ハスラー・マガジン対ファルウェル裁判]]でも対立し、最高裁まで争った。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Roy Export Co. Establishment. of Vaduz v. Columbia Broadcasting System, Inc."|{{Visible anchor|[[ロイ・エクCBS裁判]]}}<br>(Roy Export Co. Establishment. of Vaduz v. Columbia Broadcasting System, Inc.) || 1982 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/royexport-cbs-2dcir1982.pdf 672 F.2d 1095, 1100]) || フェアユース第2基準 || 映像<br>(ニュース報道) || 法 || [[チャーリー・チャップリン]]の72分映画から75秒を抜粋してチャップリン死去のニュー報道に使用 (Roy Exportはチャップン作著作権者)抜粋箇所映画の肝心なシンだったためフェアユース認められず。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Fisher v. Dees"|{{Visible anchor|[[フィッシャー対ーズ裁判]]}}<br>([[:en: Fisher v. Dees|Fisher v. Dees]]) || 1986 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/fisher-dees-9thcir1986.pdf 794 F.2d 432]) || フェアユース第1 (パロディ)・第3基準 || 音楽<br>(デジタル以外) || 合法 || DJ/[[ラジオパソナティ]]の{{仮リンク|リック・ディズ|en|Rick Dees}}が[[ジャズ]]曲 "{{仮ンク|When Sunny Gets Blue|en|When Sunny Gets Blue}}" の29秒 (38小節) を引用してパロディ製作[[不正競争防止法|不正競争防止]][[名誉棄損]]および著作侵害に当たとして、原曲作詞家ィッシャが提訴楽曲全体ではいことからフェアユース判。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Hustler Magazine, Inc. v. Moral Majority, Inc."|{{Visible anchor|[[ハスラモラル・マジョリティ裁判]]}}<br>(Hustler Magazine, Inc. v. Moral Majority, Inc.) || 1985 || C.D. Cal.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/hustler-moralmajority-9thcir1986.pdf 606 F.Supp. 1526]) || フェアユース第4基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 合法 || 出版実業家[[ラ・フント]]率いるポルノ雑誌『[[ハスラ(男性誌)|ハスラー]]』キリスト教[[福音派]]で[[宗教右派]]の[[ジェー・ファルエル|ジェリー・ファルウェル]]牧師冒涜する文章を掲載。これを同牧師が創設・運営する宗教組織モラル・マジョリティが引用して数十万部コピーし、資金集めのために配布既に雑誌は市場から引き上げられていたため著作物の利益侵害に当たらないとしてフェアユスを認める判示。なお、両者は精神的苦痛を理由に、別途[[ハスラー・マガジン対ァルウル事件|ハラー・マガジン対ファルウェル裁]]でも対立し、最高裁まで争った。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Salinger v. Random House, Inc."|{{Visible anchor|[[サリンジャー対ランダムハウス他裁判]]}}<br>([[:en: Salinger v. Random House, Inc.|Salinger v. Random House, Inc.]]) || 1987 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/salinger-random-2dcir1987.pdf 811 F.2d 90]) || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 法 || 小説家[[J・D・サリンジャ]]の未発表手紙を用無断で[[ランダムハウス]]が書籍化を計画未発表あり、手紙の内容が書籍の根幹をことからフェアユースの抗弁は棄却され、出版差止に成功。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Fisher v. Dees"|{{Visible anchor|[[フィッシャー対ディーズ裁判]]}}<br>([[:en: Fisher v. Dees|Fisher v. Dees]]) || 1986 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/fisher-dees-9thcir1986.pdf 794 F.2d 432]) || フェアユース第1 (パロディ)・第3基準 || 音楽<br>(デジタル以外) || 法 || DJ/[[ラジオパーソナリティ]]の{{仮リンク|リック・ディーズ|en|Rick Dees}}が[[ジャ]]曲 "{{仮リンク|When Sunny Gets Blue|en|When Sunny Gets Blue}}" 29秒 (38小節) パロディを製作。[[不正競争防止法|不正競争防止]]、[[名誉棄損]]および著作権侵害に当たるとして、原曲作詞家フィッシャー提訴楽曲全体ことからフェアユース判定。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Steinberg v. Columbia Pictures Industries, Inc."|{{Visible anchor|[[スタイコロビア・ピクチャーズ裁判]]}}<br>([[:en: Steinberg v. Columbia Pictures Industries, Inc.|Steinberg v. Columbia Pictures Industries, Inc.]]) || 1987 || S.D. N.Y.<br>([https://www.law.cornell.edu/copyright/cases/663_FSupp_706.htm 663 F.Supp. 706]) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || イラスト<br>(デジタル以外) || 違法 || 漫画家[[ソールスタイバーグ]]の作品が雑誌[[ザ・ニューヨーカー]]の表紙を飾り、1984年製作映画『[[ハドソン河のモコー]]』の宣伝ポスターに流用されたスタインバーグの作品はアメリカ経済中心主義の偏狭さを風刺しており、映画ポスターも同様風刺用いている。原作を風刺していればフェアユースの定めるパロディに該当るが、ポスターは同調していることからフェアユースが成立しないと判示され。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Salinger v. Random House, Inc."|{{Visible anchor|[[サリジャー対ダムハウス他裁判]]}}<br>([[:en: Salinger v. Random House, Inc.|Salinger v. Random House, Inc.]]) || 1987 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/salinger-random-2dcir1987.pdf 811 F.2d 90]) || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || 小説家[[JD・サリジャー]]の未発紙を用いて無断で[[ランダムス]]が書籍化を計画未発表であり、手紙内容が書籍の根幹すことからフェアユースの抗弁は棄却され、出版差止に成功。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Love v. Kwitny"|{{Visible anchor|[[ラブ対クウィットニー裁判]]}}<br>(Love v. Kwitny) || 1989 || S.D. N.Y.<br>([https://www.courtlistener.com/opinion/1821207/love-v-kwitny/ 772 F.Supp. 1367]) || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(ニュース報道) || 違法 || ジャナリト個人同士の訴訟。1959年にンの{{仮リンク|ファズロラ・ザヘディ|label=ヘディ将軍|en|Fazlollah Zahedi}}によるクデタ[[ンマサッデク|モサッデク首相]]が失脚した。{{仮リンク|ケネット・ラブ|en|Kennett Love}}がこの政府転覆予兆いち早く調査して原稿に書き留めそれを{{仮リンク|ジョナサン・クウィットニ|en|Jonathan Kwitny}}が使した。原稿の半分以上が使用さたことから、フェアユースの引用の範疇を超えておりかつ未発表であったことから著作権侵害認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Steinberg v. Columbia Pictures Industries, Inc."|{{Visible anchor|[[スタインバーグコロンビア・ピチャ裁判]]}}<br>([[:en: Steinberg v. Columbia Pictures Industries, Inc.|Steinberg v. Columbia Pictures Industries, Inc.]]) || 1987 || S.D. N.Y.<br>([https://www.law.cornell.edu/copyright/cases/663_FSupp_706.htm 663 F.Supp. 706]) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || イラスト<br>(デジタル以外) || 違法 || 漫画家[[ソル・インバーグ]]作品が雑誌[[・ニュカー]]の表紙を飾り、1984年製作映画『[[ハドソン河のスコー]]』の宣伝ポスターに流用された。スタインバーグ作品はアメリカ経済中心主義の偏狭さ風刺しており映画ポスタも同様の風刺をいている。原作を風刺していフェアユースの定めるパロディに該当するがポスターは同調していることからフェアユース成立しないと判示された。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|白鳥|2004|pp=184&ndash;185}}
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| data-sort-value="Wright v. Warner Books, Inc."|{{Visible anchor|[[ラ対ワナーブックス裁判]]}}<br>([[:en: Wright v. Warner Books, Inc.|Wright v. Warner Books, Inc.]]) || 1991 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/wright-warner-2dcir1991.pdf 953 F.2d 731]) || フェアユース第1 3基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 法 || 小説家[[リチャード・ライ (小説家)|チャード・ライト]]の未発表手紙など自伝作家用して出版。引用は全体1%以下、かつ書籍上説明目的で引用の侵害にあらない判示。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Love v. Kwitny"|{{Visible anchor|[[ラブ対クウィッー裁判]]}}<br>(Love v. Kwitny) || 1989 || S.D. N.Y.<br>([https://www.courtlistener.com/opinion/1821207/love-v-kwitny/ 772 F.Supp. 1367]) || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(ニュース報道) || 法 || ャーナリス個人同士の訴訟。1959年にイランの{{仮ンク|ファズロラ・ザヘディ|label=ザヘディ将軍|en|Fazlollah Zahedi}}によるクデターで[[モハンマド・モサッデク|モサッデク首相]]が失脚した。{{仮リンク|ケネット・ラブ|en|Kennett Love}}がこイラン政府転覆予兆いち早く調査して原稿に書き留め、それを{{仮リンク|ジョナサン・クウィットニー|en|Jonathan Kwitny}}使用し原稿の半分以上が使用されたことから、フェアユースの引用の範疇を超えており、かつ未発表あっことから著作権侵害が認められた。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Twin Peaks Productions, Inc. v. Publications International, Ltd."|{{Visible anchor|[[ン・ピークス対パブリケーションズ・インターナショナル裁判]]}}<br>(Twin Peaks Productions, Inc. v. Publications International, Ltd.) || 1993 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/twinpeaks-publ%E2%80%99ns-2dcir1993.pdf 996 F.2d 1366]) || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 法 || 人気ミステリーTV『[[ン・ピクス]]の引用解説本を巡るケース番組あらすじ登場人物、設定、セリフなどの引用量が多く、ま公式解説本の売上影響することか著作権侵害の判示となった。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Wright v. Warner Books, Inc."|{{Visible anchor|[[ト対ワーナブックス裁判]]}}<br>([[:en: Wright v. Warner Books, Inc.|Wright v. Warner Books, Inc.]]) || 1991 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/wright-warner-2dcir1991.pdf 953 F.2d 731]) || フェアユース第1 3基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 法 || 小説家[[リチャード・ラト (小説家)|リチャド・ライト]]の未発表の手紙などを自伝作家が引用して出版引用は全体1%以下かつ書籍上で説明目的で引用め侵害あたない判示。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Twin Peaks Productions, Inc. v. Publications International, Ltd."|{{Visible anchor|[[ツイン・ピークス対パブリケーションズ・インターナショナル裁判]]}}<br>(Twin Peaks Productions, Inc. v. Publications International, Ltd.) || 1993 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/twinpeaks-publ%E2%80%99ns-2dcir1993.pdf 996 F.2d 1366]) || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || 人気ミステリーTV『[[ツイン・ピークス]]』の引用解説本を巡るケース。番組のあらすじ、登場人物、設定、セリフなどの引用量が多く、また公式解説本の売上に影響することから著作権侵害の判示となった。 || {{R|SU-FairUse}}
| data-sort-value="Religious Technology Center v. Pagliarina"|{{Visible anchor|[[サイエントロジー対パグリアリーナ裁判]]}}<br>(Religious Technology Center v. Pagliarina) || 1995 || E.D. Va.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/908/1353/1457462/ 908 F.Supp. 1353]) || rowspan="2" | [[アイディア・表現二分論]] (マージ理論)、フェアユース第1・第3基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 (ワシントンポスト) || rowspan="2" | 新興宗教[[サイエントロジー]]の元信者で批判家の{{仮リンク|アーニー・ラーマ|en|Arnie Lerma}} (本名Arnaldo Pagliarini Lerma) は、同宗教団体が神聖視して秘匿する教本 (OT文書) を持ち出してインターネット上に全量公開したことから、[[連邦保安官]]から家宅捜査を受けたほか、当文書の著作権侵害で教会関連団体RTCから提訴された。また[[ワシントンポスト]]とその記者らも同件で提訴されている。ラーマは教団の教え (アイディア) とOT文書 (アイディアの表現) が融合していることから、OT文書に著作権保護を適用すると元となるアイディアまで排他的な保護がおよぶとしてOT文書に著作権はないとする「マージ理論」で抗弁した。しかし教団の教えはOT文書以外にも記述されていることから、その融合性を否定する判示となった。また引用量が広範であったことからフェアユース抗弁も否定された。<br>一方のワシントンポストは、引用量が限定的かつニュース解説目的のためフェアユースが認められた。[[:en: Arnie Lerma#RTC v. Lerma]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Religious Technology Center v. Pagliarina"|{{Visible anchor|[[サイエントロジー対パグリアリーナ裁判]]}}<br>(Religious Technology Center v. Pagliarina) || 1995 || E.D. Va.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/908/1353/1457462/ 908 F.Supp. 1353]) || rowspan="2" | [[アイディア・表現二分論]] (マージ理論)、フェアユース第1・第3基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 (ワシントンポスト) || rowspan="2" | 新興宗教[[サイエントロジー]]の元信者で批判家の{{仮リンク|アーニー・ラーマ|en|Arnie Lerma}} (本名Arnaldo Pagliarini Lerma) は、同宗教団体が神聖視して秘匿する教本 (OT文書) を持ち出してインターネット上に全量公開したことから、[[連邦保安官]]から家宅捜査を受けたほか、当文書の著作権侵害で教会関連団体RTCから提訴された。また[[ワシントンポスト]]とその記者らも同件で提訴されている。ラーマは教団の教え (アイディア) とOT文書 (アイディアの表現) が融合していることから、OT文書に著作権保護を適用すると元となるアイディアまで排他的な保護がおよぶとしてOT文書に著作権はないとする「マージ理論」で抗弁した。しかし教団の教えはOT文書以外にも記述されていることから、その融合性を否定する判示となった。また引用量が広範であったことからフェアユース抗弁も否定された。<br>一方のワシントンポストは、引用量が限定的かつニュース解説目的のためフェアユースが認められた。[[:en: Arnie Lerma#RTC v. Lerma]]も参照。 || {{R|SU-FairUse}}
| data-sort-value="Religious Technology Center v. Lerma"|{{Visible anchor|[[サイエントロジー対ラーマ裁判]]}}<br>([[:en: Religious Technology Center v. Lerma|Religious Technology Center v. Lerma]]) || 1996 || E.D. Va.<br>(40 U.S.P.Q.2d 1569) || 文章<br>(デジタル) || 違法 (ラーマ) || <ref name=SU-FairUse/><ref name=Softic-Scientology1996>{{Cite web |title=原告 RELIGIOUS TECHNOLOGY CENTER 対 被告 ARNALDO PAGLIARINA LERMA |url=https://www.softic.or.jp/lib/cases/RTC_v_Lerma.html |publisher=一般社団法人[[ソフトウェア情報センター]] |accessdate=2019-05-13 |language=ja}}</ref>
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| data-sort-value="Religious Technology Center v. Lerma"|{{Visible anchor|[[サイエントロジー対ラーマ裁判]]}}<br>([[:en: Religious Technology Center v. Lerma|Religious Technology Center v. Lerma]]) || 1996 || E.D. Va.<br>(40 U.S.P.Q.2d 1569) || 文章<br>(デジタル) || 違法 (ラーマ) || {{R|SU-FairUse|Softic-Scientology1996}}
| data-sort-value="Monster Communications, Inc. v. Turner Broadcasting System. Inc."|{{Visible anchor|[[モンスター・コミュニケーションズ対ターナー・ブロードキャスティング・システム裁判]]}}<br>(Monster Communications, Inc. v. Turner Broadcasting System. Inc.) || 1996 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/monstercomm-tbs-sdny1996.pdf 935 F.Supp. 490]) || フェアユース第1・第3基準 || 映像<br>(映画) || 合法 || [[モハメド・アリ]]のボクシング対戦映像41秒を流用して自伝映画を製作。流用の秒数が短く、また映画内での情報提供に留まっているとして著作権侵害なしの判示。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Los Angeles News Service v. KCAL-TV Channel 9"|{{Visible anchor|[[ロサゼルス・ュースサ対KCAL-TV裁判]]}}<br>(Los Angeles News Service v. KCAL-TV Channel 9) || 1997 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/lanews-kcaltv-9thcir1997.pdf 108 F.3d 1119]) || フェアユース第1・第2・第4基準 || 映像<br>(ニュース報道) || 法 || スクープ映像撮影で知られる独立系撮影社が1992年の[[ロサンゼルス暴動]]の暴行を撮影。その4分の録画から30秒を抜粋して地方局{{仮リンク|KCAL-TV|en|KCAL-TV}}がニュース報道営利利用、かつ抜粋箇所が肝心なシーンだたため著作権者の潜在市場での利益を侵害したと。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Monster Communications, Inc. v. Turner Broadcasting System. Inc."|{{Visible anchor|[[ンスターコミニケションズ対ターナー・ブロドキャティング・システム裁判]]}}<br>(Monster Communications, Inc. v. Turner Broadcasting System. Inc.) || 1996 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/monstercomm-tbs-sdny1996.pdf 935 F.Supp. 490]) || フェアユース第1・第3基準 || 映像<br>(映画) || 法 || [[モハメド・アリ]]のボクシング対戦映像41秒を流用して自伝映画を製作の秒数が短くまた映画内での情報提供に留まているとして著作権侵害。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc."|{{Visible anchor|[[グゴード対ブラックエンタテイメント裁判]]}}<br>([[:en: Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc.|Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc.]]) || 1997 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/ringgold-blackentm%E2%80%99t-2dcir1997.pdf 126 F.3d 70]) || フェアユース第1・第2基準 || 美術<br>(テレビ) || 違法 || 原告芸術家教会用[[]]作品がTVコメディ『{{仮リンク|ロック (テレビ番組)|label=ロック|en|Roc (TV series)}}』内の背景映像で27秒使われたキルト作品の著名性TV背景セット上の重要性に加え、TV業界では許諾を取る慣習存在することから、著作権侵害が認められ。[[:en: Faith Ringgold#Copyright suit against BET]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Los Angeles News Service v. KCAL-TV Channel 9"|{{Visible anchor|[[ロサニュスサービス対KCAL-TV裁判]]}}<br>(Los Angeles News Service v. KCAL-TV Channel 9) || 1997 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/lanews-kcaltv-9thcir1997.pdf 108 F.3d 1119]) || フェアユース第1・第2・第4基準 || 映像<br>(ニュース報道) || 違法 || スクープ映像撮影知られ独立系撮影社が1992年の[[ロサンゼス暴動]]の暴行シーンを撮影。その4分の録画から30秒を抜粋して地方局{{仮リンク|KCAL-TV|en|KCAL-TV}}がニュース報道営利利用かつ抜粋箇所肝心なシーンだったため著作権者の潜在市場での利益を侵害と判定。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Dr. Seuss Enterprises, L.P. v. Penguin Books USA, Inc."|{{Visible anchor|[[ドクター・スース対ペギン・ブックス裁判]]}}<br>(Dr. Seuss Enterprises, L.P. v. Penguin Books USA, Inc.) || 1997 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/drseuss-penguinbooks-9thcir1997.pdf 109 F.3d 1394]) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || 元フットボール選手[[O・J・シンプソン事件|O・J・シンプソンによ殺人容疑裁判]]を、[[ドクター・スース]]の児童文学キャ イン ハット』の設定物語る二次的著物を巡るケース。ドクター・スースへ皮肉や悪ふざけの要素がないことからパロディとは見なされず、また非営利および変形的利用該当しないことから、著作権侵害の判示となった。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc."|{{Visible anchor|[[リングゴール対ブラッ・エンターテイメ裁判]]}}<br>([[:en: Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc.|Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc.]]) || 1997 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/ringgold-blackentm%E2%80%99t-2dcir1997.pdf 126 F.3d 70]) || フェアユース第1・第2基準 || 美術<br>(テレビ) || 違法 || 原告であ芸術家の教会用[[キルト]]作品がTVコメディ{{仮リンク|ロ (テレビ番組)|label=ロック|en|Roc (TV series)}}背景映像27秒使われた。キルト著名性、TV背景セット上要性に加え、TV業界では許諾を取る慣習が存在することから、著作権侵害が認められ。[[:en: Faith Ringgold#Copyright suit against BET]]も参照。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc."|{{Visible anchor|[[キャッスル・ロッ・エンターテイト対キャロル出版裁判]]}}<br>([[:en: Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc.|Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc.]]) || 1998 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/castlerock-carolpubl%E2%80%99g-2dcir1998.pdf 150 F.3d 132]) || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || 人気コメディTV『[[となりのサイフェルド]]のトリビアをクズ形式書籍にまとめて無断で出版。原著作のうち84話相当から引用し、また番組製作者の[[二次的著作物]]作成侵害したと判示された。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Dr. Seuss Enterprises, L.P. v. Penguin Books USA, Inc."|{{Visible anchor|[[クター・スース対ペ・ブックス裁判]]}}<br>(Dr. Seuss Enterprises, L.P. v. Penguin Books USA, Inc.) || 1997 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/drseuss-penguinbooks-9thcir1997.pdf 109 F.3d 1394]) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || 元フットボール選手[[O・J・シプソン事件|O・J・シンプソンによる殺人容疑裁判]]を、[[クター・スース]]の児童文学『キャッ ン ザ ハット』の設定物語る二次的著作物を巡るケース。ドクター・スースへ皮肉や悪ふざけの要素がないことからパロディとは見なされず、また非営利性および変形利用に該当しないことから、著作権侵害判示となった。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|山本|2008|pp=123&ndash;124}}
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| data-sort-value="Leibovitz v. Paramount Pictures Corp."|{{Visible anchor|[[リーボヴィツ対パラマウント・ピクチーズ裁判]]}}<br>([[:en: Leibovitz v. Paramount Pictures Corp.|Leibovitz v. Paramount Pictures Corp.]]) || 1998 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/leibovitz-paramount-2dcir1998.pdf 137 F.3d 109]) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 写真<br>(デジタル以外) || 法 || 写真家[[アニー・リーボヴィッツ]]が妊婦姿女優[[デミ・ムー]]撮影これを映画『[[裸の銃を持つ男]] PART33 1/3 最後の侮辱』がパロディ化して映画の宣伝に利用。パロディ利用に伴うライセンス料原告は請求したが、フェアユースして棄却された。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc."|{{Visible anchor|[[キャスル・ロック・エンターテインメント対キロル出版裁判]]}}<br>([[:en: Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc.|Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc.]]) || 1998 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/castlerock-carolpubl%E2%80%99g-2dcir1998.pdf 150 F.3d 132]) || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(印刷書籍) || 法 || 人気コメディTV『[[となりのサインフェルド]]トリビアをクイズ形式で書籍にまとめて無断で出版原著作のうち84話相当から引用し、また番組製作者の[[二次的著作物]]作成権侵害したと判示された。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|山本|2008|p=132}}
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| data-sort-value="Kelly v. Arriba Soft Corp"|{{Visible anchor|[[リーアリバ・ソフト裁判]]}}<br>([[:en: Kelly v. Arriba Soft Corp|Kelly v. Arriba Soft Corp]]) || 2003 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/kelly-arriba-9thcir2003.pdf 336 F.3d. 811]) || フェアユース第1~第4基準全て || 画像<br>(デジタル) || 合法 || アリバ・ソフトが運営する検索エンジンが画像を収集してサムネイル表示しており、自身のウェブサイトで写真画像を有料販売していたプロ写真家リーの作品も含まれていた。サネイルは像サイズが小さく解像度も低いことから第1基準 (変形的利用) は被告有インターネット公開写真も著作権対象であることから第2基準は原告有利、第3基準中立第4基準は被告有利。総合してフェアユースが認められた。[[Perfect 10対Amazon.com事件#サムネイル]]および[[:en: Transformativeness#Arriba Soft, Perfect 10, and Authors Guild|:en: Transformativeness]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Leibovitz v. Paramount Pictures Corp."|{{Visible anchor|[[リーボヴィッツパラマウン・ピクチャーズ裁判]]}}<br>([[:en: Leibovitz v. Paramount Pictures Corp.|Leibovitz v. Paramount Pictures Corp.]]) || 1998 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/leibovitz-paramount-2dcir1998.pdf 137 F.3d 109]) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 写真<br>(デジタル以外) || 合法 || 写真家[[アニー・リーボヴィッツ]]が妊婦姿女優[[デミ・ーア]]を撮影。これを映『[[裸の銃を持つ男]] PART33 1/3 最後の侮辱』がパロディ化して映画の宣伝に利用。パロディ用に伴うラス料を原告は請求したが、フェアユースとして棄却された。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="A&M Records, Inc. v. Napster, Inc."|{{Visible anchor|[[A&Mレコード他対ナップスター裁判]]}}<br>([[:en: A&M Records, Inc. v. Napster, Inc.|A&M Records, Inc. v. Napster, Inc.]]) || 2001 || 9th Cir.<br>([https://www.courtlistener.com/opinion/772042/am-records-inc-v-napster-inc/ 239 F.3d 1004]) || フェアユース第1-第4基準全て、{{仮リンク|寄与侵害 (著作権法)|label=寄与侵害|en|Contributory copyright infringement}}、{{仮リンク|代位責任|label=代位侵害|en|Vicarious liability}}{{Efn2|name=2ndInfr|英米法における寄与侵害 ({{Lang|en|contributory infringement}}) と代位侵害 ({{Lang|en|vicarious liability}}または{{Lang|en|vicarious infringement}}) は、いずれも二次侵害 (間接侵害) の一部である。著作権法においては、直接的に著作権侵害の行為は行っていないものの、そのような侵害行為が起こりうると分かっていながら、誘発するような間接的な関与をしていれば寄与侵害に当たる。また、侵害行為を行わないよう監督権限を負っている者がその義務を怠った場合は代位侵害に当たる{{R|MEXT-WG6-4-1}}。代位とは英米法における[[代理#英米法での特徴|代理法]]に基づいており{{R|MEXT-WG6-4-2}}、雇用者 (使用者) だけでなく信託や組合といったあらゆる個人・法人の信認関係 ({{Lang|en|fiduciary relation}}) を有する代理人 (エージェント) 全般に適用される{{R|Agency-UH|page1=1&ndash;2}}。代理法については{{仮リンク|アメリカ法律協会|en|American Law Institute}} (ALI) が発行する第3次[[リステイトメント]]に詳細定義されている{{R|Agency-UH|page1=1}}。}}、[[DMCA]] || 音楽<br>(デジタル) || 違法 || 通称「ナップスター判決」{{Sfn|白鳥|2004|p=201}}{{Sfn|山本|2008|p=128|ps=「ナップスター」ではなく「ナプスタ―」判決との表記。}}。[[ナップスター]]社が無料配布した[[Peer to Peer]]ソフトウェアによって無断で楽曲がユーザ間でファイル共有され{{R|Napster-USCO}}、かつ各ユーザの保有楽曲を容易に検索できるようナップスターがインデックスを張っていたことから、[[A&Mレコード|A&M]]など音楽レーベル各社{{Efn2|二審の原告団は[[A&Mレコード]]、[[ゲフィン・レコード]]、[[インタースコープ・レコード]]、[[MCAレコード]]、[[アイランド・レコード]]、[[モータウン]] (以上6レーベルは[[ユニバーサル ミュージック グループ]]傘下) のほか、[[ソニー・ミュージックエンタテインメント (米国)|ソニー・ミュージックエンタテインメント]]、[[MCAレコード]] ([[ワーナー・ミュージック・グループ]]傘下)、および[[キャピトル・レコード]] (当時は英国[[EMI]]傘下) によって構成された{{R|Napster-CL}}。}}が著作権侵害の間接侵害で提訴{{Sfn|白鳥|2004|pp=201&ndash;202}}。購入前の試聴目的であってフェアユースに該当するとナップスターは抗弁した{{R|Napster-USCO}}。二審の控訴裁ではフェアスース第1基準の{{仮リンク|変形的利用|en|Transformativeness}}は見られず、第2・第3基準で楽曲の著作物性を認め、第4基準では実際の売上減発生や将来的なデジタル配信市場への参入障壁を指摘した。また1992年の{{仮リンク|家庭内録音法|en|Audio Home Recording Act}} (非商用の私的録音は合法と明示した著作権法改正) は本件には適合しないと判示された{{Sfn|白鳥|2004|p=203}}。<br>寄与侵害については著作権保護中の楽曲シェアを知りつつ放置したとして、ナップスター側の責任を認めた。また代位侵害については、インデックスだけでは侵害の発生有無を把握できないものの、侵害ファイルへのアクセスを停止させるなど監督管理の能力を有していたとして、監督不十分の責が認められた{{Sfn|白鳥|2004|pp=204&ndash;205}}。<br>DMCAの免責適用についてはP2Pという分散システムの性質上、[https://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section512&num=0&edition=prelim 第512条] のインターネット接続事業者にナップスターが該当しないとされ、免責適用外とされた{{Sfn|白鳥|2004|pp=205&ndash;206}}。 || {{Sfn|山本|2008|pp=128&ndash;130 (フェアユースメイン解説), 16 (公衆送信権), 88 (著作権の範囲), 235 (代位侵害)}}{{Sfn|白鳥|2004|pp=201&ndash;206}}<br>{{R|MEXT-WG6-4-2}}
| data-sort-value="BMG Music v. Gonzalez"|{{Visible anchor|[[BMGミュージック対ゴンザレス裁判]]}}<br>([[:en: BMG Music v. Gonzalez|BMG Music v. Gonzalez]]) || 2005 || 7th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/bmg-gonzalez-7thcir2005.pdf 430 F.3d 888 ]) || フェアユース第4基準 || 音楽<br>(デジタル) || 違法 || 被告女性ゴンザレスは、[[Peer to Peer]]のファイルシェア[[Kazaa]]を利用して楽曲を大量ダウンロード。後に楽曲を購入するか判断するための試聴であり、ベータマックス裁判の[[タイムシフト]] (Time-shifting、後日視聴) との類似性を持ち出して抗弁した。しかし推定ダウンロード数は1370曲、うち30曲以上は被告のハードドライブに残っていた。またiTunesなど楽曲の一部のみ視聴できる合法サービスが別に存在することから、被告の抗弁の正当性が否定された。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd."|{{Visible anchor|[[ビル・グラハム・アカイブズドーングキンダーズレー裁判]]}}<br>([[:en: Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd.|Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd.]]) || 2006 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/billgraham-dorling-2dcir2006.pdf 448 F.3d 605]) || フェアユース第13基準 || 画像<br>(印刷書籍) || 合法 || ロックバンドの[[グレトフ・デッド]]ポスター書籍に流用。サムネイルサイズであり、つ経歴解説の文脈内での用のためフェアユース判定。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Kelly v. Arriba Soft Corp"|{{Visible anchor|[[ケリソフト裁判]]}}<br>([[:en: Kelly v. Arriba Soft Corp|Kelly v. Arriba Soft Corp]]) || 2003 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/kelly-arriba-9thcir2003.pdf 336 F.3d. 811]) || フェアユース第1-4基準全て || 画像<br>(デジタル) || 合法 || アリ・ソフト社が運営する検索エジンが画像を収集してサムネイル表示しており、自身ウェブサイトで写真画像有料販売していたプロ写真家ケリー作品も含まれていた。サムネイルは画像サイズが小さく解像度も低いことから第1基準 (変形的利用) は被告有利、インターネット公開写真も著作権対象であることら第2基準は原告有、第3基準は中立、第4基準は被告有利。総合してフェアユースが認められた[[Perfect 10対Amazon.com事件#サムネイル]]および[[:en: Transformativeness#Arriba Soft, Perfect 10, and Authors Guild|en: Transformativeness]]も参照。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|山本|2008|p=129}}
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| data-sort-value="Field v. Google, Inc."|{{Visible anchor|[[フィルドGoogle事件|フィールド対Google裁判]]}}<br>([[:en: Field v. Google, Inc.|Field v. Google, Inc.]]) || 2006 || D. Nev.<br>([https://docs.justia.com/cases/federal/district-courts/nevada/nvdce/2:2004cv00413/18321/64/ 412 F.Supp.2d 1106]) || フェアユース第1基準 || 文章および画像<br>(デジタル) || 法 || Google検索キャッュ表示が著作権侵害問われた裁判。サイト運営者任意でキャッシュON/OFF設定ができるため、Googleに非ないして棄却された。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="BMG Music v. Gonzalez"|{{Visible anchor|[[BMGミュジックゴンザレス裁判]]}}<br>([[:en: BMG Music v. Gonzalez|BMG Music v. Gonzalez]]) || 2005 || 7th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/bmg-gonzalez-7thcir2005.pdf 430 F.3d 888]) || フェアユース第4基準 || 音楽<br>(デジタル) || 法 || 被告女性ゴンザレスは、[[Peer to Peer]]ファイルェア[[KaZaA]]を利用して楽曲を大量ダウンロード。後に楽曲を購入する判断するめの試聴であり、ベータマックス裁判の[[タムシフ]] (Time-shifting、後日視聴) との類似性を持ち出して抗弁した。しかし推定ダウンロード数1370曲、うち30曲以上は被告のハードドライブに残っていた。またiTunesなど楽曲の一部のみ試聴できる合法サービス別に存在するこから、被告の抗弁の正当性が否定された。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc."|{{Visible anchor|[[Perfect 10Amazon.com事件|Perfect 10対Amazon.com他裁判]]}}<br>([[:en: Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc.|Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc.]]) || 2007 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/perfect10-amazon-9thcir2007.pdf 508 F.3d 1146]) || フェアユース第1・第4基準 || 画像<br>(デジタル) || 合法 || 「ケリー他対アリバ・ソフト裁判」類似ケー。成人向け雑誌『Perfect 10』はヌド画像有料会員閲覧提供していたが、検索エンジンのGoogleがその画像を自動サムネイル化。またそのムネル画像をGoogleがAmazonに提供する業務契約を締結していたことから、Amazonの顧客も無料で画像が閲覧できる状態であったことら、Google行為に対し一時差止命令を請求した。サムネイルが小型・低解像あったことから変形的利用が認られ、また元サイト (Perfect 10) の出典表記とリンクによって閲覧者が誘導される仕組みであることから、損害性もないと示された。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd."|{{Visible anchor|[[ビル・グラハム・アーカイブズドーリング・キンダーズレー裁判]]}}<br>([[:en: Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd.|Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd.]]) || 2006 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/billgraham-dorling-2dcir2006.pdf 448 F.3d 605]) || フェアユース第1・第3基準 || 画像<br>(印刷書籍) || 合法 || ロックンドの[[グレイトフルデッド]]ーを別の書籍流用。サムネイルサイであり、つ経歴解説文脈内利用のたフェアユース。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|作花|2018|p=855}}
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| data-sort-value="Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books"|{{Visible anchor|[[・ブラザーズRDRブックス裁判]]}}<br>([[:en: Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books|Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books]]) || 2008 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/warnerbros-rdrbooks-sdny2008.pdf 575 F.Supp.2d 513]) || フェアユース第1基準 (二次的著作物) || 文章<br>(印刷書籍) || 法 || 『[[ハリー・ポター]]』リーズの用語などを収録し百科事典複数リーズの用語を1冊の事典にまとめていことから「若干の変形性」は認られたものの逐語的な引用多いことからフェアユースの要求水準には満たないと判示された。[[:en: Legal disputes over the Harry Potter series]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Field v. Google, Inc."|{{Visible anchor|[[フィルド対Google事件|フィルドGoogle裁判]]}}<br>([[:en: Field v. Google, Inc.|Field v. Google, Inc.]]) || 2006 || D. Nev.<br>([https://docs.justia.com/cases/federal/district-courts/nevada/nvdce/2:2004cv00413/18321/64/ 412 F.Supp.2d 1106]) || フェアユース第1基準 || 文章および画像<br>(デジタル) || 法 || Google検索のキャッシュ表示が著作権侵害か問われ裁判サイト運営者は任意でキャッュON/OFF設定ができめ、Googleに非がないとして棄却された。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Salinger v. Colting"|{{Visible anchor|[[サリンジャーコルティング裁判]]}}<br>(Salinger v. Colting) || 2009 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/salinger-colting-2dcir2010.pdf 641 F.Supp.2d 250]) || フェアユース第1基準 (パロディ) || 文章<br>(印刷書籍) || 法 || 小説家[[J・D・サンジャー]][[ライ麦畑でつかまえて]]の主人公コルフィール少年の続編小説別の筆者が創作。被告はパロディだと主張したが、少年大人に設定し直しだけで性格などは原作踏襲していことから、変形的利用要件を満たしておらず著作権侵害判示となった。ただ一審では一時的出版差止が認められたの、二審では差止関する見解に修正が入ってる。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc."|{{Visible anchor|[[Perfect 10Amazon.com事件|Perfect 10対Amazon.com他裁判]]}}<br>([[:en: Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc.|Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc.]]) || 2007 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/perfect10-amazon-9thcir2007.pdf 508 F.3d 1146]) || フェアユース第1・第4基準 || 画像<br>(デジタル) || 法 || [[#ケリー他対アリバ・ソフト裁判]]」の類似ケース。成人向け雑誌Perfect 10はヌード画像有料会員に閲覧提供ていたが、検索エンジンのGoogleがその画像自動サムネイル化。まそのサムネイル画像GoogleがAmazonに提供する業務契約を締結していことから、Amazon顧客も無料で画像が閲覧できる状態でありGoogle行為に対し一時差止命令を請求した。サムネイルが小型・低解像であったことから変形的利用が認められ、ま元サイト (Perfect 10) 出典表記とリンクって閲覧者が誘導され仕組みであることから、損害性もないと判示された。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|山本|2008|pp=127&ndash;128}}
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| data-sort-value="Warren Publishing Co. v. Spurlock d/b/a Vanguard Productions"|{{Visible anchor|[[ウォレン出版対スパック裁判]]}}<br>(Warren Publishing Co. v. Spurlock d/b/a Vanguard Productions) || 2009 || E.D. Pa.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/warrenpubl%E2%80%99g-spurlock-edpa2009.pdf 645 F.Supp.2d 402]) || フェアユース第1・第3・第4基準、[[職務著作]] || 画像<br>(印刷書籍) || 法 || 当時フリーランサーだったコミック作家{{仮リンク|J. デヴィッドスパーロク|en|J. David Spurlock}}のキャラクター「Gogos」がウォレン出版モンスター雑誌『Famous Monsters』191冊中51冊の表紙飾った。ウォレンはイラスト法人著作権自社が有していると主張し、スパーロックは1回限り使用許諾を雑誌社与えたのみ主張。スパーロックがGogosのイラスト総集編を2006年に出版したことから訴訟となった。雑誌四半世紀以上前に廃刊となっており、ま表紙1ページみで引用限定され、一部イラストは改稿されてことからフェアユース判。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books"|{{Visible anchor|[[・ブラザーズ対RDRブック裁判]]}}<br>([[:en: Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books|Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books]]) || 2008 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/warnerbros-rdrbooks-sdny2008.pdf 575 F.Supp.2d 513]) || フェアユース第1基準 (二次的著作物) || 文章<br>(印刷書籍) || 法 || 『[[ハリー・ッター]]』シリ用語など収録し百科事典複数シリ用語を1事典めていることから「若干の変形性」認められもの、逐語的な引用がいことからフェアユースの要求水準には満たないと示された。[[:en: Legal disputes over the Harry Potter series]]も参照。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Salinger v. Colting"|{{Visible anchor|[[サリンジャー対コルティング裁判]]}}<br>(Salinger v. Colting) || 2009 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/salinger-colting-2dcir2010.pdf 641 F.Supp.2d 250]) || フェアユース第1基準 (パロディ) || 文章<br>(印刷書籍) || 違法 || 小説家[[J・D・サリンジャー]]作『[[ライ麦畑でつかまえて]]』の主人公コールフィールド少年の続編小説を別の筆者が創作。被告はパロディだと主張したが、少年を大人に設定し直しただけで性格などは原作を踏襲していることから、変形的利用の要件を満たしておらず、著作権侵害の判示となった。ただし一審では一時的出版差止が認められたものの、二審では差止に関する見解に修正が入っている。 || {{R|SU-FairUse}}
| data-sort-value="Capitol Records Inc. v. Alaujan"|{{Visible anchor|[[キャピタル・レコーズ対アロージャン裁判]]}}<br>(Capitol Records Inc. v. Alaujan) || 2009 || D. Mass.<br>(2009 WL 5873136) || || 音楽<br>(インターネット) || 違法 || 関連裁判の[[:en: Sony BMG Music Entertainment v. Tenenbaum]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/><ref name="BelmasShepard2016">{{cite book|author1=Genelle Belmas|author2=Jason M. Shepard|author3=Wayne Overbeck|title=Major Principles of Media Law, 2017|url=https://books.google.com/books?id=mO7iDAAAQBAJ&pg=PA291|date=2016-08-17|publisher=Cengage Learning|isbn=978-1-305-64650-6|pages=291–292}}</ref>
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| data-sort-value="Gaylord v. United States"|{{Visible anchor|[[ゲイロアメリカ合衆国政府裁判]]}}<br>([[:en: Gaylord v. United States|Gaylord v. United States]]) || 2010 || Fed. Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/gaylord-us-fedcir2010.pdf 595 F.3d 1364]) || フェアユース第1基準 || 美術<br>(切手印刷) || 法 || 彫刻家{{仮リンク|フランクゲイロ|en|Frank Gaylord}}の作品を[[アメリカ合衆国郵便公社]] (USPS) [[朝鮮戦争]]記念切手に使用一審で著作権侵害認められたもの損害賠償は5千ドルのみ。控訴審経て約68万5千ドル増額3次元の彫刻を2次元の切手するだけは変形的利認めらいと判示された。[[:en: Frank Gaylord#Career]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Warren Publishing Co. v. Spurlock d/b/a Vanguard Productions"|{{Visible anchor|[[ウォレン出版スパーロック裁判]]}}<br>(Warren Publishing Co. v. Spurlock d/b/a Vanguard Productions) || 2009 || E.D. Pa.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/warrenpubl%E2%80%99g-spurlock-edpa2009.pdf 645 F.Supp.2d 402]) || フェアユース第1・第3・第4基準、[[職務著作]] || 画像<br>(印刷書籍) || 法 || 当時フリーランサーだったコミック作家{{仮リンク|J. デヴィッドスパロック|en|J. David Spurlock}}のキャラクター「Gogos」ウォーレン出版モンスター雑誌『Famous Monsters』191冊中51冊の表紙を飾ったウォーレンはイラストの法人著作権を自社が有していると主張し、スパーロック1回限り使用許諾を雑誌社に与えたのみと主張スパーロックがGogosのイラスト総集編2006年出版したことから訴訟となった雑誌は四半世紀以上前廃刊となっており、また表紙1ページのみ量が限定され、一部イラスト改稿さるこからフェアユース。[[アメリカン・コミックスにおけるクリエイターの権利]]も参照。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Righthaven LLC v. Realty One Group, Inc."|{{Visible anchor|[[Righthavenアリティ・ワン・グループ裁判]]}}<br>(Righthaven LLC v. Realty One Group, Inc.) || 2010 || D. Nev.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/righthaven-realty-dnev2010.pdf No. 2:10-cv-LRH-PAL, 2010 WL 4115413]) || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(デジタル) || 法 || 著作権侵害が疑わる著作物の著作権を買い取っ訴訟ビジネスを行うわゆ「[[コピーイトロー]]」会社の[[Righthaven]]による訴訟新聞記事冒頭8文不動産会社がブログ転載8文だけで記事の核心ではなく、潜在市場価値に影響しないためフェアユース認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Gaylord v. United States"|{{Visible anchor|[[ゲイロード対アカ合衆国政府裁判]]}}<br>(Gaylord v. United States) || 2010 || Fed. Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/gaylord-us-fedcir2010.pdf 595 F.3d 1364]) || フェアユース第1基準 || 美術<br>(切手印刷) || 法 || [[朝鮮戦争戦没者慰霊碑]] ({{仮リンク|ウェスト・ポトマック公園|en|West Potomac Park}}内) に屋外展示されている彫刻家{{仮リンク|フンクゲイロード|en|Frank Gaylord}}の彫刻作品19体のうち14体を、[[アメリカ合衆国郵便公社]] (USPS) が[[朝鮮戦争]]の記念切手使用一審で著作権侵害は認められたものの損害賠償は5千ドルのみ。控訴審経て約68万5千ドル増額3次元の彫刻を2次元の切手にするだけではフェアユース第1基準の変形的利用とは認められないと判示された。[[:en: Frank Gaylord#Career]]も参照。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Righthaven LLC v. JAMA"|{{Visible anchor|[[Righthaven対JAMA裁判]]}}<br>(Righthaven LLC v. JAMA) || 2011 || D. Nev.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/righthaven-jama-dnev2011.pdf No. 2:2010-cv-01322, 2011 WL 1541613]) || フェアユース第1・第4基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || 非営利団体JAMAは、警察によ人種差別指摘する目的で新聞記事引用。[[Righthaven]]は新聞から記事著作権を購入した上でJAMAを提したRighthavenが新聞社ではないことから引用しても原告の潜在市場価値を損ねない。かつJAMAは非営利団体で引用目的も合致のためフェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Righthaven LLC v. Realty One Group, Inc."|{{Visible anchor|[[Righthaven対リアリティ・ワン・グループ裁判]]}}<br>(Righthaven LLC v. Realty One Group, Inc.) || 2010 || D. Nev.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/righthaven-realty-dnev2010.pdf No. 2:10-cv-LRH-PAL, 2010 WL 4115413]){{Efn2|name=NoRep|判例集へ未掲載のため、裁判所による訴訟管理番号を代わりに記載。}} || フェアユース第3・第4基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || 著作権侵害が疑われ著作物の著作権買い取って訴訟ビジネス行ういわゆる「[[コピーライト・トロール]]」会社の[[Righthaven]]による。新聞記事冒頭8文を不動産会がブログに転載。8文だけで記事の核心ではな、潜在市場価値に影響しないためフェアユースが認められた。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC"|{{Visible anchor|[[Righthaven対デモクラティック・アンダーグラウンド裁判]]}}<br>([[:en: Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC|Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC]]) || 2011 || D. Nev.<br>([https://www.courtlistener.com/opinion/2117387/righthaven-llc-v-democratic-underground-llc/ 791 F. Supp. 2d 968]) || DMCA、フェアユース第3基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || オンラインの政治フォーラム "Democratic Underground" に新聞記事5文が引用された当フォーラムは[[デジタルミレニアム著作権法]] (DMCA) [[著作権法 (アメリカ合衆国)#インターネット関連事業者への免責|セーフハーバー条項]]適用対象あり、引用量は5文収益インパクトも限定ため、フェアユースが認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Righthaven LLC v. JAMA"|{{Visible anchor|[[Righthaven対JAMA裁判]]}}<br>(Righthaven LLC v. JAMA) || 2011 || D. Nev.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/righthaven-jama-dnev2011.pdf No. 2:2010-cv-01322, 2011 WL 1541613]){{Efn2|name=NoRep}} || フェアユース第1・第4基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || 非営利団体JAMAは、警察よる人種差別を指摘する目的で新聞記事引用。[[Righthaven]]は新聞社から記事の著作権を購入した上JAMAを提訴した。Righthavenが新聞社ではないことら、引用しても原告潜在市場価値を損ねない。かつJAMAは非営利団体引用目も合致のため、フェアユースが認められた。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Northland Family Planning Clinic v. Center for Bio-Ethical Reform"|{{Visible anchor|[[ノースランド家族計画リニック対バイオ倫理改革セー裁判]]}}<br>(Northland Family Planning Clinic v. Center for Bio-Ethical Reform) || 2012 || C.D. Cal.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/northlandfamily-centerbioethical-cdca2012.pdf No. SACV 11-731 JVS]) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 映像<br>(デジタル以外) || 合法 || 中絶擁護団体作成した映像を流し、中絶反対団体が比較映像を作成一般的なパロ定義にはユーモやジョクなど笑い要素が含まれるが、本件では笑い一切ない批判や評論あってもロディ成立すると判示された。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC"|{{Visible anchor|[[Righthaven対デモラティック・アグラウンド裁判]]}}<br>([[:en: Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC|Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC]]) || 2011 || D. Nev.<br>([https://www.courtlistener.com/opinion/2117387/righthaven-llc-v-democratic-underground-llc/ 791 F. Supp. 2d 968]) || DMCA、フェアユース第3基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || オンラインの政治フォーラム "Democratic Underground" に新聞記事5文された当フォーラムは[[ジタルミレニアム著作権法]] (DMCA) [[著作権法 (メリカ合衆国)#インタネット関連事業者へ免責|セーフハーバー条項]]適用対象あり、かつ引用量5文収益インクトも限定的なため、フェアユース認められた。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="SOFA Entertainment, Inc. v. Dodger Productions, Inc."|{{Visible anchor|[[SOFAエンタテイメト対ジャー・プロダショ裁判]]}}<br>(SOFA Entertainment, Inc. v. Dodger Productions, Inc.) || 2013 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/sofa-dodger-9thcir2013.pdf No. 2:08-cv-02616]) || フェアユース第1・第4基準 || 映像<br>(実演) || 合法 || バラエティTV番組『[[エド・サリヴァン・ショー]]』の映像7秒使用し、ロックバンド[[フォー・シーズンズ]]のドキュメンタリー調ミュージカル『[[ジャジー・ボーイズ]]』を創作。フォー・シーズンズ経歴を辿目的で映像使用されており変形的利用が認めた。また当ミュージカルステージ実演DVD販売されいないことから、TV番組への損害認めらなかった。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Northland Family Planning Clinic v. Center for Bio-Ethical Reform"|{{Visible anchor|[[スランド家族計画クリニッ対バイオ倫理改革セター裁判]]}}<br>(Northland Family Planning Clinic v. Center for Bio-Ethical Reform) || 2012 || C.D. Cal.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/northlandfamily-centerbioethical-cdca2012.pdf No. SACV 11-731 JVS]) || フェアユース第1 (パロディ) 基準 || 映像<br>(デジタル以外) || 合法 || 中絶擁護団体が作成した映像を用し、中絶反対団体が比較映像を作成。一般的なパディ定義にはユモアやクなど笑い要素が含まれるが、本件で笑い一切ない批判や評論あっもパロディ成立すると判示された。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Cariou v. Prince"|{{Visible anchor|[[カリウ対プ裁判]]}}<br>([[:en: Cariou v. Prince|Cariou v. Prince]]) || 2013 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/cariou-prince-2dcir.2013.pdf 714 F.3d 694]) || フェアユース第1基準 || 絵画<br>(実) || 合法 || ンス人写真家{{仮リンク|パトリック・カリウ|fr|Patrick Cariou}}作品をベスに、アリカ人画家{{仮リク|ャープリンス|en|Richard Prince}}が絵画を創作。変形的利用が認められた。 || <ref name=SU-FairUse/><ref name=Bunka-H27Rep>{{Cite web |url=http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/chosakuken/pdf/h28_kaigai_hokokusho.pdf |title=海外における著作権制度及び関連政策動向等に関する調査研究 |work=平成27年度文化庁調査研究事業 |author=シティユーワ法律事務所 |publisher=[[文化庁]]著作権課 |date=2016-03 |accessdate=2019-05-13}}</ref>
| data-sort-value="SOFA Entertainment, Inc. v. Dodger Productions, Inc."|{{Visible anchor|[[SOFAエンターテイメントドジャー・ロダクショ裁判]]}}<br>(SOFA Entertainment, Inc. v. Dodger Productions, Inc.) || 2013 || 9th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/sofa-dodger-9thcir2013.pdf No. 2:08-cv-02616]) || フェアユース第1・第4基準 || 映像<br>(実) || 合法 || エティTV番組『[[エド・サヴァ・ショー]]』の映像7秒を使用し、ロックバンド[[フォ・シーズンズ]]のドキュメンー調ミュージカル『[[ジャージーボーイズ]]』を創作。フォー・シーズンズの経歴を辿る目的で映像が使用されており、変形的利用が認めた。また当ミュージカルはステージ実演のみでDVD販売されていないことから、TV番組への損害が認められなかった。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Arrow Productions, LTD v. The Weinstein Company LLC"|{{Visible anchor|[[アロー・ロダクションズ対ワインスタイン・カンパニー裁判]]}}<br>(Arrow Productions, LTD v. The Weinstein Company LLC) || 2014 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/arrowprods-weinstein-sdny2014.pdf 2014 WL 4211350]) || フェアユース第1基準 || 映像<br>(映画) || 合法 || 1972年ポルノ映画の代表作『[[ディープ・ロー (映画)|ディープ・スロート]]』 (アロー製作) に主演したAV女優[[リンダ・ラヴレース]]を人物主題にて、2013年に自伝映画[[ラヴレース (映)|ラヴレス]]』 (ワインスタイン製作)された。ラヴレースに『ディープ・スロート』の3シーンが映像引用されたが、リンダ・ラヴレスの自伝本に基づいて自伝映画は製作されていること、ま批判的見地ら主題を捉えなおていることを理由に変形的利用が認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Cariou v. Prince"|{{Visible anchor|[[カリウ対ンス裁判]]}}<br>([[:en: Cariou v. Prince|Cariou v. Prince]]) || 2013 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/cariou-prince-2dcir.2013.pdf 714 F.3d 694]) || フェアユース第1基準 || 絵画<br>(実物) || 合法 || フラン人写真家{{仮リンク|パリック・カリウ|fr|Patrick Cariou}}は[[ジャマイカ]]で撮影した作品収録た写真集Yes Rasta』を発行。アメリカ人家{{仮リンク|リチャド・プリンス|en|Richard Prince}}カリウの写真を元に絵画Canal Zoneを創作しギャラリー展示し、展示用カタログにも収録た{{R|Cariou-USCO}}。変形的利用が認められた{{Sfn|文化庁海外調査|2016|p=20}}。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|文化庁海外調査|2016|p=20}}
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| data-sort-value="Kienitz v. Sconnie Nation"|{{Visible anchor|[[キーニッツ対スコニー・ネイション裁判]]}}<br>([[:en: Kienitz v. Sconnie Nation|Kienitz v. Sconnie Nation]]) || 2014 || 7th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/kienitz-sconnienation-7thcir2014.pdf 766 F.3d 756]) || フェアユース第1基準 || 像<br>(衣類) || 合法 || [[ィスコンシン州]]の市長を撮影した写真家マイケルニッツの作品改変し、選挙アンチキャンペーン資金集めのめにコニー・ネイTシャツにプリントし。屈辱的な表情、背景の除去、文字追加など変形高かっことからフェアユース判定。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Arrow Productions, LTD v. The Weinstein Company LLC"|{{Visible anchor|[[アロー・プロダクションズ対ワインスタイン・カンパニー裁判]]}}<br>(Arrow Productions, LTD v. The Weinstein Company LLC) || 2014 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/arrowprods-weinstein-sdny2014.pdf 2014 WL 4211350]) || フェアユース第1基準 || 像<br>(映画) || 合法 || 1972年ポルノ映画の代表作『[[ープ・ロート (映画)|ディープ・スロート]]』 (アロー製作) に主演したAV女優[[リンダラヴレス]]人物主題に2013年に自伝映画『[[ラヴレス (映画)|ラヴレース]]』 (ワイスタイン製作) が創作され。『ラヴレー』に『ディスロート』の3ンが映像引用されたが、リンダ・ラヴレースの自伝本に基づいて自伝映画は製作されていること、ま批判見地から主題を捉えおしていることを理由に変形的利用認められた。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Fox News v. TVEyes, Inc."|{{Visible anchor|[[FOXニュTVEyes裁判]]}}<br>(Fox News v. TVEyes, Inc.) || 2014 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/fox-news-network-tveyes-02272018.pdf 43 F. Supp. 3d 379]) || フェアユース第1・第3・第4基準 || 像<br>(デジタル) || 合法・違法混在 || 1400局以上のテレビやラジオのメデア報道データベー検索を提供するTVEyesは、有料会員に1クリップあたり最大10分ニュース映像提供てい。第1基準に則り、キーワード検索や閲覧については営利目的ではあるが形的利用が勝るとてフェース判定となった。引用の質と量を計る第3基準では、10分制限でス全量見られる点が指摘された。収益インパクトを問う第4基準では会員自身パソコンダウンロードや他者へのEmail回付機能について違法判定となった。違法機能については終局的差止命令が下された結果、TVEyesは[[FOXニュース]]の取扱を廃止決した[[:en: 2019 in American television#January|en: 2019 in American television (1月21日の出来事)]]も参照。 ||<ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Kienitz v. Sconnie Nation"|{{Visible anchor|[[ニッツスコニー・ネイション裁判]]}}<br>([[:en: Kienitz v. Sconnie Nation|Kienitz v. Sconnie Nation]]) || 2014 || 7th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/kienitz-sconnienation-7thcir2014.pdf 766 F.3d 756]) || フェアユース第1基準 || 像<br>(衣類) || 合法 || [[ウィスコンシン州]]市長撮影した写真家マイケル・キーニッツの作品を改変し、選挙ンチキャンペン資金集めのためにニー・ネイション社Tシャツにプリントした。屈辱的な表情背景除去、文字追加ど変形度が高かったことからフェアユース定。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Cambridge University Press v. Patton"|{{Visible anchor|[[ケンブリッジ大学出版局他パットン裁判]]}}<br>([[:en: Cambridge University Press v. Patton|Cambridge University Press v. Patton]]) || 2014 || 11th Cir. Ga.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/cambridgeuniv-patton-11thcir2014.pdf 769 F.3d 1232]) || フェアユース第1~第4基準全て || 文章<br>(デジタル) || 合法 (一部違法) || {{仮リンク|ジョージア州立大学|en|Georgia State University}}が{{仮リンク|コースリザーブ|en|Course reserve}}電子シスム (予習教材参考書などをル化して受講生に提供する閲覧・ダウンロドシテム) 使用して著作物を無断で大量に複製提供していとして[[ケンブリッ学出版局]]や[[オックスフォード大学出版局]]などが提訴。多く大学がコースリザーブを提供していることから類似訴訟も後起こってる。一審ではフェアユース第4基準 (収益インパクト) のみ原告有利だが、1~3基準は被告有利としてフェアユスを認めた。二審では一審を覆し、再審理で一審に差戻しをものの大半フェアユースの判示となった。 || <ref name=SU-FairUse/><ref name=Bunka-H27Rep/>
| data-sort-value="Fox News v. TVEyes, Inc."|{{Visible anchor|[[FOXニュースTVEyes裁判]]}}<br>(Fox News v. TVEyes, Inc.) || 2014 || S.D. N.Y.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/fox-news-network-tveyes-02272018.pdf 43 F. Supp. 3d 379]) || フェアユース第1・第3・第4基準 || 映像<br>(デジタル) || 合法違法混在 || 1400局以上のテレビラジオのメィア報道デーース検索を提供TVEyesは有料会員に1クリップあたり最10分ニュース映像を提供していた。第1基準則り、キーワード検索や閲覧につては営利目的ではあるが変形的利用が勝るとしてフェアユース判定となった。引用の質と量を計る3基準では、10分制限でニュース全量が見られる点が指摘された。収益インパクトを問う4基準、会員自身のパソコンダウンロドや他者へのEmail回付機能について違法判定となった。違法機能ついては終局的令が下され結果TVEyes[[FOXニュース]]取扱を廃止決定した。[[:en: 2019 in American television#January|en: 2019 in American television (1月21日の出来事)]]も参照。 ||{{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="Cambridge University Press v. Patton"|{{Visible anchor|[[ケンブリッジ大学出版局他対パットン裁判]]}}{{Efn2|原告団はジョージア州立大学ではなく、個別の教員を相手に訴訟を起こしている。Patton以外にも別途、Cambridge University Press et al. v. Becker の訴訟も発生している{{R|Patton-UofIL}}。}}<br>([[:en: Cambridge University Press v. Patton|Cambridge University Press v. Patton]]) || 2014 || 11th Cir. Ga.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/cambridgeuniv-patton-11thcir2014.pdf 769 F.3d 1232]) || フェアユース第1-第4基準全て || 文章<br>(デジタル) || 合法 (一部違法) || 「[[ジョージア州立大学]]著作権訴訟」とも{{R|Patton-UofIL}}。[[ジョージア州立大学]]が{{仮リンク|コースリザーブ|en|Course reserve}}の電子システム (予習教材や参考書などをデジタル化して受講生に提供する閲覧・ダウンロードシステム) を使用して著作物を無断で大量に複製提供しているとして、[[ケンブリッジ大学出版局]]や[[オックスフォード大学出版局]]などが提訴{{R|Patton-LN}}。一審ではフェアユース第4基準 (収益インパクト) のみ原告有利だが、第1~3基準は被告有利としてフェアユースを認めた。二審では一審を覆し、再審理で一審に差戻しを命じたものの、大半はフェアユースの判示となった。その後、原告らは再審を求めた結果、2016年には一部の著作物は著作権侵害が追加で認められた。フェアユース4基準のうち、第1: 25%、第2: 5%、第3: 30%、第4: 40%のウェイトで判断{{R|Patton-UofIL}}。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|文化庁海外調査|2016|pp=19&ndash;20}}
| data-sort-value="Authors Guild, Inc. v. HathiTrust"|{{Visible anchor|[[ハーティトラスト#著作権問題|全米作家協会対ハーティトラスト裁判]]}}<br>([[:en: Authors Guild, Inc. v. HathiTrust|Authors Guild, Inc. v. HathiTrust]]) || 2014 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/authorsguild-hathitrust-2dcir2014.pdf 755 F.3d 87]) || フェアユース第1基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || [[全米作家協会他対Google裁判]]の類似ケース。[[ハーティトラスト]]は[[Googleブックス]]のスピンオフで図書館連携プロジェクト。蔵書アーカイブのデジタル化を行っており、著作権侵害が問われた。フェアユースの第1基準 (非営利性) に合致のため合法の判示。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Swatch Grp. Mgmt. Servs. Ltd. v. Bloomberg L.P. "|{{Visible anchor|[[スウォッチブルムバーグ裁判]]}}<br>(Swatch Grp. Mgmt. Servs. Ltd. v. Bloomberg L.P. ) || 2014 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/swatchgrp-bloomberg-2dcir2014.pdf 742 F.3d 17]) || フェアユース第1基準 || 文章および音声<br>(ニュース報道) || 合法 || 時計メカーである[[スウォチ・グループ]]の役員から証券アナリスト電話内容に収益性などの情報含まれており、を音声録音と文字書き起こしの形で経済メディアの[[ブルームバーグ (企業)|ブルームバーグ]]が入手して公表投資家への情報開示・報道目的であることから、フェアユース第1基準が定める「変形的用」をそもそも満す必要はないとされ、音声そままの公表はフェアユースと判示された。 || <ref name=SU-FairUse/><ref name=Bunka-H27Rep/>
| data-sort-value="Authors Guild, Inc. v. HathiTrust"|{{Visible anchor|[[ハーティトラト#著作権問題|全米作家協会ティトラスト裁判]]}}<br>([[:en: Authors Guild, Inc. v. HathiTrust|Authors Guild, Inc. v. HathiTrust]]) || 2014 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/authorsguild-hathitrust-2dcir2014.pdf 755 F.3d 87]) || フェアユース第1基準 || 文章<br>(デジタル) || 合法 || [[全米作家協会他対Google裁判]]の類似ケス。[[ハーティトラト]]は[[Googleブクス]]のスピンオフで図書館連携プロジェク。蔵書アーカイブデジタル化行っており、著作権侵害が問わ。フェアユース第1基準 (非営性) に合致のめ合法の判示。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|作花|2018|p=854}}
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| data-sort-value="Authors Guild v. Google, Inc."|{{Visible anchor|[[全米作家協会他Google裁判]]}}<br>([[:en: Authors Guild v. Google, Inc.|Authors Guild v. Google, Inc.]]) || 2015 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/authorsguild-google-2dcir2015.pdf No. 13-4829]) || [[反トラスト法]]、フェアユース第1~第4基準全て || 文章<br>(デジタル) || 合法 || [[Googleブックス]]が無断で書籍を大量デジタルキャン。著作権者代表て業界団体の[[全米作家協会]]集団訴訟を起こ当初は裁判所も著作権侵害を認め、原告団有利総額1億2500万米ドルの和解交渉を進めていたものの最終的にフェアユース定となった。和解によってGoogleの電子書籍市場における独占化が進行し、[[反トラスト法]] (独占禁止法) への抵触が懸念され、競合[[マイクロソト]]や[[Amazon]]、[[Yahoo!]]などが合従連衡で反対運動を展開したこでも知らる。終結までに約11年を要した。 || <ref name=SU-FairUse/><ref name=Bunka-H27Rep/>
| data-sort-value="Swatch Grp. Mgmt. Servs. Ltd. v. Bloomberg L.P. "|{{Visible anchor|[[スウォッチブルームバーグ裁判]]}}<br>(Swatch Grp. Mgmt. Servs. Ltd. v. Bloomberg L.P. ) || 2014 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/swatchgrp-bloomberg-2dcir2014.pdf 742 F.3d 17]) || フェアユース第1基準 || 文章および音声<br>(ニュース報道) || 合法 || 時計メーカーである[[スウォッチ・グループ]]の役員から証券アナリトへの電話内容に収益性などの情報含まれており、これを音声録音と文字書き起この形で経済メディアの[[ブルームバーグ (企業)|ブルームバーグ]]が入手て公表投資家へ情報開示・報道目的あることから、フェアユース第1基準がめる「変形的利用」をそもそも満たす必要はないとされ、音声そのまま公表はェアユース判示された。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|文化庁海外調査|2016|p=19}}
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| data-sort-value="Katz v. Chevaldina"|{{Visible anchor|[[カッツシェヴァルディーナ裁判]]}}<br>(Katz v. Chevaldina) || 2015 || 11th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/katz-google-2015.pdf No. 14-14525]) || フェアユース第12基準 || 画像<br>(デジタル) || 合法 || 別名「カッツ対Google裁判」。米不動産王のラーナン・カ所有するショッピングセンーの元テナト女性がカッツの屈辱的な画像Google検索、カッツ経営への不満公表するブログ記事に掲載した。カッツ写真の著作権が自分にあると主張し一次責任者としブログ執筆女性と二次責任者してGoogleを提訴し (後Googleは取り下げ)。二審では、ブログ記事が批判かつ非営利目的であこと (第1基準)、および写真カッツポーズ表現衣服などを印象付けるような表現性に欠ける (第2基準) とェアユースを認めた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Authors Guild v. Google, Inc."|{{Visible anchor|[[全米作家協会他Google裁判]]}}<br>([[:en: Authors Guild v. Google, Inc.|Authors Guild v. Google, Inc.]]) || 2015 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/authorsguild-google-2dcir2015.pdf No. 13-4829]) || [[反トラスト法]]、フェアユース第1-4基準全て || 文章<br>(デジタル) || 合法 || [[Googleクス]]無断で書籍を大量デジルスキャ。著作権者代表て業界団体[[全米作家協会]]らが集団訴訟起こした。当初裁判所も著作権侵害を認め原告団有利の形で総額1億2500万米ドルの和解交渉を進めいたものの最終的にフェアユース判定なっ。和解よってGoogleの電子書籍市場におけ独占化が進行し、[[反トラスト法]] (独占禁止法) への抵触懸念され、競合[[マイクロソフト]][[Amazon.com|Amazon]][[Yahoo!]]などが合従連衡で反対運動展開たほか{{R|Diamond-OpenBookAlliance}}、ランとドイツ政府が米国裁判所に反対意見書提出した{{R|Reuters-Ger-Google|DW-Ger-Google|Reuters-Fra-Google}}ことでも知られる。終結までに約11年を要した。 || {{R|SU-FairUse}}{{Sfn|文化庁海外調査|2016|p=19}}<br>{{Sfn|作花|2018|pp=854&ndash;856}}
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| data-sort-value="Katz v. Chevaldina"|{{Visible anchor|[[カッツ対シェヴァルディーナ裁判]]}}<br>(Katz v. Chevaldina) || 2015 || 11th Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/katz-google-2015.pdf No. 14-14525]) || フェアユース第1・第2基準 || 画像<br>(デジタル) || 合法 || 別名「カッツ対Google裁判」。米不動産王のラーナン・カッツが所有するショッピングセンターの元テナント女性がカッツの屈辱的な画像をGoogle検索し、カッツの経営への不満を公表するブログ記事に掲載した。カッツは写真の著作権が自分にあると主張し、一次責任者としてブログ執筆女性と、二次責任者としてGoogleを提訴した (後に対Googleは取り下げ)。二審では、ブログ記事が批判かつ非営利目的であること (第1基準)、および写真がカッツのポーズや表現、衣服などを印象付けるような表現性に欠ける (第2基準) としてフェアユースを認めた。 || {{R|SU-FairUse}}
| data-sort-value="Equals Three, LLC v. Jukin Media, Inc."|{{Visible anchor|[[イコールズ・スリー対ジューキン・メディア裁判]]}}<br>(Equals Three, LLC v. Jukin Media, Inc.) || 2015 || C.D. Cal.<br>([https://jolt.law.harvard.edu/digest/analyzing-the-equals-three-v-jukin-media-opinion 14-09041]) || DMCA、フェアユース第1基準 || 映像<br>(デジタル) || 合法 || [[マッシュアップ]]型のデジタル二次的著作物の判例。{{仮リンク|ジューキン・メディア|en|Jukin Media}}は一般ユーザ作成動画を収集し、その動画の利用者に対して著作者の代わりに利用ライセンス料を徴収するオンライン・メディア。また自社製作の動画もYouTube等に公開している。人気YouTuber[[レイ・ウィリアム・ジョンソン]]率いるイコールズ・スリー社がYouTubeにアップロードした動画の一部を、ジューキンが[[デジタルミレニアム著作権法]] (DMCA) が定める[[著作権法 (アメリカ合衆国)#インターネット関連事業者への免責|ノーティス・アンド・テイクダウン]]の手続に則り、YouTubeに削除要請し、代わりにジューキン公式のYouTubeチャネルにリンク誘導した。イコールズ・スリーは広告収入減とDMCA濫用でジューキンを提訴した。動画1点を除き、イコールズ・スリーは全て変形的利用が認められた。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="Equals Three, LLC v. Jukin Media, Inc."|{{Visible anchor|[[イコールズ・スリー対ジューキン・メディア裁判]]}}<br>(Equals Three, LLC v. Jukin Media, Inc.) || 2015 || C.D. Cal.<br>([https://jolt.law.harvard.edu/digest/analyzing-the-equals-three-v-jukin-media-opinion 14-09041]) || DMCA、フェアユース第1基準 || 映像<br>(デジタル) || 合法 || [[マッシュアップ]]型のデジタル二次的著作物の判例。{{仮リンク|ジューキン・メディア|en|Jukin Media}}は一般ユーザ作成動画を収集し、その動画の利用者に対して著作者の代わりに利用ライセンス料を徴収するオンライン・メディア。また自社製作の動画もYouTube等に公開している。人気YouTuber[[レイ・ウィリアム・ジョンソン]]率いるイコールズ・スリー社がYouTubeにアップロードした動画の一部を、ジューキンが[[デジタルミレニアム著作権法]] (DMCA) が定める[[著作権法 (アメリカ合衆国)#インターネット関連事業者への免責|ノーティス・アンド・テイクダウン]]の手続に則り、YouTubeに削除要請し、代わりにジューキン公式のYouTubeチャネルにリンク誘導した。イコールズ・スリーは広告収入減とDMCA濫用でジューキンを提訴した。動画1点を除き、イコールズ・スリーは全て変形的利用が認められた。 || {{R|SU-FairUse}}
| data-sort-value="Keeling v. Hars"|{{Visible anchor|[[キーリング対ハーズ裁判]]}}<br>(Keeling v. Hars) || 2015 || 2d Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/ca2/13-694/13-694-2015-10-30.html No. 13-694]) || フェアユース第1基準 (パロディ) || 映像<br>(映画) || 合法 || 映画『[[ハートブルー]]』 (原題: Point Break) のパロディ。[[二次的著作物]]は著作権者の許諾が法的に必要となるが、パロディかつ付加が多いため許諾不要との判示。[[:en: Derivative work#Lawful works requirement]]も参照。 || <ref name=SU-FairUse/>
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| data-sort-value="TCA Television Corp. v. McCollum"|{{Visible anchor|[[TCAテレビジョン対マッカラム裁判]]}}<br>(TCA Television Corp. v. McCollum) || 2016 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/tca-mccollum-2016.pdf No. 1:16-cv-0134]) || フェアユース第1基準 (パロディ)・第4基準、更新手続 || 演劇<br>(実演) || 法 || お笑いコンビの[[アボッとコステロ]]の持ちネタ "Who's on first?" パロディ化してブロードウェイミュージカルとして実演一審変形性高いしてフェアユース判定だった二審で否定し、かつ第4基準の損害性あると判定。しかし著作者の相続人が著作物の更新手続きを怠っから、原告訴えを退けた。 || <ref name=SU-FairUse/>
| data-sort-value="Keeling v. Hars"|{{Visible anchor|[[キーリハーズ裁判]]}}<br>(Keeling v. Hars) || 2015 || 2d Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/ca2/13-694/13-694-2015-10-30.html No. 13-694]) || フェアユース第1基準 (パロディ) || 映像<br>(映画) || 法 || 映画『[[ハーブルー]] (原題: Point Break) パロディ。[[二次的著作物]]著作権者の許諾法的に必要なるが、パロディかつ付加多いめ許諾不要との判示。[[:en: Derivative work#Lawful works requirement]]も参照。 || {{R|SU-FairUse}}
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| data-sort-value="TCA Television Corp. v. McCollum"|{{Visible anchor|[[TCAテレビジョン対マッカラム裁判]]}}<br>(TCA Television Corp. v. McCollum) || 2016 || 2d Cir.<br>([https://www.copyright.gov/fair-use/summaries/tca-mccollum-2016.pdf No. 1:16-cv-0134]) || フェアユース第1基準 (パロディ)・第4基準、更新手続 || 演劇<br>(実演) || 違法 || お笑いコンビの[[アボットとコステロ]]の持ちネタ "Who's on first?" をパロディ化してブロードウェイミュージカルとして実演。一審は変形性が高いとしてフェアユース判定だったが二審で否定し、かつ第4基準の損害性があると判定。しかし著作者の相続人が著作物の更新手続を怠ったことから、原告の訴えを退けた。 || {{R|SU-FairUse}}
| data-sort-value="Oracle America, Inc. v. Google, Inc."|{{Visible anchor|[[Oracle対Google裁判]]}}<br>([[:en: Oracle America, Inc. v. Google, Inc.|Oracle America, Inc. v. Google, Inc.]]) || 2019 || 最高裁<br>(上告受理申立て中) || フェアユース第1~第4基準全て || プログラム<br>(デジタル) || 未決 || [[オラクル (企業)|Oracle]]が[[サン・マイクロシステムズ]]を企業買収する形で権利獲得した[[Java]] [[アプリケーションプログラミングインタフェース|API]]を、[[Google]]が自社のモバイル用OSである[[Android]]に利用したとして、特許権と著作権侵害で総額88億米ドル (約1兆円) の損害賠償を求めてOracleがGoogleを2010年に提訴した。一審では、陪審は著作権侵害の判断をしたものの、裁判所はJava APIが著作権保護の対象に当たらないとの理由で2012年に原告の主張を退けている。しかし2014年、二審では営利性および潜在市場への影響度の観点で圧倒的にOracle有利と見て著作権侵害を認めた。2019年1月、Googleは二度目の最高裁への上告受理申立て (certiorari) を行っている<ref name=OracleGoogle-Diamond>{{Cite web |url=https://diamond.jp/articles/-/167921 |title=Google-Oracle訴訟はOracleに有利な判断 判決からAndroid登場時の裏が見えてくる |author=末岡洋子 (ASCII編集部) |publisher=[[ダイヤモンド社]] |date=2018-04-18 |accessdate=2019-04-23}}</ref><ref name=OracleGoogle-Patest>{{Cite web |url=https://www.patest.co.jp/cafc/2018/cafc20180401.html |title=ORACLE AMERICA, INC. 対 GOOGLE LLC 事件 {{!}} 米国連邦控訴裁判所 (CAFC) 判決 2018年 |publisher=大塚国際特許事務所 |accessdate=2019-04-23}}</ref><ref name=OracleGoogle-Harvard2019>{{Cite web |url=https://jolt.law.harvard.edu/digest/google-v-oracle-silicon-valley-braces-for-lawsuit-of-the-decade-as-google-petitions-for-cert-to-decide-api-copyrightability |title=Google v. Oracle: Silicon Valley Braces for "Lawsuit of the Decade" as Google Petitions for Cert to decide API Copyrightability |trans-title=Google対Oracle: シリコンバレーは過去10年の一大訴訟へ - APIの著作権巡りGoogleが上告受理申立てへ |last=Ward |first=Aaron |publisher=[[ハーバード大学]]ロースクール |date=2019-03-13 |accessdate=2019-04-23 |language=en}}</ref>。 || <ref name=Bunka-H27Rep/>
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| data-sort-value="Oracle America, Inc. v. Google, Inc."|{{Visible anchor|[[Oracle対Google裁判]]}}<br>([[:en: Oracle America, Inc. v. Google, Inc.|Oracle America, Inc. v. Google, Inc.]]) || 2019 || 最高裁で係争中{{R|OracleGoogle-Harvard2019b}} || フェアユース第1-第4基準全て || プログラム<br>(デジタル) || 未決 || [[オラクル (企業)|Oracle]]が[[サン・マイクロシステムズ]]を企業買収する形で権利獲得した[[Java]] [[アプリケーションプログラミングインタフェース|API]]を、[[Google]]が自社のモバイル用OSである[[Android (オペレーティングシステム)|Android]]に利用したとして、特許権と著作権侵害で総額88億米ドル (約1兆円) の損害賠償を求めてOracleがGoogleを2010年に提訴した。一審では、陪審は著作権侵害の判断をしたものの、裁判所はJava APIが著作権保護の対象に当たらないとの理由で2012年に原告の主張を退けている。しかし2014年、二審では営利性および潜在市場への影響度の観点で圧倒的にOracle有利と見て著作権侵害を認めた。2019年1月、Googleは二度目の最高裁への上告受理申立 (certiorari) を行い{{R|OracleGoogle-Diamond|OracleGoogle-Patest|OracleGoogle-Harvard2019}}、同年11月に受理された{{R|OracleGoogle-Harvard2019b}}。 || {{Sfn|文化庁海外調査|2016|p=7}}
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=== フェアユース関連以外 ===
=== フェアユース関連以外 ===
<!-- 「特筆性」の欄には専門家が言及した出典を付記して下さい。出典2つで1行とし、3つ以降の場合は改行コードを入れると表が崩れません。 -->
{| class="wikitable sortable" style="width:95%"
{| class="wikitable sortable" style="width:98%"
! style="width:16%" | 判例の通称 !! style="width:5%" | 判決年 !! style="width:9%" class=unsortable | 裁判所<br>([[判例引用#アメリカ合衆国|判例集番号]]) !! style="width:8%" class=unsortable | 争点 !! style="width:6%" | 著作タイプ !! style="width:4%" | 判決 !! style="width:43%" class=unsortable | 訴訟概要と判決要点 !! style="width:4%" class=unsortable | 特筆性
! style="width:16%" | 判例の通称{{Efn2|name=CaseName}} !! style="width:5%" | 判決年 !! style="width:9%" | 裁判所<br>([[判例引用#アメリカ合衆国|判例集番号]]) !! style="width:8%" | 争点 !! style="width:6%" | 著作タイプ !! style="width:4%" | 判決 !! style="width:46%" class=unsortable | 訴訟概要と判決要点 !! style="width:4%" class=unsortable | 特筆性
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| data-sort-value="Nichols v. Universal Pictures Corp."|{{Visible anchor|[[ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判]]}}<br>([[:en: Nichols v. Universal Pictures Corp.|Nichols v. Universal Pictures Corp.]]) || 1930 || 2d Cir.<br>([https://guides.lib.umich.edu/substantial-similarity/nichols 45 F.2d 119]) || アイディア・表現二分論、言語著作物における{{仮リンク|実質的類似性|en|Substantial similarity}} || 文章<br>(舞台劇・映画) || 合法 || 小説や脚本などの言語著作物から、逐語的ではなくコンセプトを利用した場合の不正盗用判定方法として「抽象化テスト」を確立した判例。舞台劇『{{仮リンク|Abie's Irish Rose|en|Abie's Irish Rose}}』の作者{{仮リンク|アン・ニコルズ|en|Anne Nichols}}が、1926年公開の[[サイレント映画]]『{{仮リンク|The Cohens and Kellys|en|The Cohens and Kellys}}』の製作者である[[ユニバーサル・ピクチャーズ]]に盗用されたと主張。舞台劇は、ユダヤ人男性とアイルランド人女性の格差婚、そして両家を巻き込んだ葛藤を描く。映画は、男女の出身設定が逆転しているものの、同類のテーマ性であるが、(アイディア・表現二分論で定めるところの) アイディアでしかなく、著作権保護の適用となるオリジナル表現ではないと判示された。同様に[[シェイクスピア]]の手法、[[アインシュタイン]]の相対性理論、[[チャールズ・ダーウィン|ダーウィン]]の進化論を下敷きにする行為も著作権侵害にならないと例示された。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=115&ndash;117}}{{Sfn|山本隆司|2008|pp=51&ndash;52}}
| data-sort-value="Nichols v. Universal Pictures Corp."|{{Visible anchor|[[ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判]]}}<br>([[:en: Nichols v. Universal Pictures Corp.|Nichols v. Universal Pictures Corp.]]) || 1930 || 2d Cir.<br>([https://guides.lib.umich.edu/substantial-similarity/nichols 45 F.2d 119]) || [[アイディア・表現二分論]]、言語著作物における{{仮リンク|実質的類似性|en|Substantial similarity}} || 文章<br>(舞台劇・映画) || 合法 || 小説や脚本などの言語著作物から、逐語的ではなくコンセプトを利用した場合の不正盗用判定方法として「抽象化テスト」を確立した判例。舞台劇『{{仮リンク|Abie's Irish Rose|en|Abie's Irish Rose}}』の作者{{仮リンク|アン・ニコルズ|en|Anne Nichols}}が、1926年公開の[[サイレント映画]]『{{仮リンク|The Cohens and Kellys|en|The Cohens and Kellys}}』の製作者である[[ユニバーサル・ピクチャーズ]]に盗用されたと主張。舞台劇は、ユダヤ人男性とアイルランド人女性の格差婚、そして両家を巻き込んだ葛藤を描く。映画は、男女の出身設定が逆転しているものの、同類のテーマ性であるが、(アイディア・表現二分論で定めるところの) アイディアでしかなく、著作権保護の適用となるオリジナル表現ではないと判示された。同様に[[シェイクスピア]]の手法、[[アインシュタイン]]の相対性理論、[[チャールズ・ダーウィン|ダーウィン]]の進化論を下敷きにする行為も著作権侵害にならないと例示された。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=115&ndash;117}}{{Sfn|山本|2008|pp=51&ndash;52}}<br>{{Sfn|白鳥|2004|pp=96&ndash;99}}
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| data-sort-value="Alfred Bell & Co. Ltd. v. Catalda Fine Arts, Inc."|{{Visible anchor|[[アルフレッド・ベル対カタルダ・ファインアーツ裁判]]}}<br>(Alfred Bell & Co. Ltd. v. Catalda Fine Arts, Inc.) || 1951 || 2d Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/F2/191/99/91570/ 191 F.2d 99]) || [[二次的著作物]]、美術複製の保護要件 || 美術<br>(版画) || 違法 || [[メゾティント]]銅版を手掛けるイギリス人のアルフレッド・ベルは、著作権の保護期間が切れてパブリック・ドメイン (公有) に帰している名画を元に版画を制作し、[[アメリカ合衆国著作権局]]に著作権登録済であった。この版画を元にカタルダ社が[[リトグラフ]]化して販売した。カタルダは著作権侵害か、またベルの美術複製作品はそもそも著作権保護の対象なのかが問われた。メゾティント銅版を創作するには工具と複雑なスキルを要し、また色の選択などに創作性が認められることから、ベルの作品に著作物性があると判示された。詳細背景は [https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/74/973/1410204/ 一審] を、美術複製の保護要件については「[[#ダーラム対トミー裁判]]」も参照のこと。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=85&ndash;89}}
| data-sort-value="Warner Brothers Pictures, Inc. v. Columbia Broadcasting Systems, Inc."|{{Visible anchor|[[ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ対CBS裁判]]}}<br>(Warner Brothers Pictures, Inc. v. Columbia Broadcasting Systems, Inc.) || 1954 || 9th Cir.<br>([https://openjurist.org/216/f2d/945/warner-bros-pictures-v-columbia-broadcasting-system-b 216 F.2d 945]) || アイディア・表現二分論、言語著作物におけるキャラクターの保護 || 文章<br>(小説・映画) || 訴訟概要を参照 || [[ハードボイルド]]探偵小説『[[マルタの鷹]]』に登場する探偵[[サム・スペード]]を巡る裁判。作者[[ダシール・ハメット|ハメット]]は{{仮リンク|アルフレッド・A・ノップフ|label=ノップフ社|en|Alfred A. Knopf}}から単行本を出版し、ハメットとノップフは映画・ラジオ・テレビ番組化権をワーナーに譲渡した。その後、ハメットは別小説でもスペードなどのキャラクターを再登場させ、同様に映画化などの権利をCBSに譲渡したことから、ワーナーがキャラクターの独占権を主張した。漫画などのキャラクターと異なり、言語著作物のキャラクターは著作権保護されないとの判示。しかしこの基準は厳格すぎるとして、後の判事や法学者から否定的な意見もある。|| {{Sfn|Leaffer|2008|pp=115&ndash;117}}{{Sfn|山本隆司|2008|pp=51&ndash;52}}
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| data-sort-value="Warner Brothers Pictures, Inc. v. Columbia Broadcasting Systems, Inc."|{{Visible anchor|[[ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ対CBS裁判]]}}<br>(Warner Brothers Pictures, Inc. v. Columbia Broadcasting Systems, Inc.) || 1954 || 9th Cir.<br>([https://openjurist.org/216/f2d/945/warner-bros-pictures-v-columbia-broadcasting-system-b 216 F.2d 945]) || アイディア・表現二分論、キャラクターの保護要件 || 文章<br>(小説・映画) || 訴訟概要を参照 || [[ハードボイルド]]探偵小説『[[マルタの鷹]]』に登場する探偵[[サム・スペード]]を巡る裁判。作者[[ダシール・ハメット|ハメット]]は{{仮リンク|アルフレッド・A・ノップフ|label=ノップフ社|en|Alfred A. Knopf}}から単行本を出版し、ハメットとノップフは映画・ラジオ・テレビ番組化権をワーナーに譲渡した。その後、ハメットは別小説でもスペードなどのキャラクターを再登場させ、同様に映画化などの権利をCBSに譲渡したことから、ワーナーがキャラクターの独占権を主張した。漫画などのキャラクターと異なり、言語著作物のキャラクターは著作権保護されないとの判示。しかしこの基準は厳格すぎるとして、後の判事や法学者から否定的な意見もある。|| {{Sfn|Leaffer|2008|pp=115&ndash;117}}{{Sfn|山本|2008|pp=51&ndash;52}}
| data-sort-value="Morrissey v. Procter & Gamble Co."|{{Visible anchor|[[モリシー対P&G裁判]]}}<br>(Morrissey v. Procter & Gamble Co.) || 1967 || 1st Cir.<br>([https://www.law.cornell.edu/copyright/cases/379_F2d_675.htm 379 F.2d 675]) || [[アイディア・表現二分論]] (混同法理) || 企画<br>(アイディア) || 合法 || 大元のアイディア (システム、プロセス、操作方法を含む) を表現する方法が事実上1つしかない場合、アイディアと表現は「混同した」とみなされ、著作権保護は認められないとする「混同法理」のリーディング・ケース。モリシーは販売促進用の宝くじを企画・運営していたが、応募者が氏名、住所、[[社会保障番号]]などを記入するその運用方法が、P&G主催の宝くじと類似しているとして提訴した裁判。アイディアを利用するにあたって、作品の複製を必要とする場合は、その複製行為は著作権侵害にあたらないとされ、既にくじの引き方というアイディアが枯渇しているものにまで著作権による独占を認めることは、社会的な損失になると判断された。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=109&ndash;111}}<ref name="Barrett2008">{{cite book|author=Margreth Barrett|title=Intellectual Property|url=https://books.google.com/books?id=FetCwyUjdFwC&pg=PA110|year=2008|publisher=Aspen Publishers Online|isbn=978-0-7355-6297-4|pages=110–}}</ref>
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| data-sort-value="Herbert Rosenthal Jewelry Corporation v. Kalpakian"|{{Visible anchor|[[ハーバート・ローゼンタール・ジュエリー対カルパキアン裁判]]}}<br>(Herbert Rosenthal Jewelry Corporation v. Kalpakian) || 1971 || 9th Cir.<br>([https://www.lexisnexis.com/lawschool/resources/p/casebrief-herbert-rosenthal-jewelry-corp-v-kalpakian.aspx 446 F.2d 738]) || [[アイディア・表現二分論]] || デザイン<br>(実用品) || 合法 || 宝飾メカー同士争い。宝石に金らっミツバチ型の宝飾ピンを著作権登録済だったハーバートが、そのデザインを盗されたとしてカルパキアンを提訴した。カルパキンは自然界のミツバチ研究しデザインしており両社とも実物ミツバチに似ているもののデザイン盗用否定された。またアイディア・表現二分論基づアイディア (ミツバチ型のピンを作る発想) とその表現 (出来上ったピンのデザイン) が不可分であることから、表現を模倣しても著作権侵害当たらと判示した。 || {{Sfn|山本隆司|2008|pp=47&ndash;49}}
| data-sort-value="Morrissey v. Procter & Gamble Co."|{{Visible anchor|[[ー対P&G裁判]]}}<br>(Morrissey v. Procter & Gamble Co.) || 1967 || 1st Cir.<br>([https://www.law.cornell.edu/copyright/cases/379_F2d_675.htm 379 F.2d 675]) || [[アイディア・表現二分論]] (マージ理論) || 企画<br>(アイディア) || 合法 || ジ理論リーディング・ケースモリシーは販売促進用のくじ企画・運営ていたが、応募者が氏名、住所、[[社会保障番号]]などを記入するその方法が、P&G主催の宝くじと類似しているとして提訴した裁判。アイディア利用するにあたって、作品複製を必要とする場合は、複製行為著作権侵害にあたらないとされ、くじの引方というアイディアが枯渇しているのにまで著作権による独占を認めることは、社会的損失になると判断された。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=109&ndash;111}}{{R|Barrett2008}}<br>{{Sfn|Goldstein & Hugenholtz|2013|pp=220&ndash;221}}{{Sfn|白鳥|2004|p=81}}
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| data-sort-value="Herbert Rosenthal Jewelry Corporation v. Kalpakian"|{{Visible anchor|[[ハーバート・ローゼンタール・ジュエリー対カルパキアン裁判]]}}<br>(Herbert Rosenthal Jewelry Corporation v. Kalpakian) || 1971 || 9th Cir.<br>([https://www.lexisnexis.com/lawschool/resources/p/casebrief-herbert-rosenthal-jewelry-corp-v-kalpakian.aspx 446 F.2d 738]) || [[アイディア・表現二分論]] || デザイン<br>(実用品) || 合法 || 宝飾メーカー同士の争い。宝石に金をあしらったミツバチ型の宝飾ピンを著作権登録済だったハーバートが、そのデザインを盗用されたとしてカルパキアンを提訴した。カルパキアンは自然界のミツバチを研究してデザインしており、両社とも実物のミツバチに似てはいるものの、デザインの盗用は否定された。また、アイディア・表現二分論に基づき、アイディア (ミツバチ型のピンを作る発想) とその表現 (出来上がったピンのデザイン) が不可分であることから、表現を模倣しても著作権侵害に当たらないと判示した。 || {{Sfn|山本|2008|pp=47&ndash;49}}{{Sfn|白鳥|2004|p=82}}
| data-sort-value="Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc."|{{Visible anchor|[[モンティ・パイソン対ABC裁判]]}}<br>([[:en: Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc.|Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc.]]) || 1976 || 2d Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/F2/538/14/93445/ 538 F.2d 14]) || [[著作者人格権]] (同一性保持権) || 映像<br>(テレビ) || 違法 || [[モンティ・パイソン]]脚本・出演のテレビ番組『[[空飛ぶモンティ・パイソン]]』(英国[[BBC]]にて原放送) が、米国[[アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー|ABC]]でも放送された際に一部内容が改変されたため、原著作物の同一性保持権が損なわれたとしてメンバーの[[テリー・ギリアム]]他がABCを提訴。一審は同一性の毀損を認めるも、改変の許諾・調整によってABCの放送に遅れが生ずると実損害が発生するとの理由から、実質敗訴。しかし二審は、編集カットによってモンティ・パイソンのブランドが毀損するとして勝訴の判決を下した。なお当時の米国は[[ベルヌ条約]]を[[批准]]していなかったことから、同条約が求めていた[[著作者人格権]]を米国著作権法上で明文化しておらず、人格権侵害はもっぱら[[コモンロー]]に基づく司法判断に委ねられていた。そのため、人格権侵害が認められたケースは本件含めて非常に少ない。これが仮に、著作者人格権が明文化された1989年以降に提訴されていたら棄却されていただろうとも指摘されている。なぜならば、同権を謳う第106A条は狭義の[[著作権法 (アメリカ合衆国)#視覚芸術著作物|視覚芸術著作物]]に限定されていることから、テレビ番組には適用不可と判断されうるためである。 || <ref name=JetLaw-Pythons>{{Cite web |title=Moral Rights in the US: Why Monty Python Would Say "Ni!" |url=http://www.jetlaw.org/2017/09/15/moral-rights-in-the-us-why-monty-python-would-say-%E2%80%9Cni%E2%80%9D/ |publisher=JETLaw |date=2017-10-04 |accessdate=2019-04-23}}</ref><ref name=MoralRights-NEA>{{Cite web |url=http://www.law.harvard.edu/faculty/martin/art_law/esworthy.htm |title=A Guide to the Visual Artists Rights Act |trans-title=視覚芸術家権利法の基礎 |author=Esworthy, Cynthia ({{仮リンク|全米芸術基金|en|National Endowment for the Arts}}所属 |publisher=[[ハーバード大学]]ロースクール |accessdate=2019-04-23 |language=en}})</ref>
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| data-sort-value="Reyher v. Children's Television Workshop"|{{Visible anchor|[[レイヤー対CTW裁判]]}}<br>([[:en: Reyher v. Children's Television Workshop|Reyher v. Children's Television Workshop]]) || 1971 || 2d Cir.<br>([https://casetext.com/case/reyher-v-childrens-television-workshop-3 533 F.2d 87]) || [[アイディア・表現二分論]] (ありふれた情景の理論)、{{仮リンク|実質的類似性|en|Substantial similarity}} (抽象化テスト) || 文章<br>(テレビ) || 合法 || 「[[#ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判]]」(1930年) と類似のケース。児童向けテレビ番組『[[セサミストリート]]』で描かれた芝居のプロットが、レイヤーの執筆した民話 (ロシア人の子供) と類似しているとして、同番組を製作する{{仮リンク|Children's Television Workshop|en|Children's Television Workshop}} (現: {{Lang|en|Sesame Workshop}}) を提訴した。両作品に共通するのは迷子の子供が親と再会するというプロットであり、迷子の子供であれば必然的結末であるとされた。プロット以外では「雰囲気、細部、性格付け」に類似性がないとも判示された。当判決でも抽象化テストによってこれらの実質的類似性が判断された。原告は最高裁に上訴したものの、{{仮リンク|移送令状|en|Certiorari#United_States}} ({{Lang-la|certiorari}}) は却下されて二審で確定した。 || {{Sfn|白鳥|2004|pp=98&ndash;99}}
| data-sort-value="Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp."|{{Visible anchor|[[アップルコンピュータ対フランクリンコンピュータ裁判]]}}<br>([[:en: Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp.|Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp.]]) || 1983 || 3d Cir.<br>([https://h2o.law.harvard.edu/collages/41112 714 F.2d 1240]) || 著作物の定義 || コンピュータ・プログラム<br>(デジタル) || 違法 || 1980年の著作権法改正でコンピュータ・プログラムが著作権保護対象に加わった直後の判決。1981年当時、[[アップル (企業)|アップル社]]は年間40万台以上のパソコンを製造・販売していた。被告のフランクリン社製パソコンは1000台未満しか売れていなかったが、アップル製とのソフトウェアの互換性を売りにしていた。フランクリンがアップルのOSを不正盗用したとして、14のプログラムを対象に著作権と特許権侵害、不正競争防止違反、および不正流用で提訴。フランクリンはアップルの著作権登録に手続の不備があるとして、著作権保護対象ではないと抗弁したほか、訴訟対象を14から3プログラムに絞るよう要請した。フランクリンはアップルからの流用を認めた上で、互換性を担保するには必要不可欠な行為だとも主張した。しかし両社の製品は酷似していることから、被告の損害立証なしで一時差止命令を下した。 || {{Sfn|山本隆司|2008|p=15}}
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| data-sort-value="Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc."|{{Visible anchor|[[モンティ・パイソン対ABC裁判]]}}<br>([[:en: Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc.|Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc.]]) || 1976 || 2d Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/F2/538/14/93445/ 538 F.2d 14]) || [[著作者人格権]] (同一性保持権) || 映像<br>(テレビ) || 違法 || 著作者人格権のリーディング・ケース。[[モンティ・パイソン]]脚本・出演のテレビ番組『[[空飛ぶモンティ・パイソン]]』(英国[[BBC]]にて原放送) が、米国[[アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー|ABC]]でも放送された際に一部内容が改変されたため、原著作物の同一性保持権が損なわれたとしてメンバーの[[テリー・ギリアム]]他がABCを提訴。一審は同一性の毀損を認めるも、改変の許諾・調整によってABCの放送に遅れが生ずると実損害が発生するとの理由から、実質敗訴。しかし二審は、編集カットによってモンティ・パイソンのブランドが毀損するとして勝訴の判決を下した。なお当時の米国は[[ベルヌ条約]]を[[批准]]していなかったことから、同条約が求めていた[[著作者人格権]]を米国著作権法上で明文化しておらず、人格権侵害はもっぱら[[コモンロー]]に基づく司法判断に委ねられていた。そのため、人格権侵害が認められたケースは本件含めて非常に少ない。これが仮に、著作者人格権が明文化された1989年以降に提訴されていたら棄却されていただろうとも指摘されている。なぜならば、同権を謳う第106A条は狭義の[[著作権法 (アメリカ合衆国)#視覚芸術著作物|視覚芸術著作物]]に限定されていることから、テレビ番組には適用不可と判断されうるためである。 || {{R|JetLaw-Pythons|MoralRights-NEA}}<br>{{Sfn|山本|2008|pp=105&ndash;106}}{{Sfn|白鳥|2004|pp=245&ndash;246}}
| data-sort-value="Walker v. Time Life Films Inc."|{{Visible anchor|[[ウォーカー対タイム・ライフ・フィルムズ裁判]]}}<br>(Walker v. Time Life Films Inc.) || 1986 || 2d Cir.<br>([https://openjurist.org/784/f2d/44/walker-v-time-life-films-inc 784 F.2d 44]) || アイディア・表現二分論 (ありふれた情景の理論) || 映像<br>(映画) || 合法 || 1976年出版・ウォーカー著『''Fort Apache''』が1981年映画『[[アパッチ砦・ブロンクス]]』 (原題: ''Fort Apache, The Bronx'') に盗用されたとして提訴した。両作とも黒人と白人警官の死亡事件で始まり、闘鶏、飲酒、部品を盗まれた車、売春、ネズミが登場するが、これらはニューヨーク州[[サウス・ブロンクス]]でたびたび報道されている事実であり、その設定に著作物性はないとし、「[[アイディア・表現二分論#ありふれた情景の理論|ありふれた情景の理論]]」の立場が取られた。[[:en: Fort Apache, The Bronx#Legal issues]]も参照。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=589, 651&ndash;652}}
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| data-sort-value="Durham Industries, Inc. v. Tomy Corp."|{{Visible anchor|[[ダーラム対トミー裁判]]}}<br>(Durham Industries, Inc. v. Tomy Corp.) || 1980 || 2d Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/F2/630/905/238194/ 630 F.2d 905]) || [[二次的著作物]]、美術複製の保護要件 || キャラクター<br>(玩具) || 合法 || [[ディズニー]]のキャラクターである[[ミッキーマウス]]、[[ドナルドダック]]および[[プルート (ディズニーキャラクター)|プルート]]がパブリック・ドメインに帰していたことから、玩具メーカー2社が同キャラクターそっくりのぜんまい式玩具を同時期に製造し、日系企業トミー (現[[タカラトミー]]) がダーラムを著作権侵害で提訴した。本件では映画やコミック本に登場する二次元キャラクターを三次元の小さなプラスチック玩具に作り替えただけでは、芸術的な創作性は認められないとの理由から、玩具自体の著作物性が否定された。美術複製の保護要件については「[[#アルフレッド・ベル対カタルダ・ファインアーツ裁判]]」も参照のこと。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=85&ndash;89}}
| data-sort-value="Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc."|{{Visible anchor|[[データイースト対エピックス裁判]]}}<br>([[:en: Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc.|Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc.]]) || 1988 || 9th Cir.<br>([https://www.ravellaw.com/opinions/d101da3b99dadd73e937d8ded65f17aa 862 F.2d 204]) || アイディア・表現二分論 (ありふれた情景の理論)、[[ルック・アンド・フィール]] || ゲーム<br>(デジタル) || 合法 || 日本のゲーム会社[[データイースト]]がリリースした「[[空手道 (ゲーム)|空手道]]」(日本国外ではKarate Champの名称) が、イギリスのシステムⅢソフトウェア社からライセンス許諾を受けている[[カリフォルニア州]]企業エピックス社のゲーム「World Karate Champion」に盗用されたとして提訴。白と赤の空手着を身にまとった対戦相手、主審による勝者宣言、対戦ごとに異なる背景シーン、ボーナス・フェーズなどの設定が似ていたが、空手対戦ゲームという所与のアイディアから必然的に発生する標準的な表現にまで、著作権の保護を与えられないとされた。 || {{Sfn|山本隆司|2008|p=48}}<ref name="Graham1999">{{cite book|author=Lawrence D. Graham|title=Legal Battles that Shaped the Computer Industry|url=https://books.google.com/books?id=c6IS3RnN6qAC&pg=PA55|year=1999|publisher=Greenwood Publishing Group|isbn=978-1-56720-178-9|pages=55–}}</ref>
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| data-sort-value="Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp."|{{Visible anchor|[[Apple Computer対フランクリンコンピュータ裁判]]}}<br>([[:en: Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp.|Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp.]]) || 1983 || 3d Cir.<br>([https://h2o.law.harvard.edu/collages/41112 714 F.2d 1240]) || 著作物の定義、[[アイディア・表現二分論]] || コンピュータ・プログラム<br>(デジタル) || 違法 || 1980年の著作権法改正でコンピュータ・プログラムが著作権保護対象に加わった直後の判決。プログラミング言語で書かれたソースコードだけでなく、0と1の数字だけで機械的に変換表現される[[オブジェクトコード]]や、[[オペレーティングシステム|OS]]や[[Read only memory|ROM]] (半導体チップの記憶媒体) に保存されたプログラムにまで著作権保護がおよぶと判示された{{Efn2|コンピュータ・プログラムの著作物は、記述された言語の観点からはソースコード (プログラマが特定の言語で記述し、他者が読解可能) とオブジェクトコード (0と1の数字の羅列であるため人間には読解困難) に分類される。また機能面からは、表計算やゲームなどユーザが直接触れて操作するアプリケーション・プログラム (ソフトウェア) と、コンピュータ内部の管理・統制を行うOSに分類される。オブジェクトコードやOSまでもが、[[アイディア・表現二分論]]上の「表現」とみなせるか。換言すると、米国著作権法第102条(b) で定義された「プロセス、システム、操作方法」といった「アイディア」に分類されて著作権保護はおよばないのではないかが当裁判で問われることとなった{{Sfn|白鳥|2004|p=111}}。}}。<br>1981年当時、[[Apple]]は年間40万台以上のパソコンを製造・販売していた。被告のフランクリン社製パソコンは1000台未満しか売れていなかったが、Apple製とのソフトウェアの互換性を売りにしていた。フランクリンがAppleのOSを不正盗用したとして、14のプログラムを対象に著作権と特許権侵害、不正競争防止違反、および不正流用で提訴。フランクリンはAppleの著作権登録に手続の不備があるとして、著作権保護対象ではないと抗弁したほか、訴訟対象を14から3プログラムに絞るよう要請した。フランクリンはAppleからの流用を認めた上で、互換性を担保するには必要不可欠な行為だとも主張した。しかし両社の製品は酷似していることから、被告の損害立証なしで一時差止命令を下した。 || {{Sfn|山本|2008|p=15}}{{Sfn|白鳥|2004|pp=111&ndash;112}}
| data-sort-value="Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al"|{{Visible anchor|[[ゲイツ・ラバー対バンドー化学裁判]]}}<br>([[:en: Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al|Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al]]) || 1993 || 10th Cir.<br>([https://h2o.law.harvard.edu/collages/41121 9 F.3d 823]) || アイディア・表現二分論 || ソフトウェア<br>(デジタル) || 合法 || 機械用ベルト製造の競合同士の争い。ベルト製品開発用のソフトウェアに関する詳細設計やソースコードなどを元ゲイツ従業員が持ち出し、転職先のバンドー (日系企業の米国支部) で類似ソフトウェアを開発したとして、不正競争防止法違反、企業秘密の不正流用および著作権侵害でゲイツが提訴した。本件では著作権法上の{{仮リンク|実質的類似性|en|Substantial similarity}}を検証する上で、{{仮リンク|抽象化・排除・比較テスト|en|Abstraction-Filtration-Comparison test}} (別称: 3ステップ・テスト) の手法を確立させたとして知られている。 || {{Sfn|山本隆司|2008|pp=192&ndash;195}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=589, 137}}
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| data-sort-value="Columbia Pictures Industries, Inc. v. Redd Horne, Inc."|{{Visible anchor|[[コロンビア映画対レッド・ホーン他裁判]]}}<br>([[:en: Columbia Pictures Industries, Inc. v. Redd Horne, Inc.|Columbia Pictures Industries, Inc. v. Redd Horne, Inc.]]) || 1984 || 3d Cir.<br>([https://casetext.com/case/columbia-pictures-industries-v-redd-horne 749 F.2d 154]) || [[公衆実演権]]、[[公衆展示権]] || 映像<br>(ビデオ) || 違法 || ビデオレンタル・販売店が店内に視聴ブースを設けており、ブース内飲食も販売していたことから、著作権の一種である公衆実演権や公衆展示権{{Efn2|著作権法第106条および第101条の定義によると、実演とは朗読、表現、演劇、ダンスまたは上演とされており、また展示とは著作物のコピーを直接展示することあるいはフィルムやスライド、TV映像などの装置を使って見せることを指す{{Sfn|白鳥|2004|p=146}}。実演または展示を公衆に対して行う権利が著作権者に独占的に認められている{{Sfn|白鳥|2004|p=147}}。}}の侵害に該当するとして提訴された事件である{{R|Redd-CT}}。このブースは個室であることから「公衆」({{Lang|en|public}}) なのかが問われたが、不特定多数が来店すること、来店目的がビデオテープに限定されていること、映像の送信は個室ではなく店内で一括管理されていたことが考慮され、実演権・展示権侵害と判示された{{R|Redd-CT}}。<br>その後もビデオ鑑賞の「公衆」の定義が問われた判決が複数ある。ホテルのフロントで借りたビデオテープをホテル部屋内の[[VTR]]で宿泊客が鑑賞したケースは合法、ビデオのVTR再生ではなくオンデマンド配信でホテルの部屋内で鑑賞したケースは違法となっている{{Efn2|ビデオテープをホテルの部屋内に設置された[[VTR]]で再生・鑑賞して「公衆」に該当しないと判示されたケースは Columbia Pictures Industries, Inc. v. Professional Real Estate Investors, Inc., 866 F.2d 278, 9 U.S.P.Q.2d 1653 (9th Cir. 1989) を、ホテルの部屋で宿泊客が選ぶとホテルのオンデマンドシステムからビデオが配信され、他の宿泊客はそのビデオが見られなくなるケースは On Command Video Corp. v. Columbia Pictures Industries, 777 F.Supp. 787, 21 U.S.P.Q. 2d 1545 (N.D.Cal. 1991) をそれぞれ参照のこと{{Sfn|白鳥|2004|pp=148&ndash;151}}。}}。 || {{Sfn|山本|2008|p=91}}{{Sfn|白鳥|2004|pp=149&ndash;150}}
| data-sort-value="Naruto, et al. v. Slater, et al."|{{Visible anchor|[[サルの自撮り|サルの自撮り裁判]]}}<br>([[:en: Monkey selfie copyright dispute|Naruto, et al. v. Slater, et al.]]) || 2018 || 9th Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/ca9/16-15469/16-15469-2018-04-23.html No. 16-15469]) || 人間以外の著作者、[[パブリックドメイン]] || 画像<br>(デジタル) || 訴訟概要を参照 || 英国人写真家スレイターが[[インドネシア]]滞在中、カメラとリモコンを意図的に放置したところ、[[クロザル]]が[[自撮り]]をして各種メディアに写真画像が取り上げられた。サルに著作権はないとして、このメディア掲載画像が[[ウィキメディア・コモンズ]]上でパブリックドメイン作品として公有された。スレイターは自身に写真の著作権が帰属すると主張して[[ウィキメディア財団]]と対立。さらに、[[動物の倫理的扱いを求める人々の会]] (PETA) は動物にも著作権が認められると主張し、サルをNarutoと名付けて代理訴訟を起こした。一審はPETAの訴えを棄却し、二審への控訴中に当事者間で和解が成立した。 || <ref name=Pallante-MonkeySelfie>{{Cite journal |title=From Monkey Selfies to Open Source: The Essential Interplay of Creative Culture, Technology, Copyright Office Practice, and the Law |trans-title=サルの自撮りからオープンソースまで: 芸術文化、技術、著作権局の取り組みと法整備の関係の重要性について |url=https://www.copyright.gov/about/office-register/wjlta033117.pdf |publisher=[[アメリカ合衆国著作権局]] |author=Pallante, Maria A. (元著作権局長) |year=2017 |work=Washington Journal of Law, Technology & Arts |volume=12 |issue=2 |accessdate=2019-06-10 |language=en}}</ref>
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| data-sort-value="Walker v. Time Life Films Inc."|{{Visible anchor|[[ウォーカー対タイム・ライフ・フィルムズ裁判]]}}<br>(Walker v. Time Life Films Inc.) || 1986 || 2d Cir.<br>([https://openjurist.org/784/f2d/44/walker-v-time-life-films-inc 784 F.2d 44]) || アイディア・表現二分論 (ありふれた情景の理論) || 映像<br>(映画) || 合法 || 1976年出版・ウォーカー著『''Fort Apache''』が1981年映画『[[アパッチ砦・ブロンクス]]』 (原題: ''Fort Apache, The Bronx'') に盗用されたとして提訴した。両作とも黒人と白人警官の死亡事件で始まり、闘鶏、飲酒、部品を盗まれた車、売春、ネズミが登場するが、これらはニューヨーク州[[サウス・ブロンクス]]でたびたび報道されている事実であり、その設定に著作物性はないとし、「[[アイディア・表現二分論#ありふれた情景の理論|ありふれた情景の理論]]」の立場が取られた。[[:en: Fort Apache, The Bronx#Legal issues]]も参照。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=589, 651&ndash;652}}{{Sfn|Goldstein & Hugenholtz|2013|p=221}}
| data-sort-value="Green, et al. v. U.S. Department of Justice, et al."|{{Visible anchor|[[電子フロンティア財団対米国政府裁判]]}}<br>(Green, et al. v. U.S. Department of Justice, et al.) || 2016年から係争中 || D. D.C.<br>([https://www.courtlistener.com/docket/4214943/green-v-us-department-of-justice/ 未掲載]) || 言論の自由、[[デジタルミレニアム著作権法]] (DMCA) の合憲性 || - || 未決 || インターネット上の[[自由権]]を擁護する非営利組織の[[電子フロンティア財団]] (EFF) は科学者らを代表する形で、DMCAが[[権利章典 (アメリカ)#修正第1条|憲法修正第1条]]で定められた言論の自由に違反すると主張。[[アメリカ合衆国司法省|司法省]]、[[アメリカ議会図書館]]および{{仮リンク|アメリカ合衆国著作権局|en|United States Copyright Office}} (略称: USCO) を提訴した。DMCAによって改正追加された米国著作権法[http://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section1201&num=0&edition=prelim 第1201条]では、海賊版などを取り締まる目的で[[コピーガード]]や[[アクセス制御|アクセスコントロール]]を解除することを禁じている。しかし電子機器や工業用品の多くがソフトウェアを内蔵する今日において、これらメーカーから独立した第三者機関が修理や不具合の原因究明 ([[リバースエンジニアリング]]) を行おうとしても、第1201条に抵触してしまう<ref name=EFFcase-CNET>{{Cite web |url=https://japan.cnet.com/article/35086348/ |title=デジタルミレニアム著作権法めぐりEFFが米政府を提訴 |date=2016-07-25 |publisher=[[CNET]] Japan |accessdate=2019-04-23}}</ref><ref name=EFFcase-PR2016>{{Cite web |url=https://www.eff.org/press/releases/eff-lawsuit-takes-dmca-section-1201-research-and-technology-restrictions-violate |title=EFF Lawsuit Takes on DMCA Section 1201: Research and Technology Restrictions Violate the First Amendment |publisher=[[電子フロンティア財団]] |date=2016-07-21 |accessdate=2019-04-23}}</ref>。USCOは2018年、EFFからの嘆願書の一部を受け入れ、[[Amazon Echo]]や車載ソフトウェア、個人用デジタル端末などに限定して、内蔵ソフトウェアの修繕や除去 (いわゆる[[Jailbreak|脱獄]]) などを認めた<ref name=EFFcase-PR2018>{{Cite web |url=https://www.eff.org/ja/press/releases/eff-wins-dmca-exemption-petitions-tinkering-echos-and-repairing-appliances-new |title=EFF Wins DMCA Exemption Petitions for Tinkering With Echos and Repairing Appliances, But New Circumvention Rules Still Too Narrow To Benefit Most Technology Users |publisher=[[電子フロンティア財団]] |date=2018-10-26 |accessdate=2019-04-23}}</ref>。 || <ref name=Gurdian-EFF>{{Cite web |title=America's broken digital copyright law is about to be challenged in court |trans-title=米国で批判を浴びるデジタルミレニアム著作権法の存在が法廷闘争に |url=https://www.theguardian.com/technology/2016/jul/21/digital-millennium-copyright-act-eff-supreme-court |publisher=The Guardian |last=Doctorow |first=Cory |date=2016-07-21 |accessdate=2019-06-10 |language=en}}</ref>

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| data-sort-value="Whelan Associates, Inc, v. Jaslow Dental Laboratory, Inc."|{{Visible anchor|[[ウィラン対ジャスロー歯科研究所裁判]]}}<br>([[:en: Whelan v. Jaslow|Whelan Associates, Inc, v. Jaslow Dental Laboratory, Inc.]]) || 1986 || 3d Cir.<br>([https://casetext.com/case/whelan-associates-v-jaslow-dental-laboratory 797 F.2d 1222]) || 著作物の定義、[[アイディア・表現二分論]] || ソフトウェア<br>(デジタル) || 違法 || プログラムの著作物の保護対象の捉え方が単純かつ広すぎるとして、後の判例 (特に[[#コンピュータ・アソシエイツ対アルタイ裁判]]) で批判を受けたことでも知られる{{Sfn|白鳥|2004|pp=114&ndash;117}}。歯科用機材を製造するジャスロー社向けに、内蔵プログラムをウィラン社が開発した (Strohl社を間に挟んだ再委託)。ジャスロー社はIBM製「[[Series/1]]」(パソコンよりも前世代に登場した[[ミニコンピュータ]]) を所有していたことから、ウィラン社はこれに対応して専用プログラミング言語の{{仮リンク|Event Driven Executive|label=EDL|en|Event Driven Executive}}でソースコードを記述した。しかしパソコン上でも稼働できるように、ジャスロー社が後からより汎用的なプログラミング言語である[[BASIC]]を使って書き換えた。これを受けてウィラン社がジャスロー社を提訴した。当判決ではプログラムの目的・機能は「アイディア」(著作権保護の対象外) とした上で、プログラムの「構造、処理手順および構成」({{Lang|en|structure, sequence, and organization}}) は「表現」であるとして著作権保護を認めた。 || {{Sfn|白鳥|2004|pp=112&ndash;114}}
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| data-sort-value="Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc."|{{Visible anchor|[[データイースト対エピックス裁判]]}}<br>([[:en: Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc.|Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc.]]) || 1988 || 9th Cir.<br>([https://www.ravellaw.com/opinions/d101da3b99dadd73e937d8ded65f17aa 862 F.2d 204]) || アイディア・表現二分論 (ありふれた情景の理論)、[[ルック・アンド・フィール]] || ゲーム<br>(デジタル) || 合法 || 日本のゲーム会社[[データイースト]]がリリースした「[[空手道 (ゲーム)|空手道]]」(日本国外ではKarate Champの名称) が、イギリスのシステムⅢソフトウェア社からライセンス許諾を受けている[[カリフォルニア州]]企業エピックス社のゲーム「World Karate Champion」に盗用されたとして提訴。白と赤の空手着を身にまとった対戦相手、主審による勝者宣言、対戦ごとに異なる背景シーン、ボーナス・フェーズなどの設定が似ていたが、空手対戦ゲームという所与のアイディアから必然的に発生する標準的な表現にまで、著作権の保護を与えられないとされた。 || {{Sfn|山本|2008|p=48}}{{R|Graham1999}}
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| data-sort-value="Key Publications, Inc. v. Chinatown Today Publishing Enterprises, Inc."|{{Visible anchor|[[キー出版対チャイナタウン・トゥデイ出版裁判]]}}<br>(Key Publications, Inc. v. Chinatown Today Publishing Enterprises, Inc.) || 1991 || 2d Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/F2/945/509/289784/ 945 F.2d 509]) || [[アイディア・表現二分論]] (額の汗の法理) || 文書<br>(イエローページ) || 違法 || 電話帳を巡る「[[#ファイスト出版対ルーラル電話サービス裁判|#ファイスト判決]]」と類似争点。キー出版はニューヨークの中国系米国人向けにイエローページを年次発行していた。チャイナタウンの事業者の住所・電話番号などが英語と中国語で併記されており、掲載件数は9000件以上、260以上の独自カテゴリで分類されていた。一方、チャイナタウン・トゥデイ社もイエローページを出版しており、こちらは約2000件掲載 (うち約1500件はキー出版のものと重複)、28カテゴリ分類であった。キー出版社長のMs. Maはチャイナタウン・トゥデイ社の株式5割を保有していたことから、キー出版が著作権侵害でチャイナタウン・トゥデイ社と大株主のMaを提訴した{{R|Chinatown-Justia}}。キー出版のカテゴリは「豆腐 & もやし店」のような独自性の高いものが含まれていたことから、ファイスト判決とは異なってデータの選択・整理・配列に創作性が認められ、著作権侵害判定となった{{Sfn|白鳥|2004|p=131}}{{Efn2|電話帳やイエローページのような編集著作物の場合、集めたデータそのものの創作性は著作権保護にあたって問われない。素材が何であれ、その選択・整理・配列に創作性があるかが法的保護の要件となる{{Sfn|白鳥|2004|p=134}}。}}。 || {{Sfn|白鳥|2004|p=131}}
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| data-sort-value="Atari Games Corp. v. Oman"|{{Visible anchor|[[アタリゲームズ対オマーン裁判]]}}<br>([[:en: Atari Games Corp. v. Oman|Atari Games Corp. v. Oman]]) || 1992 || D.C. Cir.<br>([https://casetext.com/case/atari-games-corp-v-oman 979 F.2d 242]) || アイディア・表現二分論、編集著作物 || ゲーム<br>(デジタル) || 訴訟概要を参照 || アタリ社製ゲームの[[ブロックくずし]] (''BREAKOUT'') を視聴覚著作物のカテゴリで著作権登録申請するも、幾何学模様と色使いがシンプルなどの理由から著作物性を認めず、{{仮リンク|アメリカ合衆国著作権局長|label=著作権局長|en|Register of Copyrights}}の{{仮リンク|ラルフ・オマーン|en|Ralph Oman}}が2度却下した。画面上に表示される色付きブロック自体には著作物性はないものの、音響を伴って連続した映像 (編集著作物) としては創作性があり、著作物性があると判示された。 || {{Sfn|Leaffer|2008|pp=81&ndash;82, 128, 190&ndash;191}}
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| data-sort-value="Computer Associates International, Inc. v. Altai, Inc."|{{Visible anchor|[[コンピュータ・アソシエイツ対アルタイ裁判]]}}<br>([[:en: Computer Associates International, Inc. v. Altai, Inc.|Computer Associates International, Inc. v. Altai, Inc.]]) || 1992 || 2d Cir.<br>([https://www.bitlaw.com/source/cases/copyright/altai.html 982 F.2d 693]) || 著作物の定義、[[アイディア・表現二分論]] || ソフトウェア<br>(デジタル) || 合法 || 「[[#ウィラン対ジャスロー歯科研究所裁判]]」を批判してプログラムの著作権保護の対象を絞り込んだことで知られる{{Sfn|白鳥|2004|p=114}}。コンピュータ・アソシエイツ (CA) 社は[[IBM]]製品[[メインフレーム]] (大型汎用コンピュータ) 上で動作するジョブ管理システム「CA-SCHEDULER」とそのサブプログラムである「ADAPTER」を開発した。このADAPTERは3つの[[オペレーティングシステム|OS]]上で稼働できる機能 (各OSに合わせてシステム的に翻訳する機能) を有するが、単独ではなくあくまでCA-SCHEDULERに付属して動作する。アルタイ社はCA社出身のプログラマを雇い、ADAPTERとほぼ同じソースコードの「OSCAR 3.4」を別途開発させた。後にアルタイ社はほぼ複製だと気づき、一から別のプログラマに「OSCAR 3.5」を開発させたものの、CA社がシステム構造 ({{Lang|en|structure}}) の{{仮リンク|実質的類似性|en|Substantial similarity}}を理由に提訴した{{Sfn|白鳥|2004|p=114}}{{R|Altai-Bitlaw}}{{Efn2|実質的類似性については、第9巡回区控訴裁、第2巡回区控訴裁、第10巡回区控訴裁で判定方法にやや違いが見られる{{Sfn|山本|2008|p=192}}。第10巡回区は「[[#ゲイツ・ラバー対バンドー化学裁判]]」も参照のこと。}}。本件では{{仮リンク|抽象化・排除・比較テスト|en|Abstraction-Filtration-Comparison test}} (別称: 3ステップ・テスト) を用いて、プログラムの非言語的な要素をどこまで著作権保護すべきか大きな指針を示したとされる{{Sfn|白鳥|2004|pp=115&ndash;117}}。結果、ジョブ管理の手法に著作権侵害や類似性は認められないと判示された{{R|Altai-Bitlaw}}。 || {{Sfn|白鳥|2004|pp=114&ndash;117}}{{Sfn|山本|2008|pp=52, 194}}
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| data-sort-value="Lewis Galoob Toys, Inc. v. Nintendo of America, Inc."|{{Visible anchor|[[ガルーブ対任天堂裁判]]}}<br>([[:en: Lewis Galoob Toys, Inc. v. Nintendo of America, Inc.|Lewis Galoob Toys, Inc. v. Nintendo of America, Inc.]]) || 1992 || 9th Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/F2/964/965/341457/ 964 F.2d 965]) || [[翻案権]] || ゲーム<br>(デジタル) || 合法 || 任天堂のゲームを機能拡張 ({{Lang|en|enhance}}) するデバイス "Game Genie" を玩具メーカーの{{仮リンク|ガルーブ|en|Galoob}}社が開発したことから、これが任天堂のゲームの翻案権 ([[二次的著作物]]を無断で他者に創作されない権利) 侵害に該当するかが問われた{{Sfn|白鳥|2004|p=145}}。Game Genie はゲーム主人公キャラクターのライフを増やしたり、キャラの動きを速くしたり、障害物の上をキャラが飛び越えられるなどモード変更を可能とする{{R|Galoob-Justia}}。Game Genie は視聴覚的な表示を変更しているだけであり、既存の著作物たる任天堂のゲーム形式そのものに組み込まれているわけではなく、二次的著作物の無断作成に当たらないと判示された{{R|Galoob-Justia}}{{Sfn|白鳥|2004|p=145}}。 || {{Sfn|白鳥|2004|p=145}}
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| data-sort-value="Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al"|{{Visible anchor|[[ゲイツ・ラバー対バンドー化学裁判]]}}<br>([[:en: Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al|Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al]]) || 1993 || 10th Cir.<br>([https://h2o.law.harvard.edu/collages/41121 9 F.3d 823]) || アイディア・表現二分論 || ソフトウェア<br>(デジタル) || 合法 || 機械用ベルト製造の競合同士の争い。ベルト製品開発用のソフトウェアに関する詳細設計やソースコードなどを元ゲイツ従業員が持ち出し、転職先のバンドー (日系企業の米国支部) で類似ソフトウェアを開発したとして、不正競争防止法違反、企業秘密の不正流用および著作権侵害でゲイツが提訴した。本件では著作権法上の{{仮リンク|実質的類似性|en|Substantial similarity}}を検証する上で、{{仮リンク|抽象化・排除・比較テスト|en|Abstraction-Filtration-Comparison test}} (別称: 3ステップ・テスト) の手法を確立させたとして知られている。 || {{Sfn|山本|2008|pp=52, 192&ndash;195}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=589, 137}}
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| data-sort-value="ABKCO Music, Inc. v. Stellar Records, Inc."|{{Visible anchor|[[ABKCO対ステラー裁判]]}}<br>(ABKCO Music, Inc. v. Stellar Records, Inc.) || 1996 || 11th Cir.<br>([https://caselaw.findlaw.com/us-2nd-circuit/1074380.html 96 F.3d 60]) || 強制許諾{{Efn2|第115条は楽曲 (事前通告および法定のロイヤリティ支払が必要)、第111条はケーブルテレビ等による番組の二次送信、第118条は非商用放送の一部、第119条は家庭用の私用視聴を目的とする衛星放送の番組二次送信がそれぞれ強制許諾の対象として規定されている。強制許諾に伴うロイヤリティの支払は、連邦議会図書館配下の著作権使用料審判官が徴収や紛争仲裁の役割を担う (著作権法第801条 - 805条){{Sfn|白鳥|2004|pp=155&ndash;156}}。}} || 音楽<br>(デジタル) || 違法 || ロックバンドの[[ローリング・ストーンズ]]の複数楽曲{{Efn2|「[[サティスファクション]]」(''{{Lang|en|(I Can't Get No) Satisfaction}}'')、「[[ジャンピン・ジャック・フラッシュ]]」(''{{Lang|en|Jumpin' Jack Flash}}'')、「[[ブラウン・シュガー (曲)|ブラウン・シュガー]]」(''{{Lang|en|Brown Sugar}}'') などのヒット曲が含まれる{{R|ABKCO-FL}}。}}を伴奏とボーカルが入った状態で無断複製し、歌詞字幕を映像として被せて個人カラオケ用CD-ROM「CD + G's」を作成したとして、著作権者[[アブコ・レコード|ABKCOレコード]]がステラー社を提訴した。商業用カラオケ店で歌詞付き映像を流す場合は、著作権法に則ってライセンス許諾が必要とされており、ストーンズのこれら楽曲は元々ABKCOがライセンス拒否してきたものである{{R|ABKCO-FL}}。しかし著作権法 [https://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section115&num=0&edition=prelim 第115条] では事前通告の上で法定のライセンス料を支払えば、著作権者の許諾なしで楽曲を使用できると定めている。複製・頒布にあたってはメロディの基調や特徴をアレンジすることは禁じられているものの{{R|ABKCO-FL}}、単にカバー曲を創作するだけならばライセンス料を支払えば合法であることから、第115条の強制許諾の範囲が本件では問われた{{Sfn|白鳥|2004|p=155}}。一審ではABKCO勝訴で[[差止命令|一時的差止命令]]が下り{{R|ABKCO-FL}}、二審でもステラーの行為は第115条の範囲を超えていると判示された{{Sfn|白鳥|2004|p=155}}。 || {{Sfn|白鳥|2004|pp=154&ndash;155}}{{R|ABKCO-LBR}}
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| data-sort-value="Estate of Martin Luther King, Jr., Inc. v. CBS, Inc."|{{Visible anchor|[[キング牧師相続人対CBS裁判]]}}<br>([[:en: Estate of Martin Luther King, Jr., Inc. v. CBS, Inc.|Estate of Martin Luther King, Jr., Inc. v. CBS, Inc.]]) || 1999 || 11th Cir.<br>([https://openjurist.org/194/f3d/1211 194 F.3d 1211]) || コモンロー・コピーライト、発行 ({{Lang|en|publication}}) の定義 || 映像<br>(演説) || 違法 || [[公民権運動]]家・[[マーティン・ルーサー・キング・ジュニア|キング牧師]]が1963年に行った有名な演説 "[[I Have a Dream]]" を[[CBS]]社が1994年製作ドキュメンタリーに無断で使用したことから訴訟に至った。当時の演説はテレビやラジオ、新聞などで全米中に報道されたことから、パブリックドメインに帰しており、著作権保護の対象外であるとCBSは抗弁した。一審はこれを認めたものの、二審ではコモンロー上の著作権によって保護されるとして一審の判決を覆した。コモンロー・コピーライトは主に未発行の著作物保護に用いられており、発行によってコモンロー・コピーライトによる保護は消滅することから、発行の定義が問われた。当判決では「一般的な発行」({{Lang|en|general publication}}) と「制限的な発行」({{Lang|en|limited publication}}) を峻別した上で、前者のみがコモンロー・コピーライトを消滅させると判断された。そして演説などの実演 ({{Lang|en|performance}}) はたとえ聴衆の数が多くとも、前者には該当しないと判示された。<br>1976年の著作権法改正によって、未発行の著作物も連邦法で保護されるようになったが、以降も未固定の著作物 (口頭による会話など) はコモンロー・コピーライトによる保護が認められている。 || {{Sfn|白鳥|2004|pp=32&ndash;35}}
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| data-sort-value="Capitol Records Inc. v. Alaujan"|{{Visible anchor|[[キャピトル・レコード他対アロージャン裁判]]}}<br>(Capitol Records Inc. v. Alaujan) || 2009 || D. Mass.<br>([https://www.courtlistener.com/opinion/2137990/capitol-records-inc-v-alaujan/ 593 F. Supp. 2d 319]) || rowspan="3" | [[法定損害賠償#アメリカ合衆国|法定損害賠償]]、フェアユース || rowspan="3" | 音楽<br>(インターネット) || rowspan="3" | 違法 || rowspan="3" | [[アメリカレコード協会]] (RIAA) に加盟する音楽レーベル各社は2003年以降、約4万人の個人を相手に著作権侵害で個別訴訟を起こしていた{{R|Tenenbaum-UH|page1=63}}。[[Peer to Peer|P2P]]を使って楽曲を無断でファイルシェアしていた個人の多く (特に大学生ら) は和解となったものの、一部は法廷に争いが持ち込まれた{{R|Alaujan-CL|Tenenbaum-FL}}。いずれも著作権法 [https://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section504&num=0&edition=prelim 第504条(c)] が定める法定損害賠償の範囲{{Efn2|著作権法第504条(c)(2) の規定に基づき、故意による著作権侵害の場合は著作物1点あたり750ドル以上15万ドル以下で法定損害賠償 ({{Lang|en|statutory damages}}) の金額が決定される (1999年法改正により引き上げ){{R|17USC-504}}。}}が過度に高額であり、かつ法定損害賠償が非商用の侵害行為にも適用されるのは[[デュー・プロセス・オブ・ロー|法的手続]]上、違憲であるとして反論している{{R|Alaujan-CL|Alaujan-LBR}}。トマス・ラゼット訴訟 (24楽曲を[[KaZaA]]を使ってシェア) を例にとると、その賠償金額は一審の陪審が最初の審理で22万2千ドル、二度目では192万ドルとしたが判事が5万4千ドルに減額。陪審は三度目に150万ドルとしたが再び判事が5万4千ドルに減額したことから、原告団が控訴した。最終的に最初に陪審が示した22万2千ドル (1曲あたり9,250ドル) で決着した{{R|Thomas-Justia|page1=3&ndash;4}}。またテネンバウム (大学生) のケースではハーバード大学ロースクール教授{{仮リンク|チャールズ・ネッスン|en|Charles Nesson}}が無償で訴訟代理人を務め、フェアユースの観点から法定損害賠償金額の高ぶれを訴えた。一審では当初、陪審による総額150万ドルの賠償金額が判事によって5万4千ドルに減額され、二審では67万5千ドルで最終決着した{{R|BelmasShepard2016|page1=292}}。 || {{R|SU-FairUse|BelmasShepard2016}}<br>{{R|Alaujan-LBR}}
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| data-sort-value="Capitol Records, Inc. v. Thomas-Rasset"|{{Visible anchor|[[キャピトル・レコード他対トマス・ラゼット]]}}<br>([[:en: Capitol Records, Inc. v. Thomas-Rasset|Capitol Records, Inc. v. Thomas-Rasset]]) || 2012 || 8th Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/ca8/11-2820/11-2820-2012-09-11.html No. 11-2820]{{Efn2|name=NoRep}}) || {{R|BelmasShepard2016|Tenenbaum-Reuters}}<br>{{R|Tenenbaum-UH|page1=65&ndash;71}}
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| data-sort-value="Sony BMG Music Entertainment v. Tenenbaum"|{{Visible anchor|[[ソニーBMG他対テネンバウム裁判]]}}<br>([[:en: Sony BMG Music Entertainment v. Tenenbaum|Sony BMG Music Entertainment v. Tenenbaum]]) || 2013 || 1st Cir.<br>([https://caselaw.findlaw.com/us-1st-circuit/1636118.html No. 12–2146]{{Efn2|name=NoRep}}) || {{R|BelmasShepard2016|Tenenbaum-Reuters}}<br>{{R|Tenenbaum-UH|page1=64&ndash;65}}
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| data-sort-value="Naruto, et al. v. Slater, et al."|{{Visible anchor|[[サルの自撮り|サルの自撮り裁判]]}}<br>([[:en: Monkey selfie copyright dispute|Naruto, et al. v. Slater, et al.]]) || 2018 || 9th Cir.<br>([https://law.justia.com/cases/federal/appellate-courts/ca9/16-15469/16-15469-2018-04-23.html No. 16-15469]) || 人間以外の著作者、[[パブリックドメイン]] || 画像<br>(デジタル) || 訴訟概要を参照 || 英国人写真家スレイターが[[インドネシア]]滞在中、カメラとリモコンを意図的に放置したところ、[[クロザル]]が[[自撮り]]をしたことから各種メディアにこの写真画像が取り上げられた。サルに著作権はないとして、このメディア掲載画像が[[ウィキメディア・コモンズ]]上でパブリックドメイン作品として公有された。スレイターは自身に写真の著作権が帰属すると主張して[[ウィキメディア財団]]と対立。さらに、[[動物の倫理的扱いを求める人々の会]] (PETA) は動物にも著作権が認められると主張し、サルをNarutoと名付けて代理訴訟を起こした。一審はPETAの訴えを棄却し、二審への控訴中に当事者間で和解が成立した。 || {{R|Pallante-MonkeySelfie}}{{Sfn|作花|2018|pp=816, 819|loc=注釈番号9}}
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| data-sort-value="Green, et al. v. U.S. Department of Justice, et al."|{{Visible anchor|[[電子フロンティア財団対米国政府裁判]]}}<br>(Green, et al. v. U.S. Department of Justice, et al.) || 2016年から係争中 || D. D.C.<br>([https://www.courtlistener.com/docket/4214943/green-v-us-department-of-justice/ 未掲載]) || 言論の自由、[[デジタルミレニアム著作権法]] (DMCA) の合憲性 || - || 未決 || インターネット上の[[自由権]]を擁護する非営利組織の[[電子フロンティア財団]] (EFF) は科学者らを代表する形で、DMCAが[[権利章典 (アメリカ)#修正第1条|憲法修正第1条]]で定められた言論の自由に違反すると主張。DMCAによって改正追加された米国著作権法 [http://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section1201&num=0&edition=prelim 第1201条] では、海賊版などを取り締まる目的で[[コピーガード]]や[[アクセス制御|アクセスコントロール]]を解除することを禁じている。しかし電子機器や工業用品の多くがソフトウェアを内蔵する今日において、これらメーカーから独立した第三者機関が修理や不具合の原因究明 ([[リバースエンジニアリング]]) を行おうとしても、第1201条に抵触してしまうからである{{R|EFFcase-CNET|EFFcase-PR2016}}。EFFは[[アメリカ合衆国司法省|司法省]]、[[アメリカ議会図書館]]および[[アメリカ合衆国著作権局]] (略称: USCO) を提訴。USCOは2018年、EFFからの嘆願書の一部を受け入れ、[[Amazon Echo]]や車載ソフトウェア、個人用デジタル端末などに限定して、内蔵ソフトウェアの修繕や除去 (いわゆる[[Jailbreak|脱獄]]) などを認めた{{R|EFFcase-PR2018}}。 || {{R|Gurdian-EFF}}
|}
|}

== 州裁判所の判例 ==
過去には未発行の著作物は主に州法、発行後の著作物は連邦法で保護される二元的な法体系であったが、{{仮リンク|1976年の著作権改正法|label=1976年制定・1978年施行の著作権法改正|en|Copyright Act of 1976}}によって未発行の著作物も連邦著作権法で保護されることとなったことから、1978年以降は州法のコモンロー・コピーライト (判例法) による保護を求める機会は減少している{{Sfn|白鳥|2004|pp=34&ndash;35}}。

<!-- 「特筆性」の欄には専門家が言及した出典を付記して下さい。出典2つで1行とし、3つ以降の場合は改行コードを入れると表が崩れません。 -->
{| class="wikitable sortable" style="width:98%"
! style="width:16%" | 判例の通称{{Efn2|name=CaseName}} !! style="width:5%" | 判決年 !! style="width:9%" | 裁判所<br>([[判例引用#アメリカ合衆国|判例集番号]]) !! style="width:8%" | 争点 !! style="width:6%" | 著作タイプ !! style="width:4%" | 判決 !! style="width:46%" class=unsortable | 訴訟概要と判決要点 !! style="width:4%" class=unsortable | 特筆性
|-
| data-sort-value="Pushman v. New York Graphic Society, Inc."|{{Visible anchor|[[プッシュマン対ニューヨーク・グラフィック・ソサエティ裁判]]}}<br>([[:en: Pushman v. New York Graphic Society, Inc.|Pushman v. New York Graphic Society, Inc.]]) || 1942 || {{仮リンク|ニューヨーク州上訴裁判所|label=NY Court of Appeals|en|New York Court of Appeals}}{{Efn2|{{仮リンク|ニューヨーク州上訴裁判所|en|New York Court of Appeals}} ({{Lang|en|New York Court of Appeals}}) は三審制をとるニューヨーク州裁判所における最上級審である{{R|USCP-Yamamoto|page1=8}}。}}<br>([https://casetext.com/case/pushman-v-new-york-graphic-society 287 N.Y. 302; 39 N.E.2d 249; 52 U.S.P.Q. 273]) || 権利移転、所有権と著作権、未発行の著作物 || 美術<br>(絵画) || 訴訟概要を参照 || 画家{{仮リンク|ホブセップ・プッシュマン|en|Hovsep Pushman}}の1930年作 "{{Lang|en|When Autumn is Here,}}" が、NY[[グランド・セントラル駅]]内に位置する{{仮リンク|グランド・セントラル・アート・ギャラリー|label=ギャラリー|en|Grand Central Art Galleries}}を介して同年に[[イリノイ大学]]に売却された。通常このギャラリーでは売却先が複製ビジネスを手掛けている場合は複製権についても交渉するが、本件では対大学ということもあり、プッシュマンは複製権について留保とも譲渡とも主張していなかった。10年後の1940年、大学は本件の被告たるNYグラフィック・ソサエティ社に複製権を転売したことから、プッシュマンが差止命令を求めて提訴した{{R|Pushman-CT}}。絵画は当時の連邦著作権法 (1909年改正ベース) 上では「未発行」の扱いとなり、連邦法の保護対象ではなかったことから、州法のコモンロー・コピーライトに基づいて審理された。NY州上訴裁は所有権 (有体の絵画実物をコントロールする権利) と著作権 (無体の知的財産権) は別の概念であるとしつつも、絵画実物を売却した際に意思表示がなかったことから著作権の一部たる複製権も同時に売却先に権利移転したとみなし、プッシュマンの訴えを退けた{{Sfn|白鳥|2004|pp=159&ndash;160}}。 || {{Sfn|山本|2008|p=178}}{{Sfn|白鳥|2004|pp=159&ndash;160}}
|}

== 関連画像・音声・動画 ==
上述の判例に関連する画像、音声および動画を紹介する。
<gallery style="font-size:80%;">
File:Selden&#039;s condensed ledger.jpg|簿記の手法を解説したセルデンの書 ([[#ベーカー対セルデン裁判]]、1879年連邦最高裁)
File:Oscar Wilde MET DP136272.jpg|作家[[オスカー・ワイルド]]のポートレート写真を巡る争い (「[[#バローガイルズ・リトグラフィック対サロニー裁判]]」、1884年連邦最高裁)
File:The Great Wallace Shows circus poster.jpg|サーカスのポスターを巡る争い (「[[#ブライシュタイン対ドナルドソン・リトグラフィング裁判]]」、1903年連邦最高裁)
File:Stiffel.jpg|スティフル社製支柱ランプのデザインを巡る争い (「[[#シアーズ・ローバック対スティフル裁判]]」、1964年連邦最高裁)
File:LA Riots aftermath - 1991 (149046646).jpg|[[ロサンゼルス暴動]]で破壊された街の様子。この暴動中に撮影された暴行映像に著作物性が認められた (「[[#ロサンゼルス・ニュースサービス対KCAL-TV裁判]]」、1997年第9巡回区控訴裁)
File:IhaveadreamMarines.jpg|[[マーティン・ルーサー・キング・ジュニア|キング牧師]]の演説「[[I Have a Dream]]」に集った聴衆 (写真) が多かったにもかかわらず、演説内容は「未発行」と判示 (「[[#キング牧師相続人対CBS裁判]]」、1999年第11巡回区控訴裁)
File:Macaca nigra self-portrait large.jpg|[[クロザル]]撮影物に著作権は認められない (「[[サルの自撮り|サルの自撮り裁判]]」、2018年第2巡回区控訴裁)
</gallery>

{{External media
| width = 400px
| align = left
| video1 = [https://www.youtube.com/watch?v=Ikweq0THs88 Oh, Pretty Woman] - 著作者[[ロイ・オービソン]]の原曲 (本人公式YouTubeより)
| video2 = [https://www.youtube.com/watch?v=BNcwZfZ3Qk4&t=45 Luther Campbell of 2 Live Crew's Historic Supreme Court Parody Case] - パロディ作者・被告キャンベルによる "''Big Hairy Woman''" への変形経緯解説 (ケーブルテレビ局[[VH1]]公式YouTubeより){{R|Video-VH1}}
}}
{{Clear}}

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist2}}

=== 出典 ===
{{Reflist|2|refs=
<ref name=Imai1957>{{Cite journal |url=https://hdl.handle.net/10105/4895 |author=今井直重 |title=アメリカ合衆國の連邦権と州権の限界 ―最高裁判所の判例に基づいて― |journal=奈良学芸大学紀要 |volume=7 |issue=1 |date=1957-12-15 |pages=95-112 |format=PDF}}</ref>

<ref name=BloombergBNA>{{Cite web |url=https://www.bna.com/patent-copyright-lawsuit-n73014449878/ |title=Patent, Copyright Lawsuit Volumes Fall in 2016 |last=Nayak |first=Malathi |publisher=[[ブルームバーグ (企業)|Bloomberg]] BNA |date=2017-01-17 |accessdate=2019-05-13}}</ref>

<ref name=SyracuseU>{{Cite web |url=https://trac.syr.edu/tracreports/civil/483/ |title=Fewer Copyright Infringement Lawsuits Filed |publisher=[[シラキューズ大学]] |date=2017-09-29 |accessdate=2019-05-13}}</ref>

<ref name=DoJ-Court>{{Cite web |url=https://www.justice.gov/usao/justice-101/federal-courts |title=Introduction To The Federal Court System |trans-title=連邦裁判所システムの紹介 |publisher=[[アメリカ合衆国司法省]] |accessdate=2020-09-18 |language=en}}</ref>

<ref name=Justia-Tasini-2001>{{Cite web |url=https://supreme.justia.com/cases/federal/us/533/483/ |title=New York Times Co. v. Tasini, 533 U.S. 483 (2001) |publisher=Justia |accessdate=2019-05-06}}</ref>

<ref name=Justia-Tasini-1997>{{Cite web |url=https://law.justia.com/cases/federal/district-courts/FSupp/972/804/1486523/ |title=Tasini v. New York Times Co., 972 F. Supp. 804 (S.D.N.Y. 1997) |publisher=Justia |accessdate=2019-05-06}}</ref>

<ref name=SU-FairUse>{{Cite web |title=Summaries of Fair Use Cases |url=https://fairuse.stanford.edu/overview/fair-use/cases/ |work="Getting Permission" by Richard Stim (October 2016) |publisher=[[スタンフォード大学]]図書館 |accessdate=2019-05-13}}</ref>

<ref name=Telephone-Cornell>{{Cite web |url=https://www.law.cornell.edu/copyright/cases/499_US_340.htm |title=FEIST PUBLICATIONS, INC. v. RURAL TELEPHONE SERVICE CO., 499 U.S. 340 (1991) |publisher=[[コーネル大学]]ロースクール |accessdate=2019-05-13}}</ref>

<ref name=SfB-Ito>{{Cite web|和書|url=https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8745244 |title=Feist出版社対Rural電話サービス会社 |author=伊藤博文 |work=[[豊橋創造大学]]短期大学部研究紀要. (17) |publisher=[[国立国会図書館]]デジタルコレクション |date=2000 |accessdate=2019-04-23}}</ref>

<ref name=CA1411>{{Cite web|和書|title=米国最高裁,出版社に著者無許諾の電子化の特権を認めず |url=https://current.ndl.go.jp/ca1411 |author=越田崇夫 |work=カレントアウェアネス・ポータル |publisher=[[国立国会図書館]] |date=2001-08-20 |accessdate=2019-05-06}}</ref>

<ref name=TsukubaU>{{Cite web|和書|url=http://coi-sec.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/pdf/survey_h27/201508.pdf |title=著作権の保護期間はどうあるべきか -- TPP交渉を契機に考える |author=新谷由紀子 |coauthor=菊本虔 |work=知財管理 Vol. 65 No. 8 |publisher=筑波大学 |date=2015 |accessdate=2019-05-06}}</ref>

<ref name=Yamamoto1999>{{Cite journal |url=http://www.itlaw.jp/dma.pdf |author=山本隆司 (米国著作権法弁護士) |title=米国におけるデジタル・ミレニアム著作権法その他最近の著作権法改正について |journal=月刊[[コピライト]] |date=1999-06 |issue=459 |pages=21- |publisher=公益社団法人 [[著作権情報センター]] (CRIC) 発表内容をインフォテック法律事務所ウェブサイト上に転載}}</ref><!-- 月刊コピライトのバックナンバーページ https://www.cric.or.jp/publication/copyright/copy_bn_1999.html にて1999年6月号掲載の情報あり -->

<ref name=Certiorari-Imaoka>{{Cite web|和書|url=http://imaokapat.biz/__HPB_Recycled/yougo1400-1499/yougo_detail1492.html |title=パテントに関する専門用語 {{!}} No:1492 サーシオレイライ/特許出願 |publisher=今岡特許事務所 |accessdate=2020-09-18}}</ref>

<ref name=Shigemura>{{Cite journal|和書|author=重村博美 |date=2002-03 |url=https://kindai.repo.nii.ac.jp/records/12495 |title=<論説>アメリカにおけるサーシオレイライ制度の展開と法の支配 |journal=近畿大學法學 |ISSN=09164537 |publisher=近畿大学法学会 |volume=49 |issue=4 |pages=59-89 |CRID=1050001202551348864}}</ref>

<ref name=BerneConv-WIPO-2>{{Cite web |title=Contracting Parties > Berne Convention > Paris Act (1971) (Total Contracting Parties : 187) |trans-title=ベルヌ条約 1971年パリ改正版加盟国数: 187 (閲覧時点) |url=https://www.wipo.int/treaties/en/ActResults.jsp?act_id=26 |publisher=[[WIPO]] |accessdate=2019-09-23 |language=en |quote=システムエラーにより16か国がダブルカウントされているため、正確には閲覧時点の加盟国数は171か国 (署名のみで批准未済のレバノンを含めると172か国) である。}}</ref>

<ref name=NotreDame-Dastar>{{Cite web |url=https://scholarship.law.nd.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1610&context=law_faculty_scholarship |title=Dastar's Next Stand |last=McKenna |first=Mark |publisher=[[ノートルダム大学]]ロースクール |date=2012 |accessdate=2019-05-06 |language=en}}</ref>

<ref name=Bunka-Mitsui>{{Cite web|和書|url=https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/chosakuken/pdf/h18_chitekizaisan_chosakenkyu.pdf |title=情報通信技術の進展に対応した海外の著作権制度について |work=文化庁委託事業: 知的財産立国に向けた著作権制度の改善に関する調査研究 |author=三井情報開発株式会社 総合研究所 |publisher=文化庁 |date=2006-03 |accessdate=2019-05-06}}</ref>

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<ref name=USSC-516-233>{{Cite web |url=https://www.oyez.org/cases/1995/94-2003 |title=Lotus Development Corporation v. Borland International, Inc. (516 US 233 (1996))|publisher=[[Oyez Project]] |accessdate=2020-10-03 |quote=The Supreme Court affirmed the First Circuit without opinion in an equally divided, per curiam decision. (抄訳: 最高裁はper curiam decisionに基づき、第1巡回区控訴裁の判決を支持した。最高裁判事間での賛否は同数である。)}}</ref>

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<ref name=AG-Freelance2017>{{Cite web |url=https://www.authorsguild.org/industry-advocacy/18-million-freelance-settlement-update/ |title=Freelance Settlement Update |trans-title=フリーランス示談関連の最新情報 |publisher=[[全米作家協会]] |date=2017-09-27 |accessdate=2020-10-03 |language=en |quote=...some new progress toward the payout in the freelance class-action suit initiated by the Authors Guild in 2000... (抄訳: 2000年に全米作家協会が主導したフリーランス集団訴訟の支払に関し、新たな進展が...)}}</ref>

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== 関連項目 ==
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== 外部リンク ==
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* [https://copyright.gov/comp3/comp-index.html 著作権実務概要] - USCO編纂 第3版 (2017年9月29日発行) では保護される著作物の範囲など、実務面から解説 (例: 900章は [https://www.copyright.gov/comp3/chap900/ch900-visual-art.pdf ビジュアルアート作品] の著作権保護について)

== 註釈 ==
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== 出典 ==
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知的財産権 > 著作権 > 著作権法 (アメリカ合衆国) > 著作権法の判例一覧 (アメリカ合衆国)
作家オスカー・ワイルドを撮影した写真の著作権侵害を巡る裁判。最高裁は1884年、この写真に著作物性を認めた[1]

アメリカ合衆国著作権法の判例一覧(アメリカがっしゅうこくちょさくけんほうのはんれいいちらん)では、米国著作権法に関連した判例をまとめる。2008年からの10年間を例にとると、米国内で年3000件前後と多くの著作権関連案件が連邦裁判所に新規提訴されていることから[注 1]、法学の専門家によって言及・解説されるなど、特筆性の認められる判例に絞って本項で取り上げる。米国著作権法には連邦法と州法が存在し、二重に権利が保護されているが[4]、両者の間で矛盾する場合は連邦法としての著作権法 (合衆国法典第17編に収録) が優先されることから[注 2]、以下では特記のない限りは連邦法について述べる。

なお、米国は著作権の各種国際条約に加盟しており[注 3]、これに従って 第104条 では、条約加盟国で発行された外国著作物に対しても米国著作権法によって保護を与えると定められている。したがって、国をまたいで流通する著作物についても、米国連邦裁判所の判決が実際に存在する。

判例の特徴

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米国著作権法における司法判断の特徴として、フェアユース (fair use、公正利用) の法理が挙げられる[8]。一般的には、著作権者に無断で著作物を第三者が利用した場合、著作権侵害となる。しかし合衆国法典第17編 第107条 に基づき「批評、解説、ニュース報道、教育、研究または調査」などの利用シーンで[注 4]

  1. 「使用の目的・性質」(非営利の教育など)
  2. 「著作物の内容」
  3. 「量・質の両側面から著作物が利用された割合」
  4. 「利用によって著作物の市場価値にどの程度影響を及ぼすか」(市場代替性)

の4基準などを総合的に考慮して、著作権侵害に当たらないフェアユースであると判示されることがある。

第1基準については、原著作物を利用したいわゆるパロディなどの著作権侵害を巡って、被告側がフェアユースで抗弁することもある。これは第1基準で「変形的利用英語版」(transformative usetransformativeness) が認められているからである[9]

4基準のうち、第1基準の変形的利用、および第4基準の市場代替性の2点セットが他基準に優先して重視されているとの指摘がある。これは、元となった著作物とは異なる目的に変形されることで、元の著作物と市場で競合して経済的利益を損ねることなく併存できるためである。つまり、第1基準で営利活動だと認められても、変形度が高く第4基準に影響しなければ、フェアユース判定されることがある[10](例:「#キャンベル対アカフ・ローズ・ミュージック裁判」など)。

フェアユース以外では、著作権の保護対象物の定義を問う判例もある。その代表例が、特許権商標権などの産業財産権と、著作権とを線引きする「アイディア・表現二分論」である。産業財産権は、産業の発展のためのアイディア・思想を強い独占性で保護する。一方アイディアそのものではなく、その文化的で創作的な表現を対象に緩い排他性で保護するのが著作権である (例: 「#ベーカー対セルデン裁判」など)[11]。しかし実際には、アイディアと表現が一体化していて切り離せないケースもあり、表現に著作権の独占を認めるとその大元となるアイディアまで独占され、産業の発展が阻害されうる。このようなケースでは「マージ理論」で抗弁することもある[12] (例:「#モリシー対P&G裁判」、「#サイエントロジー対ラーマ裁判」など)。

判例の年代別に見ると、米国連邦著作権法にはいくつか転換期がある。

判例の読み方

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判例の一部は判例集に掲載されることから、一般的には "Nichols v. Universal Pictures Corp., 45 F.2d 119 (2nd Cir. 1931)" のように表記される。これは1931年に第2巡回区控訴裁が「#ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判」において下した判決であり、合衆国控訴審裁判所判例集 (Federal Reporter) の第2次シリーズの第45巻 119頁以降に掲載されていることを表す。これが連邦地方裁であれば、"F.2d" の代わりに合衆国地方裁判所判例集を意味する "F. Supp" (Federal Supplement) となる。最高裁まで上訴・審理されれば、合衆国判例集英語版を意味する "U.S." (United States Reports) または "S.Ct." (Supreme Court Reporter) になる[21]

連邦地方裁と連邦控訴裁の管轄マップ

米国著作権法は連邦法である合衆国法典第17編 (17 U.S.C.) に収録されていることから、これに基づき司法判断を下すのは連邦裁判所の役目となる[22]。連邦裁判所とは具体的には以下で構成されている[23]

  • 一審の合衆国地方裁判所 (連邦地裁) -- 全米に94か所[23]
  • 二審の合衆国控訴裁判所 (連邦控訴裁) -- 全米に13か所 (11の巡回区を含む) あり、一審の訴訟を取り扱った連邦地裁の場所に応じて決まるが[23]、うち連邦区控訴裁判所に限っては特許権などを特別に扱うため、著作権のみの訴訟は担当しない[22]
  • 三審の合衆国最高裁判所 (連邦最高裁) -- 全米に1か所のみ[24]

特にメディア・エンターテイメント業界やIT業界が集積するカリフォルニア州 (C.D. Cal. とN.D. Cal.、および第9巡回区) とニューヨーク州 (S.D. N.Y. とE.D. N.Y.、および第2巡回区英語版) の訴訟件数が多い[2][3]。第9と第2巡回区の控訴裁判決は他の巡回区以上に注目されるものの、巡回区外での法的拘束力はなく、時として互いの巡回区で異なる判決が下されることもあることから、このような矛盾は連邦最高裁で解消されることとなる[25]

米国では上告された事案を受理して審議するか却下するか、連邦最高裁が事前に裁量で判断 (足切り) することができる。受理した案件は、移送令状英語版 (ラテン語: certiorari、サーシオレイライ) が発せられ、二審の連邦控訴裁から連邦最高裁に移送・審理される[26]。却下された場合は "Warner Brothers Pictures, Inc. v. Columbia Broadcasting Systems, Inc., 216 F.2d 945 (9th Cir. 1954), cert. denited, 348 U.S. 971" のように引用表記されることもある (文献によって異なる)。これは「#ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ対CBS裁判」の移送が最高裁で事前に却下され (cert. denied)、二審の第9巡回区控訴裁の判決で確定したことを意味する[27]。なお、どの案件を最高裁が受理するかは「重要な連邦問題」か否かで判断され、時にはこの「重要な」の定義に政治的な判断が含まれることもあると言われる[28]:59

米国著作権法には州法も一部存在していることから、これらは州裁判所の管轄となるが、特筆性の観点から州裁判所の判例が引用されることは少ない[注 6][注 7]

裁判所名に "D" が表記される場合、一審の連邦地裁 (District Court) の判例であることを意味している。Dの後ろには州の略称がつく (例: マサチューセッツ州連邦地裁であれば "D. Mass")。

"Cir" は二審の連邦控訴裁 (United States Courts of Appeals) の意味で、第1-第11の巡回区 (Circuit) を指す (例: ニューヨーク州などを管轄する第2巡回区控訴裁であれば "2nd Cir")[24]。なお、建国当初は三審の連邦最高裁判所判事が二審の連邦巡回裁判所 (Circuit Court) にも参加する形をとっていたが、1891年に二審が連邦控訴巡回裁判所 (Circuit Court of Appeals) に改組されたタイミングで、専任の裁判官のみで二審が構成されるようになった。さらに1948年、二審を第XX巡回区連邦裁判所 (Court of Appeals for the XX Circuit) に改称している[32]

判例名は一審では一般的に「原告名 (著作権者) v. 被告名」で記されるが、被告が二審や三審に上訴した場合は、原告名と被告名の順が逆転して表記されるため注意が必要である[注 8]

過去の改正により著作権法の条文体系が大きく変更しているため、判例の年代によりその判例が引用する条文が指し示す内容が異なる点にも注意が必要である。たとえば1947年改正法以前の第25条は、1947年改正法の第101条であり、これは1976年改正法で第412および第501 – 第504条に継承されている[35]。各改正による条文対比表は 政府公式サイト を参照のこと。

連邦最高裁判所の判例

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最高裁で係争中の案件は「#連邦下級裁判所の判例」を参照。

※表中の「判例の通称」の英語表記をクリックすると、英語版ウィキペディアの個別判例ページに遷移する。また判例集番号末尾をクリックすると、JustiaFindLawなど判例を転載した外部サイトに遷移する。デスクトップビューで閲覧の場合、表の項目名横をクリックすると、昇順または降順で並び替えることができる (モバイルビューやモバイルアプリでは並び替え機能なし)。判例の通称は英語名アルファベット順で並び替えされる。

判例の通称[注 9] 判決年
(判例集番号)
争点 判決 訴訟概要と判決要点 特筆性
ウィートン対ピーターズ裁判
(Wheaton v. Peters)
1834
(33 U.S. 591)
コモンロー・コピーライト、職務著作 (代理法英語版) 合法 連邦法としての著作権法が適用された米国最高裁最古の判決[40]:23。法律家ヘンリー・ウィートン英語版は公務として最高裁判例集の編纂者英語版を務めており[41]、ウィートンの判例集が無断で同僚のリチャード・ピーターズ英語版によって複製出版されたことから著作権侵害で提訴した事件である[42]。州法たるコモンロー・コピーライトも著作物を保護するが、これが発行によって保護が消滅することを示し[42]、英国「ドナルドソン対バケット裁判英語版」(Donaldson v Becket) の1774年判決を踏襲した[43]。そして、合衆国最高裁の判決は連邦法では著作物性がないとも捉えられて複製は合法とされた[43]
また、ウィートンが代理法の観点から独立の契約者なのか、それとも最高裁から雇われた従業員なのか (つまり職務著作となりうるのか) についても考察されたことで当判決は知られている[44]
[40][44]
[43]
ベーカー対セルデン裁判
(Baker v. Selden)
1879
(101 U.S. 99)
アイディア・表現二分論 (マージ理論) 合法 アイディア・表現二分論 (事実や発見を含むアイディアそのものは保護せず、アイディアの表現のみを著作権法で保護する法理) の基礎を構築したとされる判決[45][46][47]。ベーカーとセルデン両名の書籍で紹介した簿記の手法が酷似していたことから、先に出版されたセルデンの書の相続人である妻がベーカーを訴えた。簿記の手法に対して独占性を主張するには、特許を取得しなければならず、手法そのものは著作物性がないと判示された[48]。同様に新薬や耕作用具の論文も文字による表現は著作物だが、発明の新規性は特許法の範疇だと例示され、後の国内外の判例に多大な影響を与えたリーディング・ケース[45][46] [45][46]
[47]
バローガイルズ・リトグラフィック対サロニー裁判
(Burrow-Giles Lithographic Co. v. Sarony)
1884
(111 U.S. 53)
写真の保護要件 違法 作家オスカー・ワイルドを被写体にした写真が無断でリトグラフ化されたことから、写真家ナポレオン・サロニー英語版がリトグラフ販売事業者を提訴した。最高裁は被写体のポーズ、衣装、装飾品、明暗などの選択は、写真家の創造的な選択・配置であると指摘し、写真の著作権保護を認めた[49][1]。なお、米国著作権法は1865年の法改正で写真を保護対象に追加している[50] [1][51]
ブライシュタイン対ドナルドソン・リトグラフィング裁判
(Bleistein v. Donaldson Lithographing Co.)
1903
(188 U.S. 239, 251)
応用美術の保護要件 違法 サーカスの広告用に多色石版刷りされたポスターが無断複製され、このポスターが著作権保護の対象かが問われた。ポスターに描かれたのは実在する人物であり、実際のサーカスでよく見られる情景であった[52]。当判決以前は著作権の保護要件に審美性 (aesthetic merit) を求める判決も存在したものの、当判決によって審美性は保護要件とならないと判示された。ただしこの原則は実用品には適用されず、審美性の質を主観的に判断して保護要件に含めうる余地を残している[53] [53][54]
シェルドン対メトロ・ゴールドウィン・ピクチャーズ裁判
(Sheldon v. Metro-Goldwyn Pictures Corp.)
1940
(309 U.S. 390)
アイディア・表現二分論 (物語)、抽象化テスト英語版 違法 エドワード・シェルドン英語版脚本『Dishonored Lady英語版』は実在の殺人事件被疑者マデリン・スミス英語版を題材にした作品。メトロ・ゴールドウィン (現MGM) がシェルドンとの間で映画化権の交渉を行うも決裂したことから、同じ題材の別小説を原作として映画『令嬢殺人事件』を製作した。これを受け、シェルドンが映画の差止と損害賠償 (興行収入のシェア) を求めて提訴した。物語のプロットはアイディアに過ぎないが、人物関係や情景設定と情景描写、詳細な出来事などはアイディアの「表現」だとし、損害賠償金額の算出対象を絞り込んだ[55]。また 二審 では抽象化テストを用いたことでも知られる[56]。抽象化テストの手法を確立した「#ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判」(1930年) も参照のこと。 [56][57]
メイザー対ステイン裁判
(Mazer v. Stein)
1954
(347 U.S. 201)
アイディア・表現二分論、応用美術の保護要件、意匠特許 違法 実用品デザインの著作権保護を巡るリーディング・ケース[58][59][60]。原告の卓上ランプの支柱にはステイン夫妻作・半浸透性のダンサー男女の像が装飾されており、この像は著作権登録されていた[61]。実用品の「機能」面でのランプには著作権性はないが、ダンサー像には「表現」の著作権性があるとして、卓上ランプの模倣が著作権侵害と判定された[62]。著作権法と意匠特許のどちらで美的な創作物を保護するかについて、実用的か否かは問われず、美的「表現」かデザインの「発明」かが判断基準だと示された[63]。本件以降も、旧式電話機型の鉛筆削り、犬形の貯金箱、繊維製品のグラフィックデザインに著作権性が認められる判決が続いている[注 10]
なお、本件ではダンサー像の「物理的分離」が可能で像単体が著作物として成立しうる判断されたが[64]、2017年最高裁「#スター・アスレティカ対ヴァーシティ・ブランズ裁判」判決では「概念的分離」の基準が示されることとなった[65]
[58][59]
[60][66]
シアーズ・ローバック対スティフル裁判
(Sears, Roebuck & Co. v. Stiffel Co.)
1964
(376 U.S. 225)
連邦優位条項英語版、不正競争防止法と著作権法の関係 訴訟概要を参照 スティフル社製支柱ランプの類似品をシアーズ社が販売したことから訴訟に至った。下級裁では、たとえ連邦法としての著作権法や特許法で保護されていない商品であっても、州法の不正競争防止法の観点で違反であると認めて、シアーズ社はスティフル社に対して部分的に賠償責任を負うこととなった。しかし最高裁は合衆国憲法の連邦優位条項を適用して、州法による保護を否定した。これは連邦法の著作権や特許で認められている独占の範囲以外は、パブリックドメインに帰して万人による利用を可能とすべきとの立場に基づく[67]。なお、同日には蛍光灯設備の類似品を巡る「コンプコ対デイブライト・ライトニング裁判英語版」(Compco Corp. v. Day-Brite Lighting, Inc., 376 U.S. 234 (1964)) の最高裁判決も出ており、連邦法優位がこちらでも示された。その後も「#ボニート・ボーツ対サンダー・クラフト・ボーツ裁判」(1989年) が同じ立場を踏襲した[68] [68]
ゴールドスティン対カリフォルニア州政府裁判
(Goldstein v. California)
1973
(412 U.S. 546)
固定の要件、連邦優位条項英語版 違法 ゴールドスティンらは楽曲をテープやレコードに複製する海賊版の生産拠点を運営し、パッケージ化して無断で販売していた。カリフォルニア州刑事法典英語版 (The California Penal Code) の第635h条では音楽の実演を無断で複製・販売することを禁じ、このような楽曲に永久著作権を認めていた。ところが当時の連邦著作権法 (1909年改正ベース) は楽曲の実演について規定していなかったことから、被告は合衆国憲法の連邦優位条項および特許・著作権条項を持ち出して抗弁した。しかし最高裁は、連邦議会が1909年法を可決した際、楽曲が著作権保護に値しないとの意図には解せないとして被告の訴えを退けた[69]。また特許・著作権条項には Writing (著作) の文言があるが、これを「あらゆる物質的表現」と解したことから、著作物保護には何らかの媒体に固定されていることが必要と判示された[70] [70]
20世紀ミュージック対エイケン裁判
(Twentieth Century Music Corp. v. Aiken)
1975
(422 U.S. 151)
公衆実演権、著作権保護の目的 合法 バーモント州知事合衆国上院議員などを歴任したジョージ・エイケン英語版が経営する食料品店 (イートインスペースも併設していることから客の滞在時間は長い) が、ラジオ局から楽曲を受信して店内で流していた。この楽曲は米国作曲家作詞家出版者協会 (ASCAP) が著作権を管理しており、20世紀スタジオ社系列の20世紀ミュージック社に実演権が独占ライセンスされていたことから、営利目的で楽曲を使用したエイケンを20世紀ミュージックが著作権侵害で提訴した。一審は原告の訴えを認めたものの、二審と最高裁は退けた。ラジオの送受信は実演権に含まれないと判断されたためである。さらに、創作者が公平な対価を享受し、創作のインセンティブを与える目的で著作権保護は存在するのであって、その著作物を公衆が享受する公益性との間でバランスがとられるとも判示された[71] [72]
ソニー・アメリカ他対ユニバーサル・シティ・スタジオ他裁判
(Sony Corp. of America v. Universal City Studios, Inc.)
1984
(464 U.S. 417)
フェアユース第1・第4基準、寄与侵害英語版 合法 通称「ソニー・ベータマックス判決」[73]。テレビ番組の家庭用録画機器ベータマックスなどを使用して、一般ユーザが著作物 (番組) 全量を複製しており、番組著作権者らが寄与侵害 (一般ユーザの直接侵害に手段提供している廉) で機器メーカーのソニーらを提訴した。利用者の多くが家庭での使用であり、後日視聴 (time-shifting) を目的としていることから、フェアユース第1基準で非営利性が認められ、録画が番組著作権者の収益に影響を及ぼさないとしてフェアユース第4基準の市場代替性の観点も考慮された[74][75]。21世紀に入ってからはインターネット視聴や音楽などのファイル共有ソフトウェアなどを巡って類似訴訟が発生しており、度々ベータマックス訴訟は「ソニー・ルール[76]」として引き合いに出される (#MGMスタジオ対グロクスター裁判[77]:2#ABC他対Aereo裁判[38]:17など)。 [78][75]
[79]
ハーパー & ロー対Nation誌裁判
(Harper & Row v. Nation Enterprises)
1985
(471 U.S. 539)
フェアユース第1・第4基準、アイディア・表現二分論 違法 フェアユース関連で言及されることの多い代表的判例の一つ[14]フォード元大統領の未発表回想録の引用を巡る争い。総合出版ハーパー社 (原告) が回想録を出版するためフォードから著作権を獲得し、書籍化を計画していた。この書籍の発行前に、雑誌『TIME』が2万5千ドルをハーパーに支払う契約を締結し、回想録の抄録発行権を得た。しかし雑誌『The Nation英語版』を発行するNation社 (被告) が無断で引用して先に記事掲載したことから、ハーパーとTIME誌間の契約は破棄となり、著作権侵害でNationが提訴された。フォード元大統領が公人であることから「公共性」を理由に被告はフェアユースで抗弁するも、公人か否かはフェアユースの判断基準外と判示された。また最初の出版権を誰が有するかを重要視された。逐語的に引用されたのは、書籍の元原稿20万語のうちわずか300語だったが、決定的な箇所だと判示された[80]。加えて、回想録は事実を記していることからアイディア・表現二分論上の「アイディア」に該当して著作権保護されないのではないかとの指摘もあったが、その創作的な表現には保護がおよぶとも判示された[81] [78][32]
[82][83]
[84]
ボニート・ボーツ対サンダー・クラフト・ボーツ裁判
(Bonito Boats, Inc. v. Thunder Craft Boats, Inc.)
1989
(489 U.S. 141)
連邦優位条項英語版、船体デザイン、DMCA 合法 デジタルミレニアム著作権法 (DMCA) 第5章 (連邦著作権法 第13章を新設する改正立法) 可決に影響を与えた判例[85][86][87]。ボニート社のガラス繊維製の遊興用ボートは船体デザインが特許申請されていなかったものの、後にフロリダ州政府が船体デザインの盗用・販売を禁じる州法を成立させたことから、ボニート社がサンダー社を提訴した。この州法は連邦特許法と矛盾するとして「#シアーズ・ローバック対スティフル裁判」で示された連邦優位条項の解釈を継承し、船体デザインの模倣は合法とされた[88]
その後、発明の新規性を要件とする特許法では保護されないような船体デザインも著作権法で保護すべく、連邦議会はDMCAを1998年に成立させて法改正することとなった[85]
[85][89]
[86][87]
CCNV対リード裁判
(Community for Creative Non-Violence v. Reid)
1989
(490 U.S. 730)
職務著作 訴訟概要を参照 「職務」の要件を定義したリーディング・ケース[90][91]。ホームレス問題に取り組む慈善団体のCCNV英語版が彫刻家リードに作品を依頼。完成した彫像は職務著作として委託者CCNVに著作権が認められるのかが問われた。当判決では代理法における「独立の契約者」(independent contractor) の概念が判断基準として用いられた[92] [90][91]
[93][94]
ファイスト出版対ルーラル電話サービス裁判
(Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co.)
1991
(499 U.S. 340)
アイディア・表現二分論 (額の汗の法理) 合法 額の汗の法理英語版が最高裁で初めて否定された判決として国内外で知られる[95][96]。ルーラル社はカンザス州北西の一部地域で独占営業を認められた電話サービス事業者で、加入者の電話番号を電話帳として編纂して無料配布する法令義務を負っていた。一方のファイスト社は、カンザス州広域で電話帳の発行を専業とする出版社である。ファイストがルーラルの無料電話帳から自社の発行する電話帳に電話番号を転載したことから、著作権侵害が問われた。一審と二審は侵害を認めたが、最高裁では一転し、著作権保護には単なるデータ配列 (額に汗をかいてデータ収集すること) だけでなく独自の創造性 (オリジナリティを持つ表現性) が必要だと合衆国憲法の特許・著作権条項英語版が解釈された結果、電話帳に著作権は認められずファイストの行為は合法と判示された[97]
なお、ファイスト判決以前に額の汗の法理が支持されていた判決例としては、判決文のページ付けシステム[注 11]などがある。
[99][96]
[100][101]
キャンベル対エイカフ・ローズ・ミュージック裁判
(Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc.)
1994
(510 U.S. 569)
フェアユース第1 (パロディ) 基準 合法 パロディに関するリーディングケース[102][103]。1990年公開映画『プリティ・ウーマン』の主題歌 "Oh, Pretty Woman" (歌手ロイ・オービソン) を使用して、ヒップホップグループのThe 2 Live Crew (被告ルーサー・キャンベル英語版はこのメンバーの一員) がパロディを製作し、25万枚のセールスを記録した[104]。一審はフェアユース認定、二審は否定し、最高裁が再び認定した[105]。パロディとして使用された箇所 (原曲の冒頭部) は有名であり原曲の中核をなすと認定されたものの、パロディはこのような中核を用いることが常であると判断された。そしてフェアユース第1基準の定める変形的利用が、同じく第1基準で例示される非営利性に勝り、第4基準の市場代替性を損なうことがないと解される裁判[103]。原曲 "Oh, Pretty Woman" (あぁ、可愛い女性) がパロディでは "Big Hairy Woman" (デカい髪型の女性) に変形されている[106]。2つの楽曲動画は「#関連画像・音声・動画」節のリンクを参照。 [78][107]
[108][109]
ロータス・デベロップメント対ボーランド裁判
(Lotus Dev. Corp. v. Borland Int'l, Inc.)
1996
(516 U.S. 233, per curiam decision[注 12])
著作物の定義、アイディア・表現二分論 合法 ロータス・デベロップメント (現IBM) 製の表計算ソフトLotus 1-2-3で使用されているコマンド469個 (コピー、印刷等) と同じものをボーランドが自社開発した表計算ソフトのメニューに組み込んだ。ロータスの既存ユーザがボーランド製に乗り換えやすくなったことから、ロータスが提訴。一審ではメニュー体系の著作物性を認めたものの、二審では「操作の手法」に過ぎないとして著作権保護が否定された[111]。最高裁も二審を支持している[112] [113][114]
ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判
(New York Times Co. v. Tasini)
2001
(533 U.S. 483)
集合著作物二次的著作物職務著作著作物の登録 違法 通称「タシーニ判決[115]」「フリーランサー集団訴訟[116]」。フリーランサーの著作物がニューヨーク・タイムズ (NYT) などに寄稿され、それがレクシスネクシスなどのオンラインデータベースに無断転載されたため、全米作家労働組合英語版のタシーニ会長らが集団訴訟を起こした[117]201(c)条 は集合著作物について規定しており、集合著作物の著作権者 (本件ではNYT等の新聞・雑誌社) は改訂版を発行する権利は有するが、個々の記事の複製権・頒布権は有しない[118]。データベース化はフェアユースの定める翻案化 (つまり改訂版の創作) には該当しないことから2001年最高裁判決で原告勝訴となった[117][118]
しかし訴訟には事前に著作物の登録が必須とされている (米国著作権法 第412条) ことから、和解金を受け取れなかった未登録著作物の著作者らが別途訴訟を継続した。本件では別途、全米作家協会全米ジャーナリスト・作家協会英語版 (ASJA) なども同類の訴訟を起こしており、2001年のタシーニ判決後に合流している。最終的に原告側は総勢3000人以上、対象著作物は60万記事を超え、総額1800万米ドルの和解金で2014年に決着[116]
[119][120]
[121]
エルドレッド対アシュクロフト司法長官裁判
(Eldred v. Ashcroft)
2003
(537 U.S. 186)
ソニー・ボノ著作権延長法の合憲性、永久著作権 合法 通称「ミッキーマウス訴訟」[122][123][注 13]。著作権保護期間を死後50年から70年に延長する1998年の改正立法によって著作物の社会利用が妨げられ、合衆国憲法修正第1条が保障する表現の自由に抵触するとの主張。また合衆国憲法の特許・著作権条項英語版は「限られた期間」(limited times) を保護すると記されており、期間延長がこれに抵触すると主張した。原告はパブリックドメインに帰した著作物を活用する団体・個人で構成。しかし、フェアユースによって既存著作物の翻案が認められていることから、表現の自由に抵触しないと判断された。また、既に欧州連合 (EU) では保護期間を70年に設定していることから、米国もこれに合わせることで創作者へのインセンティブを与えるとする特許・著作権条項の目的に合致するとして、原告の主張を棄却した[125] [126][127]
[128][129]
ダスター対20世紀フォックス裁判
(Dastar Corp. v. Twentieth Century Fox Film Corp.)
2003
(539 U.S. 23)
商標権と著作権の関係性 合法 元軍人・後の大統領アイゼンハワーによる戦争回想録 (1948年出版) のテレビ化権を20世紀フォックスが獲得。著作権期限切れ前に更新せず、テレビ番組は1977年にパブリックドメインに帰す。ダスター社がテレビ番組の映像を購入して複製し、リバース・パッシングオフ英語版 (他者の商品を自分名義で偽って販売する「逆詐称通用」) を行った。これがランハム法英語版 (米国の連邦商標法であり、不正競争防止法の要素も含む) に抵触するとしてフォックスが提訴。リバース・パッシングオフの非を認めつつも、パブリックドメインに帰していることからダスターの著作権侵害は棄却[130] [131][132]
MGMスタジオ対グロクスター裁判[注 14]
(Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd.)
2005
(545 U.S. 913)
著作権侵害の技術提供者の二次責任 (誘引侵害責任理論英語版) 違法 著作権侵害の技術提供の文脈で、ベータマックス裁判と比較されることが多い訴訟[76][77]:2Peer-to-peerファイル共有ソフトのMorpheus等が著作権侵害に利用されているとして、開発会社グロクスター等を相手取り、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー (MGM) など計28の原告団が提訴。Morpheusの頒布者には二次責任を認めたが、その開発者の責までは問わなかった[134]。本件では特許法で用いられる誘引侵害責任理論 (inducement theory または inducement test)[注 15]が著作権侵害でも適用されると判示された[76]。最高裁判決後、グロクスター社は原告各社と和解に達したが、StreamCast Networks社 (旧MusicCity Networks社) とConsumer Empowerment社 (KaZaA社) は訴訟を継続[76] [136]:53
[137][135]
[138]
リード・エルゼビア対マッチニック裁判
(Reed Elsevier, Inc. v. Muchnick)
2010
(559 U.S. 154)
著作物の登録事物管轄 訴訟概要を参照 ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判」の類似ケース[139]。学術出版5大企業[注 16]の一角リード・エルゼビア (現レレックス・グループ) がフリーランサーの著作物をデジタル化し、ニューヨークタイムズなどに提供。訴訟対象となった著作物の多くが未登録だったことから和解金の受取対象が問われた[139][141]。一審では1800万ドルの和解金が示されるも、マッチニックら一部のフリーランス著作者が和解に反対した。二審では未登録の著作物に対して裁判所は事物管轄権を有しないとの理由から、一審を覆した。最高裁は著作権法 第411条 は出訴にあたって著作物の登録を必須要件だとしつつも、未登録であっても司法管轄権はあると判示した[142]。本件は9年後の最高裁判決「#フォース・エステート対Wall-Street.com裁判」にも大きな影響を与えた[143] [144]:16
[141][143]
オメガ対コストコ裁判
(Omega S.A. v. Costco Wholesale Corp.)
2010
(562 U.S. 40) per curiam decision[145][注 12]
消尽論 合法 #カートサン対ワイリー裁判」とセットで論じられることが多い[146][147]:4。スイス高級腕時計メーカーのオメガは正規販売ルートのみに「シーマスター」のモデルを卸していたが、安価大量販売で知られるコストコが非正規ルート (闇転売) でオメガのシーマスターを輸入して販売。時計の彫刻デザイン "Omega Globe" がシーマスターに施されており、このデザインが著作権保護の対象であることから、オメガがコストコを提訴した。オメガは正規ルートに販売する際に、米国内への輸入やコストコへの転売を許可していないと主張した。しかし米国著作権法 第109条 では、複製した商品の購入者は自由に中古売買でき、著作権者の排他的な権利は所有者まで及ばない消尽論をとっており、コストコの行為は合法と判示された[147]:3–5 [148][146]
ゴラン対ホルダー司法長官裁判
(Golan v. Holder)
2012
(565 U.S. 302)
権利回復著作物、ウルグアイ・ラウンド協定法の合憲性 合法 過去にパブリックドメインに帰していた外国著作物が、1994年制定のウルグアイ・ラウンド協定法により著作権保護対象となった (これを権利回復著作物と呼ぶ[149])。権利回復によって著作物の社会利用が妨げられることから、表現の自由を保障する合衆国憲法修正第1条に反するとの主張がなされたが、合憲の判示となった[150] [151][152]
カートサン対ワイリー裁判
(Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc.)
2013
(568 U.S. 519)
消尽論 合法 タイ人留学生スパップ・カートサンは、学術出版大手[注 16]ジョン・ワイリー・アンド・サンズ (略称ワイリー) の出版する教科書がタイと比べて米国で高額に販売されていると知り[153]、タイから米国に逆輸入してオークションサイトのeBayで販売し、約120万米ドルの収益を得たとされる[154]。第2巡回控訴裁の判決を覆す形で、最高裁はカートサン無罪の判決を下した。この判決により[153]、米国の著作物が米国外で複製印刷・販売され、再び米国内に逆輸入した際にも、米国著作権法第109条が定める消尽論が適用されることが判示された[155] [155][156]
ペトレラ対MGM裁判
(Petrella v. Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.)
2014
(572 U.S. 663)
ラッチェスの法理 訴訟概要を参照 プロボクサーのジェイク・ラモッタの実話に基づき、ラモッタと友人ペトレラが脚本2版と小説本をそれぞれ執筆した。後にMGM傘下ユナイテッド・アーティスツが映画化権を獲得して『レイジング・ブル』を1980年に製作・公開。ペトレラ本人は1981年に死去し、ペトレラの相続人 (娘) は1991年、1963年に発行された旧版の脚本について著作権期限更新を行った。1997年にペトレラの相続人はMGMが著作権侵害だと警告したが、実際に訴訟へと発展したのは2009年である[157]
米国著作権法では民事訴訟は発生から3年以内の提訴が認められている (いわゆる出訴制限)。また判例では「ラッチェス抗弁」(懈怠の法理) が一部認められる。これは原告が出訴を遅らせることで不当に損害請求額を積み増してはならないとする考え方である。従来はラッチェスの法理は損害賠償請求のみに適用され、差止命令は適用外と解されてきたが、二審の控訴裁では差止および3年以内に発生した侵害分の損害賠償全ての原告請求を棄却した。しかし最高裁では一転し、著作権法で規定しているのは出訴制限のみで、衡平に欠く場合でなければ、原則は損害賠償や差止などの侵害救済にまでラッチェスの法理は及ばないと判示した[158][159]
[159][160]
[158]
ABC他対Aereo裁判
(American Broadcasting Cos., Inc. v. Aereo, Inc.)
2014
(573 U.S. 431)
複製権、公衆実演権 違法 ストリーミング配信における公衆実演権に関する米国初の連邦最高裁判決[161]:466Aereo英語版は各地に小型アンテナを数千基設置し、各ユーザがアンテナにインターネット経由でアクセスすることで、TV番組の見逃し配信を提供するストリーミング動画サービス。番組の著作権を有する地上波テレビ局ABCらがAereoを訴えた[36]。2001年の「#ナップスター判決」で違法とされたP2Pのファイルシェアのように著作権法の穴を掻い潜ろうとする新技術の登場は、判事らからも "Aereoization" と揶揄された[161]:469。Aereoはケーブルテレビのビジネスモデルに近いことから、先例を引用して公衆実演権に抵触しないと抗弁した[注 17]。「#ソニー・ベータマックス判決」では各ユーザが個々人で複製し、家庭内で視聴していることから著作権法が定める公衆実演権を侵害していないとされるが、Aereoの場合、各ユーザ向けに複製を行っているのはアンテナを有するAereoであることから、著作権侵害と判示された[38]:17[36]。この結果、Aereoは2014年に連邦倒産法第11章に基づき破産申請している[162] [163][164]
[161]
スター・アスレティカ対ヴァーシティ・ブランズ裁判
(Star Athletica, LLC v. Varsity Brands, Inc.)
2017
(580 U.S. 15-866[注 18])
著作物の保護範囲の定義、デザイン、ファッションロー 違法 通称「チアリーディング・ユニフォーム事件」[165]チアリーディングのユニフォームデザイン (縞・ジグザグ・逆さV字模様など) が似ているとしてスポーツ・アパレル大手ヴァ―シティ (デザインを著作権登録済) が同業のスターを提訴した[166]。実用品向けのデザインのため著作権は発生しないとスターは抗弁[167]。実用品の著作権保護を巡っては1954年最高裁「#メイザー判決」が知られているが[168]:712、チアリーディングのユニフォームの場合はデザインと衣服という実用性が物理的にも概念的にも分離不可能であり、一審では著作物性が否定された[167]。二審の第6巡回区控訴裁、および最高裁はこれを覆し、分離不可でも著作権保護されると判示した[167]。このように判断が分かれたのは連邦著作権法が「分離性」(separability) の用語を定義していないことに起因する[168]:709。第6巡回区控訴裁は概念的分離について「実用的な側面から分離して識別」できること、およびデザインが「実用的な側面から独立して存在」しうるかを判断基準とした[65][注 19]。最高裁も二審を支持して結審[167] [173][174]
[175][168]
フォース・エステート対Wall-Street.com裁判
(Fourth Estate Public Benefit Corp. v. Wall-Street.com)
2019
(586 U.S. ___)
(Docket no. 17-571[176][注 18])
著作物の登録手続 訴訟概要を参照 フォース・エステート英語版 (4E) は社会性の高いテーマを扱うメディアで、他のメディア企業に記事提供している。企業IR情報などを掲載するWall-Street.comが4Eとのライセンス契約を打ち切ったが、4Eの提供済記事をサイトに掲載し続けたため4Eが提訴した。著作権法 第411条(a) では著作者が米国籍の場合、提訴前にアメリカ合衆国著作権局 (USCO) に著作物を登録することを求めている[176]。ここでの登録を著作権者の「申請」(著作物の納付と登録料支払) とするか、USCOによる「登録許可」とみなすかで各巡回控訴裁判所によって過去判例が分かれていた[176][177]。最高裁では後者の「登録許可」方式を採用し、登録許可が完了するまで原告は提訴を待たなければならないと判示された[176] [178][177]

連邦下級裁判所の判例

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下級裁判所の判例であっても、後の類似訴訟で引用参照されることが多いなど、法学の研究機関や専門家が特筆性があると言及した判例に絞り、一覧化している。

フェアユース関連

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判例の通称[注 9] 判決年 裁判所
(判例集番号)
争点 著作タイプ 判決 訴訟概要と判決要点 特筆性
フォルサム対マーシュ裁判
(Folsom v. Marsh)
1841 C.C.D. Mass.
(9. F.Cas. 342)
フェアユース第1-第4基準全て 文章
(印刷書籍)
違法 フェアユースの法理を確立した米国初の判例として知られる[14]。歴史家ジャレッド・スパークス英語版が初代大統領ジョージ・ワシントンの書簡などの著作権を獲得し、12巻から成る『The Writings of George Washington』を上梓してフォルサム社英語版[注 20]から出版。うち2巻は『The Life of Washington in the Form of an Autobiography』として別途マーシュ社英語版[注 21]から後に出版したことから、無断転載でフォルサムが提訴した。当判決では、現代のフェアユース第107条の第1-第4基準に類似する観点が全て含まれる形で判示された。以降、1976年改正法でフェアユースが成文化されるまでの間、米国ではもっぱら司法判断に基づいてきた。 [180][14]
トムソン知事陣営対ギャレン候補陣営裁判
(Keep Thomson Governor Comm. v. Citizens for Gallen Comm.)
1978 D. N.H.
(457 F.Supp. 957)
フェアユース第1・第3基準 音楽
(実演)
合法 ニューハンプシャー州知事選において共和党現職メルドリム・トムソン・ジュニア英語版の選挙キャンペーンソング15秒分を民主党候補ヒュー・ガレン英語版が自身の選挙広告に流用。使用量が少なく、かつ政治討論目的のためフェアユースが認められた。 [78]
イタリアン・ブック対ABC裁判
(Italian Book Corp., v. American Broadcasting Co.)
1978 S.D. N.Y.
(458 F.Supp. 65)
フェアユース第1・第3・第4基準 音楽
(テレビ)
合法 ニューヨークで開催されたイタリア祭を現地取材してテレビでニュース報道したところ、祭で演奏されていた楽曲まで報道映像に含まれてしまった。使用量が限定的、また収録は故意ではない、かつ作詞作曲家の潜在市場価値を毀損していないためフェアユースが認められた。 [78]
エルスメア・ミュージック対NBC裁判
(Elsmere Music, Inc. v. National Broadcasting Co.)
1980 S.D. N.Y.
(482 F.Supp. 741)
フェアユース第1 (パロディ)・第3基準 音楽
(テレビ)
合法 NBC放送コメディバラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ』内で "I love New York" のパロディ曲が流れた。デ・ミニミス (ごく軽微な使用) であると判示。en: I Love New York#Imitationsも参照。 [78]
ロイ・エクスポート対CBS裁判
(Roy Export Co. Establishment. of Vaduz v. Columbia Broadcasting System, Inc.)
1982 2d Cir.
(672 F.2d 1095, 1100)
フェアユース第2基準 映像
(ニュース報道)
違法 チャーリー・チャップリンの72分映画から75秒を抜粋してチャップリン死去のニュース報道に使用 (Roy Exportはチャップリン作の著作権者)。抜粋箇所が映画の肝心なシーンだったためフェアユースは認められず。 [78]
ハスラー誌対モラル・マジョリティ裁判
(Hustler Magazine, Inc. v. Moral Majority, Inc.)
1985 C.D. Cal.
(606 F.Supp. 1526)
フェアユース第4基準 文章
(印刷書籍)
合法 出版実業家ラリー・フリント率いるポルノ雑誌『ハスラー』がキリスト教福音派宗教右派ジェリー・ファルウェル牧師を冒涜する文章を掲載。これを同牧師が創設・運営する宗教組織モラル・マジョリティが引用して数十万部をコピーし、資金集めのために配布。既に雑誌は市場から引き上げられていたため、原著作物の利益侵害に当たらないとしてフェアユースを認める判示。なお、両者は精神的苦痛を理由に、別途ハスラー・マガジン対ファルウェル裁判でも対立し、最高裁まで争った。 [78]
フィッシャー対ディーズ裁判
(Fisher v. Dees)
1986 9th Cir.
(794 F.2d 432)
フェアユース第1 (パロディ)・第3基準 音楽
(デジタル以外)
合法 DJ/ラジオパーソナリティリック・ディーズ英語版ジャズ曲 "When Sunny Gets Blue英語版" の29秒 (38小節) を引用してパロディを製作。不正競争防止名誉棄損および著作権侵害に当たるとして、原曲作詞家フィッシャーが提訴。楽曲全体ではないことからフェアユース判定。 [78]
サリンジャー対ランダムハウス他裁判
(Salinger v. Random House, Inc.)
1987 2d Cir.
(811 F.2d 90)
フェアユース第3・第4基準 文章
(印刷書籍)
違法 小説家J・D・サリンジャーの未発表手紙を用いて無断でランダムハウスが書籍化を計画。未発表であり、手紙の内容が書籍の根幹をなすことからフェアユースの抗弁は棄却され、出版差止に成功。 [78]
スタインバーグ対コロンビア・ピクチャーズ裁判
(Steinberg v. Columbia Pictures Industries, Inc.)
1987 S.D. N.Y.
(663 F.Supp. 706)
フェアユース第1 (パロディ) 基準 イラスト
(デジタル以外)
違法 漫画家ソール・スタインバーグの作品が雑誌ザ・ニューヨーカーの表紙を飾り、1984年製作映画『ハドソン河のモスコー』の宣伝ポスターに流用された。スタインバーグの作品はアメリカ経済中心主義の偏狭さを風刺しており、映画ポスターも同様の風刺を用いている。原作を風刺していればフェアユースの定めるパロディに該当するが、ポスターは同調していることからフェアユースが成立しないと判示された。 [78][181]
ラブ対クウィットニー裁判
(Love v. Kwitny)
1989 S.D. N.Y.
(772 F.Supp. 1367)
フェアユース第3・第4基準 文章
(ニュース報道)
違法 ジャーナリスト個人同士の訴訟。1959年にイランのザヘディ将軍英語版によるクーデターでモサッデク首相が失脚した。ケネット・ラブ英語版がこのイラン政府転覆の予兆をいち早く調査して原稿に書き留め、それをジョナサン・クウィットニー英語版が使用した。原稿の半分以上が使用されたことから、フェアユースの引用の範疇を超えており、かつ未発表であったことから著作権侵害が認められた。 [78]
ライト対ワーナーブックス裁判
(Wright v. Warner Books, Inc.)
1991 2d Cir.
(953 F.2d 731)
フェアユース第1・ 第3基準 文章
(印刷書籍)
合法 小説家リチャード・ライトの未発表の手紙などを自伝作家が引用して出版。引用は全体の1%以下、かつ書籍上で説明目的で引用のため侵害にあたらない判示。 [78]
ツイン・ピークス対パブリケーションズ・インターナショナル裁判
(Twin Peaks Productions, Inc. v. Publications International, Ltd.)
1993 2d Cir.
(996 F.2d 1366)
フェアユース第3・第4基準 文章
(印刷書籍)
違法 人気ミステリーTV『ツイン・ピークス』の引用解説本を巡るケース。番組のあらすじ、登場人物、設定、セリフなどの引用量が多く、また公式解説本の売上に影響することから著作権侵害の判示となった。 [78]
サイエントロジー対パグリアリーナ裁判
(Religious Technology Center v. Pagliarina)
1995 E.D. Va.
(908 F.Supp. 1353)
アイディア・表現二分論 (マージ理論)、フェアユース第1・第3基準 文章
(デジタル)
合法 (ワシントンポスト) 新興宗教サイエントロジーの元信者で批判家のアーニー・ラーマ英語版 (本名Arnaldo Pagliarini Lerma) は、同宗教団体が神聖視して秘匿する教本 (OT文書) を持ち出してインターネット上に全量公開したことから、連邦保安官から家宅捜査を受けたほか、当文書の著作権侵害で教会関連団体RTCから提訴された。またワシントンポストとその記者らも同件で提訴されている。ラーマは教団の教え (アイディア) とOT文書 (アイディアの表現) が融合していることから、OT文書に著作権保護を適用すると元となるアイディアまで排他的な保護がおよぶとしてOT文書に著作権はないとする「マージ理論」で抗弁した。しかし教団の教えはOT文書以外にも記述されていることから、その融合性を否定する判示となった。また引用量が広範であったことからフェアユース抗弁も否定された。
一方のワシントンポストは、引用量が限定的かつニュース解説目的のためフェアユースが認められた。en: Arnie Lerma#RTC v. Lermaも参照。
[78]
サイエントロジー対ラーマ裁判
(Religious Technology Center v. Lerma)
1996 E.D. Va.
(40 U.S.P.Q.2d 1569)
文章
(デジタル)
違法 (ラーマ) [78][182]
モンスター・コミュニケーションズ対ターナー・ブロードキャスティング・システム裁判
(Monster Communications, Inc. v. Turner Broadcasting System. Inc.)
1996 S.D. N.Y.
(935 F.Supp. 490)
フェアユース第1・第3基準 映像
(映画)
合法 モハメド・アリのボクシング対戦映像41秒を流用して自伝映画を製作。流用の秒数が短く、また映画内での情報提供に留まっているとして著作権侵害なしの判示。 [78]
ロサンゼルス・ニュースサービス対KCAL-TV裁判
(Los Angeles News Service v. KCAL-TV Channel 9)
1997 9th Cir.
(108 F.3d 1119)
フェアユース第1・第2・第4基準 映像
(ニュース報道)
違法 スクープ映像撮影で知られる独立系撮影社が1992年のロサンゼルス暴動の暴行シーンを撮影。その4分の録画から30秒を抜粋して地方局KCAL-TV英語版がニュース報道。営利利用、かつ抜粋箇所が肝心なシーンだったため著作権者の潜在市場での利益を侵害したと判定。 [78]
リングゴールド対ブラック・エンターテイメント裁判
(Ringgold v. Black Entertainment Television, Inc.)
1997 2d Cir.
(126 F.3d 70)
フェアユース第1・第2基準 美術
(テレビ)
違法 原告である芸術家の教会用キルト作品がTVコメディ『ロック英語版』内の背景映像で27秒使われた。キルト作品の著名性、TV背景セット上の重要性に加え、TV業界では許諾を取る慣習が存在することから、著作権侵害が認められた。en: Faith Ringgold#Copyright suit against BETも参照。 [78]
ドクター・スース対ペンギン・ブックス裁判
(Dr. Seuss Enterprises, L.P. v. Penguin Books USA, Inc.)
1997 9th Cir.
(109 F.3d 1394)
フェアユース第1 (パロディ) 基準 文章
(印刷書籍)
違法 元フットボール選手O・J・シンプソンによる殺人容疑裁判を、ドクター・スースの児童文学『キャット イン ザ ハット』の設定で物語る二次的著作物を巡るケース。ドクター・スースへの皮肉や悪ふざけの要素がないことからパロディとは見なされず、また非営利性および変形的利用に該当しないことから、著作権侵害の判示となった。 [78][183]
キャッスル・ロック・エンターテインメント対キャロル出版裁判
(Castle Rock Entertainment, Inc. v. Carol Publishing Group Inc.)
1998 2d Cir.
(150 F.3d 132)
フェアユース第3・第4基準 文章
(印刷書籍)
違法 人気コメディTV『となりのサインフェルド』のトリビアをクイズ形式で書籍にまとめて無断で出版。原著作のうち84話相当から引用し、また番組製作者の二次的著作物作成権を侵害したと判示された。 [78][184]
リーボヴィッツ対パラマウント・ピクチャーズ裁判
(Leibovitz v. Paramount Pictures Corp.)
1998 2d Cir.
(137 F.3d 109)
フェアユース第1 (パロディ) 基準 写真
(デジタル以外)
合法 写真家アニー・リーボヴィッツが妊婦姿の女優デミ・ムーアを撮影。これを映画『裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱』がパロディ化して映画の宣伝に利用。パロディ利用に伴うライセンス料を原告は請求したが、フェアユースとして棄却された。 [78]
A&Mレコード他対ナップスター裁判
(A&M Records, Inc. v. Napster, Inc.)
2001 9th Cir.
(239 F.3d 1004)
フェアユース第1-第4基準全て、寄与侵害英語版代位侵害英語版[注 22]DMCA 音楽
(デジタル)
違法 通称「ナップスター判決」[188][189]ナップスター社が無料配布したPeer to Peerソフトウェアによって無断で楽曲がユーザ間でファイル共有され[190]、かつ各ユーザの保有楽曲を容易に検索できるようナップスターがインデックスを張っていたことから、A&Mなど音楽レーベル各社[注 23]が著作権侵害の間接侵害で提訴[192]。購入前の試聴目的であってフェアユースに該当するとナップスターは抗弁した[190]。二審の控訴裁ではフェアスース第1基準の変形的利用英語版は見られず、第2・第3基準で楽曲の著作物性を認め、第4基準では実際の売上減発生や将来的なデジタル配信市場への参入障壁を指摘した。また1992年の家庭内録音法英語版 (非商用の私的録音は合法と明示した著作権法改正) は本件には適合しないと判示された[193]
寄与侵害については著作権保護中の楽曲シェアを知りつつ放置したとして、ナップスター側の責任を認めた。また代位侵害については、インデックスだけでは侵害の発生有無を把握できないものの、侵害ファイルへのアクセスを停止させるなど監督管理の能力を有していたとして、監督不十分の責が認められた[194]
DMCAの免責適用についてはP2Pという分散システムの性質上、第512条 のインターネット接続事業者にナップスターが該当しないとされ、免責適用外とされた[195]
[196][197]
[186]
ケリー他対アリバ・ソフト裁判
(Kelly v. Arriba Soft Corp)
2003 9th Cir.
(336 F.3d. 811)
フェアユース第1-第4基準全て 画像
(デジタル)
合法 アリバ・ソフト社が運営する検索エンジンが画像を収集してサムネイル表示しており、自身のウェブサイトで写真画像を有料販売していたプロ写真家ケリーの作品も含まれていた。サムネイルは画像サイズが小さく解像度も低いことから第1基準 (変形的利用) は被告有利、インターネット公開写真も著作権対象であることから第2基準は原告有利、第3基準は中立、第4基準は被告有利。総合してフェアユースが認められた。Perfect 10対Amazon.com事件#サムネイルおよびen: Transformativenessも参照。 [78][198]
BMGミュージック対ゴンザレス裁判
(BMG Music v. Gonzalez)
2005 7th Cir.
(430 F.3d 888)
フェアユース第4基準 音楽
(デジタル)
違法 被告女性ゴンザレスは、Peer to PeerのファイルシェアKaZaAを利用して楽曲を大量ダウンロード。後に楽曲を購入するか判断するための試聴であり、ベータマックス裁判のタイムシフト (Time-shifting、後日視聴) との類似性を持ち出して抗弁した。しかし推定ダウンロード数は1370曲、うち30曲以上は被告のハードドライブに残っていた。またiTunesなど楽曲の一部のみ試聴できる合法サービスが別に存在することから、被告の抗弁の正当性が否定された。 [78]
ビル・グラハム・アーカイブズ対ドーリング・キンダーズレー裁判
(Bill Graham Archives v. Dorling Kindersley, Ltd.)
2006 2d Cir.
(448 F.3d 605)
フェアユース第1・第3基準 画像
(印刷書籍)
合法 ロックバンドのグレイトフル・デッドのポスターを別の書籍に流用。サムネイルサイズであり、かつ経歴解説の文脈内での利用のためフェアユース判定。 [78][199]
フィールド対Google裁判
(Field v. Google, Inc.)
2006 D. Nev.
(412 F.Supp.2d 1106)
フェアユース第1基準 文章および画像
(デジタル)
合法 Google検索のキャッシュ表示が著作権侵害か問われた裁判。サイト運営者は任意でキャッシュON/OFF設定ができるため、Googleに非がないとして棄却された。 [78]
Perfect 10対Amazon.com他裁判
(Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc.)
2007 9th Cir.
(508 F.3d 1146)
フェアユース第1・第4基準 画像
(デジタル)
合法 #ケリー他対アリバ・ソフト裁判」の類似ケース。成人向け雑誌『Perfect 10』はヌード画像を有料会員に閲覧提供していたが、検索エンジンのGoogleがその画像を自動サムネイル化。またそのサムネイル画像をGoogleがAmazonに提供する業務契約を締結していたことから、Amazonの顧客も無料で画像が閲覧できる状態であり、Googleの行為に対し一時差止命令を請求した。サムネイルが小型・低解像であったことから変形的利用が認められ、また元サイト (Perfect 10) の出典表記とリンクによって閲覧者が誘導される仕組みであることから、損害性もないと判示された。 [78][200]
ワーナー・ブラザーズ対RDRブックス裁判
(Warner Bros. Entertainment Inc. v. RDR Books)
2008 S.D. N.Y.
(575 F.Supp.2d 513)
フェアユース第1基準 (二次的著作物) 文章
(印刷書籍)
違法 ハリー・ポッター』シリーズの用語などを収録した百科事典。複数シリーズの用語を1冊の事典にまとめていることから「若干の変形性」は認められたものの、逐語的な引用が多いことからフェアユースの要求水準には満たないと判示された。en: Legal disputes over the Harry Potter seriesも参照。 [78]
サリンジャー対コルティング裁判
(Salinger v. Colting)
2009 S.D. N.Y.
(641 F.Supp.2d 250)
フェアユース第1基準 (パロディ) 文章
(印刷書籍)
違法 小説家J・D・サリンジャー作『ライ麦畑でつかまえて』の主人公コールフィールド少年の続編小説を別の筆者が創作。被告はパロディだと主張したが、少年を大人に設定し直しただけで性格などは原作を踏襲していることから、変形的利用の要件を満たしておらず、著作権侵害の判示となった。ただし一審では一時的出版差止が認められたものの、二審では差止に関する見解に修正が入っている。 [78]
ウォーレン出版対スパーロック裁判
(Warren Publishing Co. v. Spurlock d/b/a Vanguard Productions)
2009 E.D. Pa.
(645 F.Supp.2d 402)
フェアユース第1・第3・第4基準、職務著作 画像
(印刷書籍)
合法 当時フリーランサーだったコミック作家J. デヴィッド・スパーロック英語版のキャラクター「Gogos」がウォーレン出版のモンスター雑誌『Famous Monsters』191冊中51冊の表紙を飾った。ウォーレンはイラストの法人著作権を自社が有していると主張し、スパーロックは1回限りの使用許諾を雑誌社に与えたのみと主張。スパーロックがGogosのイラスト総集編を2006年に出版したことから訴訟となった。雑誌は四半世紀以上前に廃刊となっており、また表紙1ページのみで引用量が限定され、一部イラストは改稿されていることからフェアユース判定。アメリカン・コミックスにおけるクリエイターの権利も参照。 [78]
ゲイロード対アメリカ合衆国政府裁判
(Gaylord v. United States)
2010 Fed. Cir.
(595 F.3d 1364)
フェアユース第1基準 美術
(切手印刷)
違法 朝鮮戦争戦没者慰霊碑 (ウェスト・ポトマック公園英語版内) に屋外展示されている彫刻家フランク・ゲイロード英語版の彫刻作品19体のうち14体を、アメリカ合衆国郵便公社 (USPS) が朝鮮戦争の記念切手に使用。一審で著作権侵害は認められたものの損害賠償は5千ドルのみ。控訴審を経て約68万5千ドルに増額。3次元の彫刻を2次元の切手にするだけではフェアユース第1基準の変形的利用とは認められないと判示された。en: Frank Gaylord#Careerも参照。 [78]
Righthaven対リアリティ・ワン・グループ裁判
(Righthaven LLC v. Realty One Group, Inc.)
2010 D. Nev.
(No. 2:10-cv-LRH-PAL, 2010 WL 4115413)[注 18]
フェアユース第3・第4基準 文章
(デジタル)
合法 著作権侵害が疑われる著作物の著作権を買い取って訴訟ビジネスを行ういわゆる「コピーライト・トロール」会社のRighthavenによる訴訟。新聞記事冒頭8文を不動産会社がブログに転載。8文だけで記事の核心ではなく、潜在市場価値に影響しないためフェアユースが認められた。 [78]
Righthaven対JAMA裁判
(Righthaven LLC v. JAMA)
2011 D. Nev.
(No. 2:2010-cv-01322, 2011 WL 1541613)[注 18]
フェアユース第1・第4基準 文章
(デジタル)
合法 非営利団体JAMAは、警察による人種差別を指摘する目的で新聞記事を引用。Righthavenは新聞社から記事の著作権を購入した上でJAMAを提訴した。Righthavenが新聞社ではないことから、引用しても原告の潜在市場価値を損ねない。かつJAMAは非営利団体で引用目的も合致のため、フェアユースが認められた。 [78]
Righthaven対デモクラティック・アンダーグラウンド裁判
(Righthaven LLC v. Democratic Underground LLC)
2011 D. Nev.
(791 F. Supp. 2d 968)
DMCA、フェアユース第3基準 文章
(デジタル)
合法 オンラインの政治フォーラム "Democratic Underground" に新聞記事5文が引用された。当フォーラムはデジタルミレニアム著作権法 (DMCA) のセーフハーバー条項適用対象であり、かつ引用量は5文のみで収益インパクトも限定的なため、フェアユースが認められた。 [78]
ノースランド家族計画クリニック対バイオ倫理改革センター裁判
(Northland Family Planning Clinic v. Center for Bio-Ethical Reform)
2012 C.D. Cal.
(No. SACV 11-731 JVS)
フェアユース第1 (パロディ) 基準 映像
(デジタル以外)
合法 中絶擁護団体が作成した映像を流用し、中絶反対団体が比較映像を作成。一般的なパロディの定義にはユーモアやジョークなど笑いの要素が含まれるが、本件では笑いの一切ない批判や評論であってもパロディが成立すると判示された。 [78]
SOFAエンターテイメント対ドジャー・プロダクションズ裁判
(SOFA Entertainment, Inc. v. Dodger Productions, Inc.)
2013 9th Cir.
(No. 2:08-cv-02616)
フェアユース第1・第4基準 映像
(実演)
合法 バラエティTV番組『エド・サリヴァン・ショー』の映像7秒を使用し、ロックバンドのフォー・シーズンズのドキュメンタリー調ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』を創作。フォー・シーズンズの経歴を辿る目的で映像が使用されており、変形的利用が認めた。また当ミュージカルはステージ実演のみでDVD販売されていないことから、TV番組への損害が認められなかった。 [78]
カリウ対プリンス裁判
(Cariou v. Prince)
2013 2d Cir.
(714 F.3d 694)
フェアユース第1基準 絵画
(実物)
合法 フランス人写真家パトリック・カリウフランス語版ジャマイカで撮影した作品を収録した写真集『Yes Rasta』を発行。アメリカ人画家リチャード・プリンス英語版がカリウの写真を元に絵画作品『Canal Zone』を創作し、ギャラリー展示したほか、展示用カタログにも収録した[201]。変形的利用が認められた[155] [78][155]
アロー・プロダクションズ対ワインスタイン・カンパニー裁判
(Arrow Productions, LTD v. The Weinstein Company LLC)
2014 S.D. N.Y.
(2014 WL 4211350)
フェアユース第1基準 映像
(映画)
合法 1972年ポルノ映画の代表作『ディープ・スロート』 (アロー製作) に主演したAV女優リンダ・ラヴレースを人物主題にして、2013年に自伝映画『ラヴレース』 (ワインスタイン製作) が創作された。『ラヴレース』に『ディープ・スロート』の3シーンが映像引用されたが、リンダ・ラヴレースの自伝本に基づいて自伝映画は製作されていること、また批判的見地から主題を捉えなおしていることを理由に変形的利用が認められた。 [78]
キーニッツ対スコニー・ネイション裁判
(Kienitz v. Sconnie Nation)
2014 7th Cir.
(766 F.3d 756)
フェアユース第1基準 画像
(衣類)
合法 ウィスコンシン州の市長を撮影した写真家マイケル・キーニッツの作品を改変し、選挙アンチキャンペーン資金集めのためにスコニー・ネイション社がTシャツにプリントした。屈辱的な表情、背景の除去、文字追加など変形度が高かったことからフェアユース判定。 [78]
FOXニュース対TVEyes裁判
(Fox News v. TVEyes, Inc.)
2014 S.D. N.Y.
(43 F. Supp. 3d 379)
フェアユース第1・第3・第4基準 映像
(デジタル)
合法・違法混在 1400局以上のテレビやラジオのメディア報道データベース検索を提供するTVEyesは、有料会員に1クリップあたり最大10分のニュース映像を提供していた。第1基準に則り、キーワード検索や閲覧については営利目的ではあるが変形的利用が勝るとしてフェアユース判定となった。引用の質と量を計る第3基準では、10分制限でニュース全量が見られる点が指摘された。収益インパクトを問う第4基準では、会員自身のパソコンダウンロードや他者へのEmail回付機能について違法判定となった。違法機能については終局的差止命令が下された結果、TVEyesはFOXニュースの取扱を廃止決定した。en: 2019 in American television (1月21日の出来事)も参照。 [78]
ケンブリッジ大学出版局他対パットン裁判[注 24]
(Cambridge University Press v. Patton)
2014 11th Cir. Ga.
(769 F.3d 1232)
フェアユース第1-第4基準全て 文章
(デジタル)
合法 (一部違法) ジョージア州立大学著作権訴訟」とも[202]ジョージア州立大学コースリザーブ英語版の電子システム (予習教材や参考書などをデジタル化して受講生に提供する閲覧・ダウンロードシステム) を使用して著作物を無断で大量に複製提供しているとして、ケンブリッジ大学出版局オックスフォード大学出版局などが提訴[203]。一審ではフェアユース第4基準 (収益インパクト) のみ原告有利だが、第1~3基準は被告有利としてフェアユースを認めた。二審では一審を覆し、再審理で一審に差戻しを命じたものの、大半はフェアユースの判示となった。その後、原告らは再審を求めた結果、2016年には一部の著作物は著作権侵害が追加で認められた。フェアユース4基準のうち、第1: 25%、第2: 5%、第3: 30%、第4: 40%のウェイトで判断[202] [78][204]
全米作家協会対ハーティトラスト裁判
(Authors Guild, Inc. v. HathiTrust)
2014 2d Cir.
(755 F.3d 87)
フェアユース第1基準 文章
(デジタル)
合法 全米作家協会他対Google裁判の類似ケース。ハーティトラストGoogleブックスのスピンオフで図書館連携プロジェクト。蔵書アーカイブのデジタル化を行っており、著作権侵害が問われた。フェアユースの第1基準 (非営利性) に合致のため合法の判示。 [78][10]
スウォッチ対ブルームバーグ裁判
(Swatch Grp. Mgmt. Servs. Ltd. v. Bloomberg L.P. )
2014 2d Cir.
(742 F.3d 17)
フェアユース第1基準 文章および音声
(ニュース報道)
合法 時計メーカーであるスウォッチ・グループの役員から証券アナリストへの電話内容に収益性などの情報を含まれており、これを音声録音と文字書き起こしの形で経済メディアのブルームバーグが入手して公表。投資家への情報開示・報道目的であることから、フェアユース第1基準が定める「変形的利用」をそもそも満たす必要はないとされ、音声そのままの公表はフェアユースと判示された。 [78][205]
全米作家協会他対Google裁判
(Authors Guild v. Google, Inc.)
2015 2d Cir.
(No. 13-4829)
反トラスト法、フェアユース第1-第4基準全て 文章
(デジタル)
合法 Googleブックスが無断で書籍を大量デジタルスキャン。著作権者を代表して業界団体の全米作家協会らが集団訴訟を起こした。当初は裁判所も著作権侵害を認め、原告団有利の形で総額1億2500万米ドルの和解交渉を進めていたものの、最終的にフェアユース判定となった。和解によってGoogleの電子書籍市場における独占化が進行し、反トラスト法 (独占禁止法) への抵触が懸念され、競合のマイクロソフトAmazonYahoo!などが合従連衡で反対運動を展開したほか[206]、フランスとドイツ政府が米国裁判所に反対意見書を提出した[207][208][209]ことでも知られる。終結までに約11年を要した。 [78][205]
[210]
カッツ対シェヴァルディーナ裁判
(Katz v. Chevaldina)
2015 11th Cir.
(No. 14-14525)
フェアユース第1・第2基準 画像
(デジタル)
合法 別名「カッツ対Google裁判」。米不動産王のラーナン・カッツが所有するショッピングセンターの元テナント女性がカッツの屈辱的な画像をGoogle検索し、カッツの経営への不満を公表するブログ記事に掲載した。カッツは写真の著作権が自分にあると主張し、一次責任者としてブログ執筆女性と、二次責任者としてGoogleを提訴した (後に対Googleは取り下げ)。二審では、ブログ記事が批判かつ非営利目的であること (第1基準)、および写真がカッツのポーズや表現、衣服などを印象付けるような表現性に欠ける (第2基準) としてフェアユースを認めた。 [78]
イコールズ・スリー対ジューキン・メディア裁判
(Equals Three, LLC v. Jukin Media, Inc.)
2015 C.D. Cal.
(14-09041)
DMCA、フェアユース第1基準 映像
(デジタル)
合法 マッシュアップ型のデジタル二次的著作物の判例。ジューキン・メディア英語版は一般ユーザ作成動画を収集し、その動画の利用者に対して著作者の代わりに利用ライセンス料を徴収するオンライン・メディア。また自社製作の動画もYouTube等に公開している。人気YouTuberレイ・ウィリアム・ジョンソン率いるイコールズ・スリー社がYouTubeにアップロードした動画の一部を、ジューキンがデジタルミレニアム著作権法 (DMCA) が定めるノーティス・アンド・テイクダウンの手続に則り、YouTubeに削除要請し、代わりにジューキン公式のYouTubeチャネルにリンク誘導した。イコールズ・スリーは広告収入減とDMCA濫用でジューキンを提訴した。動画1点を除き、イコールズ・スリーは全て変形的利用が認められた。 [78]
キーリング対ハーズ裁判
(Keeling v. Hars)
2015 2d Cir.
(No. 13-694)
フェアユース第1基準 (パロディ) 映像
(映画)
合法 映画『ハートブルー』 (原題: Point Break) のパロディ。二次的著作物は著作権者の許諾が法的に必要となるが、パロディかつ付加が多いため許諾不要との判示。en: Derivative work#Lawful works requirementも参照。 [78]
TCAテレビジョン対マッカラム裁判
(TCA Television Corp. v. McCollum)
2016 2d Cir.
(No. 1:16-cv-0134)
フェアユース第1基準 (パロディ)・第4基準、更新手続 演劇
(実演)
違法 お笑いコンビのアボットとコステロの持ちネタ "Who's on first?" をパロディ化してブロードウェイミュージカルとして実演。一審は変形性が高いとしてフェアユース判定だったが二審で否定し、かつ第4基準の損害性があると判定。しかし著作者の相続人が著作物の更新手続を怠ったことから、原告の訴えを退けた。 [78]
Oracle対Google裁判
(Oracle America, Inc. v. Google, Inc.)
2019 最高裁で係争中[211] フェアユース第1-第4基準全て プログラム
(デジタル)
未決 Oracleサン・マイクロシステムズを企業買収する形で権利獲得したJava APIを、Googleが自社のモバイル用OSであるAndroidに利用したとして、特許権と著作権侵害で総額88億米ドル (約1兆円) の損害賠償を求めてOracleがGoogleを2010年に提訴した。一審では、陪審は著作権侵害の判断をしたものの、裁判所はJava APIが著作権保護の対象に当たらないとの理由で2012年に原告の主張を退けている。しかし2014年、二審では営利性および潜在市場への影響度の観点で圧倒的にOracle有利と見て著作権侵害を認めた。2019年1月、Googleは二度目の最高裁への上告受理申立 (certiorari) を行い[212][213][214]、同年11月に受理された[211] [215]

フェアユース関連以外

[編集]
判例の通称[注 9] 判決年 裁判所
(判例集番号)
争点 著作タイプ 判決 訴訟概要と判決要点 特筆性
ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判
(Nichols v. Universal Pictures Corp.)
1930 2d Cir.
(45 F.2d 119)
アイディア・表現二分論、言語著作物における実質的類似性英語版 文章
(舞台劇・映画)
合法 小説や脚本などの言語著作物から、逐語的ではなくコンセプトを利用した場合の不正盗用判定方法として「抽象化テスト」を確立した判例。舞台劇『Abie's Irish Rose英語版』の作者アン・ニコルズ英語版が、1926年公開のサイレント映画The Cohens and Kellys英語版』の製作者であるユニバーサル・ピクチャーズに盗用されたと主張。舞台劇は、ユダヤ人男性とアイルランド人女性の格差婚、そして両家を巻き込んだ葛藤を描く。映画は、男女の出身設定が逆転しているものの、同類のテーマ性であるが、(アイディア・表現二分論で定めるところの) アイディアでしかなく、著作権保護の適用となるオリジナル表現ではないと判示された。同様にシェイクスピアの手法、アインシュタインの相対性理論、ダーウィンの進化論を下敷きにする行為も著作権侵害にならないと例示された。 [216][217]
[218]
アルフレッド・ベル対カタルダ・ファインアーツ裁判
(Alfred Bell & Co. Ltd. v. Catalda Fine Arts, Inc.)
1951 2d Cir.
(191 F.2d 99)
二次的著作物、美術複製の保護要件 美術
(版画)
違法 メゾティント銅版を手掛けるイギリス人のアルフレッド・ベルは、著作権の保護期間が切れてパブリック・ドメイン (公有) に帰している名画を元に版画を制作し、アメリカ合衆国著作権局に著作権登録済であった。この版画を元にカタルダ社がリトグラフ化して販売した。カタルダは著作権侵害か、またベルの美術複製作品はそもそも著作権保護の対象なのかが問われた。メゾティント銅版を創作するには工具と複雑なスキルを要し、また色の選択などに創作性が認められることから、ベルの作品に著作物性があると判示された。詳細背景は 一審 を、美術複製の保護要件については「#ダーラム対トミー裁判」も参照のこと。 [219]
ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ対CBS裁判
(Warner Brothers Pictures, Inc. v. Columbia Broadcasting Systems, Inc.)
1954 9th Cir.
(216 F.2d 945)
アイディア・表現二分論、キャラクターの保護要件 文章
(小説・映画)
訴訟概要を参照 ハードボイルド探偵小説『マルタの鷹』に登場する探偵サム・スペードを巡る裁判。作者ハメットノップフ社英語版から単行本を出版し、ハメットとノップフは映画・ラジオ・テレビ番組化権をワーナーに譲渡した。その後、ハメットは別小説でもスペードなどのキャラクターを再登場させ、同様に映画化などの権利をCBSに譲渡したことから、ワーナーがキャラクターの独占権を主張した。漫画などのキャラクターと異なり、言語著作物のキャラクターは著作権保護されないとの判示。しかしこの基準は厳格すぎるとして、後の判事や法学者から否定的な意見もある。 [216][217]
モリシー対P&G裁判
(Morrissey v. Procter & Gamble Co.)
1967 1st Cir.
(379 F.2d 675)
アイディア・表現二分論 (マージ理論) 企画
(アイディア)
合法 マージ理論のリーディング・ケース。モリシーは販売促進用の宝くじを企画・運営していたが、応募者が氏名、住所、社会保障番号などを記入するその運用方法が、P&G主催の宝くじと類似しているとして提訴した裁判。アイディアを利用するにあたって、作品の複製を必要とする場合は、その複製行為は著作権侵害にあたらないとされ、既にくじの引き方というアイディアが枯渇しているものにまで著作権による独占を認めることは、社会的な損失になると判断された。 [220][221]
[222][223]
ハーバート・ローゼンタール・ジュエリー対カルパキアン裁判
(Herbert Rosenthal Jewelry Corporation v. Kalpakian)
1971 9th Cir.
(446 F.2d 738)
アイディア・表現二分論 デザイン
(実用品)
合法 宝飾メーカー同士の争い。宝石に金をあしらったミツバチ型の宝飾ピンを著作権登録済だったハーバートが、そのデザインを盗用されたとしてカルパキアンを提訴した。カルパキアンは自然界のミツバチを研究してデザインしており、両社とも実物のミツバチに似てはいるものの、デザインの盗用は否定された。また、アイディア・表現二分論に基づき、アイディア (ミツバチ型のピンを作る発想) とその表現 (出来上がったピンのデザイン) が不可分であることから、表現を模倣しても著作権侵害に当たらないと判示した。 [224][225]
レイヤー対CTW裁判
(Reyher v. Children's Television Workshop)
1971 2d Cir.
(533 F.2d 87)
アイディア・表現二分論 (ありふれた情景の理論)、実質的類似性英語版 (抽象化テスト) 文章
(テレビ)
合法 #ニコルズ対ユニバーサル・ピクチャーズ裁判」(1930年) と類似のケース。児童向けテレビ番組『セサミストリート』で描かれた芝居のプロットが、レイヤーの執筆した民話 (ロシア人の子供) と類似しているとして、同番組を製作するChildren's Television Workshop (現: Sesame Workshop) を提訴した。両作品に共通するのは迷子の子供が親と再会するというプロットであり、迷子の子供であれば必然的結末であるとされた。プロット以外では「雰囲気、細部、性格付け」に類似性がないとも判示された。当判決でも抽象化テストによってこれらの実質的類似性が判断された。原告は最高裁に上訴したものの、移送令状英語版 (ラテン語: certiorari) は却下されて二審で確定した。 [226]
モンティ・パイソン対ABC裁判
(Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc.)
1976 2d Cir.
(538 F.2d 14)
著作者人格権 (同一性保持権) 映像
(テレビ)
違法 著作者人格権のリーディング・ケース。モンティ・パイソン脚本・出演のテレビ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』(英国BBCにて原放送) が、米国ABCでも放送された際に一部内容が改変されたため、原著作物の同一性保持権が損なわれたとしてメンバーのテリー・ギリアム他がABCを提訴。一審は同一性の毀損を認めるも、改変の許諾・調整によってABCの放送に遅れが生ずると実損害が発生するとの理由から、実質敗訴。しかし二審は、編集カットによってモンティ・パイソンのブランドが毀損するとして勝訴の判決を下した。なお当時の米国はベルヌ条約批准していなかったことから、同条約が求めていた著作者人格権を米国著作権法上で明文化しておらず、人格権侵害はもっぱらコモンローに基づく司法判断に委ねられていた。そのため、人格権侵害が認められたケースは本件含めて非常に少ない。これが仮に、著作者人格権が明文化された1989年以降に提訴されていたら棄却されていただろうとも指摘されている。なぜならば、同権を謳う第106A条は狭義の視覚芸術著作物に限定されていることから、テレビ番組には適用不可と判断されうるためである。 [227][228]
[229][230]
ダーラム対トミー裁判
(Durham Industries, Inc. v. Tomy Corp.)
1980 2d Cir.
(630 F.2d 905)
二次的著作物、美術複製の保護要件 キャラクター
(玩具)
合法 ディズニーのキャラクターであるミッキーマウスドナルドダックおよびプルートがパブリック・ドメインに帰していたことから、玩具メーカー2社が同キャラクターそっくりのぜんまい式玩具を同時期に製造し、日系企業トミー (現タカラトミー) がダーラムを著作権侵害で提訴した。本件では映画やコミック本に登場する二次元キャラクターを三次元の小さなプラスチック玩具に作り替えただけでは、芸術的な創作性は認められないとの理由から、玩具自体の著作物性が否定された。美術複製の保護要件については「#アルフレッド・ベル対カタルダ・ファインアーツ裁判」も参照のこと。 [219]
Apple Computer対フランクリンコンピュータ裁判
(Apple Computer, Inc. v. Franklin Computer Corp.)
1983 3d Cir.
(714 F.2d 1240)
著作物の定義、アイディア・表現二分論 コンピュータ・プログラム
(デジタル)
違法 1980年の著作権法改正でコンピュータ・プログラムが著作権保護対象に加わった直後の判決。プログラミング言語で書かれたソースコードだけでなく、0と1の数字だけで機械的に変換表現されるオブジェクトコードや、OSROM (半導体チップの記憶媒体) に保存されたプログラムにまで著作権保護がおよぶと判示された[注 25]
1981年当時、Appleは年間40万台以上のパソコンを製造・販売していた。被告のフランクリン社製パソコンは1000台未満しか売れていなかったが、Apple製とのソフトウェアの互換性を売りにしていた。フランクリンがAppleのOSを不正盗用したとして、14のプログラムを対象に著作権と特許権侵害、不正競争防止違反、および不正流用で提訴。フランクリンはAppleの著作権登録に手続の不備があるとして、著作権保護対象ではないと抗弁したほか、訴訟対象を14から3プログラムに絞るよう要請した。フランクリンはAppleからの流用を認めた上で、互換性を担保するには必要不可欠な行為だとも主張した。しかし両社の製品は酷似していることから、被告の損害立証なしで一時差止命令を下した。
[232][233]
コロンビア映画対レッド・ホーン他裁判
(Columbia Pictures Industries, Inc. v. Redd Horne, Inc.)
1984 3d Cir.
(749 F.2d 154)
公衆実演権公衆展示権 映像
(ビデオ)
違法 ビデオレンタル・販売店が店内に視聴ブースを設けており、ブース内飲食も販売していたことから、著作権の一種である公衆実演権や公衆展示権[注 26]の侵害に該当するとして提訴された事件である[236]。このブースは個室であることから「公衆」(public) なのかが問われたが、不特定多数が来店すること、来店目的がビデオテープに限定されていること、映像の送信は個室ではなく店内で一括管理されていたことが考慮され、実演権・展示権侵害と判示された[236]
その後もビデオ鑑賞の「公衆」の定義が問われた判決が複数ある。ホテルのフロントで借りたビデオテープをホテル部屋内のVTRで宿泊客が鑑賞したケースは合法、ビデオのVTR再生ではなくオンデマンド配信でホテルの部屋内で鑑賞したケースは違法となっている[注 27]
[238][239]
ウォーカー対タイム・ライフ・フィルムズ裁判
(Walker v. Time Life Films Inc.)
1986 2d Cir.
(784 F.2d 44)
アイディア・表現二分論 (ありふれた情景の理論) 映像
(映画)
合法 1976年出版・ウォーカー著『Fort Apache』が1981年映画『アパッチ砦・ブロンクス』 (原題: Fort Apache, The Bronx) に盗用されたとして提訴した。両作とも黒人と白人警官の死亡事件で始まり、闘鶏、飲酒、部品を盗まれた車、売春、ネズミが登場するが、これらはニューヨーク州サウス・ブロンクスでたびたび報道されている事実であり、その設定に著作物性はないとし、「ありふれた情景の理論」の立場が取られた。en: Fort Apache, The Bronx#Legal issuesも参照。 [240][241]
ウィラン対ジャスロー歯科研究所裁判
(Whelan Associates, Inc, v. Jaslow Dental Laboratory, Inc.)
1986 3d Cir.
(797 F.2d 1222)
著作物の定義、アイディア・表現二分論 ソフトウェア
(デジタル)
違法 プログラムの著作物の保護対象の捉え方が単純かつ広すぎるとして、後の判例 (特に#コンピュータ・アソシエイツ対アルタイ裁判) で批判を受けたことでも知られる[242]。歯科用機材を製造するジャスロー社向けに、内蔵プログラムをウィラン社が開発した (Strohl社を間に挟んだ再委託)。ジャスロー社はIBM製「Series/1」(パソコンよりも前世代に登場したミニコンピュータ) を所有していたことから、ウィラン社はこれに対応して専用プログラミング言語のEDL英語版でソースコードを記述した。しかしパソコン上でも稼働できるように、ジャスロー社が後からより汎用的なプログラミング言語であるBASICを使って書き換えた。これを受けてウィラン社がジャスロー社を提訴した。当判決ではプログラムの目的・機能は「アイディア」(著作権保護の対象外) とした上で、プログラムの「構造、処理手順および構成」(structure, sequence, and organization) は「表現」であるとして著作権保護を認めた。 [243]
データイースト対エピックス裁判
(Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc.)
1988 9th Cir.
(862 F.2d 204)
アイディア・表現二分論 (ありふれた情景の理論)、ルック・アンド・フィール ゲーム
(デジタル)
合法 日本のゲーム会社データイーストがリリースした「空手道」(日本国外ではKarate Champの名称) が、イギリスのシステムⅢソフトウェア社からライセンス許諾を受けているカリフォルニア州企業エピックス社のゲーム「World Karate Champion」に盗用されたとして提訴。白と赤の空手着を身にまとった対戦相手、主審による勝者宣言、対戦ごとに異なる背景シーン、ボーナス・フェーズなどの設定が似ていたが、空手対戦ゲームという所与のアイディアから必然的に発生する標準的な表現にまで、著作権の保護を与えられないとされた。 [244][245]
キー出版対チャイナタウン・トゥデイ出版裁判
(Key Publications, Inc. v. Chinatown Today Publishing Enterprises, Inc.)
1991 2d Cir.
(945 F.2d 509)
アイディア・表現二分論 (額の汗の法理) 文書
(イエローページ)
違法 電話帳を巡る「#ファイスト判決」と類似争点。キー出版はニューヨークの中国系米国人向けにイエローページを年次発行していた。チャイナタウンの事業者の住所・電話番号などが英語と中国語で併記されており、掲載件数は9000件以上、260以上の独自カテゴリで分類されていた。一方、チャイナタウン・トゥデイ社もイエローページを出版しており、こちらは約2000件掲載 (うち約1500件はキー出版のものと重複)、28カテゴリ分類であった。キー出版社長のMs. Maはチャイナタウン・トゥデイ社の株式5割を保有していたことから、キー出版が著作権侵害でチャイナタウン・トゥデイ社と大株主のMaを提訴した[246]。キー出版のカテゴリは「豆腐 & もやし店」のような独自性の高いものが含まれていたことから、ファイスト判決とは異なってデータの選択・整理・配列に創作性が認められ、著作権侵害判定となった[247][注 28] [247]
アタリゲームズ対オマーン裁判
(Atari Games Corp. v. Oman)
1992 D.C. Cir.
(979 F.2d 242)
アイディア・表現二分論、編集著作物 ゲーム
(デジタル)
訴訟概要を参照 アタリ社製ゲームのブロックくずし (BREAKOUT) を視聴覚著作物のカテゴリで著作権登録申請するも、幾何学模様と色使いがシンプルなどの理由から著作物性を認めず、著作権局長英語版ラルフ・オマーン英語版が2度却下した。画面上に表示される色付きブロック自体には著作物性はないものの、音響を伴って連続した映像 (編集著作物) としては創作性があり、著作物性があると判示された。 [249]
コンピュータ・アソシエイツ対アルタイ裁判
(Computer Associates International, Inc. v. Altai, Inc.)
1992 2d Cir.
(982 F.2d 693)
著作物の定義、アイディア・表現二分論 ソフトウェア
(デジタル)
合法 #ウィラン対ジャスロー歯科研究所裁判」を批判してプログラムの著作権保護の対象を絞り込んだことで知られる[250]。コンピュータ・アソシエイツ (CA) 社はIBM製品メインフレーム (大型汎用コンピュータ) 上で動作するジョブ管理システム「CA-SCHEDULER」とそのサブプログラムである「ADAPTER」を開発した。このADAPTERは3つのOS上で稼働できる機能 (各OSに合わせてシステム的に翻訳する機能) を有するが、単独ではなくあくまでCA-SCHEDULERに付属して動作する。アルタイ社はCA社出身のプログラマを雇い、ADAPTERとほぼ同じソースコードの「OSCAR 3.4」を別途開発させた。後にアルタイ社はほぼ複製だと気づき、一から別のプログラマに「OSCAR 3.5」を開発させたものの、CA社がシステム構造 (structure) の実質的類似性英語版を理由に提訴した[250][251][注 29]。本件では抽象化・排除・比較テスト英語版 (別称: 3ステップ・テスト) を用いて、プログラムの非言語的な要素をどこまで著作権保護すべきか大きな指針を示したとされる[253]。結果、ジョブ管理の手法に著作権侵害や類似性は認められないと判示された[251] [242][254]
ガルーブ対任天堂裁判
(Lewis Galoob Toys, Inc. v. Nintendo of America, Inc.)
1992 9th Cir.
(964 F.2d 965)
翻案権 ゲーム
(デジタル)
合法 任天堂のゲームを機能拡張 (enhance) するデバイス "Game Genie" を玩具メーカーのガルーブ英語版社が開発したことから、これが任天堂のゲームの翻案権 (二次的著作物を無断で他者に創作されない権利) 侵害に該当するかが問われた[255]。Game Genie はゲーム主人公キャラクターのライフを増やしたり、キャラの動きを速くしたり、障害物の上をキャラが飛び越えられるなどモード変更を可能とする[256]。Game Genie は視聴覚的な表示を変更しているだけであり、既存の著作物たる任天堂のゲーム形式そのものに組み込まれているわけではなく、二次的著作物の無断作成に当たらないと判示された[256][255] [255]
ゲイツ・ラバー対バンドー化学裁判
(Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al)
1993 10th Cir.
(9 F.3d 823)
アイディア・表現二分論 ソフトウェア
(デジタル)
合法 機械用ベルト製造の競合同士の争い。ベルト製品開発用のソフトウェアに関する詳細設計やソースコードなどを元ゲイツ従業員が持ち出し、転職先のバンドー (日系企業の米国支部) で類似ソフトウェアを開発したとして、不正競争防止法違反、企業秘密の不正流用および著作権侵害でゲイツが提訴した。本件では著作権法上の実質的類似性英語版を検証する上で、抽象化・排除・比較テスト英語版 (別称: 3ステップ・テスト) の手法を確立させたとして知られている。 [257][258]
ABKCO対ステラー裁判
(ABKCO Music, Inc. v. Stellar Records, Inc.)
1996 11th Cir.
(96 F.3d 60)
強制許諾[注 30] 音楽
(デジタル)
違法 ロックバンドのローリング・ストーンズの複数楽曲[注 31]を伴奏とボーカルが入った状態で無断複製し、歌詞字幕を映像として被せて個人カラオケ用CD-ROM「CD + G's」を作成したとして、著作権者ABKCOレコードがステラー社を提訴した。商業用カラオケ店で歌詞付き映像を流す場合は、著作権法に則ってライセンス許諾が必要とされており、ストーンズのこれら楽曲は元々ABKCOがライセンス拒否してきたものである[260]。しかし著作権法 第115条 では事前通告の上で法定のライセンス料を支払えば、著作権者の許諾なしで楽曲を使用できると定めている。複製・頒布にあたってはメロディの基調や特徴をアレンジすることは禁じられているものの[260]、単にカバー曲を創作するだけならばライセンス料を支払えば合法であることから、第115条の強制許諾の範囲が本件では問われた[261]。一審ではABKCO勝訴で一時的差止命令が下り[260]、二審でもステラーの行為は第115条の範囲を超えていると判示された[261] [262][263]
キング牧師相続人対CBS裁判
(Estate of Martin Luther King, Jr., Inc. v. CBS, Inc.)
1999 11th Cir.
(194 F.3d 1211)
コモンロー・コピーライト、発行 (publication) の定義 映像
(演説)
違法 公民権運動家・キング牧師が1963年に行った有名な演説 "I Have a Dream" をCBS社が1994年製作ドキュメンタリーに無断で使用したことから訴訟に至った。当時の演説はテレビやラジオ、新聞などで全米中に報道されたことから、パブリックドメインに帰しており、著作権保護の対象外であるとCBSは抗弁した。一審はこれを認めたものの、二審ではコモンロー上の著作権によって保護されるとして一審の判決を覆した。コモンロー・コピーライトは主に未発行の著作物保護に用いられており、発行によってコモンロー・コピーライトによる保護は消滅することから、発行の定義が問われた。当判決では「一般的な発行」(general publication) と「制限的な発行」(limited publication) を峻別した上で、前者のみがコモンロー・コピーライトを消滅させると判断された。そして演説などの実演 (performance) はたとえ聴衆の数が多くとも、前者には該当しないと判示された。
1976年の著作権法改正によって、未発行の著作物も連邦法で保護されるようになったが、以降も未固定の著作物 (口頭による会話など) はコモンロー・コピーライトによる保護が認められている。
[264]
キャピトル・レコード他対アロージャン裁判
(Capitol Records Inc. v. Alaujan)
2009 D. Mass.
(593 F. Supp. 2d 319)
法定損害賠償、フェアユース 音楽
(インターネット)
違法 アメリカレコード協会 (RIAA) に加盟する音楽レーベル各社は2003年以降、約4万人の個人を相手に著作権侵害で個別訴訟を起こしていた[265]:63P2Pを使って楽曲を無断でファイルシェアしていた個人の多く (特に大学生ら) は和解となったものの、一部は法廷に争いが持ち込まれた[266][267]。いずれも著作権法 第504条(c) が定める法定損害賠償の範囲[注 32]が過度に高額であり、かつ法定損害賠償が非商用の侵害行為にも適用されるのは法的手続上、違憲であるとして反論している[266][269]。トマス・ラゼット訴訟 (24楽曲をKaZaAを使ってシェア) を例にとると、その賠償金額は一審の陪審が最初の審理で22万2千ドル、二度目では192万ドルとしたが判事が5万4千ドルに減額。陪審は三度目に150万ドルとしたが再び判事が5万4千ドルに減額したことから、原告団が控訴した。最終的に最初に陪審が示した22万2千ドル (1曲あたり9,250ドル) で決着した[270]:3–4。またテネンバウム (大学生) のケースではハーバード大学ロースクール教授チャールズ・ネッスン英語版が無償で訴訟代理人を務め、フェアユースの観点から法定損害賠償金額の高ぶれを訴えた。一審では当初、陪審による総額150万ドルの賠償金額が判事によって5万4千ドルに減額され、二審では67万5千ドルで最終決着した[271]:292 [78][271]
[269]
キャピトル・レコード他対トマス・ラゼット
(Capitol Records, Inc. v. Thomas-Rasset)
2012 8th Cir.
(No. 11-2820[注 18])
[271][272]
[265]:65–71
ソニーBMG他対テネンバウム裁判
(Sony BMG Music Entertainment v. Tenenbaum)
2013 1st Cir.
(No. 12–2146[注 18])
[271][272]
[265]:64–65
サルの自撮り裁判
(Naruto, et al. v. Slater, et al.)
2018 9th Cir.
(No. 16-15469)
人間以外の著作者、パブリックドメイン 画像
(デジタル)
訴訟概要を参照 英国人写真家スレイターがインドネシア滞在中、カメラとリモコンを意図的に放置したところ、クロザル自撮りをしたことから各種メディアにこの写真画像が取り上げられた。サルに著作権はないとして、このメディア掲載画像がウィキメディア・コモンズ上でパブリックドメイン作品として公有された。スレイターは自身に写真の著作権が帰属すると主張してウィキメディア財団と対立。さらに、動物の倫理的扱いを求める人々の会 (PETA) は動物にも著作権が認められると主張し、サルをNarutoと名付けて代理訴訟を起こした。一審はPETAの訴えを棄却し、二審への控訴中に当事者間で和解が成立した。 [273][274]
電子フロンティア財団対米国政府裁判
(Green, et al. v. U.S. Department of Justice, et al.)
2016年から係争中 D. D.C.
(未掲載)
言論の自由、デジタルミレニアム著作権法 (DMCA) の合憲性 - 未決 インターネット上の自由権を擁護する非営利組織の電子フロンティア財団 (EFF) は科学者らを代表する形で、DMCAが憲法修正第1条で定められた言論の自由に違反すると主張。DMCAによって改正追加された米国著作権法 第1201条 では、海賊版などを取り締まる目的でコピーガードアクセスコントロールを解除することを禁じている。しかし電子機器や工業用品の多くがソフトウェアを内蔵する今日において、これらメーカーから独立した第三者機関が修理や不具合の原因究明 (リバースエンジニアリング) を行おうとしても、第1201条に抵触してしまうからである[275][276]。EFFは司法省アメリカ議会図書館およびアメリカ合衆国著作権局 (略称: USCO) を提訴。USCOは2018年、EFFからの嘆願書の一部を受け入れ、Amazon Echoや車載ソフトウェア、個人用デジタル端末などに限定して、内蔵ソフトウェアの修繕や除去 (いわゆる脱獄) などを認めた[277] [278]

州裁判所の判例

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過去には未発行の著作物は主に州法、発行後の著作物は連邦法で保護される二元的な法体系であったが、1976年制定・1978年施行の著作権法改正英語版によって未発行の著作物も連邦著作権法で保護されることとなったことから、1978年以降は州法のコモンロー・コピーライト (判例法) による保護を求める機会は減少している[279]

判例の通称[注 9] 判決年 裁判所
(判例集番号)
争点 著作タイプ 判決 訴訟概要と判決要点 特筆性
プッシュマン対ニューヨーク・グラフィック・ソサエティ裁判
(Pushman v. New York Graphic Society, Inc.)
1942 NY Court of Appeals英語版[注 33]
(287 N.Y. 302; 39 N.E.2d 249; 52 U.S.P.Q. 273)
権利移転、所有権と著作権、未発行の著作物 美術
(絵画)
訴訟概要を参照 画家ホブセップ・プッシュマン英語版の1930年作 "When Autumn is Here," が、NYグランド・セントラル駅内に位置するギャラリー英語版を介して同年にイリノイ大学に売却された。通常このギャラリーでは売却先が複製ビジネスを手掛けている場合は複製権についても交渉するが、本件では対大学ということもあり、プッシュマンは複製権について留保とも譲渡とも主張していなかった。10年後の1940年、大学は本件の被告たるNYグラフィック・ソサエティ社に複製権を転売したことから、プッシュマンが差止命令を求めて提訴した[281]。絵画は当時の連邦著作権法 (1909年改正ベース) 上では「未発行」の扱いとなり、連邦法の保護対象ではなかったことから、州法のコモンロー・コピーライトに基づいて審理された。NY州上訴裁は所有権 (有体の絵画実物をコントロールする権利) と著作権 (無体の知的財産権) は別の概念であるとしつつも、絵画実物を売却した際に意思表示がなかったことから著作権の一部たる複製権も同時に売却先に権利移転したとみなし、プッシュマンの訴えを退けた[282] [283][282]

関連画像・音声・動画

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上述の判例に関連する画像、音声および動画を紹介する。

映像外部リンク
Oh, Pretty Woman - 著作者ロイ・オービソンの原曲 (本人公式YouTubeより)
Luther Campbell of 2 Live Crew's Historic Supreme Court Parody Case - パロディ作者・被告キャンベルによる "Big Hairy Woman" への変形経緯解説 (ケーブルテレビ局VH1公式YouTubeより)[106]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ アダルト映画製作Malibu Mediaの1社だけで2012年から2016年の間に累計5000件以上提訴していることから、この5年間の総件数の上振れ特殊要因となっている[2][3]。「年3000件前後」との記述からはこの上振れ要因を除いている。
  2. ^ これは合衆国憲法 第6編第2項の「連邦優位条項英語版[5]:103」(Supremacy Clause、別称: 最高法規条項[6]) が適用されるためである[6]
  3. ^ 詳細は著作権法 (アメリカ合衆国)#国際条約の加盟状況も参照のこと。米国著作権法第101条 (各種用語の定義) でも、「条約」の内訳が規定されている。たとえばベルヌ条約に米国は1988年に加入し、1989年3月1日から施行している[7]
  4. ^ 第107条の条文ではincludingsuch asといった表現が使われていることから、これら利用シーンや考慮点はあくまで例示である点に留意が必要である。用語の定義が記された第101条において、"The terms "including" and "such as" are illustrative and not limitative." (includingsuch asといった表現は例示であり、例以外を排除するものではない) と記されている。
  5. ^ Implementationは「実施」以外の訳があてられ、「ベルヌ条約履行法」[15]や「ベルヌ条約執行法」[16]と記述されることもある。本項ではLeaffer著・牧野監訳の表記に従った[17]
  6. ^ 州政府の作成した法令や判例集が著作権保護の対象となるか問われた判例が一部引用されることはある[29]
  7. ^ 専門書の一部には文献末尾に引用判例一覧を掲載していることがあるが[30][31]、連邦裁判所の判例で大半を占めている。
  8. ^ 例えば最高裁の判例 (2001年) 「#ニューヨーク・タイムズ他対タシーニ裁判」の場合[33]、著作権者を代表してジョナサン・タシーニ英語版らが新聞社ニューヨーク・タイムズなどを著作権侵害で提訴しており、一審および二審の合衆国控訴裁 (1997年) までは Tasini v. New York Times Co. と表記されている[34]。その後、被告ニューヨーク・タイムズなどが二審の判決を不服として上訴したことから、最高裁での裁判名は New York Times Co. v. Tasini (正式名はThe New York Times Company, Inc., et al., Petitioners v. Jonathan Tasini, et al.) と表記順が逆転している。
  9. ^ a b c d 英語の判例名は、引用文献によって略称を用いたり複数の原告・被告がいる場合に省略されるなどの表記揺れがある。たとえば「#ABC他対Aereo裁判」(573 U.S. 431 (2014)) の場合、Justiaでは判例名を "Am. Broad. Cos. v. Aereo, Inc." としており[36]Oyez Projectでは "ABC, Inc. v. Aereo, Inc." である[37]。連邦最高裁の書面上は "AMERICAN BROADCASTING COS., INC., ET AL. v. AEREO, INC., FKA BAMBOOM LABS, INC." が正式な訴訟名であり[38]、原告側に "et al." とある通り複数で構成されている。一審の連邦地裁の書面によると、Aereo社が配信していた番組にはABCの他、CBS、FOX、NBC、PBSなどの主力テレビ局が含まれている[39]。英語の判例名を引用した日本語の文献でも、判例名をそのまま英語表記することも多く、当表に記述した日本語の判例名は仮訳による参考情報の扱いとされたい。
  10. ^ 鉛筆削りはTed Arnold Ltd. v. Silvercraft Co. (259 F.Supp 733 (S.D.N.Y. 1956))、貯金箱はRoyalty Designs, Inc. v. Thrifticheck Serv. Corp. (204 F.Supp 702 (S.D.N.Y. 1962))、繊維製品はPeter Pan Fabrics, Inc. v. Martin Weiner Corp. (274 F.2d 487 (2nd Cir. 1960)) などが挙げられる[58]
  11. ^ West Publishing Co. v. Mead Data Central, Inc., 799 F.2d 1219 (8th Cir. 1986), cert. denied, 479 U.S. 1070 (1987)[98]
  12. ^ a b 米国の最高裁においては一般的には特定の判事が判旨を述べることとなっているが、ラテン語: per curiam (: by courtの意) の場合は最高裁の名において判決を下すことを意味する。必ずしも最高裁判事の全会一致を意味するところではないが、二審の控訴裁で下された判決を三審の最高裁も支持する場合、裁判所判断英語版 (per curiam decision) の形態がとられる[110]
  13. ^ ミッキーマウスの著作権保護期間が切れそうになると各国の著作権法が改正されて保護期間が延伸される様を「ミッキーマウス保護法」と皮肉を込めて呼ぶことがある[124]
  14. ^ 「MGM v. Grokster」とは別に「Lieber v. Consumer Empowerment」訴訟も同時期に発生し、正式事実審理の前段階で2本の訴訟は1本に併合されている[133]
  15. ^ 知的財産権における誘引侵害責任理論英語版とは、他者が権利侵害することを目的としており、その意図が何らかの形で明示されている状態でデバイスが頒布された場合、その頒布者は責任を負うとする考え方である[135]:2
  16. ^ a b エルゼビアシュプリンガー・ネイチャーワイリーテイラー・アンド・フランシスアメリカ化学会が学術出版業界の世界ビッグ5とされる。科学論文の56%は5社のいずれかの出版物に掲載されている[140]
  17. ^ ケーブルテレビの公衆実演権に関する2008年の判決 Cartoon Network LP v. CSC Holdings, Inc., 536 F.3d 121 (2d Cir. 2008) を論拠としている。この2008年判決では、各家庭に設置されたケーブルボックスにネットワークDVR英語版 (remote-storage digital video recording、RS-DVR) をつなげて番組をデジタル録画しても公衆実演権の侵害に当たらないと判示された[161]:467–468
  18. ^ a b c d e f 判例集へ未掲載のため、裁判所による訴訟管理番号を代わりに記載。
  19. ^ スター対ヴァーシティ以前の類似判例としては、2012年の第2巡回区控訴裁判決 Jovani Fashion Ltd. v. Fiesta Fashions, 2d Cir., 12-598-cv, 10/15/12 が知られている[65][169]Jovani Fashion英語版プロム (学校卒業時のダンスパーティ) 用ドレスブランドで知られているが、Jovani判決ではドレスのデザインは著作権保護の対象外と判示されていた[169]:6。Jovani判決以前にも、貴金属として装飾性の高いベルトの留め具を巡る Kieselstein-Cord v. Accessories by Pearl, Inc., 632 F.2d 989, 991, 993 (2d Cir. 1980)[169]:4[170] や一般的なデザイン商品である自転車の金属ラックを巡る Brandir Int’l, Inc. v. Cascade Pac. Lumber Co., 834 F.2d 1142, 1145 (2d Cir. 1987)[169]:4[171]がある。Kieselstein-Cord判決では分離可能、Brandir International判決では分離不可とされている[172]
  20. ^ Folsom, Wells and Thurstonが正式社名[179]
  21. ^ Marsh, Capen and Lyonが正式社名[179]
  22. ^ 英米法における寄与侵害 (contributory infringement) と代位侵害 (vicarious liabilityまたはvicarious infringement) は、いずれも二次侵害 (間接侵害) の一部である。著作権法においては、直接的に著作権侵害の行為は行っていないものの、そのような侵害行為が起こりうると分かっていながら、誘発するような間接的な関与をしていれば寄与侵害に当たる。また、侵害行為を行わないよう監督権限を負っている者がその義務を怠った場合は代位侵害に当たる[185]。代位とは英米法における代理法に基づいており[186]、雇用者 (使用者) だけでなく信託や組合といったあらゆる個人・法人の信認関係 (fiduciary relation) を有する代理人 (エージェント) 全般に適用される[187]:1–2。代理法についてはアメリカ法律協会英語版 (ALI) が発行する第3次リステイトメントに詳細定義されている[187]:1
  23. ^ 二審の原告団はA&Mレコードゲフィン・レコードインタースコープ・レコードMCAレコードアイランド・レコードモータウン (以上6レーベルはユニバーサル ミュージック グループ傘下) のほか、ソニー・ミュージックエンタテインメントMCAレコード (ワーナー・ミュージック・グループ傘下)、およびキャピトル・レコード (当時は英国EMI傘下) によって構成された[191]
  24. ^ 原告団はジョージア州立大学ではなく、個別の教員を相手に訴訟を起こしている。Patton以外にも別途、Cambridge University Press et al. v. Becker の訴訟も発生している[202]
  25. ^ コンピュータ・プログラムの著作物は、記述された言語の観点からはソースコード (プログラマが特定の言語で記述し、他者が読解可能) とオブジェクトコード (0と1の数字の羅列であるため人間には読解困難) に分類される。また機能面からは、表計算やゲームなどユーザが直接触れて操作するアプリケーション・プログラム (ソフトウェア) と、コンピュータ内部の管理・統制を行うOSに分類される。オブジェクトコードやOSまでもが、アイディア・表現二分論上の「表現」とみなせるか。換言すると、米国著作権法第102条(b) で定義された「プロセス、システム、操作方法」といった「アイディア」に分類されて著作権保護はおよばないのではないかが当裁判で問われることとなった[231]
  26. ^ 著作権法第106条および第101条の定義によると、実演とは朗読、表現、演劇、ダンスまたは上演とされており、また展示とは著作物のコピーを直接展示することあるいはフィルムやスライド、TV映像などの装置を使って見せることを指す[234]。実演または展示を公衆に対して行う権利が著作権者に独占的に認められている[235]
  27. ^ ビデオテープをホテルの部屋内に設置されたVTRで再生・鑑賞して「公衆」に該当しないと判示されたケースは Columbia Pictures Industries, Inc. v. Professional Real Estate Investors, Inc., 866 F.2d 278, 9 U.S.P.Q.2d 1653 (9th Cir. 1989) を、ホテルの部屋で宿泊客が選ぶとホテルのオンデマンドシステムからビデオが配信され、他の宿泊客はそのビデオが見られなくなるケースは On Command Video Corp. v. Columbia Pictures Industries, 777 F.Supp. 787, 21 U.S.P.Q. 2d 1545 (N.D.Cal. 1991) をそれぞれ参照のこと[237]
  28. ^ 電話帳やイエローページのような編集著作物の場合、集めたデータそのものの創作性は著作権保護にあたって問われない。素材が何であれ、その選択・整理・配列に創作性があるかが法的保護の要件となる[248]
  29. ^ 実質的類似性については、第9巡回区控訴裁、第2巡回区控訴裁、第10巡回区控訴裁で判定方法にやや違いが見られる[252]。第10巡回区は「#ゲイツ・ラバー対バンドー化学裁判」も参照のこと。
  30. ^ 第115条は楽曲 (事前通告および法定のロイヤリティ支払が必要)、第111条はケーブルテレビ等による番組の二次送信、第118条は非商用放送の一部、第119条は家庭用の私用視聴を目的とする衛星放送の番組二次送信がそれぞれ強制許諾の対象として規定されている。強制許諾に伴うロイヤリティの支払は、連邦議会図書館配下の著作権使用料審判官が徴収や紛争仲裁の役割を担う (著作権法第801条 - 805条)[259]
  31. ^ サティスファクション」((I Can't Get No) Satisfaction)、「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」(Jumpin' Jack Flash)、「ブラウン・シュガー」(Brown Sugar) などのヒット曲が含まれる[260]
  32. ^ 著作権法第504条(c)(2) の規定に基づき、故意による著作権侵害の場合は著作物1点あたり750ドル以上15万ドル以下で法定損害賠償 (statutory damages) の金額が決定される (1999年法改正により引き上げ)[268]
  33. ^ ニューヨーク州上訴裁判所英語版 (New York Court of Appeals) は三審制をとるニューヨーク州裁判所における最上級審である[280]:8

出典

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関連項目

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外部リンク

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引用文献

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