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「アルデヒドデヒドロゲナーゼ」の版間の差分

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{{enzyme
{{重複|article=yes|date=2017年3月|dupe=アセトアルデヒド脱水素酵素}}
| Name = アルデヒドデヒドロゲナーゼ
'''アルデヒドデヒドロゲナーゼ''' (aldehyde dehydrogenase、ALDH) <!--(EC.1.1.1.2、EC.1.1.1.3、EC.1.1.1.5)-->は[[アルデヒド]]を酸化して[[カルボン酸]]にする反応を触媒する[[酵素]]である。
| EC_number = 1.2.1.3
| CAS_number = 9028-86-8
| IUBMB_EC_number = 1/2/1/3
| GO_code = 0004029
| image = Monomer with an NAD (with surface).png
| width =
| caption =NAD<sup>+</sup>の[[空間充填モデル]]を[[活性部位]]に入れたヒト[[ALDH2]]<ref name="pmid12795606"/>
}}
'''アルデヒドデヒドロゲナーゼ''' ('''アルデヒド脱水素酵素'''、'''Aldehyde dehydrogenase''', '''ALDH'''; {{EC number|1.2.1.3}})は[[アルデヒド]]から[[カルボン酸]]への[[酸化反応]]を[[触媒]]する[[酵素]]群およびそれをコードする[[遺伝子]]群である<ref name="松本2016" /><ref name="Vasiliou_2005" />。生物一般に存在し、[[基質 (化学)|基質]]である有害なアルデヒドを代謝することで多くの生理的機能を持つ<ref name="Vasiliou_2005">{{Cite journal |last=Vasiliou |first=Vasilis |last2=Nebert |first2=Daniel W |date=2005-06-01 |title=Analysis and update of the human aldehyde dehydrogenase (ALDH) gene family |url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3525259/ |journal=Human Genomics |volume=2 |issue=2 |pages=138–143 |DOI=10.1186/1479-7364-2-2-138 |doi=10.1186/1479-7364-2-2-138 |issn=1473-9542 |PMID=16004729 |pmid=16004729 |PMC=3525259 |pmc=3525259}}</ref><ref name="Singh2012" />。


現在までに[[ヒトゲノム]]中には19個のALDH遺伝子が存在することが知られており、ヒトにおけるALDH遺伝子の欠損はアルコール([[エタノール]])の摂取による{{仮リンク|フラッシング反応|en|Alcohol flush reaction}}や、{{仮リンク|シェーグレン・ラルソン症候群|en|Sjögren–Larsson syndrome}}などの[[先天性異常]]を引き起こすこと、様々な疾患のリスクを増減させることが知られている。
[[生物]]に普遍的に存在し、[[ヒト]]には17種類のALDHファミリータンパク質が存在する<ref>Sladek, N. E. (2003). "Human aldehyde dehydrogenases: potential pathological, pharmacological, and toxicological impact". ''J. Biochem. Mol. Toxicol.'' '''17''': 7–23.</ref>。


==酵素活性==
==ヒトのALDHの例==
アルデヒドデヒドロゲナーゼとして触媒する化学反応は以下のとおりである。
;ALDH1A (RALDH)

:[[レチナール]]の酸化により[[レチノイン酸]]を作り出す酵素。レチノイン酸は[[ビタミンA]]が生体内で働く際の本体で、[[目]]や[[骨]]の形成など様々な[[分化]]過程に関わる。このため、ALDH1A の機能に異常があると正常に[[発生 (生物学)|発生]]が進行しない。[[分子量]]は約 55 kDa。四量体として機能する。ALDH1A1 (RALDH1)、ALDH1A2 (RALDH2)、ALDH1A3 (RALDH3) の3種があり、それぞれ異なった[[組織 (生物学)|組織]]発現様式を示す。
<chem>R-CHO + NAD(P)+ + H2O -> R-COOH + NAD(P)H + H+</chem>
;ALDH2 (ALDH I)

:[[肝臓]]、[[心臓]]、[[腎臓]]、[[筋肉]]に多く存在する。[[細胞]]内では[[ミトコンドリア]]に局在するが[[ミトコンドリアDNA]]にコードされるミトコンドリア[[遺伝子]]ではなく[[細胞核|核]]ゲノム遺伝子に由来する。一般に[[アルコール (食品)|アルコール]]に弱い人はアルコールに強い人に比べて持っている ALDH2 の活性が弱い。
この酵素反応は以下の[[アシル化]]と脱アシル化の2つのステップに分けられる<ref name="Tsybovsky2011">{{Cite journal |last=Tsybovsky |first=Yaroslav |last2=Krupenko |first2=Sergey A. |date=2011-07-01 |title=Conserved Catalytic Residues of the ALDH1L1 Aldehyde Dehydrogenase Domain Control Binding and Discharging of the Coenzyme |url=http://www.jbc.org/lookup/doi/10.1074/jbc.M111.221069 |journal=Journal of Biological Chemistry |volume=286 |issue=26 |pages=23357–23367 |language=en |DOI=10.1074/jbc.M111.221069 |doi=10.1074/jbc.M111.221069 |issn=0021-9258 |PMID=21540484 |pmid=21540484 |PMC=PMC3123100 |pmc=PMC3123100}}</ref>。
:ALDH2 遺伝子には少なくとも4種の[[対立遺伝子]]が報告されているが、[[日本人|東アジア人]]が一般に持つのは ALDH2*1 と ALDH2*2 で、ALDH2*2 が機能喪失型。四量体として機能し、ALDH2*2 を持つ複合体は機能を持たないため、ヘテロ接合型でも ALDH2 の活性が極端に下がる。
;アシル化
:活性部位の[[システイン]]がアルデヒドの[[カルボニル炭素]]に求核攻撃し、チオヘミアセタール中間体を形成する。次いで、[[水素化物イオン]]がアルデヒドから[[NAD+|NAD<sup>+</sup>]]または[[NADP+|NADP<sup>+</sup>]]のニコチンアミド環のC4原子に移動し、チオヘミアセタールが[[チオエステル]]中間体へ遷移する。
;脱アシル化
:活性化された水分子により[[チオエステル]]が[[加水分解]]され、[[カルボン酸]]が生成される。

[[ファイル:Aldehyde dehydrogenase mechanism.png|center|600 px|ALDHのアルデヒドデの酸化反応における触媒作用機構]]

==構造==
[[File:ALDH3A1 bound to NAD+.jpg|thumb|right|ヒトALDH3A1の活性部位]]

ホモ[[四量体]]またはホモ[[二量体]]の構造をとる<ref>{{Cite journal |last=Hayes |first=Kevin |last2=Noor |first2=Mohamed |last3=Djeghader |first3=Ahmed |last4=Armshaw |first4=Patricia |last5=Pembroke |first5=Tony |last6=Tofail |first6=Syed |last7=Soulimane |first7=Tewfik |date=2018-12 |title=The quaternary structure of Thermus thermophilus aldehyde dehydrogenase is stabilized by an evolutionary distinct C-terminal arm extension |url=http://www.nature.com/articles/s41598-018-31724-8 |journal=Scientific Reports |volume=8 |issue=1 |pages=13327 |language=en |doi=10.1038/s41598-018-31724-8 |issn=2045-2322 |pmid=30190503 |pmc=PMC6127216}}</ref>。

アルデヒドデヒドロゲナーゼ反応において、アルデヒドはALDHの表面から突出したチャネル部分から活性部位へ入り、[[補因子]]であるNAD(P)<sup>+</sup>と反応して酸化される<ref name="Liu et al1997"/>。そのため、このチャネル部分の大きさや形が基質となる物質の選択に影響を与えていると考えられており、実際に[[脊椎動物]]のALDH1は[[レチナール]]を、ALDH2は[[アセトアルデヒド]]を主な基質とする<ref>{{Cite journal |last=Sobreira |first=Tiago J. P. |last2=Marlétaz |first2=Ferdinand |last3=Simões-Costa |first3=Marcos |last4=Schechtman |first4=Deborah |last5=Pereira |first5=Alexandre C. |last6=Brunet |first6=Frédéric |last7=Sweeney |first7=Sarah |last8=Pani |first8=Ariel |last9=Aronowicz |first9=Jochanan |date=2011-01-04 |title=Structural shifts of aldehyde dehydrogenase enzymes were instrumental for the early evolution of retinoid-dependent axial patterning in metazoans |url=http://www.pnas.org/lookup/doi/10.1073/pnas.1011223108 |journal=Proceedings of the National Academy of Sciences |volume=108 |issue=1 |pages=226–231 |language=en |doi=10.1073/pnas.1011223108 |issn=0027-8424 |pmid=21169504 |pmc=PMC3017150}}</ref>。活性部位は{{仮リンク|ロスマンフォールド|en|Rossmann fold}}を含んでおり、それを構成するシステインとグルタミン酸が補因子と直接結合している<ref name="Liu et al1997"/><ref name="Tsybovsky2011" />。

==生理的機能==
内因性のアルデヒドは主に[[アミノ酸]]や[[炭水化物]]、[[脂肪酸]]などの代謝によって生産される<ref name="Vasiliou_2005" />。外因性のアルデヒドは多くの薬や環境中の物質が生体内で変換され、アルデヒドとなる<ref name="Vasiliou_2005" />。アルデヒドは一般的に活性の高い物質であり、生体にとって有害となるため、ALDHは多くの場合有害なアルデヒドを酸化により効果的に無毒化する役割を担っている<ref name="Vasiliou_2005" />。

==その他の酵素活性および生理的機能==
また、上述のNAD(P)<sup>+</sup>依存的なアルデヒド酸化反応だけでなく、ALDHファミリーに属する酵素はそれぞれ様々な機能を持つことがわかっている<ref name="Vasiliou_2005" />。酵素として[[エステル]]の加水分解反応や、[[硝酸]]還元反応を触媒するものもある<ref name="Vasiliou_2005" />。さらに酵素としての働き以外にも[[アンドロゲン]]や[[アセトアミノフェン]]などの内因性および外因性の化学物質と結合能を持つものが含まれている。さらに、NADPH、NADHの産生によって細胞内の酸化還元バランスの維持に寄与していることも知られている<ref name="Vasiliou_2005" />。

==進化と分類==
ALDHは[[細菌]]から[[菌類]]、[[植物]]、[[動物]]まで生物一般に広く保存されている<ref name="Vasiliou_2005" />。これまでに発見されているALDHはその[[アミノ酸配列]]から24のファミリーに分類され、それぞれ属するファミリーに応じた名前がつけられている<ref>{{Cite journal |last=V |first=Vasiliou |last2=A |first2=Bairoch |last3=Kf |first3=Tipton |last4=Dw |first4=Nebert |date=1999 Aug |title=Eukaryotic Aldehyde Dehydrogenase (ALDH) Genes: Human Polymorphisms, and Recommended Nomenclature Based on Divergent Evolution and Chromosomal Mapping |url=https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10780262/ |language=en |pmid=10780262}}</ref>。

[[チンパンジー]]と[[オランウータン]]のゲノムには18種類のALDH遺伝子が含まれており、それぞれヒトの19種類のALDH遺伝子と対応しているが、それよりも遠い[[マカク]]と[[コモンマーモセット]]はそれぞれ20、16種類のALDHを持っている<ref name="Jackson2011">{{Cite journal |last=Jackson |first=Brian |last2=Brocker |first2=Chad |last3=Thompson |first3=David C |last4=Black |first4=William |last5=Vasiliou |first5=Konstandinos |last6=Nebert |first6=Daniel W |last7=Vasiliou |first7=Vasilis |date=2011 |title=Update on the aldehyde dehydrogenase gene (ALDH) superfamily |url=http://humgenomics.biomedcentral.com/articles/10.1186/1479-7364-5-4-283 |journal=Human Genomics |volume=5 |issue=4 |pages=283 |language=en |DOI=10.1186/1479-7364-5-4-283 |doi=10.1186/1479-7364-5-4-283 |issn=1479-7364 |PMID=21712190 |pmid=21712190 |PMC=PMC3392178 |pmc=PMC3392178}}</ref>。ヒトのALDH遺伝子の[[オルソログ]]は[[マウス]]や[[ラット]]でも保存されているが、[[げっ歯類]]ではALDH1A1、ALDH3B2の相同遺伝子がそれぞれ[[遺伝子重複]]を起こしており、全部で21種類のALDH遺伝子が存在する<ref name="Jackson2011" />。[[ウシ]]や[[キンカチョウ]]、[[ニワトリ]]、[[ゼブラフィッシュ]]のゲノムにおいてはヒトに存在するALDH遺伝子がそれぞれいくつか失われており、またいくつかは遺伝子重複が起こっている<ref name="Jackson2011" />。

==ヒトにおけるALDH==
ヒトゲノム中には19種類のALDH遺伝子が存在することが知られており、内因性および外因性のアルデヒドの解毒を含む様々な生物学的プロセスに関与している<ref name="Vasiliou_2005" />。アミノ酸配列に基づく[[系統樹]]解析によれば、11のファミリーと4つのサブファミリーに分類可能である<ref name="Vasiliou_2005" />。ALDH2はALDH1ファミリーに含まれる遺伝子であるが、例外的に遺伝子間の系統関係が判明する前からつけられていた名前である「ALDH2」と呼ばれている<ref name="Vasiliou_2005" />。

ヒトALDH遺伝子には多くの[[多型]]が存在し、先天性異常の原因となるものもある。''ALDH2''遺伝子の多型はアセトアルデヒドの代謝に影響を与え、アルコールの摂取によるフラッシング反応や[[アルコール依存症]]のリスクの減少などを招く。それ以外のALDHの多型も様々な[[遺伝子疾患]]などとの関連が報告されている<ref name="松本2016">{{Cite journal |和書 |last=明子 |first=松本 |date=2016 |title=アルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の構造・機能の基礎とALDH2遺伝子多型の重要性 |url=https://doi.org/10.1265/jjh.71.55 |journal=日本衛生学雑誌 |volume=71 |issue=1 |pages=55-68 |publisher=日本衛生学会 |accessdate=2019-08-03 |DOI=10.1265/jjh.71.55 |doi=10.1265/jjh.71.55}}</ref><ref name="Jackson2011">{{Cite journal |last=Jackson |first=Brian |last2=Brocker |first2=Chad |last3=Thompson |first3=David C |last4=Black |first4=William |last5=Vasiliou |first5=Konstandinos |last6=Nebert |first6=Daniel W |last7=Vasiliou |first7=Vasilis |date=2011 |title=Update on the aldehyde dehydrogenase gene (ALDH) superfamily |url=http://humgenomics.biomedcentral.com/articles/10.1186/1479-7364-5-4-283 |journal=Human Genomics |volume=5 |issue=4 |pages=283 |language=en |DOI=10.1186/1479-7364-5-4-283 |doi=10.1186/1479-7364-5-4-283 |issn=1479-7364 |PMID=21712190 |pmid=21712190 |PMC=PMC3392178 |pmc=PMC3392178}}</ref>。

また、ALDHの多くは様々な[[癌|がん]]やがんの治療において重要な機能を持っていると考えられており、例えばALDH1A1はいくつかのオキサザホスホリン系の[[抗がん剤]]を阻害する活性を持ち、''ALDH2''遺伝子の欠損は胃がんや肺がんなどのリスクを上昇させる因子と考えられている<ref name="Marchitti2008">{{Cite journal |last=Marchitti |first=Satori A |last2=Brocker |first2=Chad |last3=Stagos |first3=Dimitrios |last4=Vasiliou |first4=Vasilis |date=2008-6 |title=Non-P450 aldehyde oxidizing enzymes: the aldehyde dehydrogenase superfamily |url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2658643/ |journal=Expert opinion on drug metabolism & toxicology |volume=4 |issue=6 |pages=697–720 |DOI=10.1517/17425250802102627 |doi=10.1517/17425250802102627 |issn=1742-5255 |PMID=18611112 |pmid=18611112 |PMC=2658643 |pmc=2658643}}</ref>。

;ALDH1A1
:ホモ四量体として機能し、ヒトの様々な組織の[[上皮細胞]]に存在する<ref name="Marchitti2008" />。高度に保存された[[細胞質]]局在性のALDHであり、ALDH1A2、ALDH1A3とともに[[レチナール]]を[[レチノイン酸]]に変換する反応を触媒する<ref name="Marchitti2008" />。ALDH1A1はオール-トランス-レチナールと9-シス-レチナールの両方に高い結合能を有している。ALDH1A1は[[エタノール]]の代謝における[[アセトアルデヒド]]の酸化に関与する主な酵素の1つであるとも考えられており、ALDH1A1の活性が低いいくつかの白人種におけるアルコール高感受の原因であると考えられている<ref name="Marchitti2008" />。ALDH1A1は酸化的ストレスに対する細胞防御においても重要な働きをしており、[[脂質過酸化反応]]由来のアルデヒドを高効率に酸化できる<ref name="Marchitti2008" />。
:またヒトの[[角膜]]および[[水晶体]]上皮に存在する水溶性タンパク質の2%から3%を占めており、ALDH3A1とともに[[紫外線]]によって生じた[[活性酸素種]]の無毒化に重要であることが示唆されている<ref name="Chen2012">{{Cite journal |last=Chen |first=Ying |last2=Thompson |first2=David C. |last3=Koppaka |first3=Vindhya |last4=Jester |first4=James V. |last5=Vasiliou |first5=Vasilis |date=2013-3 |title=Ocular Aldehyde Dehydrogenases: Protection against Ultraviolet Damage and Maintenance of Transparency for Vision |url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3570594/ |journal=Progress in retinal and eye research |volume=33 |pages=28–39 |DOI=10.1016/j.preteyeres.2012.10.001 |doi=10.1016/j.preteyeres.2012.10.001 |issn=1350-9462 |PMID=23098688 |pmid=23098688 |PMC=3570594 |pmc=3570594}}</ref>。
;ALDH1A2
:ALDH1A1と同様にオール-トランス-レチナールと9-シス-レチナールをレチノイン酸に変換する反応を触媒しており、特に前者に対し強い結合能を持つ<ref name="Marchitti2008" />。この特異的な結合能は活性中心付近に存在する特有のループ構造によると考えられている<ref name="Marchitti2008" />。
:ALDH1A1の[[多型]]は[[二分脊椎症]]と強い相関があることが知られているが、具体的な機能的重要性はわかっていない<ref name="Marchitti2008" />。ALDH1A2が存在する{{仮リンク|15番染色体|en|Chromosome 15}}の異常により引き起こされる[[先天性横隔膜ヘルニア]]との関連も報告されており、先天性横隔膜ヘルニアを誘導する物質がALDH1A2の活性を阻害することが知られている<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH1A3
:ホモ二量体を形成し、ALDH1A1と同様にレチナールをレチノイン酸に変換する反応を触媒する<ref name="Marchitti2008" />。''ALDH1A3''遺伝子の発現は唾液腺、胃、肺、乳房、腎臓と胎児の鼻粘膜に見られる<ref name="Marchitti2008" />。ALDH1A3の機能欠損が乳がんや結腸がんなどの様々ながんにおいて重要であることを示す研究が数多く報告されている。またALDH1A2と同様に先天性横隔膜ヘルニアにも関わることが知られている<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH1B1
:ミトコンドリア局在性のホモ四量体タンパク質であり、大人や胎児の肝臓や心臓などの様々な組織に存在する<ref name="Marchitti2008" />。ALDH2と高い配列相同性を持つことから、ALDH2と同様に体内においてアセトアルデヒドの酸化に関与していると考えられている<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH1L1
:複数のドメインからなるホモ四量体を形成し、アミノ末端にホルミルトランスフェラーゼドメイン、カルボキシ末端にALDHドメインを持つ<ref name="Marchitti2008" />。細胞内ではミトコンドリアと細胞質の両方に局在する。ALDH1L1は補基質の選択性が他のALDHと異なり、NADP+をより選択する<ref name="Marchitti2008" />。''ALDH1L1''遺伝子は肺、腎臓で高発現している<ref name="Marchitti2008" />。
:[[10-ホルミルテトラヒドロ葉酸]] (10-FTHF) 脱水素酵素 (10-FTHFD)という名前でも知られており、10-FTHFからテトラヒドロ葉酸(THF)を合成する反応を触媒する<ref name="Marchitti2008" />。
:ALDH1L1を培養した[[がん細胞]]で高発現させると、細胞増殖を抑えることが示されている<ref name="Marchitti2008" />。また、''ALDH1L1''遺伝子の[[一塩基多型]]は[[閉経]]後の[[乳がん]]のリスクを上昇させる<ref name="Marchitti2008" />。
:肝臓における[[メタノール]]から[[ギ酸]]への変換に重要な働きをしていることが知られており、他の動物に比べてヒトがメタノールの毒性に対して耐性が低いのは肝臓においてALDH1L1の活性が相対的に低いことが原因であると考えられている<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH1L2
:最も遅くに発見されたヒトALDHの1つであり、ALDH1L2と72%の配列相同性および同様のドメイン構造を持つ<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH2
:{{main|ALDH2}}
:ミトコンドリア局在性のALDHでありホモ四量体として存在する。肝臓や腎臓、心臓などの器官において発現している<ref name="Marchitti2008" />。エタノール代謝におけるアセトアルデヒドの主要酸化酵素であり、その機能欠損を引き起こす多型はアセトアルデヒドの蓄積によるアルコール毒性を引き起こす<ref name="Marchitti2008" />。
:アセトアルデヒドの酸化以外にも、脂肪酸過酸化由来のアルデヒドの酸化にも関与することや、硝酸還元酵素として機能することなども報告されている<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH3A1
:ホモ二量体で機能するALDHであり、角膜や胃などに蓄積する<ref name="Marchitti2008" />。最初に発見された角膜[[クリスタリン]]であり、角膜における水溶性タンパク質の最大50%を占める<ref name="Marchitti2008" /><ref name="Chen2012" />。ALDH1L1同様に紫外線によって誘導される活性酸素種の無毒化に重要であると考えられている<ref name="Marchitti2008" /><ref name="Chen2012" />。細胞中では細胞質だけでなく細胞核に局在することも知られており、アルデヒド量の調節を介して、DNA合成の抑制などを引き起こすことで細胞周期の調節に関与していると考えられている<ref name="Marchitti2008" />。ALDH3A1はオキシアザホスホリンの酸化によって様々ながんに対する薬剤の耐性に寄与することが知られているほか、[[非小細胞肺癌|非小細胞肺がん]]の[[マーカー遺伝子]]として活用できることなどが報告されている<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH3A2
:{{仮リンク|ミクロソーム|en|microsome}}局在性のホモ二量体ALDHで肝臓、腎臓や腸などの様々な組織に存在する<ref name="Marchitti2008" />。脂肪族アルデヒド脱水素酵素(FALDH)としても知られており、[[脂肪族アルコール]]から[[脂肪酸]]への酸化に寄与する。''ALDH3A2''遺伝子の欠損は常染色体性劣性遺伝性の神経皮膚疾患であるシェーグレン・ラルソン症候群を引き起こす<ref name="Marchitti2008" />。
:主要なALDH3A2タンパク質の他にマイナーな[[スプライシングバリアント]](fatty ALDH variant (FALDHv))が知られており、[[ペルオキシソーム]]に局在する<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH3B1
:腎臓と肝臓で高度に蓄積しており、肺や脳でも発現が見られる。脂肪族アルデヒドの酸化に関わる。''ALDH3B1''遺伝子の多型は妄想型[[統合失調症]]との関連が報告されており、脳において様々なアルデヒドの無毒化に関わっていることが予想されている<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH3B2
:ゲノム上で''ALDH3B1''遺伝子の隣に位置しており高い相同性を持つが、17番目の[[コドン]]が[[終止コドン]]になっていることから、[[偽遺伝子]]であると考えられている<ref name="Marchitti2008" />。しかし、''ALDH3B2''遺伝子の発現は唾液腺などの組織において観察されている<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH4A1
:[[1-ピロリン-5-カルボン酸|ピロリン-5-カルボン酸]](P5C)脱水素酵素としても知られている酵素であり、ミトコンドリア局在性のホモ二量体を形成し、肝臓や骨格筋などに高度に蓄積している<ref name="Marchitti2008" />。ALDH4A1はプロリンの分解に関与しており、NAD<sup>+</sup>依存的にP5Cを[[グルタミン酸]]に変換する反応を触媒する<ref name="Marchitti2008" />。''ALDH4A1''遺伝子の欠損は[[精神遅滞]]やP5Cの高レベルの蓄積を特徴とする常染色体性劣性遺伝疾患である高プロリン血症を引き起こす<ref name="Marchitti2008" />。
:短鎖あるいは中鎖の脂肪族アルデヒドの酸化反応において主たる役割を担うことも知られている<ref name="Marchitti2008" />。コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(SSADH)としても知られており、[[コハク酸セミアルデヒド]]をNAD<sup>+</sup>依存的に[[コハク酸]]に変換する反応を触媒する<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH5A1
:ミトコンドリア局在性のホモ四量体として存在し、肝臓や腎臓などに存在する<ref name="Marchitti2008" />。''ALDH5A1''遺伝子の欠損は[[γ-アミノ酪酸]](GABA)の代謝に異常が生じ、常染色体劣勢遺伝病である4-ヒドロキシ酪酸尿症を引き起こす<ref name="Vasiliou_2005" /><ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH6A1
:ミトコンドリア局在性のホモ四量体として存在し、肝臓や腎臓などに存在する<ref name="Marchitti2008" />。メチルマロン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼとしても知られており、ヒトにおいて唯一のCoA依存的ALDHである<ref name="Marchitti2008" />。マロン酸セミアルデヒドとメチルマロン酸セミアルデヒドを[[アセチルCoA]]と[[プロピオニルCoA]]に変換する反応を触媒する<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH7A1
:幅広い組織に存在し、[[胎児]]においては[[蝸牛]]、[[眼球]]、[[子宮]]などに高度に蓄積し、ホモ四量体として存在する<ref name="Marchitti2008" />。ALDH7A1は[[リジン]]の分解に機能しており、α-アミノアジピン酸セミアルデヒドを[[α-アミノアジピン酸]]に変換する反応を触媒する<ref name="Marchitti2008" />。''ALDH7A1''遺伝子の欠損はα-アミノアジピン酸セミアルデヒドの高蓄積を引き起こし、常染色体性劣性遺伝疾患であるピリドキシン依存性てんかんの原因となる<ref name="Marchitti2008" /><ref>{{Cite web |url=http://grj.umin.jp/grj/pds.htm |title=GRJ ピリドキシン依存性てんかん |accessdate=2020-06-20 |author=Sidney M Gospe, Jr |coauthors=山内あけみ |date=2012-1-31 |website=GeneReviews 日本語版 |publisher=GeneReviews Japan 運営事務局 |language=ja}}</ref>。
:ヒトALDH7A1は[[エンドウ]]において[[浸透圧]]ストレスによって誘導されるALDH7B1と高い相同性を持つ<ref name="Marchitti2008" />。ALDH7A1はストレスでは誘導されないが、蝸牛で発現していることから、浸透圧調節を介して聴力異常に関与していることが示唆されている<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH8A1
:細胞質局在性のALDHで、肝臓や腎臓に存在する。ALDH1ファミリーと同様にレチノイン酸の合成に関与することが考えられている<ref name="Marchitti2008" />。
;ALDH9A1
;ALDH9A1
:ミトコンドリア局在性のホモ四量体として存在し、肝臓や腎臓などに存在する<ref name="Marchitti2008" />。GABAの合成に関与しており、γ-アミノブチルアルデヒドをGABAへ変換する反応を触媒するほか、[[3,4-ジヒドロキシフェニルアセトアルデヒド]](DOPAL)やベタインアルデヒド、アセトアルデヒドなどの酸化にも関与すると考えられている<ref name="Marchitti2008" />。
:γ-アミノブチルアルデヒドから[[神経伝達物質]]である[[γアミノ酪酸]] (GABA) を作る。494 アミノ酸、分子量 54 kDa。四量体として機能する。
;ALDH16A1
:肝臓、[[副腎]]、腎臓で高い酵素活性が認められた一方で、[[ノーザンブロット]]では筋肉で最も高い[[mRNA]]の存在が確認された<ref>Izaguirre, G.; Kikonyogo, A.; Pietruszko, R. (1997). "Tissue distribution of human aldehyde dehydrogenase E3 (ALDH9): comparison of enzyme activity with E3 protein and mRNA distribution". ''Comp. Biochem. Physiol. B. Biochem. Mol. Biol.'' '''118''': 59–64.</ref> 。同様にノーザンブロットにより、[[脳]]の中では[[脊髄]]で最も高い発現がみられた<ref>Kikonyogo, A.; Pietruszko, R. (1996). "Aldehyde dehydrogenase from adult human brain that dehydrogenates gamma-aminobutyraldehyde: purification, characterization, cloning and distribution". ''Biochem. J.'' '''316''': 317–324.</ref>。
:最も遅くに発見されたヒトALDHの1つであり、ヒトの子宮から作られた{{仮リンク|cDNAライブラリー|en|cDNA library}}から単離された<ref name="Marchitti2008" />。骨髄や心臓などの様々な組織で発現が見られる<ref name="Marchitti2008" />。
<!--関連性?
;ALDH18A1
:Δ-ピロリン-5-カルボン酸シンターゼ(P5CS)としても知られており、アミノ末端のγ-グルタミルキナーゼドメインとγ-グルタミルリン酸レダクターゼドメインの2つのドメインからなる酵素である<ref name="Marchitti2008" />。膵臓や子宮などの内部ミトコンドリア膜に局在する<ref name="Marchitti2008" />。ALDH18A1はATPとNADPH依存的に、グルタミン酸を[[1-ピロリン-5-カルボン酸|Δ-ピロリン-5-カルボン酸]]に変換する反応を触媒する<ref name="Marchitti2008" />。この反応は生体における[[プロリン]]と[[アルギニン]]の合成に非常に重要であり、''ALDH18A1''遺伝子の欠損は様々な代謝・神経異常を引き起こす<ref name="Marchitti2008" />。

==植物におけるALDH==
ALDHの24種類のファミリーのうち、植物においては14種類のファミリーに属するALDHが見いだされており、そのうち7種類のファミリー(ALDH11, 12, 19, 21, 22, 23, 24)は植物に特異的に存在する<ref>{{Cite journal |last=Gautam |first=Ranjana |last2=Ahmed |first2=Israr |last3=Shukla |first3=Pawan |last4=Meena |first4=Rajesh Kumar |last5=Kirti |first5=P. B. |date=2019-05-07 |title=Genome-wide characterization of ALDH Superfamily in Brassica rapa and enhancement of stress tolerance in heterologous hosts by BrALDH7B2 expression |url=https://www.nature.com/articles/s41598-019-43332-1 |journal=Scientific Reports |volume=9 |issue=1 |pages=1–13 |language=en |doi=10.1038/s41598-019-43332-1 |issn=2045-2322}}</ref>。植物のALDHも様々な代謝経路に関わり、また分子的な解毒作用に重要な役割を担っていること、また様々な非生物学的ストレス耐性の獲得に寄与していることが示唆されている<ref name="Brocker2012">{{Cite journal |last=Brocker |first=Chad |last2=Vasiliou |first2=Melpomene |last3=Carpenter |first3=Sarah |last4=Carpenter |first4=Christopher |last5=Zhang |first5=Yucheng |last6=Wang |first6=Xiping |last7=Kotchoni |first7=Simeon O. |last8=Wood |first8=Andrew J. |last9=Kirch |first9=Hans-Hubert |date=2013-01 |title=Aldehyde dehydrogenase (ALDH) superfamily in plants: gene nomenclature and comparative genomics |url=http://link.springer.com/10.1007/s00425-012-1749-0 |journal=Planta |volume=237 |issue=1 |pages=189–210 |language=en |DOI=10.1007/s00425-012-1749-0 |doi=10.1007/s00425-012-1749-0 |issn=0032-0935 |PMID=23007552 |pmid=23007552 |PMC=PMC3536936 |pmc=PMC3536936}}</ref>。

[[トウモロコシ]]の{{仮リンク|細胞質雄性不稔|en|Cytoplasmic male sterility}}は様々なミトコンドリア遺伝子が関与していることが知られているが、その中で最初に同定された''RF2A''遺伝子はALDH2ファミリーに属するALDHをコードしており、''ALDH2B2''とも呼ばれる<ref>{{Cite journal |last=Skibbe |first=David S. |last2=Liu |first2=Feng |last3=Wen |first3=Tsui-Jung |last4=Yandeau |first4=Marna D. |last5=Cui |first5=Xiangqin |last6=Cao |first6=Jun |last7=Simmons |first7=Carl R. |last8=Schnable |first8=Patrick S. |date=2002 |title=Characterization of the aldehyde dehydrogenase gene families of Zea mays and Arabidopsis |url=http://link.springer.com/10.1023/A:1014870429630 |journal=Plant Molecular Biology |volume=48 |issue=5/6 |pages=751–764 |doi=10.1023/A:1014870429630}}</ref><ref name="Jimenez-Lopez2010">{{Cite journal |last=Jimenez-Lopez |first=Jose C. |last2=Gachomo |first2=Emma W. |last3=Seufferheld |first3=Manfredo J. |last4=Kotchoni |first4=Simeon O. |date=2010-12-29 |title=The maize ALDH protein superfamily: linking structural features to functional specificities |url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21190582 |journal=BMC structural biology |volume=10 |pages=43 |DOI=10.1186/1472-6807-10-43 |doi=10.1186/1472-6807-10-43 |issn=1472-6807 |PMID=21190582 |pmid=21190582 |PMC=3022562 |pmc=3022562}}</ref>。

==細菌におけるALDH==
細菌においてもALDHは有毒なアルデヒドの無毒化に寄与していることが推定されているが、その総体は体系的には調べられていない<ref name="Singh2012">{{Cite journal |last=Singh |first=Surendra |last2=Brocker |first2=Chad |last3=Koppaka |first3=Vindhya |last4=Ying |first4=Chen |last5=Jackson |first5=Brian |last6=Matsumoto |first6=Akiko |last7=Thompson |first7=David C. |last8=Vasiliou |first8=Vasilis |date=2013-3 |title=Aldehyde Dehydrogenases in Cellular Responses to Oxidative/electrophilic Stress |url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3631350/ |journal=Free radical biology & medicine |volume=56 |pages=89–101 |DOI=10.1016/j.freeradbiomed.2012.11.010 |doi=10.1016/j.freeradbiomed.2012.11.010 |issn=0891-5849 |PMID=23195683 |pmid=23195683 |PMC=3631350 |pmc=3631350}}</ref>。少なくとも環境や化学物質によるストレスに応答してALDHの発現量が上昇することは知られており、例えば[[大腸菌]]では[[過酸化水素水]]に応答してALDHの量が増加し、さらに大腸菌のALDHの主な生成物である[[グリコール酸]]やγ-アミノ酪酸、[[コハク酸]]の量が増加することが報告されている<ref name="Singh2012" />。

[[緑膿菌]]のALDH(PaBADH)は[[ベタインアルデヒドデヒドロゲナーゼ]]としてベタインアルデヒドから[[グリシンベタイン]]を生成することで浸透圧ストレスを軽減するだけでなく、NADPHを産生することによって体内の酸化ストレスのコントロールに寄与している<ref name="Singh2012" /><ref>{{Cite journal |last=Zaldívar-Machorro |first=Víctor J. |last2=López-Ortiz |first2=Manuel |last3=Demare |first3=Patricia |last4=Regla |first4=Ignacio |last5=Muñoz-Clares |first5=Rosario A. |date=2011-02 |title=The disulfiram metabolites S-methyl-N,N-diethyldithiocarbamoyl sulfoxide and S-methyl-N,N-diethylthiocarbamoyl sulfone irreversibly inactivate betaine aldehyde dehydrogenase from Pseudomonas aeruginosa, both in vitro and in situ, and arrest bacterial growth |url=https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S030090841000338X |journal=Biochimie |volume=93 |issue=2 |pages=286–295 |language=en |doi=10.1016/j.biochi.2010.09.022}}</ref>。

==関連項目==
==関連項目==
* [[酸化還元酵素]]
*[[アルコール脱水素酵素]]
*[[アルコール脱水素酵素]]
*[[アセトアルデヒド脱水素酵素]]-->
*[[アセトアルデヒド脱水素酵素]]


==脚注==
==脚注==
{{Reflist | refs =
{{reflist}}
<ref name="pmid12795606">{{PDB|1o02}}; {{cite journal | vauthors = Perez-Miller SJ, Hurley TD | title = Coenzyme isomerization is integral to catalysis in aldehyde dehydrogenase | journal = Biochemistry | volume = 42 | issue = 23 | pages = 7100–9 | date = June 2003 | pmid = 12795606 | doi = 10.1021/bi034182w }}</ref>
[[Category:EC 1.2.1|あるてひとてひとろけなせ]]
<ref name="Liu et al1997">{{cite journal | vauthors = Liu ZJ, Sun YJ, Rose J, Chung YJ, Hsiao CD, Chang WR, Kuo I, Perozich J, Lindahl R, Hempel J, Wang BC | title = The first structure of an aldehyde dehydrogenase reveals novel interactions between NAD and the Rossmann fold | journal = Nature Structural Biology | volume = 4 | issue = 4 | pages = 317–26 | date = April 1997 | pmid = 9095201 | doi = 10.1038/nsb0497-317 }}</ref>
{{DEFAULTSORT:あるでひどでひどろげなーぜ}}
}}

== 外部リンク ==
* {{MeshName|Aldehyde+dehydrogenase}}

[[Category:EC 1.2.1|あるてひとてひとろけなあせ]]
{{DEFAULTSORT:あるてひとてひとろけなあせ}}

2020年7月7日 (火) 17:10時点における版

アルデヒドデヒドロゲナーゼ
NAD+空間充填モデル活性部位に入れたヒトALDH2[1]
識別子
EC番号 1.2.1.3
CAS登録番号 9028-86-8
データベース
IntEnz IntEnz view
BRENDA BRENDA entry
ExPASy NiceZyme view
KEGG KEGG entry
MetaCyc metabolic pathway
PRIAM profile
PDB構造 RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum
遺伝子オントロジー AmiGO / QuickGO
検索
PMC articles
PubMed articles
NCBI proteins
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アルデヒドデヒドロゲナーゼアルデヒド脱水素酵素Aldehyde dehydrogenase, ALDH; EC 1.2.1.3)はアルデヒドからカルボン酸への酸化反応触媒する酵素群およびそれをコードする遺伝子群である[2][3]。生物一般に存在し、基質である有害なアルデヒドを代謝することで多くの生理的機能を持つ[3][4]

現在までにヒトゲノム中には19個のALDH遺伝子が存在することが知られており、ヒトにおけるALDH遺伝子の欠損はアルコール(エタノール)の摂取によるフラッシング反応や、シェーグレン・ラルソン症候群英語版などの先天性異常を引き起こすこと、様々な疾患のリスクを増減させることが知られている。

酵素活性

アルデヒドデヒドロゲナーゼとして触媒する化学反応は以下のとおりである。

この酵素反応は以下のアシル化と脱アシル化の2つのステップに分けられる[5]

アシル化
活性部位のシステインがアルデヒドのカルボニル炭素に求核攻撃し、チオヘミアセタール中間体を形成する。次いで、水素化物イオンがアルデヒドからNAD+またはNADP+のニコチンアミド環のC4原子に移動し、チオヘミアセタールがチオエステル中間体へ遷移する。
脱アシル化
活性化された水分子によりチオエステル加水分解され、カルボン酸が生成される。
ALDHのアルデヒドデの酸化反応における触媒作用機構
ALDHのアルデヒドデの酸化反応における触媒作用機構

構造

ヒトALDH3A1の活性部位

ホモ四量体またはホモ二量体の構造をとる[6]

アルデヒドデヒドロゲナーゼ反応において、アルデヒドはALDHの表面から突出したチャネル部分から活性部位へ入り、補因子であるNAD(P)+と反応して酸化される[7]。そのため、このチャネル部分の大きさや形が基質となる物質の選択に影響を与えていると考えられており、実際に脊椎動物のALDH1はレチナールを、ALDH2はアセトアルデヒドを主な基質とする[8]。活性部位はロスマンフォールドを含んでおり、それを構成するシステインとグルタミン酸が補因子と直接結合している[7][5]

生理的機能

内因性のアルデヒドは主にアミノ酸炭水化物脂肪酸などの代謝によって生産される[3]。外因性のアルデヒドは多くの薬や環境中の物質が生体内で変換され、アルデヒドとなる[3]。アルデヒドは一般的に活性の高い物質であり、生体にとって有害となるため、ALDHは多くの場合有害なアルデヒドを酸化により効果的に無毒化する役割を担っている[3]

その他の酵素活性および生理的機能

また、上述のNAD(P)+依存的なアルデヒド酸化反応だけでなく、ALDHファミリーに属する酵素はそれぞれ様々な機能を持つことがわかっている[3]。酵素としてエステルの加水分解反応や、硝酸還元反応を触媒するものもある[3]。さらに酵素としての働き以外にもアンドロゲンアセトアミノフェンなどの内因性および外因性の化学物質と結合能を持つものが含まれている。さらに、NADPH、NADHの産生によって細胞内の酸化還元バランスの維持に寄与していることも知られている[3]

進化と分類

ALDHは細菌から菌類植物動物まで生物一般に広く保存されている[3]。これまでに発見されているALDHはそのアミノ酸配列から24のファミリーに分類され、それぞれ属するファミリーに応じた名前がつけられている[9]

チンパンジーオランウータンのゲノムには18種類のALDH遺伝子が含まれており、それぞれヒトの19種類のALDH遺伝子と対応しているが、それよりも遠いマカクコモンマーモセットはそれぞれ20、16種類のALDHを持っている[10]。ヒトのALDH遺伝子のオルソログマウスラットでも保存されているが、げっ歯類ではALDH1A1、ALDH3B2の相同遺伝子がそれぞれ遺伝子重複を起こしており、全部で21種類のALDH遺伝子が存在する[10]ウシキンカチョウニワトリゼブラフィッシュのゲノムにおいてはヒトに存在するALDH遺伝子がそれぞれいくつか失われており、またいくつかは遺伝子重複が起こっている[10]

ヒトにおけるALDH

ヒトゲノム中には19種類のALDH遺伝子が存在することが知られており、内因性および外因性のアルデヒドの解毒を含む様々な生物学的プロセスに関与している[3]。アミノ酸配列に基づく系統樹解析によれば、11のファミリーと4つのサブファミリーに分類可能である[3]。ALDH2はALDH1ファミリーに含まれる遺伝子であるが、例外的に遺伝子間の系統関係が判明する前からつけられていた名前である「ALDH2」と呼ばれている[3]

ヒトALDH遺伝子には多くの多型が存在し、先天性異常の原因となるものもある。ALDH2遺伝子の多型はアセトアルデヒドの代謝に影響を与え、アルコールの摂取によるフラッシング反応やアルコール依存症のリスクの減少などを招く。それ以外のALDHの多型も様々な遺伝子疾患などとの関連が報告されている[2][10]

また、ALDHの多くは様々ながんやがんの治療において重要な機能を持っていると考えられており、例えばALDH1A1はいくつかのオキサザホスホリン系の抗がん剤を阻害する活性を持ち、ALDH2遺伝子の欠損は胃がんや肺がんなどのリスクを上昇させる因子と考えられている[11]

ALDH1A1
ホモ四量体として機能し、ヒトの様々な組織の上皮細胞に存在する[11]。高度に保存された細胞質局在性のALDHであり、ALDH1A2、ALDH1A3とともにレチナールレチノイン酸に変換する反応を触媒する[11]。ALDH1A1はオール-トランス-レチナールと9-シス-レチナールの両方に高い結合能を有している。ALDH1A1はエタノールの代謝におけるアセトアルデヒドの酸化に関与する主な酵素の1つであるとも考えられており、ALDH1A1の活性が低いいくつかの白人種におけるアルコール高感受の原因であると考えられている[11]。ALDH1A1は酸化的ストレスに対する細胞防御においても重要な働きをしており、脂質過酸化反応由来のアルデヒドを高効率に酸化できる[11]
またヒトの角膜および水晶体上皮に存在する水溶性タンパク質の2%から3%を占めており、ALDH3A1とともに紫外線によって生じた活性酸素種の無毒化に重要であることが示唆されている[12]
ALDH1A2
ALDH1A1と同様にオール-トランス-レチナールと9-シス-レチナールをレチノイン酸に変換する反応を触媒しており、特に前者に対し強い結合能を持つ[11]。この特異的な結合能は活性中心付近に存在する特有のループ構造によると考えられている[11]
ALDH1A1の多型二分脊椎症と強い相関があることが知られているが、具体的な機能的重要性はわかっていない[11]。ALDH1A2が存在する15番染色体英語版の異常により引き起こされる先天性横隔膜ヘルニアとの関連も報告されており、先天性横隔膜ヘルニアを誘導する物質がALDH1A2の活性を阻害することが知られている[11]
ALDH1A3
ホモ二量体を形成し、ALDH1A1と同様にレチナールをレチノイン酸に変換する反応を触媒する[11]ALDH1A3遺伝子の発現は唾液腺、胃、肺、乳房、腎臓と胎児の鼻粘膜に見られる[11]。ALDH1A3の機能欠損が乳がんや結腸がんなどの様々ながんにおいて重要であることを示す研究が数多く報告されている。またALDH1A2と同様に先天性横隔膜ヘルニアにも関わることが知られている[11]
ALDH1B1
ミトコンドリア局在性のホモ四量体タンパク質であり、大人や胎児の肝臓や心臓などの様々な組織に存在する[11]。ALDH2と高い配列相同性を持つことから、ALDH2と同様に体内においてアセトアルデヒドの酸化に関与していると考えられている[11]
ALDH1L1
複数のドメインからなるホモ四量体を形成し、アミノ末端にホルミルトランスフェラーゼドメイン、カルボキシ末端にALDHドメインを持つ[11]。細胞内ではミトコンドリアと細胞質の両方に局在する。ALDH1L1は補基質の選択性が他のALDHと異なり、NADP+をより選択する[11]ALDH1L1遺伝子は肺、腎臓で高発現している[11]
10-ホルミルテトラヒドロ葉酸 (10-FTHF) 脱水素酵素 (10-FTHFD)という名前でも知られており、10-FTHFからテトラヒドロ葉酸(THF)を合成する反応を触媒する[11]
ALDH1L1を培養したがん細胞で高発現させると、細胞増殖を抑えることが示されている[11]。また、ALDH1L1遺伝子の一塩基多型閉経後の乳がんのリスクを上昇させる[11]
肝臓におけるメタノールからギ酸への変換に重要な働きをしていることが知られており、他の動物に比べてヒトがメタノールの毒性に対して耐性が低いのは肝臓においてALDH1L1の活性が相対的に低いことが原因であると考えられている[11]
ALDH1L2
最も遅くに発見されたヒトALDHの1つであり、ALDH1L2と72%の配列相同性および同様のドメイン構造を持つ[11]
ALDH2
ミトコンドリア局在性のALDHでありホモ四量体として存在する。肝臓や腎臓、心臓などの器官において発現している[11]。エタノール代謝におけるアセトアルデヒドの主要酸化酵素であり、その機能欠損を引き起こす多型はアセトアルデヒドの蓄積によるアルコール毒性を引き起こす[11]
アセトアルデヒドの酸化以外にも、脂肪酸過酸化由来のアルデヒドの酸化にも関与することや、硝酸還元酵素として機能することなども報告されている[11]
ALDH3A1
ホモ二量体で機能するALDHであり、角膜や胃などに蓄積する[11]。最初に発見された角膜クリスタリンであり、角膜における水溶性タンパク質の最大50%を占める[11][12]。ALDH1L1同様に紫外線によって誘導される活性酸素種の無毒化に重要であると考えられている[11][12]。細胞中では細胞質だけでなく細胞核に局在することも知られており、アルデヒド量の調節を介して、DNA合成の抑制などを引き起こすことで細胞周期の調節に関与していると考えられている[11]。ALDH3A1はオキシアザホスホリンの酸化によって様々ながんに対する薬剤の耐性に寄与することが知られているほか、非小細胞肺がんマーカー遺伝子として活用できることなどが報告されている[11]
ALDH3A2
ミクロソーム英語版局在性のホモ二量体ALDHで肝臓、腎臓や腸などの様々な組織に存在する[11]。脂肪族アルデヒド脱水素酵素(FALDH)としても知られており、脂肪族アルコールから脂肪酸への酸化に寄与する。ALDH3A2遺伝子の欠損は常染色体性劣性遺伝性の神経皮膚疾患であるシェーグレン・ラルソン症候群を引き起こす[11]
主要なALDH3A2タンパク質の他にマイナーなスプライシングバリアント(fatty ALDH variant (FALDHv))が知られており、ペルオキシソームに局在する[11]
ALDH3B1
腎臓と肝臓で高度に蓄積しており、肺や脳でも発現が見られる。脂肪族アルデヒドの酸化に関わる。ALDH3B1遺伝子の多型は妄想型統合失調症との関連が報告されており、脳において様々なアルデヒドの無毒化に関わっていることが予想されている[11]
ALDH3B2
ゲノム上でALDH3B1遺伝子の隣に位置しており高い相同性を持つが、17番目のコドン終止コドンになっていることから、偽遺伝子であると考えられている[11]。しかし、ALDH3B2遺伝子の発現は唾液腺などの組織において観察されている[11]
ALDH4A1
ピロリン-5-カルボン酸(P5C)脱水素酵素としても知られている酵素であり、ミトコンドリア局在性のホモ二量体を形成し、肝臓や骨格筋などに高度に蓄積している[11]。ALDH4A1はプロリンの分解に関与しており、NAD+依存的にP5Cをグルタミン酸に変換する反応を触媒する[11]ALDH4A1遺伝子の欠損は精神遅滞やP5Cの高レベルの蓄積を特徴とする常染色体性劣性遺伝疾患である高プロリン血症を引き起こす[11]
短鎖あるいは中鎖の脂肪族アルデヒドの酸化反応において主たる役割を担うことも知られている[11]。コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(SSADH)としても知られており、コハク酸セミアルデヒドをNAD+依存的にコハク酸に変換する反応を触媒する[11]
ALDH5A1
ミトコンドリア局在性のホモ四量体として存在し、肝臓や腎臓などに存在する[11]ALDH5A1遺伝子の欠損はγ-アミノ酪酸(GABA)の代謝に異常が生じ、常染色体劣勢遺伝病である4-ヒドロキシ酪酸尿症を引き起こす[3][11]
ALDH6A1
ミトコンドリア局在性のホモ四量体として存在し、肝臓や腎臓などに存在する[11]。メチルマロン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼとしても知られており、ヒトにおいて唯一のCoA依存的ALDHである[11]。マロン酸セミアルデヒドとメチルマロン酸セミアルデヒドをアセチルCoAプロピオニルCoAに変換する反応を触媒する[11]
ALDH7A1
幅広い組織に存在し、胎児においては蝸牛眼球子宮などに高度に蓄積し、ホモ四量体として存在する[11]。ALDH7A1はリジンの分解に機能しており、α-アミノアジピン酸セミアルデヒドをα-アミノアジピン酸に変換する反応を触媒する[11]ALDH7A1遺伝子の欠損はα-アミノアジピン酸セミアルデヒドの高蓄積を引き起こし、常染色体性劣性遺伝疾患であるピリドキシン依存性てんかんの原因となる[11][13]
ヒトALDH7A1はエンドウにおいて浸透圧ストレスによって誘導されるALDH7B1と高い相同性を持つ[11]。ALDH7A1はストレスでは誘導されないが、蝸牛で発現していることから、浸透圧調節を介して聴力異常に関与していることが示唆されている[11]
ALDH8A1
細胞質局在性のALDHで、肝臓や腎臓に存在する。ALDH1ファミリーと同様にレチノイン酸の合成に関与することが考えられている[11]
ALDH9A1
ミトコンドリア局在性のホモ四量体として存在し、肝臓や腎臓などに存在する[11]。GABAの合成に関与しており、γ-アミノブチルアルデヒドをGABAへ変換する反応を触媒するほか、3,4-ジヒドロキシフェニルアセトアルデヒド(DOPAL)やベタインアルデヒド、アセトアルデヒドなどの酸化にも関与すると考えられている[11]
ALDH16A1
最も遅くに発見されたヒトALDHの1つであり、ヒトの子宮から作られたcDNAライブラリー英語版から単離された[11]。骨髄や心臓などの様々な組織で発現が見られる[11]
ALDH18A1
Δ-ピロリン-5-カルボン酸シンターゼ(P5CS)としても知られており、アミノ末端のγ-グルタミルキナーゼドメインとγ-グルタミルリン酸レダクターゼドメインの2つのドメインからなる酵素である[11]。膵臓や子宮などの内部ミトコンドリア膜に局在する[11]。ALDH18A1はATPとNADPH依存的に、グルタミン酸をΔ-ピロリン-5-カルボン酸に変換する反応を触媒する[11]。この反応は生体におけるプロリンアルギニンの合成に非常に重要であり、ALDH18A1遺伝子の欠損は様々な代謝・神経異常を引き起こす[11]

植物におけるALDH

ALDHの24種類のファミリーのうち、植物においては14種類のファミリーに属するALDHが見いだされており、そのうち7種類のファミリー(ALDH11, 12, 19, 21, 22, 23, 24)は植物に特異的に存在する[14]。植物のALDHも様々な代謝経路に関わり、また分子的な解毒作用に重要な役割を担っていること、また様々な非生物学的ストレス耐性の獲得に寄与していることが示唆されている[15]

トウモロコシ細胞質雄性不稔英語版は様々なミトコンドリア遺伝子が関与していることが知られているが、その中で最初に同定されたRF2A遺伝子はALDH2ファミリーに属するALDHをコードしており、ALDH2B2とも呼ばれる[16][17]

細菌におけるALDH

細菌においてもALDHは有毒なアルデヒドの無毒化に寄与していることが推定されているが、その総体は体系的には調べられていない[4]。少なくとも環境や化学物質によるストレスに応答してALDHの発現量が上昇することは知られており、例えば大腸菌では過酸化水素水に応答してALDHの量が増加し、さらに大腸菌のALDHの主な生成物であるグリコール酸やγ-アミノ酪酸、コハク酸の量が増加することが報告されている[4]

緑膿菌のALDH(PaBADH)はベタインアルデヒドデヒドロゲナーゼとしてベタインアルデヒドからグリシンベタインを生成することで浸透圧ストレスを軽減するだけでなく、NADPHを産生することによって体内の酸化ストレスのコントロールに寄与している[4][18]

関連項目

脚注

  1. ^ PDB: 1o02​; “Coenzyme isomerization is integral to catalysis in aldehyde dehydrogenase”. Biochemistry 42 (23): 7100–9. (June 2003). doi:10.1021/bi034182w. PMID 12795606. 
  2. ^ a b 明子, 松本「アルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の構造・機能の基礎とALDH2遺伝子多型の重要性」『日本衛生学雑誌』第71巻第1号、日本衛生学会、2016年、55-68頁、doi:10.1265/jjh.71.552019年8月3日閲覧 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m Vasiliou, Vasilis; Nebert, Daniel W (2005-06-01). “Analysis and update of the human aldehyde dehydrogenase (ALDH) gene family”. Human Genomics 2 (2): 138–143. doi:10.1186/1479-7364-2-2-138. ISSN 1473-9542. PMC 3525259. PMID 16004729. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3525259/. 
  4. ^ a b c d Singh, Surendra; Brocker, Chad; Koppaka, Vindhya; Ying, Chen; Jackson, Brian; Matsumoto, Akiko; Thompson, David C.; Vasiliou, Vasilis (2013-3). “Aldehyde Dehydrogenases in Cellular Responses to Oxidative/electrophilic Stress”. Free radical biology & medicine 56: 89–101. doi:10.1016/j.freeradbiomed.2012.11.010. ISSN 0891-5849. PMC 3631350. PMID 23195683. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3631350/. 
  5. ^ a b Tsybovsky, Yaroslav; Krupenko, Sergey A. (2011-07-01). “Conserved Catalytic Residues of the ALDH1L1 Aldehyde Dehydrogenase Domain Control Binding and Discharging of the Coenzyme” (英語). Journal of Biological Chemistry 286 (26): 23357–23367. doi:10.1074/jbc.M111.221069. ISSN 0021-9258. PMC PMC3123100. PMID 21540484. http://www.jbc.org/lookup/doi/10.1074/jbc.M111.221069. 
  6. ^ Hayes, Kevin; Noor, Mohamed; Djeghader, Ahmed; Armshaw, Patricia; Pembroke, Tony; Tofail, Syed; Soulimane, Tewfik (2018-12). “The quaternary structure of Thermus thermophilus aldehyde dehydrogenase is stabilized by an evolutionary distinct C-terminal arm extension” (英語). Scientific Reports 8 (1): 13327. doi:10.1038/s41598-018-31724-8. ISSN 2045-2322. PMC PMC6127216. PMID 30190503. http://www.nature.com/articles/s41598-018-31724-8. 
  7. ^ a b “The first structure of an aldehyde dehydrogenase reveals novel interactions between NAD and the Rossmann fold”. Nature Structural Biology 4 (4): 317–26. (April 1997). doi:10.1038/nsb0497-317. PMID 9095201. 
  8. ^ Sobreira, Tiago J. P.; Marlétaz, Ferdinand; Simões-Costa, Marcos; Schechtman, Deborah; Pereira, Alexandre C.; Brunet, Frédéric; Sweeney, Sarah; Pani, Ariel et al. (2011-01-04). “Structural shifts of aldehyde dehydrogenase enzymes were instrumental for the early evolution of retinoid-dependent axial patterning in metazoans” (英語). Proceedings of the National Academy of Sciences 108 (1): 226–231. doi:10.1073/pnas.1011223108. ISSN 0027-8424. PMC PMC3017150. PMID 21169504. http://www.pnas.org/lookup/doi/10.1073/pnas.1011223108. 
  9. ^ V, Vasiliou; A, Bairoch; Kf, Tipton; Dw, Nebert (1999 Aug) (英語). Eukaryotic Aldehyde Dehydrogenase (ALDH) Genes: Human Polymorphisms, and Recommended Nomenclature Based on Divergent Evolution and Chromosomal Mapping. PMID 10780262. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10780262/. 
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  12. ^ a b c Chen, Ying; Thompson, David C.; Koppaka, Vindhya; Jester, James V.; Vasiliou, Vasilis (2013-3). “Ocular Aldehyde Dehydrogenases: Protection against Ultraviolet Damage and Maintenance of Transparency for Vision”. Progress in retinal and eye research 33: 28–39. doi:10.1016/j.preteyeres.2012.10.001. ISSN 1350-9462. PMC 3570594. PMID 23098688. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3570594/. 
  13. ^ Sidney M Gospe, Jr; 山内あけみ (2012年1月31日). “GRJ ピリドキシン依存性てんかん”. GeneReviews 日本語版. GeneReviews Japan 運営事務局. 2020年6月20日閲覧。
  14. ^ Gautam, Ranjana; Ahmed, Israr; Shukla, Pawan; Meena, Rajesh Kumar; Kirti, P. B. (2019-05-07). “Genome-wide characterization of ALDH Superfamily in Brassica rapa and enhancement of stress tolerance in heterologous hosts by BrALDH7B2 expression” (英語). Scientific Reports 9 (1): 1–13. doi:10.1038/s41598-019-43332-1. ISSN 2045-2322. https://www.nature.com/articles/s41598-019-43332-1. 
  15. ^ Brocker, Chad; Vasiliou, Melpomene; Carpenter, Sarah; Carpenter, Christopher; Zhang, Yucheng; Wang, Xiping; Kotchoni, Simeon O.; Wood, Andrew J. et al. (2013-01). “Aldehyde dehydrogenase (ALDH) superfamily in plants: gene nomenclature and comparative genomics” (英語). Planta 237 (1): 189–210. doi:10.1007/s00425-012-1749-0. ISSN 0032-0935. PMC PMC3536936. PMID 23007552. http://link.springer.com/10.1007/s00425-012-1749-0. 
  16. ^ Skibbe, David S.; Liu, Feng; Wen, Tsui-Jung; Yandeau, Marna D.; Cui, Xiangqin; Cao, Jun; Simmons, Carl R.; Schnable, Patrick S. (2002). “Characterization of the aldehyde dehydrogenase gene families of Zea mays and Arabidopsis”. Plant Molecular Biology 48 (5/6): 751–764. doi:10.1023/A:1014870429630. http://link.springer.com/10.1023/A:1014870429630. 
  17. ^ Jimenez-Lopez, Jose C.; Gachomo, Emma W.; Seufferheld, Manfredo J.; Kotchoni, Simeon O. (2010-12-29). “The maize ALDH protein superfamily: linking structural features to functional specificities”. BMC structural biology 10: 43. doi:10.1186/1472-6807-10-43. ISSN 1472-6807. PMC 3022562. PMID 21190582. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21190582. 
  18. ^ Zaldívar-Machorro, Víctor J.; López-Ortiz, Manuel; Demare, Patricia; Regla, Ignacio; Muñoz-Clares, Rosario A. (2011-02). “The disulfiram metabolites S-methyl-N,N-diethyldithiocarbamoyl sulfoxide and S-methyl-N,N-diethylthiocarbamoyl sulfone irreversibly inactivate betaine aldehyde dehydrogenase from Pseudomonas aeruginosa, both in vitro and in situ, and arrest bacterial growth” (英語). Biochimie 93 (2): 286–295. doi:10.1016/j.biochi.2010.09.022. https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S030090841000338X. 

外部リンク