「タタールスタン航空363便墜落事故」の版間の差分
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2020年3月23日 (月) 09:23時点における版
事故機のVQ-BBN(2011年5月撮影) | |
事故の概要 | |
---|---|
日付 | 2013年11月17日 |
概要 | パイロットエラー |
現場 |
ロシア・タタールスタン共和国カザン カザン国際空港 北緯55度36分32秒 東経49度16分37秒 / 北緯55.60889度 東経49.27694度座標: 北緯55度36分32秒 東経49度16分37秒 / 北緯55.60889度 東経49.27694度 |
乗客数 | 44 |
乗員数 | 6 |
負傷者数 | 0 |
死者数 | 50 (全員) |
生存者数 | 0 |
機種 | ボーイング737-53A |
運用者 | タタールスタン航空 |
機体記号 | VQ-BBN |
出発地 | モスクワ州、ドモジェドヴォ国際空港 |
目的地 | カザン国際空港 |
タタールスタン航空363便墜落事故(タタールスタンこうくう363びんついらくじこ)は、2013年11月17日の現地時間19時20分 (UTC+4)に発生した航空事故である。タタールスタン航空がアク・バルス・アエロに代わって運航していたモスクワ発カザン行きの機体がカザン国際空港への着陸進入中に墜落し、搭乗していた乗客乗員50人全員が死亡した[1][2][3]。
機体
事故機のボーイング737-53A(機体記号VQ-BBN)は23年以上にわたって7社の航空会社で運用されていた[4]。まず製造後にAWASの所有となり(737-53Aの3AはボーイングのカスタマーコードでAWASを示す)、Euralair(1990-1992年、機体記号F-GGML)、エールフランス(1992-1995年、機体記号F-GGML)、ウガンダ航空(1995-1999年、機体記号5X-USM)、リオ・スール(2000-2005年、機体記号PT-SSI)、ブルー・エア(2005-2008年、機体記号YR-BAB)、ブルガリア航空(2008年に数か月、機体記号LZ-BOY)、そしてタタールスタン航空(2008年後半から墜落まで)にリースされた[4]。
この機体は363便墜落事故以前に2件のインシデントを起こしていた[1]。
- リオ・スールで運用中の2001年12月17日、悪天候下でタンクレド・ネヴェス国際空港へ着陸進入中に滑走路の70メートル (230 ft)手前に墜落し降着装置が破損した。搭乗していた乗客108人と乗員の全員は生存した[5]。
- 2012年11月26日、カザンを離陸後客室の減圧に関する問題のため引き返した[6]。
事故の経過
363便は現地時間午後6時25分にモスクワのドモジェドヴォ国際空港を離陸し、モスクワの約800キロメートル (430 nmi)東にあるカザン国際空港へ向かった[7]。
カザン国際空港への最終進入が不安定な進入となったため、クルーは着陸復行を開始したが、その直後に機首下げ75度、機速242ノット (448 km/h)で滑走路に墜落し地面に激突した衝撃で爆発した[8]。墜落の40秒後に2度目の爆発が起きた。空港の監視カメラのうち1台が墜落の瞬間の動画を撮影した[9][10]。乗客44人と乗員6人の全員が死亡したが地上での死傷者はいなかった。事故当時、空港は風が強く曇りであると報告されていた[11][12]。
カザン国際空港は翌11月18日に全面再開されるまで約24時間閉鎖され、乗り継ぎ便を除いて運航が停止された[13][8]。
死傷者
乗客乗員の一覧が非常事態省により発表された。死者にはタタールスタン共和国のルスタム・ミンニハノフ大統領の息子イレク・ミンニハノフやロシア連邦保安庁タタールスタン共和国局長のアレクサンドル・アントノフも含まれていた[1][14]。
国籍 | 合計 |
---|---|
ロシア | 48 |
イギリス | 1 |
ウクライナ | 1 |
合計 | 50 |
事故調査
国家間航空委員会(IAC)は事故調査委員会を立ち上げて11月18日に現地調査を開始し、フライトデータレコーダー(FDR)とコックピットボイスレコーダー(CVR)を残骸から回収した[15][16]。しかし墜落の衝撃により著しく損傷しており、ボイスレコーダーに関しては記録されたデータは失われていた[17][18]。
事故調査の結果から、363便はパイロットは着陸を試みたが何らかの原因で着陸を取りやめ、再度着陸を試みた際に墜落したことが判明した。同便は滑走路と誘導路の間にほぼ垂直に落下し、爆発・炎上した[19]。11月19日にタタールスタン航空の代表はコックピットクルーの訓練時間は十分であったと語ったが、機長が事故以前に着陸復行の経験を持っていたかについては「おそらく無い」ことを認めた[17]。
墜落直前までエンジンやシステムにトラブルは発生しておらず、墜落時には2つの自動操縦装置のうち1つがオフになっており、手動での着陸を試みたのではないかと見られている[18][20]。IACは、原因について直接的な言及は行っていないが、パイロットエラーではないかとの見解を示している[19]。
事故後
2013年12月ロシア連邦航空局はタタールスタン航空のAOCを取り消すと発表した[21][22][23]。取り消しは2013年12月31日に発表された。同社の保有機材はアク・バルス・アエロに移籍された[24]。
初めに、国内で運航されている西側製の航空機の使用年数の上限を15年とするようロシアの法律を変更することが提案されている[25]。
関連項目
出典
- ^ a b c 50 dead as passenger jet crashes in central Russia (PHOTOS,VIDEO). RT. 17 November 2013.
- ^ “'Dozens dead' in Russian plane crash”. BBC News (17 November 2013). 17 November 2013閲覧。
- ^ “Russian airline crashes in Kazan, killing dozens”. CBS News (17 November 2013). 2013年11月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。17 November 2013閲覧。
- ^ a b “Boeing 737 – MSN 24785 – VQ-BBN”. airfleets.net. 17 November 2013閲覧。
- ^ Accident description, aviation-safety.net, 17 November 2013
- ^ “Incident: Tatarstan B735 near Kazan on Nov 26th 2012, loss of cabin pressure”. The Aviation Herald (27 November 2012). 18 November 2013閲覧。
- ^ “Boeing airliner crashes in Russia, 50 killed”. Reuters (17 November 2013). 18 November 2013閲覧。
- ^ a b “Crash: Tatarstan B735 at Kazan on Nov 17th 2013, crashed on landing”. The Aviation Herald (17 November 2013). 17 November 2013閲覧。
- ^ Video of Tatarstan Airlines Flight 363[リンク切れ]
- ^ “Dramatic footage: Kazan Boeing crash caught on camera”. YouTube, RT Channel (18 November 2013). 19 November 2013閲覧。
- ^ “Dozens Killed As Plane Crash Lands in Russia”. Sky News (17 November 2013). 17 November 2013閲覧。[リンク切れ]
- ^ “Boeing 737 crashes in Russian city of Kazan, 50 killed”. torontosun.com. 17 November 2013閲覧。
- ^ “В Казани разбился самолет” (Russian). Interfax (17 November 2013). 17 November 2013閲覧。
- ^ “Авиакатастрофа в Казани: опубликован список 50 погибших” (Russian). ITAR TASS (17 November 2013). 17 November 2013閲覧。
- ^ “Both recorders retrieved from Kazan 737 crash site”. Flightglobal (18 November 2013). 19 November 2013閲覧。[リンク切れ] (要購読契約)
- ^ “Tape from crashed Boeing's cockpit voice recorder found – IAC”. Voice of Russia. (20 November 2013) 29 November 2013閲覧。
- ^ a b “Plane crash in Russia: commander of Boeing had no go-around experience”. ロシアの声 (2013年11月19日). 2014年11月1日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b “‘Faulty crew maneuvers’ revealed during Kazan plane probe”. ロシア・トゥデイ (2013年11月20日). 2014年11月1日閲覧。
- ^ a b “露旅客機墜落、操縦ミスが原因か 地面に垂直落下”. フランス通信社 (2013年11月20日). 2014年11月1日閲覧。
- ^ “Kazan Crash Pilot Had No Missed Approach Experience”. Ria Novosti. 2014年11月1日閲覧。
- ^ Kaminski-Morrow, David (5 December 2013). “Tatarstan Airlines faces threat of grounding”. Flightglobal. オリジナルの2013年12月5日時点におけるアーカイブ。
- ^ Borodina, Polina (4 December 2013). “Rosaviatsia commission recommends revoking Tatarstan AOC”. Air Transport World. オリジナルの2013年12月4日時点におけるアーカイブ。
- ^ Borodina, Polina (23 December 2013). “Russia to revoke Tatarstan AOC”. Air Transport World. オリジナルの2013年12月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ “Авиакомпания "Татарстан" лишилась сертификата эксплуатанта”. Kommersant. (31 December 2013)
- ^ Kaminski-Morrow, David (4 December 2013). “Russian probe: Aircraft age unrelated to safety”. Flightglobal. オリジナルの2013年12月4日時点におけるアーカイブ。
外部リンク
- 最終報告書[リンク切れ] (2015年12月24日公表)- 国家間航空委員会 (IAC)
- 事故調査の経過 - 国家間航空委員会のウェブサイト
- 乗客名簿 (2013年11月17日発表) - タタールスタン航空
- 事故の映像 - YouTube