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一年戦争におけるガンダムを連想させる白い機体となった本機は、皮肉にも開発したティターンズに対する戦闘で高い戦果を挙げた。ガンダムの正当な後継機であり「アースノイドのスペースノイドに対する示威の象徴」でもある本機を手に入れたことは、エゥーゴにとっても大きな意味を持った。
一年戦争におけるガンダムを連想させる白い機体となった本機は、皮肉にも開発したティターンズに対する戦闘で高い戦果を挙げた。ガンダムの正当な後継機であり「アースノイドのスペースノイドに対する示威の象徴」でもある本機を手に入れたことは、エゥーゴにとっても大きな意味を持った。


エゥーゴに渡った3機のうち1機は月の[[アナハイム・エレクトロニクス]]にて機体構造の研究に使用され、1機は保守部品確保用として解体され(ただし解体の途中、カミーユによって左腕のない状態で出撃したことが数回ある<ref group="注">テレビ版。劇場版ではフランクリンの奪ったリック・ディアスとの交戦で破壊されたものとなっている。</ref>)、残る1機(3号機)は[[アーガマ (ガンダムシリーズ)|アーガマ]]艦内にてティターンズカラー(濃紺)から白を基調としたカラーリング(灰色がかった白に、紺色と赤)に再塗装されて実戦投入された{{Refnest|group="注"|武装についてもデータバンク内に存在したものを全て再現し、さらには新たな追加オプションまでも開発して運用された<ref name="mg">『マスターグレード RX-178 ガンダムMk-II』バンダイ、1998年8月、組立説明書。</ref>。}}。
エゥーゴに渡った3機のうち1機は月の[[アナハイム・エレクトロニクス]]にて機体構造の研究に使用され、1機は保守部品確保用として解体され(ただし解体の途中、カミーユによって左腕のない状態で出撃したことが数回ある<ref group="注">テレビ版。劇場版ではフランクリンの奪ったリック・ディアスとの交戦で破壊されたものとなっている。</ref>)、残る1機(3号機)は[[アーガマ (ガンダムシリーズ)|アーガマ]]艦内にてティターンズカラー(濃紺)から白を基調としたカラーリング(灰色がかった白に、紺色と赤)に再塗装されて実戦投入された{{Refnest|group="注"|武装についてもデータバンク内に存在したものを全て再現し、さらには新たな追加オプションまでも開発して運用された<ref name="mg">『マスターグレード RX-178 ガンダムMk-II』バンダイ、1998年8月、組立説明書。</ref>。}}。


エゥーゴではアーガマや[[ラーディッシュ]]で運用され、[[ニュータイプ]]として最も優れた資質を秘めていたカミーユの能力もあり、[[グリプス戦役]]中盤頃まで最新機と互角以上に渡り合って多くの戦果をもたらした。ただし、本機自体は突出した性能は持たず、装甲も第2世代MSと比較して脆弱であり、コロニー内戦闘を想定していたことから火力面でも標準の域を出なかった。また構造材の問題から、設計値の性能を発揮できないという欠点も抱えていた。しかし機体の汎用性は非常に高く、ムーバブルフレームによる優れた運動性もあり、総合的な性能面では当時の最新鋭機にも十分対抗可能であった。本機は配備後も数回に渡る改修によって性能向上が図られ、高性能化が進むティターンズのMSに対抗していった。前述の墜落事故の原因となった構造上の不備もエゥーゴによって改善された。後に旧式な装甲の補強及び火力・機動力の強化策として[[Gディフェンサー]]が開発され、これによりグリプス戦役終盤までエゥーゴの主力機として活躍することになった。
エゥーゴではアーガマや[[ラーディッシュ]]で運用され、[[ニュータイプ]]として最も優れた資質を秘めていたカミーユの能力もあり、[[グリプス戦役]]中盤頃まで最新機と互角以上に渡り合って多くの戦果をもたらした。ただし、本機自体は突出した性能は持たず、装甲も第2世代MSと比較して脆弱であり、コロニー内戦闘を想定していたことから火力面でも標準の域を出なかった。また構造材の問題から、設計値の性能を発揮できないという欠点も抱えていた。しかし機体の汎用性は非常に高く、ムーバブルフレームによる優れた運動性もあり、総合的な性能面では当時の最新鋭機にも十分対抗可能であった。本機は配備後も数回に渡る改修によって性能向上が図られ、高性能化が進むティターンズのMSに対抗していった。前述の墜落事故の原因となった構造上の不備もエゥーゴによって改善された。後に旧式な装甲の補強及び火力・機動力の強化策として[[Gディフェンサー]]が開発され、これによりグリプス戦役終盤までエゥーゴの主力機として活躍することになった。
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=== 劇中での活躍 ===
=== 劇中での活躍 ===
『Ζ』第1話から登場。濃紺を基調とした「ティターンズ・カラー」で塗装されている<ref group="注">[[アムロ・レイ]]を演じた[[声優]]の[[古谷徹]]は、ティターンズ・カラーの本機をお気に入りのMSとして挙げている{{要出典|date=2019年10月}}。</ref>。パイロットは1号機が[[エマ・シーン]]、2号機が[[機動戦士Ζガンダムの登場人物#カクリコン・カクーラー|カクリコン・カクーラー]]、3号機が[[ジェリド・メサ]]であったが、最終的には3機ともエゥーゴに[[鹵獲]]されてしまう。その後エゥーゴは1号機を機体解析のため[[アナハイム・エレクトロニクス]]に持ち込み、2号機を予備のパーツ用に解体。残る3号機は初代ガンダムを彷彿とさせる白を基調とした[[トリコロール]]に塗装し直し、アーガマの戦力としている。
『Ζ』第1話から登場。濃紺を基調とした「ティターンズ・カラー」で塗装されている<ref group="注">[[アムロ・レイ]]を演じた[[声優]]の[[古谷徹]]は、ティターンズ・カラーの本機をお気に入りのMSとして挙げている{{要出典|date=2019年10月}}。</ref>。パイロットは1号機が[[エマ・シーン]]、2号機が[[機動戦士Ζガンダムの登場人物#カクリコン・カクーラー|カクリコン・カクーラー]]、3号機が[[ジェリド・メサ]]であったが、最終的には3機ともエゥーゴに[[鹵獲]]されてしまう。その後エゥーゴは1号機を機体解析のため[[アナハイム・エレクトロニクス]]に持ち込み、2号機を予備のパーツ用に解体。残る3号機は初代ガンダムを彷彿とさせる白を基調とした[[トリコロール]]に塗装し直し、アーガマの戦力としている。


Ζガンダムが登場するまでの前半は主にカミーユが搭乗し、主役機として活躍する。カミーユがΖガンダムに乗り換えてからはエマが搭乗。グリプス戦役開戦時にはすでに多少旧式化しているものの、エゥーゴ所属MSの中では突出した戦果をもたらしている。性能的に劣勢となった戦争後期においても、Gディフェンサーとの連携もあって最新鋭機を相手に互角に渡り合い、多数のMSや戦艦を撃破する。最終決戦後には、パイロットのエマを失い宇宙を漂っているところを[[ファ・ユイリィ]]の[[メタス]]に回収される。
Ζガンダムが登場するまでの前半は主にカミーユが搭乗し、主役機として活躍する。カミーユがΖガンダムに乗り換えてからはエマが搭乗。グリプス戦役開戦時にはすでに多少旧式化しているものの、エゥーゴ所属MSの中では突出した戦果をもたらしている。性能的に劣勢となった戦争後期においても、Gディフェンサーとの連携もあって最新鋭機を相手に互角に渡り合い、多数のMSや戦艦を撃破する。最終決戦後には、パイロットのエマを失い宇宙を漂っているところを[[ファ・ユイリィ]]の[[メタス]]に回収される。

2020年11月7日 (土) 11:23時点における版

ガンダムMk-II(ガンダム・マーク・ツー、GUNDAM Mk-II)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ」 (MS) のひとつ。初出は、1985年に放送されたテレビアニメ機動戦士Ζガンダム』。

作中の敵側勢力である地球連邦軍特殊部隊「ティターンズ」の試作機で、『機動戦士ガンダム』の主役機「RX-78 ガンダム」の発展型。外装と内部フレーム(骨格)を独立させた画期的な構造を採用しており、以降のMSにも同様の構造が採用されたという設定になっている。なお、型番の「RX-178」の日本語表音は「あーるえっくすいちななはち」であり、RX-78(あーるえっくすななじゅうはち)と異なり位取りを表さない読み方になっている[注 1]

『Ζガンダム』第1話で3機が反地球連邦組織「エゥーゴ」に奪取され、うち1機が主人公カミーユ・ビダンの搭乗機となる。劇中後半でカミーユがΖガンダムに乗り換えてからは、女性パイロットのエマ・シーンが搭乗する。続編の『機動戦士ガンダムΖΖ』では、「ガンダム・チーム」のひとりエル・ビアンノがメインパイロットを務める。

メカニックデザイン藤田一己が担当。

当記事では、ゲーム、雑誌などのメディアミックス企画で設定された系列機の解説も記述する。

設定の変遷

本放送当時のアニメックの(本機の操縦マニュアルと題した)記事によると、本機は一度に20機もの敵をロックオン可能という[要文献特定詳細情報]

また、フライングアーマーはエゥーゴが開発したものという設定(Ζ計画の「大気圏突入時の機体形状及び使用素材の評価試験用試作機」として開発されたとする説もある)であったが、劇場版『Ζ』ではティターンズが開発したものをエゥーゴが奪ってきたという設定に変更されている。このフライングアーマーは「ウェイブライダー」と呼ばれていた。

デザインの変遷

当初は物語の冒頭から主役メカとなる“ニューガンダム(仮称。のちのΖガンダムに相当)”が登場することを前提に、監督の富野由悠季からの直々の指名で永野護がデザインを進めていたが、先行して提出したリック・ディアスやガルバルディβのデザインはサンライズやバンダイからよい評価が得られなかった。ここで永野はデザイン作業から外れることとなり、前作『機動戦士ガンダム』でメカデザインを担当した大河原邦男や新たにメカデザイナーとして起用された藤田一巳が“ニューガンダム”のデザインを担当することとなる。

しかし「新しいガンダムを」という意欲の下描かれた新規性溢れるデザインはマーチャンダイジングなどの観点から却下され、この時点で制作スケジュールの都合上、冒頭から“ニューガンダム”を登場させる事が不可能となった。またバンダイでは、富野によって提案された変形という新要素がともすればおもちゃ的、あるいは旧来のスーパーロボット的とも捉えられていて、そういったギミックをもつ“ニューガンダム”が最初から登場することは前作からのファンはもとよりガンプラで『ガンダム』の世界を知った層にも違和感を抱かれるのではという危惧があった。そこで主に見た目、すなわちデザイン的に世界観を繋ぐうえでのリリーフエースとして、前作およびヒット商品であったMSVにおけるイメージを踏襲したガンダムを登場させる事が決定する。これがガンダムMk-II誕生の経緯である。

以後、大河原と藤田による準備稿が提出され、これらは『Ζガンダム』製作決定の報に合わせてバンダイの模型情報等で公開される事となる。放送前年の模型見本市でも、新商材である『Ζガンダム』をアピールするために準備稿をベースとしたフルスクラッチモデルが参考出品という形で展示された。また、近藤和久コミックボンボンで連載した漫画版『Ζガンダム』において、準備稿のうちの2案(うち1案は、上記のモデル化されたもの)がガンダムMk-IIの1号機および2号機として登場した。

月刊ホビージャパン1988年5月号で当時を振り返った藤田は「どんなデザインを描いても誰も納得しないのではないか」と感じていたと明かしている。同記事によると、藤田がMk-IIのデザインに参加した段階で、すでに永野、大河原、ともに現場を離れ、二人の描いた絵が残されているだけの状態で打ち合わせなどはできず、二人のアイデアなどは生かせなかったという。

オープニングアニメーション冒頭で出現する「謎」のMSは、以上の経緯があって正確な「ガンダム」が描かれることなく、新型Ζガンダムの「イメージ」として登場させている。

小説版ガンダムMK-II(エプシィガンダム)

富野由悠季によって著された「原作小説」[注 2]『小説 機動戦士Ζガンダム(1)』で、表紙に描かれたガンダムMK-IIは永野護によるものである。頭部しか描かれていないが、RX-78系ガンダムの記号たる二重“への字”型インテークがないなど、アニメ版のMK-IIとは大幅にデザインが異なる。また、カラーリングも全面グレーとなっている。

これにはさらに裏話があり、この“小説版ガンダムMK-II”のデザインは本来、「エプシィガンダム」という名で、アニメにおけるガンダムMK-IIとΖガンダムの間を埋める存在として登場させるべくデザインされたものであった[1]。しかし、アニメでの同機の役どころは「百式」が担うこととなり、「エプシィガンダム」としての同デザインはお蔵入りとなっていた。「エプシィ」とはガンダリウムガンマの改良合金「ガンダリウムエプシロン」を使用したガンダムを意味する。

また今日、「デルタガンダム」といえば「百式」を指すが、1985年当時富野由悠季は「デルタガンダム」の名をガンダムMK-IIを指すものとしており、さらに「エプシィガンダム」はアニメにおけるそのデルタガンダムたるガンダムMK-IIの競作機デザインであると位置づけられてもいたため、事情は非常に複雑なものとなっている(エゥーゴの機体なのかティターンズの機体なのかも、不明だという)。

アニメ版ガンダムMK-IIの競作機であり、アニメ版ガンダムMK-IIとΖガンダムの中間機であり、小説においてはガンダムMK-IIの役を務めることになったこのエプシィガンダムは、先述のように当初小説表紙の頭部デザインしか発表されていなかった。しかし、『モデルグラフィックス1986年3月号別冊 ガンダムウォーズ・プロジェクトゼータ』の模型作例として立体化されるにあたり、デザイナー永野護自身により全身デザインと背景設定が作られることとなる。

それによれば、核融合パルス推進システムによる中距離単独飛行能力、グライバインダーによる高加速性、核パルスセイル「ブラッサム」による対ビーム偏向シールド、といった特殊装備を持つとされ、高コストゆえに実機製作が断念されたという。そして、高コストの原因たる「ブラッサム」を省いて造られたのが後の「百式」であるとされた。

設定解説

諸元
ガンダムMk-II
GUNDAM Mk-II
型式番号 RX-178
全高 19.6m[2] / 18.9m[3] / 18.5m[4]
頭頂高 18.5m[2]
本体重量 33.4t[4]
全備重量 54.1t[4]
装甲材質 チタン合金セラミック複合材[4][注 3]
出力 1,930kW[4]
推力 20,300kg×4[4]
総推力:81,200kg[2]
センサー
有効半径
11,300m[4]
武装 ビーム・ライフル
ビーム・サーベル×2
ハイパー・バズーカ
バルカン・ポッド・システム[4]
シールド
他(「武装」を参照)
搭乗者 カミーユ・ビダン
クワトロ・バジーナ
エマ・シーン
カクリコン・カクーラー
ジェリド・メサ
エル・ビアンノ
モンド・アガケ
エルピー・プル
他(「劇中での活躍」を参照)
その他 姿勢制御バーニア×10[4]

連邦軍によってRX-78 ガンダムの後継機として開発された機体[5]。開発はティターンズ主導のもとでおこなわれた[6]

開発はU.C.0085年にスタート[7]ジャミトフ・ハイマンの意向によって[8]ジオン公国系の技術者は外され、地球連邦系技術者の選りすぐりで開発が行われた[7][注 4]。開発主査はフランクリン・ビダン大尉が務め、U.C.0087年1月20日に完成[10]

本機は対外的にはティターンズのフラグシップ機として開発された[8]。その意義は戦術兵器としてのそれに留まらず、アースノイドのスペースノイドに対する示威の象徴でもあった。ゆえにその完成式典に際しガンダムMk-IIは、ティターンズ側をして「我々の、我々による、我々のためのガンダム」と称されたのである[11]。また、主にスペースコロニー内部での戦闘を想定した設計となっている[12]

MS用新素材の研究が進まなかったため、装甲やフレームに旧来の「チタン合金セラミック複合材」を用いるなど、技術的に旧式な部分も少なくないが、全身にムーバブルフレームを採用した初の機体である[10]。脚部の可動部の露出が目立つのは、ビーム兵器を効果的に防御できる装甲が存在しない以上、重装甲化によって機体重量の増加を招くよりも、軽量化によって機動力を向上させ、被弾率を低下させるという当時主流となっていた設計思想にもとづいている[13]

同時期の機体に存在したエネルギーサプライシステムはエネルギーCAP実装と、構造の複雑化を避けるため廃止された[14]。バックパックには4基のメインスラスターに加え、ビーム・サーベルホルダーを兼ねたフレキシブルバーニアスラスターを装備する[注 5][注 6]。また、脚部のムーバブルフレームは構造的に柔軟性を有してはいたが、構造材の強度に問題があったため、瞬発的な外力に対し剛性が不足していたとされる。このムーバブルフレームは合計6回に渡る設計変更が行われたが、問題点を解決するには至らなかった[7]

本機は3機の試作機が製造された[7][注 7][注 8]。U.C.0087年3月2日[14]、サイド7グリーンノア1内での運用試験中にフランクリンの息子カミーユ・ビダンにより奪取され、そのままエゥーゴに捕獲される。その後は紆余曲折あったものの、結局はティターンズ所属のエマ・シーンの離反により3機全てがエゥーゴの手に渡る結果となった。

本機のムーバブルフレームをはじめとする設計思想は斬新であり、本機データはΖガンダムをはじめとする可変MSの開発に大きく貢献した[18]。最終装甲を交換する事で各種戦闘に対応可能な設計となっていたが、エゥーゴによる奪取後は生産ラインに乗せるに足る機体ではないと判断され、再調整を行い3機分のパーツから1機を運用した[19]。また、地球連邦軍(エゥーゴ、カラバ)はジムIIIに設計の一部を取り入れている[注 9]

ムーバブルフレーム

ジム・クゥエルなどに使用された試作型の同技術をより発展させたもの[10]。このムーバブルフレームを全身に採用した機体は本機が初となる[10]。本機に搭載されたムーバブルフレームの構造は斬新かつ優秀で、同時期に開発されたリック・ディアスプロトΖガンダムに搭載されたフレームの設計を凌駕している。そもそもジオン系MSはモノコック構造、連邦系MSはセミモノコック構造と設計概念が異なっており、この時代のMSは両者を必要に応じて使い分けていた[13]。純粋な連邦系技術のみで開発することにより、統一したフレームで機体を構成するムーバブルフレームの発想に至ったとも言われている[13]

ムーバブルフレームは装甲や武装を機体の基本構造(フレーム)と分離させることによってフレーム自身を可動優先の理想的な構造に設計することが可能であり[13]、可動に応じて装甲がスライドすることによってフレームを保護するものである。これによって機体の運動性能が大幅に向上し、メンテナンス性も向上することになった。このムーバブルフレームにはフィールドモーター技術が使用されており[13]、フレーム自体が伸縮するうえ、捻れることでストレスを軽減することが可能である。また、フレーム各部に設けられたヒンジやシリンダーは自重や加速、衝撃時の応力を分散させる機能も兼ねている。

フレームには各種のセンサーが内包され、得られたデータの管制を頭部に設けられたコ・プロセッサーを介してメイン・プロセッサーに伝達するとともに[13]、プロセッサーから各アクチュエーターに指令を出し、応力や衝撃の分散を最適化する機能を有している。しかし、これらのデータはメイン・プロセッサーで統制しきれないほど膨大な量であったため、データに優先度を設けて処理がおこなわれている。

本機はフレーム材質の問題から関節軸の摩耗が生じ、データ処理の優先度の関係からこの軸の偏摩耗の情報が機体制御へ十分に反映されていなかった[注 10]。ムーバブルフレームの採用によって可動軸が増えたため、機体全体としてこの偏摩耗による影響を無視することができなくなり、パイロットはこれを補正しながらの操縦を強いられた。これらの機体の不安定さが、後述する墜落事故をはじめとする頻発する事故の要因となっていた。後にエゥーゴはこれらの欠陥を改良し、本機を主戦力として活用した。結果として、本機はエゥーゴに強奪されることによって本当の意味で完成したMSとなり、その性能を発揮することとなった。

また、本機はコア・ブロック・システムを廃し、一年戦争末期に提案された球形コクピットを発展させた全天周囲モニター・リニアシートを採用している。コア・ブロック・システムは「機体制御」と「パイロットの保護」の2つの役割を兼ねていたが、イジェクション・ポッドの採用でこれらを分離することが可能となり、機体制御を四肢にまで委ねるというムーバブルフレームへと昇華した[13]

運用実績

一年戦争におけるガンダムを連想させる白い機体となった本機は、皮肉にも開発したティターンズに対する戦闘で高い戦果を挙げた。ガンダムの正当な後継機であり「アースノイドのスペースノイドに対する示威の象徴」でもある本機を手に入れたことは、エゥーゴにとっても大きな意味を持った。

エゥーゴに渡った3機のうち1機は月のアナハイム・エレクトロニクスにて機体構造の研究に使用され、1機は保守部品確保用として解体され(ただし解体の途中、カミーユによって左腕のない状態で出撃したことが数回ある[注 11])、残る1機(3号機)はアーガマ艦内にてティターンズカラー(濃紺)から白を基調としたカラーリング(灰色がかった白に、紺色と赤)に再塗装されて実戦投入された[注 12]

エゥーゴではアーガマやラーディッシュで運用され、ニュータイプとして最も優れた資質を秘めていたカミーユの能力もあり、グリプス戦役中盤頃まで最新機と互角以上に渡り合って多くの戦果をもたらした。ただし、本機自体は突出した性能は持たず、装甲も第2世代MSと比較して脆弱であり、コロニー内戦闘を想定していたことから火力面でも標準の域を出なかった。また構造材の問題から、設計値の性能を発揮できないという欠点も抱えていた。しかし機体の汎用性は非常に高く、ムーバブルフレームによる優れた運動性もあり、総合的な性能面では当時の最新鋭機にも十分対抗可能であった。本機は配備後も数回に渡る改修によって性能向上が図られ、高性能化が進むティターンズのMSに対抗していった。前述の墜落事故の原因となった構造上の不備もエゥーゴによって改善された。後に旧式な装甲の補強及び火力・機動力の強化策としてGディフェンサーが開発され、これによりグリプス戦役終盤までエゥーゴの主力機として活躍することになった。

本機は第一次ネオ・ジオン抗争時にもアーガマやネェル・アーガマに配備された。ネオ・ジオンの最新鋭MSと比較して旧式化は否めなかったが、Gディフェンサーに変わって新たに配備されたアナハイム製の支援用MAメガライダーとのマッチング(相性)は極めて良好であり、ガンダム・チームの一翼を担って第一次ネオ・ジオン抗争の最終決戦まで戦い抜く。

性能不足が指摘されて以降も本機が第一線で運用され続けた事実は、フラッグシップとしての存在意義と共に本機の汎用性と基本性能の優秀さを証明している。また、操作の容易さも大きな利点であり、本機のメインパイロットを務めたカミーユ・ビダンやエル・ビアンノは(ある程度の操縦の基礎はあったとはいえ)きわめて短期間で同程度以上のカタログ性能を有する軍用MSに対して優勢に戦えるまでになる。

武装

時期によって型式番号が異なるため、0087年3月前後、0087年7月末、0087年8月27日の順で表記する[注 13]

ビーム・ライフル
型式番号:BOWA・XBR-M-86-C2 / A・E-Br・XBR-87-C / A・E-Br・XBR-87-D
エネルギーパックを採用。出力は2.6メガワットだが、マニピュレーターによるモード変更によって出力調節が可能である。最大出力時の威力は当時の戦艦の主砲と同程度とされているが、発射回数は半分以下になる。不使用時はサイドスカートにマウント可能。
ビーム・サーベル
型式番号:XB-G-1048L / A・E-Br・G-Sc-L(7月末以降は共通)
バックパックに2基装備される。出力は0.45メガワットで、当時としては高出力の部類に入る。設定画には「ビームジャベリンとしては使用不可です」という注意書きがある。
ハイパー・バズーカ
型式番号:H-Baz-85-Gry/Ver.045 / H-Baz-87-A・E/Ver.004 / H-Baz-87-A・E/Ver.009
通常弾と散弾の撃ち分けが可能。腰部のマウントラッチに装着することができる。なお、ほぼ同じデザインのもの(グリップのデザインが多少異なる)が『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場し、ジム改パワード・ジムステイメン(オープニング・フィルムのみ)が所持している。
バルカン・ポッド・システム
型式番号:VCU-505EX-Gry/Ver.009 / VCU-505EX-V・B/Ver.012 / VCU-505EX-V・B/Ver.021
RX-78 ガンダムでは頭部に内装されていたバルカン砲を、装弾数増加のためオプション化している。口径はガンダムと同じ60ミリ[20]で、装弾数は1,400発[21]。銃口は左側に2門有し、右側はマガジン、リリーススイッチを備え[5]バランサーとして機能する。このオプション化は頭部にコ・プロセッサーを搭載したため、バルカン砲の搭載スペースが確保できなかったことにも起因する。
シールド
型式番号:RX・M-Sh-VT/S-0001B / RX・M-Sh-VT/S-001 / RX・M-Sh-VT/S-008
GP01で試験採用された伸縮可能な。RX-78 ガンダムで採用されていたシールド同様に覗き窓が付いており、グリップはなく腕部のマウントラッチを介して装着する。なお、テレビ版『Ζ』第49話及び劇場版『Ζ-III 星の鼓動は愛』では、シールドをマウントする左腕が破壊されたため、応急処置として左肩の付け根にシールドを装着した状態で出撃している。数回のビームの被弾にも耐えられるよう耐ビームコーティングが施されており、裏面には予備のエネルギーパックをマウント可能。ただし、この状態では覗き窓は使用不可となる。
ミサイル・ランチャー
劇場版『Ζ』にのみ登場(リアルグレード (RG) のガンプラにも付属)。シールド裏下部に3基装備。
ロング・ライフル
Gディフェンサーの主砲である高出力ビーム・ライフル。Gディフェンサーとの合体状態での使用が原則だが、テレビ版『Ζ』第33話、劇場版『星の鼓動は愛』のようにGディフェンサーと分離しての使用も可能である。

劇中での活躍

『Ζ』第1話から登場。濃紺を基調とした「ティターンズ・カラー」で塗装されている[注 14]。パイロットは1号機がエマ・シーン、2号機がカクリコン・カクーラー、3号機がジェリド・メサであったが、最終的には3機ともエゥーゴに鹵獲されてしまう。その後エゥーゴは1号機を機体解析のためアナハイム・エレクトロニクスに持ち込み、2号機を予備のパーツ用に解体。残る3号機は初代ガンダムを彷彿とさせる白を基調としたトリコロールに塗装し直し、アーガマの戦力としている。

Ζガンダムが登場するまでの前半は主にカミーユが搭乗し、主役機として活躍する。カミーユがΖガンダムに乗り換えてからはエマが搭乗。グリプス戦役開戦時にはすでに多少旧式化しているものの、エゥーゴ所属MSの中では突出した戦果をもたらしている。性能的に劣勢となった戦争後期においても、Gディフェンサーとの連携もあって最新鋭機を相手に互角に渡り合い、多数のMSや戦艦を撃破する。最終決戦後には、パイロットのエマを失い宇宙を漂っているところをファ・ユイリィメタスに回収される。

一時的な搭乗者としては、第4話でフランクリン・ビダンがエマ、カミーユとともにアレキサンドリアから脱走し、アーガマへ向かう際に2号機に搭乗している。また、第5・6話ではクワトロ・バジーナが乗機のリック・ディアスをフランクリンに奪取・撃破されたため、塗り替えられたばかりの3号機に2度搭乗(その間、カミーユは2号機に搭乗)。第15話ではカツ・コバヤシが無断で3号機に搭乗しアウドムラから出撃するもギャプランとの戦闘で海に落下、しかし同機の左脚を撃ち抜き撃破への足掛かりを作る。

劇場版第1作『星を継ぐ者』では、大気圏突入時におけるライラ・ミラ・ライラガルバルディβとの交戦シーンで回し蹴りによる格闘戦を行い、ムーバブルフレームが破格の運動性をもたらすことを裏付けるような躍動感あふれるアクションを披露している。第3作『星の鼓動は愛』では、最終決戦でエマの遺体とともにコロニーレーザーの砲撃に巻き込まれ消滅する。

『ΖΖ』では第13話でラビアンローズと接触したアーガマに再配備されているが、特に言及はない(Gディフェンサーも補充されていない)。同話でエル・ビアンノが無断で搭乗、初めてのMSの操縦のためアーガマのデッキ内では無茶苦茶な挙動をするが、出撃しつつマニュアルを読みながらすぐに慣れ、初陣にも関わらずゴットン・ゴーガザDを撃破している。その後はエルまたはモンド・アガケがメイン・パイロットとして、ガンダム・チームの一員としてエゥーゴの戦力の中核を担い、第一次ネオ・ジオン抗争終盤まで第一線で戦い抜く。最後はアクシズ内部におけるクィン・マンサとの戦闘で中破し、脱出のためΖガンダムともども放棄されている。

『ΖΖ』での一時的な搭乗者としては、第21話でアーガマの捕虜となっていたキャラ・スーンセシリアを人質にとり、本機を強奪して脱走を図るが、グラナダ市街の狭い通路で動けなくなり、乗り捨てて逃走している。また、第33-34話ではビーチャ・オーレグ百式ではなく本機に搭乗しているが、アリアス・モマ隊との交戦で左腕を切断される。直後にサイコガンダムMk-IIの波動を感じたエルピー・プルが未修理のまま無断で搭乗し、エンドラ級「サンドラ」を襲撃するが、アリアス隊に返り討ちにあい、頭部も切断され行動不能となる。

『Ζ』作中、登場してからわずか数話で、その性能に関して貶されるシーンが多く、カミーユの父で本機の開発者であるフランクリンには「(データは十分に収集され、すでにそれをもとに新型機が開発中だったため)あんなもの、もういらんでしょう」、クワトロには「(装甲材質に関して)Mk-IIは所詮Mk-IIだというのか」、パプテマス・シロッコには「(RX-78 ガンダムの)マイナーチェンジ」呼ばわりされ、『ΖΖ』でもネオ・ジオンのパイロットに「Mk-IIごとき」と蔑まれる。ただし、実際に本機へ搭乗したクワトロは「加速性能は抜群」と高評価を下しており、小説版『Ζ』でも、パワーでリック・ディアスを上回る描写がある。

OVA『GUNDAM EVOLVE II』では、月でのAMBACによる高機動戦闘テストの様子が描かれており、機体各所に試験用マーキングが施された3号機のほか、トリコロールに再塗装されているが両肩のみティターンズ・カラーのままの1号機も登場する。漫画『機動戦士ガンダム エコール・デュ・シエル』でも同様の塗装の1号機が登場し、月面都市アンマンのアナハイム・エレクトロニクス工場にて解析および性能テストがおこなわれている。テスト・パイロットはエゥーゴのジャック・ベアードや、宇宙海賊マリー一味のアスナ・エルマリートが務めている。

漫画『機動戦士ゼータガンダム1/2』では、ジェリドたちに引き渡される前の本機(何号機かは不明)と、初代ガンダムを復元したハーフガンダムとの模擬戦の様子が描かれている。パイロットはエドガー・エドモンド・スミス。連戦連敗する本機に業を煮やしたフランクリン・ビダンは、ビーム・ライフルの携行による実戦装備での模擬戦を強行、本機はハーフガンダムのコックピットを撃ち抜いて勝利する。ただし本作は、宇宙世紀での創作が疑われる「エドガー・エドモンド・スミスの日記」という体裁となっている。

漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』では、シャア・アズナブルとの戦闘で乗機であるジム・ナイトシーカーが大破してしまったヴァースキ大尉の代替機としてゴップ議長がAE社から調達してくる。ヴァースキは冗談が過ぎると苦言を呈しているが、仕方ないと受諾した。機体はブルーとグリーンで塗装されており、開発が凍結されていたフルアーマー用のパーツもアナハイムに発注したものが用意されている。

サイバーコミックス012』掲載の松本久志の漫画「ガンダムバカ一代」(『ガンダムジェネレーション4』再録時は「ガンダム空手一代」)では、アサカ=ケンが本機とともに連邦軍を脱走し、地球で格闘の修行をおこなっている。左側のブレード・アンテナが外されている。内容は『空手バカ一代』や『タイガーマスク』、『北斗の拳』などのパロディである。

GACKTの『Metamorphoze 〜メタモルフォーゼ〜』のPVでは、GACKT自身が本機に搭乗しているが(彼の搭乗するコックピット以外の映像はアニメからの流用)、撃破される描写となっている。GACKTは脱出ポッドにより無傷である。

ゲーム『サンライズ英雄譚2』では、ゲームオリジナル設定としてガンダム(2号機)に準じた配色のアムロ・レイ専用機と、赤く塗装されたシャア・アズナブル専用機が登場する。

バリエーション

Mk-IIディフェンサー(スーパーガンダム)

フルアーマーガンダムMk-II

諸元
フルアーマーガンダムMk-II
FULL ARMOR GUNDAM Mk-II
型式番号 FA-178
頭頂高 18.5m
本体重量 53.2t
全備重量 74.3t
装甲材質 ガンダリウム合金
出力 1,930kW
推力 124,500kg
センサー
有効半径
11,300m
武装 頭部バルカンポッド
2連装ビームガン
グレネードランチャー×2
ビームサーベル×2

Ζ-MSV』に登場。

装甲にガンダリウム合金を用いておらず防御力の脆弱性を指摘されていたガンダムMk-IIにガンダリウム合金製の追加装甲「FXA-03」を装着し、火力と装甲を強化する案。スラスター増設による推力向上が重量増加をカバーできる程ではなく、早くから機動性の低下を指摘されていた。結局、Gディフェンサーによる強化案(スーパーガンダム)が採用され、本機のプランは実現しなかった。

FXA-03
アナハイム社がMSの自社製強化パーツ開発計画の一環として、Gディフェンサー、Dディフェンサーと共に開発した装備。ちなみに、このデザインは漫画『プラモ狂四郎』に登場したHCMパーフェクトガンダム(デザイン:藤田一己)そのものである(ただし、作中の中身はRX-78 ガンダム)。

アーマードガンダムMk-II

雑誌「電撃ホビーマガジン」での特集「ティターンズMSの系譜」に登場[要出典]。RX-178 ガンダムMk-IIの強化プランとして、当初ティターンズによって考案されていた。

エゥーゴによるRX-178用フルアーマー化プランとは異なり、「ティターンズ用フルアーマーガンダム」と銘打ち、FSWS計画の流れを受継ぎ、終戦後に計画を再開させたものとされている。火器強化案などはFA-78-1にほぼ準じているのが特徴。装甲は胴体を中心とした個所にチョバムアーマーを装備しているのみで、どちらかといえば動きやすさと火力を重視している。だが、エゥーゴによるRX-178強奪事件に前後し計画は頓挫。実現に移されることはなかった。

ガンダムMk-II(メガラニカ所属機)

脚本・漫画『機動戦士ガンダムUC 獅子の帰還』に登場。

サイド3に秘匿されているメガラニカが所有する機体。ビーム・マグナムを撃てるように右腕がドーベン・ウルフのものに交換され(デザインは一部異なる)、さらにもうひとつ腕部のユニットを重ねるようにして肘関節が補強されている。バナージ・リンクスが搭乗し、0096年12月8日に、バナージが「帰ってきた」ことを確かめるためリゼルに搭乗して領海侵犯をおこないやってきたリディ・マーセナスの前に現れる。

ガンダムMk-II 試作0号機(プロトタイプ・ガンダムMk-II)

ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜』などに登場。

諸元
ガンダムMk-II 試作0号機
GUNDAM Mk-II PROTOTYPE 0
型式番号 RX-178-X0
装甲材質 チタン合金セラミック複合材
武装 頭部バルカンポッド
試作ビーム・サーベル×2
試作ビーム・ライフル
搭乗者 プロト・ゼロ(ゼロ・ムラサメ)

ガンダムMk-IIの先行型として、コストを度外視して開発された機体であるため、ガンダムMk-IIよりも高性能だが、操縦性や整備性に多大な問題を抱えており、稼働時間も極めて短い。その扱い辛さゆえに並みのパイロットではまともにコントロールできず、パイロットにはムラサメ研究所強化人間プロト・ゼロが選ばれている。また、装甲とフレームが脆弱であるという課題はガンダムMk-IIまで持ち越された。製造コストはペガサス級戦艦数隻に匹敵すると言われているが、存在自体を疑問視する意見もあり、データ上にのみ存在する架空の機体とする説もある。頭部の角(センサー)と盾がガンダム試作1号機の物と酷似していることから、アナハイム社の関与が疑われる[注 15]。外装はジム・クゥエルと同一形状の部品が部分的に使用されている。

ゲーム中ではガンダムMk-IIの開発と無関係に、特殊な条件で開発提案される隠し機体として扱われており、正式なMk-IIの開発に際し本機を開発する必要はない。

ガンダムMk-II B

漫画『機動戦士ガンダム ジオンの再興』に登場。(形式番号:RX-178B)。

ガンダムMk-IIの陸戦型。陸上戦闘では不要となるスラスターが除去されている。主に指揮官やエースパイロットに配備された。PCゲーム『機動戦士ガンダム アドバンスドオペレーション』では、宇宙世紀0089年に地球連邦軍のパイロット、ゲーリー中尉の愛機として登場した。

ガンダムMk-II×II(スクエア)

漫画『機動戦士Ζガンダム Define』に登場。

ヤザン・ゲーブルマラサイとの戦闘で大破したガンダムMk-IIを大幅に改修した高機動型。肩、リア・アーマー、脚部にスラスターが増設および変更されている。機体名の「スクエア」は「二乗」を意味するが、原型機の表記を踏まえて「II×II」と表記される[22]

エマ・シーンが引き続き搭乗し、ティターンズによる月へのコロニー落としの直後にヤザン隊と交戦、1対3でありながら強化された機動力で翻弄し、ヤザン機の左腕を破壊して雪辱を果たす。

武者ガンダムMk-II

『SD戦国伝』シリーズとは別に、宇宙世紀の世界観上で展開された雑誌「コミックボンボン」のオリジナルストーリー「プロジェクトMUSHA」に登場(1989年6月号掲載)。

木星の宇宙海賊掃討を目的として始動した連邦軍の「プロジェクトMUSHA」機体群の内のひとつ。その名が示すとおり、旧世紀の日本の鎧武者を模した外観を持つ。頭部に電磁場を発生させる角が2本搭載され、実体剣「コテツ」を装備している。

脚注

注釈

  1. ^ 機動武闘伝Gガンダム』「プロローグ・I 誕生編」(1994年4月1日放送)でマイケル富岡が読み上げたことで判明した。
  2. ^ 「原作」でありながら実際の発表時期はアニメ放映開始より後になってしまっていたため、富野は自らを「無様」と述べている。
  3. ^ 『ガンダムMSグラフィカ』のスペック表(英文)では"TITANIUM ALLOY CERAMIC COMPOSITE (LUNA TITANIUM ALLOY)"と表記されている。
  4. ^ 純粋な連邦系技術のみで作られたとする資料もみられる[9]。一方で、旧ジオン系の技術が数多く導入されているとした資料もみられる[5]
  5. ^ このスラスターやバーニアを開発するにあたっては、タキム重工のトップエンジニアを技術士官として招聘するなど、破格の待遇で集められた[15]
  6. ^ ただし、構造材にガンダリウムγが使用されていないことから厳密な意味での第2世代MSではなく、第1世代から第2世代への過渡期にある機体、または第1.5世代MSといえる。
  7. ^ 後に4号機の存在が確認されたが、この4号機はMk-II強奪事件以前にグリーンノア1内で実施された高速機動試験中に墜落事故を起こしていたとする資料もみられる[16]
  8. ^ プロトタイプサイコガンダム開発用に別途製作され、ムラサメ研究所に提供された機体の存在も一部資料に見られる[17]
  9. ^ 雑誌企画『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』では、バーザムの解説として「グリプスの主力機開発計画」という一節があるが、本機との関係は言及されていない。
  10. ^ これはRX-78に施されたマグネット・コーティング時の設定が継承されたためであるという。
  11. ^ テレビ版。劇場版ではフランクリンの奪ったリック・ディアスとの交戦で破壊されたものとなっている。
  12. ^ 武装についてもデータバンク内に存在したものを全て再現し、さらには新たな追加オプションまでも開発して運用された[14]
  13. ^ 『マスターグレード』解説より。なお、『マスターグレード スーパーガンダム』記載の武装型式番号は誤って翌月発売の『マスターグレード ジム』に転載されている。
  14. ^ アムロ・レイを演じた声優古谷徹は、ティターンズ・カラーの本機をお気に入りのMSとして挙げている[要出典]
  15. ^ これらはGP計画が隠蔽されなかったというifの歴史に基づいたゲームオリジナル設定である。

出典

  1. ^ 『ガンダムウォーズ・プロジェクトゼータ』、大日本絵画、1986年3月、1988年12月(新装版)、27頁。(ISBN 978-4499205252)
  2. ^ a b c 『ジ・アニメ特別編集 機動戦士Ζガンダム PART3』近代映画社、1986年4月、82頁。
  3. ^ 『ガンダムメカニクスIII』ホビージャパン、1999年3月。(ISBN 978-4894251991)
  4. ^ a b c d e f g h i 『機動戦士Ζガンダムを10倍楽しむ本』講談社、1985年5月、80頁。
  5. ^ a b c 『1/100 ガンダムMk-II』バンダイ、1985年5月、組立説明書。
  6. ^ 『データコレクション 機動戦士Ζガンダム 上巻』角川書店、1997年6月15日初版発行、52-53頁。(ISBN 4073063022)
  7. ^ a b c d 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』バンダイ、1989年3月、37-38頁。(ISBN 978-4891890186)
  8. ^ a b 『マスターグレード RX-178 ガンダムMk-II(ティターンズ)』バンダイ、1998年8月、組立説明書。
  9. ^ 「ザ・オフィシャルアート・オブ・Ζガンダム」『月刊ニュータイプ』創刊号、角川書店、1985年3月。
  10. ^ a b c d 『プロジェクトファイル Ζガンダム』ソフトバンククリエイティブ、2016年9月、12-13頁。(ISBN 978-4797386998)
  11. ^ 『ハイグレード RX-178 ガンダムマークII』バンダイ、1990年7月、付属解説書。
  12. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.8 SPECIALガンダム大鑑』バンダイ、1993年2月28日初版発行、64頁。(ISBN 978-4891892067)
  13. ^ a b c d e f g パーフェクトグレード RX-178 ガンダムMk-II(エゥーゴ)』バンダイ、2001年11月、説明書。
  14. ^ a b c 『マスターグレード RX-178 ガンダムMk-II』バンダイ、1998年8月、組立説明書。
  15. ^ 『マスターグレード RX-178 ガンダムMk-II Ver.2.0(ティターンズ仕様)』バンダイ、2006年3月、組立説明書。
  16. ^ 「ガンダムMk-II」『ガンダムMSグラフィカ』ソフトバンククリエイティブ、2006年12月、2-6頁。(ISBN 978-4797331523)
  17. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.4 MS開発戦争編』バンダイ、1991年2月、106-107頁。(ISBN 978-4891891305)
  18. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』バンダイ、1989年3月、42頁。(ISBN 978-4891890186)
  19. ^ 『1/144 Gディフェンサー』説明書、バンダイ、1985年11月。
  20. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .2 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.2 グリプス戦争編】』バンダイ、1988年3月、50-51頁。
  21. ^ 伸童舎「ガンダム・ワールド70の謎」『ジ・アニメ』1986年6月号、13頁。
  22. ^ 『ガンダムエース』2020年1月号、KADOKAWA、277頁。

関連項目