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== 朝食の有無と健康への影響 ==
== 朝食の有無と健康への影響 ==
[[肥満]]や[[糖尿病]]に悩む人に向けて開設された『ダイエット・ドクター』(''Diet Doctor'')の最高経営責任者、[[アンドゥリーアス・イーエンフェルト]]('''Andreas Eenfeldt''')「空腹で、何かを食べたくてたまらないのであれば、朝食を取ればいい。空腹でないのなら、朝食を取る必要は無い。朝食を取らずとも何の弊害も起こらない。朝食を取らないことで体重が増える心配は無い」「絶食すると、[[インスリン]]('''Insulin''')の濃度が上がる、という主張もあるが、これは間違いだ。空腹時のヒトのインスリンの濃度は極めて低い」「[[断食]]は血圧を上昇させる、という主張があるが、実際には、眠りから目覚めたあとに何も食べずにいると、血圧は低いままである」と述べ、「朝食を取るべきか否か、ではなく、空腹のときに食べなさい」と奨めいる<ref>{{Cite web |author = Dr. Andreas Eenfeldt, MD|date = 29 December 2013|url = https://www.dietdoctor.com/skipping-breakfast-deadly|title = Is skipping breakfast deadly?|website = dietdoctor.com|publisher = |accessdate = 7 March 2021}}</ref>。
日本では、20歳代の[[男性]]では3人に1人、[[女性]]では5人に1人が朝食抜きと言われている<ref name="a">[http://www.medical-tribune.co.jp/kenkou/199709232.html あなたの健康百科 - 朝食抜きの弊害] {{リンク切れ|date= 2020年2月}}</ref>。


空腹時や絶食状態の時は、血漿[[遊離脂肪酸]]の比率が増加し、脂肪分解率の上昇が確認されている<ref>[https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3152802/ Adipose Triglyceride Lipase and Hormone-Sensitive Lipase Are Involved in Fat Loss in JunB-Deficient Mice]Montserrat Pinent,* Andreas Prokesch,* Hubert Hackl, Peter J. Voshol, Ariane Klatzer, Evelyn Walenta, Ute Panzenboeck, Lukas Kenner, Zlatko Trajanoski, Gerald Hoefler, and Juliane G. Bogner-Strauss. Endocrinology. 2011 Jul; 152(7): 2678–2689. Published online 2011 May 3. {{PMID|21540289}} {{doi|10.1210/en.2010-1477}}</ref>。
朝食を抜くと、次のような悪影響がある、と指摘されている<ref name="a" />。
* 体力や集中力の低下を招き、生体リズムが乱れる結果、午前中の仕事や学業に集中できなくなるとされる。全寮制の大学での調査で、朝食を摂ったグループがそうでないグループより学業成績が優れ、欠席時間も少ないとの報告も出ている。
* [[昼食]]と[[夕食]]の2食だけでは栄養素の補給が不十分であり、夕食の比重が高くなる。すると、[[肥満]]につながり、[[糖尿病]]や高血圧を誘発する。この点については同じ食事量にもかかわらず食べる回数が少なくなると、肥満、心臓疾患、糖尿病のリスクが高くなるというデータがある<ref name="tabemonotokenkouomoshirozatsugaku_p186"> 落合敏監修 『食べ物と健康おもしろ雑学』 p.186 ([[梧桐書院]]、[[1991年]](平成3年))</ref>。

ダイエットのために朝食をとらないことは科学的には疑問視される。実際、[[相撲]]の[[力士]]には昔から体重を増やすために朝食をとらない風習がある。これにはヒトの体は空腹時間が長くなると防衛本能が働き、エネルギーをなるべく消費せずに体内に蓄積するようになるという科学的根拠がある<ref name="tabemonotokenkouomoshirozatsugaku_p186"/>。また、名古屋大大学院の研究グループは、朝食を抜くと[[体内時計]]に狂いが生じエネルギー消費が減少し、太りやすくなるというメカニズムの実証実験を行い、科学誌プロス・ワン電子版に掲載された<ref>[https://www.jiji.com/jc/article?k=2018110100179&g=soc 「朝食抜きは太る」解明=体内時計狂いが原因-名古屋大] {{リンク切れ|date= 2021年1月}} - [[時事通信]]、[[2018年]](平成30年)11月1日</ref>。

[[東北大学]]加齢医学研究所[[教授]]の[[川島隆太]]らによると、朝食を毎朝摂っている人ほど[[幸福]]を感じているという[[アンケート]]結果が出ている<ref>{{Cite news|url=http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100917-OYT1T00064.htm|title=毎日朝食取る人は「幸福」実感…健康や家族重視|newspaper=[[読売新聞]]|date=2010-09-17|accessdate=2021-01-13}} {{リンク切れ|date= 2021年1月}}</ref>。

一方で、[[アンドゥリーアス・イーエンフェルト]]('''Andreas Eenfeldt''')のように「空腹で、何かを食べたくてたまらないのであれば、朝食を取ればいい。空腹でないのなら、朝食を取る必要は無い。朝食を取らずとも何の弊害も起こらない。朝食を取らないことで体重が増える心配は無い」「絶食すると、[[インスリン]]('''Insulin''')の濃度が上がる、という主張もあるが、これは間違いだ。空腹時のヒトのインスリンの濃度は極めて低い」「[[断食]]は血圧を上昇させる、という主張があるが、実際には、眠りから目覚めたあとに何も食べずにいると、血圧は低いままである」と述べ、「朝食を取るべきか否か、ではなく、空腹のときに食べなさい」と奨める人物もいる<ref>{{Cite web |author = Dr. Andreas Eenfeldt, MD|date = 29 December 2013|url = https://www.dietdoctor.com/skipping-breakfast-deadly|title = Is skipping breakfast deadly?|website = dietdoctor.com|publisher = |accessdate = 7 March 2021}}</ref>。

空腹時や絶食状態の時は、血漿[[遊離脂肪酸]]の比率が増加し、脂肪分解率の上昇が確認されている<ref>[https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3152802/ Adipose Triglyceride Lipase and Hormone-Sensitive Lipase Are Involved in Fat Loss in JunB-Deficient Mice]Montserrat Pinent,* Andreas Prokesch,* Hubert Hackl, Peter J. Voshol, Ariane Klatzer, Evelyn Walenta, Ute Panzenboeck, Lukas Kenner, Zlatko Trajanoski, Gerald Hoefler, and Juliane G. Bogner-Strauss. Endocrinology. 2011 Jul; 152(7): 2678–2689. Published online 2011 May 3. {{doi|10.1210/en.2010-1477}}</ref>。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
{{Commons|Breakfast}}
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* [[食事]] - [[昼食]] - [[夕食]]
* [[食事]]
* [[昼食]]
* [[夕食]]
* [[シリアル食品]] - [[朝食シリアル]]
* [[コーンフレーク]]
* [[オートミール]]
* [[ブランチ (食事)|ブランチ]]
* [[朝飯会]]
* [[卵かけご飯]]
* [[のりたま]] - 旅館で出される「海苔」と「玉子」の朝食を家庭でも味わえるようにと作られた[[ふりかけ]]。
* [[フル・ブレックファスト]]


{{料理}}
{{料理}}

2021年3月7日 (日) 16:30時点における版

朝食(ちょうしょく)とは、に摂る食事のことである。朝餉(あさげ)、朝飯(あさめし)、朝御飯(あさごはん)とも。英語の「Breakfast」は「朝食」と訳されることが多いが、これは「断食期間を破る」という意味である[1]

概要

睡眠から目覚め、その日の最初に取る食事を指す。

その朝食を摂るまでもなく簡単に済ませられるぐらい容易なことを「朝飯前」と呼んだりする。起床してから朝食を摂るまでの時間が比較的短いことから、「その間に済ませられるぐらい容易なこと」という意味である[2]

ヨーロッパ

フランス

パンバゲットまたはクロワッサン)や、シリアル、 飲み物やカフェ・オ・レコーヒー。パンにはジャムバターを添えることがある。

ドイツ

パン(多くライ麦の入った酸味のあるものが好まれる)・コーヒーヴルスト(ソーセージ)・ハム。果物を摂ることもある。コーヒーでなく、紅茶や野菜ないし果物ジュース麦芽を溶いたミルクを好むものもある。火を使わないものを並べる。これを「カルトエッセン」と呼ぶ。

ドイツ料理には、「バウエルンフリュシュトゥーク」(Bauernfrühstück)[注 1] (「農夫の朝食」)と呼ばれるジャガイモ料理があるが、これが朝食に食べられることはない。「農夫のように肉体労働をする人なら、朝食に食べるかもしれないが」という意味合いで、実際にはブランチ、もしくは昼食に食べられるものである。

イギリス・アイルランド

産業革命の時代より、「伝統的にたっぷりの食べ物を時間を掛けて食べる」とされ[要出典]、炭水化物以外にも脂肪や動物性タンパク質が豊富なメニューが並ぶ。

イングリッシュ・ブレックファスト(「イングランド風朝食」, English breakfast)や「アメリカン・ブレックファスト」と呼び、ヨーロッパ大陸で見られる簡素な食事を「大陸風朝食」(Continental Breakfast)と呼ぶ。

18世紀以前は他の大陸諸国と同じく簡素な食事だったが、産業革命期に現在の英国風朝食のスタイルが生じてきた。

ベーコン卵料理(通常は目玉焼き)を基本とし、英国風ソーセージマッシュルームソテー、焼きトマト、 ブラック・プディング(豚の血で作った黒ソーセージ)、ベイクド・ビーンズ(の煮物)にバターやジャムを塗ったトースト、揚げパンとミルク付きの紅茶を添えるが、簡素なシリアルやトーストで済ませる者もいる。連合王国全体においては、イングランド以外でも同様の朝食をとる食習慣があるが、スコットランドではこのような朝食を「スコティッシュ・ブレックファスト」(Scottish breakfast)と呼ぶ。

隣国のアイルランドでもそのような朝食をとるが、これは「アイリッシュ・ブレックファスト」(Irish breakfast)と呼ばれる。

アジア

中国大陸・香港・台湾

地域によって異なるが、概ね饅頭(マントウ)が多い。粥には「油条」(揚げパンの一種)が供される場合がある。香港では「港式早餐」と呼ばれる卵料理ハムソーセージトーストマカロニビーフン、あるいはインスタントラーメンが入ったスープを組み合わせたものが茶餐廳で提供されている。

日本

江戸時代、庶民の間にも米食が広く普及するにつれ、地方により朝食における米食のスタイルの違いが見られるようになった。江戸では朝に炊飯したものを朝食として食し、夕食には湯漬けや茶漬けにすることが多かった(『石城日記』に当時の食習慣の記述が見られる)、京阪では夕食に炊飯し、その残りを翌朝ににして食べていた。

和風の場合にはそれ相応に手間の掛かる傾向が強く、家庭主婦の重労働とされる仕事の一つにも挙げられていたが、現在では様々な調理器具や調理済み食品が出回り、省力化が進んでいる。

朝食といっても、前近代では身分によって食す時間帯が定まっていて、平安時代天皇であれば、巳の刻(『寛平御遺誡』)、南北朝時代では午の刻(『建武年中行事』)、江戸時代では卯の刻に身を清め神仏を拝んだ後、辰の刻朝五ツ半(9時頃)に朝食を摂った[3]。一方、近世の征夷大将軍は辰の刻朝五ツ(8時頃)に朝食を摂っており[4]、天皇より早めの朝食を摂っていた。

現代においては、和風ならば、ごはん味噌汁納豆、生焼き魚漬物海苔が多い。茶粥を食べるところもある。洋風ならばパン目玉焼きコーヒースープが多い。前日の夕食の残り物を利用する場合もある。

北アメリカ

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国においては様々な形態の朝食が並立している。移民たちがそれぞれの出身国の伝統を持ち込んでいることに加え、アメリカの大地で生み出された新たな選択肢も加わる。出身国で見られる朝食を取る家庭も相当数ある。イギリス系の人々はイギリス風の、ドイツ系の人々はドイツ風の、中国系の人々は中国風の朝食を摂る。日本ではイギリス風の食事が紹介されることが比較的多い。

トーストシリアル卵料理ベーコンハムソーセージパンケーキワッフルフレンチトーストドーナツマフィンベーグル果物ハッシュドポテトコーンビーフハッシュ、これらを好みで選択する。

ギャラリー

宿泊施設での朝食

ホテルで提供される朝食においては、パン、ベーコン、 ハム、 ソーセージ、各種卵料理が多い。

京都の旅館での朝食。「部屋食」と呼ばれる

日本の旅館では、和風朝食の標準的な献立を中心に、客間で客それぞれに配膳する、いわゆる「部屋食」が正式な給仕法であるが、食堂でビュッフェ形式の朝食を提供する機会が多くなった。

ホテルにおいては、洋風と日本風の料理が混在している場合が多い[5]。食事無し・素泊まりの宿泊を提供するホテルでも、簡素なパンや飲み物をサービスとして提供するホテルもある。

イギリスにおいては、イギリス式とアメリカ式、いずれかの様式が選べるホテルもある。

日本の飲食店や各種施設等での朝食提供

飲食店

日本国内の飲食店においては、早朝から営業開始し、朝食を提供している店もある。典型例として、喫茶店でのモーニングサービス和製英語。「モーニングセット」や、単に「モーニング」と呼ぶこともある)が挙げられる。ファーストフード店やファミリーレストランが時間限定でのメニューを提供しており、マクドナルド朝マック牛丼屋のチェーン店が提供しているものもこれにあたる。

教育施設

大学学生食堂で朝食を格安や無料で提供している例もある(東北大学宮城教育大学)。早起きして学生食堂に来た学生にだけ格安で提供するパターンや、運動競技の強化選手指定を受けている学生に対して、(十分な栄養を摂取し、良い成績を残すことを期待して)無料で提供している。

交通機関

交通機関においても朝食が提供されていることがある。宿泊設備を備えた船舶列車寝台列車や長距離フェリー)で提供されているのが一般的であるが、一般の通勤用鉄道列車でも、朝の通勤時に列車内で食べられるような朝食用の駅弁が販売されている場合がある(高崎駅での上州の朝がゆ)。東海道新幹線では、朝8時30分までに東京駅名古屋駅新大阪駅を発車する列車内において、サンドイッチコーヒーをセットにしたモーニングセットが車内販売されている。航空では、国際線の機内食で朝食を提供する場合もあり、その内容は航空会社ごとに様々である。

特定地域の珍しい習慣

福島県喜多方市においては朝食にラーメンを食べる習慣があり、「朝ラー」という言葉で新聞にもとりあげられた[6]

朝食の有無と健康への影響

肥満糖尿病に悩む人に向けて開設された『ダイエット・ドクター』(Diet Doctor)の最高経営責任者、アンドゥリーアス・イーエンフェルト(Andreas Eenfeldt)は「空腹で、何かを食べたくてたまらないのであれば、朝食を取ればいい。空腹でないのなら、朝食を取る必要は無い。朝食を取らずとも何の弊害も起こらない。朝食を取らないことで体重が増える心配は無い」「絶食すると、インスリン(Insulin)の濃度が上がる、という主張もあるが、これは間違いだ。空腹時のヒトのインスリンの濃度は極めて低い」「断食は血圧を上昇させる、という主張があるが、実際には、眠りから目覚めたあとに何も食べずにいると、血圧は低いままである」と述べ、「朝食を取るべきか否か、ではなく、空腹のときに食べなさい」と奨めている[7]

空腹時や絶食状態の時は、血漿遊離脂肪酸の比率が増加し、脂肪分解率の上昇が確認されている[8]

脚注

注釈

  1. ^ アクセントは、ウエルンフリュシュトューク

出典

  1. ^ Anderson, Heather Arndt (2013). Breakfast: A History
  2. ^ 新村出 編『広辞苑 第四版』岩波書店、1991年、38頁。ISBN 4000801015 
  3. ^ 『図解!江戸時代』 (三笠書房2015年平成27年)) p.130.
  4. ^ 『図解!江戸時代』(三笠書房、2015年(平成27年)) p.133.
  5. ^ Ashkenazi, Michael; Jacob, Jeanne (2003). Food culture in Japan. pp. 119–20. ISBN 9780313324383. https://books.google.com/books?id=Ley_r5VldNUC&q=breakfast+japan&pg=PA119 
  6. ^ “「朝ラー」大入り 喜多方”. 朝日新聞. (2007年9月9日). http://www.asahi.com/komimi/TKY200708290069.html 2021年1月23日閲覧。  (日本語)
  7. ^ Dr. Andreas Eenfeldt, MD (2013年12月29日). “Is skipping breakfast deadly?”. dietdoctor.com. 2021年3月7日閲覧。
  8. ^ Adipose Triglyceride Lipase and Hormone-Sensitive Lipase Are Involved in Fat Loss in JunB-Deficient MiceMontserrat Pinent,* Andreas Prokesch,* Hubert Hackl, Peter J. Voshol, Ariane Klatzer, Evelyn Walenta, Ute Panzenboeck, Lukas Kenner, Zlatko Trajanoski, Gerald Hoefler, and Juliane G. Bogner-Strauss. Endocrinology. 2011 Jul; 152(7): 2678–2689. Published online 2011 May 3. PMID 21540289 doi:10.1210/en.2010-1477

関連項目