コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「北越急行HK100形電車」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
Cewbot (会話 | 投稿記録)
56行目: 56行目:
ブレーキシステムは[[回生ブレーキ|回生]]・[[発電ブレーキ|発電]]併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令式空気ブレーキ]]を使用し、発電ブレーキ用抵抗器を屋根上に搭載する。
ブレーキシステムは[[回生ブレーキ|回生]]・[[発電ブレーキ|発電]]併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令式空気ブレーキ]]を使用し、発電ブレーキ用抵抗器を屋根上に搭載する。


[[北陸新幹線]]開業前は最高速度160 [[キロメートル毎時|km/h]]運転を実施する特急「[[はくたか (列車)#在来線特急「はくたか」|はくたか]]」を阻害せず各駅に停車しながら待避駅や信号場まで逃げ切るダイヤが組まれていたため、起動加速度3.0 [[キロメートル毎時毎秒|km/h/s]]、最高運転速度110 km/hの高い性能を持つ。
[[北陸新幹線]]開業前は最高速度160 [[キロメートル毎時|km/h]]運転を実施する特急「[[はくたか#在来線特急「はくたか」|はくたか]]」を阻害せず各駅に停車しながら待避駅や信号場まで逃げ切るダイヤが組まれていたため、起動加速度3.0 [[キロメートル毎時毎秒|km/h/s]]、最高運転速度110 km/hの高い性能を持つ。


六日町方にKP30形下枠交差式[[集電装置|パンタグラフ]]を搭載するほか、豪雪地帯での運用を考慮し、冬期は落雪による前面ガラス破損防止の観点から保護用金網(プロテクター)を装着する。
六日町方にKP30形下枠交差式[[集電装置|パンタグラフ]]を搭載するほか、豪雪地帯での運用を考慮し、冬期は落雪による前面ガラス破損防止の観点から保護用金網(プロテクター)を装着する。

2021年4月20日 (火) 11:04時点における版

北越急行HK100形電車
北越急行HK100形電車
(2015年3月8日 直江津
基本情報
運用者 北越急行
製造所 新潟鐵工所新潟トランシス
製造年 1997年 - 2003年
製造数 12両
運用開始 1997年3月22日
主要諸元
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500 V
最高運転速度 110 km/h
起動加速度 3.0 km/h/s
減速度 3.5 km/h/s[1]
編成定員 一般車:133人
ゆめぞら:115人
ゆめぞらII:111人
自重 一般車: 36.5 t
ゆめぞら: 37.7 t
ゆめぞらII: 38.5 t
車体長 20,000 mm
車体幅 2,800 mm
車体高 3,620 mm
車体 普通鋼
台車 HK62形
主電動機 かご形三相誘導電動機 MT68形
主電動機出力 95 kW
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制動装置 回生発電併用電気指令式空気ブレーキ
保安装置 ATS-PATS-Ps
テンプレートを表示

北越急行HK100形電車(ほくえつきゅうこうHK100がたでんしゃ)は北越急行の所有する電車ほくほく線の開業に合わせて1997年(平成9年)3月22日に営業運転を開始した。

概要

全車が新潟鐵工所および同社の事業を引き継いだ新潟トランシスで製造された。開業時に9両(うちイベント対応車2両)が導入された後、1998年(平成10年)4月に1両、2003年(平成15年)4月19日に2両が増備され、2005年3月現在で0番台10両・100番台2両の計12両が在籍する。

構造

車体は前面に貫通扉を持つ普通鋼製20 m級で客用扉は片開き2扉とした。

制御装置は三菱電機IGBT素子VVVFインバータ制御を搭載。

走行系は主電動機JR東日本が開発し209系E217系で実績のある出力95 kWのMT68形かご形三相誘導電動機を搭載。台車は枕ばねをボルスタレス空気ばねとしたHK62形を装着する。

ブレーキシステムは回生発電併用電気指令式空気ブレーキを使用し、発電ブレーキ用抵抗器を屋根上に搭載する。

北陸新幹線開業前は最高速度160 km/h運転を実施する特急「はくたか」を阻害せず各駅に停車しながら待避駅や信号場まで逃げ切るダイヤが組まれていたため、起動加速度3.0 km/h/s、最高運転速度110 km/hの高い性能を持つ。

六日町方にKP30形下枠交差式パンタグラフを搭載するほか、豪雪地帯での運用を考慮し、冬期は落雪による前面ガラス破損防止の観点から保護用金網(プロテクター)を装着する。

形式

車体構造の差異による番台区分がされるが、全車ワンマン運転対応である。豪雪地帯を走行する関係上、冬季にはドア前に大きなマットが敷かれる。

ほくほく線全線に乗車しても1時間程度であること、1〜2両の短編成の運転であり通勤・通学時間帯の乗車スペースを確保するという理由から車内にトイレは設置されていない[2]。単線行き違い待ちの停車時間で駅のトイレを使用するときは運転士に申し出るよう案内している[2]

0番台

HK100-9「ほしぞら」(左)+0番台一般車(右)(2007年2月24日 直江津)
0番台車内

運転台車。開業時にセミクロスシートの一般車(HK100-1 - 7)と転換クロスシートのイベント対応車(HK100-8・9)が導入され、1998年にHK100-10が増備された。

  • 通常は区別されずに運用されているが、貸切等があった場合はイベント対応車が優先的に投入される。

イベント対応車の改造

2002年(平成14年)8月にHK100-9が、プラネタリウム列車「ほしぞら」に改造された。

  • 「ほしぞら」ではトンネル内走行中に星座を浮かび上がらせ上映するため常時照明の明るい一般車を連結し2両編成での運転とされた。

「ほしぞら」が好評だったため、増備車として後述の100番台「ゆめぞら」が製造された。「ゆめぞら」導入後は車体塗装やマークはそのままだったが、映像サービスは中止され一般車と共通運用を組まれた。

その後2008年(平成20年)12月13日にHK100-8とHK100-9が「ゆめぞらII」に改造され、同日に六日町駅で催された式典から営業運転を開始した。「ゆめぞら」からの変更を以下に示す。

  • 投影装置を最新のプロジェクタに更新。
  • 塗装を100番台に準じたものに変更。
ゆめぞらIIに改造されたHK100-8とHK100-9 HK100-9(ゆめぞらII改造後) HK100-8(ゆめぞらII改造後)
ゆめぞらIIに改造されたHK100-8とHK100-9
HK100-9(ゆめぞらII改造後)
HK100-8(ゆめぞらII改造後)

100番台

HK100形100番台「ゆめぞら」(2014年8月14日、十日町)

前述の「ほしぞら」が好評だったことから、より本格的な映像演出を目指した「ゆめぞら」への投入と輸送力増強の観点から2003年(平成15年)4月19日に増備された[3]片運転台構造車。このため100番台に区分される。

0番台からの変更点を以下に示す。

  • 座席は当初より転換クロスシートで車端部はロングシートとした。
  • 塗装を0番台の白をベースに紺と赤帯から同社所有の681系電車と類似の白をベースに赤帯3本に変更。
  • 「ゆめぞら」への充当から車内内装を暗めの間接照明とした。
  • パンタグラフは両車とも六日町方に搭載されるため101は運転台上に、102は車端部上と形態差がある。

土曜日・休日および多客期の「ゆめぞら」運用では、六日町方のHK100-101にDVD7台とプロジェクタ14台を使用した動画を、犀潟方のHK100-102にブラックライトとプロジェクタ6台を使用した動画をトンネル内で上映する。

  • 従来の「ほしぞら」では星座の上映しか出来なかったが、「ゆめぞら」では季節に応じて「星座編」「花火編」「天空編」「海中編」の上映が可能となった。
  • 車端ロングシート部分は常時照明のスペースとなる。
ゆめぞら車内 上映中の車内 動画の投影の様子
ゆめぞら車内
上映中の車内
動画の投影の様子

2008年12月以降は「ゆめぞらII」の導入により映像上映対応車は4両体制となり、通常の映像列車とは別に臨時列車・団体専用列車での運行が可能となった。

平日など「ゆめぞら」が運転されない日には、0番台と共通運用される。ただし片運転台であるため1両での運用は不可能であることから通常は固定編成とされるが、101・102のいずれかが検査などの際には0番台との2両編成を組成されることもある。

改造工事

先述の「ほしぞら」→「ゆめぞらII」を除く改造工事を示す。

リニューアル工事

2009年(平成21年)に全般検査を実施したHK100-2の車両劣化状況を調査した結果、2010年(平成22年)より0番台車に全般検査施工と同時にリニューアル工事を開始した[4]。工事の主な内容を以下に示す。

  • 主制御器を更新
  • 床下機器収納箱を新品に交換
  • 車体腐食箇所の修繕
  • 主電動機冷却風取入口を車内に移設
  • 冷房装置の更新
  • 塗装変更(100番台車と異なり、帯部が紺色)
  • HOKUETSU EXPRESSのロゴを小型化

リニューアルは車体57ヶ所、機器類76ヶ所の計133ヶ所に実施されたが、全般検査と同時施工することにより工期短縮ならびにコスト削減を実現した。

施工は、同年10月15日にHK100-1から実施。10月16日より営業運転を開始。続いてHK100-4が12月13日より営業運転を開始した。

本工事は順次実施され、2014年5月、開業時から存在した塗装は消滅した[5]

貨客混載対応工事

貨物スペース。

北越急行では、特急「はくたか」廃止後の新たな収入源として、2016年に夜間の一部定期普通列車の六日町駅 - うらがわら駅間にて宅配便の荷物を輸送する、いわゆる「貨客混載」を行うことで佐川急便と合意した[6]。 このため、佐川急便のカーゴ台車を固定可能とする改造を実施している。

改造は、既存の車いすスペース側壁面に佐川急便のトラックで用いられるラッシングレールを追加するもので、カーゴ台車(幅652 mm×高さ1,650 mm×奥行936 mm)2基を搭載可能としている。なお、固定には別途ロープによる固縛も実施している[7]

なお、貨客混載については、先行して改造されたHK100-10を使用した試運転が、2016年11月8日に報道公開されている。2017年春のダイヤ改正以降、本格的な運用が開始される予定となっており、必要数のHK100形に改造工事が行われる予定である[7]

運用

超快速「スノーラビット」での運用。直江津駅

主に普通や快速列車で運用され、また2015年3月のダイヤ改正で新設された超快速「スノーラビット」にも使われる。定期列車は1両ないし2両編成での運行だが、回送列車臨時列車団体専用列車においてはこの限りではない。

定期運用区間

なお、ほくほく線はATS-Pを採用しているが、ATS-SNを使用するJR線およびえちごトキめき鉄道線に直通しているため、ATSはP型と、SN形と互換性のあるPs型を搭載する。

脚注

  1. ^ 車両技術 212号 P.51
  2. ^ a b よくあるご質問”. 北越急行. 2019年2月8日閲覧。
  3. ^ 「鉄道記録帳2003年4月」『RAIL FAN』第50巻第7号、鉄道友の会、2003年7月1日、23頁。 
  4. ^ HK100形電車の若返り - 北越急行(Internet Archive、2015年1月10日当時のアーカイブ版) 2015年11月1日閲覧
  5. ^ 《お色直し》 - 北越急行
  6. ^ “佐川、三セク鉄道で宅配便輸送 トラックを代替”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2016年6月3日). http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ03H2T_T00C16A6TJC000/?n_cid=TPRN0004 2016年6月6日閲覧。 
  7. ^ a b 伊藤久巳 (2017-02-01). “「変ぼうを遂げた北越急行」”. 鉄道ファン No.57 (通巻670号): pp.68-73. 

関連項目

外部リンク