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「朱鷺の墓」の版間の差分

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小説は『婦人画報』に1968年3月号から、途中休載を挟んで、1976年5月号までに連載されて、全体は4章に分かれている。<ref> 五木寛之著『朱鷺の墓』 (新潮文庫、1982年)</ref> <ref> 五木寛之著『朱鷺の墓』上・中・下(角川文庫、2011年、新潮文庫の二次文庫) </ref>
小説は『婦人画報』に1968年3月号から、途中休載を挟んで、1976年5月号までに連載されて、全体は4章に分かれている。<ref> 五木寛之著『朱鷺の墓』 (新潮文庫、1982年)</ref> <ref> 五木寛之著『朱鷺の墓』上・中・下(角川文庫、2011年、新潮文庫の二次文庫) </ref>
*'''空笛の章:''' 5歳で[[金沢]]の花街へ売られて芸妓になった染乃が[[日露戦争]](1904~05年)の捕虜たちへ慰問したのを戦争で息子たちを失くした民衆に襲われた処を捕虜の貴族出のロシア人アレクサンドル・イワーノフに救われたことが契機で彼と結婚する。彼が戦争終結でロシアへ帰っている間に、染乃は他の日本海の都市の赤線地域へ売られて、しかし金沢の幼馴染の機一郎に救われてそこは脱出して東京でイワーノフに会うが、さらに[[ウラジオストク]]へ売られてしまう。
*'''空笛の章:''' 5歳で[[金沢]]の花街へ売られて芸妓になった染乃が[[日露戦争]](1904~05年)の捕虜たちへ慰問したのを戦争で息子たちを失くした民衆に襲われた処を捕虜の貴族出のロシア人アレクサンドル・イワーノフに救われたことが契機で彼と結婚する。彼が戦争終結でロシアへ帰っている間に、染乃は他の日本海の都市の赤線地域へ売られて、しかし金沢の幼馴染の機一郎に救われてそこは脱出して東京でイワーノフに会うが、さらに[[ウラジオストク]]へ売られてしまう。
*'''風花の章:''' ウラジオストクで自由になった染乃は、[[ナホトカ]]の中華料理店で働きながらイワーノフを探し続け、[[ニコライ2世]]下の[[ストルイピン|ストルイピン首相]]を暗殺しようとした[[テロリスト]]一味の一員だった罪で[[イルクーツク]]に流刑中のイワーノフを探し出してやっと会い、出所した彼とウラジオへ帰り[[ナホトカ]]へ紹介されて、中国人に助けられてレストランで成功するが、[[十月革命]]なったロシアへ[[シベリア出兵]]する日本軍から圧力を受けて、スパイ兼殺し屋となった幼馴染の機一郎と三人でノルウェー船に乗って[[ペトログラード]]へ脱出する。
*'''風花の章:''' ウラジオストクで自由になった染乃は、[[ナホトカ]]の中華料理店で働きながらイワーノフを探し続け、[[ニコライ2世 (ロシア皇帝)|ニコライ2世]]下の[[ストルイピン|ストルイピン首相]]を暗殺しようとした[[テロリスト]]一味の一員だった罪で[[イルクーツク]]に流刑中のイワーノフを探し出してやっと会い、出所した彼とウラジオへ帰り[[ナホトカ]]へ紹介されて、中国人に助けられてレストランで成功するが、[[十月革命]]なったロシアへ[[シベリア出兵]]する日本軍から圧力を受けて、スパイ兼殺し屋となった幼馴染の機一郎と三人でノルウェー船に乗って[[ペトログラード]]へ脱出する。
* '''愛怨の章:''' [[ペトログラード]]でイワーノフは妹のナターシャに会い、貴族である両親はブルガリアに逃れて、ナターシャは反ロシア革命派のスパイになっている。イワーノフは以前のテロリスト仲間にさそわれるが、二人は両親を探しに[[ブルガリア]]の[[ソフィア]]へ行っても探せなく、そこからも遠く離れた所の修道院へ留まる。そこを出発して、[[ウィーン]]、[[プラハ]]を経て[[パリ]]へ移り、しばらくは以前のナホトカの中華料理屋と関係ある所で働く。しかしイワーノフが昔のテロリスト仲間に追われることとなり、二人は[[マルセーユ]]から日本へ逃れる。
* '''愛怨の章:''' [[ペトログラード]]でイワーノフは妹のナターシャに会い、貴族である両親はブルガリアに逃れて、ナターシャは反ロシア革命派のスパイになっている。イワーノフは以前のテロリスト仲間にさそわれるが、二人は両親を探しに[[ブルガリア]]の[[ソフィア]]へ行っても探せなく、そこからも遠く離れた所の修道院へ留まる。そこを出発して、[[ウィーン]]、[[プラハ]]を経て[[パリ]]へ移り、しばらくは以前のナホトカの中華料理屋と関係ある所で働く。しかしイワーノフが昔のテロリスト仲間に追われることとなり、二人は[[マルセーユ]]から日本へ逃れる。
* '''流水の章:'''しばらくは金沢に落ち着き、静かな時を過ごす。しかし、シベリア出兵中の日本では[[ハルビン]]で料理屋をやりながらスパイとして働く人が必要で、染乃とイワーノフはこれを断ると、軍部とその仲間から迫害を受けて、イワーノフは亡くなる。染乃は日本を捨てて、敦賀から再び[[シベリア]]行きの船に乗る1925年でこの小説は終わる。
* '''流水の章:'''しばらくは金沢に落ち着き、静かな時を過ごす。しかし、シベリア出兵中の日本では[[ハルビン]]で料理屋をやりながらスパイとして働く人が必要で、染乃とイワーノフはこれを断ると、軍部とその仲間から迫害を受けて、イワーノフは亡くなる。染乃は日本を捨てて、敦賀から再び[[シベリア]]行きの船に乗る1925年でこの小説は終わる。

2021年6月13日 (日) 10:09時点における版

朱鷺の墓』(ときのはか)は、五木寛之小説及びそれを原作としたテレビドラマ作品である。

概要

日露戦争下の城下町金沢を舞台に、美貌の芸妓・染乃とロシア貴族出身の青年将校イワーノフとの恋の行方を描いた作品。「婦人画報」連載途中より話題となり、テレビドラマ演劇にもなった。

作品名には「朱鷺の墓」とあるが、物語中では実際の朱鷺は登場しない。

小説

小説は『婦人画報』に1968年3月号から、途中休載を挟んで、1976年5月号までに連載されて、全体は4章に分かれている。[1] [2]

  • 空笛の章: 5歳で金沢の花街へ売られて芸妓になった染乃が日露戦争(1904~05年)の捕虜たちへ慰問したのを戦争で息子たちを失くした民衆に襲われた処を捕虜の貴族出のロシア人アレクサンドル・イワーノフに救われたことが契機で彼と結婚する。彼が戦争終結でロシアへ帰っている間に、染乃は他の日本海の都市の赤線地域へ売られて、しかし金沢の幼馴染の機一郎に救われてそこは脱出して東京でイワーノフに会うが、さらにウラジオストクへ売られてしまう。
  • 風花の章: ウラジオストクで自由になった染乃は、ナホトカの中華料理店で働きながらイワーノフを探し続け、ニコライ2世下のストルイピン首相を暗殺しようとしたテロリスト一味の一員だった罪でイルクーツクに流刑中のイワーノフを探し出してやっと会い、出所した彼とウラジオへ帰りナホトカへ紹介されて、中国人に助けられてレストランで成功するが、十月革命なったロシアへシベリア出兵する日本軍から圧力を受けて、スパイ兼殺し屋となった幼馴染の機一郎と三人でノルウェー船に乗ってペトログラードへ脱出する。
  • 愛怨の章: ペトログラードでイワーノフは妹のナターシャに会い、貴族である両親はブルガリアに逃れて、ナターシャは反ロシア革命派のスパイになっている。イワーノフは以前のテロリスト仲間にさそわれるが、二人は両親を探しにブルガリアソフィアへ行っても探せなく、そこからも遠く離れた所の修道院へ留まる。そこを出発して、ウィーンプラハを経てパリへ移り、しばらくは以前のナホトカの中華料理屋と関係ある所で働く。しかしイワーノフが昔のテロリスト仲間に追われることとなり、二人はマルセーユから日本へ逃れる。
  • 流水の章:しばらくは金沢に落ち着き、静かな時を過ごす。しかし、シベリア出兵中の日本ではハルビンで料理屋をやりながらスパイとして働く人が必要で、染乃とイワーノフはこれを断ると、軍部とその仲間から迫害を受けて、イワーノフは亡くなる。染乃は日本を捨てて、敦賀から再びシベリア行きの船に乗る1925年でこの小説は終わる。

そこ、ここに男と女の性への執着を執拗に織り交ぜながらも、日本が軍事的にアジア大陸へ向かっていく20世紀初期の時代にあって、ひとりの女が強靭な愛を貫く運命を壮大なスケールで描こうとした五木寛之の一作。

テレビドラマ

1970年版

1970年1月12日1月30日NHK銀河ドラマ」枠(月曜〜金曜21時00分〜21時30分)にて放送された連続スタジオドラマ。同枠20作目。カラー作品。全15回。NHK東京制作。

キャスト

スタッフ

1973年版

1973年4月30日6月15日フジテレビライオン奥様劇場」枠にて放送された連続テレビ映画。カラー作品。全35回。

概要

「奥様劇場」第68作。歌舞伎座テレビ室の制作としては6作目にあたる。平均視聴率7.9%、最高視聴率9.8%(いずれもビデオリサーチ調べ)。 スタッフとして進行を務めていた杉浦孝昭おすぎ)が女郎役で出演。神田隆はNHK版と同じ役で配役された。 イワーノフ役を演じた石崎二郎は佐分利信の子息。

キャスト

スタッフ

その後の展開

フジテレビ ライオン奥様劇場
前番組 番組名 次番組
愛と悲しみのとき
(1973.3.5 - 1973.4.27)
朱鷺の墓
(1973.4.30 - 1973.6.15)
二人だけの朝
(1973.6.18- 1973.8.3)

脚注

  1. ^ 五木寛之著『朱鷺の墓』 (新潮文庫、1982年)
  2. ^ 五木寛之著『朱鷺の墓』上・中・下(角川文庫、2011年、新潮文庫の二次文庫)

外部リンク


  • 網模様の人間関係--松竹現代劇〔朱鷺の墓〕 (上演劇評)掲載誌 テアトロ (通号 364) 1973.06.00 p.81~83