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「セルシウス度」の版間の差分

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しかし[[1948年]]の第9回[[国際度量衡総会]]は、3つの名称候補(英語表現:“degree centigrade”,“centesimal degree ”,“degree Celsius”)から、“degree Celsius”を選んだ。これにより、名称が正式に「セルシウス」へ変更された<ref>[https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/SI_9th_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88_r.pdf 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版] 国際度量衡局(BIPM)、産業技術総合研究所計量標準総合センター翻訳、p.129、第9回 CGPM,1948年(CIPM, 1948年(PV,21,88)及び第9回CGPM,1948年(CR,64):「セルシウス度」の採択)温度を表すために用いる「度」(degree)を示すために提案されている三つの名称(“degré centigrade”,“degré centésimal”,“degré Celsius”)の中から,国際度量衡委員会は「セルシウス度,“degré Celsius”」を選択した、産業技術総合研究所 計量標準総合センター</ref>。これには、考案者である「セルシウス」の認知のためと[[国際単位系|SI]]接頭辞であるセンチ(centi)との衝突からくる混乱(centigradeがgradeという単位の100分の1と勘違いされる)を避けるという目的があった。ただし、現在においても英語圏では“centigrade”でも通じる。現在では[[イギリス]]や[[アイルランド]]の放送メディアにおいては、かつて使われた「センチグレード」を用いず、セルシウスと呼ぶようになっている。アメリカ合衆国では日常生活の全般を通じて、依然として単独で[[華氏|華氏度]](及び華氏'''温度''')を用いるか、若しくは「華氏度」と「センチグレード」を併記しているのが実態である。
しかし[[1948年]]の第9回[[国際度量衡総会]]は、3つの名称候補(英語表現:“degree centigrade”,“centesimal degree ”,“degree Celsius”)から、“degree Celsius”を選んだ。これにより、名称が正式に「セルシウス」へ変更された<ref>[https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/SI_9th_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88_r.pdf 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版] 国際度量衡局(BIPM)、産業技術総合研究所計量標準総合センター翻訳、p.129、第9回 CGPM,1948年(CIPM, 1948年(PV,21,88)及び第9回CGPM,1948年(CR,64):「セルシウス度」の採択)温度を表すために用いる「度」(degree)を示すために提案されている三つの名称(“degré centigrade”,“degré centésimal”,“degré Celsius”)の中から,国際度量衡委員会は「セルシウス度,“degré Celsius”」を選択した、産業技術総合研究所 計量標準総合センター</ref>。これには、考案者である「セルシウス」の認知のためと[[国際単位系|SI]]接頭辞であるセンチ(centi)との衝突からくる混乱(centigradeがgradeという単位の100分の1と勘違いされる)を避けるという目的があった。ただし、現在においても英語圏では“centigrade”でも通じる。現在では[[イギリス]]や[[アイルランド]]の放送メディアにおいては、かつて使われた「センチグレード」を用いず、セルシウスと呼ぶようになっている。アメリカ合衆国では日常生活の全般を通じて、依然として単独で[[華氏|華氏度]](及び華氏'''温度''')を用いるか、若しくは「華氏度」と「センチグレード」を併記しているのが実態である。


日本や中国では、摂氏度(せっしど)、日本ではセ氏度(セしど)と呼ばれることがある。摂氏の語源は、セルシウスの中国音訳「摂爾修斯」({{Zh2|t=攝爾修斯|s=摄尔修斯|hp=Shè'ěrxiūsī|first=t}})から「'''摂'''」+人名に付ける接尾辞「'''氏'''」で、「'''摂氏'''」「'''温度'''」になった。日本の[[計量法]]は、名称として「セルシウス度」または「度」のみを定めており<ref>[https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=404AC0000000051#1357 計量法 別表第一] 温度の項、「ケルビン セルシウス度又は度」と規定されている。</ref>、したがって、取引または証明に用いる場合([[計量法#取引、証明とは]])においては、摂氏度(せっしど)の名称もセ氏度(セしど)の名称も使用することはできない<ref group="注釈">計量法第3条と別表第1、第8条は、「法定計量単位」を明確に定めており、温度の法定計量単位は、「ケルビン セルシウス度又は度」及び「カ氏度」(計量単位令別表第7)である。この規定のゆえに、「セ氏度」、「摂氏度」、「華氏度」の表記は計量法の違反となる。通産省のブックレットは、「計量法では 用語の使用を明確には規定していませんが、・・・」([http://www.keiryou-keisoku.co.jp/databank/kokusai/si/si.pdf 新計量法とSI化の進め方]、通商産業省、SI単位等普及推進委員会、1999年3月発行、p.31 Q21とA21)と記述し、計量法上の「物象の状態の量」の用語の使用を規定してはいないことを表明している。このことは、「計量単位」については、その使用を明確に規定しており、規定外の計量単位(の名称)を使用することは、法に違反となることを示すものである。なお、計量法は「取引又は証明に用いる」計量単位について規制しており、これらの用途以外における「非計量単位」の使用は計量法の規制外である。</ref><ref>[https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=404M50000400080#90 計量単位規則、別表第一] 項番二、比重、定義の欄、「四セルシウス度の温度の下において」の語が見える。</ref><ref>[https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=404CO0000000357#77 計量単位令 別表第一] 項番5、温度の欄の表現のとおり</ref><ref>1958年に[[アルコール専売法]]の第2条第2項中の「摂氏十五度」を「温度十五度」に改める法律改正がなされている。[https://ja.wikisource.org/wiki/%E8%A8%88%E9%87%8F%E5%8D%98%E4%BD%8D%E3%81%AE%E7%B5%B1%E4%B8%80%E3%81%AB%E4%BC%B4%E3%81%86%E9%96%A2%E4%BF%82%E6%B3%95%E5%BE%8B%E3%81%AE%E6%95%B4%E5%82%99%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B]第9条</ref>。
日本や中国では、摂氏度(せっしど)、日本ではセ氏度(セしど)と呼ばれることがある。摂氏の語源は、セルシウスの中国音訳「摂爾修斯」({{Lang-zh|t=攝爾修斯|s=摄尔修斯|hp=Shè'ěrxiūsī|first=t}})から「'''摂'''」+人名に付ける接尾辞「'''氏'''」で、「'''摂氏'''」「'''温度'''」になった。日本の[[計量法]]は、名称として「セルシウス度」または「度」のみを定めており<ref>[https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=404AC0000000051#1357 計量法 別表第一] 温度の項、「ケルビン セルシウス度又は度」と規定されている。</ref>、したがって、取引または証明に用いる場合([[計量法#取引、証明とは]])においては、摂氏度(せっしど)の名称もセ氏度(セしど)の名称も使用することはできない<ref group="注釈">計量法第3条と別表第1、第8条は、「法定計量単位」を明確に定めており、温度の法定計量単位は、「ケルビン セルシウス度又は度」及び「カ氏度」(計量単位令別表第7)である。この規定のゆえに、「セ氏度」、「摂氏度」、「華氏度」の表記は計量法の違反となる。通産省のブックレットは、「計量法では 用語の使用を明確には規定していませんが、・・・」([http://www.keiryou-keisoku.co.jp/databank/kokusai/si/si.pdf 新計量法とSI化の進め方]、通商産業省、SI単位等普及推進委員会、1999年3月発行、p.31 Q21とA21)と記述し、計量法上の「物象の状態の量」の用語の使用を規定してはいないことを表明している。このことは、「計量単位」については、その使用を明確に規定しており、規定外の計量単位(の名称)を使用することは、法に違反となることを示すものである。なお、計量法は「取引又は証明に用いる」計量単位について規制しており、これらの用途以外における「非計量単位」の使用は計量法の規制外である。</ref><ref>[https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=404M50000400080#90 計量単位規則、別表第一] 項番二、比重、定義の欄、「四セルシウス度の温度の下において」の語が見える。</ref><ref>[https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=404CO0000000357#77 計量単位令 別表第一] 項番5、温度の欄の表現のとおり</ref><ref>1958年に[[アルコール専売法]]の第2条第2項中の「摂氏十五度」を「温度十五度」に改める法律改正がなされている。[https://ja.wikisource.org/wiki/%E8%A8%88%E9%87%8F%E5%8D%98%E4%BD%8D%E3%81%AE%E7%B5%B1%E4%B8%80%E3%81%AB%E4%BC%B4%E3%81%86%E9%96%A2%E4%BF%82%E6%B3%95%E5%BE%8B%E3%81%AE%E6%95%B4%E5%82%99%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B]第9条</ref>。


ただし、俗用(計量法の規制が働かない場合など、[[計量法#取引・証明に該当しないもの]])では、例えば「セ氏15度」や漢字による「摂氏15度」の表記もみられる。英語では“{{en|fifteen degrees Celsius}}”と読み、“15 deg C”と略記することがある。アメリカ合衆国では、“{{en|fifteen degrees centigrade}}”と読まれることがある。
ただし、俗用(計量法の規制が働かない場合など、[[計量法#取引・証明に該当しないもの]])では、例えば「セ氏15度」や漢字による「摂氏15度」の表記もみられる。英語では“{{en|fifteen degrees Celsius}}”と読み、“15 deg C”と略記することがある。アメリカ合衆国では、“{{en|fifteen degrees centigrade}}”と読まれることがある。

2021年9月28日 (火) 09:11時点における版

セルシウス度(または単に「度」)
degré Celsius
degree Celsius
体温計
記号
国際単位系 (SI)
種類 固有の名称と記号を持つ 22 個の SI 単位
温度
定義 ボルツマン定数1.380649×10−23 J/K とすることによって定まる温度(ケルビンと同一)
由来 凝固点を0度、沸点を100度とする温度
語源 アンデルス・セルシウス
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セルシウス度(セルシウスど、英語: degree Celsius、記号: °C)または単に(記号: °C)は、セルシウス温度の単位である。その大きさはケルビン(記号: K)に等しい(℃=K)[注釈 1]。温度間隔(temperature interval)または間隔差(temperature difference)は、ケルビンまたはセルシウス度のどちらによっても表すことができ(第13回 CGPM、1967-1968年、決議3)、その数値は同じである。なお、温度差を表現するために、degree(略字 deg) を用いることは1980年以降、禁じられている。現在では、セルシウス度(およびセルシウス温度)は世界的に使用されている。

名称

セルシウス度の名称は、アンデルス・セルシウスに由来するものである。

水の氷点沸点との間を100分割した目盛り付けであることから、この温度系のもともとの名称は“centigrade”(「百分度」の意)であった[1]

しかし1948年の第9回国際度量衡総会は、3つの名称候補(英語表現:“degree centigrade”,“centesimal degree ”,“degree Celsius”)から、“degree Celsius”を選んだ。これにより、名称が正式に「セルシウス」へ変更された[2]。これには、考案者である「セルシウス」の認知のためとSI接頭辞であるセンチ(centi)との衝突からくる混乱(centigradeがgradeという単位の100分の1と勘違いされる)を避けるという目的があった。ただし、現在においても英語圏では“centigrade”でも通じる。現在ではイギリスアイルランドの放送メディアにおいては、かつて使われた「センチグレード」を用いず、セルシウスと呼ぶようになっている。アメリカ合衆国では日常生活の全般を通じて、依然として単独で華氏度(及び華氏温度)を用いるか、若しくは「華氏度」と「センチグレード」を併記しているのが実態である。

日本や中国では、摂氏度(せっしど)、日本ではセ氏度(セしど)と呼ばれることがある。摂氏の語源は、セルシウスの中国音訳「摂爾修斯」(繁体字: 攝爾修斯; 簡体字: 摄尔修斯; 繁体字: 攝爾修斯; 拼音: Shè'ěrxiūsī)から「」+人名に付ける接尾辞「」で、「摂氏」「温度」になった。日本の計量法は、名称として「セルシウス度」または「度」のみを定めており[3]、したがって、取引または証明に用いる場合(計量法#取引、証明とは)においては、摂氏度(せっしど)の名称もセ氏度(セしど)の名称も使用することはできない[注釈 2][4][5][6]

ただし、俗用(計量法の規制が働かない場合など、計量法#取引・証明に該当しないもの)では、例えば「セ氏15度」や漢字による「摂氏15度」の表記もみられる。英語では“fifteen degrees Celsius”と読み、“15 deg C”と略記することがある。アメリカ合衆国では、“fifteen degrees centigrade”と読まれることがある。

温度差の名称

かつては、セルシウス度の温度間隔(temperature interval)または温度差(temperature difference)を表現するのに、degree(略字 deg) が用いられた。これは1948年の第9回CGPMが、「温度間隔または温度差を示すときには、degree またはその省略形の deg を用いなければならない」と定めたからである[7]。しかしこの規定は1967/68年の第13回CGPMの決議によって廃止され、更に1980年以降は、degree(略字 deg)の使用は禁じられている[8]

セルシウス度とセルシウス温度

「セルシウス温度Celsius temperature)」は参照温度 T0 = 273.15 K(ほぼ氷点)からの温度差 t = TT0 で定義される量の名称であり[9]、「セルシウスdegree Celsius)」はセルシウス温度を表す温度の単位の名称である。温度の単位と言う場合は、他の物理単位と同様に、温度の1単位(即ち温度間隔)を言う。国際単位系(SI)や日本の計量法での「温度の単位」は、ケルビンまたはセルシウス(または単に、)である。

例えば、体温が36.5 ℃というとき、この36.5 ℃は温度の高さを表す「セルシウス温度」(Celsius temperature)であって、「セルシウス」ではない。セルシウス温度(36.5 ℃など)の表現のために用いられる単位(1度分の温度間隔)が「セルシウス」(degree Celsius)である。体温が 36.5 ℃ から 38.7 ℃ に上昇した場合、「2.2 セルシウス (degrees Celsius) 上がった」または「2.2 (degrees) 上がった」という言い方をするのであって、「2.2温度上がった」という言い方は誤りである。

しかし、日本語では、通常「体温は36.5だ」と言い、「体温が2.2上がった」と言って、同じ「度」を用いるために、字面上も観念上も、区別が分かりにくいが、異なった概念である。英語では temperature と degree とで区別が分かりやすい。そして、1セルシウス = 1 K(ケルビン) である。

しかしながら、一般にはこの違いが意識されず、「セルシウス度」と「セルシウス温度」とがしばしば混同され、混乱を招くことが多い(この混同は、「華氏度」と「華氏温度」にも見られる)。

量と単位の対応
ケルビン セルシウス系 華氏系
名称 熱力学温度 セルシウス温度 華氏温度
英語名 thermodynamic temperature Celsius temperature Fahrenheit temperature
対応(体温の例) 309.65 K 36.5 ℃ 97.7 °F
単位 名称 ケルビン セルシウス 華氏
英語名 kelvin degree Celsius degree Fahrenheit
換算 ℃ = K °F = 5/9 K

定義

セルシウス温度の単位は、セルシウス(記号は ℃)であり、定義によってケルビンの大きさと等しい[9]

日本の計量法での定義は次のようになっている[10]

計量単位令にあるとおり、単に「度」と表記した場合は、セルシウス度を意味する。

その単位記号は、「℃」 と定められている[12]

元々の定義は凝固点を0度、沸点を100度とするものであった。

用法

セルシウス度は、国際単位系(SI)における取り扱いが、他の単位と異なる点がある。その定義は、温度のSI基本単位の一つである、熱力学温度ケルビンの項でなされている。

一方で、セルシウス度は、「表 4 固有の名称と記号を持つ22個のSI単位[13]」において次のように掲げられている。

表4 固有の名称と記号を持つ22個のSI単位(抜粋)
組立量 単位の固有の名称 基本単位のみによる表現 他のSI単位も用いた表現
セルシウス温度 セルシウス度(注f) °C = K
(注f) セルシウス度は、セルシウス温度を表すために使用される。温度差または温度間隔を表す数値は、セルシウス度とケルビンのいずれで表しても同じである。

「単位の名称」では次のようになっている[14]

単位の名称は(単位記号が大文字で始まる場合でも)小文字で書き始める。この規則に従って、記号°Cの単位の名称の正しいつづりは「degree Celsius(セルシウス度)」となる(単位 degree は小文字の d で始まり、その修飾語であるCelsius は人名に由来するため大文字の C で始まる)。

「量の値の書式」では次のようになっている[15]

数値は、常に単位の前に来て、必ず1字分の空白を使って数字と単位を離す。(中略)この規則により、セルシウス温度 t の値を表記するには、その単位記号である °C の前に1字分の空白を挿入する。
  • 例:t = 30.2 °C
  • 不適例:t = 30.2°C
  • 不適例:t = 30.2° C

歴史

アンデルス・セルシウスによる考案

セルシウス度はスウェーデンの天文学者でウプサラ天文台の創始者であるアンデルス・セルシウス1742年に考案したものに基づいている。ただし、彼は現在のセルシウス温度の目盛付けとは逆の目盛り付けを行った[16]。すなわち、1気圧下における凝固点氷点)を100度、沸点を0度として、その間を100等分する目盛りを考案した。そして氷点以下の温度を、温度が下がるにしたがって101度、102度、103度・・・とした。地球上の気温を現今の温度目盛りでマイナス90 ℃~プラス60 ℃(気温#気温の日本記録)とすると、セルシウス考案の温度目盛りでは、プラス190度~プラス40度となって、気温が負数で表現されることはないという利点があるからである。

目盛り付けの反転

アンデルス・セルシウスの死後に、氷点を0度、沸点を100度とする現在の目盛り付けに変更された。

誰が目盛りを反転させたか

誰が目盛りを反転させたについては、カール・フォン・リンネによるものとする説と、リンネによるものではないとする説の2つの説がある。

W.E.Middletonの1966年の論文ではカール・フォン・リンネらによって1752年までに氷点を0度、沸点を100度とする方式に改められたとしている[16]

一方、ウプサラ天文台の解説は、セルシウスの死の直後の1744年に、凝固点(氷点)を0度、沸点を100度とする現在の方式に改められたとしている[17]。この改善については、誰か一人の功績によるものではなく、セルシウス、セルシウスの後任のsv:Mårten Strömer、計器制作者のsv:Daniel Ekströmの3人の貢献によるものであるとしている[18]。また、セルシウス度に最初期に注目し、実際に温度計をsv:Daniel Ekströmに製作させたカール・フォン・リンネの功績によるものではないとしている[19]

定義の精密化

その後の物理的な計測方法の進歩と熱力学温度の採用により、セルシウス温度の現在の定義は「ケルビン(K)で表した熱力学温度の値から273.15を減じたもの」となっている。つまり水の三重点を0.01 ℃とし、水の三重点と絶対零度の温度差の273.16分の1を1 ℃としている。「273.16分の1」という数字は、セルシウス温度における1度の温度差をそのまま熱力学温度で1ケルビンの温度差として使用するためのものである。すなわち、セルシウス度とケルビンの目盛の幅(単位の大きさ)は等しい。

なお、現在の国際温度目盛(ITS-90)では、融点沸点は厳密には 0℃、100 ℃ ではなく、それぞれ 0.002 519 ℃ 、99.9743 ℃ である(水の性質#融点水の性質#沸点を参照)。

単位の換算

  • セルシウス温度から華氏温度への換算
  • 華氏温度からセルシウス温度への換算
    • −40°Cと−40°Fは等しく、上の式は次のようにも表せる。


セルシウス度から他の単位への換算公式
セルシウス度から セルシウス度へ
ファーレンハイト度 [°F] = [°C] × 95 + 32 [°C] = ([°F] − 32) × 59
ケルビン [K] = [°C] + 273.15 [°C] = [K] − 273.15
ランキン度 [°R] = ([°C] + 273.15) × 95 [°C] = ([°R] − 491.67) × 59
温度の間隔は以下のようになっている。
1 °C = 1 K = 95 °F = 95 °R
他の温度の単位への換算
温度の単位の比較
ケルビン セルシウス度 ファーレンハイト度 ランキン度 ドリール度 ニュートン度 レオミュール度 レーマー度
絶対零度 0 −273.15 −459.67 0 559.725 −90.14 −218.52 −135.90
地球表面の最低気温(※1) 183.95 −89.2 −128.56 331.11 283.8 −29.436 −71.36 −39.33
ファーレンハイト寒剤 255.37 −17.78 0 459.67 176.67 −5.87 −14.22 −1.83
融点標準状態下) 273.15 0 32 491.67 150 0 0 7.5
地球表面の平均気温 288 15 59 518.67 127.5 4.95 12 15.375
人間の平均体温 309.95 36.8 98.24 557.91 94.8 12.144 29.44 26.82
地球表面の最高気温(※2) 329.85 56.7 134.06 593.73 64.95 18.711 45.36 37.268
水の沸点(標準状態下) 373.15 100 212 671.67 0 33 80 60
チタンの融点 1941 1668 3034 3494 −2352 550 1334 883
太陽の表面温度 5800 5526 9980 10440 −8140 1823 4421 2909

符号位置

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
U+2103 1-1-78 &#x2103;
&#8451;
セ氏度記号

Unicodeのセルシウス度の記号は、既存の文字コードとの互換性のために用意されている互換文字である。Unicode標準では、セルシウス度の記号はU+00B0 ° degree sign)とU+0043 C capital letter c(大文字のC)を組み合わせて使用し、検索の際はこれと一文字の「℃」を同一視することを推奨している[20]

脚注

注釈

  1. ^ セルシウス温度とケルビンが同じを示しているということではない。セルシウス温度での0 ℃は、ケルビンでは273.15 Kである。詳細は後述を参照。
  2. ^ 計量法第3条と別表第1、第8条は、「法定計量単位」を明確に定めており、温度の法定計量単位は、「ケルビン セルシウス度又は度」及び「カ氏度」(計量単位令別表第7)である。この規定のゆえに、「セ氏度」、「摂氏度」、「華氏度」の表記は計量法の違反となる。通産省のブックレットは、「計量法では 用語の使用を明確には規定していませんが、・・・」(新計量法とSI化の進め方、通商産業省、SI単位等普及推進委員会、1999年3月発行、p.31 Q21とA21)と記述し、計量法上の「物象の状態の量」の用語の使用を規定してはいないことを表明している。このことは、「計量単位」については、その使用を明確に規定しており、規定外の計量単位(の名称)を使用することは、法に違反となることを示すものである。なお、計量法は「取引又は証明に用いる」計量単位について規制しており、これらの用途以外における「非計量単位」の使用は計量法の規制外である。

出典

  1. ^ The American Heritage Dictionary, Second College Edition,"centigrade  Fr. Lat. centum-, hundred + Lat. gradus, degree.",p.252, Houghton Mifflin, 1982, ISBN 0-395-32943-4
  2. ^ 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 国際度量衡局(BIPM)、産業技術総合研究所計量標準総合センター翻訳、p.129、第9回 CGPM,1948年(CIPM, 1948年(PV,21,88)及び第9回CGPM,1948年(CR,64):「セルシウス度」の採択)温度を表すために用いる「度」(degree)を示すために提案されている三つの名称(“degré centigrade”,“degré centésimal”,“degré Celsius”)の中から,国際度量衡委員会は「セルシウス度,“degré Celsius”」を選択した、産業技術総合研究所 計量標準総合センター
  3. ^ 計量法 別表第一 温度の項、「ケルビン セルシウス度又は度」と規定されている。
  4. ^ 計量単位規則、別表第一 項番二、比重、定義の欄、「四セルシウス度の温度の下において」の語が見える。
  5. ^ 計量単位令 別表第一 項番5、温度の欄の表現のとおり
  6. ^ 1958年にアルコール専売法の第2条第2項中の「摂氏十五度」を「温度十五度」に改める法律改正がなされている。[1]第9条
  7. ^ [2] 9th CGPM, 1948. Writing and printing of unit symbols and of numbers (CR, 70)* Resolution 7, Note 3, p.162. 「To indicate a temperature interval or difference, rather than a temperature, the word “degree”in full, or the abbreviation “deg”, must be used.」
  8. ^ [3] 13th CGPM, 1967/68. SI unit of thermodynamic temperature (kelvin) (CR, 104 and Metrologia, 1968, 4,43), Resolutions 3, p.169 「* At its 1980 meeting, the CIPM approved the report of the 7th meeting of the CCU, which requested that the use of the symbols “°K” and “deg” no longer be permitted.」
  9. ^ a b 国際文書第9版(2019) 国際単位系(SI)日本語版” (PDF). 産業技術総合研究所 計量標準総合センター. 2020年7月7日閲覧。2.3.1 基本単位 ケルビン 、p.102
  10. ^ 計量単位令 別表第一 項番5、温度の欄
  11. ^ 計量単位令 別表第一 項番5、温度の欄
  12. ^ 計量単位規則 別表第2 温度・「セルシウス度又は度」の欄
  13. ^  国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 2.3.4 組立単位 表4 固有の名称と記号を持つ22個のSI単位、国際度量衡局(BIPM)、産業技術総合研究所計量標準総合センター翻訳、p.106
  14. ^ 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 国際度量衡局(BIPM)、産業技術総合研究所計量標準総合センター翻訳、p.117
  15. ^ 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 国際度量衡局(BIPM)、産業技術総合研究所計量標準総合センター翻訳、p.118
  16. ^ a b 高田誠二. “温度概念と温度計の歴史”. 日本熱測定学会. 2019年11月22日閲覧。4. 多様化と標準化、p.165
  17. ^ Anders Celsius 1701-1744 ウプサラ天文台による解説、第6段落目
  18. ^ History of the Celsius temperature scale ウプサラ天文台による解説、第5段落の後半部分、「The change to our modern direct scale was inevitable in the long run, however, but there is no sense in trying to give the credit to any single person.」Pehr Wargentin(Secretary of the Academy of Sciences、Royal Swedish Academy of Sciences)の1749年の論文による
  19. ^ History of the Celsius temperature scale ウプサラ天文台による解説、第5段落の後半部分、「In an account of the history of the thermometer in the Proceedings of the Royal Swedish Academy of Sciences 1749, Pehr Wargentin, Secretary of the Academy of Sciences, mentiones Celsius, his successor Strömer and the instrument maker Ekström in connection with the direct scale. Linné is not mentioned at all. No single person can be given the credit.」
  20. ^ “22.2”. The Unicode Standard, Version 8.0. Mountain View, CA, USA: The Unicode Consortium. (August 2015). ISBN 978-1-936213-10-8. http://www.unicode.org/versions/Unicode8.0.0/ch22.pdf 6 September 2015閲覧。 

関連項目

外部リンク