「情報技術」の版間の差分
Kanata1963 (会話 | 投稿記録) 138.64.87.35 (会話) による ID:87942130 の版を取り消し タグ: 取り消し |
→引用: 表現変更 |
||
(8人の利用者による、間の11版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
{{redirect|IT技術|その他のITの用途|IT|通信を含めた広義の概念|情報通信技術}} |
|||
[[Image:2005ICT.PNG|thumb|right|400px|2005年に支出された情報技術の金額]] |
|||
[[File:Papertape3.jpg|thumb|300px|[[紙テープ]]上に記録されたプログラム]] |
|||
'''情報技術'''(じょうほうぎじゅつ、{{lang-en-short|information technology、略称: '''IT'''}})とは、[[情報]]を取得、加工、保存、伝送するための科学技術のことである<ref>[http://e-words.jp/w/IT.html e-words IT用語辞典]</ref>。 |
|||
'''情報技術'''(じょうほうぎじゅつ、{{lang-en-short|information technology、IT}})とは、[[コンピュータ]]を使ってあらゆる種類の電子的な[[データ]]や[[情報]]を作成、処理、保存、取得、交換することである<ref>[http://e-words.jp/w/IT.html e-words IT用語辞典]</ref><ref name="DOP">{{citation |contribution=IT |title=A Dictionary of Physics |editor-last=Daintith |editor-first=John |publisher=Oxford University Press |year=2009 |url=http://www.oxfordreference.com/views/ENTRY.html?subview=Main&entry=t83.e1592 |access-date=1 August 2012|isbn=9780199233991 }} {{subscription required}}.</ref>。ITは一般的に、{{仮リンク|業務運用|en|Business operations}}の文脈の中で用いられ、個人的な用途や{{仮リンク|娯楽技術|en|Entertainment technology|label=娯楽のための技術}}とは異なる<ref>{{cite web |url=http://foldoc.org/information+technology |title=Free on-line dictionary of computing (FOLDOC) |access-date=9 February 2013 |archive-url=https://web.archive.org/web/20130415234011/http://foldoc.org/Information+Technology |archive-date=15 April 2013 |url-status=dead}}</ref>。 |
|||
[[アメリカ合衆国|米国]]の[[:en:Information Technology Association of America|ITAA]]の定義では、[[コンピュータ]]をベースとした[[情報システム]]、特に[[アプリケーションソフトウェア]]やコンピュータの[[ハードウェア]]などの[[研究]]、[[デザイン]]、[[開発]]、[[実装|インプリメンテーション]]、[[サポート]]<ref>{{lang-en-short|technical support}}</ref>あるいは[[マネジメント]]<ref>[https://web.archive.org/web/20090304003753/http://www.itaa.org/es/docs/Information%20Technology%20Definitions.pdf ITAA.org], p30, Accessed March 3, 2008(2009年3月4日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>である。 |
|||
ITは、通信を含めた概念である[[情報通信技術]] (ICT) の一部であると見なされる。{{独自研究範囲|また、[[情報システム]](ITシステム)とは一般に、限られたIT技術者のグループによって運営されるコンピュータシステムおよび{{仮リンク|通信システム|en|Communications system}}のことである|date=2022年5月25日 (水) 00:28 (UTC)}}。 |
|||
「IT」という語は、2000年代に入ってから多用されるようになった用語であり(例えば、[[IEEE]]で「IT society(アイティー・ソサイエティー)」と略されるのは、[[情報理論]]({{lang-en-short|information theory}})の専門部会である<ref>{{Cite web|url=http://www.ieee.org/membership_services/membership/fellows/societies/fellows_it.html|title=IEEE Information Theory (IT) Society Fellows|accessdate=2013-12-12|last=|first=|author=|authorlink=|coauthors=|date=|year=|month=|format=|work=|publisher=|page=|pages=|quote=|language=|archiveurl=https://web.archive.org/web/20100619155349/http://ieee.org/membership_services/membership/fellows/societies/fellows_it.html|archivedate=2010-06-19|deadlinkdate=}}</ref>)、[[インターネット]]、[[携帯電話]]、などや、それらを[[インフラ]]とした各種の[[ソフトウェア]]や[[サービス]]などといった、情報、特にコンピュータ関連の技術を広く指す用語として使われている。 |
|||
== 語源 == |
|||
なお、[[通信]]<ref>{{lang-en-short|communication}}</ref>を意識的に含める概念としては「'''[[情報通信技術]]'''」(じょうほうつうしんぎじゅつ、{{lang-en-short|information and communication(s) technology<ref>英語では…communication'''s'''…が一般的([[:en:Information and communications technology]])。通信の手段や方法は複数形が普通(プログレッシブ英和中辞典(第4版) [https://kotobank.jp/ejword/communication communication])。ちなみに[https://www.soumu.go.jp/schresult.html?q=Information%20and%20communication%20technology 総務省の資料]では複数が一般的だが、日本文のほか英文で単数を使用している例もある。</ref>、略称: '''ICT'''}})という表現も使用されている。 |
|||
紀元前3000年頃に[[メソポタミア]]の[[シュメール]]人が[[楔形文字|文字]]を発明して以来、人は情報を蓄積、取得、操作、そして伝達してきた<ref name="Butler">{{citation |last=Butler |first=Jeremy G. |title=A History of Information Technology and Systems |url=http://www.tcf.ua.edu/AZ/ITHistoryOutline.htm |publisher=University of Arizona |access-date=2 August 2012}}.</ref>。しかし、現在の意味での情報技術 (''information technology'') という言葉が初めて登場したのは、1958年に[[ハーバード・ビジネス・レビュー]]に掲載された論文である。著者の[[:en:Harold Leavitt|Harold J. Leavitt]] <small> and </small> Thomas L. Whislerは、『この新しい技術には、まだ単一の確立された名前がない。我々はそれを情報技術と呼ぶことにする。』と述べている。彼らの定義は3つのカテゴリー、すなわち「処理のための技術」「[[意思決定]]への[[統計学|統計的]]および数学的手法の適用」「コンピュータプログラムによる高次思考のシミュレーション」から構成される<ref name="LeavittWhisler">{{citation |title=Management in the 1980s |url=http://hbr.org/1958/11/management-in-the-1980s |last1=Leavitt |first1=Harold J. |last2=Whisler |first2=Thomas L. |journal=Harvard Business Review |year=1958 |volume=11}}.</ref>。 |
|||
{{Main|情報通信技術}} |
|||
この用語は、一般的にコンピュータと[[コンピュータネットワーク]]の[[同義語]]として使用されるが、[[テレビ]]や[[電話]]などの他の情報配信技術も含まれる。コンピュータ[[ハードウェア]]・[[ソフトウェア]]、[[電子機器]]、[[半導体]]、[[インターネット]]、[[通信機器]]、[[電子商取引]]など、経済の中で見られるいくつかの製品やサービスはITに関連付けられている<ref name="DMC">{{citation |last1=Chandler |first1=Daniel |last2=Munday |first2=Rod |contribution=Information technology |title=A Dictionary of Media and Communication |edition=first |publisher=Oxford University Press |url=https://books.google.com/books?id=nLuJz-ZB828C&pg=PA211 |quote = Commonly a synonym for computers and computer networks but more broadly designating any technology that is used to generate, store, process, and/or distribute information electronically, including television and telephone. |access-date=1 August 2012 |url-access=subscription |isbn=978-0199568758 |date=2011-02-10 }}.</ref>{{efn|後に「IT」という用語がより広く使われるようになったことについて、Kearyは次のようにコメントしている。『当初の用途である「情報技術 (information technology; IT)」は、データの保存・検索・処理・配布という広大な分野に応用される技術の融合を表すのに適していた。この有用な概念的用語は、その後、大いに役立つと言われるものに変えられたが、定義を強化することはなかった。ITという用語は、あらゆる機能、規律、役職の名称に適用するには実質を欠いている。』 |
|||
情報技術を用いて構成された[[システム]]は[[情報システム]]あるいはITシステムと呼ばれている。 |
|||
{{sfnp|Ralston|Hemmendinger|Reilly|2000|p=869}}}}。 |
|||
ITの発展には、使用されている記憶および処理技術に基づいて、前機械式(紀元前3000年 - 紀元後1450年)、[[機械工学|機械式]](1450年-1840年)、{{仮リンク|電気機械技術|en|Electromechanics|label=電気機械式}}(1840年 - 1940年)、および[[電子工学|電子式]]{{Enlink|en:Electronic engineering|英語版}}(1940年 - 現在)の4つの段階に区別することができる<ref name="Butler" />。この記事では、最も新しい期間(電子式)に焦点を当てている。 |
|||
{{Main|情報システム}} |
|||
== コンピュータ技術の歴史 == |
|||
==情報技術に関連する工学、学問、技術== |
|||
[[File:Z3 Deutsches Museum.JPG|thumb|upright=1.35|[[ミュンヘン]]の[[ドイツ博物館]]に展示されている[[Zuse Z3]]のレプリカ。Zuse Z3は最初のプログラマブル・コンピュータである。]] |
|||
{{main|計算機の歴史}} |
|||
[[File:NAMA Machine d'Anticythère 2.jpg|thumb|これは[[アンティキティラ島の機械|アンティキティラ島の近海で沈没船から発見された機械]]で、紀元前1世紀にさかのぼる最初の機械式アナログコンピュータとされている。]] |
|||
計算を補助する[[機械]]は何千年も前から使われており、おそらく最初は{{仮リンク|タリー・スティック|en|Tally stick}}のような形であった。一般的に知られている最古の機械式[[アナログコンピュータ]]は、紀元前1世紀初頭に作られた[[アンティキティラ島の機械]]であり、最古の歯車式機構であると考えられている{{sfnp|Wright|2012|p=279}}。[[ヨーロッパ]]では、16世紀になるまでこれに匹敵する歯車式装置は登場しなかったが、1645年、四則演算が可能な[[機械式計算機]]が初めて製作された{{sfnp|Chaudhuri|2004|p=3}}。 |
|||
[[継電器|リレー]]や[[真空管]]のいずれかを使った[[電子計算機]]が登場したのは1940年代初頭である。1941年に完成した{{仮リンク|電気機械技術|en|Electromechanics|label=電気機械式}}の[[Zuse Z3]]は、世界初の[[コンピュータプログラミング|プログラム可能]]なコンピュータであり、現代の基準で完全な[[コンピューティング|計算機]]といえる最初の機械の一つであった。[[第二次世界大戦]]中、ドイツのメッセージを解読するために、最初の[[電子|電子式]][[デジタル]]コンピュータとして[[Colossus]](コロッサス)が開発された。これは、プログラム可能ではあったが汎用性はなく、単一のタスクを実行するために設計されていた。また、プログラムをメモリーに保存する機能もなく、プラグとスイッチを使って[[ワイヤードロジック|内部の配線を変更]]してプログラミングを行った{{sfnp|Lavington|1980|p=11}}。現代の電子式デジタル・[[ストアドプログラム|プログラム内蔵方式コンピュータ]]の先駆けとなったのは、1948年6月21日に最初のプログラムを実行した[[Manchester Small-Scale Experimental Machine|マンチェスター・ベイビー]]であった<ref name="Enticknap">{{citation |last=Enticknap |first=Nicholas |title=Computing's Golden Jubilee |journal=Resurrection |issue=20 |date=Summer 1998 |url=http://www.cs.man.ac.uk/CCS/res/res20.htm#d |issn=0958-7403 |access-date=19 April 2008 |archive-url=https://web.archive.org/web/20120109142655/http://www.cs.man.ac.uk/CCS/res/res20.htm#d |archive-date=9 January 2012 |url-status=dead }}.</ref>。 |
|||
1940年代後半に[[ベル研究所]]で[[トランジスタ]]が開発されたことで、消費電力を大幅に削減した新世代のコンピュータを設計できるようになった。最初の市販されたプログラム内蔵式コンピュータ[[Ferranti Mark I]]は、4,050個の真空管を使用し、消費電力は25キロワットであった。これと比較し、[[マンチェスター大学]]で開発され、1953年11月までに稼働していた最初の[[マンチェスター・コンピュータ#トランジスタ・コンピュータ|トランジスタ式コンピュータ]]は、最終的にわずか150ワットしか消費しなかった<ref>{{citation |doi=10.1049/esej:19980301 |last=Cooke-Yarborough |first=E. H. |title=Some early transistor applications in the UK |journal= Engineering Science & Education Journal|volume=7 |issue=3 |pages=100–106 |date=June 1998 |issn=0963-7346}}.</ref>。 |
|||
[[半導体]]技術における他のいくつかの飛躍的な進歩には、1959年に[[テキサス・インスツルメンツ]]社の[[ジャック・キルビー]]と[[フェアチャイルドセミコンダクター|フェアチャイルド・セミコンダクター]]社の[[ロバート・ノイス]]によって発明された[[集積回路]] (IC)、1959年に[[ベル研究所]]の{{仮リンク|モハメド・アタラ|en|Mohamed M. Atalla}}と[[ダウォン・カーン]]によって発明された[[MOSFET|金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ]] (MOSFET)、1971年に[[インテル]]社の[[テッド・ホフ]]、[[フェデリコ・ファジン]]、[[嶋正利]]、[[スタンレー・メイザー]]によって発明された[[マイクロプロセッサ]]があった。これらの重要な発明によって、1970年代には[[パーソナルコンピュータ]] (PC)が開発され、そして[[情報通信技術]] (ICT)の誕生へとつながった<ref>{{cite web |title=Advanced information on the Nobel Prize in Physics 2000 |url=https://www.nobelprize.org/uploads/2018/06/advanced-physicsprize2000.pdf |website=[[:en:Nobel Prize|Nobel Prize]] |date=June 2018 |access-date=December 17, 2019}}</ref>。 |
|||
== 電子データ処理 == |
|||
{{main|{{ill2|電子データ処理|en|Electronic data processing}}}} |
|||
[[File:Large 1984 0535 0001.jpg|thumb|[[Ferranti Mark 1|Ferranti Mark I]]コンピュータのロジックボード]] |
|||
=== データ記憶 === |
|||
[[File:PaperTapes-5and8Hole.jpg|right|upright=1.35|thumb|[[計算機の歴史#機械式計算機|初期のコンピュータ]]では、{{仮リンク|データ (計算)|en|Data (computing)|label=データ}}を表現するために[[パンチテープ]]が使われていた。]] |
|||
{{main|電子媒体|記憶装置}} |
|||
[[Colossus]]に代表される初期の電子計算機では、データを一連の穴で表した長尺の用紙である[[パンチテープ]]を使用していたが、現在ではその技術は廃れている{{sfnp|Alavudeen|Venkateshwaran|2010|p=178}}。現在のコンピュータに使われている電子データストレージは、第二次世界大戦中に[[レーダー]]信号の混乱を除去するために開発された[[遅延記憶装置|遅延線メモリー]]にさかのぼり、その最初の実用的な用途が水銀遅延線だった{{sfnp|Lavington|1998|p=1}}。最初の[[ランダムアクセスメモリ|ランダムアクセス]]方式のデジタル記憶装置は、標準的な[[陰極線]]管をベースにした[[ウィリアムス管|ウィリアムズ管]]であった<ref name="Resurrection">{{citation |title=Early computers at Manchester University |journal=Resurrection |volume=1 |issue=4 |date=Summer 1992 |url=http://www.cs.man.ac.uk/CCS/res/res04.htm#g |issn=0958-7403 |access-date=19 April 2008 |archive-url=https://web.archive.org/web/20170828010743/http://www.cs.man.ac.uk/CCS/res/res04.htm#g |archive-date=28 August 2017 |url-status=dead }}.</ref>。しかし、これらの装置や遅延線メモリーに保存された情報は揮発性であり、継続的にリフレッシュしなければならないため、電源を切ると失われてしまった。不揮発性のコンピュータストレージの最初の形式は、1932年に発明され<ref name="MagDrum">{{citation |url=http://cs-exhibitions.uni-klu.ac.at/index.php?id=222 |title=Magnetic drum |work=Virtual Exhibitions in Informatics |editor=Universität Klagenfurt |access-date=21 August 2011}}.</ref>、世界初の市販汎用電子計算機である[[Ferranti Mark 1]]で採用された[[磁気ドラムメモリ|磁気ドラム]]であった<ref name="Digital60MM1">{{citation |title=The Manchester Mark 1 |url=http://www.digital60.org/birth/manchestercomputers/mark1/manchester.html |publisher=University of Manchester |access-date=24 January 2009 |url-status=dead |archive-url=https://web.archive.org/web/20081121112547/http://www.digital60.org/birth/manchestercomputers/mark1/manchester.html |archive-date=21 November 2008 |df=dmy-all }}.</ref>。 |
|||
1956年、[[IBM]]社は、[[IBM 305 RAMAC|305 RAMAC]]コンピュータシステムの構成部分として、最初の[[ハードディスクドライブ]]を発表した<ref>{{citation |last=Khurshudov |first=Andrei |title=The Essential Guide to Computer Data Storage: From Floppy to DVD |year=2001 |publisher=Prentice Hall |isbn=978-0-130-92739-2 |url=https://archive.org/details/essentialguideto00andr }}.</ref>{{rp|6}}。今日、ほとんどのデジタルデータは、ハードディスクに磁気的に、または[[CD-ROM]]などのメディアに光学的に保存されている<ref>{{citation |last1=Wang |first1=Shan X. |last2=Taratorin |first2=Aleksandr Markovich |title=Magnetic Information Storage Technology |year=1999 |publisher=Academic Press |isbn=978-0-12-734570-3}}.</ref>{{rp|4–5}}。2002年まではほとんどの情報が{{仮リンク|アナログデバイス|en|Analog device}}に保存されていたが、この年にデジタルストレージの容量が初めてアナログを超えた。2007年の時点で、世界中に保存されているデータのほぼ約94%がデジタルで保存されていた<ref name="USCNews">{{citation |last=Wu |first=Suzanne |title=How Much Information Is There in the World? |url=http://news.usc.edu/#!/article/29360/How-Much-Information-Is-There-in-the-World |work=USC News |publisher=University of Southern California |access-date=10 September 2013}}.</ref>。52%がハードディスク、28%が光学デバイス、11%がデジタル磁気テープである。1986年には3[[エクサバイト]] (10<sup>18</sup> B; ギガバイト<GB>の10億倍) 以下だった世界的な電子機器の記憶容量は、2007年には295エクサバイトに増加し<ref name="HilbertLopez2011">{{citation |last1=Hilbert |first1=Martin |last2=López |first2=Priscila |title=The World's Technological Capacity to Store, Communicate, and Compute Information |date=1 April 2011 |journal=[[:en:Science (journal)|Science]] |volume=332 |issue=6025 |pages=60–65 |url=http://www.sciencemag.org/content/332/6025/60.full?sid=ef08b031-c911-46ae-9e9c-d675cc635c6d |access-date=10 September 2013 |doi=10.1126/science.1200970 |pmid=21310967|bibcode=2011Sci...332...60H |s2cid=206531385 }}.</ref>、約3年ごとに倍増していると推定されている<ref name="Hilbertvideo2011">{{cite web |url=http://ideas.economist.com/video/giant-sifting-sound-0 |title=Americas events – Video animation on The World's Technological Capacity to Store, Communicate, and Compute Information from 1986 to 2010 |work=The Economist |url-status=dead |archive-url=https://web.archive.org/web/20120118072720/http://ideas.economist.com/video/giant-sifting-sound-0 |archive-date=18 January 2012 |df=dmy-all |accessdate=2022-02-13}}</ref>。 |
|||
==== データベース ==== |
|||
{{main|データベース|en:Database}} |
|||
[[データベース管理システム]] (DMS) は、大量のデータを正確かつ迅速に保存および検索するという問題に対処するため、1960年代に登場した。初期のそのようなシステムとしては、IBMの[[IBM Information Management System|Information Management System]](IMS)があり{{sfnp|Ward|Dafoulas|2006|p=2}}、50年以上経った今でも広く展開されている<ref name="IMS">{{citation |last=Olofson |first=Carl W. |title=A Platform for Enterprise Data Services |date=October 2009 |publisher=[[:en:International Data Corporation|IDC]] |url=http://public.dhe.ibm.com/software/data/sw-library/ims/idc-power-of-ims.pdf |access-date=7 August 2012}}.</ref>。IMSはデータを[[階層型データモデル|階層的]]に格納するが{{sfnp|Ward|Dafoulas|2006|p=2}}、1970年代に[[エドガー・F・コッド|テッド・コッド]]は、[[集合論]]と[[述語論理]]をベースに、テーブル・行・列という使い慣れた概念を用いた新しいリレーショナル・ストレージ・モデルを提案した。1981年に、市販用として初の[[リレーショナルデータベース管理システム]] (RDBMS) は[[オラクル (企業)|オラクル]]社から発表された{{sfnp|Ward|Dafoulas|2006|p=3}}。 |
|||
すべてのDMSは、複数の構成要素から作られており、格納されているデータの整合性を維持しながら、多くの利用者が同時にアクセスできるようになっている<ref>{{Cite book |url=https://books.google.com/books?id=BcOUCgAAQBAJ |title=Database System Concepts |last=Silberschatz |first=Abraham |date=2010 |publisher=McGraw-Hill Higher Education |isbn=978-0-07-741800-7 |language=en}}.</ref>。そしてすべてのデータベースでは、格納されているデータの構造([[スキーマ (データベース)|データベース・スキーマ]])が、データそのものとは別に定義され、格納されている点で共通している{{sfnp|Ward|Dafoulas|2006|p=2}}。 |
|||
近年、[[拡張可能なマーク付け言語]] (extensible markup language; XML) が、データ表現の一般的なフォーマットになった。XMLデータは通常の[[ファイルシステム]]に保存することもできるが、「長年の理論的および実践的な努力によって検証された堅牢な実装」を利用するために通常、[[リレーショナルデータベース]]に保持される{{sfnp|Pardede|2009|p=2}}。[[Standard Generalized Markup Language|文書記述言語]] (Standard Generalized Markup Language; SGML) を発展させたXMLのテキストベースの構造は、機械にも人にも読めるという利点がある{{sfnp|Pardede|2009|p=4}}。 |
|||
===データ検索=== |
|||
[[関係モデル|リレーショナルデータベースモデル]]では、[[関係代数 (関係モデル)|関係代数]](リレーショナル代数)に基づいて、プログラミング言語に依存しない[[SQL|構造化照会言語]] (Structured Query Language; SQL) が導入された。 |
|||
「{{仮リンク|データ (計算)|en|Data (computing)|label=データ}}」と「情報 (information)」という言葉は同義ではない。保存されているものはすべて「データ」であるが、それが整理されて意味のある形で提示された場合にのみ「情報」となる<ref>{{cite book |last1=Kedar |first1=Rahul |title=Database Management System |date=2009 |publisher=Technical Publications |isbn=9788184316049 |url=https://books.google.com/books?id=SELyJ4a5nTcC |language=en}}</ref>{{rp|1–9}}。世界中のデジタルデータのほとんどは構造化されておらず、単一の組織の中でもさまざまな異なる物理的形式で保存されている{{sfnp|van der Aalst|2011|p=2}}{{efn|name=format|「形式 (format)」とは、[[文字コード|文字エンコード方式]]など、保存されたデータの物理的特性を指し、「構造 (unstructured)」は、そのデータの構成を表す。}}。データウェアハウスは、これらの異種の情報源を統合するために、1980年代に発展した。[[データウェアハウス]]は一般的に、インターネットなどの外部情報源を含むさまざまな情報源から抽出したデータが含まれており、[[意思決定支援システム]] (DSS) での使用を容易にするように編成されている<ref>{{citation |last=Dyché |first=Jill |title=Turning Data Into Information With Data Warehousing |year=2000 |publisher=Addison Wesley |isbn=978-0-201-65780-7 |url=https://archive.org/details/edataturningdata00dych }}.</ref>{{rp|4–6}}。 |
|||
=== データ伝送 === |
|||
[[File:IBM card storage.NARA.jpg|thumb|バージニア州アレキサンドリアにあるIBMカード保管倉庫(1959年)。これは連邦政府がパンチカードを保管していた場所である。]] |
|||
[[データ伝送]]には、送信、伝播、受信の3つの側面がある{{sfnp|Weik|2000|p=361}}。これは、情報を下流に向かって一方的に送信する「[[放送]]」と、上流と下流に双方向のチャネルを使用する「[[通信]]」に大別することができる{{r|HilbertLopez2011}}。 |
|||
XMLは、2000年代初頭からデータ交換の手段として次第に採用されるようになった{{sfnp|Pardede|2009|p=xiii}}。特に[[SOAP (プロトコル)|SOAP]]などのウェブ指向[[通信プロトコル|プロトコル]]に含まれるような機械指向の対話では{{sfnp|Pardede|2009|p=4}}、『データ伝送中 (''data-in-transit'')...データ保存中 (''data-at-rest'') ではない』とやり取りされる{{sfnp|Pardede|2009|p=xiii}}。 |
|||
=== データ操作 === |
|||
ヒルベルトとロペスは、指数関数的な技術変化([[ムーアの法則]]の一つ)を指摘した{{r|HilbertLopez2011}}。1986年から2007年の間に、一人当たりの情報を計算する機械のアプリケーションに特化した能力は約14カ月ごとに倍増した。同じ20年間で、世界の汎用コンピュータの一人当たりの記憶容量は18カ月ごとに倍増した。一人当たりの世界の通信容量は34カ月ごとに倍増した。一人当たりの世界の記憶容量は倍増するのに約40カ月を要した(3年ごと)。一人当たりの同報情報<!--broadcast information-->は12.3年ごとに倍増した。 |
|||
世界中で、日々膨大な量のデータが蓄積されているが、分析して効果的に提示できない限りは、そのデータは本質的に「訪れるのも間遠なデータアーカイブ」という「データの墓場」に帰する{{sfnp|Han|Kamber|Pei|2011|p=5}}。1980年代後半{{sfnp|Han|Kamber|Pei|2011|p=xxiii}}、この問題に対処するために[[データマイニング]]の分野、つまり「大量のデータから興味深いパターンや知識を発見するプロセス」が登場した{{sfnp|Han|Kamber|Pei|2011|p=8}}。 |
|||
==展望== |
|||
=== 学術的な視点 === |
|||
[[Association for Computing Machinery|計算機協会]] (ACM)は学術的な観点から、ITを『ビジネス、政府、医療、学校、その他の種類の組織におけるコンピュータテクノロジーのニーズに応えるための準備をする学部課程の教科課程。.... ITスペシャリストは、組織に適したハードウェアやソフトウェア製品を選択し、それらの製品を組織のニーズおよび情報基盤と統合し、組織のコンピュータ利用者のためにそれらのアプリケーションをインストール、カスタマイズ、保守する責任を負う。』と定義している<ref name="curricula">The Joint Task Force for Computing Curricula 2005.[http://www.acm.org/education/curric_vols/CC2005-March06Final.pdf Computing Curricula 2005: The Overview Report]. {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20141021153204/http://www.acm.org/education/curric_vols/CC2005-March06Final.pdf |date=21 October 2014 }}.</ref>。 |
|||
IT分野の学位(理学士・准学士)は、他の計算機科学(コンピュータサイエンス)の学位と似ている。実際、同じ基礎レベルのコースを持つことは多くある。[[計算機科学]]課程は理論と設計に重点を置く傾向があるが、IT課程は、現代のビジネスと利用者のニーズを支援するため、技術ソリューションの実用化に関する専門知識を卒業生に身につけさせるように構成されている。 |
|||
=== 商業・雇用面での視点 === |
|||
IT分野の企業は、しばしば「IT業界」<!--tech sector-->や「IT産業」<!--tech industry-->としてまとめて語られる<ref>{{cite news |title=Technology Sector Snapshot |url=http://markets.on.nytimes.com/research/markets/usmarkets/sectors.asp?sector=57 |access-date=12 January 2017 |work=[[The New York Times]] |archive-url=https://web.archive.org/web/20170113163914/http://markets.on.nytimes.com/research/markets/usmarkets/sectors.asp?sector=57 |archive-date=13 January 2017 |url-status=dead}}</ref><ref>{{cite web |title=Our programmes, campaigns and partnerships |url=https://www.techuk.org/focus|publisher=TechUK |access-date=12 January 2017}}</ref><ref>{{cite web|title=Cyberstates 2016|url=https://www.comptia.org/resources/cyberstates-2016|publisher=CompTIA|access-date=12 January 2017}}</ref>。これらの称呼は時には誤解を招く可能性があり、消費者向けの技術やソフトウェアを販売し一般的に大規模な営利事業である「テクノロジー企業」<!--tech companies-->と誤解してはならない。また、ビジネスの観点から見ると、IT部門はほとんどの場合、「コストセンター」であることにも注意を要する。コストセンターは、企業内で利益や収入の流れを生み出すのではなく、経費または「コスト」を発生させる部門やスタッフのことである。現代のビジネスでは、日常業務をテクノロジーに大きく依存しているため、ビジネスをより効率的に進めるためのテクノロジーをカバーするために委ねられた費用は、通常、「ビジネスを行うための単なるコスト」と見なされる。IT部門は、最高幹部から資金が割り当てられて、その予算内で望ましい成果物を達成するよう努めなければならない。政府と民間企業では資金調達の仕組みが異なる可能性があるが、原則は多かれ少なかれ同じである。これは、自動化や[[人工知能]] (Artificial Intelligence; AI)への関心が急速に高まっている理由として見過ごされがちであるが、より少ない労力でより多くのことを行うという絶え間ないプレッシャーが、大企業で少なくとも一部の小業務を自動化して制御する道を開いている。 |
|||
現在多くの企業は、コンピュータ、ネットワーク、およびその他の技術分野を管理するIT部門を持っている。企業はまた、BizOpsや業務運用部門を通じて、ITをビジネスの成果および意思決定と統合しようと努めてきた<ref>{{Cite web |title=Manifesto Hatched to Close Gap Between Business and IT |url=https://www.technewsworld.com/story/86893.html |access-date=2021-03-22 |website=TechNewsWorld |date=22 October 2020}}</ref>。 |
|||
米国の{{仮リンク|情報技術協会|en|Information Technology Association of America}} (ITAA) は、ビジネスの観点から、ITを『コンピュータベースの情報システムの研究、設計、開発、アプリケーション、実装、サポート、または管理』と定義している<ref>{{citation |last=Proctor |first=K. Scott |title=Optimizing and Assessing Information Technology: Improving Business Project Execution |year=2011 |publisher=John Wiley & Sons |isbn=978-1-118-10263-3}}.</ref>{{page needed|date=September 2017}}。この分野で働く人々の責任には、ネットワーク管理、ソフトウェアの開発とインストール、ハードウェアとソフトウェアの保守・更新・交換などの組織の技術ライフサイクルの計画および管理が含まれる。 |
|||
==== 情報サービス ==== |
|||
<!---[[Information services (IT)]] redirects here until an article is created or someone thinks of a better option. This has arisen out of a mess relating links to Information service(s) (now a DAB page) and [[Information broker]].----> |
|||
[[情報サービス]]とは、{{仮リンク|情報ブローカー|en|Information broker}}だけでなく、営利企業が提供するさまざまなIT関連サービスを総称したものである<ref name="VentureRadar">{{cite web | title=Top Information Services companies | website=VentureRadar | url=https://www.ventureradar.com/keyword/Information%20Services | access-date=March 8, 2021}}</ref><ref name="Index.co">{{cite web | title=Follow Information Services on Index.co | website=Index.co | url=https://index.co/market/information-services/companies | access-date=March 8, 2021}}</ref><ref name="Publishing">{{cite web | last=Publishing | first=Value Line | title=Industry Overview: Information Services | website=Value Line | url=https://www.valueline.com/Stocks/Industries/Industry_Overview__Information_Services.aspx | access-date=March 8, 2021}}</ref>。 |
|||
<gallery> |
|||
ファイル:ComputerSystemsEmployment distribution .png|米国におけるコンピュータシステム設計および関連サービスの雇用分布 (2011年)<ref name="bls.gov">{{cite web |url=http://www.bls.gov/opub/btn/volume-2/careers-in-growing-field-of-information-technology-services.htm |title=U.S. Careers in the growing field of information technology services |author=Lauren Csorny |date=9 April 2013 |publisher=U.S. Bureau of Labor Statistics|accessdate=2022-02-13}}</ref> |
|||
ファイル:EmploymentComputerSystems.png|米国におけるコンピュータシステムおよび設計関連サービス産業の雇用者数(単位: 1000人)(1990 - 2011年)<ref name="bls.gov" /> |
|||
ファイル:ComputerSystemsOccupationalGrowthWages.png|米国のコンピュータシステム設計および関連サービスにおける職業別成長率および賃金 (2010 - 2020年)<ref name="bls.gov" /> |
|||
ファイル:ProjectedEmploymentChangeComputerSystems.png|米国のコンピュータシステム設計および関連サービスの特定職種における雇用の変化率の予測 (2010 - 2020年)<ref name="bls.gov" /> |
|||
ファイル:ProjectedAverageAnnualEmploymentChangeSelectedIndustries.png|米国の特定産業における生産高および雇用の年平均変化率の予測 (2010 - 2020年)<ref name="bls.gov" /> |
|||
</gallery> |
|||
=== 倫理的視点 === |
|||
{{main|情報倫理}} |
|||
情報倫理の分野は、1940年代に数学者[[ノーバート・ウィーナー]]によって確立された<ref>{{citation |last=Bynum |first=Terrell Ward |contribution=Norbert Wiener and the Rise of Information Ethics |title=Information Technology and Moral Philosophy |year=2008 |editor1-last=van den Hoven |editor1-first=Jeroen |editor2-last=Weckert |editor2-first=John |publisher=Cambridge University Press |isbn=978-0-521-85549-5}}.</ref>{{rp|9}}。情報技術の利用に伴う倫理的問題には次のような例がある<ref>{{citation |last=Reynolds |first=George |title=Ethics in Information Technology |year=2009 |publisher=Cengage Learning |isbn=978-0-538-74622-9}}.</ref>{{rp|20–21}}。 |
|||
* 著作権者の許可を得ずにファイルをダウンロードし保存することによる[[著作権]]の侵害 |
|||
* 雇用者による、従業員の電子メールやその他のインターネット利用の監視 |
|||
* メッセージングシステムを悪用した{{仮リンク|スパミング|en|Spamming}}(例: [[スパム (メール)|迷惑メール]]) |
|||
* [[ハッカー]]によるオンラインデータベースの不正アクセス |
|||
* ウェブサイト上に[[HTTP cookie|クッキー]](通信の追跡手法)や[[スパイウェア]](悪意のあるソフトウェア)を設置した利用者のオンライン活動の監視や、情報ブローカーによる利用 |
|||
== 参照項目 == |
|||
=== IT周辺技術 === |
|||
* [[コンピューティング]] - コンピュータを使って恩恵を受ける、または目標指向の活動(たとえば数値計算や情報処理) |
|||
* [[データ処理]] - 意味のある情報を生成するためのデータ項目の収集や操作 |
|||
* [[情報通信技術]] (ICT) - 情報技術 (IT) を通信 (communication) やネットワークで拡張した概念 |
|||
* [[情報管理]] - 情報の取得、管理、配布、およびアーカイブまたは削除といったライフサイクル管理 |
|||
* [[オペレーショナルテクノロジー]] - 物理的な装置や工程を監視・制御するためのハードウェアとソフトウェア技術 |
|||
* {{ill2|健康情報技術|en|Health information technology}} - 健康とヘルスケアに適用される健康技術。[[健康情報学]]も参照。 |
|||
* {{ill2|情報技術の概要|en|Outline of information technology}} - 情報技術の概要と話題のリスト |
|||
=== 学問領域 === |
|||
* [[計算機科学]] |
* [[計算機科学]] |
||
* [[情報学]] |
* [[情報学]] |
||
19行目: | 111行目: | ||
* [[通信工学]] |
* [[通信工学]] |
||
* [[暗号]]技術、[[暗号理論]] |
* [[暗号]]技術、[[暗号理論]] |
||
*[[コンピュータセキュリティ]]、[[情報セキュリティ]] |
* [[コンピュータセキュリティ]]、[[情報セキュリティ]] |
||
== IT |
=== ITの応用 === |
||
* |
* [[電子商取引]] |
||
* |
* [[電子決済]]、[[インターネットバンキング]] |
||
* [[インターネットバンキング]] |
|||
* [[遠隔教育]]、[[eラーニング]] |
* [[遠隔教育]]、[[eラーニング]] |
||
* [[Web会議]] |
|||
* オンライン・ミーティング(ネットミーティング、[[Web会議]]。「[[オンライン飲み会]]」という利用法もある。) |
|||
* [[ソーシャル・ネットワーキング・サービス]] (SNS) |
|||
* [[SNS]]{{要曖昧さ回避|date=2021年3月}} |
|||
* [[ERP]] |
* [[ERP]]、[[企業資源計画]] |
||
* |
* {{仮リンク|ロジスティックス・オートメーション|en|Logistics automation}}([[ロジスティックス|物流]]の自動化)、[[自動倉庫]] |
||
* |
* [[販売時点情報管理]] (POS) |
||
* [[電子政府]]、{{仮リンク|電子自治体|en|Local eGovernment}} |
|||
* 各種手続きのオンライン化<ref>英語圏では[[:en:E-government|E-government]]や[[:en:Local eGovernment|Local eGovernment]]などと呼んでいる。</ref> |
|||
* [[電子投票]] |
|||
*[[電子投票]]([[:en:Electronic voting|electronic voting]])、オンライン投票(on-line voting) |
|||
* [[ITアウトソーシング]] |
|||
== 脚注 == |
== 脚注 == |
||
{{脚注ヘルプ}} |
{{脚注ヘルプ}} |
||
=== 注釈 === |
|||
{{Reflist}} |
|||
{{notelist|notes=}} |
|||
=== 出典 === |
|||
{{reflist|30em|refs=}} |
|||
=== 関係書目 === |
|||
{{refbegin}} |
|||
* {{citation |last1=Alavudeen |first1=A. |last2=Venkateshwaran |first2=N. |title=Computer Integrated Manufacturing |year=2010 |publisher=PHI Learning |isbn=978-81-203-3345-1}} |
|||
* {{citation |last=Chaudhuri |first=P. Pal |title=Computer Organization and Design |year=2004 |publisher=PHI Learning |isbn=978-81-203-1254-8}} |
|||
* {{citation |last1=Han |first1=Jiawei |last2=Kamber |first2=Micheline |last3=Pei |first3=Jian |title=Data Mining: Concepts and Techniques |year=2011 |edition=3rd |publisher=[[:en:Morgan Kaufmann|Morgan Kaufmann]] |isbn=978-0-12-381479-1}} |
|||
* {{citation |last=Lavington |first=Simon |title=Early British Computers |publisher=Manchester University Press |year=1980 |isbn=978-0-7190-0810-8}} |
|||
* {{citation |last=Lavington |first=Simon |title=A History of Manchester Computers |year=1998 |edition=2nd |publisher=The British Computer Society |isbn=978-1-902505-01-5}} |
|||
* {{citation |last=Pardede |first=Eric |title=Open and Novel Issues in XML Database Applications |year=2009 |publisher=Information Science Reference |isbn=978-1-60566-308-1}} |
|||
* {{citation |editor1-last=Ralston |editor1-first=Anthony |editor2-last=Hemmendinger |editor2-first=David |editor3-last=Reilly |editor3-first=Edwin D. |title=Encyclopedia of Computer Science |edition=4th |year=2000 |publisher=Nature Publishing Group |isbn=978-1-56159-248-7}} |
|||
* {{citation |last=van der Aalst |first=Wil M. P. |title=Process Mining: Discovery, Conformance and Enhancement of Business Processes |year=2011 |publisher=Springer |isbn=978-3-642-19344-6}} |
|||
* {{citation |last1=Ward |first1=Patricia |last2=Dafoulas |first2=George S. |title=Database Management Systems |year=2006 |publisher=Cengage Learning EMEA |isbn=978-1-84480-452-8}} |
|||
* {{citation |last=Weik |first=Martin |title=Computer Science and Communications Dictionary |volume=2 |year=2000 |publisher=Springer |isbn=978-0-7923-8425-0}} |
|||
* {{citation |last=Wright |first=Michael T. |contribution=The Front Dial of the Antikythera Mechanism |year=2012 |editor1-last=Koetsier |title=Explorations in the History of Machines and Mechanisms: Proceedings of HMM2012 |editor1-first=Teun |editor2-last=Ceccarelli |editor2-first=Marco |pages=279–292 |publisher=Springer |isbn=978-94-007-4131-7}} |
|||
{{refend}} |
|||
== |
== 推薦文献 == |
||
* {{citation |editor1-last=Allen |editor1-first=T. |editor2-last=Morton |editor2-first=M. S. Morton |title=Information Technology and the Corporation of the 1990s |year=1994 |publisher=[[:en:Oxford University Press|Oxford University Press]]}}. |
|||
「IT」を含む語 |
|||
* Gitta, Cosmas and South, David (2011). ''[https://books.google.com/books?id=Q1O54YSE2BgC Southern Innovator Magazine Issue 1: Mobile Phones and Information Technology]'': United Nations Office for South-South Cooperation. ISSN 2222-9280. |
|||
* [[IT戦略]] |
|||
* [[:en:James Gleick|Gleick, James]] (2011).''[[:en:The Information: A History, a Theory, a Flood|The Information: A History, a Theory, a Flood]]''. New York: [[:en:Pantheon Books|Pantheon Books]]. |
|||
* [[ITガバナンス]] |
|||
* {{citation |last=Price |first=Wilson T. |title=Introduction to Computer Data Processing |year=1981 |publisher=Holt-Saunders International Editions |isbn=978-4-8337-0012-2}}. |
|||
* [[IT断食]] |
|||
* Shelly, Gary, Cashman, Thomas, Vermaat, Misty, and Walker, Tim. (1999). ''Discovering Computers 2000: Concepts for a Connected World''. [[:en:Cambridge, Massachusetts|Cambridge]], Massachusetts: Course Technology. |
|||
* [[IT業界離れ]] |
|||
* Webster, Frank, and Robins, Kevin. (1986). ''Information Technology – A Luddite Analysis''. Norwood, NJ: Ablex. |
|||
* [[Information Technology Infrastructure Library]] |
|||
* [[グリーンIT]] |
|||
その他 |
|||
* [[情報革命]](IT革命) |
|||
* [[情報化社会]] |
|||
* [[ユビキタス社会]] |
|||
* [[デジタルトランスフォーメーション]] (DT, DX) |
|||
* [[モノのインターネット|IOT]] - モノのインターネット |
|||
* [[情報処理]] |
|||
* [[ICT4D]] |
|||
* [[エンタープライズアーキテクチャ]] |
|||
* [[サービス指向アーキテクチャ]] |
|||
* [[システムインテグレーター]] |
|||
* [[情報処理技術者試験]] |
|||
* [[SaaS]] |
|||
* [[情報技術学院]] |
|||
* [[電気通信主任技術者]] |
|||
* [[電気主任技術者]] |
|||
* [[デジタル土方]] |
|||
* [[デスマーチ]] |
|||
* [[情報子会社問題]] |
|||
* [[スマートホーム]] |
|||
== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
||
*{{Wikiversity-inline}} |
|||
* [https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ict/u-japan/index.html 総務省 u-Japan政策(ユビキタスネット社会の実現に向けて)] |
|||
*{{Commons category-inline}} |
|||
* [http://e-words.jp/ IT用語辞典 e-Words] |
|||
* |
*{{Wikiquote-inline}} |
||
* {{Kotobank}} |
|||
* {{Kotobank|ICT}} |
|||
*[https://www.ibm.com/jp-ja/topics/infrastructure ITインフラストラクチャーとは?] |
|||
{{ |
{{情報科学}} |
||
{{Authority control}} |
|||
{{Normdaten}} |
|||
{{DEFAULTSORT:しようほうきしゆつ}} |
{{DEFAULTSORT:しようほうきしゆつ}} |
||
[[Category:情報技術|*しようほうきしゆつ]] |
[[Category:情報技術|*しようほうきしゆつ]] |
||
[[Category:媒体]] |
|||
[[Category:コンピュータ]] |
|||
[[Category:情報学]] |
[[Category:情報学]] |
||
[[Category:情報]] |
[[Category:情報]] |
2023年12月27日 (水) 03:17時点における最新版
情報技術(じょうほうぎじゅつ、英: information technology、IT)とは、コンピュータを使ってあらゆる種類の電子的なデータや情報を作成、処理、保存、取得、交換することである[1][2]。ITは一般的に、業務運用の文脈の中で用いられ、個人的な用途や娯楽のための技術とは異なる[3]。
ITは、通信を含めた概念である情報通信技術 (ICT) の一部であると見なされる。また、情報システム(ITシステム)とは一般に、限られたIT技術者のグループによって運営されるコンピュータシステムおよび通信システムのことである[独自研究?]。
語源
[編集]紀元前3000年頃にメソポタミアのシュメール人が文字を発明して以来、人は情報を蓄積、取得、操作、そして伝達してきた[4]。しかし、現在の意味での情報技術 (information technology) という言葉が初めて登場したのは、1958年にハーバード・ビジネス・レビューに掲載された論文である。著者のHarold J. Leavitt and Thomas L. Whislerは、『この新しい技術には、まだ単一の確立された名前がない。我々はそれを情報技術と呼ぶことにする。』と述べている。彼らの定義は3つのカテゴリー、すなわち「処理のための技術」「意思決定への統計的および数学的手法の適用」「コンピュータプログラムによる高次思考のシミュレーション」から構成される[5]。
この用語は、一般的にコンピュータとコンピュータネットワークの同義語として使用されるが、テレビや電話などの他の情報配信技術も含まれる。コンピュータハードウェア・ソフトウェア、電子機器、半導体、インターネット、通信機器、電子商取引など、経済の中で見られるいくつかの製品やサービスはITに関連付けられている[6][注釈 1]。
ITの発展には、使用されている記憶および処理技術に基づいて、前機械式(紀元前3000年 - 紀元後1450年)、機械式(1450年-1840年)、電気機械式(1840年 - 1940年)、および電子式 (英語版) (1940年 - 現在)の4つの段階に区別することができる[4]。この記事では、最も新しい期間(電子式)に焦点を当てている。
コンピュータ技術の歴史
[編集]計算を補助する機械は何千年も前から使われており、おそらく最初はタリー・スティックのような形であった。一般的に知られている最古の機械式アナログコンピュータは、紀元前1世紀初頭に作られたアンティキティラ島の機械であり、最古の歯車式機構であると考えられている[8]。ヨーロッパでは、16世紀になるまでこれに匹敵する歯車式装置は登場しなかったが、1645年、四則演算が可能な機械式計算機が初めて製作された[9]。
リレーや真空管のいずれかを使った電子計算機が登場したのは1940年代初頭である。1941年に完成した電気機械式のZuse Z3は、世界初のプログラム可能なコンピュータであり、現代の基準で完全な計算機といえる最初の機械の一つであった。第二次世界大戦中、ドイツのメッセージを解読するために、最初の電子式デジタルコンピュータとしてColossus(コロッサス)が開発された。これは、プログラム可能ではあったが汎用性はなく、単一のタスクを実行するために設計されていた。また、プログラムをメモリーに保存する機能もなく、プラグとスイッチを使って内部の配線を変更してプログラミングを行った[10]。現代の電子式デジタル・プログラム内蔵方式コンピュータの先駆けとなったのは、1948年6月21日に最初のプログラムを実行したマンチェスター・ベイビーであった[11]。
1940年代後半にベル研究所でトランジスタが開発されたことで、消費電力を大幅に削減した新世代のコンピュータを設計できるようになった。最初の市販されたプログラム内蔵式コンピュータFerranti Mark Iは、4,050個の真空管を使用し、消費電力は25キロワットであった。これと比較し、マンチェスター大学で開発され、1953年11月までに稼働していた最初のトランジスタ式コンピュータは、最終的にわずか150ワットしか消費しなかった[12]。
半導体技術における他のいくつかの飛躍的な進歩には、1959年にテキサス・インスツルメンツ社のジャック・キルビーとフェアチャイルド・セミコンダクター社のロバート・ノイスによって発明された集積回路 (IC)、1959年にベル研究所のモハメド・アタラとダウォン・カーンによって発明された金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ (MOSFET)、1971年にインテル社のテッド・ホフ、フェデリコ・ファジン、嶋正利、スタンレー・メイザーによって発明されたマイクロプロセッサがあった。これらの重要な発明によって、1970年代にはパーソナルコンピュータ (PC)が開発され、そして情報通信技術 (ICT)の誕生へとつながった[13]。
電子データ処理
[編集]データ記憶
[編集]Colossusに代表される初期の電子計算機では、データを一連の穴で表した長尺の用紙であるパンチテープを使用していたが、現在ではその技術は廃れている[14]。現在のコンピュータに使われている電子データストレージは、第二次世界大戦中にレーダー信号の混乱を除去するために開発された遅延線メモリーにさかのぼり、その最初の実用的な用途が水銀遅延線だった[15]。最初のランダムアクセス方式のデジタル記憶装置は、標準的な陰極線管をベースにしたウィリアムズ管であった[16]。しかし、これらの装置や遅延線メモリーに保存された情報は揮発性であり、継続的にリフレッシュしなければならないため、電源を切ると失われてしまった。不揮発性のコンピュータストレージの最初の形式は、1932年に発明され[17]、世界初の市販汎用電子計算機であるFerranti Mark 1で採用された磁気ドラムであった[18]。
1956年、IBM社は、305 RAMACコンピュータシステムの構成部分として、最初のハードディスクドライブを発表した[19]:6。今日、ほとんどのデジタルデータは、ハードディスクに磁気的に、またはCD-ROMなどのメディアに光学的に保存されている[20]:4–5。2002年まではほとんどの情報がアナログデバイスに保存されていたが、この年にデジタルストレージの容量が初めてアナログを超えた。2007年の時点で、世界中に保存されているデータのほぼ約94%がデジタルで保存されていた[21]。52%がハードディスク、28%が光学デバイス、11%がデジタル磁気テープである。1986年には3エクサバイト (1018 B; ギガバイト<GB>の10億倍) 以下だった世界的な電子機器の記憶容量は、2007年には295エクサバイトに増加し[22]、約3年ごとに倍増していると推定されている[23]。
データベース
[編集]データベース管理システム (DMS) は、大量のデータを正確かつ迅速に保存および検索するという問題に対処するため、1960年代に登場した。初期のそのようなシステムとしては、IBMのInformation Management System(IMS)があり[24]、50年以上経った今でも広く展開されている[25]。IMSはデータを階層的に格納するが[24]、1970年代にテッド・コッドは、集合論と述語論理をベースに、テーブル・行・列という使い慣れた概念を用いた新しいリレーショナル・ストレージ・モデルを提案した。1981年に、市販用として初のリレーショナルデータベース管理システム (RDBMS) はオラクル社から発表された[26]。
すべてのDMSは、複数の構成要素から作られており、格納されているデータの整合性を維持しながら、多くの利用者が同時にアクセスできるようになっている[27]。そしてすべてのデータベースでは、格納されているデータの構造(データベース・スキーマ)が、データそのものとは別に定義され、格納されている点で共通している[24]。
近年、拡張可能なマーク付け言語 (extensible markup language; XML) が、データ表現の一般的なフォーマットになった。XMLデータは通常のファイルシステムに保存することもできるが、「長年の理論的および実践的な努力によって検証された堅牢な実装」を利用するために通常、リレーショナルデータベースに保持される[28]。文書記述言語 (Standard Generalized Markup Language; SGML) を発展させたXMLのテキストベースの構造は、機械にも人にも読めるという利点がある[29]。
データ検索
[編集]リレーショナルデータベースモデルでは、関係代数(リレーショナル代数)に基づいて、プログラミング言語に依存しない構造化照会言語 (Structured Query Language; SQL) が導入された。
「データ」と「情報 (information)」という言葉は同義ではない。保存されているものはすべて「データ」であるが、それが整理されて意味のある形で提示された場合にのみ「情報」となる[30]:1–9。世界中のデジタルデータのほとんどは構造化されておらず、単一の組織の中でもさまざまな異なる物理的形式で保存されている[31][注釈 2]。データウェアハウスは、これらの異種の情報源を統合するために、1980年代に発展した。データウェアハウスは一般的に、インターネットなどの外部情報源を含むさまざまな情報源から抽出したデータが含まれており、意思決定支援システム (DSS) での使用を容易にするように編成されている[32]:4–6。
データ伝送
[編集]データ伝送には、送信、伝播、受信の3つの側面がある[33]。これは、情報を下流に向かって一方的に送信する「放送」と、上流と下流に双方向のチャネルを使用する「通信」に大別することができる[22]。
XMLは、2000年代初頭からデータ交換の手段として次第に採用されるようになった[34]。特にSOAPなどのウェブ指向プロトコルに含まれるような機械指向の対話では[29]、『データ伝送中 (data-in-transit)...データ保存中 (data-at-rest) ではない』とやり取りされる[34]。
データ操作
[編集]ヒルベルトとロペスは、指数関数的な技術変化(ムーアの法則の一つ)を指摘した[22]。1986年から2007年の間に、一人当たりの情報を計算する機械のアプリケーションに特化した能力は約14カ月ごとに倍増した。同じ20年間で、世界の汎用コンピュータの一人当たりの記憶容量は18カ月ごとに倍増した。一人当たりの世界の通信容量は34カ月ごとに倍増した。一人当たりの世界の記憶容量は倍増するのに約40カ月を要した(3年ごと)。一人当たりの同報情報は12.3年ごとに倍増した。
世界中で、日々膨大な量のデータが蓄積されているが、分析して効果的に提示できない限りは、そのデータは本質的に「訪れるのも間遠なデータアーカイブ」という「データの墓場」に帰する[35]。1980年代後半[36]、この問題に対処するためにデータマイニングの分野、つまり「大量のデータから興味深いパターンや知識を発見するプロセス」が登場した[37]。
展望
[編集]学術的な視点
[編集]計算機協会 (ACM)は学術的な観点から、ITを『ビジネス、政府、医療、学校、その他の種類の組織におけるコンピュータテクノロジーのニーズに応えるための準備をする学部課程の教科課程。.... ITスペシャリストは、組織に適したハードウェアやソフトウェア製品を選択し、それらの製品を組織のニーズおよび情報基盤と統合し、組織のコンピュータ利用者のためにそれらのアプリケーションをインストール、カスタマイズ、保守する責任を負う。』と定義している[38]。
IT分野の学位(理学士・准学士)は、他の計算機科学(コンピュータサイエンス)の学位と似ている。実際、同じ基礎レベルのコースを持つことは多くある。計算機科学課程は理論と設計に重点を置く傾向があるが、IT課程は、現代のビジネスと利用者のニーズを支援するため、技術ソリューションの実用化に関する専門知識を卒業生に身につけさせるように構成されている。
商業・雇用面での視点
[編集]IT分野の企業は、しばしば「IT業界」や「IT産業」としてまとめて語られる[39][40][41]。これらの称呼は時には誤解を招く可能性があり、消費者向けの技術やソフトウェアを販売し一般的に大規模な営利事業である「テクノロジー企業」と誤解してはならない。また、ビジネスの観点から見ると、IT部門はほとんどの場合、「コストセンター」であることにも注意を要する。コストセンターは、企業内で利益や収入の流れを生み出すのではなく、経費または「コスト」を発生させる部門やスタッフのことである。現代のビジネスでは、日常業務をテクノロジーに大きく依存しているため、ビジネスをより効率的に進めるためのテクノロジーをカバーするために委ねられた費用は、通常、「ビジネスを行うための単なるコスト」と見なされる。IT部門は、最高幹部から資金が割り当てられて、その予算内で望ましい成果物を達成するよう努めなければならない。政府と民間企業では資金調達の仕組みが異なる可能性があるが、原則は多かれ少なかれ同じである。これは、自動化や人工知能 (Artificial Intelligence; AI)への関心が急速に高まっている理由として見過ごされがちであるが、より少ない労力でより多くのことを行うという絶え間ないプレッシャーが、大企業で少なくとも一部の小業務を自動化して制御する道を開いている。
現在多くの企業は、コンピュータ、ネットワーク、およびその他の技術分野を管理するIT部門を持っている。企業はまた、BizOpsや業務運用部門を通じて、ITをビジネスの成果および意思決定と統合しようと努めてきた[42]。
米国の情報技術協会 (ITAA) は、ビジネスの観点から、ITを『コンピュータベースの情報システムの研究、設計、開発、アプリケーション、実装、サポート、または管理』と定義している[43][要ページ番号]。この分野で働く人々の責任には、ネットワーク管理、ソフトウェアの開発とインストール、ハードウェアとソフトウェアの保守・更新・交換などの組織の技術ライフサイクルの計画および管理が含まれる。
情報サービス
[編集]情報サービスとは、情報ブローカーだけでなく、営利企業が提供するさまざまなIT関連サービスを総称したものである[44][45][46]。
-
米国におけるコンピュータシステム設計および関連サービスの雇用分布 (2011年)[47]
-
米国におけるコンピュータシステムおよび設計関連サービス産業の雇用者数(単位: 1000人)(1990 - 2011年)[47]
-
米国のコンピュータシステム設計および関連サービスにおける職業別成長率および賃金 (2010 - 2020年)[47]
-
米国のコンピュータシステム設計および関連サービスの特定職種における雇用の変化率の予測 (2010 - 2020年)[47]
-
米国の特定産業における生産高および雇用の年平均変化率の予測 (2010 - 2020年)[47]
倫理的視点
[編集]情報倫理の分野は、1940年代に数学者ノーバート・ウィーナーによって確立された[48]:9。情報技術の利用に伴う倫理的問題には次のような例がある[49]:20–21。
- 著作権者の許可を得ずにファイルをダウンロードし保存することによる著作権の侵害
- 雇用者による、従業員の電子メールやその他のインターネット利用の監視
- メッセージングシステムを悪用したスパミング(例: 迷惑メール)
- ハッカーによるオンラインデータベースの不正アクセス
- ウェブサイト上にクッキー(通信の追跡手法)やスパイウェア(悪意のあるソフトウェア)を設置した利用者のオンライン活動の監視や、情報ブローカーによる利用
参照項目
[編集]IT周辺技術
[編集]- コンピューティング - コンピュータを使って恩恵を受ける、または目標指向の活動(たとえば数値計算や情報処理)
- データ処理 - 意味のある情報を生成するためのデータ項目の収集や操作
- 情報通信技術 (ICT) - 情報技術 (IT) を通信 (communication) やネットワークで拡張した概念
- 情報管理 - 情報の取得、管理、配布、およびアーカイブまたは削除といったライフサイクル管理
- オペレーショナルテクノロジー - 物理的な装置や工程を監視・制御するためのハードウェアとソフトウェア技術
- 健康情報技術 - 健康とヘルスケアに適用される健康技術。健康情報学も参照。
- 情報技術の概要 - 情報技術の概要と話題のリスト
学問領域
[編集]ITの応用
[編集]- 電子商取引
- 電子決済、インターネットバンキング
- 遠隔教育、eラーニング
- Web会議
- ソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS)
- ERP、企業資源計画
- ロジスティックス・オートメーション(物流の自動化)、自動倉庫
- 販売時点情報管理 (POS)
- 電子政府、電子自治体
- 電子投票
- ITアウトソーシング
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 後に「IT」という用語がより広く使われるようになったことについて、Kearyは次のようにコメントしている。『当初の用途である「情報技術 (information technology; IT)」は、データの保存・検索・処理・配布という広大な分野に応用される技術の融合を表すのに適していた。この有用な概念的用語は、その後、大いに役立つと言われるものに変えられたが、定義を強化することはなかった。ITという用語は、あらゆる機能、規律、役職の名称に適用するには実質を欠いている。』 [7]
- ^ 「形式 (format)」とは、文字エンコード方式など、保存されたデータの物理的特性を指し、「構造 (unstructured)」は、そのデータの構成を表す。
出典
[編集]- ^ e-words IT用語辞典
- ^ Daintith, John, ed. (2009), “IT”, A Dictionary of Physics, Oxford University Press, ISBN 9780199233991 1 August 2012閲覧。 (要購読契約).
- ^ “Free on-line dictionary of computing (FOLDOC)”. 15 April 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。9 February 2013閲覧。
- ^ a b Butler, Jeremy G., A History of Information Technology and Systems, University of Arizona 2 August 2012閲覧。.
- ^ Leavitt, Harold J.; Whisler, Thomas L. (1958), “Management in the 1980s”, Harvard Business Review 11.
- ^ Chandler, Daniel; Munday, Rod (2011-02-10), “Information technology”, A Dictionary of Media and Communication (first ed.), Oxford University Press, ISBN 978-0199568758 1 August 2012閲覧, "Commonly a synonym for computers and computer networks but more broadly designating any technology that is used to generate, store, process, and/or distribute information electronically, including television and telephone.".
- ^ Ralston, Hemmendinger & Reilly (2000), p. 869.
- ^ Wright (2012), p. 279.
- ^ Chaudhuri (2004), p. 3.
- ^ Lavington (1980), p. 11.
- ^ Enticknap, Nicholas (Summer 1998), “Computing's Golden Jubilee”, Resurrection (20), ISSN 0958-7403, オリジナルの9 January 2012時点におけるアーカイブ。 19 April 2008閲覧。.
- ^ Cooke-Yarborough, E. H. (June 1998), “Some early transistor applications in the UK”, Engineering Science & Education Journal 7 (3): 100–106, doi:10.1049/esej:19980301, ISSN 0963-7346.
- ^ “Advanced information on the Nobel Prize in Physics 2000”. Nobel Prize (June 2018). December 17, 2019閲覧。
- ^ Alavudeen & Venkateshwaran (2010), p. 178.
- ^ Lavington (1998), p. 1.
- ^ “Early computers at Manchester University”, Resurrection 1 (4), (Summer 1992), ISSN 0958-7403, オリジナルの28 August 2017時点におけるアーカイブ。 19 April 2008閲覧。.
- ^ Universität Klagenfurt, ed., “Magnetic drum”, Virtual Exhibitions in Informatics 21 August 2011閲覧。.
- ^ The Manchester Mark 1, University of Manchester, オリジナルの21 November 2008時点におけるアーカイブ。 24 January 2009閲覧。.
- ^ Khurshudov, Andrei (2001), The Essential Guide to Computer Data Storage: From Floppy to DVD, Prentice Hall, ISBN 978-0-130-92739-2.
- ^ Wang, Shan X.; Taratorin, Aleksandr Markovich (1999), Magnetic Information Storage Technology, Academic Press, ISBN 978-0-12-734570-3.
- ^ Wu, Suzanne, “How Much Information Is There in the World?”, USC News (University of Southern California) 10 September 2013閲覧。.
- ^ a b c Hilbert, Martin; López, Priscila (1 April 2011), “The World's Technological Capacity to Store, Communicate, and Compute Information”, Science 332 (6025): 60–65, Bibcode: 2011Sci...332...60H, doi:10.1126/science.1200970, PMID 21310967 10 September 2013閲覧。.
- ^ “Americas events – Video animation on The World's Technological Capacity to Store, Communicate, and Compute Information from 1986 to 2010”. The Economist. 18 January 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月13日閲覧。
- ^ a b c Ward & Dafoulas (2006), p. 2.
- ^ Olofson, Carl W. (October 2009), A Platform for Enterprise Data Services, IDC 7 August 2012閲覧。.
- ^ Ward & Dafoulas (2006), p. 3.
- ^ Silberschatz, Abraham (2010) (英語). Database System Concepts. McGraw-Hill Higher Education. ISBN 978-0-07-741800-7.
- ^ Pardede (2009), p. 2.
- ^ a b Pardede (2009), p. 4.
- ^ Kedar, Rahul (2009) (英語). Database Management System. Technical Publications. ISBN 9788184316049
- ^ van der Aalst (2011), p. 2.
- ^ Dyché, Jill (2000), Turning Data Into Information With Data Warehousing, Addison Wesley, ISBN 978-0-201-65780-7.
- ^ Weik (2000), p. 361.
- ^ a b Pardede (2009), p. xiii.
- ^ Han, Kamber & Pei (2011), p. 5.
- ^ Han, Kamber & Pei (2011), p. xxiii.
- ^ Han, Kamber & Pei (2011), p. 8.
- ^ The Joint Task Force for Computing Curricula 2005.Computing Curricula 2005: The Overview Report. Archived 21 October 2014 at the Wayback Machine..
- ^ “Technology Sector Snapshot”. The New York Times. オリジナルの13 January 2017時点におけるアーカイブ。 12 January 2017閲覧。
- ^ “Our programmes, campaigns and partnerships”. TechUK. 12 January 2017閲覧。
- ^ “Cyberstates 2016”. CompTIA. 12 January 2017閲覧。
- ^ “Manifesto Hatched to Close Gap Between Business and IT”. TechNewsWorld (22 October 2020). 2021年3月22日閲覧。
- ^ Proctor, K. Scott (2011), Optimizing and Assessing Information Technology: Improving Business Project Execution, John Wiley & Sons, ISBN 978-1-118-10263-3.
- ^ “Top Information Services companies”. VentureRadar. March 8, 2021閲覧。
- ^ “Follow Information Services on Index.co”. Index.co. March 8, 2021閲覧。
- ^ Publishing, Value Line. “Industry Overview: Information Services”. Value Line. March 8, 2021閲覧。
- ^ a b c d e Lauren Csorny (9 April 2013). “U.S. Careers in the growing field of information technology services”. U.S. Bureau of Labor Statistics. 2022年2月13日閲覧。
- ^ Bynum, Terrell Ward (2008), “Norbert Wiener and the Rise of Information Ethics”, in van den Hoven, Jeroen; Weckert, John, Information Technology and Moral Philosophy, Cambridge University Press, ISBN 978-0-521-85549-5.
- ^ Reynolds, George (2009), Ethics in Information Technology, Cengage Learning, ISBN 978-0-538-74622-9.
関係書目
[編集]- Alavudeen, A.; Venkateshwaran, N. (2010), Computer Integrated Manufacturing, PHI Learning, ISBN 978-81-203-3345-1
- Chaudhuri, P. Pal (2004), Computer Organization and Design, PHI Learning, ISBN 978-81-203-1254-8
- Han, Jiawei; Kamber, Micheline; Pei, Jian (2011), Data Mining: Concepts and Techniques (3rd ed.), Morgan Kaufmann, ISBN 978-0-12-381479-1
- Lavington, Simon (1980), Early British Computers, Manchester University Press, ISBN 978-0-7190-0810-8
- Lavington, Simon (1998), A History of Manchester Computers (2nd ed.), The British Computer Society, ISBN 978-1-902505-01-5
- Pardede, Eric (2009), Open and Novel Issues in XML Database Applications, Information Science Reference, ISBN 978-1-60566-308-1
- Ralston, Anthony; Hemmendinger, David; Reilly, Edwin D., eds. (2000), Encyclopedia of Computer Science (4th ed.), Nature Publishing Group, ISBN 978-1-56159-248-7
- van der Aalst, Wil M. P. (2011), Process Mining: Discovery, Conformance and Enhancement of Business Processes, Springer, ISBN 978-3-642-19344-6
- Ward, Patricia; Dafoulas, George S. (2006), Database Management Systems, Cengage Learning EMEA, ISBN 978-1-84480-452-8
- Weik, Martin (2000), Computer Science and Communications Dictionary, 2, Springer, ISBN 978-0-7923-8425-0
- Wright, Michael T. (2012), “The Front Dial of the Antikythera Mechanism”, in Koetsier, Teun; Ceccarelli, Marco, Explorations in the History of Machines and Mechanisms: Proceedings of HMM2012, Springer, pp. 279–292, ISBN 978-94-007-4131-7
推薦文献
[編集]- Allen, T.; Morton, M. S. Morton, eds. (1994), Information Technology and the Corporation of the 1990s, Oxford University Press.
- Gitta, Cosmas and South, David (2011). Southern Innovator Magazine Issue 1: Mobile Phones and Information Technology: United Nations Office for South-South Cooperation. ISSN 2222-9280.
- Gleick, James (2011).The Information: A History, a Theory, a Flood. New York: Pantheon Books.
- Price, Wilson T. (1981), Introduction to Computer Data Processing, Holt-Saunders International Editions, ISBN 978-4-8337-0012-2.
- Shelly, Gary, Cashman, Thomas, Vermaat, Misty, and Walker, Tim. (1999). Discovering Computers 2000: Concepts for a Connected World. Cambridge, Massachusetts: Course Technology.
- Webster, Frank, and Robins, Kevin. (1986). Information Technology – A Luddite Analysis. Norwood, NJ: Ablex.