「街の灯」の版間の差分
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| 出演者 = チャールズ・チャップリン<br/>[[ヴァージニア・チェリル]] |
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| 撮影 = ローランド・トザロー<br/>ゴードン・ポロック |
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『'''街の灯'''』(まちのひ、''City Lights'')は、[[1931年]]の[[アメリカ合衆国の映画]]。[[チャールズ・チャップリン]]が監督・脚本・製作・主演した[[コメディ映画]]。[[サイレント映画]]だが音楽付きの[[サウンド版]]として公開された。 |
『'''街の灯'''』(まちのひ、''[[:en:City Lights|City Lights]]'')は、[[1931年]]の[[アメリカ合衆国の映画]]。[[チャールズ・チャップリン]]が監督・脚本・製作・主演した[[コメディ映画]]。[[サイレント映画]]だが音楽付きの[[サウンド版]]として公開された。 |
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前作『[[サーカス (映画)|サーカス]]』に引き続き[[ユナイテッド・アーティスツ]]で製作・配給した作品で、製作に3年余りの時間を要した。冒頭には「コメディ・ロマンス・イン・パントマイム」というタイトルを掲げている。本作は[[トーキー映画]]反対論者であったチャールズ・チャップリンが、基本的にサイレントだが伴奏音楽と音響が入ったサウンド版として製作した初めての作品である。ある浮浪者が盲目の花売り娘の目を治すためにあれこれ奮闘する物語で、[[ユーモア]]と[[ペーソス]]が織り交ぜられたコメディ映画となっている。現在もチャップリンの代表作として高く評価されている。[[1991年]]に[[アメリカ国立フィルム登録簿]]に登録された。 |
前作『[[サーカス (映画)|サーカス]]』に引き続き[[ユナイテッド・アーティスツ]]で製作・配給した作品で、製作に3年余りの時間を要した。冒頭には「コメディ・ロマンス・イン・パントマイム」というタイトルを掲げている。本作は[[トーキー映画]]反対論者であったチャールズ・チャップリンが、基本的にサイレントだが伴奏音楽と音響が入ったサウンド版として製作した初めての作品である。ある浮浪者が盲目の花売り娘の目を治すためにあれこれ奮闘する物語で、[[ユーモア]]と[[ペーソス]]が織り交ぜられたコメディ映画となっている。現在もチャップリンの代表作として高く評価されている。[[1991年]]に[[アメリカ国立フィルム登録簿]]に登録された。 |
2022年10月13日 (木) 23:48時点における版
街の灯 | |
---|---|
City Lights | |
監督 | チャールズ・チャップリン |
脚本 | チャールズ・チャップリン |
製作 | チャールズ・チャップリン |
出演者 |
チャールズ・チャップリン ヴァージニア・チェリル |
音楽 |
アルフレッド・ニューマン チャールズ・チャップリン |
撮影 |
ローランド・トザロー ゴードン・ポロック |
編集 | チャールズ・チャップリン |
配給 | ユナイテッド・アーティスツ |
公開 |
1931年1月30日 1934年1月13日 |
上映時間 | 87分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | 150万ドル |
配給収入 |
$4,250,000(世界配給収入) 3億2000万円(1973年リバイバル)[1] |
『街の灯』(まちのひ、City Lights)は、1931年のアメリカ合衆国の映画。チャールズ・チャップリンが監督・脚本・製作・主演したコメディ映画。サイレント映画だが音楽付きのサウンド版として公開された。
前作『サーカス』に引き続きユナイテッド・アーティスツで製作・配給した作品で、製作に3年余りの時間を要した。冒頭には「コメディ・ロマンス・イン・パントマイム」というタイトルを掲げている。本作はトーキー映画反対論者であったチャールズ・チャップリンが、基本的にサイレントだが伴奏音楽と音響が入ったサウンド版として製作した初めての作品である。ある浮浪者が盲目の花売り娘の目を治すためにあれこれ奮闘する物語で、ユーモアとペーソスが織り交ぜられたコメディ映画となっている。現在もチャップリンの代表作として高く評価されている。1991年にアメリカ国立フィルム登録簿に登録された。
あらすじ
主人公はとある浮浪者の男。
ある日の夜、男は泥酔して自殺しようとしていた富豪を助ける。富豪は男を命の恩人として家に呼び、酒を酌み交わす。しかし翌朝、酔いの醒めた富豪は昨夜のことをすっかり忘れていて男を追い出してしまう。その夜、また酒に酔った富豪と街で偶然再会すると彼は男を覚えていて歓待し、朝まで店で飲み明かす。朝になって富豪の家に戻ると、その家の近くの街角で盲目の娘が花を売っている。男は富豪から金をもらうとその金で娘の花をすべて買った上、富豪の高級車に娘を乗せて家まで送り、手を握って別れる。娘はますます男を親切な金持ちと思い込んで慕うようになる.
娘は体の弱い老婆と共に狭い部屋で暮らしていた。
ある日、娘が家賃を滞納して立ち退きを迫られていることを知った男は、その金を工面しようとしてボクシングの試合に出場するがあえなく敗れてしまう。
男が途方に暮れていると、街で偶然酒に酔った富豪とまた再会する。酔ったときだけ男を覚えている富豪は喜んで男を自宅に招いた上、娘の事情を聴くと気前よく1,000ドルもの大金を手渡してくれる。しかし室内には2人組の強盗たちも居合わせており、富豪は強盗たちに頭を強打されて気を失う。男は大慌てで警察を呼ぶが、警官が到着した時には強盗たちは逃げてしまい、男が犯人と勘違いされてしまう。意識を取り戻した富豪も男のことをすっかり忘れていて弁護してくれない。なんとか富豪の家から逃げ出した男は娘の家に行き、1,000ドルを手渡して立ち去るが、その直後、街で刑事に見つかって逮捕されてしまう。
時は流れ、娘は手術により視力を取り戻し、花屋の店を開いて幸せに暮らしていた。花を買いに来るお金持ちの男性を見ては、あの人ではないかと考えてしまう日々を送っていた。
一方、刑務所から出てますますみすぼらしい姿になった男はあてもなく街を歩いていた。偶然その花屋の前を通りかかり、ショーウィンドー越しに娘の姿を見かけて立ちすくんでしまう。みずぼらしい恰好の男を見て最初は笑っていた娘だが、自分をじっと見つめる男に対して、娘は哀れみの気持ちから男を呼び止め、一輪の花と小銭を手渡そうとする。しかし、小銭を握らせるために男の手を取ったその感触から、娘はこの浮浪者こそが自分の恩人であることに気づき、男も恥ずかしそうに笑みを浮かべるのだった。
キャスト
- 放浪者(リトル・トランプ):チャールズ・チャップリン
- 盲目の花売り娘:ヴァージニア・チェリル
- 花売り娘の祖母:フローレンス・リー
- 富豪:ハリー・マイヤーズ
- 富豪の執事:アラン・ガルシア
- 市長、花売り娘の階下の住人:ヘンリー・バーグマン
- 放浪者の相手のボクサー:ハンク・マン
- 迷信のボクサー:ヴィクター・アレクサンダー
- 医師:T・S・アレクサンダー
- 警官:ハリー・エイヤース
- 道路清掃夫、強盗:アルバート・オースチン
- レフェリー:エディ・ベイカー
- レストランの女性:ベティ・ブレア
- 禿げたパーティーの招待客:バスター・ブロディ
- 新聞の立ち売りの少年:ロバート・パリッシュ、マーガレット・オリヴァー
- 花屋のアシスタント:ミセス・ハイアムズ
- 葉巻を拾おうとした浮浪者:ジョン・ランド
- 背の高いパーティーの招待客:ジャック・サザーランド
- アートショップの前のエレベーターの男:タイニー・ウォード
- 葉巻の上に座るレストランの客:フローレンス・ウィクス
- その他、レストランのシーンでは、ブレイク前のジーン・ハーロウも出演している。
製作
1928年5月に準備が行われ、同年12月に撮影が開始された。しかし、1929年6月に水に飛び込もうとする富豪役を演じていたヘンリー・クライブが水に飛び込むことを躊躇したため、チャップリンは彼を解雇し、代わりにハリー・マイヤーズを立てて登場シーンの撮り直しが行われた。さらに同年11月、盲目の花売り娘を演じていたヴァージニア・チェリルが「美容院に行くから」と言って撮影を早退したため、チャップリンは激怒し彼女を解雇した。代わりに『黄金狂時代』でヒロインを演じたジョージア・ヘイルが盲目の花売り娘を演じることになったが、側近の忠告で10日後にヴァージニアを復帰させることになった。
完璧主義者のチャップリンは、ヴァージニア演じる花売り娘との出会いのシーン(正味3分ほど)に342回のNGを出し、1年以上かけて撮り直しされた(撮影日数534日のうち、このシーンの撮影だけで368日をかけている)。喜劇映画研究会の新野敏也は、「【オープニング・タイトルのCITY LIGHTとクレジットされる夜の街】と【オープニング・シークエンスで彫像の除幕式が行われる朝の街】は同じセットでほぼ同じカメラ・アングルながらも、【オープニング・タイトル】では題名に合わせて街路灯が左端に配置されている」、「オープニング・シークエンスの彫像で繰り広げられるチャップリンのパントマイムでは、足捌きに合わせて靴裏のあたる彫像の部位が削られ微調整されている」などの事例を挙げて、この画面構成を「数限りなくリハーサルや撮り直しを繰り返した事が推察され、商業映画の製作コストをまるっきり無視した、完璧以上を求める天才ぶり」と表現している[要出典]。結局撮影を完了したのが1930年10月5日のことで、2年以上の月日が費やされた。さらに編集と作曲作業に3ヶ月をかけ、翌1931年1月30日にロサンゼルスの劇場でプレミア公開された。その際チャップリンの隣りにはアルベルト・アインシュタインが座った。
スタッフ
- 製作・監督・脚本・編集:チャールズ・チャップリン
- 撮影:ローランド・トザロー
- 音楽:アルフレッド・ニューマン、チャールズ・チャップリン
- 美術:チャールズ・D・ホール
- 助監督:アルバート・オースチン、ヘンリー・バーグマン、ハリー・クロッカー
- 作曲:チャールズ・チャップリン
- 編曲:アーサー・ジョンソン
評価
1931年2月6日に封切られ、映画は大ヒット。興収は500万ドルに達した。 1934年1月13日には日本でも封切られ、人気作となった。同年度のキネマ旬報ベストテンでは第10位にランクインされた。
- 「映画史上最高の作品ベストテン」(英国映画協会『Sight&Sound』誌発表)※10年毎に選出
- 「AFIアメリカ映画100年シリーズ」
- 1998年:「アメリカ映画ベスト100」第76位
- 2000年:「アメリカ喜劇映画ベスト100」第38位
- 2006年:「感動の映画ベスト100」第33位
- 2007年:「アメリカ映画ベスト100(10周年エディション)」第11位
- 2000年:「20世紀の映画リスト」(米『ヴィレッジ・ヴォイス』紙発表)第38位
- 2008年:「史上最高の映画100本」(仏『カイエ・デュ・シネマ』誌発表)第16位
- 2010年:「エッセンシャル100」(トロント国際映画祭発表)第29位
以下は日本でのランキング
- 1988年:「大アンケートによる洋画ベスト150」(文藝春秋発表)第27位
- 1999年:「映画人が選ぶオールタイムベスト100・外国映画編(キネマ旬報創刊80周年記念)」(キネマ旬報発表)第68位
- 2009年:「映画人が選ぶオールタイムベスト100・外国映画編(キネ旬創刊90周年記念)」(キネ旬発表)第19位
日本での公開
1934年(昭和9年)1月13日、オープン直後の日本劇場で特別料金(上から5円、3円、1円50銭、1円)で封切られた。その際、活動弁士を務めたのは徳川夢声と山野一郎だった。
同年1月30日に映画を見た古川ロッパは日記にこう記している。
要するにチャップリンものとしては筋が持廻(もってまわ)りすぎてゐる。然(しか)し、チャップリンの横顔見てたら何となく涙が出さうになった。 — 『古川ロッパ昭和日記〈戦前篇〉』(晶文社、2007年)新装版[2]
また、2月2日に昭和天皇が香淳皇后とともに鑑賞したと『昭和天皇実録』に記述がある[要文献特定詳細情報]。
その後、1970年代のリバイバル・ブーム到来まで陽の目を見ることがなかったため、幻の名作とされていた。
翻案作品
- 日本国内
- 『蝙蝠の安さん』 - 著作権概念の乏しかった昭和のはじめ、アメリカで『街の灯』を実際に鑑賞してきた歌舞伎役者たちの感想や映画雑誌の記述を元に、日本で歌舞伎台本として仕上げられ、『与話情浮名横櫛』の登場人物の蝙蝠安を主人公に仕立て上げた作品。1931年8月に歌舞伎座で上演、後に映画化されて1933年8月31日に公開された。歌舞伎初演から88年後、チャップリン生誕130年にあたる2019年12月に、チャプリン家の許可を得て、国立劇場で再演された。主演は松本幸四郎[3]。
- 『イヤミはひとり風の中』 - 赤塚不二夫の漫画『おそ松くん』の1エピソードとして描かれた。初出は週刊少年サンデー1967年(昭和42年)41号。1990年(第2作OVA)と2018年(『おそ松さん』)の2回アニメ化されている。
- 韓国
- 『ただ君だけ』本作をモチーフにして制作された映画。2011年公開。
関連作品
脚注
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)312頁
- ^ 『古川ロッパ昭和日記』:新字旧仮名 - 青空文庫
- ^ “歌舞伎「蝙蝠の安さん」、チャプリンの四男が東京で観劇”. 産経新聞 (2019年12月16日). 2020年3月13日閲覧。
外部リンク
- 街の灯 - allcinema
- 街の灯 - KINENOTE
- City Lights - オールムービー
- City Lights - IMDb
- 力道山の挑戦を受けた男〝ザ・パイオニア・レスラー〟アンドレ・アドレー - チャップリンと交流のあったプロレスラー、アンドレ・アドレーの「街の灯」制作に関する回想(6分割された記事のうちの1から3。3にスタジオのセットで二人が握手する写真を掲載)。