コンテンツにスキップ

「金華山 (岐阜県)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
m 曖昧さ回避ページ国有林へのリンクを解消、リンク先を日本の国有林に変更(DisamAssist使用)
Cewbot (会話 | 投稿記録)
209行目: 209行目:
{{mountain-stub|pref=岐阜県}}
{{mountain-stub|pref=岐阜県}}
{{DEFAULTSORT:きんかさん}}
{{DEFAULTSORT:きんかさん}}
[[Category:アジアの山]]
[[Category:山岳名目録]]
[[Category:岐阜県の山]]
[[Category:岐阜県の山]]
[[Category:岐阜県の観光地]]
[[Category:岐阜県の観光地]]

2022年11月23日 (水) 09:04時点における版

金華山
長良川堤から眺める金華山と金華山連峰
(2022年9月8日)
標高 328.86[1] m
所在地 岐阜県岐阜市
山系 独立峰
種類 堆積岩チャート
金華山 (岐阜県)の位置(岐阜県内)
金華山 (岐阜県)
金華山 (岐阜県) (岐阜県)
金華山 (岐阜県)の位置(日本内)
金華山 (岐阜県)
金華山 (岐阜県) (日本)
プロジェクト 山
テンプレートを表示
岐阜市日野南から望む金華山
(東側)
北側を流れる長良川の対岸から見た金華山(西側)
岐阜市北一色から望む金華山連峰
(南側)
おぶさ口バス停から撮影した金華山(北側)

金華山(きんかざん)は、岐阜県岐阜市にある標高329m。旧称 稲葉山(いなばやま)。

概要

旧地名で言えば美濃国井之口(いのくち)にあり鎌倉時代から山城が置かれた山であり、戦国時代斎藤道三が本格的に城を整備し、1567年織田信長がそれを奪取して小牧山の後の本拠地、天下統一を開始する場所として拡張整備し、山中にも砦が置かれ山全体が岐阜城という状態で麓には城主の館が置かれたが、1601年徳川家康により廃城とされ、山に入ることが禁じられた時代もあった。

現在では岐阜市のシンボル的存在で、市内・市外の広域から見えるランドマーク、市民の憩いの場となっており、山上・山腹からの夜景が美しいことからデートスポットとして県外から訪れる客も多い。山頂付近には岐阜城の模擬天守、隅櫓を模した岐阜城資料館の他、岐阜城の曲輪を利用した金華山リス村、売店や展望レストランなどがあり、山頂へは金華山ロープウェーが通じる。西側山麓には織田信長公居館跡も残る岐阜公園、他にも岐阜県歴史資料館岐阜市歴史博物館名和昆虫博物館などの文化施設や伊奈波神社岐阜護國神社善光寺安乗院などの神社寺院がある。南に連なる瑞龍寺山(水道山)には金華山ドライブウェイも走り、南端には瑞龍寺がある。

名称

古くは稲葉山(因幡山)と呼ばれていた。それは伊奈波神社祭神に由来する。主人の五十瓊敷入彦命因幡国にあって、後にこの地に来たこと、また、祭神の彦多都彦命(主神の外祖父)が因幡国造であったことによるという(『稲葉郡志』)。他に神代の頃、皇孫が天下るとき、稲穂をもって雲露を払い、この稲穂が美濃国に飛び来たって稲葉山になったともある(『尾張葉栗見聞集』)。

「金華山」については仁明天皇の頃、在原行平陸奥から金花石を引かせこの地に来たが、その石を残して上洛し、のちにこの石を金(こがね)大明神と号したという記述が『美濃国諸国記』にあり、行平がこの石を山に運び来て以来、金華山という名が生まれたという[2]

金華山には他にも、破鏡山、一石山の別名がある。『因幡社本縁起』によれば、五十瓊敷入彦命が奥州より金石を持ち帰るとき、同形の石が8個あったのを、亡き母の日葉酢媛命(伊奈波神社の祭神)による真の金石は鏡を破るというお告げによってこれを見分けることができ、それを持ち帰り厚見県椿原(今の岐阜県丸山)に置いたら一夜にして36丈の山となったことが名前の由来という。

『尾濃葉栗見聞集』には「当山の四方をめぐり一見せしに闕欠したる所曽てなし、往古より今に至て唯一石の如くなれば一石山といふ」「当山の北麓は長良川に岩根を洗ふ、巌丈高く立のぼって鏡を立たるが如し、昔より今に至りて荒波の寄ては帰り、帰りては又打ち寄せて山の端をみがける故に破鏡山といへるならん」 とある。

また『稲葉郡志』によれば、昔、方県郡雄総村(今の岐阜市)に一人の放蕩者がおり、奥州金華山で改心し、小石1個を持ち帰って許しを乞うたが、父親はこの石は金華山の石にあらず、偽りを言って自分を欺くのか、と言って小石を力任せに投げたところ、岐阜に飛び一夜にして山となったので一石山と称したという[2]

地質、造山メカニズム

地質的には古生代ペルム紀から中生代三畳紀に堆積したチャートで構成されており、非常に固いことからあまり侵食されなかったため、標高10m程度の岐阜市の平野の中でそびえ立つ山となって残ったものと考えられる。

自然

金華山に生息するヤマガラ

山全体は、ツブラジイアラカシを主とした照葉樹で覆われており、照葉樹林の最終的な姿と言われている極相林となっている。金華山の山名は、ツブラジイの花が咲くと山全体が黄色く見え、金色に輝いて見えることに由来する。岐阜城が使われていた時代は、古図などから元々は松の山であったようであるが、徐々にシイの木にとって代わっていったようである。

人口40万人を越える都市中心市街地に接しながらこのような森林が残ったのは、江戸時代から「天領・お留め山」として入山や伐採が厳しく止められていたためである。それ以降も、明治から戦前までは御料林として、戦後は国有林鳥獣保護区(金華山特別保護地区)として保護されている。

この国有林と指定された区域は、岐阜城の城域に符合し、国史跡岐阜城となっている。

登山道ではヤマガラなどの鳥類や、タイワンリスをみかけることもある。最近の調査では金華山にはイノシシが暮らしている痕跡が見つかっている。

クロヒナスゲ(カレックス・ギフェンシス)、ムカシヤンマ(旧名:岐阜山蜻蛉)などは金華山で発見された種である。

歴史

金華山山麓には50数基の古墳があった(上加納山周辺が多い)。ただし大部分は残っていない。また金華山山頂部分にも古代遺跡があったようで、岐阜城が再建された際、須恵器の破片が見つかっている。

明治末期、金華山山頂にあった井戸跡の浚渫により鉱泉(冷泉)が発見され、これを利用し、山麓に明治43年(1910年)「金華鉱泉」が開業、温泉街ができた。現在の岐阜護国神社の社地である。ただこれも一時的なもので、間もなく源泉が枯渇し、大正7年(1918年)には閉鎖となった。

年表

登山道

金華山ロープウェー

各方面から山頂へ向かう多くの登山道が整備されている。岐阜城当時の登山道を一部ルートを変更、整備されたもので、途中砦跡や石垣などの遺構を見ることができる登山道もある。

金華山ロープウェーを利用することもできる。

七曲り登山道
岐阜城への登城道(大手道)で、ロープウェー開通まで最も多く利用された登山道。比較的傾斜もゆるく、よく整備されていて道幅も比較的広い。初心者でも安心して登れる。名前は「七曲り」だが実際は13曲りぐらいある。石段から外れて、昔の旧登山道も所々に残る。途中岩戸方面に出られる斎藤道三が切り開いた切通しがある。また砦跡や岩盤を削って道を切り開いた所も確認出来る。
瞑想の小径(こみち)
所々急斜面や、道沿いに崖もあるが、難所には看板や橋等もあり、比較的よく整備されている。小さな沢を横切ったり、長良川や岐阜市内の眺めもいたるところで楽しめる。頂上付近に鼻高登山道への分岐点がある。この分岐地点に岐阜城の裏門の石垣が発見された。いくつかの沢を横切ることから「水手道」ともいわれる。岐阜城の搦手の一部。
馬の背登山道
山頂までの最短コース。初心者向きではない急斜面の箇所がある。山頂と瞑想の小径との分岐点にある馬の背登山道のスタート地点の看板には「お年寄りや幼児には無理です。」と記されている。山頂近くに石垣が残る。
百曲り登山道
禅林寺の石段の南に登山道入口があり、ロープウェー頂上駅付近にたどり着く登山道。馬の背に次いで短いコース。こちらも初心者には厳しい。
東坂登山道
岩戸公園からのコース。途中大参道、唐釜コースへと分岐する。
鼻高登山道
県道287号線沿いの長良川左岸から登るコース。健脚者向け。山頂付近で瞑想の小径とつながる。岐阜城の搦手の一部。
達目(だちぼく)登山道
東坂登山道から分岐して日野へ降りる。
大釜登山道
達目洞から北上し、鼻高方面へ向かうコース。
大参道登山道
なだらかな平地。森のトンネルをくぐっているような感じのコース。
唐釜登山道
七曲り登山道と東坂登山道を結ぶ。なだらかで所々道が細いコース。

※ その他の踏み跡も存在していたが、ロープや杭で道が塞がれ通行禁止となっている。

その他の施設

岐阜城天守西側の上加納山に、岐阜放送テレビ及びNHK岐阜総合テレビの送信所(上加納山タワーが設置されている。なお、これ以外の局の受信については瀬戸デジタルタワーの電波を受信する。

金華山内部には、岐阜市によって市内上水道設備として造られた日本初の大規模地下空洞式配水池(鏡岩配水池)もある。

地理

金華山トンネル
金華山と長良川鵜飼大橋(写真左下)

金華山は南部にある稲荷山、権現山、相場山、岩戸山、瑞龍寺山(通称:水道山、標高156m)、南東部にある鷹巣山、洞山(標高205m)、北東部にある西山(標高176m)が連なっている。(なお、金華山ドライブウェイがあるのは駿河山、稲荷山、権現山、水道山、岩戸山にかけての部分。また金華山には長良川に程近い北西部に金華山トンネル、南西部の水道山部分に鶯谷トンネル、南部に岩戸トンネル、東部に井ノ口トンネルが通っている。)

周辺の山

長良川左岸の岐阜市の市街地にあり、対岸には岐阜市の最高峰の百々ヶ峰がある。山頂から西に伊吹山を望むことができる。

山容 名称 標高
m
三角点等級
基準点名[1]
金華山からの
方角と距離km
備考
池田山 923.85 二等
「池田山」
西 24.0
百々ヶ峰 417.85 三等
「百々峰」
北北東 3.7 岐阜市の最高峰
金華山 328.86 二等
「金花山」
0 岐阜城
伊木山 173.06 三等
「伊木山」
東南東 13.9 伊木山城
伊木の森
伊吹山 1,377.31 一等
「伊吹山」
西 34.1 日本百名山

源流の河川

金華山を源とする以下の河川は、木曽川水系支流伊勢湾へ流れる。

  • 長良川の支流(達目洞の逆川。地形図で河川名は表記されていない)
  • 境川、荒田川(木曽川の支流)

脚注

  1. ^ a b 基準点成果等閲覧サービス・点名「金花山」、二等三角点 国土地理院、2011年3月2日閲覧。
  2. ^ a b 角川日本地名大辞典 21 岐阜県. 角川書店. (昭和55年9月20日) 
  3. ^ 金華山・長良川風致地区の風致保全方針岐阜市役所都市計画課

関連項目

外部リンク