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「ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界」の版間の差分

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| 作品名 = ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界
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| 製作費 = 1億3,500万ドル - 1億8,000万ドル<ref name="Deadline-Proj">{{Cite news |last=D'Alessandro |first=Anthony |date=November 21, 2022 |title=Disregard The Corporate Noise: Disney Will Dominate Thanksgiving Box Office With 'Wakanda Forever' & 'Strange World' |work=[[Deadline.com|Deadline Hollywood]] |url=https://deadline.com/2022/11/box-office-wakanda-forever-strange-world-disney-bob-iger-thanksgiving-1235179433/ |url-status=live |access-date=November 22, 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20221204095152/https://deadline.com/2022/11/box-office-wakanda-forever-strange-world-disney-bob-iger-thanksgiving-1235179433/ |archive-date=December 4, 2022}}</ref><ref name="100 million">{{Cite news |last=Rubin |first=Rebecca |date=November 27, 2022 |title=Thanksgiving Box Office: Disney's 'Strange World' Bombs With $18.6 Million as 'Wakanda Forever' Repeats No. 1 |work=Variety |url=https://variety.com/2022/film/box-office/disney-strange-world-box-office-flop-thanksgiving-wakanda-forever-1235442708/ |url-status=live |access-date=November 27, 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20221127163005/https://variety.com/2022/film/box-office/disney-strange-world-box-office-flop-thanksgiving-wakanda-forever-1235442708/ |archive-date=November 27, 2022}}</ref>
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| 前作 = [[ミラベルと魔法だらけの家]]
| 前作 = [[ミラベルと魔法だらけの家]]
| 次作 = [[ウィッシュ (映画)|ウィッシュ]]
| 次作 = [[ウィッシュ (映画)|ウィッシュ]]
| 撮影 = トレイシー・スコット・ビーティ(レイアウト)<br/>ブライアン・リーチ(照明)
}}
| 編集 = サラ・K・ライマース
『'''ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界'''』(原題:''Strange World'')は、[[ドン・ホール]]が監督を務める、[[ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ]]製作による2022年の映画。
| 音楽 = [[ヘンリー・ジャックマン]]
}}『'''ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界'''』(ストレンジ・ワールド/もうひとつのせかい、原題: ''Strange World'')は、2022年の[[アメリカ合衆国の映画|アメリカ合衆国]]の[[アニメーション映画|アニメーション]]・[[SF映画|SF]]・[[アドベンチャー映画]]。[[ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ]]が制作し、[[ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ]]が配給した。監督は[[ドン・ホール]]、共同監督および脚本は{{仮リンク|クイ・グエン|en|Qui Nguyen}}、プロデューサーは[[ロイ・コンリ]]が務めた。[[ジェイク・ジレンホール]]、[[デニス・クエイド]]、{{仮リンク|ジャブーキー・ヤング=ホワイト|en|Jaboukie Young-White}}、[[ガブリエル・ユニオン]]、[[ルーシー・リュー]]が声の出演を担当し、伝説的な探検家一家であるクレイド一家(ジレンホール、クエイド、ヤング=ホワイト、ユニオン)が、エネルギー源である奇跡の植物「パンド」を救うために、対立を乗り越えて不思議な地底世界を冒険する物語である。この地底世界には独特な生命体が生息している。


ホールは、2016年の『[[モアナと伝説の海]]』の共同監督を終えた2017年に『ストレンジ・ワールド』の構想を練り始めた。本作は、[[パルプ・マガジン]]、『[[地底旅行]]』(1864年)、『[[ミクロの決死圏]]』(1966年)、『[[ジュラシック・パーク (映画)|ジュラシック・パーク]]』(1993年)、『[[キング・コング (1933年の映画)|キング・コング]]』(1933年)から影響を受けている。作中では非言語的なコミュニケーションを表現するため、複数のアニメーターがキャラクター「スプラット」の動きを作り上げた。作品の大部分はCGアニメーションで構成されているが、一部のシーンではランディ・ヘイコックが手掛けた2Dアニメーションが使用されており、{{仮リンク|エリック・ゴールドバーグ|en|Eric Goldberg (animator)|label=エリック・ゴールドバーグ}}と[[マーク・ヘン]]も追加の2Dアニメーションを担当した。音楽は[[ヘンリー・ジャックマン]]が手掛けた。また、本作はウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの作品で初めてオープンリー[[LGBT|LGBTQ]]の主人公を登場させたことでも注目されており、一部の地域ではこの理由により劇場公開が中止された。
== あらすじ ==
豊かな国「'''アヴァロニア'''」に暮らす'''サーチャー・クレイド'''は伝説の冒険者として称えられている'''イェーガー・クレイド'''の息子。しかし、イェーガーが数十年前の事故で生死不明となった一件から冒険嫌いになり、妻の'''メリディアン・クレイド'''や息子の'''イーサン・クレイド'''と一緒に農業を営んでいた。


『ストレンジ・ワールド』は2022年11月15日に[[ロサンゼルス]]の[[エル・キャピタン劇場]]でプレミア上映され、同年11月23日にアメリカで劇場公開された。批評家からは概ね好意的な評価を受けたものの、興行収入は7,360万ドルに留まり、ディズニーにとって1億9,700万ドルの損失が見込まれる結果となった。このため、本作は[[赤字映画の一覧|史上最大級の興行的失敗作]]の一つとされている。
ある時、アヴァロニアで貴重な資源として使われている植物「'''パンド'''」が急激に枯渇し、国は存亡の危機を迎える。政府は解決の術が地下に隠されている可能性にかけ、探検チームを結成。イェーガーの関係者たるサーチャーも大統領の呼びかけで調査に参加させられる。


== ストーリー ==
飛行艇が向かった先は奇妙な生物が暮らす幻想的な地底世界。そこでサーチャーは失踪していたはずの父と思いがけない再会を果たし、やがて地底世界とアヴァロニアの驚くべき正体を知る。
アバロニアは、果てしない山脈に囲まれた地である。冒険家のイェーガー・クレイドとその息子サーチャーは、新たな世界を探索するために荒野を冒険していた。山脈を越えようとしていた際、サーチャーはエネルギーを放つ緑色の植物を発見する。サーチャーと探検隊の仲間たちはその植物を持ち帰ることを決めるが、イェーガーは怒り、単独で探索を続ける。


それから25年後、サーチャーは奇跡の植物「パンド」をアバロニアのエネルギー源として導入し、その名を知られるようになった。彼は妻のメリディアンと共にパンド農場を営んでおり、息子のイーサンは友人のディアゾに恋を抱きながらも、父親の期待する農場経営の道に反発していた。ある夜、アバロニアの大統領であり、かつてのイェーガーの探検仲間でもあるカリスト・マルが飛行船「ベンチャー」で現れ、パンドがエネルギーを失いつつあることを知らせる。原因究明のため、サーチャーは巨大な陥没穴にあるパンドの根を調査する探検に参加することになる。
== 登場人物/キャスト ==

{| class="wikitable" style="text-align: center;"
陥没穴へ向かう途中、メリディアンは農業用飛行機で後を追うが、イーサンと三本足の犬レジェンドがベンチャーに密航していた。飛行船は赤いドラゴンのような生物に襲撃され、地底世界に不時着する。サーチャーとレジェンドはグループから離れ、リーパーと呼ばれる生物に襲われるが、地下で長年暮らしていたイェーガーに救われる。イェーガーは地下世界を通じて山脈を越えようとしていたが、酸性の海によって阻まれていた。彼はベンチャーに乗り込み、その計画を続行しようとする。
! 役名

! 解説
一方、イーサンはサーチャーを探すためベンチャーを抜け出し、青い不定形の生物スプラットと名付けた仲間と出会う。その後、サーチャー、レジェンド、イェーガーと再会するが、再びリーパーに襲われる。カリストとメリディアンによって救出された一行はベンチャーに戻るが、サーチャーは任務を続行しようとし、イェーガーは地底世界の探索を続けたいと主張する。意見の対立によりイーサンは不満を募らせる。新たな出来事を経て、サーチャーとイェーガーは互いの生き方を尊重し始める。
! 原語版

! 日本語吹き替え版<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.fukikaeru.com/?p=19342|title=ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界 -日本語吹き替え版|website=ふきカエル大作戦!!|date=2022-11-25|accessdate=2022-11-25}}</ref>
その後、一行はパンドの根の塊を発見するが、地底世界の生物たちが攻撃していた。イーサンはサーチャーに地底世界をもっと探索したいと伝えるが、サーチャーはこれをイェーガーの影響とみなし反発する。イーサンは怒ってベンチャーを飛び出しリーパーに乗り込むが、サーチャーが追いかける中、山脈を越えた先の海に巨大なカメのような生物の目を発見する。一行はアバロニアがその生物の背中にあること、そして地底世界の生物がその生物の免疫系であることに気づく。

パンドが生物の心臓を蝕む感染源であると知ったサーチャーたちは、パンドを破壊する必要があると判断し探検隊に知らせるが、カリストに拘束される。一方、イェーガーは自身で真実を確かめるため船を出す。スプラットとレジェンドの助けで脱出したクレイド一家は、パンドを破壊するため行動を開始する。イェーガーの協力もあり、パンドは破壊され、生物の心臓は回復し、アバロニアも救われる。

1年後、イーサンはディアゾと交際し、友人たちと地底世界の資源を収集している。アバロニアはパンドに代わり風力エネルギーを使用するようになった。イェーガーは別れた妻ペネロペに再会するが、彼女は再婚していた。サーチャーとイェーガーの関係も改善され、カメのような生物が海に覆われた惑星に存在する様子が描かれて物語は終わる。

== キャスト ==

* サーチャー・クレイド: [[ジェイク・ジレンホール]]([[原田泰造]]<ref name="today2211012">{{Cite news |url=https://www.cinematoday.jp/news/N0133310 |title=ディズニー新作『ストレンジ・ワールド』声優は原田泰造&鈴木福 |newspaper=シネマトゥデイ |date=2022-11-01 |accessdate=2022-11-01}}</ref>) - イェーガーの息子で、メリディアンの夫、イーサンの父親。パンドのエネルギー源を栽培する40歳の農夫<ref name=":5">{{Cite web |title=Jake Gyllenhaal Explores an Alien Planet in 'Strange World' Teaser From Disney Animation (Video) |url=https://www.thewrap.com/jake-gyllenhaal-strange-world-teaser-disney-animation-video/ |website=TheWrap |date=2022-06-06 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |first=Brian |last=Welk}}</ref>。
* イェーガー・クレイド: [[デニス・クエイド]]([[大塚明夫]]<ref name="natalie2211082">{{Cite news |url=https://natalie.mu/eiga/news/500462 |title=大塚明夫、松岡依都美、沢海陽子らが「ストレンジ・ワールド」日本版に参加 |newspaper=映画ナタリー |date=2022-11-08 |accessdate=2022-11-08}}</ref>) - サーチャーの父親でイーサンの祖父。豪快な冒険家<ref name=":2">{{Cite web |title=Jake Gyllenhaal Joined by Dennis Quaid, Lucy Liu, Gabrielle Union in Disney’s ’Strange World’ |url=https://variety.com/2022/film/global/strange-world-jennifer-lee-baymax-zootopia-1235297289/ |website=Variety |date=2022-06-17 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |first=Ben Croll,John |last=Hopewell}}</ref>。
* イーサン・クレイド: {{仮リンク|ジャブーキー・ヤング=ホワイト|en|Jaboukie Young-White}}([[鈴木福]]<ref name="today2211012" />) - サーチャーの17歳の息子で、父親の農場を超えた冒険を求めている。また、同級生のディアゾに恋心を抱いている<ref name=":2" />。イーサンはウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ初のオープンリー・[[ゲイ]]の主要キャラクターである<ref name=":6">{{Cite web |title=Disney Introduced Its First Openly Gay Teen Character In 'Strange World' |url=https://www.romper.com/entertainment/disney-strange-world-first-openly-gay-teen-character |website=Romper |date=2022-11-23 |access-date=2024-12-20 |language=en}}</ref>。
* メリディアン・クレイド: [[ガブリエル・ユニオン]]([[松岡依都美]]<ref name="natalie2211082" />) - イーサンの母でサーチャーの妻。飛行船「ベンチャー」のパイロットであり、自然なリーダーシップを持つ<ref name=":2" />。
* カリスト・マル: [[ルーシー・リュー]]([[沢海陽子]]<ref name="natalie2211082" />) - アバロニアの大統領で探検隊のリーダー。「ベンチャー」を率いてクレイド一家と共に冒険を行う<ref name=":2" /><ref name=":7">{{Cite web |title=Behind Disney’s Jules Verne-Inspired ‘Strange World’ |url=https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-features/disney-strange-world-trailer-concept-art-1235223223/ |website=The Hollywood Reporter |date=2022-09-21 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |first=Carolyn |last=Giardina}}</ref>。
* キャスピアン: [[カラン・ソーニ]]([[落合福嗣]]<ref name="natalie2211082" />) - 地底世界探検隊の一員で、オタク気質を持つ<ref name=":4">{{Cite web |title=‘Strange World’ Review: Disney Expands Its Horizons, and It’s a Beautiful Thing to See |url=https://variety.com/2022/film/reviews/strange-world-review-disney-1235434396/ |website=Variety |date=2022-11-21 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |first=Peter |last=Debruge}}</ref>。
* ダフル: [[アラン・テュディック]]([[本多新也]]<ref name="natalie2211082" />) - 飛行船「ベンチャー」のパイロットで、赤いドラゴンのような生物に襲われ死亡する<ref name=":4" />。彼の役はテュディックが出演した『[[ファイヤーフライ 宇宙大戦争]]』のキャラクター、ホバン・"ウォッシュ"・ワッシュバーンを意識している<ref>{{Cite web |title=How A Character In Disney's Strange World Recalls The Late, Great Firefly |url=https://www.slashfilm.com/1117703/how-a-character-in-disneys-strange-world-recalls-the-late-great-firefly/ |website=SlashFilm |date=2022-11-28 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |first=Ben F. |last=Silverio}}</ref>。
* パルク大尉: アデリーナ・アンソニー([[鹿野真央]]<ref name="natalie2211082" />) - 探検隊の副官<ref name=":4" />。
* ロニー・レッドシャツ: [[アブラハム・ベンルービ]]([[樋山雄作]]) - イェーガーの探検隊メンバーで、行方不明となる<ref name=":4" />。名字は『[[スタートレック]]』における「赤いシャツ」のキャラクターがよく無名の死を遂げるトレンドに由来している。
* ディアゾ: ジョナサン・メロ([[田中光 (声優)|田中光]]) - イーサンの恋人で、物語の最後ではイーサンと交際を始める<ref name=":4" />。
* カーデス: [[ニック・ドダニ]]([[森永友基]]) - イーサンの友人の一人。
* アジマス: フランチェスカ・レアーレ([[近藤玲奈]]) - イーサンの友人の一人。
* ロー: エミリー・クロダ([[小宮和枝]])
* ローリー: リード・バック(豊田茂)
* ナレーション: アラン・テュディック([[茶風林]]<ref name="natalie2211082" />)
* ラジオホスト2: [[ケイティ・ロウズ]]
* クライアント2: ラニサ・フレデリック
* クライアント3: デイブ・コハット
* クライアント4: アリス・キナ・ディール

追加キャストには、テリー・ダグラス、{{仮リンク|リザ・デル・ムンド|en|Liza del Mundo|label=リザ・デル・ムンド}}、ションダリア・ホワイト、メラニー・ミニキーノ、{{仮リンク|マイケル・ラルフ|en|Michael Ralph|label=マイケル・ラルフ}}、{{仮リンク|シェーン・スウィート|en|Shane Sweet|label=シェーン・スウィート}}、アーサー・オルティス、{{仮リンク|マット・ヤン・キング|en|Matthew Yang King|label=マット・ヤン・キング}}らが含まれる。

映画には、セリフのないキャラクターも登場する。クレイド一家の三本足のバーニードゥードル犬であるレジェンド、地底世界に住む青い不定形の生物スプラット、その他のアバロニアの生物たちがその代表例である。また、ペネロペ・クレイドも登場する。彼女はイェーガーの元妻でサーチャーの母親であり、冒険家を引退した後、シェルドンという男性と再婚している。なお、エンドクレジットでは、レジェンドとスプラットが「本人役」としてクレジットされている。

== 制作 ==

=== 制作 ===
『ストレンジ・ワールド』の製作は、[[ドン・ホール]]が『[[モアナと伝説の海]]』(2016年)の共同監督を終えた2017年に始まった。ホールの創作パートナーであるクリス・ウィリアムズも当初プロジェクトに参加していたが、2018年11月にディズニーを退社し、[[Netflix]]アニメーション映画『[[ジェイコブと海の怪物]]』(2022年)の監督を務めることになった。ホールは、世代を超えた家族の起源について「環境問題」をテーマに考案し、そのコンセプトは「[[インディ・ジョーンズ シリーズ|インディ・ジョーンズ]]と{{仮リンク|ナショナル・ランプーンのバケーション|en|National Lampoon's Vacation (film series)|label=ナショナル・ランプーンのバケーション}}の融合」と形容された。

2019年8月の[[D23 Expo|D23Expo]]で『[[ラーヤと龍の王国]]』(2021年)が発表された直後、本作には大幅な変更が加えられた。クリエイティブチームのリーダーシップが交代し、一部のキャストも入れ替えられた<ref>{{Cite web |title=Making ‘Strange World’: The Origin, Evolution and Progressive Representation of Disney Animation's Sci-Fi Adventure |url=https://www.thewrap.com/strange-world-disney-making-of-alternate-versions/ |website=TheWrap |date=2022-11-25 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |first=Drew |last=Taylor}}</ref>。ホールは共同監督および脚本を務める{{仮リンク|クイ・グエン|en|Qui Nguyen}}と再びタッグを組むことになった。ストーリー会議の際、ディズニーのアーティストである[[バーニー・マッティンソン]]がクレイド一家に犬のキャラクターを加えることを提案し、最終的にそのアイデアは映画に登場するレジェンドというキャラクターとなった<ref>{{Cite web |title=The Legacy of Burny Mattinson |url=https://d23.com/the-legacy-of-burny-mattinson/ |website=D23 |date=2023-03-04 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |last=Sohrab}}</ref>。

なお、『ストレンジ・ワールド』の製作予算は約1億3,500万~1億8,000万ドルと見積もられている。

=== 脚本 ===
グエンによると、制作陣は観客が映画のラストを迎えたとき、「『[[シックス・センス]]』を観るように、物語を振り返ってすべての瞬間を辿りながら『最初からすべてを伝えていたのだが、最後のピースが揃ったことでようやくそれに気付いた』と思えるような構成を目指した」という<ref name=":8">{{Cite web |title=‘Strange World’ Director on What Research Went Into Animated Film |url=https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-features/strange-world-director-on-what-research-went-into-animated-film-1235271388/ |website=The Hollywood Reporter |date=2022-12-15 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |first=Carolyn |last=Giardina}}</ref>。

=== キャスティング ===
2022年6月6日、ティーザートレーラーの公開に伴い、[[ジェイク・ジレンホール]]がサーチャー・クレイドの声を担当することが発表された<ref name=":52">{{Cite web |title=Jake Gyllenhaal Explores an Alien Planet in 'Strange World' Teaser From Disney Animation (Video) |url=https://www.thewrap.com/jake-gyllenhaal-strange-world-teaser-disney-animation-video/ |website=TheWrap |date=2022-06-06 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |first=Brian |last=Welk}}</ref>。その11日後、フランスで開催された[[アヌシー国際アニメーション映画祭]]で、本作の主要キャストが発表された。{{仮リンク|ジャブーキー・ヤング=ホワイト|en|Jaboukie Young-White}}がイーサン・クレイド、[[ガブリエル・ユニオン]]がメリディアン・クレイド、[[ルーシー・リュー]]がカリスト・マル、[[デニス・クエイド]]がイェーガー・クレイドを演じることが明らかにされた<ref name=":22">{{Cite web |title=Jake Gyllenhaal Joined by Dennis Quaid, Lucy Liu, Gabrielle Union in Disney’s ’Strange World’ |url=https://variety.com/2022/film/global/strange-world-jennifer-lee-baymax-zootopia-1235297289/ |website=Variety |date=2022-06-17 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |first=Ben Croll,John |last=Hopewell}}</ref>。特に、ヤング=ホワイトが[[ゲイ]]のキャラクターであるイーサンを演じることは、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの作品で初めてオープンリーLGBTQの主要キャラクターが登場する例となった<ref name=":62">{{Cite web |title=Disney Introduced Its First Openly Gay Teen Character In 'Strange World' |url=https://www.romper.com/entertainment/disney-strange-world-first-openly-gay-teen-character |website=Romper |date=2022-11-23 |access-date=2024-12-20 |language=en}}</ref>。

=== アニメーション、デザイン、影響 ===
ホールによると、『ストレンジ・ワールド』は20世紀前半に安価な木材パルプ紙に印刷された大衆向けフィクションである[[パルプ・マガジン]]から大きな影響を受けている。また、『[[地底旅行]]』や『[[ミクロの決死圏]]』、『[[キング・コング (1933年の映画)|キング・コング]]』といったSF作品からも着想を得ている<ref name=":72">{{Cite web |title=Behind Disney’s Jules Verne-Inspired ‘Strange World’ |url=https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-features/disney-strange-world-trailer-concept-art-1235223223/ |website=The Hollywood Reporter |date=2022-09-21 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |first=Carolyn |last=Giardina}}</ref>。ホールは「幼い頃、パルプ・マガジンの古い号を読むのが大好きだった。それらは、探検家のグループが隠された世界や古代の生物を発見するような壮大な冒険だった。それが『ストレンジ・ワールド』にとって大きなインスピレーションになった」と語っている<ref>{{Cite web |title=First Look at Walt Disney Animation Studios’ Strange World—Plus More in News Briefs |url=https://d23.com/news-briefs-december-10-2021/ |website=D23 |date=2021-12-10 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |last=Sohrab}}</ref>。

奇跡の植物「パンド」という名前は、アメリカ・[[ユタ州]]にある森林に由来している<ref>{{Cite web |title=Strange World director breaks down the movie's surprising twist |url=https://www.gamesradar.com/strange-world-pando-twist-environment-turtle-explained/ |website=gamesradar |date=2022-11-23 |access-date=2024-12-20 |language=en |first=Molly Edwards |last=published}}</ref>。アバロニアの地は「暖かくノスタルジックな」色調で描かれ、一方で生物の内部に広がる地底世界では「アーストーン(自然色)を避け、赤やマゼンタを強調した色使い」が採用された。また、キャラクター「スプラット」には、言葉を使わずにコミュニケーションを取る手法が取り入れられた。このアプローチは、『[[アラジン (1992年の映画)|アラジン]]』の魔法のじゅうたんに似たものとなっている<ref name=":72" />。

制作チームは、映画の設定や登場する生物にリアリティを持たせるため、気候学者や古生物学者、生物学者、そして農家への取材を行った。さらに、ナショナルジオグラフィックを訪れてリサーチを重ね、その成果は映画の舞台や生物に反映されている<ref name=":8" />。

=== 音楽 ===
{{Main|{{仮リンク|Strange World (soundtrack)|en|Strange World (soundtrack)}}}}
[[ヘンリー・ジャックマン]]が本作の音楽を担当することが、2022年9月5日に発表された。これにより、ジャックマンは『[[くまのプーさん (2011年の映画)|くまのプーさん]]』や『[[ベイマックス]]』に続き、ドン・ホール監督との3度目のコラボレーションとなった。また、ジャックマンにとってウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオでの長編映画音楽の担当は5回目となり、『[[シュガー・ラッシュ]]』シリーズも含まれる<ref>{{Cite web |title=Henry Jackman Scoring Disney’s ‘Strange World’ {{!}} Film Music Reporter |url=https://filmmusicreporter.com/2022/09/05/henry-jackman-scoring-disneys-strange-world/ |access-date=2024-12-20 |language=en-US}}</ref>。

[[ウォルト・ディズニー・レコード]]は、劇場公開日である2022年11月23日に、本作のスコア・アルバムをリリースした。アルバムには、ジェームズ・ヘイデンが歌う「They're The Clades!」や、そのリプライズ版も収録されている<ref>{{Cite web |title=‘Strange World’ Soundtrack Album Details {{!}} Film Music Reporter |url=https://filmmusicreporter.com/2022/11/22/strange-world-soundtrack-album-details/ |access-date=2024-12-20 |language=en-US}}</ref>。

== 公開 ==

=== 劇場公開 ===
『ストレンジ・ワールド』は、2022年11月15日に[[ロサンゼルス]]・[[ハリウッド]]の[[エル・キャピタン劇場]]でプレミア上映され<ref>{{Cite web |title=D23 Gold Members - Attend Disney’s Strange World Red Carpet Premiere in Hollywood! - D23 |url=https://web.archive.org/web/20221114214356/https://d23.com/d23-event/d23-gold-members-attend-disneys-strange-world-red-carpet-premiere-in-hollywood/ |website=web.archive.org |date=2022-11-14 |access-date=2024-12-20}}</ref>、同年11月23日にアメリカ合衆国で劇場公開された<ref name=":10">{{Cite web |title=Disney Unveils Animated Movie ‘Strange World’ With Thanksgiving 2022 Release Date |url=https://variety.com/2021/film/news/disney-strange-world-release-date-1235129812/ |website=Variety |date=2021-12-09 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |first=Rebecca |last=Rubin}}</ref>。アメリカでのレイティングはMPAAがPG指定<ref>{{Cite web |url=https://movies.disney.com/strange-world |title=Disney's Strange World |access-date=2024-12-21}}</ref>、Common Sense Mediaが8歳以上を推奨している<ref>{{Cite web |title=Strange World Movie Review {{!}} Common Sense Media |url=https://www.commonsensemedia.org/movie-reviews/strange-world |website=www.commonsensemedia.org |access-date=2024-12-20 |language=en}}</ref>。

本作は多くの地域で劇場公開されたが、一部の地域では劇場公開が行われなかった。ディズニーが劇場公開後の配信期間(シアトリカルウィンドウ)に関する現地規制に反対したため、2022年6月8日にフランスでの劇場公開を中止し、他地域での公開後に[[Disney+]]で直接配信されることが発表された<ref>{{Cite web |title=Disney Balks At “Anti-Consumer” French Windows: Will Bypass Theatrical On ‘Strange World’ In Market, Evaluate Future Films On Rolling Basis |url=https://deadline.com/2022/06/disney-french-windows-strange-world-bypass-theatrical-disney-plus-1235040493/ |website=Deadline |date=2022-06-08 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |first=Nancy |last=Tartaglione}}</ref>。また、[[Deadline Hollywood]]によると、中東、アフリカ、南アジア、ロシア、中国など20か国で劇場公開が見送られた。このうち、ロシアでの公開中止は[[2022年ロシアのウクライナ侵攻|ウクライナ侵攻]]によるものであった<ref name=":9">{{Cite web |title=‘Strange World’ Eyes $25M Offshore Bow In Slimmed-Down Release As Disney Opts To Skip Middle East & More Over Potential Censorship |url=https://deadline.com/2022/11/strange-world-disney-censorship-middle-east-international-box-office-preview-1235178513/ |website=Deadline |date=2022-11-21 |access-date=2024-12-20 |language=en-US |first=Nancy |last=Tartaglione}}</ref>。その他の地域では、主人公イーサン・クレイドがゲイであることや、彼が少年ディアゾに恋をしているという物語の主要な要素が含まれるため、LGBTQ+に関する内容が検閲されるのを回避する目的で劇場公開が中止された<ref name=":9" />。

本作は、2023年の[[ウォルト・ディズニー・カンパニー]]創立100周年を記念した新しいディズニーロゴが初めて使用された作品でもある。このロゴはディズニー・スタジオ・コンテンツと[[インダストリアル・ライト&マジック]]によって制作され、2022年の[[D23 Expo|D23Expo]]で初公開された。音楽は[[クリストフ・ベック]]が「[[星に願いを]]」の新しいアレンジを手掛け、{{仮リンク|ティム・デイヴィス|en|Tim Davies (musician)|label=ティム・デイヴィス}}が指揮を担当した<ref>{{Cite web |title=New details about Disney 100 Years of Wonder revealed to fans during D23 Expo |url=https://abc7chicago.com/disney-100-years-of-wonder-d23-expo-announcements-wish/12227329/ |website=ABC7 Chicago |date=2022-09-13 |access-date=2024-12-20 |language=en}}</ref>。

=== マーケティング ===
本作のプロジェクト発表後、2021年12月9日に最初のコンセプトアートが公開された<ref name=":10" />。『{{仮リンク|/Film|en|/Film|label=/Film}}』のマックス・エヴリーは、この画像について「『[[アバター (2009年の映画)|アバター]]』、少なくとも[[ディズニーワールド]]の[[アニマルキングダム]]にある[[パンドラ - ザ・ワールド・オブ・アバター|パンドラ]]のエリアに非常に似ている」と述べた<ref>{{Cite web |title=Strange World First Look: Disney Unveils Concept Art For Fantastical New Animated Film |url=https://www.slashfilm.com/702086/strange-world-first-look-disney-unveils-concept-art-for-fantastical-new-animated-film/ |website=SlashFilm |date=2021-12-09 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Max |last=Evry}}</ref>。

『ストレンジ・ワールド』のマーケティングキャンペーンは、2022年6月6日のティーザートレーラーの公開を皮切りに開始された。[[Polygon]]のペトラナ・ラドゥロヴィッチは、この映像を「レトロなSF映画へのオマージュ」と感じ、また『[[ラーヤと龍の王国]]』に似て「ディズニーの典型的なミュージカルファンタジーよりも、アクションに重点を置いているように見える」と述べた<ref>{{Cite web |title=Disney’s new animated movie follows a dysfunctional family of space explorers |url=https://www.polygon.com/23156398/disney-strange-world-trailer-release-date |website=Polygon |date=2022-06-06 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Petrana |last=Radulovic}}</ref>。2022年の[[D23 Expo|D23Expo]]では新たなトレーラーが上映され、公式トレーラーは同年9月21日に公開された<ref>{{Cite web |title=Strange World: New Trailer Released for Disney Animated Movie |url=https://comicbook.com/movies/news/strange-world-trailer-disney-2022-movie/ |website=ComicBook.com |date=2022-09-21 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Jamie |last=Lovett}}</ref>。翌日にはキャストのリアクション動画が配信された。/Filmのレックス・ブリスクソは、この映画について「家族向けアニメーションの物語として、新鮮な風を感じさせる」と評価した<ref>{{Cite web |title=Strange World Trailer: A Whole New (Pulp) World With A Fantastic Point Of View |url=https://www.slashfilm.com/1018103/strange-world-trailer-a-whole-new-pulp-world-with-a-fantastic-point-of-view/ |website=SlashFilm |date=2022-09-21 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Lex |last=Briscuso}}</ref>。

さらに、2022年10月19日には「特別映像」トレーラーが公開された。/Filmのラファエル・モタマヨールは、「明るい曲調や笑いを重視したプロモーションは、本作をディズニーの定型的な映画のように見せているが、モンスターや大規模なアクションの目立つ使い方によって、スタジオからより独創的な映画が生まれることを期待させる」とコメントした<ref>{{Cite web |title=Strange World Trailer: A Multigenerational Family Adventure Film With Wobbly Creatures |url=https://www.slashfilm.com/1062292/strange-world-trailer-a-multigenerational-family-adventure-film-with-wobbly-creatures/ |website=SlashFilm |date=2022-10-19 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Rafael |last=Motamayor}}</ref>。

また、2022年11月3日と11月8日には、それぞれキャラクター「スプラット」と「レジェンド」を紹介する特集映像「Welcome To Strange World」と「100 Years of Amazing Characters」が公開された。

=== ストリーミング配信とホームメディア ===
『ストレンジ・ワールド』は、2022年12月23日からDisney+で配信が開始された<ref>{{Cite web |title=‘Strange World’ Gets Disney+ Release Date |url=https://deadline.com/2022/12/strange-world-disney-plus-release-date-1235196756/ |website=Deadline |date=2022-12-12 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Denise |last=Petski}}</ref>。

Flix Patrolによると、本作はDisney+での配信開始後、同サービスで最も視聴された映画となった<ref>{{Cite web |title=Huge Disney Box Office Flop Is Now Number 1 On Disney+ |url=https://screenrant.com/strange-world-disney-plus-streaming-viewership-number-one/ |website=ScreenRant |date=2023-01-01 |access-date=2024-12-21 |language=en |first=Sarah |last=Laudenbach}}</ref><ref>{{Cite web |title=Strange World Becomes No. 1 Movie on Disney+ After Bombing at Box Office |url=https://movieweb.com/strange-world-top-movie-disney-plus/ |website=MovieWeb |date=2022-12-31 |access-date=2024-12-21 |language=en |first=Jeremy |last=Dick}}</ref>。また、{{仮リンク|Whip Media|en|Whip Media|label=Whip Media}}の{{仮リンク|TV Time|en|TV Time|label=TV Time}}によれば、2022年12月25日終了週において本作はアメリカ国内の全プラットフォームで8番目に多く視聴された映画であり、翌週の12月30日終了週には6位にランクインした<ref>{{Cite news |title=‘Glass Onion,’ ‘1923’ Top Weekly Whip U.S. Streaming Charts - Media Play News |url=https://www.mediaplaynews.com/glass-onion-1923-top-weekly-whip-us-streaming-charts/ |work=Media Play News |date=2022-12-28 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Stephanie |last=Prange}}</ref><ref>{{Cite news |title=‘Glass Onion,’ ‘Jack Ryan’ Top Weekly Whip U.S. Streaming Charts - Media Play News |url=https://www.mediaplaynews.com/glass-onion-jack-ryan-top-weekly-whip-us-streaming-charts/ |work=Media Play News |date=2023-01-05 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Stephanie |last=Prange}}</ref>。さらに、Fandangoが運営するデジタルサービス「{{仮リンク|Vudu|en|Fandango at Home|label=Vudu}}」では、2023年1月1日終了週において6番目に人気のある映画となった<ref>{{Cite news |title=‘Violent Night’ Again Tops Weekly Vudu Chart - Media Play News |url=https://www.mediaplaynews.com/violent-night-again-tops-weekly-vudu-chart/ |work=Media Play News |date=2023-01-03 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Stephanie |last=Prange}}</ref><ref>{{Cite news |title=TOP 10 on Disney+ in the World in December, 2022 • FlixPatrol |url=https://flixpatrol.com/top10/disney/world/2022-12/ |work=FlixPatrol |access-date=2024-12-21 |language=en-US}}</ref><ref>{{Cite web |title=Huge Disney Box Office Flop Is Now Number 1 On Disney+ |url=https://screenrant.com/strange-world-disney-plus-streaming-viewership-number-one/ |website=ScreenRant |date=2023-01-01 |access-date=2024-12-21 |language=en |first=Sarah |last=Laudenbach}}</ref><ref>{{Cite web |title=Strange World TOP 10 • FlixPatrol |url=https://flixpatrol.com/title/strange-world/top10/#tab-graph |website=FlixPatrol |access-date=2024-12-21 |language=en}}</ref>。

[[ウォルト・ディズニー・スタジオ・ホーム・エンターテイメント]]は、2023年2月14日に『ストレンジ・ワールド』を[[Ultra HD Blu-ray]]、[[Blu-ray Disc|Blu-ray]]、[[DVD]]で発売した<ref>{{Cite web |title=“Strange World” Digital/4K/Blu-Ray/DVD Release Details Announced |url=https://whatsondisneyplus.com/strange-world-digital-4k-blu-ray-dvd-release-details-announced/ |access-date=2024-12-21 |language=en-us}}</ref>。

== 評価 ==

=== 興行収入 ===
『ストレンジ・ワールド』の興行収入は、アメリカとカナダで3,800万ドル、その他の地域で3,560万ドルに達し、全世界合計では7,360万ドルとなった<ref>{{Cite web |title=Strange World |url=https://www.boxofficemojo.com/title/tt10298840/ |website=Box Office Mojo |access-date=2024-12-21}}</ref><ref>{{Cite web |title=Strange World (2022) - Financial Information |url=https://www.the-numbers.com/movie/Strange-World-(2022) |website=The Numbers |access-date=2024-12-21}}</ref>。初週末の結果を受けて、『[[バラエティ (アメリカ合衆国の雑誌)|バラエティ]]』や[[Deadline Hollywood]]は本作がスタジオに1億〜1億9,700万ドルの損失をもたらす可能性があると報じた<ref>{{Cite web |title=Thanksgiving Box Office: Disney’s ‘Strange World’ Bombs With $18.6 Million as ‘Wakanda Forever’ Repeats at No. 1 |url=https://variety.com/2022/film/box-office/disney-strange-world-box-office-flop-thanksgiving-wakanda-forever-1235442708/ |website=Variety |date=2022-11-27 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Rebecca |last=Rubin}}</ref><ref>{{Cite web |title=Disney’s ‘Strange World’ to Lose $100 Million in Theatrical Run |url=https://variety.com/2022/film/news/disney-strange-world-lose-100-million-box-office-1235442714/ |website=Variety |date=2022-11-27 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Rebecca |last=Rubin}}</ref><ref>{{Cite web |title=The Biggest Box Office Bombs Of 2022: Deadline’s Most Valuable Blockbuster Tournament |url=https://deadline.com/2023/04/biggest-box-office-bombs-2022-lowest-grossing-movies-1235325138/ |website=Deadline |date=2023-04-14 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Anthony |last=D'Alessandro}}</ref>。

アメリカとカナダでは、『[[ナイブズ・アウト: グラス・オニオン]]』や『{{仮リンク|デヴォーション (2022年の映画)|en|Devotion (2022 film)|label=デヴォーション}}』<ref>{{Cite web |title=Box Office: ‘Black Panther 2’ Rules, ‘Strange World’ Goes Cold While ‘Glass Onion’ Carves Up Competition |url=https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/strange-world-thanksgiving-box-office-fights-for-scraps-1235269474/ |website=The Hollywood Reporter |date=2022-11-26 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Pamela |last=McClintock}}</ref>、さらに『[[フェイブルマンズ]]』や『[[ボーンズ アンド オール]]』の拡大公開と同時期に公開された。当初、本作は公開初週末(5日間)で4,174館から3,000万〜4,000万ドルの興行収入が見込まれていた<ref>{{Cite web |title=Disregard The Corporate Noise: Disney Will Dominate Thanksgiving Box Office With ‘Wakanda Forever’ & ‘Strange World’ |url=https://deadline.com/2022/11/box-office-wakanda-forever-strange-world-disney-bob-iger-thanksgiving-1235179433/ |website=Deadline |date=2022-11-21 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Anthony |last=D'Alessandro}}</ref><ref>{{Cite web |title=Disney to Dominate Thanksgiving Box Office With ‘Strange World’ and ‘Black Panther: Wakanda Forever’ |url=https://variety.com/2022/film/box-office/black-panther-strange-world-thanksgiving-box-office-estimates-1235438896/ |website=Variety |date=2022-11-22 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Rebecca |last=Rubin}}</ref>。しかし、初日の興行収入は420万ドル(うち80万ドルは火曜夜のプレビュー上映分)に留まり、これにより予測が引き下げられ、初週末の収入は2,300万ドル程度と予測されるようになった<ref>{{Cite web |title=Box Office: Disney’s ‘Strange World’ Grosses Disappointing $800,000 in Previews |url=https://variety.com/2022/film/news/box-office-disney-strange-world-previews-disappointment-1235440770/ |website=Variety |date=2022-11-23 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Brent |last=Lang}}</ref>。実際には初週末の収入は1,190万ドル、5日間合計で1,860万ドルにとどまり、予測をさらに下回る結果となった。興行収入ランキングでは、ディズニーの別作品『[[ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー]]』に次ぐ2位だった<ref>{{Cite news |title=Fans give thanks for 'Black Panther 2,' while Disney's 'Strange World' struggles at box office |url=https://www.usatoday.com/story/entertainment/movies/2022/11/27/black-panther-wakanda-forever-triumphs-thanksgiving-box-office/10785745002/ |work=USA TODAY |access-date=2024-12-21 |language=en-US}}</ref><ref>{{Cite web |title=Weekend Box Office: Glass Onion shocks, Strange World tanks and Black Panther tops |url=https://www.joblo.com/weekend-box-office-glass-onion-shocks-strange-world-tanks-and-black-panther-tops/ |website=JoBlo |date=2022-11-27 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Brad |last=Hamerly}}</ref>。

複数のメディアは、本作を[[ボックスオフィス・ボム|興行的な失敗作]]と評価した。『[[ハリウッド・リポーター]]』は、「ディズニーアニメ作品の感謝祭公開作品としては現代で最悪のスタート」とし、『バラエティ』は「ディズニーにとって壊滅的な結果」と表現した。本作の低調な興行成績は、否定的な[[口コミ]]や、制作予算の大きさ、映画館の観客数の減少、[[Disney+]]での配信が予定されているという認識、[[新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)|新型コロナウイルスの影響]]、ゲイキャラクターの登場に対する保守的な反発、曖昧で目立たない物語の設定、他のディズニーアニメ作品に比べて弱いマーケティングといった複数の要因に起因しているとされる。また、一部のアナリストは、当時のディズニーCEO[[ボブ・チャペック]]が『[[ソウルフル・ワールド]]』や『[[あの夏のルカ]]』、『[[私ときどきレッサーパンダ]]』をDisney+で直接配信する決定を下したことで、家族向け作品に関する消費者の混乱を招いたと指摘している。さらに、本作公開直前に[[ボブ・アイガー]]がCEOに復帰し、以前カリーム・ダニエルが率いていた配給部門が解体されたことも影響したと考えられている<ref>{{Cite web |title=‘Strange World’ Box Office: Why the Disney Animated Pic Spun Out of Orbit |url=https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/strange-world-box-office-flopped-1235272075/ |website=The Hollywood Reporter |date=2022-11-30 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Pamela |last=McClintock}}</ref>。

『ストレンジ・ワールド』のアメリカとカナダでの劇場公開は、2023年2月2日に終了した<ref>{{Cite web |title=Strange World |url=https://www.boxofficemojo.com/release/rl3422914049/?ref_=bo_tt_gr_1 |website=Box Office Mojo |access-date=2024-12-21}}</ref>。

=== ストリーミング ===
『ストレンジ・ワールド』は、2022年の最終週および2023年の最初の2週間にわたり、Disney+で世界中で最も視聴された映画となった。配信が行われているほぼすべての国でDisney+の視聴ランキングの首位を獲得した<ref>{{Cite news |title=TOP 10 on Disney+ in the World on Week 02, 2023 • FlixPatrol |url=https://flixpatrol.com/top10/disney/world/2023-002/ |work=FlixPatrol |access-date=2024-12-21 |language=en-US}}</ref>。

=== 批評 ===
[[レビュー収集サイト]][[Rotten Tomatoes]]では、169件の批評のうち72%が肯定的で、平均評価は10点満点中6.3点を記録している。同サイトのコンセンサスでは「『ストレンジ・ワールド』は表現においてディズニーの節目となる作品であるが、物語体験としては、観客がこれまでに見たことのない要素はほとんど提供されていない」と評されている<ref>{{Cite web |title=Strange World {{!}} Rotten Tomatoes |url=https://www.rottentomatoes.com/m/strange_world |website=www.rottentomatoes.com |access-date=2024-12-21 |language=en}}</ref>。[[Metacritic]]では、35人の批評家による[[加重平均]]スコアが100点中65点となり、「概ね好意的」な評価を示している<ref>{{Cite web |title=Strange World Reviews |url=https://www.metacritic.com/movie/strange-world/ |website=www.metacritic.com |access-date=2024-12-21 |language=en}}</ref>。[[CinemaScore]]による観客調査では、A+からFまでの評価で平均「B」を獲得し、{{仮リンク|PostTrak|en|PostTrak|label=}}では82%が肯定的評価を与え、5点満点で平均4点を記録した。本作はウォルト・ディズニー・アニメーション作品として初めて「A-」を下回り、1991年以降のディズニーアニメ作品で最低のCinemaScore評価とされている<ref>{{Cite web |title=‘Wakanda Forever’ Settles At $64M 5-Day, ‘Strange World’ Crashes $18M+, ‘Knives Out 2’ Wows With $13M+ – Thanksgiving Box Office Sunday Update |url=https://deadline.com/2022/11/box-office-wakanda-forever-strange-world-bones-and-all-timothee-chalamet-thanksgiving-1235180803/ |website=Deadline |date=2022-11-27 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Anthony |last=D'Alessandro}}</ref><ref>{{Cite web |title='Strange World' CinemaScore Might Be the Lowest Ever For a Walt Disney Animation Studio Film |url=https://www.thewrap.com/strange-world-cinemascore-disney-animation-film/ |website=TheWrap |date=2022-11-25 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Lucas |last=Manfredi}}</ref>。

『バラエティ』のピーター・デブルージュは、「この鮮やかな『地底旅行』スタイルの冒険映画は、環境と同様にキャラクターが魅力的で、多様性に富んでいる。しかし、人々や冒険の舞台がいかに素晴らしくても、比較的想像力に欠けたストーリーが、この美しいアニメをディズニーのクラシック作品の頂点ではなく二流作品の地位に追いやっている」と述べた<ref>{{Cite web |title=‘Strange World’ Review: Disney Expands Its Horizons, and It’s a Beautiful Thing to See |url=https://variety.com/2022/film/reviews/strange-world-review-disney-1235434396/ |website=Variety |date=2022-11-21 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Peter |last=Debruge}}</ref>。『[[ハリウッド・リポーター]]』のロヴィア・ギャーケは、本作のビジュアルを称賛し、「1930年代から40年代のパルプ雑誌に着想を得たアニメーターたちによって、細部まで緻密に、驚くほど見事に描かれている。風景には絵画的な感触があり、SF的な要素と相まって、ディズニーの『[[トレジャー・プラネット]]』を思い起こさせる」と記した<ref>{{Cite web |title=‘Strange World’ Review: Jake Gyllenhaal and Gabrielle Union Lead Voice Cast in Disney Charmer |url=https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-reviews/strange-world-jake-gyllenhaal-gabrielle-union-disney-1235265887/ |website=The Hollywood Reporter |date=2022-11-21 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Lovia |last=Gyarkye}}</ref>。『[[ロサンゼルス・タイムズ]]』のトレイシー・ブラウンもビジュアルを「鮮やかで奇妙、そして視覚的に驚異的」と評価し、「豊かな色彩や魅力的で危険な植物や動物によって、この不思議で謎めいた世界は映画のタイトルにふさわしい存在感を持っている」と評した<ref>{{Cite web |title=Review: 'Strange World' boasts a weird, vibrant world where fathers learn important lessons |url=https://www.latimes.com/entertainment-arts/movies/story/2022-11-21/strange-world-review-disney-animation |website=Los Angeles Times |date=2022-11-21 |access-date=2024-12-21 |language=en-US}}</ref>。

『[[シカゴ・サンタイムズ]]』の[[リチャード・ローパー]]は、「『[[アナと雪の女王]]』『[[ズートピア]]』『[[ミラベルと魔法だらけの家]]』と同じカテゴリには入らないが、家族向けの楽しい作品だ。テンポの良いアクション、独創的なビジュアル、優れた声の演技、そして家族の絆や自己を貫くことの大切さ、さらに環境保護へのメッセージが盛り込まれている」と述べた<ref>{{Cite web |title=‘Strange World’: Explorers discover a land of eye-popping color, exotic creatures in fast-paced Disney adventure |url=https://chicago.suntimes.com/movies-and-tv/2022/11/21/23469987/strange-world-review-disney-movie |website=Chicago Sun-Times |date=2022-11-21 |access-date=2024-12-21 |language=en}}</ref>。『[[USAトゥデイ]]』のブライアン・トゥルイットは、4点満点中3点を与え、「『ストレンジ・ワールド』は、近年の『アナと雪の女王』や『ミラベルと魔法だらけの家』のようなミュージカル作品とは異なり、鮮やかな世界構築に焦点を当てた楽しい作品だ」と評した<ref>{{Cite web |title='Strange World' review: Disney tackles father-son dynamics with a pulpy, adventurous twist |url=https://www.usatoday.com/story/entertainment/movies/2022/11/21/strange-world-movie-review-disney/10723681002/ |website=USA TODAY |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Brian |last=Truitt}}</ref>。『[[ボストン・グローブ]]』のオディ・ヘンダーソンは、本作の環境や父と息子のテーマを称賛し、「優れた声優陣の演技とヘンリー・ジャックマンによるスコアが説教臭さを和らげ、映画を楽しくしている。アバロニアの地下世界のビジュアルは華やかで、1970年代のニュージャージー郊外のカラフルな屋根を彷彿とさせる」と述べた<ref>{{Cite web |title=In ‘Strange World,’ saving the planet with some help from ‘Splat’ - The Boston Globe |url=https://www.bostonglobe.com/2022/11/22/arts/strange-world-saving-planet-with-some-help-splat/ |website=BostonGlobe.com |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Share on Facebook Share on TwitterView |last=Comments}}</ref>。

一方で、批判的な意見も多く見られた。『[[ワシントン・ポスト]]』のクリステン・ペイジ=カービーは、「物語が単純すぎる上にキャラクターの描写が薄く、視覚的な美しさだけでは印象に残らない。結局のところ、美しいだけでは十分ではない」と指摘した。『[[ペースト (雑誌)|ペースト]]』のジェイコブ・ストーラーは、「舞台設定や独創的なクリーチャーは魅力的だが、曖昧なテーマや薄いキャラクターのせいで、旧来のパルプ雑誌の要素が悪い方向に作用している」と述べた<ref>{{Cite news |title=Disney's Modern Take on a Retro Underground Adventure, Strange World Never Digs Deep Enough |url=https://www.pastemagazine.com/movies/strange-world-review/ |work=pastemagazine.com |date=2022-11-21 |access-date=2024-12-21 |language=en}}</ref>。『[[ガーディアン]]』のキャス・クラークは、「キャラクターはそれなりに良いが、脚本が繰り返し書き直されているようで要点がぼやけ、メッセージを伝える機会を失っている。その善意にもかかわらず、意外なほど退屈な作品に仕上がっている」と批評した<ref />。

=== 受賞歴 ===
{| class="wikitable sortable" style="text-align: center"
!<small>賞</small>
!<small>受賞日</small>
!<small>カテゴリー</small>
!<small>受賞者</small>
!<small>結果</small>
!<small>脚注</small>
|-
|-
| rowspan="2" |<small>[[アニー賞]]</small>
| サーチャー・クレイド
| rowspan="2" |<small>{{仮リンク|2023年2月25日|en|50th Annie Awards|label=}}</small>
| 主人公。アヴァロニアの農夫。<br />冒険家のイェーガーを父に持つが、イェーガーが事故で失踪して以来、冒険に対して消極的になっている。
| rowspan="2" |<small>{{仮リンク|長編作品絵コンテ賞|en|Annie Award for Outstanding Achievement for Storyboarding in a Feature Production|label=}}</small>
| [[ジェイク・ジレンホール]]
|<small>ジェフ・スノー</small>
| [[原田泰造]]<ref name="today221101">{{Cite news|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0133310|title=ディズニー新作『ストレンジ・ワールド』声優は原田泰造&鈴木福|newspaper=シネマトゥデイ|date=2022-11-01|accessdate=2022-11-01}}</ref>
|<small>ノミネート</small>
| rowspan="2" |<small><ref>{{Cite web |title=‘Guillermo Del Toro’s Pinocchio’ Wins Five Trophies Including the Top Prize at the 50th Annie Awards |url=https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/annie-awards-animation-2023-winners-1235334278/ |website=The Hollywood Reporter |date=2023-02-26 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Carolyn |last=Giardina}}</ref></small>
|-
|-
|<small>ハビエル・レデスマ・バルボラ</small>
| イェーガー・クレイド
|<small>ノミネート</small>
| もう一人の主人公。アヴァロニア中に名を広めた冒険家。サーチャーの父。<br />数十年前にアヴァロニア周辺の山脈を越えようとしたが、転落事故に遭い失踪する。<br />長らく生死不明だったが、地底世界で生き延びていた。
| [[デニス・クエイド]]
| [[大塚明夫]]<ref name="natalie221108">{{Cite news|url=https://natalie.mu/eiga/news/500462|title=大塚明夫、松岡依都美、沢海陽子らが「ストレンジ・ワールド」日本版に参加|newspaper=映画ナタリー|date=2022-11-08|accessdate=2022-11-08}}</ref>
|-
|-
|<small>{{仮リンク|ブラック・リール・アワード|en|Black Reel Awards|label=}}</small>
| イーサン・クレイド
|<small>{{仮リンク|2023年2月6日|en|Black Reel Awards of 2023|label=}}</small>
| サーチャーの息子にしてイェーガーの孫。サーチャーとは違って冒険に憧れている。<br />父の言いつけを無視して飛行艇に乗り込み、地底探検に参加する。
|<small>{{仮リンク|声優賞|en|Black Reel Award for Outstanding Voice Performance|label=}}</small>
| {{仮リンク|ジャブーキー・ヤング=ホワイト|en|Jaboukie Young-White}}
|<small>[[ガブリエル・ユニオン]]</small>
| [[鈴木福]]<ref name="today221101" />
|<small>ノミネート</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=Black Reel Awards Nominations Announced For 23rd Annual Ceremony; ‘The Woman King’ And ‘Black Panther: Wakanda Forever’ Lead With 14 Nominations |url=https://deadline.com/2022/12/black-reel-awards-nominations-announced-for-23rd-annual-ceremony-the-woman-king-1235200476/ |website=Deadline |date=2022-12-16 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Valerie |last=Complex}}</ref><ref>{{Cite web |title=‘The Woman King’ Wins Big At The 23rd Annual Black Reel Awards |url=https://deadline.com/2023/02/lsquothe-woman-kingrsquo-wins-big-at-the-23rd-annual-black-reel-award-1235251326/ |website=Deadline |date=2023-02-07 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Valerie |last=Complex}}</ref></small>
|-
|-
| ディアン・クレイド
|<small>[[GLAADメディア賞]]</small>
|<small>{{仮リンク|2023年3月30日|en|34th GLAAD Media Awards|label=}}</small>
| サーチャーの妻でイーサンの母。一流の操縦技術を持つ。<br />地底探検には不参加のはずだったが、予想外のトラブルにより飛行艇の操縦を任される。
|[[GLAADメディア賞映画賞 (拡大公開部門)|<small>映画賞 (拡大公開部門)</small>]]
| [[ガブリエル・ユニオン]]
|<small>『ストレンジ・ワールド』</small>
| [[松岡依都美]]<ref name="natalie221108" />
|<small>ノミネート</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=GLAAD Media Awards: The White Lotus, A League of Their Own Among Winners |url=https://tvline.com/lists/glaad-awards-2023-winners-list/tv-and-movie-categories/ |website=TVLine |date=2023-03-31 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Rebecca |last=Iannucci}}</ref></small>
|-
|-
|<small>{{仮リンク|国際映画音楽批評家協会賞|en|International Film Music Critics Association|label=}}</small>
| カリスト・マル
|<small>2023年2月23日</small>
| イェーガーの探検チームに所属していた人物。今回の地底探検においてチームの指揮を執る。
|<small>{{仮リンク|アニメーション映画オリジナル作曲賞|en|International Film Music Critics Association Award for Best Original Score for an Animated Film|label=}}</small>
| [[ルーシー・リュー]]
|<small>[[ヘンリー・ジャックマン]]</small>
| [[沢海陽子]]<ref name="natalie221108" />
|<small>ノミネート</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=Bear McCreary, Michael Giacchino and Daniel Pemberton lead 2022 International Film Music Critics Association (IFMCA) nominations |url=https://awardswatch.com/bear-mccreary-michael-giacchino-and-daniel-pemberton-lead-2022-international-film-music-critics-association-ifmca-nominations/ |website=AwardsWatch |date=2023-02-09 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Erik |last=Anderson}}</ref><ref>{{Cite web |title=IFMCA Award Winners 2022 |url=https://filmmusiccritics.org/2023/02/ifmca-award-winners-2022/ |website=IFMCA: International Film Music Critics Association |date=2023-02-23 |access-date=2024-12-21 |language=en-US}}</ref></small>
|-
|-
| rowspan="4" |<small>[[視覚効果協会賞]]</small>
| カスピアン
| rowspan="4" |<small>{{仮リンク|2023年2月15日|en|21st Visual Effects Society Awards|label=}}</small>
|
|<small>{{仮リンク|視覚効果協会賞(長編アニメーションの優秀視覚効果賞|en|Visual Effects Society Award for Outstanding Visual Effects in an Animated Feature|label=視覚効果賞}}</small>
| [[カラン・ソーニ]]
|<small>スティーブ・ゴールドバーグ、ローリー・アウ、マーク・ハメル、メヘルダド・イスヴァンディ</small>
| [[落合福嗣]]<ref name="natalie221108" />
|<small>ノミネート</small>
| rowspan="4" |<small><ref>{{Cite web |title=‘Avatar 2’ Sweeps Visual Effects Society Awards Feature Competition |url=https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/visual-effects-society-2023-awards-winners-list-avatar-2-1235323533/ |website=The Hollywood Reporter |date=2023-02-16 |access-date=2024-12-21 |language=en-US |first=Carolyn |last=Giardina}}</ref></small>
|-
|-
|<small>{{仮リンク|視覚効果協会賞(長編アニメーションの優秀キャラクター賞|en|Visual Effects Society Award for Outstanding Visual Effects in an Animated Feature|label=キャラクター賞}}</small>
| ダッフル
|<small>レティシア・ジレット、キャメロン・ブラック、ダン・リプソン、ルイス・ジョーンズ(『スプラット』より</small>
|
|<small>ノミネート</small>
| [[アラン・テュディック]]
| [[本多新也]]<ref name="natalie221108" />
|-
|-
|<small>{{仮リンク|視覚効果協会賞(長編アニメーションにおける優れた制作環境部門|en|Visual Effects Society Award for Outstanding Created Environment in an Animated Feature|label=制作環境賞}}</small>
| パルク大尉
|<small>キ・ジョンホン、ライアン・スミス、ジェシー・エリクソン、ベンジャミン・フィスク(『風のジャングル』より</small>
|
|<small>ノミネート</small>
| アデリナ・アンソニー
| [[鹿野真央]]<ref name="natalie221108" />
|-
|-
|<small>エフェクト・シミュレーション賞</small>
| ロニー・レッドシャツ
|<small>デボラ・カールソン、スコット・タウンゼント、スチュアート・グリース、ヤセル・ハメド</small>
|
|<small>ノミネート</small>
| [[アブラハム・ベンルービ]]
| [[樋山雄作]]
|-
| ディアゾ
|
| ジョナサン・メロ
| [[田中光 (声優)|田中光]]
|-
| カーデス
|
| [[ニック・ドダニ]]
| [[森永友基]]
|-
| アジマス
|
| フランチェスカ・レアーレ
| [[近藤玲奈]]
|-
| ロー
|
| エミリー・クロダ
| [[小宮和枝]]
|-
| ローリー
|
| リード・バック
| [[豊田茂]]
|-
| ナレーション
|
| アラン・テュディック
| [[茶風林]]<ref name="natalie221108" />
|}
|}

== 製作 ==
2021年12月9日、[[ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ]]はディズニー長編アニメーション第61作目となる作品のタイトルや公開日などを発表した<ref>{{Cite web|title=‘Strange World:’ Disney Animation’s Latest Announced for Thanksgiving 2022 (First Look Photo)|url=https://www.thewrap.com/strange-world-disney-animation-movie-image-release-window/|website=TheWrap|accessdate=2022-03-02|date=2021-12-09}}</ref>。

== 公開 ==
[[日本]]と[[アメリカ合衆国|アメリカ]]共に2022年11月23日に公開された<ref name=":1" /><ref name=":0" />。[[ウォルト・ディズニー・カンパニー]](ディズニー)傘下の[[定額制動画配信サービス]]である[[Disney+]]では同年12月23日に配信を開始した<ref>{{Cite web|和書|title=「ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界」ディズニープラスで配信 |url=https://natalie.mu/eiga/news/506387 |website=映画ナタリー |access-date=2022-12-24 |date=2022-12-23}}</ref>。またサーチャー・クレイドの吹き替えの声を担当する[[原田泰造]]は本作が声優初挑戦である。

なお、[[フランス]]では当初劇場での公開を予定していたが、劇場公開から17か月(1年5か月)の間はストリーミング配信することが法令によって禁止されている<ref>有料でのストリーミング配信は4か月後から可能である。</ref>。このため、ディズニーは同国内での劇場公開を断念し、Disney+での独占配信に変更することになった<ref>{{Cite web |title=Disney Balks At “Anti-Consumer” French Windows: Will Bypass Theatrical On ‘Strange World’ In Market, Evaluate Future Films On Rolling Basis |url=https://deadline.com/2022/06/disney-french-windows-strange-world-bypass-theatrical-disney-plus-1235040493/ |website=Deadline |date=2022-06-08 |access-date=2022-07-16 |first=Nancy |last=Tartaglione}}</ref>。


== 出典 ==
== 出典 ==
{{脚注ヘルプ}}{{Reflist|5}}
<references />


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* {{Official website|https://www.disney.co.jp/movie/strange-world}}{{ja icon}}
* [https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/strange-world/1OVzv6hnhOFm ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界 | Disney+]{{ja icon}}
* {{IMDb title|10298840|ストレンジ・ワールド}}


* {{Official website|https://www.disney.co.jp/movie/strange-world}}
* {{映画.com title|97519|ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界}}
* {{Allcinema title|383793|ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界}}
* {{Kinejun title|97164|ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界}}
* {{シネマトゥデイ|T0027700|ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界}}
* {{Movie Walker|mv78055|ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界}}
* {{Amg movie|281734|Strange World}}
* {{IMDb title|10298840|Strange World}}
* {{metacritic film|strange-world|Strange World}}
* {{rotten-tomatoes|strange_world|Strange World}}
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[[Category:ヘンリー・ジャックマンの作曲映画]]
[[Category:環境保護を題材とした映画作品]]

2024年12月21日 (土) 17:10時点における版

ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界
Strange World
監督 ドン・ホール
脚本 クイ・グエン英語版
製作 ロイ・コンリ
出演者 ジェイク・ギレンホール
デニス・クエイド
ジャブーキー・ヤング=ホワイト英語版
ガブリエル・ユニオン
ルーシー・リュー
音楽 ヘンリー・ジャックマン
撮影 トレイシー・スコット・ビーティ(レイアウト)
ブライアン・リーチ(照明)
編集 サラ・K・ライマース
製作会社 ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ
配給 アメリカ合衆国の旗 ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
日本の旗 ウォルト・ディズニー・ジャパン
公開 アメリカ合衆国の旗 2022年11月15日(エル・キャピタン劇場
アメリカ合衆国の旗日本の旗 2022年11月23日[1][2]
上映時間 102分[3]
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 1億3,500万ドル - 1億8,000万ドル[4][5]
興行収入 世界の旗 $73,621,640[6][7]
アメリカ合衆国の旗 $37,968,963[6][7]
日本の旗 1億3000万円[8]
前作 ミラベルと魔法だらけの家
次作 ウィッシュ
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ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』(ストレンジ・ワールド/もうひとつのせかい、原題: Strange World)は、2022年のアメリカ合衆国アニメーションSFアドベンチャー映画ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが制作し、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが配給した。監督はドン・ホール、共同監督および脚本はクイ・グエン英語版、プロデューサーはロイ・コンリが務めた。ジェイク・ジレンホールデニス・クエイドジャブーキー・ヤング=ホワイト英語版ガブリエル・ユニオンルーシー・リューが声の出演を担当し、伝説的な探検家一家であるクレイド一家(ジレンホール、クエイド、ヤング=ホワイト、ユニオン)が、エネルギー源である奇跡の植物「パンド」を救うために、対立を乗り越えて不思議な地底世界を冒険する物語である。この地底世界には独特な生命体が生息している。

ホールは、2016年の『モアナと伝説の海』の共同監督を終えた2017年に『ストレンジ・ワールド』の構想を練り始めた。本作は、パルプ・マガジン、『地底旅行』(1864年)、『ミクロの決死圏』(1966年)、『ジュラシック・パーク』(1993年)、『キング・コング』(1933年)から影響を受けている。作中では非言語的なコミュニケーションを表現するため、複数のアニメーターがキャラクター「スプラット」の動きを作り上げた。作品の大部分はCGアニメーションで構成されているが、一部のシーンではランディ・ヘイコックが手掛けた2Dアニメーションが使用されており、エリック・ゴールドバーグ英語版マーク・ヘンも追加の2Dアニメーションを担当した。音楽はヘンリー・ジャックマンが手掛けた。また、本作はウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの作品で初めてオープンリーLGBTQの主人公を登場させたことでも注目されており、一部の地域ではこの理由により劇場公開が中止された。

『ストレンジ・ワールド』は2022年11月15日にロサンゼルスエル・キャピタン劇場でプレミア上映され、同年11月23日にアメリカで劇場公開された。批評家からは概ね好意的な評価を受けたものの、興行収入は7,360万ドルに留まり、ディズニーにとって1億9,700万ドルの損失が見込まれる結果となった。このため、本作は史上最大級の興行的失敗作の一つとされている。

ストーリー

アバロニアは、果てしない山脈に囲まれた地である。冒険家のイェーガー・クレイドとその息子サーチャーは、新たな世界を探索するために荒野を冒険していた。山脈を越えようとしていた際、サーチャーはエネルギーを放つ緑色の植物を発見する。サーチャーと探検隊の仲間たちはその植物を持ち帰ることを決めるが、イェーガーは怒り、単独で探索を続ける。

それから25年後、サーチャーは奇跡の植物「パンド」をアバロニアのエネルギー源として導入し、その名を知られるようになった。彼は妻のメリディアンと共にパンド農場を営んでおり、息子のイーサンは友人のディアゾに恋を抱きながらも、父親の期待する農場経営の道に反発していた。ある夜、アバロニアの大統領であり、かつてのイェーガーの探検仲間でもあるカリスト・マルが飛行船「ベンチャー」で現れ、パンドがエネルギーを失いつつあることを知らせる。原因究明のため、サーチャーは巨大な陥没穴にあるパンドの根を調査する探検に参加することになる。

陥没穴へ向かう途中、メリディアンは農業用飛行機で後を追うが、イーサンと三本足の犬レジェンドがベンチャーに密航していた。飛行船は赤いドラゴンのような生物に襲撃され、地底世界に不時着する。サーチャーとレジェンドはグループから離れ、リーパーと呼ばれる生物に襲われるが、地下で長年暮らしていたイェーガーに救われる。イェーガーは地下世界を通じて山脈を越えようとしていたが、酸性の海によって阻まれていた。彼はベンチャーに乗り込み、その計画を続行しようとする。

一方、イーサンはサーチャーを探すためベンチャーを抜け出し、青い不定形の生物スプラットと名付けた仲間と出会う。その後、サーチャー、レジェンド、イェーガーと再会するが、再びリーパーに襲われる。カリストとメリディアンによって救出された一行はベンチャーに戻るが、サーチャーは任務を続行しようとし、イェーガーは地底世界の探索を続けたいと主張する。意見の対立によりイーサンは不満を募らせる。新たな出来事を経て、サーチャーとイェーガーは互いの生き方を尊重し始める。

その後、一行はパンドの根の塊を発見するが、地底世界の生物たちが攻撃していた。イーサンはサーチャーに地底世界をもっと探索したいと伝えるが、サーチャーはこれをイェーガーの影響とみなし反発する。イーサンは怒ってベンチャーを飛び出しリーパーに乗り込むが、サーチャーが追いかける中、山脈を越えた先の海に巨大なカメのような生物の目を発見する。一行はアバロニアがその生物の背中にあること、そして地底世界の生物がその生物の免疫系であることに気づく。

パンドが生物の心臓を蝕む感染源であると知ったサーチャーたちは、パンドを破壊する必要があると判断し探検隊に知らせるが、カリストに拘束される。一方、イェーガーは自身で真実を確かめるため船を出す。スプラットとレジェンドの助けで脱出したクレイド一家は、パンドを破壊するため行動を開始する。イェーガーの協力もあり、パンドは破壊され、生物の心臓は回復し、アバロニアも救われる。

1年後、イーサンはディアゾと交際し、友人たちと地底世界の資源を収集している。アバロニアはパンドに代わり風力エネルギーを使用するようになった。イェーガーは別れた妻ペネロペに再会するが、彼女は再婚していた。サーチャーとイェーガーの関係も改善され、カメのような生物が海に覆われた惑星に存在する様子が描かれて物語は終わる。

キャスト

追加キャストには、テリー・ダグラス、リザ・デル・ムンド英語版、ションダリア・ホワイト、メラニー・ミニキーノ、マイケル・ラルフ英語版シェーン・スウィート英語版、アーサー・オルティス、マット・ヤン・キング英語版らが含まれる。

映画には、セリフのないキャラクターも登場する。クレイド一家の三本足のバーニードゥードル犬であるレジェンド、地底世界に住む青い不定形の生物スプラット、その他のアバロニアの生物たちがその代表例である。また、ペネロペ・クレイドも登場する。彼女はイェーガーの元妻でサーチャーの母親であり、冒険家を引退した後、シェルドンという男性と再婚している。なお、エンドクレジットでは、レジェンドとスプラットが「本人役」としてクレジットされている。

制作

制作

『ストレンジ・ワールド』の製作は、ドン・ホールが『モアナと伝説の海』(2016年)の共同監督を終えた2017年に始まった。ホールの創作パートナーであるクリス・ウィリアムズも当初プロジェクトに参加していたが、2018年11月にディズニーを退社し、Netflixアニメーション映画『ジェイコブと海の怪物』(2022年)の監督を務めることになった。ホールは、世代を超えた家族の起源について「環境問題」をテーマに考案し、そのコンセプトは「インディ・ジョーンズナショナル・ランプーンのバケーション英語版の融合」と形容された。

2019年8月のD23Expoで『ラーヤと龍の王国』(2021年)が発表された直後、本作には大幅な変更が加えられた。クリエイティブチームのリーダーシップが交代し、一部のキャストも入れ替えられた[17]。ホールは共同監督および脚本を務めるクイ・グエン英語版と再びタッグを組むことになった。ストーリー会議の際、ディズニーのアーティストであるバーニー・マッティンソンがクレイド一家に犬のキャラクターを加えることを提案し、最終的にそのアイデアは映画に登場するレジェンドというキャラクターとなった[18]

なお、『ストレンジ・ワールド』の製作予算は約1億3,500万~1億8,000万ドルと見積もられている。

脚本

グエンによると、制作陣は観客が映画のラストを迎えたとき、「『シックス・センス』を観るように、物語を振り返ってすべての瞬間を辿りながら『最初からすべてを伝えていたのだが、最後のピースが揃ったことでようやくそれに気付いた』と思えるような構成を目指した」という[19]

キャスティング

2022年6月6日、ティーザートレーラーの公開に伴い、ジェイク・ジレンホールがサーチャー・クレイドの声を担当することが発表された[20]。その11日後、フランスで開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭で、本作の主要キャストが発表された。ジャブーキー・ヤング=ホワイト英語版がイーサン・クレイド、ガブリエル・ユニオンがメリディアン・クレイド、ルーシー・リューがカリスト・マル、デニス・クエイドがイェーガー・クレイドを演じることが明らかにされた[21]。特に、ヤング=ホワイトがゲイのキャラクターであるイーサンを演じることは、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの作品で初めてオープンリーLGBTQの主要キャラクターが登場する例となった[22]

アニメーション、デザイン、影響

ホールによると、『ストレンジ・ワールド』は20世紀前半に安価な木材パルプ紙に印刷された大衆向けフィクションであるパルプ・マガジンから大きな影響を受けている。また、『地底旅行』や『ミクロの決死圏』、『キング・コング』といったSF作品からも着想を得ている[23]。ホールは「幼い頃、パルプ・マガジンの古い号を読むのが大好きだった。それらは、探検家のグループが隠された世界や古代の生物を発見するような壮大な冒険だった。それが『ストレンジ・ワールド』にとって大きなインスピレーションになった」と語っている[24]

奇跡の植物「パンド」という名前は、アメリカ・ユタ州にある森林に由来している[25]。アバロニアの地は「暖かくノスタルジックな」色調で描かれ、一方で生物の内部に広がる地底世界では「アーストーン(自然色)を避け、赤やマゼンタを強調した色使い」が採用された。また、キャラクター「スプラット」には、言葉を使わずにコミュニケーションを取る手法が取り入れられた。このアプローチは、『アラジン』の魔法のじゅうたんに似たものとなっている[23]

制作チームは、映画の設定や登場する生物にリアリティを持たせるため、気候学者や古生物学者、生物学者、そして農家への取材を行った。さらに、ナショナルジオグラフィックを訪れてリサーチを重ね、その成果は映画の舞台や生物に反映されている[19]

音楽

ヘンリー・ジャックマンが本作の音楽を担当することが、2022年9月5日に発表された。これにより、ジャックマンは『くまのプーさん』や『ベイマックス』に続き、ドン・ホール監督との3度目のコラボレーションとなった。また、ジャックマンにとってウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオでの長編映画音楽の担当は5回目となり、『シュガー・ラッシュ』シリーズも含まれる[26]

ウォルト・ディズニー・レコードは、劇場公開日である2022年11月23日に、本作のスコア・アルバムをリリースした。アルバムには、ジェームズ・ヘイデンが歌う「They're The Clades!」や、そのリプライズ版も収録されている[27]

公開

劇場公開

『ストレンジ・ワールド』は、2022年11月15日にロサンゼルスハリウッドエル・キャピタン劇場でプレミア上映され[28]、同年11月23日にアメリカ合衆国で劇場公開された[29]。アメリカでのレイティングはMPAAがPG指定[30]、Common Sense Mediaが8歳以上を推奨している[31]

本作は多くの地域で劇場公開されたが、一部の地域では劇場公開が行われなかった。ディズニーが劇場公開後の配信期間(シアトリカルウィンドウ)に関する現地規制に反対したため、2022年6月8日にフランスでの劇場公開を中止し、他地域での公開後にDisney+で直接配信されることが発表された[32]。また、Deadline Hollywoodによると、中東、アフリカ、南アジア、ロシア、中国など20か国で劇場公開が見送られた。このうち、ロシアでの公開中止はウクライナ侵攻によるものであった[33]。その他の地域では、主人公イーサン・クレイドがゲイであることや、彼が少年ディアゾに恋をしているという物語の主要な要素が含まれるため、LGBTQ+に関する内容が検閲されるのを回避する目的で劇場公開が中止された[33]

本作は、2023年のウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年を記念した新しいディズニーロゴが初めて使用された作品でもある。このロゴはディズニー・スタジオ・コンテンツとインダストリアル・ライト&マジックによって制作され、2022年のD23Expoで初公開された。音楽はクリストフ・ベックが「星に願いを」の新しいアレンジを手掛け、ティム・デイヴィス英語版が指揮を担当した[34]

マーケティング

本作のプロジェクト発表後、2021年12月9日に最初のコンセプトアートが公開された[29]。『/Film英語版』のマックス・エヴリーは、この画像について「『アバター』、少なくともディズニーワールドアニマルキングダムにあるパンドラのエリアに非常に似ている」と述べた[35]

『ストレンジ・ワールド』のマーケティングキャンペーンは、2022年6月6日のティーザートレーラーの公開を皮切りに開始された。Polygonのペトラナ・ラドゥロヴィッチは、この映像を「レトロなSF映画へのオマージュ」と感じ、また『ラーヤと龍の王国』に似て「ディズニーの典型的なミュージカルファンタジーよりも、アクションに重点を置いているように見える」と述べた[36]。2022年のD23Expoでは新たなトレーラーが上映され、公式トレーラーは同年9月21日に公開された[37]。翌日にはキャストのリアクション動画が配信された。/Filmのレックス・ブリスクソは、この映画について「家族向けアニメーションの物語として、新鮮な風を感じさせる」と評価した[38]

さらに、2022年10月19日には「特別映像」トレーラーが公開された。/Filmのラファエル・モタマヨールは、「明るい曲調や笑いを重視したプロモーションは、本作をディズニーの定型的な映画のように見せているが、モンスターや大規模なアクションの目立つ使い方によって、スタジオからより独創的な映画が生まれることを期待させる」とコメントした[39]

また、2022年11月3日と11月8日には、それぞれキャラクター「スプラット」と「レジェンド」を紹介する特集映像「Welcome To Strange World」と「100 Years of Amazing Characters」が公開された。

ストリーミング配信とホームメディア

『ストレンジ・ワールド』は、2022年12月23日からDisney+で配信が開始された[40]

Flix Patrolによると、本作はDisney+での配信開始後、同サービスで最も視聴された映画となった[41][42]。また、Whip Media英語版TV Time英語版によれば、2022年12月25日終了週において本作はアメリカ国内の全プラットフォームで8番目に多く視聴された映画であり、翌週の12月30日終了週には6位にランクインした[43][44]。さらに、Fandangoが運営するデジタルサービス「Vudu英語版」では、2023年1月1日終了週において6番目に人気のある映画となった[45][46][47][48]

ウォルト・ディズニー・スタジオ・ホーム・エンターテイメントは、2023年2月14日に『ストレンジ・ワールド』をUltra HD Blu-rayBlu-rayDVDで発売した[49]

評価

興行収入

『ストレンジ・ワールド』の興行収入は、アメリカとカナダで3,800万ドル、その他の地域で3,560万ドルに達し、全世界合計では7,360万ドルとなった[50][51]。初週末の結果を受けて、『バラエティ』やDeadline Hollywoodは本作がスタジオに1億〜1億9,700万ドルの損失をもたらす可能性があると報じた[52][53][54]

アメリカとカナダでは、『ナイブズ・アウト: グラス・オニオン』や『デヴォーション英語版[55]、さらに『フェイブルマンズ』や『ボーンズ アンド オール』の拡大公開と同時期に公開された。当初、本作は公開初週末(5日間)で4,174館から3,000万〜4,000万ドルの興行収入が見込まれていた[56][57]。しかし、初日の興行収入は420万ドル(うち80万ドルは火曜夜のプレビュー上映分)に留まり、これにより予測が引き下げられ、初週末の収入は2,300万ドル程度と予測されるようになった[58]。実際には初週末の収入は1,190万ドル、5日間合計で1,860万ドルにとどまり、予測をさらに下回る結果となった。興行収入ランキングでは、ディズニーの別作品『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』に次ぐ2位だった[59][60]

複数のメディアは、本作を興行的な失敗作と評価した。『ハリウッド・リポーター』は、「ディズニーアニメ作品の感謝祭公開作品としては現代で最悪のスタート」とし、『バラエティ』は「ディズニーにとって壊滅的な結果」と表現した。本作の低調な興行成績は、否定的な口コミや、制作予算の大きさ、映画館の観客数の減少、Disney+での配信が予定されているという認識、新型コロナウイルスの影響、ゲイキャラクターの登場に対する保守的な反発、曖昧で目立たない物語の設定、他のディズニーアニメ作品に比べて弱いマーケティングといった複数の要因に起因しているとされる。また、一部のアナリストは、当時のディズニーCEOボブ・チャペックが『ソウルフル・ワールド』や『あの夏のルカ』、『私ときどきレッサーパンダ』をDisney+で直接配信する決定を下したことで、家族向け作品に関する消費者の混乱を招いたと指摘している。さらに、本作公開直前にボブ・アイガーがCEOに復帰し、以前カリーム・ダニエルが率いていた配給部門が解体されたことも影響したと考えられている[61]

『ストレンジ・ワールド』のアメリカとカナダでの劇場公開は、2023年2月2日に終了した[62]

ストリーミング

『ストレンジ・ワールド』は、2022年の最終週および2023年の最初の2週間にわたり、Disney+で世界中で最も視聴された映画となった。配信が行われているほぼすべての国でDisney+の視聴ランキングの首位を獲得した[63]

批評

レビュー収集サイトRotten Tomatoesでは、169件の批評のうち72%が肯定的で、平均評価は10点満点中6.3点を記録している。同サイトのコンセンサスでは「『ストレンジ・ワールド』は表現においてディズニーの節目となる作品であるが、物語体験としては、観客がこれまでに見たことのない要素はほとんど提供されていない」と評されている[64]Metacriticでは、35人の批評家による加重平均スコアが100点中65点となり、「概ね好意的」な評価を示している[65]CinemaScoreによる観客調査では、A+からFまでの評価で平均「B」を獲得し、PostTrak英語版では82%が肯定的評価を与え、5点満点で平均4点を記録した。本作はウォルト・ディズニー・アニメーション作品として初めて「A-」を下回り、1991年以降のディズニーアニメ作品で最低のCinemaScore評価とされている[66][67]

『バラエティ』のピーター・デブルージュは、「この鮮やかな『地底旅行』スタイルの冒険映画は、環境と同様にキャラクターが魅力的で、多様性に富んでいる。しかし、人々や冒険の舞台がいかに素晴らしくても、比較的想像力に欠けたストーリーが、この美しいアニメをディズニーのクラシック作品の頂点ではなく二流作品の地位に追いやっている」と述べた[68]。『ハリウッド・リポーター』のロヴィア・ギャーケは、本作のビジュアルを称賛し、「1930年代から40年代のパルプ雑誌に着想を得たアニメーターたちによって、細部まで緻密に、驚くほど見事に描かれている。風景には絵画的な感触があり、SF的な要素と相まって、ディズニーの『トレジャー・プラネット』を思い起こさせる」と記した[69]。『ロサンゼルス・タイムズ』のトレイシー・ブラウンもビジュアルを「鮮やかで奇妙、そして視覚的に驚異的」と評価し、「豊かな色彩や魅力的で危険な植物や動物によって、この不思議で謎めいた世界は映画のタイトルにふさわしい存在感を持っている」と評した[70]

シカゴ・サンタイムズ』のリチャード・ローパーは、「『アナと雪の女王』『ズートピア』『ミラベルと魔法だらけの家』と同じカテゴリには入らないが、家族向けの楽しい作品だ。テンポの良いアクション、独創的なビジュアル、優れた声の演技、そして家族の絆や自己を貫くことの大切さ、さらに環境保護へのメッセージが盛り込まれている」と述べた[71]。『USAトゥデイ』のブライアン・トゥルイットは、4点満点中3点を与え、「『ストレンジ・ワールド』は、近年の『アナと雪の女王』や『ミラベルと魔法だらけの家』のようなミュージカル作品とは異なり、鮮やかな世界構築に焦点を当てた楽しい作品だ」と評した[72]。『ボストン・グローブ』のオディ・ヘンダーソンは、本作の環境や父と息子のテーマを称賛し、「優れた声優陣の演技とヘンリー・ジャックマンによるスコアが説教臭さを和らげ、映画を楽しくしている。アバロニアの地下世界のビジュアルは華やかで、1970年代のニュージャージー郊外のカラフルな屋根を彷彿とさせる」と述べた[73]

一方で、批判的な意見も多く見られた。『ワシントン・ポスト』のクリステン・ペイジ=カービーは、「物語が単純すぎる上にキャラクターの描写が薄く、視覚的な美しさだけでは印象に残らない。結局のところ、美しいだけでは十分ではない」と指摘した。『ペースト』のジェイコブ・ストーラーは、「舞台設定や独創的なクリーチャーは魅力的だが、曖昧なテーマや薄いキャラクターのせいで、旧来のパルプ雑誌の要素が悪い方向に作用している」と述べた[74]。『ガーディアン』のキャス・クラークは、「キャラクターはそれなりに良いが、脚本が繰り返し書き直されているようで要点がぼやけ、メッセージを伝える機会を失っている。その善意にもかかわらず、意外なほど退屈な作品に仕上がっている」と批評した引用エラー: 冒頭の <ref> タグは正しくない形式であるか、不適切な名前です

受賞歴

受賞日 カテゴリー 受賞者 結果 脚注
アニー賞 2023年2月25日英語版 長編作品絵コンテ賞英語版 ジェフ・スノー ノミネート [75]
ハビエル・レデスマ・バルボラ ノミネート
ブラック・リール・アワード英語版 2023年2月6日英語版 声優賞英語版 ガブリエル・ユニオン ノミネート [76][77]
GLAADメディア賞 2023年3月30日英語版 映画賞 (拡大公開部門) 『ストレンジ・ワールド』 ノミネート [78]
国際映画音楽批評家協会賞英語版 2023年2月23日 アニメーション映画オリジナル作曲賞英語版 ヘンリー・ジャックマン ノミネート [79][80]
視覚効果協会賞 2023年2月15日英語版 視覚効果賞英語版 スティーブ・ゴールドバーグ、ローリー・アウ、マーク・ハメル、メヘルダド・イスヴァンディ ノミネート [81]
キャラクター賞英語版 レティシア・ジレット、キャメロン・ブラック、ダン・リプソン、ルイス・ジョーンズ(『スプラット』より ノミネート
制作環境賞英語版 キ・ジョンホン、ライアン・スミス、ジェシー・エリクソン、ベンジャミン・フィスク(『風のジャングル』より ノミネート
エフェクト・シミュレーション賞 デボラ・カールソン、スコット・タウンゼント、スチュアート・グリース、ヤセル・ハメド ノミネート

出典

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外部リンク