球状上顎嚢胞
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球状上顎嚢胞 | |
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概要 | |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | K091 |
DiseasesDB | 31673 |
球状上顎嚢胞(きゅうじょうじょうがくのほう)は上顎側切歯とその隣接歯である上顎犬歯の間にできる極めて稀な嚢胞[1]。1971年のWHO分類においては、非歯原性の発育嚢胞に分類されていたが[2]、この嚢胞の独立性を示す報告も少なく、1992年のWHO分類においては独立した名称として採用されず、「いわゆる球状上顎嚢胞」として報告されることも多い[3][4]。
鑑別・診断
[編集]X線上では、上顎側切歯、上顎犬歯の歯根の間に西洋梨状の透過像を認める[5]。病理組織では嚢胞壁が認められる[5]。
鼻口蓋嚢胞と歯が既に失われ、巨大な残留嚢胞となった場合など、鼻口蓋嚢胞との鑑別が困難な場合も存在する[2]。
起源
[編集]この発生学的起源は議論がなされている。
大部分は歯原性で、歯根嚢胞、歯原性角化嚢胞、側方性歯周嚢胞と同種のものと示されているとの説がある[1][6]。
球状上顎嚢胞との名前の名前の基となった球状突起と上顎突起の接合部に残存した上皮由来という説は[1]、発生学的には証明されておらず[3]、むしろ考えにくいとされる[7]。
疫学
[編集]1921年にKlestadt[8]によって最初に報告されたのが最初である[9][10]。
日本では1939年に高木圭二郎[11]により最初に報告されたのが最初であるが、その後の報告例は少ない[1][12][10][5][9][13][2][14][15][16][4][3]。
治療法
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c d 森田展雄 著「第8章 顎口腔の嚢胞 2.顎嚢胞 2.非歯原性嚢胞 3)球状上顎嚢胞」、白砂兼光、古郷幹彦 編『口腔外科学』(第3版)医歯薬出版、東京都文京区、2010年3月10日。ISBN 978-4-263-45635-4。 NCID BB01513588。
- ^ a b c 古川雅子、小川透、福士智之、佐藤寿、福井朗、木村博人、鈴木貢「顔裂性嚢胞の病態 (II) 特に球状上顎嚢胞と鼻口蓋嚢胞の臨床的鑑別診断について」『みちのく歯学会雑誌』第23巻第1-2号、みちのく歯学会、1992年12月、17-19頁、ISSN 0385-0099。
- ^ a b c 高坂久美子、小野芳男「両側性に発生した球状上顎嚢胞の1例」(PDF)『小児口腔外科』第16巻第2号、日本小児口腔外科学会、東京都北区、2006年12月、165-168頁、ISSN 0917-5261、NAID 10018826799、2011年10月8日閲覧。
- ^ a b 藤井茂仁、細川洋一郎、金子昌幸、松嶋宏篤、矢嶋 俊彦、大内知之、賀来亨、高橋陽夫「11.放射線学的にいわゆる球状上顎嚢胞と診断された1例(東日本歯学会第22回学術大会 一般講演抄録)」『東日本歯学雑誌』第23巻第1号、東日本歯学会、2004年6月、129頁、ISSN 0910-9722、NAID 110004689207。
- ^ a b c 山本悦秀、佐藤建夫、岸村真澄、清水正嗣、上野正「鼻腔領域に進展した球状上顎嚢胞の2例」(PDF)『口腔病学会雑誌』第43巻第4号、口腔病学会、1976年、549-554頁、doi:10.5357/koubyou.43.549、ISSN 0300-9149、NAID 40001201760、2011年10月9日閲覧。
- ^ Developmental defects of the oral and maxillofacial region. In Neville, B, et al. editors: Oral & Maxillofacial Pathology, 2nd Ed. Saunders 2002, page 27.
- ^ a b 下野正基、野間弘康、山根源之、田中陽一、井上孝 著「VI章嚢胞 顎骨に発生する嚢胞 非歯原性腫瘍 いわゆる顔裂性嚢胞 2.球状上顎嚢胞」、下野, 正基、野間, 弘康、山根, 源之 編『口腔外科、病理診断アトラス』石川達也、内田安信、稗田豊治、平沼謙二(第1版第2刷)、医歯薬出版、東京都文京区〈アドバンスシリーズ1〉、1994年8月30日、112-113頁。ISBN 4-263-45161-9。
- ^ Klestadt: EmbryologischeStudie znr Ginese der Gesichtspaltenzysten, zlschr. f. Ohrenheik 81:330, 1921.
- ^ a b 金田多恵子、福田仁一、迫田隅男、久志助義、岩井貞雄、山田長敬「球状上顎曩胞の1症例」(PDF)『日本口腔外科学会雑誌』第25巻第5号、日本口腔外科学会、1979年5月、1112-1117頁、ISSN 0021-5163、NAID 40003965693、2011年10月8日閲覧。
- ^ a b 谷口幸治、土井尚、柴田寛一、堀田一「球状上顎嚢胞の1例」(PDF)『日本口腔科学会雑誌』第20巻第4号、日本口腔科学会、1971年10月、856-859頁、ISSN 0029-0297、NAID 40018295578、2011年10月9日閲覧。
- ^ 高木圭二郎「顔面破裂嚢腫の一型球状上顎嚢腫と信ずべき稀有なる1例」『大日本歯科医学会会誌』第36巻第4号、大日本歯科医学会、1939年、377頁。
- ^ 高橋謙一、太田喜一郎「球状上顎嚢胞の1例」(PDF)『日本口腔科学会雑誌』第1巻第4号、日本口腔科学会、1952年、299-302頁、ISSN 0029-0297、2011年10月16日閲覧。
- ^ 笹倉裕一、笹倉真理、久米川一浩、新藤潤一、「球状上顎嚢胞の2例」(PDF)『日本口腔外科学会雑誌』第32巻第1号、日本口腔外科学会、1986年1月、81-86頁、ISSN 0021-5163、2011年10月16日閲覧。
- ^ 鈴木徹、鈴木浩之、北川善政、藤巻元、橋本賢二、谷口幸治「両側性に発症した球状上顎嚢胞の1例」(PDF)『日本口腔外科学会雑誌』第39巻第4号、日本口腔外科学会、1993年、496-498頁、ISSN 0021-5163、2011年10月16日閲覧。
- ^ 増崎雅一、村瀬博文、富永恭弘、平博彦、麻生智義、柴田敏之、有末眞、武藤壽孝、金澤正昭、中出修、賀来亨、石井英司「9歳女児に発生した球状上顎嚢胞の一例および文献的考察」(PDF)『小児口腔外科』第2巻第1号、日本小児口腔外科学会、東京都北区、1992年5月、74-80頁、ISSN 0917-5261、2011年10月16日閲覧。
- ^ 菊池康隆、富谷義徳、矢部武、内田豊「32巨大ないわゆる球状上顎嚢胞の一症例」(PDF)『口腔・咽頭科』第6巻第1号、日本口腔・咽頭科学会、1993年、58頁、ISSN 0917-5105、2011年10月16日閲覧。