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甘木鉄道甘木線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
甘木線から転送)
甘木線
大原信号場で行き違う甘木線の列車
大原信号場で行き違う甘木線の列車
概要
起終点 起点:基山駅
終点:甘木駅
駅数 11駅
運営
開業 1939年4月28日 (1939-04-28)
三セク転換 1986年4月1日[1]
所有者 鉄道省運輸通信省
運輸省日本国有鉄道
甘木鉄道
使用車両 甘木鉄道#車両を参照
路線諸元
路線総延長 13.7 km (8.5 mi)
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in)
電化 全線非電化[1]
運行速度 65 km/h[2]
路線図
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線
BHF
0.0 基山駅
STRq ABZgr
JR九鹿児島本線
SKRZ-Au
九州自動車道
BHF
1.3 立野駅
STR
※実際は九州自動車道の真下
STR+GRZq
佐賀県/福岡県
DST
2.5 大原信号場
SKRZ-Au
大分自動車道
eBHF
筑後小郡駅 -1986
BHF
3.8 小郡駅 1986-
BHFq KRZo
西鉄小郡駅
STR
西鉄T 天神大牟田線
BHF
4.5 大板井駅
hKRZWae
宝満川橋梁 宝満川
BHF
6.4 松崎駅
SKRZ-Au
大分自動車道
BHF
7.7 今隈駅
BHF
8.4 西太刀洗駅
BHF
9.6 山隈駅
BHF
10.4 太刀洗駅
exSTRq eABZgr
キリンビール福岡工場専用線
BHF
11.8 高田駅
STR+r STR
西鉄:A 甘木線
hKRZWae hKRZWae
小石原川
13.7 甘木駅

甘木線(あまぎせん)は、佐賀県三養基郡基山町基山駅から福岡県朝倉市甘木駅に至る甘木鉄道鉄道路線である。旧日本国有鉄道(国鉄)の特定地方交通線を承継した路線である[1]

路線データ

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運行形態

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途中駅での始発・終着はなく、すべての列車が基山駅 - 甘木駅間を運行する。朝ラッシュ時の2両編成の列車をのぞきワンマン運転である。平日の朝・夕時間帯は約15分間隔、土曜・休日と平日の昼間時間帯は約30分間隔で運転されている。日祝日は早朝深夜の一部の列車が運休する。

2022年9月23日改正時点の運行本数は平日42往復、土曜・休日34往復で、甘木駅の始発は5時27分(土曜・休日は56分)、基山駅の最終は23時36分(土曜・休日は23時05分)である。

2両編成の列車であっても、貫通扉は使用せずに乗務員は1両目と2両目の前部に乗務し、2両目の乗務員も運賃・乗車券の確認を行う。そのため、ワンマン列車を2両繋げた形態となっている。かつては、3両編成の列車も運行されていたが、車両の大型化が進んだことと大原信号場新設、太刀洗駅交換設備復活による列車増発により廃止された。

国鉄時代は鹿児島本線に乗り入れ博多駅に直通する列車も設定されていた。運行は朝夕のみで甘木駅での車両滞泊はなく、21時台で最終になっていた。竹下気動車区の車両が使用され、最末期はキハ40形を中心に、キハ20形も併用されていた。

連絡運輸の取り扱いは、九州旅客鉄道(JR九州)との定期乗車券のみである。かつては甘木駅に基山駅からのJR乗車券を発売する券売機と、西鉄小郡駅からの西日本鉄道(西鉄)の乗車券を発売する券売機を設置していた。甘木鉄道には西鉄の企画切符「あまぎぐるりんフリーきっぷ」でも乗車できる。

利用状況

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輸送実績

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甘木線の輸送実績を下表に記す。[3][4] 表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。

年度別輸送実績
年 度 輸送実績(乗車人員):万人/年度 輸送密度
人/1日
特 記 事 項
通 勤
定 期
通 学
定 期
定期外 合 計
1986年(昭和61年) 12.6 27.9 35.8 76.3 1,238 国鉄より転換 小郡駅移転
1987年(昭和62年) 21.7 40.3 36.3 98.3 1,502 立野駅・大板井駅・山隈駅新設
1988年(昭和63年) 23.6 43.2 37.0 103.8 1,592  
1989年(平成元年) 26.9 51.7 43.9 122.5 1,917  
1990年(平成2年) 28.0 53.2 45.7 126.9 1,993  
1991年(平成3年) 30.8 56.9 47.9 135.6 2,107  
1992年(平成4年) 33.6 60.0 50.9 144.5 2,222  
1993年(平成5年) 32.4 59.3 52.2 143.9 2,219  
1994年(平成6年) 33.6 59.6 53.6 146.8 2,293  
1995年(平成7年) 32.6 56.8 54.4 143.8 2,204  
1996年(平成8年) 31.7 53.8 53.5 139.0 2,143  
1997年(平成9年) 31.3 54.1 53.3 138.7 2,074  
1998年(平成10年) 29.6 51.1 52.3 133.0 1,950  
1999年(平成11年) 29.1 48.5 51.9 129.5 1,947  
2000年(平成12年) 27.3 42.4 52.0 121.7 1,796  
2001年(平成13年) 28.8 43.9 55.5 128.2 1,909  
2002年(平成14年) 29.0 43.9 54.5 127.4 1,840 今隈駅新設
2003年(平成15年) 27.9 40.9 55.6 124.4 1,742 大原信号場新設
2004年(平成16年) 27.8 37.9 54.1 119.8 1,611  
2005年(平成17年) 30.3 37.9 54.2 122.4 1,600  
2006年(平成18年)     45.7 109.9    
2007年(平成19年) 41.0 41.1 51.3 133.4    
2008年(平成20年) 41.9 41.4 51.5 134.8    
2009年(平成21年) 37.7 42.1 51.9 131.7 1,740  
2010年(平成22年) 39.0 43.7 51.3 134.0    
2011年(平成23年) 39.5 40.0 50.5 130.0    
2012年(平成24年) 40.9 41.6 50.5 133.0 1,685  
2013年(平成25年) 48.5 39.8 49.7 138.0 1,822  
2014年(平成26年) 48.2 37.8 50.4 136.4 1,843  
2015年(平成27年) 46.7 39.5 52.8 139.0 1,898  
2016年(平成28年) 46.6 38.2 51.7 136.5 1,895  
2017年(平成29年) 46.8 37.6 54.0 138.4 1,944  
2018年(平成30年) 49.9 36.3 55.3 141.5 1,994  
2019年(令和元年) 51.7 37.9 54.1 143.7 2,026  
2020年(令和2年) 42.6 26.5 36.9 106.0 1,489  
2021年(令和3年) 44.4 31.9 40.8 117.0 1608  

収入実績

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甘木線の収入実績を下表に記す。 表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。

年度別収入実績
年  度 旅客運賃収入:千円/年度 運輸雑収
千円/年度
総合計
千円/年度
通勤定期 通学定期 定 期 外 手小荷物 合  計
1986年(昭和61年) 52,217 ←←←← 91,773 0 143,990 3,542 147,532
1987年(昭和62年) 31,361 32,766 91,942 0 156,069 5,647 161,716
1988年(昭和63年)              
1989年(平成元年)              
1990年(平成2年)              
1991年(平成3年)              
1992年(平成4年)              
1993年(平成5年)              
1994年(平成6年)              
1995年(平成7年) 50,868 52,617 126,416 0 229,901 4,866 234,767
1996年(平成8年)              
1997年(平成9年)              
1998年(平成10年)              
1999年(平成11年)              
2000年(平成12年)              
2001年(平成13年)              
2002年(平成14年)              
2003年(平成15年)              
2004年(平成16年) 48,164 39,712 134,029 0 221,905 6,018 227,923
2005年(平成17年) 53,230 39,146 132,467 0 224,843 6,518 231,361
2006年(平成18年)              
2007年(平成19年)              
2008年(平成20年)              
2009年(平成21年) 46,040 35,316 124,394 0 205,750 6,246 211,996

歴史

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甘木・朝倉地区では大正期に鉄道新設の機運が高まり、鹿児島本線鳥栖駅 - 上山田線臼井駅間を結ぶ鳥臼線期成会や、久大本線の朝倉地区誘致期成会、また当時建設が予定されていた筑紫電気軌道(後の西鉄天神大牟田線)横隈駅(現在の三沢駅付近と思われる)と甘木を結ぶ路線等の構想が持ち上がったが、いずれも実現しなかった。

1919年(大正8年)に開設された陸軍太刀洗飛行場への輸送は、軽便鉄道である中央軌道(依井(新町) - 上田代間。後に朝倉軌道田代線)や朝倉軌道が行なっていたが、輸送力に限界もあることなどから「大刀洗飛行隊第4連隊鉄道引込線」が計画された。これが甘木線の始まりである。1935年(昭和10年)12月に建設が正式決定され、1939年(昭和14年)4月28日に開業した。

1966年(昭和41年)に太刀洗飛行場跡に開設されたキリンビール福岡工場の貨物輸送を行っていたが、トラック輸送への移行により1984年(昭和59年)に貨物営業を廃止した。

年表

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  • 1935年(昭和10年)12月 国有鉄道甘木線の建設が正式決定。
  • 1937年(昭和12年)5月 着工。
  • 1939年(昭和14年)4月28日 【開業】甘木線 基山 - 甘木間 【駅新設】筑後小郡、筑後松崎、西太刀洗、太刀洗、甘木
  • 1960年(昭和35年)11月1日 【駅新設】筑前高田
  • 1981年(昭和56年)9月18日 第1次特定地方交通線として廃止承認。
  • 1984年(昭和59年)
    • 2月1日 【貨物営業廃止】太刀洗 - 甘木間
    • 9月19日 【貨物営業廃止】基山 - 太刀洗間[5]
  • 1986年(昭和61年)4月1日 【転換】甘木鉄道[1] 【駅名改称】筑後小郡→小郡(400m東へ移転)[1]、筑後松崎→松崎[1]、筑前高田→高田[1]
  • 1987年(昭和62年)11月1日 【駅新設】立野、大板井、山隈
  • 2002年(平成14年)12月1日 【駅新設】今隈
  • 2003年(平成15年)4月1日 【信号場新設】大原
  • 2006年(平成18年)7月4日 大雨により宝満川橋梁の一部が傾斜したため大板井 - 松崎間が不通となる。同年12月20日から運行再開。不通の間はこの区間をバス代行輸送していた。また、全所属車両8両中3両が基山 - 大板井間に取り残されていた。

駅一覧

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  • *印は甘木鉄道転換以降の新設駅。( )内は転換直前の駅名。
  • 線路(全線単線) … ◇:列車交換可能、|:列車交換不可
駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線 線路 所在地
基山駅 - 0.0 九州旅客鉄道JB 鹿児島本線(JB12) 佐賀県
三養基郡
基山町
立野駅* 1.3 1.3  
大原信号場* - 2.5   福岡県 小郡市
小郡駅
(筑後小郡駅)
2.5 3.8 西日本鉄道T 天神大牟田線西鉄小郡駅:T22)
大板井駅* 0.7 4.5  
松崎駅
(筑後松崎駅)
1.9 6.4  
今隈駅* 1.3 7.7  
西太刀洗駅 0.7 8.4   三井郡
大刀洗町
山隈駅* 1.2 9.6   朝倉郡
筑前町
太刀洗駅 0.8 10.4  
高田駅
(筑前高田駅)
1.4 11.8  
甘木駅 1.9 13.7 西日本鉄道:A 甘木線(A01) 朝倉市

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h 鉄道ジャーナル』第21巻第10号、鉄道ジャーナル社、1987年8月、98-101頁。 
  2. ^ a b c 線路施設・運転の概要(平成31年3月末現在) - 国土交通省九州運輸局
  3. ^ 九州運輸要覧”. 九州運輸局. 2023年5月15日閲覧。
  4. ^ 輸送人員の推移・収入の実績” (PDF). 甘木鉄道株式会社. 2023年5月15日閲覧。
  5. ^ “国鉄甘木線基山-太刀洗間の貨物廃止も”. 交通新聞 (交通協力会): p. 1. (1984年9月12日) 

参考文献

[編集]

関連項目

[編集]