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瀬棚線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
瀬棚線
基本情報
日本の旗 日本
所在地 北海道
起点 国縫駅
終点 瀬棚駅
駅数 11駅
開業 1929年12月13日(初開業)[1]
1932年11月1日(全通)
廃止 1987年3月16日[1]
所有者 日本国有鉄道(国鉄)
運営者 日本国有鉄道(国鉄)
路線諸元
路線距離 48.4 km[1]
軌間 1,067 mm[1]
線路数 単線
電化方式 非電化[1]
最大勾配 25
最小曲線半径 300 m
テンプレートを表示

瀬棚線(せたなせん)は、日本国有鉄道(国鉄)が運営していた鉄道路線地方交通線)。北海道渡島支庁(現在の渡島総合振興局)管内の山越郡長万部町国縫駅で函館本線から分岐し、渡島半島を横断して檜山支庁(現在の檜山振興局)管内の瀬棚郡瀬棚町(現在の久遠郡せたな町)の瀬棚駅に至る路線であった。国鉄再建法の施行により第2次廃止対象路線に指定され、1987年昭和62年)3月16日廃止された[1][2][新聞 1]

路線データ

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  • 管轄:日本国有鉄道(国鉄)
  • 区間(営業キロ):国縫駅 - 瀬棚駅間 48.4 km[1][2][新聞 2]
  • 軌間:1,067 mm狭軌[1]
  • 駅数:11(起点駅含む)
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:なし(全線非電化[1]
  • 閉塞方式:タブレット閉塞式
    交換可能駅:3(花石・今金・丹羽)[注釈 1]
  • 有人駅:瀬棚・北檜山・丹羽・今金・種川・花石
  • 輸送密度 : 814人 (1981年度) [3]
1966年の檜山支庁地図。
1966年の檜山支庁地図。

歴史

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停車場・施設・接続路線(廃止当時)
HST
長万部駅
STR
函館本線小樽方面)
BHF
0.0 国縫駅
exKRW+l eKRWgr
函館本線(函館方面)
WASSER+l exhKRZWae hKRZWae
第一国縫川橋梁 国縫川
WASSERl exWBRÜCKE1 WASSER+r
第二国縫川橋梁 国縫川
exWBRÜCKE1 WABZgr
千島川
exBHF WASSER
5.6 茶屋川駅 1929-1987
exWBRÜCKE1 WABZgr
萱の川
WASSERq exWBRÜCKE1 WABZgr
第三国縫川橋梁 茶屋川
exTUNNEL1
山瀬トンネル 786m
WASSER exBHF
12.2 美利河駅 1929-1987
WASSERl exWBRÜCKE1 WASSER+r
第一利別川橋梁 後志利別川
WASSER+l exWBRÜCKE1 WASSERr
第二利別川橋梁 後志利別川
WASSER exBHF
16.6 花石駅 1929-1987
WASSERl exWBRÜCKE1 WASSERq WASSER+r
第三利別川橋梁 後志利別川
exTUNNEL1 WASSER
小金トンネル 579m
WASSERl exWBRÜCKE1 WASSER+r WASSER
第一ハカイマップ川橋梁 上ハカイマップ川
WASSER+l exWBRÜCKE1 WASSERr WASSER
第二ハカイマップ川橋梁 上ハカイマップ川
WASSERl exWBRÜCKE1 WASSER+r WASSER
第三ハカイマップ川橋梁 上ハカイマップ川
exBHF WASSERl WABZg+r
22.7 北住吉駅 1956-1987
exWBRÜCKE1 WASSERq WABZg+r
ビトシナイ川橋梁 ブイタウシナイ川
exhKRZWae WASSERq WABZg+r
下ハカイマップ川橋梁 下ハカイマップ川
exBHF WASSER
25.8 種川駅 1930-1987
exhKRZWae WASSERq WABZg+r
メップ川
exBHF WASSER
30.6 今金駅 1930-1987
exhKRZWae WASSERq WABZg+r
トマンケシ川橋梁 トマンケシナイ川
WASSERl exWBRÜCKE1 WASSER+r WASSER
第一チョツボシナイ川橋 チヨボシナイ川
WASSER+l exWBRÜCKE1 WASSERr WASSER
第二チョツボシナイ川橋 チヨボシナイ川
WASSER exBHF WASSER
33.9 神丘駅 1961-1987
WASSERl exWBRÜCKE1 WASSERq WABZg+r
第三チョツボシナイ川橋 チヨボシナイ川
exhKRZWae WASSERq WABZg+r
目名川橋梁 利別目名川
exWBRÜCKE1 WASSERq WABZg+r
目名古川橋梁
exWBRÜCKE1 WASSERq WABZg+r
不逢川
exBHF WASSER
37.4 丹羽駅 1932-1987
exWBRÜCKE1 WASSERq WABZg+r
冷水川橋梁 冷水川
exBHF WASSER
43.0 北檜山駅 1932-1987
exWBRÜCKE1 WASSERq WABZg+r
真駒内川
exSTR WASSERl
後志利別川
exWBRÜCKE1 WASSERq WASSERq
最内川
exKBHFe
48.4 瀬棚駅 1932-1987

当線開通以前には、国縫駅瀬棚町の間に毎日乗合馬車が運行されていた。1918年(大正7年)には毎日1本、午前8時に国縫と瀬棚から出発し、珍古辺と今金で中継した。到着は瀬棚に午後8時、国縫に午後7時で、料金180銭。冬には馬橇を使った[4]

瀬棚線は軽便鉄道法にもとづいて計画された路線で、1922年(大正11年)の改正鉄道敷設法に記載はない。改正鉄道敷設法には、函館本線八雲駅から分岐して今金に至る鉄道(別表第130号)が規定されていたが、こちらは全く着手されなかった。

1929年(昭和4年)12月13日から1932年(昭和7年)11月1日にかけて全通した。

瀬棚港からの物資輸送に多用されていたが、モータリゼーションの進展やコンテナ輸送への転換によって利便性および機動性に優れたトラック輸送に移行するようになり、1980年(昭和55年)12月27日国鉄再建法が成立すると、第2次特定地方交通線に指定され、国鉄分割民営化直前の1987年(昭和62年)3月16日に全線廃止となった。

年表

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運行形態

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線内は普通列車のみで、原則的に長万部駅から発着していた。全線を通して運転する列車のほか、終点側の今金駅 - 瀬棚駅間に区間列車が設定されていた。

1966年(昭和41年)10月1日からは、函館駅 - 瀬棚駅間を直通する急行「せたな」が1日1往復運転されていた[5][10]が、1984年(昭和59年)2月1日快速列車となった(詳細は後身の快速「アイリス」の項を参照)。なお、快速格下げ前時点で「せたな」は瀬棚線内では普通列車として運転していた[10]。長万部駅所属の車掌(旧長万部車掌区・旧函館車掌区長万部支区)が乗務していた。

1986年11月1日改正時点(廃止前年)のダイヤ[11]
  • 長万部駅 - 今金駅間:下り7本・上り6本
  • 今金駅 - 瀬棚駅間:下り8本・上り9本

駅一覧

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所在地・接続路線の事業者名は廃止時点のもの。全駅北海道に所在。

駅名[1] 駅間キロ 営業キロ[1] 接続路線 所在地
国縫駅 - 0.0 日本国有鉄道:函館本線 渡島支庁[注釈 2]
山越郡長万部町
茶屋川駅 5.6 5.6  
美利河駅 6.6 12.2   檜山支庁[注釈 2]
瀬棚郡
今金町
花石駅 4.4 16.6  
北住吉駅 6.1 22.7  
種川駅 3.1 25.8  
今金駅 4.8 30.6  
神丘駅 3.3 33.9  
丹羽駅 3.5 37.4   北檜山町[注釈 3]
北檜山駅 5.6 43.0  
瀬棚駅 5.4 48.4   瀬棚町[注釈 3]

廃止後の状況

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  • 今金駅跡地には、「オランダ通り」という公園が建設された。また付近にJR北海道直営の今金トラベルセンターが設置されたが、2000年頃に廃止された。
  • 北檜山駅は、旧駅舎をそのまま生かして函館バス北檜山ターミナルとなった。
  • 花石駅 - 北住吉駅間の線路跡には、国道230号のバイパスが建設された。
  • 廃止後の鉄道代替バスは、函館バスが瀬棚線として、国・北海道・沿線3町(今金町・長万部町・せたな町)の補助金を受け、上三本杉 - 長万部バスターミナル間を運行している。通学路線としての色合いを強めており、土日祭日・学休日運休の区間便が設定されている。2011年4月現在、全線通しでは7往復が設定され、これとは別に鉄道時代から一部のルートを変更した快速「瀬棚号」1往復(北海道道263号八雲今金線経由)が函館バスセンターまで乗り入れている。この他、通学客向けの区間便として、今金(または今金小学校前) - 桧山北高校前、桧山北高校前 - 北桧山ターミナル発着が設定されている[12][13]
  • 長万部町民センター内の鉄道村(長万部駅より徒歩10分程度)に、当線の史料が展示されている。

脚注

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注釈

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  1. ^ 1975時点では北檜山駅にも交換設備が設置されていたが、廃止時点では撤去されていた。
  2. ^ a b 渡島支庁・檜山支庁は2010年平成22年)4月1日の改組に伴い、それぞれ渡島総合振興局檜山振興局となった。
  3. ^ a b 北檜山町・瀬棚町は、2005年(平成17年)9月1日に久遠郡大成町合併し、久遠郡せたな町となった。

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 『日本鉄道旅行地図帳―全線・全駅・全廃線―』1号・北海道 27頁
  2. ^ a b c d e f g 『鉄道廃線跡を歩く IV』 205頁
  3. ^ 国鉄・営業係数データ”. OMOTESANDO HARAJUKU INFOMATION. 2022年7月4日閲覧。
  4. ^ 北海道鉄道管理局『北海道鉄道沿線案内』、1918年、38-39頁。荒山正彦監修・解説『シリーズ明治・大正の旅行 第I期 旅行案内書集成』第13巻(北海道旅行案内/樺太の鉄道旅行案内)、ゆまに書房、2014年、60-61頁。
  5. ^ a b c d e f g h i j k 『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線 176-177頁
  6. ^ a b c d e 『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線 316-317頁
  7. ^ 『カラー世界の鉄道 1975年版』 179頁
  8. ^ 『鉄道総合年表1972-93』 84・98頁
  9. ^ さよならに万感の思い 瀬棚線 3月15日でお別れ 『広報いまかね』 339号(昭和62年4月号)” (PDF). 今金町. 2015年8月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月16日閲覧。
  10. ^ a b 『日本鉄道旅行歴史地図帳―全線全駅全優等列車―』1号・北海道 38頁
  11. ^ 『交通公社の時刻表』1986年12月号 509頁
  12. ^ 路線バス時刻表(平成21年4月1日改正)”. 今金町 (2009年4月1日). 2009年8月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年8月8日閲覧。
  13. ^ 函館バス時刻表(平成26年3月15日改正)”. せたな町 (2014年3月15日). 2015年5月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月13日閲覧。

新聞記事

[編集]
  1. ^ a b “「これが最後-」”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1987年3月16日)
  2. ^ “瀬棚線 バス転換 正式決定”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1986年2月4日)
  3. ^ “鉄道省告示第253号・第254号”. 官報国立国会図書館デジタルコレクション) (内閣印刷局). (1929年12月5日). オリジナルの2015年6月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150620232751/https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2957348/4 2015年6月20日閲覧。 
  4. ^ “鉄道省告示第277号・第278号”. 官報(国立国会図書館デジタルコレクション) (内閣印刷局). (1930年10月22日). オリジナルの2015年6月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150620230346/https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2957612/3 2015年6月20日閲覧。 
  5. ^ “鉄道省告示第422号・第423号”. 官報(国立国会図書館デジタルコレクション) (内閣印刷局). (1932年10月26日). オリジナルの2015年8月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150816060510/https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2958219/3 2015年8月16日閲覧。 
  6. ^ “「通報」●瀬棚線美利河駅の駅員無配置について(旅客局)”. 鉄道公報 (日本国有鉄道総裁室文書課): p. 2. (1979年3月8日) 

参考文献

[編集]

書籍

[編集]
  • 西尾源太郎(編集)『カラー世界の鉄道 1975年版』 63巻、山と溪谷社〈山渓カラーガイド〉、1975年、179頁。ISBN 978-4-635-02663-5ISBN 4-635-02663-9 
  • 池田光雅(編著)『鉄道総合年表 1972‐93』中央書院、1993年8月、84,98頁。ISBN 978-4-924420-82-3ISBN 4-924420-82-4 
  • 宮脇俊三(編著)『鉄道廃線跡を歩く IV 実地踏査失われた鉄道60 国鉄廃線区間の変遷史』JTBJTBキャンブックス〉、1997年12月、205頁。ISBN 978-4-533-02857-1ISBN 4-533-02857-8 
  • 石野哲(編集長)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTBパブリッシング、1998年9月19日。ISBN 978-4-533-02980-6ISBN 4-533-02980-9 
  • 田中和夫(監修)『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線、北海道新聞社(編集)、2002年7月15日、172-177,311-319頁。ISBN 978-4-89453-220-5ISBN 4-89453-220-4 
  • 今尾恵介(監修)日本鉄道旅行地図帳―全線・全駅・全廃線―』 1号・北海道、新潮社〈新潮「旅」ムック〉、2008年5月17日、27頁。ISBN 978-4-10-790019-7ISBN 4-10-790019-3 
  • 今尾恵介、原武史(監修) 著、日本鉄道旅行地図帳編集部 編『日本鉄道旅行歴史地図帳―全線全駅全優等列車―』 1号・北海道、新潮社〈新潮「旅」ムック〉、2010年5月18日、38頁。ISBN 978-4-10-790035-7ISBN 4-10-790035-5 
  • 北海道鉄道管理局『北海道鉄道沿線案内』、1918年。荒山正彦監修・解説『シリーズ明治・大正の旅行 第I期 旅行案内書集成』第13巻(北海道旅行案内/樺太の鉄道旅行案内)、ゆまに書房、2014年に収録

雑誌

[編集]
  • 『交通公社の時刻表』1986年12月号、日本交通公社、1986年12月、509頁。 

外部リンク

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