コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

笠間の陶炎祭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
笠間の陶炎まつり
イベントの種類 地域イベント
通称・略称 ひまつり
開催時期 毎年4月29日5月5日ゴールデンウィーク期間)
初回開催 1982年5月1日3日芸術の村
会場 笠間芸術の森公園イベント広場
主催 笠間焼協同組合
後援 茨城県
笠間市
笠間市教育委員会
笠間観光協会
協賛 笠間焼応援団として以下の企業

キリンビール 茨城支社

内木ガラス商会

運営 笠間の陶炎祭運営チーム
来場者数 85,000人(2023年)[1]
笠間芸術の森公園への交通アクセス
最寄駅 JR笠間駅友部駅
直通バス 茨城交通、かさま観光周遊バス
駐車場 あり
公式サイト
テンプレートを表示

笠間の陶炎祭(かさまのひまつり)は、毎年4月29日から5月5日ゴールデンウィーク期間中に茨城県笠間市で開かれる、地元特産品笠間焼を中心とした陶器市である。

概要

[編集]

陶芸家、窯元、販売店などが出展し陶器等販売や飲食物の提供を行う他、土面のオークションや音楽イベントも行われ、多くの来客がある。同時期に近隣の笠間つつじ公園では「笠間つつじまつり」があり双方の会場を結ぶバスも運行される。

歴史

[編集]

1970年代から若手陶芸家が台頭し始めた笠間では、既につつじ祭りで開催されていた問屋主催の陶器市に対し、自分たちの手で作った自由にみんなが楽しめる祭りを開催したいとの思いを持つ者たちがいた。彼らの思いは当時の販売組合からは否定されたが、諦めきれない者たち415人が手作りの祭りの実現に向けて会合を持った。そして「陶炎祭」という名称を決め、カンパで160万円程を集め、36者で初めての開催を1982年5月1日から3日に芸術村の空き地で行った。寺本守の述懐によれば、アメリカのアートフェアに着想を得たという[2]。初代の実行委員長は製陶ふくだの福田実であった。その時の来場者は1日200 - 300人ぐらいであった[2]。会場では笠間焼の先達たちに敬意を表し延命地蔵菩薩の野焼きも行われた[3][4][5]

その後は会期・会場の変更、主催を1994年には笠間焼協同組合へ移行するなどの変遷を経つつ、回を重ねるごとに来客者が増加し、茨城県屈指の大型イベントへと成長した。

2007年には、茨城県のイメージアップに貢献した取り組みに対して送られるいばらきイメージアップ大賞の奨励賞を"笠間の陶炎祭を中心とした芸術・文化のまちづくり"として受賞した[6]

東日本大震災が起きた2011年は多くの窯元が被災し開催が危ぶまれたが、組合は開催をすることを表明し、震災前に出展を申し込んでいた214人に改めて出展の意思を確認したところ、191人が参加の意思を表明した。そして「笠間から元気を発信します!!」のメッセージと共に開催されたこの年は、売り上げの一部を義援金に回すなどチャリティー色を出したものとなった。また辞退者に伴って生じた空きスペースでは、風評被害で売り上げが落ち込んだ茨城県産の野菜や海産物の販売が行われた[7][8][9]

各回概要[10]
開催回 会期 会場 観光客数[注 1] 開催時資料
第1回(1982年 5月1日3日 芸術の村
(笠間市下市毛)
第2回(1983年 5月1日〜5日
第3回(1984年 5月2日6日
第4回(1985年
〜第11回(1992年
5月1日〜5日
第12回(1993年 笠間芸術の森公園[注 2] 117,000人[11]
第13回(1994年
第14回(1995年 笠間芸術の森公園
イベント広場
132,000人[12]
第15回(1996年 130,000人[13]
第16回(1997年 132,000人[14]
第17回(1998年 136,000人[15]
第18回(1999年 145,000人[16]
第19回(2000年 4月29日〜5月5日 200,000人[17]
第20回(2001年 220,000人[18]
第21回(2002年 235,700人[19]
第22回(2003年 227,000人[20]
第23回(2004年 221,500人[21]
第24回(2005年 243,000人[22]
第25回(2006年 234,000人[23]
第26回(2007年 267,900人[24]
第27回(2008年 282,400人[25] 開催時ホームページ
第28回(2009年 302,500人[26] 開催時ホームページ
第29回(2010年 330,500人[27] 開催時ホームページ
第30回(2011年 380,000人[28] 開催時ホームページ
第31回(2012年 341,000人[29] 開催時ホームページ
会場マップ
第32回(2013年 468,000人[30] 開催時ホームページ
会場マップ
第33回(2014年 488,000人[31] 開催時ホームページ
会場マップ
第34回(2015年 516,000人[32] 開催時ホームページ
会場マップ
第35回(2016年 557,000人[33] 開催時ホームページ
会場マップ
第36回(2017年 534,000人[34] 開催時ホームページ
第37回(2018年 543,000人[35] 開催時ホームページ
第38回(2019年 501,000人[36] 開催時ホームページ
第39回(2020年 中止[注 3][37] ホームページ
第40回(2021年 64,800人[38] 開催時ホームページ
会場マップ
第41回(2022年 78,900人[39] 開催時ホームページ
会場マップ
第42回(2023年 85,000人[40] 開催時ホームページ
会場マップ

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 出典が「茨城県観光客動態調査」からの場合、茨城県は2011年度より新基準で観光入込客の統計を取り始めたので、第30回(2011年)までのデータと第31回(2012年)以降のデータとの単純比較は出来ないことに注意する。
    観光客動態調査結果(茨城県商工労働部観光物産課)
  2. ^ 現在、茨城県陶芸美術館が立地している場所。
  3. ^ 新型コロナウイルス流行のため。

出典

[編集]
  1. ^ 大型連休中の陶器市「笠間の陶炎祭」 入場者去年より増える”. NHK. 2023年11月14日閲覧。
  2. ^ a b 寺本守「笠間の地に自由を求めて」『日本農村医学会雑誌』第63巻第6号、一般社団法人日本農村医学会、2015年、921-924頁、doi:10.2185/jjrm.63.921 
  3. ^ “リポート2003 手作り作家も一体感「陶炎祭」原点振り返る「遊び心」「個性」はぐくむ”. 茨城新聞: p. 19. (2003年4月27日) 
  4. ^ “小林製陶代表小林照郷氏―笠間焼、日用の芸術品に(主役たち)”. 日本経済新聞: p. 4(地方経済面茨城). (2006年5月26日) 
  5. ^ “寄稿 陶芸家菊地弘 成長続く笠間「陶炎祭」”. 茨城新聞: p. 5. (2016年4月28日) 
  6. ^ いばらき地域づくりネット-(平成19年度)いばらきイメージアップ大賞表彰式が開催されました”. 2014年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月4日閲覧。
  7. ^ “陶炎祭の力・笠間から勇気と希望を(上)立ち上がる”. 茨城新聞: p. 15. (2011年4月27日) 
  8. ^ “陶炎祭の力・笠間から勇気と希望を(中)他産受け入れ”. 茨城新聞: p. 19. (2011年4月28日) 
  9. ^ “陶炎祭の力・笠間から勇気と希望を(下)農水産の復興支援”. 茨城新聞: p. 15. (2011年4月29日) 
  10. ^ 笠間の陶炎祭公式ホームページー陶炎祭について”. 笠間の陶炎祭運行チーム. 2016年3月19日閲覧。
  11. ^ “激増100万超す 1位緑化フェア GW中の行楽地人出”. 読売新聞 朝刊: p. 27(地方紙面:茨城2). (1993年5月7日) 
  12. ^ “GW行楽地の人出明暗 主要15か所前年比8万下回る”. 読売新聞 朝刊: p. 27(地方紙面:茨城東・南). (1995年5月8日) 
  13. ^ “GWの人出昨年下回る トップは大洗海岸”. 読売新聞 朝刊: p. 29(地方紙面:茨城2). (1996年5月8日) 
  14. ^ “GW全国最多14人死亡 行楽地人出22万4千人減”. 読売新聞 朝刊: p. 31(地方紙面:茨城東・南). (1998年5月9日) 
  15. ^ “GW期間中の交通死亡事故は減少 人出は各地で明暗”. 読売新聞 朝刊: p. 28(地方紙面:茨城2). (1998年5月9日) 
  16. ^ “GW中の人出 安・近・短で人気? 笠間「陶炎祭」9000人増”. 読売新聞 朝刊: p. 29(地方紙面:茨城東). (1999年5月7日) 
  17. ^ “大型連休中の人出、19万3000増の90万9000人 県警まとめ”. 読売新聞 朝刊: p. 31(地方紙面:茨城東). (2000年5月9日) 
  18. ^ “GWの交通死13人 全国ワースト1”. 朝日新聞 朝刊: p. 31(地方紙面:茨城1). (2001年5月10日) 
  19. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(平成14年観光客動態調査報告) - 平成14年度県内主要イベント等入込客数. 茨城県商工労働部観光物産課. (2003). p. 35 
  20. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(平成15年観光客動態調査報告) - 平成15年度県内主要イベント等入込客数. 茨城県商工労働部観光物産課. (2003). p. 35 
  21. ^ 平成16年度茨城県観光客動態調査 - 平成16年度 県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 39. 2016年3月19日閲覧。
  22. ^ 平成17年度観光客動態調査 - 平成17年度 県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 32. 2016年3月20日閲覧。
  23. ^ 平成18年度観光客動態調査 - 平成18年度 県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 24. 2016年3月20日閲覧。
  24. ^ 平成19年度観光客動態調査 - 平成19年度 県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 24. 2016年3月20日閲覧。
  25. ^ 平成20年度観光客動態調査 - 平成20年度 県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 25. 2016年3月20日閲覧。
  26. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(平成21年度観光客動態調査報告) - 平成21年度 県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 26. 2016年3月20日閲覧。
  27. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(平成22年度観光客動態調査報告) - 平成22年度 県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 26. 2016年3月20日閲覧。
  28. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(平成23年観光客動態調査報告) - 平成23年県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 32. 2016年3月20日閲覧。
  29. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(平成24年観光客動態調査報告) - 平成24年県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 33. 2016年3月20日閲覧。
  30. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(平成25年観光客動態調査報告) - 平成25年県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 30. 2016年3月20日閲覧。
  31. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(平成26年観光客動態調査報告) - 平成26年県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 28. 2016年3月20日閲覧。
  32. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(平成27年観光客動態調査報告) - 平成27年県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 29. 2016年12月12日閲覧。
  33. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(平成28年観光客動態調査報告) - 平成28年県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 29. 2022年3月8日閲覧。
  34. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(平成29年観光客動態調査報告) - 平成29年県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 30. 2022年3月8日閲覧。
  35. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(平成30年観光客動態調査報告) - 平成30年県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 25. 2022年3月8日閲覧。
  36. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(令和元(2019)年観光客動態調査報告) - 令和元(2019)年県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 24. 2022年3月8日閲覧。
  37. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(令和2(2020)年観光客動態調査報告) - 令和2(2020)年中止となった県内主要イベント”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 24. 2022年3月8日閲覧。
  38. ^ 茨城県の観光レクリエーション現況(令和3(2021)年観光客動態調査報告) - 令和3(2021)年県内主要イベント等入込客数”. 茨城県商工労働部観光物産課. p. 24. 2023年11月14日閲覧。
  39. ^ 第42回笠間の陶炎祭(茨城県/笠間芸術の森周辺)”. JTB. 2023年11月14日閲覧。
  40. ^ 大型連休中の陶器市「笠間の陶炎祭」 入場者去年より増える」『NHK』2023年5月9日。2023年11月14日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]