笹野一刀彫
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笹野一刀彫(ささのいっとうぼり)は、山形県米沢市に伝わる木彫工芸品。
概要
[編集]コシアブラの丸木を、サルキリと呼ばれる刃物で削って簡単な彩色を施したもので、米沢市笹野地区の農民によって伝統的に製作されてきた。代表的な題材は「お鷹ポッポ」と呼ばれる鷹の彫物で、この他に「鶏」(1969年年賀切手図案[1])や「もちつきウサギ」、「蘇民将来」、「恵比寿・大黒」、「笠かむり農婦」、「カメ」、「せきれい」などがある[2]。
歴史
[編集]- 地元の伝承では、806年(大同元年)開基とされる笹野観音堂の創建当時から火伏せのお守り・縁起物として伝わり、1000年以上の伝統があるとされている[3]。
- 近世後期には、米沢藩主の上杉鷹山による産業振興策の一環で、農民の冬季の副業として笹野彫が奨励され、その伝統が現在まで続いた結果、少数の工人と共に農家の副業として製作されている[3]。
製作者
[編集]- 1971年、笹野地区の他に、簗沢、高畠町の工人約130名が笹野彫協同組合を結成した。以降、製作者は減少傾向にあり、2005年頃には35名にまで減っている[3]。同組合は「笹野彫」(登録番号4488182)、「笹野一刀彫」(登録番号4488183)の団体商標権利者[4][5]となっている。
- 著名な工人として、1895年生まれの情野辰蔵がおり、1973年には県から齋藤茂吉文化賞(第19回)を受けている[6]。これに次ぐ世代としては、1924年生まれの加藤孝吉が、伝統工芸の職人としてしばしば取り上げられる[7][8]。
笹野民芸館
[編集]- 笹野一刀彫を中心とした、米沢の伝統工芸振興のために開設された。笹野彫協同組合が運営[9]している。
- 民芸品・木工品等の陳列販売の他、土日には笹野一刀彫の作業風景を見学することもできる。また、お鷹ぽっぽの絵付け体験教室もある[10](要予約[9])。
- 経済産業省東北経済産業局の広域観光圏整備計画においては、笹野一刀彫と笹野民芸館は「米沢地区(山形県)を中心とする産業観光のテーマ例 - 上杉米沢藩の伝統を受け継ぐ伝統と歴史的工芸等の産業資源[11]」と位置づけられている。
出典
[編集]- ^ 年賀切手(お年玉切手シート)の歴代一覧表 1969年昭和44年・年賀切手(お年玉切手シート)
- ^ 米沢観光物産協会 米沢の伝統工芸 笹野一刀彫り
- ^ a b c 置賜総合支庁ニュース第25号 酉年を迎え、さらなる飛躍を 笹野彫協同組合 組合長 高橋力雄 - 2005年1月1日
- ^ 特許庁 第3条第2項に基づく登録例
- ^ 特許庁 特許庁における商標法第3条第2項の運用
- ^ 山形県 齋藤茂吉文化賞
- ^ 「市政」1998-10, 47, 10, (通号 555)『日本の職人(22)笹野一刀彫 加藤孝吉さん』 全国市長会編 - 1998年10月
- ^ 出光東北支店 「東北キラリ人」『素朴な「笹野一刀彫」の伝統を受け継ぐキラリ“伝”人』 - 2007年11月15日
- ^ a b 山形県ふるさと工芸品 笹野彫
- ^ 米沢観光Navi 体験情報(伝統工芸・工芸)
- ^ 東北経済産業局 東北地域における都市間連携による広域観光圏整備計画調査(経済産業省)報告書概要版 - 2002年7月26日