美濃脇坂藩
美濃脇坂藩(みのわきざかはん)[要出典]は、江戸時代初期に美濃国内で1万石を領した脇坂安信の藩。安信が親族間の刃傷事件に巻き込まれ、1632年に改易された。
『藩史大辞典』などでは「脇坂安信領」として美濃国に配列している[1][注釈 1]。
藩史
[編集]脇坂安信は、「賤ケ岳の七本槍」に数えられる脇坂安治の三男[3][4]である。徳川家康に仕え、慶長年間[2][4]に美濃国内で1万石の知行を与えられた[3][4][5]。
安信は娘を兄である脇坂安元(後述の事件当時は信濃飯田藩主)の養女としたうえで、池田
長幸は、嫡子である長常と不和であったため[7]、病弱であることなども理由に挙げて[8]、6万5000石の領知の半分(『徳川実紀』によれば過半[7])を二男の長純に分ける意向であった[9]。親族たちはこれに同意したが[10]、長幸の弟の池田長頼(旗本3000石[8])だけは納得しなかった[10][3]。『徳川実紀』によれば長頼は、長男に遺領を残らず譲るべきであり、二男に過半を与えるのは道理が通らないと主張した[7]。親族は長頼を排除して評議に加わらせなかったため[10][7]、憤慨した長頼は会合の席に押しかけて[7]刃傷に及んだ[10][3]。脇坂安経は殺害され、安信も負傷した[3]。
この騒動により、安信は改易処分となった[3]。5年後の寛永14年(1637年)、安信は没した[3]。
歴代藩主
[編集]- 脇坂家
1万石。外様。
領地
[編集]『濃飛両国通史』(1924年)には、元和郷帳を出典として、美濃国内には山県郡・方県郡・大野郡の3郡内に6400石の知行地があったと載せる[11]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ このほか、『角川新版日本史辞典』「近世大名配置表」でも美濃国に「脇坂安信領」として掲出している[2]。
- ^ 脇坂安治の五男[6]。
- ^ 現在の岐阜市山県岩付近。『角川日本地名大辞典』に脇坂領であったとの記述はない[12]。
- ^ 現在の関市戸田付近。『角川日本地名大辞典』に脇坂領であったとの記述はない[13]。
- ^ 現在の山県市高富付近。『角川日本地名大辞典』に脇坂領であったとの記述はない[14]。
- ^ 現在の関市千疋付近。『角川日本地名大辞典』に脇坂領であったとの記述はない[15]。
- ^ 現在の岐阜市山県北野付近。『角川日本地名大辞典』に脇坂領であったとの記述はない[16]。
- ^ 現在の岐阜市溝口付近。『角川日本地名大辞典』に脇坂領であったとの記述はない[17]。
- ^ 現在の岐阜市門屋付近。『角川日本地名大辞典』に脇坂領であったとの記述はない[18]。
- ^ 現在の岐阜市交人付近。『角川日本地名大辞典』では、脇坂安信の知行地であったと記す[19]
- ^ 現在の岐阜市鷺山付近。『角川日本地名大辞典』に脇坂領であったとの記述はない[20]。
- ^ 現在の揖斐郡大野町上磯付近。『角川日本地名大辞典』に脇坂領であったとの記述はない[21]。
- ^ 現在の揖斐郡揖斐川町谷汲神原付近。『角川日本地名大辞典』に脇坂領であったとの記述はない[22]。
出典
[編集]- ^ “『藩史大事典 第4巻 中部編Ⅱ 東海』目次”. 雄山閣. 2023年6月14日閲覧。
- ^ a b 『角川新版日本史辞典』, p. 1311.
- ^ a b c d e f g h i j 『寛政重修諸家譜』巻第九百三十七「脇坂」、国民図書版『寛政重修諸家譜 第五輯』p.930。
- ^ a b c “脇坂安信”. デジタル版 日本人名大辞典+Plus. 2023年6月14日閲覧。
- ^ 岐阜県教育会 1924, p. 63.
- ^ a b 『寛政重修諸家譜』巻第九百三十七「脇坂」、国民図書版『寛政重修諸家譜 第五輯』p.931。
- ^ a b c d e 『大猷院殿御実紀』巻廿・寛永九年四月六日条、経済雑誌社版『徳川実紀 第二編』p.240。
- ^ a b 『寛政重修諸家譜』巻第二百六十七「池田」、国民図書版『寛政重修諸家譜 第二輯』p.428。
- ^ 『寛政重修諸家譜』巻第二百六十七「池田」、国民図書版『寛政重修諸家譜 第二輯』pp.428-429。
- ^ a b c d 『寛政重修諸家譜』巻第二百六十七「池田」、国民図書版『寛政重修諸家譜 第二輯』p.429。
- ^ 『濃飛両国通史 下巻』, pp. 63–64.
- ^ “岩村(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2023年6月18日閲覧。
- ^ “戸田村(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2023年6月18日閲覧。
- ^ “高富村(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2023年6月18日閲覧。
- ^ “千疋村(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2023年6月18日閲覧。
- ^ “北野村(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2023年6月18日閲覧。
- ^ “溝口村(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2023年6月18日閲覧。
- ^ “門屋村(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2023年6月18日閲覧。
- ^ “交人村(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2023年6月18日閲覧。
- ^ “鷺山村(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2023年6月18日閲覧。
- ^ “上磯村(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2023年6月18日閲覧。
- ^ “神原村(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2023年6月18日閲覧。
参考文献
[編集]- 『角川新版日本史辞典』角川学芸出版、1996年。
- 岐阜県教育会『濃飛両国通史 下巻』岐阜県教育会、1924年 。