船橋18歳少女殺害事件
船橋18歳少女殺害事件 | |
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場所 | 日本・千葉県船橋市 |
日付 | 2015年(平成27年)4月19日 |
原因 | 怨恨 |
攻撃手段 | 生き埋め |
攻撃側人数 | 4名 |
死亡者 | 少女A(当時18歳) |
容疑 |
少女B(犯行当時18歳) 男C(犯行当時20歳) 男D(犯行当時20歳) 少年E(犯行当時16歳) |
対処 | B、C、Dに無期懲役(上告棄却により確定) |
管轄 |
千葉県警察船橋東警察署 千葉地方検察庁 |
船橋18歳少女殺害事件(ふなばし18さいしょうじょさつがいじけん)とは、2015年(平成27年)4月に千葉県船橋市で少女が殺害された事件。
概要
[編集]命乞いする被害者を生きたまま埋めるという凄惨さから、実行犯の男と犯行当時18歳少女に無期懲役判決が言い渡されるなど、少年犯罪の中でも特に厳しい判決となった。
なお同時期に犯行当時19歳少女が起こした名古屋大学女子学生殺人事件の第一審判決が出ており、こちらも無期懲役の判決を言い渡されている。
被害者少女と面識があったのは加害者少女のみで、男3人は加害者少女と知り合いで被害者と当日まで接点もなかった。
事件
[編集]当時18歳だった被害者少女Aと同じく18歳だった加害者少女Bはかつて友人であったが、被害者の女性はアルバイトをしており、加害者少女に飲食費を借りることもあった。卒業アルバムを返さなかったことからトラブルに発展。音信不通になるなどしてBは憎悪を募らせた[1]。Bは肉体関係のあった男Dに相談し、Dは仕事仲間の少年Eと殺害の準備を進めた。
2015年4月19日夜、Aは、B、男C、D、少年Eの4人に声をかけられ、連れ去られた。
2015年4月20日未明、あらかじめ掘られた穴に被害者少女を結束バンドで両腕を縛り座らせ、生きたまま埋められた被害者は窒息死。加害者らは被害者少女の財布や携帯電話などを奪い逃走した。
捜査
[編集]2015年4月21日、船橋東警察署に「女性が埋められたという話がある」と通報があり警察は捜査を開始。4月23日、B、D、Eを監禁容疑で逮捕。4月24日、所在が分からなかったCが鎌ケ谷警察署に出頭したため、監禁容疑で逮捕[2]。同日、Dの「Cと一緒にAを成田空港近くに埋めた」との供述に基づき山武郡芝山町の畑で捜索を行い遺体を発見[3]。遺体の頭部は何重にも巻かれ容易に顔を判別できないよう工作されていた[2]。これを受けて千葉県警察は船橋東警察署に捜査本部を設置した。
2015年5月13日、船橋東警察署は4人を強盗殺人容疑で再逮捕[4]。
2015年5月15日、船橋東警察署は4人を千葉地検に送検[5]。
2015年6月4日、千葉地検はCとDを強盗殺人、逮捕監禁罪などで起訴[6]。Bは強盗殺人、逮捕監禁の非行事実で、Eは逮捕監禁の非行事実(共謀関係が無いとして強盗殺人では不起訴)で家裁送致した[6]。
2015年7月17日、千葉家裁は家裁送致されたBについて検察官送致とする処分を決定した[7]。
2015年7月24日、千葉地検はBを強盗殺人、逮捕監禁罪で起訴した[8]。
裁判
[編集]- 2016年11月21日、論告求刑公判で検察側は計画的で極めて残虐な、身勝手な犯行であるとして無期懲役を求刑した[10]。
- 2016年11月30日、千葉地裁(吉井隆平裁判長)は求刑通り無期懲役の判決を言い渡した[11]。Dは量刑不当を理由に控訴 [12]。
- 2017年6月8日、東京高裁(大熊一之裁判長)は一審の量刑は適切だったとして無期懲役の判決を支持し、控訴を棄却した[13]。被告側は判決を不服として上告した。
- 2017年10月10日、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は被告側の上告を棄却、無期懲役の判決が確定した[14]。
- Bの裁判
- 2017年1月13日、千葉地裁(松本圭史裁判長)で初公判が開かれ、Bは強盗殺人ではないと主張して起訴内容を一部否認した[15]。
- 2017年1月24日、被告人質問では現時点で遺族にこういう謝罪をしよう、という具体的なものは何もないのかと問われると「はい」と即答した。Aの父親が出廷し、Bに対し「死刑を求めます」と強い口調で述べた[16]。
- 2017年1月25日、論告求刑公判で検察側は事件を発案して共犯者らを巻き込み、中心的な役割を果たしたとして無期懲役を求刑した[17]。2017年2月3日、千葉地裁(松本圭史裁判長)は求刑通り無期懲役の判決を言い渡した[18]。
- 2018年12月11日、東京高裁(後藤真理子裁判長)は一審・千葉地裁の無期懲役の判決を支持し、控訴を棄却した[19]。被告側は判決を不服として上告した。
- 2019年6月3日、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は被告側の上告を棄却、無期懲役の判決が確定した[20]。
- Cの裁判
- 2017年2月13日、千葉地裁(吉井隆平裁判長)で初公判が開かれ、「逮捕監禁については間違いありません。強盗殺人などについては否認します」と強盗殺人ではないと主張して起訴内容を一部否認した[21]。
- 2017年2月23日、論告求刑公判で検察側は残忍さを強調し「刑事責任は著しく重大だ」として無期懲役を求刑した[22]。
- 2017年3月10日、千葉地裁(吉井隆平裁判長)は求刑通り無期懲役の判決を言い渡した[23]。
- 2018年3月1日、東京高裁(大熊一之裁判長)は一審・千葉地裁の無期懲役の判決を支持して控訴を棄却した。
- 2018年12月25日、最高裁第一小法廷(深山卓也裁判長)は被告側の上告を棄却、無期懲役の判決が確定した[24]。
脚注
[編集]- ^ 「卒アル返さないからと事件に 生き埋め女性車内で「死刑宣告」」『産経新聞』2016年11月26日。オリジナルの2021年9月15日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b 「千葉で遺体発見、18歳不明少女か…新たに主犯格の男も逮捕」『サンスポ』2015年4月25日。オリジナルの2023年2月8日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「18歳女性不明 畑に遺体 千葉監禁容疑、逮捕4人に」『日本経済新聞』2015年4月25日。オリジナルの2024年12月16日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「強殺容疑で4人再逮捕 千葉県警、動機など全容解明へ 船橋女性殺害」『千葉日報』2015年5月14日。オリジナルの2015年5月19日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「強殺容疑で4人送検 船橋女性殺害」『千葉日報』2015年5月16日。オリジナルの2015年5月20日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b 「千葉・船橋18歳少女監禁殺人で男2人起訴、元同級生少女を家裁送致」『産経新聞』2015年6月4日。オリジナルの2024年9月30日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「元同級生の少女を逆送 千葉の女性監禁殺害」『日本経済新聞』2015年7月18日。オリジナルの2024年9月30日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「強盗殺人罪など逆送の少女起訴 船橋女性殺害で千葉地検」『千葉日報』2015年7月25日。オリジナルの2015年7月26日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「千葉の少女生き埋め殺人初公判 実行犯の男、起訴事実認める」『産経新聞』2016年11月11日。オリジナルの2024年9月30日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「千葉の女性生き埋めに無期懲役求刑 被害者に「お前は死ぬんだよ」と恐怖あおり 「犯行は残虐で計画的」」『産経新聞』2016年11月22日。オリジナルの2024年9月30日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「女性生き埋め 無期懲役 千葉地裁判決「犯行は残虐」」『日本経済新聞』2016年12月1日。オリジナルの2024年9月30日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「「無期懲役は不当」減刑求める 生き埋め裁判、⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎被告控訴審初公判」『産経新聞』2017年5月23日。オリジナルの2024年12月16日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「「1審の量刑は適切」2審も無期懲役 東京高裁判決」『産経新聞』2017年6月8日。オリジナルの2024年1月18日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「芝山 女性生き埋め、無期確定へ 最高裁⚪︎⚪︎被告の上告棄却」『千葉日報』2017年10月12日。オリジナルの2017年1月25日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「元同級生の少女、殺意否認 「事前の話し合いない」 船橋女性生き埋め公判」『千葉日報』2017年1月13日。オリジナルの2017年1月14日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「事件「重大さ分からず」 謝罪ない理由問われ少女 船橋女性生き埋め公判」『千葉日報』2017年1月25日。オリジナルの2017年1月25日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「少女に無期求刑 地検「事件を発案」 船橋女性生き埋め公判」『千葉日報』2017年1月26日。オリジナルの2017年1月26日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「【速報】<船橋女性生き埋め>元同級生少女に無期懲役判決 千葉地裁「非情で悪質」『千葉日報』2017年2月3日。オリジナルの2017年2月7日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「生き埋め殺害、二審も無期懲役 東京高裁判決」『日本経済新聞』2018年12月11日。オリジナルの2024年9月30日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「千葉生き埋めで元少女の無期懲役確定へ 最高裁が上告を棄却」『産経新聞』2019年6月4日。オリジナルの2024年1月18日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「女性生き埋め公判「強盗殺人は否認」22歳男初公判、丸刈りスーツ姿で」『産経新聞』2017年2月3日。オリジナルの2024年12月16日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「女性生き埋め ⚪︎⚪︎被告は「事件の黒幕」 論告で検察指摘 千葉」『産経新聞』2017年2月24日。オリジナルの2024年12月15日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「生き埋め裁判、⚪︎⚪︎被告に無期懲役の判決」『産経新聞』2017年3月10日。オリジナルの2024年9月30日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「少女を生き埋めにして殺害、男の無期懲役確定へ 最高裁」『Livedoor news』2018年12月26日。2018年12月29日閲覧。