コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

菌根

この記事は良質な記事に選ばれています
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1. ベニテングダケ(左上)のような菌類は外生菌根(右上)を形成する。コムギ(右下)など多くの植物は、菌類のグロムス類とともにアーバスキュラー菌根(左下)を形成している(染色された部分がグロムス類)。

菌根(きんこん、: mycorrhiza[注 1])は、維管束植物菌類が侵入し、定着、共生して形成された構造である(図1)。菌根を構成する菌類は、菌根菌とよばれる[2][3]。ほとんどの維管束植物は菌根を形成し、また根をもたないコケ植物にもしばしば同様の共生関係が見られる。菌根は19世紀になって認識されるようになり、ドイツアルバート・ベルンハルト・フランクによってギリシア語の菌(mykes)と根(rhiza)から菌根(ドイツ語: mykorrhiza)と名付けられた[4][3]。また20世紀中頃には、この共生が植物に利益を与えるものであることが明らかとなった[5]

菌根は、その構造や宿主・菌根菌の分類群に応じてアーバスキュラー菌根外生菌根ツツジ型菌根ラン型菌根などいくつかの型に類別されている(図1)。一般的に菌根において植物菌根菌相利共生関係にあり、植物から菌根菌へは光合成でつくられた有機物など)が供給され、菌根菌から植物へは土壌から吸収した窒素リンなどの無機栄養分やが供給される。また、菌根菌によって、病原菌からの保護、重金属などのストレスに対する耐性が植物に付与されることもある。一方で植物が光合成をせず、炭素源を含むほとんどの栄養を菌根菌に依存していることもあり(植物が菌に寄生または片利共生)、このような植物は菌従属栄養植物(腐生植物)とよばれる。また、同一環境に生育する植物はしばしば菌根菌を介してつながっており(菌根菌ネットワーク)、さまざまな物質が輸送されている。古生代デボン紀の陸上植物の大型化石からは、既に現生の菌根に似た構造が見つかっており、陸上植物の誕生・進化には菌根の存在が重要であったことを示唆している。

機能

[編集]
2a. アーバスキュラー菌根の存在による植物にとっての利点(右):(上から)葉の寄生生物への耐性向上、乾燥耐性の向上、塩耐性の向上、全身獲得抵抗性様の反応、栄養分の転送、根の寄生生物への局部抵抗性、重金属耐性の向上、根の病原生物への全身抵抗性。根の周囲の灰色はリン欠乏域、紫色は菌根菌菌糸を示す[6]

維管束植物の大部分の(約90%ともされる)は、菌根を形成する[7]。一般的に菌根では、菌根菌が水や無機栄養分(窒素リンなど)を植物に供給し、植物は光合成産物に由来する脂質を菌根菌に供給することで相利共生関係が成立している[2][8][5]。菌根菌の菌糸は根から土中に伸長し、根や根毛に比べてはるかに遠距離まで密に張り巡らされるため、水や無機栄養分を効率的に吸収することができる(図2a)。菌根菌は、植物の成長に必要な窒素の80%、リンの100%を供給していることもある[9]。一方で植物は、光合成産物の20%を菌根菌に供給している例もある[2]。また菌根菌は、病原菌や環境ストレスに対する耐性を植物に付与することもある。このため、菌根菌の存在による菌根の形成は、ふつう植物の成長を促進する(図2b)。

2b. 菌根菌を含まない(左)または含む(右)条件で育てたマツ

上記のように植物の生育は菌根に大きく依存しており、有用植物の生育にも大きく影響する。例えばトウモロコシイネ科)を栽培する際に、コムギ(イネ科)やダイズマメ科)など菌根(アーバスキュラー菌根)をもつ作物の栽培後では問題なく生育するが、ダイコンアブラナ科)やテンサイヒユ科)、ソバタデ科)など菌根をもたない作物の栽培後では生育が悪くなる[5]。これは菌根をもたない作物を栽培した土地では土壌中に菌根菌(アーバスキュラー菌根菌)が少なくなったためであると考えられている[5]。また、19世紀のころ、オーストラリアマツの種子を蒔いても育たなかったが、英国から運ばれた鉢植えのマツの苗を植えるとその土地でもよく育った[10]。これはオーストラリアにはマツに適合する菌根菌(外生菌根菌)がいなかったが、鉢植えの苗には菌根菌が付随していたためであると考えられている[10]。このように有用植物の成長は菌根における菌類に大きく影響されるため、農林業にも広く応用されている[5][11][12][13][14]

上記のように菌根における植物と菌根菌の関係は基本的に相利共生であるが、植物と菌根菌との組み合わせや環境条件によっては植物の生育が抑制されることもある[4]。また、菌根をもつ植物の中には、光合成をせず、炭素源を含むほとんどの栄養源を菌根菌から得ているものがあり、このような植物は菌類に寄生しているとも解釈される[2][4]。このような植物は腐生植物(saprophyte, saprophytic plant)とよばれていたが[15]、これらの植物は自ら植物遺体など有機物を分解して栄養を得ている(腐生性)わけではなく、菌根菌から栄養を得ているため、2020年現在では菌従属栄養植物(mycoheterotrophic plant)とよばれることが多い[16][17]。菌従属栄養植物が得る炭素源の起源は、菌根菌が別の植物と菌根を形成してその光合成産物を利用する場合と、菌根菌が植物遺体などを分解して得たものを利用する場合がある[18][19]。菌従属栄養植物には、苔類(Aneura mirabilis)、裸子植物(Parasitaxus usta)、ラン科オニノヤガラツチアケビなど)、ヒナノシャクジョウ科ホンゴウソウ科ツツジ科シャクジョウソウ亜科などに見られる[20][21]。また、ヒカゲノカズラ目の一部やハナヤスリ亜綱配偶体も光合成を行わない菌従属栄養であることが知られている[20]。さらにサクラジマハナヤスリハナヤスリ科)やキンランラン科)、ベニバナイチヤクソウツツジ科)などは植物体自身で光合成を行うが、炭素源を部分的に菌根菌から得ている例(部分的菌従属栄養植物、混合栄養植物)も知られている[20][19]

構造とタイプ

[編集]

菌根の構造は多様であり、これに基づいてタイプ分けされている。菌根において菌根菌菌糸が根の表面を覆う組織を形成することがあり、このような組織は菌鞘(マントル[22]; fungal sheath, fungal mantle)とよばれる[2][18]。また、菌糸はの表皮や皮層の細胞間隙に侵入するが、外生菌根などでは細胞間隙の菌糸が分枝発達してハルティヒネット(Hartig net)とよばれる構造が形成される(根の横断面では植物細胞間に充満して網状になる)[2][18]。菌糸が根の表皮皮層の細胞内(細胞壁と細胞膜の間)に侵入し、栄養交換用の特殊な構造(樹枝状体、菌糸コイルなど)を形成することも多い[2][18]。また、いずれの場合も菌根から菌糸が土壌中へ長く伸びており(外菌糸[23]、外生菌糸[18]、根外菌糸[10])、無機栄養分(窒素リンなど)や水を吸収している。このような菌糸が別の植物の菌根とつながっていることもあり、菌根菌を介したつながりである菌根ネットワーク(菌根菌ネットワーク; mycorrhizal network, mycelial network)を介して糖などの物質が輸送されている[24][25][26][27]

上記のように菌根の構造は極めて多様である。古くは菌糸が根の外側を覆う外生菌根と菌糸が細胞内に侵入する内生菌根に分けられていたが、外生菌根と内生菌根の中間的なものが存在すること、内生菌根とよばれるものの中に複数のタイプが存在することが明らかとなり、このような区分はあまり使われなくなった[28]。2022年現在では、ふつう主にその構造に基づき、また植物や菌類の種類を考慮して以下のようにいくつかの型に類別される[2][3][18]

菌根の各タイプの特徴[2][3][18][22]
菌根のタイプ 菌鞘 植物細胞間の菌糸 植物細胞内の菌糸 植物群 菌群
アーバスキュラー菌根 なし 単純な菌糸 樹枝状体 多くの陸上植物 グロムス類
外生菌根 あり ハルティヒネット なし マツ科ブナ科カバノキ科フタバガキ科
フトモモ科ナンキョクブナ科など
担子菌子嚢菌アツギケカビ目
内外生菌根 あり ハルティヒネット 菌糸コイル マツ属カラマツ属 子嚢菌
イチヤクソウ型菌根 あり ハルティヒネット 菌糸コイル ツツジ科イチゴノキ亜科イチヤクソウ亜科 担子菌子嚢菌
シャクジョウソウ型菌根 あり ハルティヒネット 菌糸ペグ ツツジ科(シャクジョウソウ亜科 担子菌
ツツジ型菌根 なし 単純な菌糸 菌糸コイル ツツジ科(ツツジ亜科スノキ亜科など) 子嚢菌担子菌
ラン型菌根 なし 単純な菌糸 ペロトン ラン科 担子菌子嚢菌

アーバスキュラー菌根

[編集]

アーバスキュラー菌根[2][3][18][22](arbuscular mycorrhiza, AM)では、根から菌糸が伸びているが、根の外見はほとんど変化していない(下図3b)。菌根菌は根の細胞内に侵入し、栄養交換用の構造として細かく分枝した樹枝状体(アーバスキュル[22]、arbuscule)をつくる[28][2][18][3][5](下図3a, c)。また、ときに栄養貯蔵用の構造として丸く膨らんだ嚢状体[3](ベシクル[22]、vesicle)を形成する[28][2][3][5](下図3a, c)。このため古くはVA菌根(vesicular-arbuscular mycorrhiza[2])とよばれていたが、嚢状体を形成しないこともあるため、2022年現在ではふつうアーバスキュラー菌根とよばれる[28][22]。最も普遍的な菌根であり、維管束植物の約80%に見られるともされる[3][7]。維管束植物の胞子体(通常時の体)だけではなく、シダ植物配偶体(前葉体)やコケ植物もアーバスキュラー菌根に相当する構造が見られる[29]。菌根菌は接合菌に分類されていたグロムス類(グロムス門またはケカビ門グロムス亜門)であり、この菌類は植物と共生しなければ生きられない絶対共生性である[3][5]。ただし系統的にやや異なるケカビ亜門アツギケカビ類も類似した菌根を形成することがあり、これと混同されていることもある(#ファインエンドファイトを参照)。宿主植物と菌根菌との種特異性は低く、ある植物には複数のグロムス菌が共生可能であり、またあるグロムス類はさまざまな植物と共生する[22][5]

3a. アーバスキュラー菌根の横断面模式図: 付着器[5] (菌足[30] appressorium)、樹枝状体 (arbuscule)、厚壁胞子 (chlamydospore)、多核菌糸 (coenocytic hypha)、菌糸コイル (hyphal coil)、嚢状体 (vesicle)、緑色は植物細胞を示す
3b. ミヤコグサマメ科)のアーバスキュラー菌根と菌糸、胞子(褐色の球)
3c. アーバスキュラー菌根内の樹枝状体(左)と嚢状体(右)(菌体は青く染色)

植物ホルモンであるストリゴラクトングロムス類を誘引し、グロムス類が分泌する Mycファクター(リポキチンオリゴサッカロイド, LCO)を植物側が認識する[5]。グロムス類は植物からグルコース脂質を取り込み、無機栄養分(特にリン)や水を供給する[28][5]。また、病害や環境ストレスへの抵抗性を高めることもある[18][5]。このようにアーバスキュラー菌根における植物と菌根菌の関係は基本的に相利共生であるが、ホンゴウソウ科ヒナノシャクジョウ科の植物は光合成能を欠く菌従属栄養植物であり、アーバスキュラー菌根菌を介して別の植物の光合成産物を得ている[18][19]。また、ヒカゲノカズラ目小葉類)の一部やマツバラン目ハナヤスリ目ハナヤスリ亜綱)の配偶体(前葉体)も光合成能を欠き、アーバスキュラー菌根菌を介して栄養を得る菌従属栄養性である[19]。これらは胞子体になると自身で光合成を行うが、サクラジマハナヤスリでは光合成を行う胞子体になっても菌根菌から炭素源を得る部分的菌従属栄養植物であることが明らかとなっている[31]

外生菌根

[編集]

外生菌根[2][18][3][22](外菌根[8]; ectomycorrhiza, EcM)では、菌糸が細根を覆って菌鞘を形成し、また根の表皮や皮層の細胞間で発達した菌糸からなるハルティヒネットをもつ[28][2][3][18](下図4a, b)。菌糸は細胞内に侵入せず、ハルティヒネットにおいて物質交換が行われる[18](下図4c)。マツ科ブナ科カバノキ科ヤナギ科フタバガキ科フトモモ科ナンキョクブナ科など森林において優占する樹木に典型的であるが[28][2][3][18][10]、一部の草本にも見られる[28]。外生菌根菌となる菌類は極めて多様であり、担子菌子嚢菌アツギケカビ類ケカビ門)に属し、数万種に達するとも考えられている[18][10]菌根菌には特定の植物群と共生するものもいるが(例: マツタケ)、さまざまな科の植物と共生する例もある[18]。また、外生菌根を形成する木本は、ふつう多数の種の外生菌根菌と共生している[10]

4a. 外生菌根の横断面模式図: ハルティヒネット (Hartig net)、菌鞘 (hyphal sheath)、緑色は植物細胞を示す
4b. ラジアータマツベニテングタケからなる外生菌根
4c. 根の細胞(大きな細胞)の間に充満したハルティヒネット

外生菌根を形成する植物の分類群は比較的限られているが(種数で約2%[7])、森林において優占する樹種が多いため、森林生態系での外生菌根のバイオマスは大きく、その物質循環における重要な要素となる[28][18][10]において吸収能がある部分のほとんどは菌鞘によって覆われており、水や無機栄養分の吸収はほとんど外生菌根菌が担っている[10]菌根菌はハルティヒネットを通じて水や無機栄養分を植物に供給し、グルコースなどを植物から受け取る[28][10]。病原生物からの保護や重金属耐性の向上をもたらすこともある[28][18]

内外生菌根

[編集]

内外生菌根[2][3][18](ectendomycorrhiza, EEM)は、外生菌根と同様に菌鞘ハルティヒネットを形成するが、表皮皮層細胞内に菌糸が侵入する点で区別される[28][2][3][18]。外生菌根の一型とされることもある[7]。通常は外生菌根を形成するマツ科マツ属カラマツ属に見られることがある[18]子嚢菌WilcoxinaSphaerosporellaチャワンタケ綱)、Cadophoraズキンタケ綱)、Chloridiumフンタマカビ綱)が内外生菌根菌となるが、これらの菌類はマツ科植物に外生菌根を形成することもある[18]

イチヤクソウ型菌根

[編集]

イチヤクソウ型菌根[2][3][18]アーブトイド菌根[18][22](アーブトイド型菌根[2] arbutoid mycorrhiza)ともよばれ、菌鞘ハルティヒネット、および植物表皮細胞内の菌糸コイルによって特徴づけられる[28][2][3][18](下図5a)。内外生菌根に似るが、宿主植物や菌根菌が異なる[18]ツツジ科イチゴノキ亜科イチヤクソウ亜科に見られるが[18]、後者の方が細胞内の菌糸が発達するため、pyroloid mycorrhiza としてわけることもある[7]。またいずれも、外生菌根の一型とされることもある[7]。他の植物との間で外生菌根を形成する担子菌子嚢菌が、これらの植物との間ではイチヤクソウ型菌根を形成する[28][18]。植物の菌に対する特異性は低いと考えられている[18]。イチゴノキ亜科の植物は、北米やヨーロッパにおける亜寒帯から温帯沿岸域の植生で重要な要素となっている[18](下図5b)。イチヤクソウ型菌根を形成する植物は自身で光合成を行うが、そのうちイチヤクソウ類は菌根菌から(正確にはその菌根菌が外生菌根を形成している別の植物から)も有機物を得ている部分的菌従属栄養植物であることが知られている[28][18](下図5c)。

5a. Arbutus unedo のイチヤクソウ型菌根縦断面: 菌鞘(HM)、細胞内の菌糸(iHy)、表皮(Ep)、皮層(Rz)
5b. イチヤクソウ型菌根をもつ Arbutus menziesii(米国ワシントン州
5c. イチヤクソウ型菌根をもつ部分的菌従属栄養植物であるベニバナイチヤクソウ

シャクジョウソウ型菌根

[編集]

シャクジョウソウ型菌根[2][3]モノトロポイド菌根[22][18](モノトロポイド型菌根[2] monotropoid mycorrhiza)ともよばれ、イチヤクソウ型菌根と同様に菌鞘ハルティヒネットをもち、また菌糸が植物表皮細胞内に侵入して菌糸ペグ(hyphal peg, fungal peg)とよばれる構造を形成する[2][3][18](下図6a, b)。外生菌根の一型とされることもある[7]。根系全体が塊状でほとんど分岐していない[18]。宿主となる植物はツツジ科シャクジョウソウ亜科に属し、全て光合成能を欠く菌従属栄養植物(腐生植物)である[18](下図6c)。そのためこれらの植物は有機物も菌根菌に依存しており、また種子も微小であるため発芽にも菌根菌との共生が必要であると考えられている[18]担子菌ハラタケ綱キシメジ属ハラタケ目)、チャハリタケ属イボタケ目)、ショウロ属イグチ目)、Gautieriaラッパタケ目)などが菌根菌となるが、これらの菌類はいずれも他の植物と外生菌根も形成し、シャクジョウソウ亜科の植物はこれらの菌根菌を介して他の植物の光合成産物を得ている[28][3][18][19]。それぞれの植物における菌根菌の種特異性は極めて高い[3][18]

6a. シャクジョウソウ型菌根の横断面模式図: ハルティヒネット (Hartig net)、菌糸ペグ (hyphal peg)、菌鞘 (hyphal sheath)、緑色は植物細胞を示す。
6b. シャクジョウソウ型菌根の電子顕微鏡像: 菌鞘(HM)、ハルティヒネット(HN)、菌糸ペグ(S)、液胞(V)、細胞壁(ZW)
6c. シャクジョウソウ型菌根をもつ菌従属栄養植物であるシャクジョウソウ

ツツジ型菌根

[編集]

ツツジ型菌根[2][3][22]エリコイド菌根[18](エリコイド型菌根[2][22] ericoid mycorrhiza)ともよばれ、ツツジ科ツツジ亜科イワヒゲ亜科ジムカデ亜科エパクリス亜科スノキ亜科の hair root (直径0.1ミリメートル以下の非常に細い根)の表皮細胞に菌糸が侵入して菌糸コイルを形成する[2][3][18](下図7a, b)。主に子嚢菌RhizoscyphusMeliniomycesCairneyellaGamaradaOidiodendronズキンタケ綱)が菌根菌となるが、担子菌のロウタケ属(ハラタケ綱)が菌根菌となることもある[18]。一般的にツツジ型菌根の菌根菌は有機物分解能をもち(下図7c)、有機物分解によって得られた無機栄養分を植物に供給する[2][18]。また、植物に耐酸性や重金属耐性を付与することが知られている[2][18]。ツツジ型菌根をもつ植物の生育環境は多様であり、高山や泥炭地など厳しい環境にも生育し、酸性土壌のヒースなどの重要な構成要素となるものもいる[2][3](下図7d)。

7a. ツツジ型菌根の横断面模式図: 表皮に菌糸コイル (hyphal coil) を形成し、緑色は植物細胞を示す、
7b. ツツジ型菌根の表皮細胞内の菌糸コイル
7c. Woollsia pungens から単離されたツツジ型菌根菌
7d. ツツジ型菌根をもつギョリュウモドキ(ツツジ亜科)からなるヒース荒原(オランダ

ラン型菌根

[編集]

ラン型菌根[2][3](ラン菌根[18][22][注 2]; orchid mycorrhiza)では、菌糸が根の細胞に侵入し毛糸玉状の構造を形成し、この構造はペロトン(peloton)ともよばれる[28](下図8a, b)。ラン科の植物に特異的に見られる菌根であり、担子菌ハラタケ綱CeratobasidiumThanatephorusTulasnella(アンズタケ目)、ロウタケ属(ロウタケ目)、イボタケ属ラシャタケ属(イボタケ目)、ベニタケ属(ベニタケ目)などが菌根菌となる[18]。また、他の植物と外生菌根を形成する子嚢菌であるセイヨウショウロ属チャワンタケ綱)もラン型菌根から報告されている[18]

ラン科の植物は、菌根菌に強く依存して生活している。細胞中で菌根菌はペロトンを形成するが、やがてペロトンは分解され、この分解物がランによって利用されている(つまりランが菌を"食べる")可能性も示唆されている[2][18]。特にランの種子は極めて小さく胚乳をもたないため自身のみでは発芽できず、菌根菌と共生して有機物を含む栄養分を得ることによって初めて発芽(共生発芽 symbiotic germination[2])し、プロトコームとよばれる状態を経て幼植物が成長する[2][3][18](下図8c)。成長した植物体でも、根や地下茎で菌根菌と共生した状態(ラン型菌根)が維持される[18]

8a. ラン型菌根の横断面模式図: ペロトン (peloton) と分解されたペロトン (digested peloton)、緑色は植物細胞を示す。
8b. a, b. 着生ラン、c. 根の横断面: 根が根被(Ve, 植物の組織)で囲まれ、皮層(Rz)に菌糸(青)が侵入している、d. 植物細胞内の菌糸(青)によるペロトン
8c. Himantoglossum adriaticum のプロトコーム

ラン科には光合成能を欠く種が比較的多く知られているが(無葉緑ラン、腐生ランとよばれる[32][33])、これらは菌根菌から有機物を含む栄養を得て生きる菌従属栄養植物(腐生植物)である[18][19]。このような植物はラン型菌根菌から有機物を得ているが、その有機物の由来については菌根菌の種類によって2つの経路があることが知られている。1つはラン型菌根を形成すると共に木本外生菌根を形成する菌根菌が、木本の光合成由来の有機物をランに供給する経路である[18](下図8d)。もう1つはナラタケ属、クヌギタケ属、キララタケ属(ハラタケ目)など腐生性の菌類が菌根菌となっている場合であり、菌が植物遺体など有機物の分解で得た栄養源を植物が得ている経路である[18](下図8e)。いずれも、植物側が一方的に利益を得ている片利共生または寄生的な関係であると考えられている[3]。また、ランの中には、自身で光合成するものの菌根菌から部分的に有機物を得ている例(部分的菌従属栄養植物、混合栄養植物)があることも知られており、キンランシュンランなどがその例として挙げられる[19](下図7f)。

8d. 外生菌根菌と共生する菌従属栄養植物であるマヤラン
8e. ナラタケ類と共生する菌従属栄養植物であるツチアケビ
8f. 部分的菌従属栄養植物であるキンラン

その他

[編集]

菌根の主なタイプとしてはふつう上記の7つが挙げられるが[2][3][18]、他にも特異な菌根タイプがいくつか知られている。また、慣習的に菌根菌として扱われないが、特に根に共生する内生菌(エンドファイト)も存在する。

エントローマ菌根

[編集]
9. ハルシメジ (Entoloma clypeatum)

エントローマ菌根(ハルシメジ型菌根)は、バラ科ニレ科の植物と担子菌のハルシメジ類(ハラタケ目; 図9)の間で形成される[28][18][34]。細根の先端部に形成され棍棒状または先端が球形になり、根の先端の植物組織(根冠根端分裂組織表皮皮層)が消失、この部分に菌糸が侵入する[18]。このように菌類は寄生的にふるまうが、樹勢には影響しない[18]。菌類の子実体形成時の短期間だけに多く見られることが知られている[18]

キャベンディッシオイド菌根

[編集]
10. キャベンディッシオイド菌根の透過型電子顕微鏡像: 菌鞘 (HM)、ハルティヒネット (HN)、細胞中の菌糸 (iH)、皮層 (R)、中心柱 (Lz)

キャベンディッシオイド菌根(cavendishioid mycorrhiza)は、中南米のツツジ科スノキ亜科の Cavendishia などに見られる菌根である[18]。スノキ亜科で一般的なツツジ型菌根と同様に細い根(hair root)の表皮細胞中に菌糸コイルを形成するが、菌鞘やハルティヒネットを形成する点で異なる[18](図10)。菌根菌の多くはロウタケ目担子菌門ハラタケ綱)であるが、子嚢菌ズキンタケ綱のものも報告されている[18]

ダークセプテート・エンドファイト

[編集]

ダークセプテート・エンドファイト[29](dark septate endophyte, DSE)は、シダ植物を含む様々な植物のに内生する特徴的な菌類である[35][29][36]。根の細胞間または細胞内に伸びる菌糸は隔壁を有し細胞壁メラニン化して暗色になり、また小菌核(小さな塊状の休眠構造)を形成する[35]。系統的にはビョウタケ目(ズキンタケ綱)、プレオスポラ目、カプノジウム目(クロイボタケ綱)、カエトチリウム目、エウロチウム目(エウロチウム綱)、ボタンタケ目、フンタマカビ目、クロサイワイタケ目、マグナポルテ目、ミクロアスクス目、カエトスフェリア目(フンタマカビ綱)などに属する子嚢菌であることが報告されている[37]。ダークセプテート・エンドファイトは様々な生態系、様々な植物から報告されているが、その生理的機能は必ずしも明らかではなく、宿主植物に対して相利共生的であるものから寄生的であるものまで報告されている[35]。宿主植物に対して、可溶化や有機物分解による栄養塩の供給、病原菌からの保護、環境ストレスへの耐性が与えられると考えられている[35]

ファインエンドファイト

[編集]

ファインエンドファイト[29](fine endophyte, FE; fine root endophyte, FRE)は、アーバスキュラー菌根菌に似るが、やや異なる特徴をもち、系統的に異なる菌類であることが明らかとなっている。直径 2マイクロメートル (µm) 以下と非常に細い無隔壁の菌糸をもち、典型的なアーバスキュラー菌根菌(グロムス類)よりも濃く染色される根の共生菌である[38][39]。根の皮層の細胞内には樹枝状体が形成されるが、その主軸は細い[39]。菌糸の先端または途中に直径 5–10 µm ほどの膨潤構造が形成されることがあり、嚢状体ともよばれるが、アーバスキュラー菌根菌の嚢状体よりも小さい[39]。また、直径 20 µm 以下の胞子(グロムス類の胞子は 40–1000 µm[40])がごく稀に報告されており、最初は無色であるがのちに褐色になるとされる[39]。この菌根菌はグロムス類と混同され、Glomus tenue とよばれていた[38][39][41]。しかし2010年代後半以降、この菌根菌はケカビ亜門アツギケカビ目に属するものであることが示され、Planticonsortium tenue の名が提唱されている(ただし、ファインエンドファイト = Glomus tenue とされていた生物は、アツギケカビ類の中で系統的に多様であることも示されている。)[38][41]

上記のようにグロムス類と混同されることが多かったため、ファインエンドファイトの宿主範囲や生態的特徴は必ずしも明らかではない。ファインエンドファイトと典型的なアーバスキュラー菌根菌(‘coarse’ AMF とよばれた)を分けて扱っていた報告からは、ファインエンドファイトが世界中に分布しており、典型的なアーバスキュラー菌根菌と同様にイネ科キンポウゲ科マメ科バラ科サクラソウ科オオバコ科キク科など多様な植物を宿主としていることが示されている[39]シダ植物リュウビンタイゼンマイ配偶体Anogramma leptophylla、トクサ属)、小葉類ヒカゲノカズラ目)、ツノゴケ類苔類でもおそらく同様な菌根菌共生が知られており[42][43]下記参照)、またアツギケカビ目ブナ科フトモモ科ナンキョクブナ科外生菌根を形成することもある[44]。農場においては、典型的なアーバスキュラー菌根菌と同程度またはより多く見られることもある[39]。いくつかの研究では、ファインエンドファイトが宿主植物のリンの取り込みと成長を促進し、また典型的なアーバスキュラー菌根菌よりも環境ストレスに対する高い耐性を付与することが示唆されている[39]

コケ植物の菌根

[編集]

コケ植物をもたないため厳密な意味の菌根はもたないが、しばしば葉状体仮根に菌類が共生して類似した共生関係(mycorrhiza-like)が見られ、広義には菌根として扱われる[29][9]苔類コマチゴケ綱ゼニゴケ綱では、アーバスキュラー菌根菌グロムス類)またはアツギケカビ目(上記ファインエンドファイトを参照)による共生がしばしば見られ(下図11)、両者が同時に共生することもある[29]。この共生はツボミゴケ綱のミズゼニゴケ亜綱とツボミゴケ亜綱の共通祖先で失われたと考えられ、代わりにこれらの苔類の中には担子菌または子嚢菌と共生するものが出現した[42]。この共生では菌糸は細胞内に侵入して菌糸ペグ状の構造を形成し、特にジャンガーマンニオイド菌根[18](jungermannioid mycorrhiza)とよばれることもある[45][46]。担子菌ではハラタケ綱アンズタケ目ツラスネラ科やロウタケ目セレンディピタ科が共生菌として知られており、このような菌類を共生者とする苔類の中には、唯一の菌従属栄養性(光合成をせずに共生菌から栄養を得る)コケ植物である Aneura mirabilis もいる[29]。また、子嚢菌ではツツジ科植物とツツジ型菌根を形成する Rhizoscyphusズキンタケ綱)が共生者となり、仮根の先端の膨潤部中に菌糸コイルを形成する[29]

11a. 葉状性苔類中のアーバスキュラー菌根菌(青く染色)(a. ゼニゴケ属、b. ケゼニゴケ、c. Symphogyna
11b. Jensenia(クモノスゴケ目)中のアーバスキュラー菌根菌(左: 樹枝状体、右: 嚢状体)

ツノゴケ類でも、苔類コマチゴケ綱ゼニゴケ綱と同様にアーバスキュラー菌根菌グロムス類)またはアツギケカビ目による共生がしばしば見られ、両者が同時に共生することも多い[29][42][47]。一方、蘚類はふつう非菌根性とされるが、必ずしも明らかではない[29][42]

菌根を欠く植物

[編集]

維管束植物はふつう菌根をもち、90%以上の種で菌根が見られる[7]。しかし菌根共生があまり見られない分類群も存在し、カヤツリグサ科タデ科ナデシコ科スベリヒユ科ヒユ科アブラナ科などでは菌根をもたないが比較的多い[48]。また、コケ植物蘚類でも、菌根菌共生の確実な例は知られていない(上記参照)。

寄生植物(半寄生植物を含む)や食虫植物、またクラスター根(下記参照)をもつ植物はそれぞれ無機栄養分獲得の特殊な手段をもっており、おそらくそのため菌根をもたない[7][48]。ヤスデゴケ属(ツボミゴケ綱)、ヒトツバ属、ノキシノブ属(ウラボシ科)など他の植物上に生育する着生植物も菌根をもたないことがある[7][48]。また、水中や塩湿地、極地、砂漠など特殊環境に生育する植物は菌根を欠くことが多い[7][48]

起源と進化

[編集]
12. ホルネオフィトンHorneophyton; デボン紀前期)の復元図: 現生植物の菌根と類似した構造をもつ。

アーバスキュラー菌根共生に用いられる遺伝子の少なくとも一部(DMI1, DMI3, IPD3)は陸上植物全体(コケ植物から被子植物)に存在することから、現生陸上植物の共通祖先が菌根共生のシステムをもち、これが陸上植物の起源・初期進化に重要であったことを示唆している[49][50]苔類ツノゴケ類のもつこのような遺伝子を被子植物に導入しても、菌根共生に機能することが示されている。

デボン紀前期(約4億年前)の陸上植物の最初期の大型化石[注 3]であるアグラオフィトンAglaophyton)やホルネオフィトンHorneophyton; 図12)からは、現在の菌根に似た構造(ただしこれらの植物はをもたない)が見つかっており、このことも菌根共生が植物進化の極めて初期から存在していたことを支持している[22][9][51]。詳細な観察からは、ホルネオフィトンの直立茎にはグロムス類が、地下茎にはアツギケカビ類が共生していたことが示唆されている[52]

上記のように、陸上植物進化の極めて初期の段階でグロムス類アツギケカビ類との共生が確立したと考えられており、現生陸上植物の中では、グロムス類との共生によるアーバスキュラー菌根は最も普遍的な菌根である[9][7]。この祖先状態から外生菌根共生への変化が、さまざまな系統(マツ科ブナ科など)において独立に起こったと考えられている[7]。このような進化の中では、アーバスキュラー菌根共生と外生菌根共生を同時にもつ植物や、環境や成長に応じてこの2つの菌根共生が切り替わる例が知られている[7]。またラン科ツツジ科ではそれぞれ特異な菌根共生(それぞれラン型菌根ツツジ型菌根)が獲得された[7]。さらに菌根共生の消失もさまざまな系統で独立に起こっており、このような進化は、しばしば寄生クラスター根など新たな栄養塩獲得様式の取得や着生・水生など生育環境の特殊化と関連している[7]上記参照)。

菌根に似た構造

[編集]

植物が根の機能を強化するものとしては菌根以外にも以下のようなものが知られる。

根粒

[編集]

根粒(根瘤、root nodule)は、根に窒素固定能をもつ細菌が共生して形成されたコブ状の構造である。根粒は菌根と混同されることがあるが、根粒における共生者は原核生物の細菌(バクテリア)であり、菌根における共生者が真核生物菌類であるのとは全く異なる。生物の必須栄養素である窒素は窒素分子(N2)の形で大気中に大量に存在するが、植物を含む多くの生物はこれを直接利用することができない。根粒を形成する細菌は窒素分子を植物が利用可能なアンモニアに変換(窒素固定)することが可能であり、これを植物に供給し、一方で細菌は光合成産物を受け取る[53](下図13a)。根粒を形成する植物はマメ科マメ目)がよく知られているが(下図13b, c)、他にもバラ目グミなど)、ウリ目ドクウツギなど)、ブナ目ハンノキなど)などの一部も根粒を形成する(下図13d)。マメ目を含むこれらの単系統群を形成しており、窒素固定クレード(nitrogen-fixing clade)とよばれる[54]。マメ科の根粒の共生者はプロテオバクテリア門に属するが、その他の植物では放線菌が共生者となっており、このような根粒は特にハンノキ型根粒や放線菌根 (actinorhiza) とよばれる[55][56][57](下図13d)。分子生物学的研究から、根粒形成のシステムはアーバスキュラー菌根形成のシステムをもとにしたものであることが明らかになっている[54]

13a. マメ科の根粒における根粒細菌との共生関係
13b. エンドウ属(マメ科)の根粒
13c. ダイズ(マメ科)の根粒の電子顕微鏡像: 濃色部は根粒細菌
13d. ヨーロッパハンノキ(カバノキ科)のハンノキ型根粒

クラスター根

[編集]
14. Leucospermum cordifolium(ヤマモガシ科)のクラスター根

クラスター根(cluster root)は、短い側根が密生して試験管ブラシ状になったのことであり(図14)、表面積が広く有機酸酸性ホスファターゼを分泌することによって難利用性リンを可溶化・吸収しやすくしている[58][59]。クラスター根はリン欠乏条件で多く形成され、リン欠乏に対する適応戦略の1つであると考えられている[58]。 当初は、このような根はヤマモガシ科学名: Proteaceae)から見つかっていたため、その学名をもとにプロテオイド根(proteoid root)とよばれていたが、その後ヤマモモ科クワ科モクマオウ科マメ科(特にアカシア属ルピナス属の一部)に属する一部の種にも同様な構造が知られるようになったため、形態的特徴(房状 cluster)からクラスター根(cluster root)とよばれるようになった[58]。また、側根ではなく根毛が房状に形成されたダウシフォーム根(dauciform root)がカヤツリグサ科イグサ科の一部に、同様のキャピラロイド根がサンアソウ科に見られ、これらもクラスター根と同様にリン吸収に適応したものであると考えられている[59]。一般的に、このような房状の根をもつ植物は菌根を形成しないとされる[58][59]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ mycorrhiza の複数形は mycorrhizae または mycorrhizas[1]
  2. ^ 卵菌(らんきん)とは関係がない。
  3. ^ 2022年現在、これ以前の陸上植物の化石記録のほとんどは胞子など微化石である[7]

出典

[編集]
  1. ^ mycorrhiza”. Merriam-Webster Dictionary. 2022年9月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “菌根”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. pp. 333–335. ISBN 978-4000803144 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 山田明義 (2014). “植物とともに生きている菌類:菌根共生”. In 細矢剛, 国立科学博物館. 菌類のふしぎ 第2版. 東海大学出版部. pp. 178–186. ISBN 978-4486020264 
  4. ^ a b c 齋藤雅典 (2020). “コラム 菌根と共生 -用語の使い方”. In 齋藤雅典. 菌根の世界: 菌と植物のきってもきれない関係. 築地書館. pp. 23–24. ISBN 978-4806716068 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m 齋藤雅典 (2020). “土の中の小さな宝石 - アーバスキュラー菌根菌”. In 齋藤雅典. 菌根の世界: 菌と植物のきってもきれない関係. 築地書館. pp. 25–62. ISBN 978-4806716068 
  6. ^ Jacott, Catherine; Murray, Jeremy; Ridout, Christopher (2017-11-16). “Trade-Offs in Arbuscular Mycorrhizal Symbiosis: Disease Resistance, Growth Responses and Perspectives for Crop Breeding” (英語). Agronomy 7 (4): 75. doi:10.3390/agronomy7040075. ISSN 2073-4395. http://www.mdpi.com/2073-4395/7/4/75. 
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q Brundrett, M. C. & Tedersoo, L. (2018). “Evolutionary history of mycorrhizal symbioses and global host plant diversity”. New Phytologist 220 (4): 1108-1115. doi:10.1111/nph.14976. 
  8. ^ a b 『キャンベル生物学』, p. 934–935, 菌類と植物の栄養
  9. ^ a b c d Hoysted, G. A., Kowal, J., Jacob, A., Rimington, W. R., Duckett, J. G., Pressel, S., ... & Bidartondo, M. I. (2018). “A mycorrhizal revolution”. Current Opinion in Plant Biology 44: 1-6. doi:10.1016/j.pbi.2017.12.004. 
  10. ^ a b c d e f g h i 山田明義 (2020). “外生菌根の生態とマツタケ”. In 齋藤雅典. 菌根の世界: 菌と植物のきってもきれない関係. 築地書館. pp. 67–101. ISBN 978-4806716068 
  11. ^ 松崎克彦「アーバスキュラー菌根菌とその利用」『農業および園芸』第84巻第1号、養賢堂、2009年1月、170-175頁、CRID 1050282813683188352ISSN 0369-5247NAID 40016401376 
  12. ^ 江澤辰広「土壌微生物が創る共生の世界 : その先端的研究事例と農業への応用的研究展開 : 2.第二,第三次技術革新が開くアーバスキュラー菌根共生研究 : 栄養共生機構・生態・ビジネス展望」『日本土壌肥料学雑誌』第87巻第1号、日本土壌肥料学会、2016年2月、64-69頁、CRID 1050001202927763968doi:10.20710/dojo.87.1_64hdl:2115/67002ISSN 00290610NAID 120006333813 
  13. ^ 村山保裕「木炭,外生菌根菌資材施用によるクロマツ苗木の活着と成長」『静岡県林業技術センター研究報告』第32号、静岡県林業技術センター、2004年3月、19-24頁、CRID 1050001338678302720ISSN 0916-2895NAID 220000092425 
  14. ^ 平成28年度農研機構シンポジウム 菌根 リン酸肥料を減らせる根の秘密 講演要旨集. 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター. pp. 1–14. https://www.naro.go.jp/project/research_activities/files/1AM-kouenyoshi.pdf 
  15. ^ 腐生植物https://kotobank.jp/word/%E8%85%90%E7%94%9F%E6%A4%8D%E7%89%A9コトバンクより2022年9月24日閲覧 
  16. ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “菌従属栄養植物”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 336. ISBN 978-4000803144 
  17. ^ 菌従属栄養植物”. 明間民央のページ. 2022年9月22日閲覧。
  18. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd be bf bg bh bi bj 日本菌学会 (編), ed (2013). “15.1.2 菌根”. 菌類の事典. 朝倉書店. pp. 300–315. ISBN 978-4254171471 
  19. ^ a b c d e f g 辻田有紀 & 遊川知久 (編) (2014). “光合成をやめた植物ー菌従属栄養植物のたどった進化の道のり”. 植物科学最前線 5: 84–139. https://bsj.or.jp/jpn/general/bsj-review/BSJ-Review5C.pdf. 
  20. ^ a b c Bidartondo, M. I. (2005). “The evolutionary ecology of myco‐heterotrophy”. New Phytologist 167 (2): 335-352. doi:10.1111/j.1469-8137.2005.01429.x. 
  21. ^ Qu, X. J., Fan, S. J., Wicke, S. & Yi, T. S. (2019). “Plastome reduction in the only parasitic gymnosperm Parasitaxus is due to losses of photosynthesis but not housekeeping genes and apparently involves the secondary gain of a large inverted repeat”. Genome Biology and Evolution 11 (10): 2789-2796. doi:10.1093/gbe/evz187. 
  22. ^ a b c d e f g h i j k l m n 齋藤雅典・小川真 (2020). “地球の緑を支える菌根共生 –菌と根の奇跡の出会い”. In 齋藤雅典. 菌根の世界: 菌と植物のきってもきれない関係. 築地書館. pp. 9–22. ISBN 978-4806716068 
  23. ^ L. テイツ, E. ザイガー, I.M. モーラー & A. マーフィー (編) (2017). “菌根菌は根の養分吸収を促進する”. 植物生理学・発生学 原著第6版. 講談社. pp. 137–141. ISBN 978-4061538962 
  24. ^ 『キャンベル生物学』, p. 753–773, 31 菌類.
  25. ^ 宝月岱造 (2010). “外生菌根菌ネットワークの構造と機能”. 土と微生物 64: 57–63. doi:10.18946/jssm.64.2_57. 
  26. ^ 市石博「生態系をみる新たな視点 : 土の中に広がるネットワーク『菌根菌』研究の現場を見聞きして (<連載4>学校便り(3))」『日本生態学会誌』第57巻第2号、日本生態学会、2007年、277-280頁、CRID 1390282679269148672doi:10.18960/seitai.57.2_277ISSN 00215007NAID 110006419274 
  27. ^ L. テイツ, E. ザイガー, I.M. モーラー & A. マーフィー (編) (2017). “菌根ネットワークは主だった地上生態系の全てにおいて根系構造を増強している”. 植物生理学・発生学 原著第6版. 講談社. pp. 582–583. ISBN 978-4061538962 
  28. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 菌根とは”. 明間民央のページ. 2022年9月17日閲覧。
  29. ^ a b c d e f g h i j 辻田有紀 (2020). “菌根共生の原点 - コケ植物とシダ植物の菌根共生”. In 齋藤雅典. 菌根の世界: 菌と植物のきってもきれない関係. 築地書館. pp. 163–176. ISBN 978-4806716068. http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1606-8.html 
  30. ^ 小八重善裕「アーバスキュラー菌根共生のライフサイクルと機能」『日本土壌肥料学雑誌』第87巻第6号、日本土壌肥料学会、2016年、479-483頁、CRID 1390282681537448832doi:10.20710/dojo.87.6_479ISSN 0029-0610NAID 130006221508 
  31. ^ Suetsugu, K., Taketomi, S., Tanabe, A. S., Haraguchi, T. F., Tayasu, I. & Toju, H. (2020). “Isotopic and molecular data support mixotrophy in Ophioglossum at the sporophytic stage”. New Phytologist 228 (2): 415-419. doi:10.1111/nph.16534. 
  32. ^ 青山幹男 (2010). “菌従属栄養ラン・トラキチラン属3種の細胞学的研究”. Proceedings of NIOC 2010, Nagoya Dome, Japan: 1–4. "名古屋国際蘭会議2010記録" 
  33. ^ 大和政秀「菌類従属栄養植物にみられる内生菌根菌の多様性と特異性について」『日本菌学会大会講演要旨集』日本菌学会第52回大会セッションID: S4-4、日本菌学会、2008年、22頁、CRID 1390282680637185024doi:10.11556/msj7abst.52.0.22.0NAID 130007004657。「植物に狙われる菌類 - 菌従属栄養植物研究の最前線 -」 
  34. ^ 小林久泰『日本産ハルシメジ類の菌根の形態及び生態とその利用に関する研究』 筑波大学〈博士 (農学) 乙第2111号〉、2005年。hdl:2241/3870NAID 500000333445https://hdl.handle.net/2241/3870 
    小林久泰「日本産ハルシメジ類の菌根の形態及び生態とその利用に関する研究」『茨城県林業技術センター研究報告』第27号、茨城県林業技術センター、2007年3月、1-39頁、CRID 1050001338696814720ISSN 1344-2090NAID 220000105955 
  35. ^ a b c d Berthelot, C., Chalot, M., Leyval, C. & Blaudez, D. (2019). “From darkness to light: emergence of the mysterious dark septate endophytes in plant growth promotion and stress alleviation”. Endophytes for a Growing World. Cambridge University Press. pp. 143–164. doi:10.1017/9781108607667.008 
  36. ^ Lehnert, M., Krug, M., & Kessler, M. (2017). “A review of symbiotic fungal endophytes in lycophytes and ferns–a global phylogenetic and ecological perspective”. Symbiosis 71 (2): 77-89. doi:10.1007/s13199-016-0436-5. 
  37. ^ Malicka, M., Magurno, F. & Piotrowska-Seget, Z. (2022). “Plant association with dark septate endophytes: When the going gets tough (and stressful), the tough fungi get going”. Chemosphere 302: 134830. doi:10.1016/j.chemosphere.2022.134830. 
  38. ^ a b c Orchard, S., Hilton, S., Bending, G. D., Dickie, I. A., Standish, R. J., Gleeson, D. B., ... & Ryan, M. H. (2017). “Fine endophytes (Glomus tenue) are related to Mucoromycotina, not Glomeromycota”. New Phytologist 213 (2): 481-486. doi:10.1111/nph.14268. 
  39. ^ a b c d e f g h Orchard, S., Standish, R. J., Dickie, I. A., Renton, M., Walker, C., Moot, D. & Ryan, M. H. (2017). “Fine root endophytes under scrutiny: a review of the literature on arbuscule-producing fungi recently suggested to belong to the Mucoromycotina”. Mycorrhiza 27 (7): 619-638. doi:10.1007/s00572-017-0782-z. 
  40. ^ Redecker, D. & Schüssler, A. (2014). “Glomeromycota”. In McLaughlin, D. J. & Spatafora, J. W.. THE MYCOTA, volume 7A. Systematics and Evolution Part A. Springer. pp. 251-270. ISBN 978-3-642-55317-2 
  41. ^ a b Walker, C., Gollotte, A. & Redecker, D. (2018). “A new genus, Planticonsortium (Mucoromycotina), and new combination (P. tenue), for the fine root endophyte, Glomus tenue (basionym Rhizophagus tenuis)”. Mycorrhiza 28 (3): 213-219. 
  42. ^ a b c d Rimington, W. R., Duckett, J. G., Field, K. J., Bidartondo, M. I. & Pressel, S. (2020). “The distribution and evolution of fungal symbioses in ancient lineages of land plants”. Mycorrhiza 30 (1): 23-49. doi:10.1007/s00572-020-00938-y. 
  43. ^ Ogura-Tsujita, Y., Yamamoto, K., Hirayama, Y., Ebihara, A., Morita, N. & Imaichi, R. (2019). Fern gametophytes of Angiopteris lygodiifolia and Osmunda japonica harbor diverse Mucoromycotina fungi. 132. pp. 581-588. 
  44. ^ Yamamoto, K., Endo, N., Degawa, Y., Fukuda, M. & Yamada, A. (2017). “First detection of Endogone ectomycorrhizas in natural oak forests”. Mycorrhiza 27 (3): 295-301. doi:10.1007/s00572-016-0740-1. 
  45. ^ Kottke, I., Beiter, A., Weiss, M., Ingeborg, H. A. U. G., Oberwinkler, F. & Nebel, M. (2003). “Heterobasidiomycetes form symbiotic associations with hepatics: Jungermanniales have sebacinoid mycobionts while Aneura pinguis (Metzgeriales) is associated with a Tulasnella species”. Mycological Research 107 (8): 957-968. doi:10.1017/s0953756203008141. 
  46. ^ Peterson, R. L. & Massicotte, H. B. (2004). “Exploring structural definitions of mycorrhizas, with emphasis on nutrient-exchange interfaces”. Canadian Journal of Botany 82 (8): 1074-1088. doi:10.1139/b04-071. 
  47. ^ Desirò, A., Duckett, J. G., Pressel, S., Villarreal, J. C. & Bidartondo, M. I. (2013). “Fungal symbioses in hornworts: a chequered history”. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 280: 20130207. doi:10.1098/rspb.2013.0207. 
  48. ^ a b c d Wang, B. & Qiu, Y. L. (2006). “Phylogenetic distribution and evolution of mycorrhizas in land plants”. Mycorrhiza 16 (5): 299-363. doi:10.1007/s00572-005-0033-6. 
  49. ^ Wang, B., Yeun, L. H., Xue, J. Y., Liu, Y., Ané, J. M. & Qiu, Y. L. (2010). “Presence of three mycorrhizal genes in the common ancestor of land plants suggests a key role of mycorrhizas in the colonization of land by plants”. New Phytologist 186 (2): 514-525. doi:10.1111/j.1469-8137.2009.03137.x. 
  50. ^ Delaux, P. M., Radhakrishnan, G. V., Jayaraman, D., Cheema, J., Malbreil, M., Volkening, J. D., ... & Ané, J. M. (2015). “Algal ancestor of land plants was preadapted for symbiosis”. Proceedings of the National Academy of Sciences 112 (43): 13390-13395. doi:10.1073/pnas.151542611. 
  51. ^ Taylor, T. N., Remy, W., Hass, H. & Kerp, H. (1995). “Fossil arbuscular mycorrhizae from the Early Devonian”. Mycologia 87 (4): 560-573. doi:10.2307/3760776. 
  52. ^ Strullu‐Derrien, C., Kenrick, P., Pressel, S., Duckett, J. G., Rioult, J. P. & Strullu, D. G. (2014). “Fungal associations in H orneophyton ligneri from the R hynie C hert (c. 407 million year old) closely resemble those in extant lower land plants: novel insights into ancestral plant–fungus symbioses”. New Phytologist 203 (3): 964-979. doi:10.1111/nph.12805. 
  53. ^ キャンベル生物学』, p. 932–934, 窒素固定細菌:その詳細.
  54. ^ a b 林誠「植物の窒素固定:植物と窒素固定細菌との共生の進化」『領域融合レビュー』第4巻、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター、2015年、e010、CRID 1390290697533576064doi:10.7875/leading.author.4.e010 
  55. ^ 山中高史, 岡部宏秋「わが国に生育する放線菌根性植物とフランキア菌」『森林総合研究所研究報告』第7巻第1号、森林総合研究所、2008年3月、67-80頁、CRID 1050282813677531264ISSN 0916-4405NAID 40016000067 
  56. ^ 九町健一「共生窒素固定放線菌フランキア(生物材料インデックス)」『生物工学会誌』第91巻第1号、日本生物工学会、2013年、24-27頁、CRID 1520853833627219328ISSN 09193758NAID 110009580287 
  57. ^ 植村 誠次 (1977). “根粒菌と根粒植物”. URBAN KUBOTA 14: 22–25. 
  58. ^ a b c d 和崎淳「クラスター根形成による植物の養分獲得戦略」『化学と生物』第44巻第6号、2006年、420-423頁、doi:10.1271/kagakutoseibutsu.55.189 
  59. ^ a b c * 丸山隼人, 和崎淳「低リン条件で房状の根を形成する植物の機能と分布」『化学と生物』第55巻第3号、日本農芸化学会、2017年、189-195頁、CRID 1390001204203469184doi:10.1271/kagakutoseibutsu.55.189ISSN 0453073XNAID 130006386476 

参考文献

[編集]

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]