西武9000系電車
西武9000系電車 | |
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基本情報 | |
運用者 | 西武鉄道 |
製造所 | 西武所沢車両工場 |
製造年 | 1993年 - 1999年 |
製造数 | 10両編成8本(80両) |
主要諸元 | |
編成 |
10両編成(消滅) 4両編成 |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
電気方式 | 直流1,500 V(架空電車線方式) |
最高運転速度 | 105 km/h |
設計最高速度 |
抵: 110 km/h V: 120 km/h |
起動加速度 | 2.8 km/h/s |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 4.0 km/h/s |
編成定員 | 10両編成: 1,450(座席522)人 |
車両定員 | 本文参照 |
自重 | 本文参照 |
全長 | 20,000 mm |
全幅 | 2,870 mm |
全高 |
空調上面: 4,065 mm パンタ折畳み: 菱: 4,208 mm S: 4,214 mm |
台車 |
ペデスタル式空気ばね台車 FS372・FS072 |
主電動機 |
抵: 直流直巻電動機 V: かご形三相誘導電動機 |
主電動機出力 |
抵: 150kW V: 135 kW |
駆動方式 |
抵: 中空軸平行カルダン駆動方式 V: WN継手式中実軸平行カルダン方式 |
歯車比 | 86:15 (5.73) |
制御方式 |
抵: 電動カム軸式抵抗制御 V: VVVFインバータ制御 (IGBT素子) |
制御装置 |
抵: MMC-HTB-20E系 V: VFI-HR1815D |
制動装置 |
抵: 発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ (HSC-D) V: 回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキ (HSC-R)(全電気ブレーキ)・遅れ込め制御 |
保安装置 | 西武形ATS |
備考 |
抵: 登場時(10両編成) V: VVVF化後(10両編成) ワ: ワンマン化後(4両編成) 菱: 菱形パンタ S: シングルアームパンタ |
西武9000系電車(せいぶ9000けいでんしゃ)は、1993年(平成5年)から製造された西武鉄道の通勤形電車。
概要
池袋線の4ドア車両による10両編成化を推進するため、1993年(平成5年)から1999年(平成11年)にかけて10両編成8本の計80両が西武所沢車両工場にて製造された。走行機器などは廃車となった旧101系の電装品を再利用している[1]が、補助電源装置はSIVが採用されており、2000年代に入ると主回路機器もVVVFインバータによるものへ更新されている。
本系列最後の9108編成は西武所沢車両工場での最終新造車であり[2]、また現時点で西武鉄道の通勤用車両の中で最後に製造された「黄色い電車」でもある。同編成の最初の4両は1998年8月24日、中間車6両は1999年3月2日に竣工した[2]。
車両概説
直前まで製造されていた新2000系と同等の車体を有するが、接客設備は同時期に製造されていた6000系相当にアップグレードされており、また足回りは前述の通り101系譲りの抵抗制御で製造された。
なお、新2000系との主な相違点としては、電装品のほかに以下のようなものがある。
- 前面の手すりと貫通扉下部の靴ずり部が黒色[1]。また電気連結器がない[1]。
- 10両固定編成であり、サハが存在する(4両化後も編成構成が異なる)。
- 側面の種別・行先表示器が分離されている(6000系と共通。このため2008年以前は表示幕自体のデザインも異なっていた)。
- 屋根肩部のランボードが屋根と一体的な形状で、かつ車体全長に渡って設置[3](新2000系は冷房・パンタ付近のみに浮かせて設置)。
- 車内のドア上には大型の案内表示器があり、座席には区分模様がある。
- 車内の非常通報装置が対話式。また一部車両に車椅子スペースが設置されている。
- VVVF化後は全ての編成で前面に車両番号・省エネマークが掲出されている(省エネマークは後に撤去)
- 戸袋窓が簡易封鎖されている(2013年頃以降)
製造区分は以下の通り。
区分 | 製造時期 | 対象車両 | 備考 |
---|---|---|---|
1次車 | 1993 - 1994年度 | 9101編成、9102編成のうち4両 | スカート開口部大 |
2次車 | 1994 - 1995年度 | 9102編成のうち6両、9103編成 | |
3次車 | 1995年度 | 9104編成 | |
4次車 | 1996 - 1997年度 | 9105・9106編成 | ここからSIV変更 |
5次車 | 1997 - 1998年度 | 9107・9108編成 | 側引戸複層ガラス・当初より転落防止幌あり |
車体
基本的には新2000系に準じているが、前述したランボード等をはじめ、雨樋が妻部にも設置されたこと、側面の表示器の位置と横幅、非常通報車側灯のLED化(レンズが筒状のオレンジ色に変更)など、細部に違いがみられる。
前面のスカートは1次車では新2000系とほぼ同形状であったが、2次車の9103編成からは切り欠きが小さい本系列専用設計となっている[4]。またスカートについては切欠き部分のRに個体差がよく出ている[5](これは新2000系にもみられる)。また5次車からは、新製時より連結部に転落防止幌(外ほろ)を設置しており、妻面窓がやや縮小される[2]とともに、手掛やドアコック配管が内寄りに移動している。なお転落防止幌は後に全編成に設置された。
内装
車内は新2000系をベースとするものの、設備面は当時量産が開始されていた6000系に準じたものとなっており[3]、さらに細部にも変化がみられる。室内の化粧板は新2000系と同じクリーム色系統だが模様が異なるものとなっており、「ハーレ・クイーン」と名付けられた[3]。床材は薄茶色系で、出入り口部の滑り止めはひし形のパターンとなっている(6000系0番台・4000系2次車と同じ)。
座席は背ずりに区分模様を取り入れたものとした[3]。モケットは朱色(優先席部は薄緑)、座席端部はステンレスパイプで仕切る構造となる[1]。
客用ドアはステンレスのヘアライン仕上げ[1]で新2000系に準じるが、仕上げの粒度と方向が従来車とは異なっている(9104編成のうち1 - 5号車を除く)。また5次車では窓ガラスが複層ガラスとなった[2]。ドア上の鴨居部のカバーはFRP製で、LED式車内案内表示器とドアチャイムを備える。
つり革は白色系の丸型である。優先席部のものはオレンジ色品へ交換されている。
車椅子スペースを2号車と9号車の車端部に設置しており、同スペース部に接する側窓は固定窓[注 1]とし、安全手すりと非常通報装置を備える[3]。非常通報装置は対話式、客室内の通報器は各車2ヶ所に加えて前述の車椅子スペースに配置されている。
冷房装置は冷房能力48.84 kW・42,000 kcal/hのCU72D形集中式冷房装置を搭載し、室温はマイクロコンピュータにより自動制御される[3]。
このほかサービス機器として自動放送装置、中波帯AMラジオ放送再送信用アンテナを搭載する。
-
車内全景(バケットシート化後)
-
スタンションポール設置後の座席
乗務員室
乗務員室は正面非常貫通構造であり、室内は薄緑色の配色としている。乗務員室背面には遮光幕を設置した小窓・仕切扉窓・小窓で客室と仕切られる。基本構造は新2000系と変わらないが、設備面は6000系と揃えられている。
運転台は左側にマスコン、右側にブレーキ弁があり、これらは101系からの流用品である[5]。この間にスイッチ箱、上にメーターパネルを配するレイアウトは西武での標準的なもので、2000系と比較するとメーターパネルが大型化された点が目立つ。これは6000系に準じて各種表示灯がここに内蔵されたことと、HSC車ゆえにメーターが3連であることによる(メーターは左から速度計、ブレーキシリンダと直通管の圧力計、元空気管と直通管の圧力計[5])。また右上には直流100V電源の電圧計も追加されている。仕業表サシは列車番号設定器の取付に際して右側へ移動し、この2つは2000系と逆の配置となった。
また運転台の上部には「ガイダンス表示器」を設置している[3]。これはモニタ表示器に相当するもので、単色の液晶画面により車両の状態表示(開扉や故障など)を行う。運転台の背面には各種ブレーカーと受話器型の放送装置(非常通報受報器と共用)が配置され[5]、また車掌側の背面には表示設定器を両先頭車ともに設置している[5](ただし、種別・行先を設定するロータリースイッチはTc1側のみ)。車内外の表示と自動放送を一括で設定するもので、設定器とともに表示内容や地点を確認する画面が備えられている。なおこれは2010年代にタッチパネル式のものに置き換えられ、以降はTc1・Tc2どちらからでも設定が可能となっている。
機器類
※本項では製造当初の機器について解説を行う。なお特記なき限り旧101系からの再利用品である。
主回路機器は日立製作所製の抵抗制御方式で、主制御器は電動カム軸式、1C8M制御のMMC-HTB-20E3[5][注 2]である。主電動機は150 kW出力の直流電動機となる。
ブレーキ装置は発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ (HSC-D) である。また新たにフラット防止装置を搭載した[3]。
台車は軸箱守(ペデスタル)式の空気ばね台車で、軸箱支持は基礎ブレーキは両抱き式踏面ブレーキ(クラスプブレーキ)構造である。6000系に準じてフラット防止装置が新たに設置されたため、速度センサが各軸に設置されている[3]。形式は電動台車がFS372、付随台車がFS072で変化はない。
補助電源装置は東洋電機製造製の静止形インバータ (SIV)を新製。容量は150 kVAで、M2・M4・M6に搭載する[5]。故障時に備えて冗長化が考慮され、6000系同様に自動受給電装置[注 3]を搭載する。3次車まではGTO素子のSVH150-493A、4次車からはIGBT素子のSVH150-4011Aが採用されている。なお前者については2次車よりメーカーロゴが変更された。いずれも後の10000系と同じである。電動空気圧縮機 (CP) はレシプロ式のHS20-4をM2・M4・M6に1基搭載する[5]。
集電装置は菱形を新製、新2000系のPT4320S-A-Mからカギ外し装置を電磁式に変更したPT4320S-B-Mとし、M1・M3・M4・M5の飯能寄りに搭載する[5]。このうちM4は母線回路用で、主回路への配管とヒューズはない。搭載数を減らすため編成全体で母線引通しを行っており[1]、台枠に黄色の警戒塗装が施されている。9108編成では落成時よりシングルアーム式のPT7116Aを採用した[2]。またヒューズ箱についてはM1・M3が新品、M4・M5は流用品となっており、それぞれ外観が異なる[5]。
改造工事
VVVFインバータ制御への改造
本系列の車体自体は新しいが、冷房装置・補助電源装置等を除いた主要電装品は旧101系からの流用であり、また抵抗制御方式のままでは今後のメンテナンス費用の増加や予備部品確保の難しさ等の問題点が指摘された[6]。また、運転性能的には現状のままでも問題はないが、社会的な環境対策による省エネルギー化の観点から、より電力消費量の減少が必要とされるようになった[6]。
このようなことから車体の残存寿命を考慮しても、改造後の電力消費量やメンテナンス費用の減少などから十分に投資が回収できる見通しが立ったため、VVVFインバータ制御方式への改造を施工することが決定された[6]。改造内容はコストを極力抑えるために省コスト化・省エネ化を図れるものに限定し、そのほかの機器の改造は行わず、また改造内容は必要最低限ものとした[6]。さらに機器は予備品の共通化などの目的から20000系・10000系5次車と極力同型のものを採用した[6]。
2003年度(平成15年度)から2007年度(平成19年度)にかけて全編成に実施した。最初に施工された9106編成は試運転を経て2004年3月24日から営業運転を再開している[7]。
当初は武蔵丘車両検修場での施工であったが、3本目の9101編成からは東急車輛製造横浜製作所での施工に変更となり、甲種輸送[注 4]での入出場となった。
施工内容
- 制御装置をVVVFインバータへ変更。日立製、IGBT素子のVFI-HR1815D[8]で、抵抗制御時代と変わらずM1,M3,M5に1台搭載する[5]。
- 主電動機は135 kWかご形三相誘導電動機(HS32530-03RB)へ変更[6]。20000系および10000系5次車と互換性がある[5]。
- 駆動装置はWN継手方式の中実軸平行カルダンへ変更[5]。
- ブレーキ装置を回生ブレーキ併用の電磁直通ブレーキ方式 (HSC-R) に変更[6]。さらに6000系に準じた遅れ込め制御方式に改良した[6]。
- パンタグラフを菱形のPT4320S-B-Mからシングルアーム式のPT7116-B1へ換装。
- 最初に施工した9106編成では当改造では実施されず、2008年2月の検査時に実施された。
- 当初よりシングルアーム式PT7116Aを装備する9108編成もPT7116-B1へ換装されている。
- パンタグラフから床下への母線配管を2本から1本へ削減。
- M4車(6号車)のパンタグラフを配管の台座なども含め完全に撤去[5]。
- 跡地への通風器増設等は行われていない[5]。
- 9106編成のみ、5-6号車間の手すりも撤去している。
- 警笛に電子警笛を追加[6]。
- 改造時期により音色が異なり、2007年度改造の9103編成と9108編成は30000系と同じ低音タイプ、その他の2006年以前に施工された編成は20000系と同じ高音タイプとなる[9]。
- 運転台は構造面での変更はしないものの電流計・一部のスイッチ配列[5]・表示灯類変更・モニタ装置のプログラム改修など最小限の改造が行われた[6]。
- 省エネルギーをPRするステッカー[5]を前面貫通扉・車内妻面に掲出[10]。先頭車前面に車両番号の表示を追加[10]。
- 上記は最初に施工した9106編成では実施されていなかったが、営業運転開始後の4月下旬にこれらの掲出・追加が実施された[10]。
- 一部編成では、EB装置の取付やつり革の増設、座席のバケットシート化や7人掛け座席へのスタンションポール設置なども同時に行われた。
なお本改造により設計最高速度が110 km/hから120 km/hに向上している[5]。
編成 | 改造日[11] | 工場入出場日 | 備考 |
---|---|---|---|
9106編成 | 2004.03.11 | 2004.02.02・02.03出場 (5両ずつ) | 当初は省エネマーク及び前面車番表記なし&菱形パンタ・この編成のみ5-6号車間の手すり撤去 出場時は101系2連のプッシュプルにより回送 |
9107編成 | 2005.01.18 | 2005.01.18出場 | 以下、改造と同時にパンタグラフ換装 |
9101編成 | 2005.10.27 | 2005.07.12入場・2005.10.27出場 | 以下、東急車輛にて施工。 |
9104編成 | 2006.02.20 | 2005.11.07入場・2006.02.21出場 | |
9105編成 | 2006.10.05 | 2006.06.07入場・2006.09.28出場 | この編成のみ改造と同時にバケットシート化及びスタンションポール設置[5] |
9102編成 | 2007.03.31 | 2006.11.06入場・2007.03.27出場 | |
9103編成 | 2007.10.03 | 2007.06.06入場・2007.09.27出場 | 以下、改造と同時にEB装置取付及び電子笛の音色変更 |
9108編成 | 2008.02.06 | 2007.10.15入場・2008.01.31出場 | 出場後の極短期間、前面車番表記なし |
ワンマン化改造
多摩湖線国分寺駅へのホームドア設置に対応するため[12]、4両化・ワンマン化の改造が2020年度[注 5]から翌2021年度にかけて実施された。
一度編成ごと横瀬車両基地へ回送の上で、中間車6両を抜き取った4両編成とし、101系263編成による牽引で武蔵丘車両基地まで回送、その後検修場へ入場し改造を実施するという手順で行われている。
改造後は玉川上水車両基地に所属し、主に多摩湖線で運用に就いているが、稀に西武園線での運用も見られる。
最初に改造を受けた9108編成は試運転の後、2020年10月1日より営業運転に就いている[13]。なお、同編成の試運転では多摩湖線や西武園線だけでなく新宿線の本川越まで入線した。
施工内容
- 編成から両端2両(クハ9100・モハ9200・モハ9900・クハ9000)を抜き出して4両編成に短縮[13]
- ワンマン運転を行うにあたっての機器および回路の変更と新設(運転士マイク・デッドマン装置・誤開扉防止装置等)
- デッドマン対応のマスコンは一部101系から流用されている。またデッドマンの設置にあたりEB装置は撤去された。
- モハ9200形のパンタグラフは2台に増設[13]
- 高圧配管は屋根上を通し前位側にまとめられている。
- クハ9000形に蓄電池を搭載
- 先頭車の前面貫通扉において、ワイパーを電動化、またデフロスタを設置
- ワイパーは2本アームとなった他、若干高い位置に移された。
- 行先表示機は種別表示を省略し[13]、行先の表示幕を多摩湖線向けの内容へ変更
- 前面はガラスの裏から黒のフィルムを、側面はガラスの表から車体色のフィルムを貼り付けて封鎖。
- 表示幕の収録内容は新101系ワンマン車の多摩湖線分に準じたもの+多摩湖とされている。
- 両先頭車にフリースペースを設置[13][注 6]
- フリースペースには簡易的な腰掛が設けられた。その他の仕様は非常通報装置がない点、妻窓が戸袋でない点を除き車椅子スペースに準じる。
- 優先席部の吊手を低位置化
- ドア付近の床材を黄色へ変更
- 弱冷房車を2号車から3号車へ変更
- 戸袋窓の簡易封鎖に使われるフィルムの貼り付け位置をガラスの裏面から表面へ変更(黄色編成のみ[注 7])
- 通風器は全撤去、座席はバケットシート+スタンションポール、SIVはIGBT素子のタイプへそれぞれ統一[注 8]
- 9102・9103編成には両先頭車に車輪塗油装置を設置[14]
- 改造前後にクーラーをCU721の2010年代製造分へ統一
編成 | 改造日 (出場日) |
営業運転開始 | 横瀬への回送 | 武蔵丘への 牽引回送 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
9108編成 | 2020.07.28[14] | 2020.10.01 | 2019.10.11 | 2019.10.24 | SIV故障のため2019年5月より運用離脱・「L-train」ラッピングからレジェンドブルー単色へ |
9105編成 | 2020.10.07[14] | 2020.10.10 | 2020.06.09 | 2020.06.18 | |
9102編成 | 2021.01.08[14] | 2021.01.11 | 2020.08.18 | 2020.08.27 | 改造と同時に車輪塗油装置設置[14] |
9103編成 | 2021.03.24[14] | 2021.03.25 | 2020.12.01 | 2020.12.10 | 改造と同時に車輪塗油装置設置[14]・「RED LUCKY TRAIN」ラッピングから赤色単色へ |
9104編成 | (2021.06.15) | 2021.06.17 | 2021.02.24 | 2021.03.04 |
その他の改造等
- 転落防止幌取付
- ドア付近へのつり革増設
- 座席のバケットシート化
- 2006年に機器更新と同時に実施した9105編成に続き、9103以外の各編成で実施された。唯一残った9103編成も2020年度のワンマン化時に実施されている。
- 種別・行先表示器字幕の交換
- 戸袋窓簡易封鎖
- 通風器撤去
- 省エネステッカーの取外し
- 前照灯LED化(ワンマン車)
- 2021年度より、コイト製LED前照灯(白色・多灯式)が試用された。
- 9103編成:2021年4月5日 - 5月14日
- 9108編成:2021年5月17日 -
- 2022年5月から6月にかけて、全編成がLED前照灯へ変更された。
- 9102編成:2022年6月9日
- 9103編成:2022年5月20日
- 9104編成:2022年5月17日
- 9105編成:2022年5月11日
- 2021年度より、コイト製LED前照灯(白色・多灯式)が試用された。
特別塗装
RED LUCKY TRAIN
- 9103編成
- 2014年7月19日の臨時列車から運行を開始[19]、2020年11月30日をもって営業運転を終了。
- 京浜急行電鉄が、新1000形1057編成の車体塗装を、黄色を基調とした「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」として2014年5月1日に運行を開始したところ、多くの乗客から「西武鉄道の車両に似ている」という声があった。そこで京急が西武にコラボレーション企画を持ちかけたことから、西武では9103編成を「RED LUCKY TRAIN」として京急風の塗装に変更した。側面のドアと前面の飾り帯も車体色へ変更されている。
- 当初は省エネステッカーが貼られていたが、2017年12月1日の検査出場時より消滅した。
- ラッピング終了後はワンマン化改造が行われ、赤一色の塗装(ドアと飾り帯はステンレス無地へ)となり2021年3月25日より多摩湖線で運用に就いている。
二代目「L-train」
- 9108編成
- 2016年1月17日運行開始[20]、2019年(平成31年)5月10日をもって営業運転を終了。
- 2013年12月に退役した3000系3015編成「L-train」の後任として、9108編成の塗装を埼玉西武ライオンズの球団色「レジェンドブルー」に変更の上、ライオンズの球団ロゴをラッピング。
- ラッピング終了後はワンマン化改造が行われ、レジェンドブルー一色の塗装となり2020年10月1日より多摩湖線で運用に就いている。
SEIBU KPP TRAIN
- 9101編成
- 2016年6月4日の臨時列車から運行を開始[21][22]、池袋線と新宿線で運行され、同年9月29日をもって運行終了[23]。
- きゃりーぱみゅぱみゅのメジャーデビュー5周年を記念し、9101編成の塗装をピンクに変更、車内外にラッピング[注 11]を行った。
- ラッピング終了後、2016年10月3日からはピンク一色の塗装で運行[24]されていたが、2018年3月27日に横瀬へ廃車回送された。
運用
製造方法は、自社の西武所沢車両工場の製造能力から、当初は4両編成で落成し狭山線で運用された[4]。数か月後に中間車6両を製造して10両編成で本線系統での運用に移行する方式が採用され、以下の配置となった[4](ただし、9101編成は、残りの6両が完成するまで車両基地に留置していた[4])。
新製配置としては、9101 - 9104編成が新宿線(上石神井、1997年3月に玉川上水へ転属)、9105 - 9108編成が池袋線(小手指)と半々でわかれていた[注 12][4]。1998年3月、ダイヤ改正により新宿線の全4編成が池袋線に転出したが、4月には9102編成を残して新宿線へ戻っている。しかし同年11月には6000系の転属[注 13]に関連し9104編成が再度池袋線に転出した。
20000系の登場により、2000年12月には新宿線に残っていた9101・9103編成も池袋線(武蔵丘)へ転出、11月の転属[注 14]とあわせて全8編成が池袋線(武蔵丘車両基地)に集約され[25]、池袋線・狭山線で運用されていた。10両固定編成であったため、一部を除き優等列車のみで使用されていた。
2017年度に3編成が廃車、2019年度から2020年度にかけて残る5本もワンマン化改造のため池袋線系統の運用を離脱。2021年2月末の9104編成の離脱をもって、池袋線での運用が終了した。
なお、4両編成化・ワンマン化改造車については全5編成が玉川上水所属となり、2020年10月1日から多摩湖線、西武園線で運用されている。なお本数の関係から、101系撤退後は特に西武園線での運用は稀なものとなっている。
廃車
40000系の導入およびワンマン化改造に伴い、2017年度から廃車が開始され[26]、現在までに60両が廃車となっている。
編成での廃車
- 9106編成 - 2017年10月31日に除籍[27]。10月30日に横瀬車両基地へ回送[28]されていた。
- 9107編成 - 2018年3月16日に除籍[27]。3月15日に横瀬車両基地へ回送されていた。しばらく車両基地3番線に留置されていたが、2018年5月に解体、搬出。
- 9101編成 - 2018年3月30日に除籍[27]。3月27日に横瀬へ回送されていた。しばらく駅11番に留置されていたが、9107編成の搬出終了後に車両基地3番線へ移動、11月から12月にかけて解体、搬出された。
中間車のみの廃車(3 - 8号車の6両)
- 9108編成 - 2019年10月31日に除籍[30]。11月の「西武秩父線開通50周年記念車両基地まつり in 横瀬」で展示された後、11月中に搬出された。
- 9105編成 - 2020年6月9日に除籍[14]。同月末から7月にかけて搬出された。
- 9102編成 - 2020年8月18日に除籍[14]。9月に搬出された。
- 9103編成 - 2020年12月1日に除籍[14]。1月に搬出された。
- 9104編成 - 2021年2月24日に除籍[14]。4月に搬出された。
編成表
10両編成(消滅済)
- 車両番号は廃車時まで10両編成だったものを示す
池袋 →
← 西武新宿
|
製造年月[11] | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
号車 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | ||
形式 | クハ9100形 (Tc1) |
< モハ9200形 (M1) |
モハ9300形 (M2) |
サハ9400形 (T1) |
< モハ9500形 (M3) |
× モハ9600形 (M4) |
サハ9700形 (T2) |
< モハ9800形 (M5) |
モハ9900形 (M6) |
クハ9000形 (Tc2) | ||
搭載機器,設備 | CONT,♿︎ | SIV,CP | BT | CONT | SIV,CP | BT | CONT | SIV,CP,♿︎ | ||||
自重 | 抵[31][32] | 29.0 t | 40.0 t | 39.0 t | 28.0 t | 40.0 t | 39.2 t | 28.0 t | 40.0 t | 39.0 t | 29.0 | |
V[7][8] | 29.1 t | 39.0 t | 38.4 t | 28.1 t | 39.0 t | 38.4 t | 28.1 t | 39.0 t | 38.4 t | 29.1 t | ||
定員 | 137 (48) |
147 (51) |
147 (54) |
147 (54) |
147 (54) |
147 (54) |
147 (54) |
147 (54) |
147 (51) |
137 (48) | ||
車両番号 | 9101 | 9201 | 9301 | 9401 | 9501 | 9601 | 9701 | 9801 | 9901 | 9001 | 1993.12 (1994.03) | |
9106 | 9206 | 9306 | 9406 | 9506 | 9606 | 9706 | 9806 | 9906 | 9006 | 1997.03 (1997.08) | ||
9107 | 9207 | 9307 | 9407 | 9507 | 9607 | 9707 | 9807 | 9907 | 9007 | 1997.11 (1998.03) |
- 車内設備配置(10両編成)
1号車 | 2号車 | 3・5・7号車 | 4・6・8号車 | 9号車 | 10号車 | ||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
運転台 | 優 | 優 | ♿︎ | 優 | 優 | ♿︎ | 優 | 優 | 運転台 | ||||||||||||||||||||
女性専用車 | 弱冷房車 | ||||||||||||||||||||||||||||
優 | 優 | 優 | 優 | 優 | 優 |
4両編成
多摩湖 →
← 西武園
|
製造年月[11] | 塗色 | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
号車 | 1 | 2 | 3 | 4 | |||
形式 | クハ9100形 (Tc1) |
< > モハ9200形 (M1) |
モハ9900形 (M6) |
クハ9000形 (Tc2) | |||
機器配置,設備 | フリー | CONT,♿︎ | SIV,CP,♿︎ | BT,フリー | |||
車両番号 | 9102 | 9202 | 9902 | 9002 | 1994.05 (1994.10) | 黄 | スカート開口大 |
9103 | 9203 | 9903 | 9003 | 1995.01 (1995.06) | 赤 | 車輪塗油器あり | |
9104 | 9204 | 9904 | 9004 | 1995.10 (1996.03) | 黄 | ||
9105 | 9205 | 9905 | 9005 | 1996.08 (1996.12) | 黄 | 連結器旧型 | |
9108 | 9208 | 9908 | 9008 | 1998.08 (1999.03) | 青 |
- 車内設備配置(4両編成)
1号車 | 2号車 | 3号車 | 4号車 | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
運転台 | 優 | 優 | ♿︎ | ♿︎ | 優 | 優 | 運転台 | ||||||||||||
弱冷房車 | |||||||||||||||||||
フ | 優 | 優 | フ |
凡例・備考
- 抵:登場時(抵抗制御)の数値
- V:VVVF化後の数値
- <:集電装置(シングルアームパンタグラフ/当初は菱形)
- >:増設パンタグラフ
- ×:パンタグラフ撤去部(VVVF化時撤去)
- CONT:主制御器(現在は全てVVVFインバータ/2両分制御)
- SIV:補助電源装置(静止形インバータ)
- CP:空気圧縮機
- BT:蓄電池
- ♿︎:車椅子スペース
- フリー・フ:フリースペース
- 製造年月は「最初の4両 (中間車6両)」の表記とする(下線のある車両番号がカッコ内の日付)
脚注
注釈
- ^ 妻窓は戸袋のため、スペースと関係なく固定窓となる。
- ^ 制御段数は弱め界磁起動1段・直列12段・並列13段・弱め界磁5段・発電制動25段。
- ^ 編成でSIVを2台以上搭載した場合、1台が故障しても健全なSIVから電力を供給する機能。
- ^ ルートは以下の通り
- ^ 9108編成に限り4両化のみは2019年度に実施された。
- ^ 出典では「車椅子スペース」と記されているが、非常通報装置が設置されていない。また公式アプリでは「フリースペース」と案内されている。
- ^ ラッピングにより車体色が変更された車両はその時点で表へ変更されている
- ^ 具体的には、9102・9103編成は通風器撤去、9103編成は座席のバケットシート化、9105以外の各編成はスタンションポール設置、9104までの各編成はSIV変更が行われている。
- ^ 9106編成のみ、VVVF化と共に5-6号車間も撤去。
- ^ すなわち重要部検査・全般検査を受けた
- ^ 先頭車はきゃりーぱみゅぱみゅが描かれ、中間車は自身の楽曲(「PON PON PON」「つけまつける」「ファッションモンスター」「もんだいガール」)をモチーフとしたデザインとなっている。
- ^ 便宜上このように記しているが、9101編成を除き4両時代はいずれも池袋線(小手指)配置である。
- ^ 池袋線所属車を直通対応車で統一するため
- ^ 本系列の小手指所属編成が全て武蔵丘へ転属。
出典
- ^ a b c d e f 交友社「鉄道ファン」2001年6月号「大手私鉄の多数派系列ガイド10 西武6000系・西武9000系」pp.75 - 77。
- ^ a b c d e 交友社「鉄道ファン」2001年6月号「大手私鉄の多数派系列ガイド10 西武6000系・西武9000系」pp.83 - 87。
- ^ a b c d e f g h i 交友社「鉄道ファン」1994年4月号 新車ガイド4「西武9000系」pp.88 - 91。
- ^ a b c d e 交友社「鉄道ファン」2001年6月号「大手私鉄の多数派系列ガイド10 西武6000系・西武9000系」pp.78 - 82。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad 「とれいん」2017年12月号(通巻516号)MODELERS FILE 西武鉄道9000系
- ^ a b c d e f g h i j 鉄道ピクトリアル2004年10月号臨時増刊号 鉄道車両年鑑2004年版「西武鉄道9000系VVVFインバータ化改造」
- ^ a b 交友社『鉄道ファン』2004年6月号CAR INFO「西武9000系VVVF化改造車」p.106。
- ^ a b 電気車研究会「鉄道ピクトリアル」2013年12月号臨時増刊(通巻884号)西武鉄道 主要諸元表 p.317 -p.320
- ^ 「鉄道ピクトリアル」2013年12月臨時増刊号(通巻884号)「西武車両 音と色」 p.245 - p.250
- ^ a b c 交友社『鉄道ファン』2004年7月号CAR INFO「西武9000系VVVF車一部で仕様を変更」p.129。
- ^ a b c 「鉄道ピクトリアル」2013年12月号臨時増刊(通巻884号)「西武鉄道 車歴表」
- ^ 2021会社要覧(PDF) - 西武鉄道Webサイト p.54
- ^ a b c d e 交友社『鉄道ファン』2021年1月号(通巻717号)大手私鉄 通勤車両のリニューアル
- ^ a b c d e f g h i j k 「鉄道ファン」2021年8月号(通巻724号)付録 大手私鉄車両ファイル
- ^ 「鉄道ファン」2006年10月号(通巻546号)付録 大手私鉄車両ファイル
- ^ 「鉄道ファン」2007年9月号(通巻557号)付録 大手私鉄車両ファイル
- ^ 「鉄道ファン」2008年9月号(通巻569号)付録 大手私鉄車両ファイル
- ^ 「鉄道ファン」2009年9月号(通巻581号)付録 大手私鉄車両ファイル
- ^ 「幸運の赤い電車」(RED LUCKY TRAIN)の運行を開始します (PDF) 西武鉄道ニュースリリース 2014年7月9日(インターネットアーカイブ)
- ^ 二代目「L-train(エルトレイン)」の運行を開始します! (PDF) 西武鉄道ニュースリリース 2016年1月14日
- ^ “「西武KPPトレイン」運転開始”. 鉄道ファン. railf.jp 鉄道ニュース (交友社). (2016年6月5日)
- ^ 6月4日(土)より きゃりーぱみゅぱみゅの名曲たちをつめこんだ『SEIBU KPP TRAIN』運行開始! (PDF) - 西武鉄道ニュースリリース 2016年6月6日
- ^ 『SEIBU KPP TRAIN』 出発式(初運行イベント) 6月4日(土)開催! (PDF) 西武鉄道ニュースリリース 2016年4月26日
- ^ “【西武】9101編成 ピンク一色で運行”. RM News (鉄道ホビダス). (2016年10月4日)
- ^ 『鉄道ファン』2002年9月号(通巻497号)付録「大手私鉄車両ファイル」
- ^ a b 「西武トレインフェスティバル2017 in 横瀬」を開催! (PDF) - 西武鉄道ニュースリリース 2017年10月11日
- ^ a b c 「鉄道ファン」2018年8月号(通巻688号)付録 大手私鉄車両ファイル
- ^ “【西武】西武鉄道の話題”. RM News (鉄道ホビダス). (2017年10月31日)
- ^ “【西武】「西武トレインフェスティバル2017 in 横瀬」開催”. RM News (鉄道ホビダス). (2017年11月15日)
- ^ 「鉄道ファン」2020年8月号(通巻712号)付録 大手私鉄車両ファイル
- ^ 交友社『鉄道ファン』1994年4月号(通巻396号) 新車ガイド4「西武9000系」 pp.88 - 91
- ^ 『鉄道ピクトリアル』新車年鑑1994年版 p.165
参考文献
- 交友社『鉄道ファン』
- 1994年4月号 新車ガイド4「西武9000系」(西武鉄道(株)車両部技術課)
- 2001年6月号 大手私鉄の多数派系列ガイド10「西武6000系・9000系」(粂川零一)pp.75 - 87
- 2004年6月号 CAR INFO「西武9000系VVVF化改造車」(資料提供:西武鉄道)
- 2004年7月号 CAR INFO「西武9000系VVVF車一部で仕様を変更」(粂川零一)
- 鉄道図書刊行会『鉄道ピクトリアル』
- 2002年4月号増刊 特集「西武鉄道」
- 2004年10月号臨時増刊号 鉄道車両年鑑2004年版「西武鉄道9000系VVVFインバータ化改造」
外部リンク
- 電車図鑑 9000系 - 西武鉄道