誰にも言わない
「誰にも言わない」 | |||||||||||
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宇多田ヒカルの配信限定シングル | |||||||||||
収録アルバム | 『BADモード』 | ||||||||||
リリース | 2020年5月29日 | ||||||||||
規格 | デジタル・ダウンロード | ||||||||||
録音 | Abbey Road Studios | ||||||||||
ジャンル | |||||||||||
時間 | 4分39秒 | ||||||||||
レーベル | エピックレコードジャパン | ||||||||||
作詞者 | 宇多田ヒカル | ||||||||||
作曲者 | 宇多田ヒカル | ||||||||||
プロデュース | 宇多田ヒカル,小袋成彬 | ||||||||||
チャート順位 | |||||||||||
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『誰にも言わない』(だれにもいわない)は、宇多田ヒカルの配信限定シングル。前作「Time」リリースから3週間が経った2020年5月29日に配信された。楽曲は、宇多田本人が出演する「サントリー天然水」TV-CMシリーズ5作目「光も風もいただきます。」に使用されている。「Time」同様、小袋成彬が共同プロデュースで参加している。
背景
[編集]2020年4月17日午前4時、宇多田自身が出演する「サントリー天然水」新CMに、新曲「誰にも言わない」が起用されることが発表された。同日より、本楽曲が用いられたCMの30秒と60秒の2篇がWEB限定で公開され、同時に新曲を5月29日にリリースすることも公表された[1]。本楽曲は、宇多田の2020年第2弾シングルで、配信限定シングルとしては12作目となる。また、ストリーミングでの同時解禁のシングルとしては、「Face My Fears」と「Time」に続き3作目となっている。
制作と録音
[編集]楽曲は、ロンドンのアビーロード・スタジオで録音された。エンジニアは、復帰以降の宇多田の全楽曲に関わってきたスティーヴ・フィッツモーリス (Steve Fitzmaurice) が務めている。また、今回はボーカルの録音を宇多田自身が行った。ギターは、『Fantome』から宇多田の楽曲に参加するようになったベン・パーカー(Ben Parker) が、サックスは、ジャズサックス奏者でラッパーでもあるソウェト・キンチ(Soweto Kinch) が演奏している。
パーカッションは、以前に「ともだち with 小袋成彬」(2016年) で参加していたウィル・フライ (Will Fry) が担当しており、本楽曲のレコーディングでは、ウドゥ(Hadgini Udu)、ボンゴ(bongos)、シェイカー(shakers)、カホン(cajon,)、カシシ(caxixi)、シーズ(seeds)、ラトル(rattles)、カイシャ(caixa)、サンダー・ドラム(thunder drum)、コンガ(congas)等といった楽器を演奏した[2]。
音楽性
[編集]本楽曲は、厚く繊細なサウンドのレイヤーと、16ビートに対して三連を基調として浮遊感を強調した譜割りを特徴とするR&Bナンバーである[3]。太めのサックスの音色や多種多様なパーカッションが刻むリズム、エレクトロニカやヒップホップ、ジャズにも通じるコンテンポラリーな音楽性も特徴的である[3][4]。その他にも、ダンス・ミュージックやアンビエント・ミュージックの要素もあるとされている[5][6]。
歌詞では、主人公の"欲望"が直接的に表現されている[3][7]。そして、その自分の欲望と刹那な快感に対する純粋な"肯定"が真っ直ぐに描かれており、また「感性を磨くことの重要性」も強調されている[7]。
評価と批評
[編集]- ロックバンドのTHE NOVEMBERSは自身のTwitterで、「宇多田ヒカルの新曲・才能に、まるで恋をしているかのような状態になってしまい、心がざわついています」とコメントした[8] 。
- 批評家のimdkmは、リアルサウンドの記事にて、本楽曲を「『Fantome』(2016年)、『初恋』(2018年)を経て、いっそうのクリエイティブな飛躍を感じる濃密な作品」と評価し、また「場面を切り替えながら、サウンドが折り重なってテクスチャーをかたちづくり、スケール感の大きな世界を現出させる手際」が本楽曲の共同プロデューサー・小袋成彬の最新アルバム『Piercing』を彷彿とさせると述べた[3]。
- 音楽レビューサイト「Mikiki」の天野龍太郎は、「『Fantome』と『初恋』(2018年)で挑んだリズムやフロウの挑戦が、アトモスフェリックでなめらかなR&Bとして表現されている」とした[5]。
- 音楽プロデューサーの冨田恵一は、リアルサウンドのSpotifyオリジナルPodcast番組「TALK LIKE BEATS」にゲスト出演した際に、本楽曲について「跳ねた三連符がスクエアな16ビートの上に意識的に置かれている」と解釈し、また印象的なリフレインがアンビエントでトランシーな味わいを生んでいるとも指摘した[6]。
CMとプロモーション
[編集]本楽曲は、宇多田が出演する「サントリー天然水」TV-CMシリーズ第5作目「光も風もいただきます。」篇に起用された[9][10]。CMの30秒ver.と60秒ver.では、楽曲の別々の箇所が使用されている。CMは、前回までは山、川、雪というシチュエーションでの撮影だったが、今回は“活きた水”を表現するため「滝」が舞台とされた。宇多田が焚き火で暖を取りながら詩を朗読するシーンでは、企画当初は、制作チームが用意した詩集の一節を朗読する予定だったが、本楽曲「誰にも言わない」の世界観と重なる詩を読んだほうがいいのでは、という宇多田からの提案で、イギリスのロマン派詩人・ワーズワースの詩の一節(国木田独歩訳)が選ばれた[10][11][12]。この演出に関して宇多田は、「詩も朗読すると歌になるので自分の歌が流れている状況だとぶつかってしまうかなと思ったんですけど、それが私の歌の歌詞ともすごく意味がピッタリだったので、そこもすごく楽しかったです」と語っている。[13]なお朗読部分は以下。
また前作「Time」同様に、本楽曲の配信開始に先駆けてオリジナルTシャツが抽選でもらえるキャンペーンが開催された。そのほか、同曲リリースを記念してオリジナル歌詞サイトもオープン。「誰にも言わない」の歌詞全編に加え、宇多田本人による英語訳詞も公開された。同サイトでは、歌詞のパートごとに感想をSNS上に投稿することができ、投稿された他の人からの感想も閲覧することができる[15]。また、2020年5月の日曜日夜に5週連続で配信されたインスタライブ番組『自宅隔離中のヒカルパイセンに聞け!』の最終回(5月31日日曜日)で、宇多田は本楽曲のキーボード弾き語りを披露した[16]。
チャート成績
[編集]「誰にも言わない」は、初動3日間で1.4万DLを売上げ、Billboard JAPAN Download Songsの3位に初登場、総合チャートでは29位を記録した[17]。オリコンが公表する『オリコン週間デジタル・シングル・ランキング』でも初登場3位を記録。
チャート (2020) | 最高 順位 |
出典 |
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Billboard Japan Hot 100 | 29 | [18] |
Billboard Japan Download Songs | 3 | [19] |
Billboard Japan Streaming Songs | 97 | [20] |
US Billboard World Digital Song Sales | 21 | [21] |
オリコンデジタルシングル | 3 | [22] |
オリコン合算シングル | 20 | [23] |
クレジット
[編集]特設サイトの掲載より[24]。
- 宇多田ヒカル:All Vocals・Keyboard・Programming・Vocal Recording (assited by Marek Deml)
- 小袋成彬:Keyboard・Programming
- Steve Fiztmaurice:Recording・Mixing
- Ben Parker:Guitar
- Soweto Kinch:Saxphone
- Will Fry:Percussion
- 齊藤 裕也:Vocal Tracks Editing
- Daren Heelis:Additional Engineering(assited by Matt Jones)
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ()部分は、cmでの朗読で省かれた箇所
出典
[編集]- ^ “宇多田ヒカル、「サントリー天然水」新CMに5作目の出演。新曲“誰にも言わない”を起用”. ROCKIN'ON (2020年4月17日). 2020年10月17日閲覧。
- ^ will_fry_percussion(2020/05/29)- Instagram
- ^ a b c d “宇多田ヒカル「誰にも言わない」から感じる“私”であることを貫く詞の凄み 「Time」とは対照的なサウンドプロダクションも”. Real Sound (2020年5月29日). 2020年10月17日閲覧。
- ^ studioragのツイート(1266344538676682752 )
- ^ a b “ラッキーオールドサン、笹川真生、KID FRESINO feat. カネコアヤノ、chillbill.……Mikiki編集部員が今週オススメの邦楽曲”. MiKiKi (2020年6月2日). 2020年9月23日閲覧。
- ^ a b “富田ラボ 宇多田ヒカル&長谷川白紙の楽曲が持つ面白さとは.......リズムから考えるJ-POP史(2020)”. Real Sound (2020年7月11日). 2020年9月23日閲覧。
- ^ a b “【歌詞コラム】宇多田ヒカル「誰にも言わない」で描かれる欲望と覚悟”. OTOKAKE (2020年9月18日). 2020年10月17日閲覧。
- ^ THE_NOVEMBERSのツイート(1266036056123510784 )
- ^ “宇多田ヒカル、「サントリー天然水」新CMに5作目の出演。新曲“誰にも言わない”を起用” (2020年4月17日14:00). 2020年4月27日閲覧。
- ^ a b “『光も風もいただきます。』篇 4月19日(日)から全国でオンエア開始”. SANTORY (2020年4月17日). 2020年10月17日閲覧。
- ^ “宇多田ヒカルの新曲「誰にも言わない」、「サントリー天然水」新CMでOA” (2020年4月17日04:00). 2020年5月2日閲覧。
- ^ “宇多田ヒカル、「サントリー天然水」のCMで自ら提案した国木田独歩の詩集を朗読”. AdverTimes (2020年4月17日). 2020年9月23日閲覧。
- ^ 川添. “宇多田ヒカル「サントリー天然水」シリーズ5作目CMは巨大な滝壺で水煙にびしょ濡れ!国木田独歩の詩集朗読で新曲「誰にも言わない」世界観に重ねる”. Edge Line. 2021年8月26日閲覧。
- ^ “小春”. 青空文庫. 2020年10月4日閲覧。
- ^ “宇多田ヒカル『誰にも言わない』2020年5月29日配信リリース/5月31日YouTubeライブ配信に参加”. ランダムビューアソート (2020年5月29日). 2020年10月17日閲覧。
- ^ “宇多田ヒカル、『自宅隔離中のヒカルパイセンに聞け!』最終回でファンとサプライズ交流”. m-on!music (2020年6月1日). 2020年10月17日閲覧。
- ^ “Billboard JAPAN Download Songs(6/8付)、LiSA「紅蓮華」が通算5度目の首位 トップ10内の5曲が初登場曲に”. Musicman (2020年6月3日). 2020年10月17日閲覧。
- ^ “Hot 100 6月8日付”. Billboard Japan. 2020年11月2日閲覧。
- ^ “Download Songs 6月8日付”. Billboard Japan. 2020年11月2日閲覧。
- ^ “Billboard Japan Top Streaming Songs 2020/06/15 付け”. Billboard JAPAN (2020年6月10日). 2020年6月24日閲覧。
- ^ “Darenimo Iwanai Hikaru Utada”. Billboard. 2020年10月17日閲覧。
- ^ “週間 デジタルシングル(単曲)ランキング 2020年06月08日付”. Oricon (2020年6月3日). 2020年6月24日閲覧。
- ^ “週間 合算シングルランキング 2020年06月08日付”. Oricon (2020年6月3日). 2020年6月24日閲覧。
- ^ “「誰にも言わない」特設サイト”. Utada Hikaru Official Website (2020年5月29日). 2020年12月10日閲覧。