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近江鉄道500系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
近江鉄道500系電車(共通事項)
1504号(1981年頃 貴生川駅
基本情報
運用者 近江鉄道
製造所 汽車会社など[注釈 1][1]
改造所 近江鉄道彦根工場[4][5]
改造年 1969年-1983年[2]
総数 6編成12両
運用開始 1969年4月28日[3]
投入先 近江鉄道全線
主要諸元
編成 2両
軌間 1,067 mm
電気方式 直流 1,500 V
車体 全金属製[6]
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近江鉄道500系電車(モハ500形)
主要諸元
車両定員 120名[1][7](座席44名[1][注釈 2]
自重 36.2 t[1]
33.6 t[7]
37.0 t[8]
最大寸法
(長・幅・高)
16,950 × 2,740 × 4,240 mm[1][7][8]
台車 DT-10[1][7]
DT-12[6][9]
台車変更後:FS40[4][6]
固定軸距 2,500 mm[11]
台車交換後:2,400 mm[8]
台車中心間距離 10,970 mm[11]
主電動機 MT-15[9]
主電動機出力 104 kW[1][5][9]
105 PS[7]
搭載数 4個/両[1][9]
駆動方式 吊り掛け駆動[5][6][10]
歯車比 2.55[7]
2.52[8]
制御装置 CS-5[8][9]・CS-1[7][9][注釈 3]
制動装置 AMA[7][9]
空気ブレーキ[1][12]
自動予備ブレーキ[1][12]
ブレーキ装置変更後:HRD-1電気指令式空気ブレーキ[4][13]
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近江鉄道500系電車(クハ1500形)
主要諸元
車両定員 120名[7]
122名(座席44名[12][注釈 2]
自重 26.5 t[12]
22.6 t[7]
28.1 t[8]
最大寸法
(長・幅・高)
16,950 × 2,740 × 4,022 mm[12]
16,950 × 2,740 × 4,240 mm[7]
台車 TR-11A[12][9]
TR-14[6]
TR-10[7]
台車変更後:FS40[4][6]
制動装置 ACA[7][9]
空気ブレーキ[1][12]
自動予備ブレーキ[1][12]
手用制動[12]
ブレーキ装置変更後:HRD-1電気指令式空気ブレーキ[4][13]
テンプレートを表示

近江鉄道500系電車(おうみてつどう500けいでんしゃ)は、かつて近江鉄道に在籍していた通勤形電車である。

概要

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塗装変更後の1504号(1992年 彦根駅)

将来の通勤需要の増加を見込み[3]、1969年から1983年にかけて自社工場で6編成12両が製造された[4]

台車や主電動機をはじめとした機器類は廃車発生品を転用したため名義上は改造車両とされているが[3]、車体は自社工場で新造されており、事実上はほぼ新造車である[14]

3扉ロングシートの車体で、前面には貫通路を有する[4]

1983年製造の506編成は装備の軽量化が図られ、台枠が軽量化された[5]ほか、各扉が無塗装のステンレスとなった。また、前面腰部にステンレス無塗装の飾り帯が配され、山吹色一色の塗装で竣工した。その後、501編成も後に同様のスタイルに改造されている[4](台枠の軽量化が行われたかは不明)。

従来の塗装はクリーム+朱色のツートンカラー(いわゆる赤電色)であったが、後に黄色(山吹色に近い)に銀色の帯の塗装に変更された[4]

登場時の台車はイコライザー式のDT-10やTR-11A[注釈 4]が用いられていたが、後にFS40に置き換えられた[4]。また、ブレーキ装置も改修され、HRD電気指令式ブレーキとなった[4]

廃車と保存

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ステンレスの前面帯がついている501号車(2007年)

最盛期には6編成12両が在籍していたが非冷房車であることが災いし、冷房車が増備されるに従って夏季は予備車として運用に就かない事も多くなった[10]

その後、800系の増備が本格化したのを受け、502F〜504Fが2000年(平成12年)から2003年(平成15年)にかけて廃車となった。廃車後は全編成が彦根車庫に留置されていたが、2004年(平成16年)に解体されている。

505Fは2005年(平成17年)の廃車後、長年高宮駅の側線に留置されていたが、レール輸送の工臨運用に使用するための貨車チ10形(11号 + 12号)に改造され、220形に牽引されて使用されている[15][16]

「ほほえみ園」の遊具となった501号車(2014年)

501Fと506Fは運用離脱後も近江鉄道ミュージアムで展示されていたが、2012年(平成24年)に501Fのモハ501を除いて解体された。残ったモハ501は2013年(平成25年)より、彦根駅東口にある近江鉄道が経営する保育園「ほほえみ園」の遊び場として、内外装ともに改装され使用されていた[17]が、2019年(平成31年)1月15日の夜から翌16日の未明にかけて、220形の一部車両とともに奈良県内の解体場へと陸送された[18]

このため500系としての現存車はなく、前述の貨車に改造された2両のみが現存している。

車両一覧

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車号 モハ500
車歴
クハ1500
車歴
竣工 台車/ブレーキ装置交換改造 廃車 備考
モハ501-クハ1501 モハ102(初代)→モハ134[1] クハ1202→クハ1202→クハ1217[12] 1969年4月[2]
1969年6月16日[9]
1984年5月21日[9] 不明(2006年以降[6]2011年まで[5]の間) 扉ステンレス化
モハ502-クハ1502 宇治川電気デハ8→デハ8→デハニ8→モハ8[1] フホハユニ31→ハ1206→クハ1206[12] 1970年11月24日[9] 1986年7月28日[2][9] 2000年3月31日[19]
モハ503-クハ1503 宇治川電気デハ7→デハ7→デハニ7→モハ7[1] フホハユニ30→ハ1205→クハ1205[12] 1970年[2]
1973年1月30日[9]
1985年11月20日[9] 2002年10月31日[19]
モハ504-クハ1504 西武モハ201→モハ133→モハ135[1] 西武クハ1201→クハ1201→クハ1216→クハ1210[12] 1978年7月28日[9] 1986年12月10日[9] 2003年11月30日[19]
モハ505-クハ1505 モハ136[1] フホハユニ32→ハ1207→クハ1207[12] 1981年7月24日[9] 1987年11月[2]
1987年4月30日[9]
2005年3月31日[19]
モハ506-クハ1506 モハ137[2] モハ205[2] 1983年5月10日[9] 1987年11月19日[9] 不明(2011年8月以降[5] 扉ステンレス化

脚注

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注釈

[編集]
  1. ^ 種車の車籍を継承していることによる。
  2. ^ a b ワンマン化後は41名[8]
  3. ^ 登場時はCS-1とCS-5が混在していたが、後にCS-5に統一された。[9]
  4. ^ 資料によっては"DT-12,TR-14など"としているもの[6]や、クハ1500はTR-10としているもの[7]もある。

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 『カラーブックス 日本の私鉄24 近畿』、127頁
  2. ^ a b c d e f g 『現有私鉄概説 近江鉄道』、51頁
  3. ^ a b c 『私鉄車両めぐり83 近江鉄道下』、74頁
  4. ^ a b c d e f g h i j k 『特集 夏 私鉄電車探訪 近江鉄道』、36頁
  5. ^ a b c d e f 『近江鉄道 今を走る車両カタログ』、31頁
  6. ^ a b c d e f g h 『全国「吊掛式駆動電車」ガイド』、25頁
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『私鉄車両めぐり83 近江鉄道下』、76頁
  8. ^ a b c d e f g 『現有私鉄概説 近江鉄道』、55頁
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 『近江鉄道電車沿革史』、152頁
  10. ^ a b 『元西武鉄道の改造車両達』、21頁
  11. ^ a b 『カラーブックス 日本の私鉄24 近畿』、142頁
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『カラーブックス 日本の私鉄24 近畿』、128・129頁
  13. ^ a b 『現有私鉄概説 近江鉄道』、50頁
  14. ^ 『カラーブックス 日本の私鉄24 近畿』、8頁
  15. ^ “辻 良樹 近江鉄道にチ11+チ12が登場”. 鉄道ファン. railf.jp (交友社). (2008年10月13日). http://railf.jp/news/2008/10/13/201600.html 
  16. ^ 【近江鉄道】220形+チ10形によるレール輸送が実施される”. ネコ・パブリッシング (2014年8月29日). 2023年12月10日閲覧。
  17. ^ “近江鉄道彦根駅東口のほほえみ園 電車内にほほえみパーク新設”. 滋賀彦根新聞. (2012年7月13日). https://shigahikone.blogspot.com/2012/07/blog-post_13.html 
  18. ^ “近江鉄道500系・220形が陸送される”. 鉄道ファン. railf.jp (交友社). (2019年1月18日). https://railf.jp/news/2019/01/18/160000.html 
  19. ^ a b c d 『元西武鉄道の改造車両達』、23頁

参考文献

[編集]
  • 井上広和・高橋摂『カラーブックス 日本の私鉄24 近畿』保育社、1983年。ISBN 978-4586505982 
  • 白土貞夫「私鉄車両めぐり83 近江鉄道下」『鉄道ピクトリアル』通巻第240号、鉄道図書刊行会、1970年8月、66 - 76頁。 
  • 佐藤利生「特集 夏 私鉄電車探訪 近江鉄道」『鉄道ファン』通巻436号、交友社、1997年8月、36 - 37頁。 
  • 高田圭「現有私鉄概説 近江鉄道」『鉄道ピクトリアル』通巻第685号、鉄道図書刊行会、2000年5月、44 - 55頁。 
  • 藤井信夫「近江鉄道電車沿革史」『鉄道ピクトリアル』通巻第685号、鉄道図書刊行会、2000年5月、145 - 154頁。 
  • 文:楠居利彦 写真:辻 良樹「元西武鉄道の改造車両達」『鉄道ダイヤ情報』通巻277号、交通新聞社、2005年10月、21 - 23頁。 
  • 楠居利彦「全国「吊掛式駆動電車」ガイド」『鉄道ダイヤ情報』通巻289号、交通新聞社、2006年8月、25頁。 
  • 土屋武之「近江鉄道 今を走る車両カタログ」『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』第29号、朝日新聞出版、2011年10月、31頁。